(2010年3月19日 毎日新聞社)
ランニングや登山で、ひざを痛める若者や中高年が増えている。
体力を過信せず、運動後のケアを怠らないよう、
医師ら専門家は注意を呼びかけている。
東京マラソン直前、40代の男性が整形外科医院を訪ねた。
男性は、両ひざに故障を抱える市民ランナーで、
通院を始めて1年。
ベストタイムを1時間縮めようと、専属コーチを雇うほどの入れ込み。
痛みがひどいときは、消炎・鎮痛効果のある
ヒアルロン酸をひざに注射。
担当医は、「痛みが強い時は、走らない勇気を」と伝える。
運動が原因となるひざ痛は、関節内の潤滑液(関節液)が減って、
軟骨がすり減る変形性ひざ関節症のほか、
半月板や靱帯の損傷が代表例。
たまにしか汗をかかなくても、1回当たりの運動量が多いと、
ひざを壊しやすい。
健康商品を販売する「エスエスエルヘルスケアジャパン」が、
20歳以上の男女816人にインターネットで尋ねたところ、
「ジョギングを月に1回程度」という回答者の40・0%、
「月に1回未満」の43・3%がひざ痛を抱えていた。
運動具メーカー、ミズノの旗艦店「エスポートミズノ」。
連日、多くの市民ランナーが訪れ、ランニングシューズを求めるが、
競技者仕様の上級モデルを好む初心者が少なくない。
同店フロア長の市橋伸浩さん(37)は、
「競技者仕様の多くは、軽量で底が薄く、上級者が使えば
いいタイムが出る。
体力の備わっていない初心者が使うと、
地面からのショックを靴で吸収できず、ひざに負担が増す。
まさにけがのもと」と言い切る。
痛みをおして走りたいという客も多く、サポーターを勧めたり、
効果的なストレッチの方法をアドバイスしたり。
「デザインや価格が気に入らなくても、ランニングを長く
楽しんでいただくためには、けがを避けることが大事」
登山の場合、下り道でひざに違和感や痛みを覚えるケースが多い。
歩き方が悪いと、体重と担いだ荷物の重量が
一気に片方のひざにかかる。
日本整形外科学会認定のスポーツ医で、整形外科を開業する
服部和幸医師(44)は、「一度痛んだひざは、再び痛みやすい。
再発防止のため、大腿四頭筋という筋肉を鍛え、
ひざを安定させることが大切」と、
可能ならば、スクワットなど筋力トレーニングを勧める。
健康志向雑誌「ターザン」(マガジンハウス)の元編集長で、
編集制作会社経営の及川政治さん(55)も、
筋トレで両ひざ痛を克服。
20代後半から始まった痛みが、30代半ばで悪化。
整骨院で勧められた脚の筋トレに励んだところ、
40代になって痛みがなくなった。
「いまでもジムで脚を鍛えている。ひざを守るには一番いい」
ひざを痛めず、好きなスポーツを続けるにはどうしたらいいか?
東京医科歯科大大学院運動器外科学の宗田大教授(56)は、
「少しでも痛みを感じたら、自分には素質がないと思い、
運動をセーブすること。
特に、若いころ運動選手だった人は、体が思い通りに動いた
昔の記憶に引きずられる傾向がある」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/19/117704/
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