(読売 3月6日)
学校に行っていない外国人の子どもを
支援する取り組みが始まっている。
「いらっしゃいませ」、「ハンバーガーはいくらですか?」、
「ひゃくえんです」――。
文部科学省が、全国で実施している外国人の子どもの
就学支援事業「虹の架け橋教室」。
委託先の一つで、群馬県玉村町にあるNPO法人
多言語教育研究所で、不就学や不登校になっている
ブラジル人やペルー人の子どもらを対象に、
日本語による学習指導が行われていた。
ハンバーガーショップの店員役とお客役に分かれ、
注文のやりとりを日本語で練習する子どもたち。
一組終わると、教師が商品の値段を変えていく。
「全部でいくらですか?」と、お客役の子ども。
店員役の子どもが急いで計算し、「さんひゃくさんじゅうえんです」。
ここで、スペイン語も話せる支援者が、
「さんびゃくさんじゅうえん、ね」と指摘。
時間割は社会だが、日本語と算数の勉強でもある。
教室では、科学、体育、料理など教科や掃除、片づけなども学ぶ。
日本に住む外国人の子どもは、日本人の子どもたちと同じ
地元の公私立学校か、授業が母国語で行われる外国人学校に通う。
外国人学校は、学費が月数万円はかかり、家計の悪化で
学費が払えなくなったり、学校自体が倒産したりで、
不就学になるケースが少なくない。
文科省が2005~06年度、滋賀県や神戸市など1県11市で行った
調査によると、外国人の子どもが不就学となる理由のトップは、
「学校に行くためのお金がないから」(15・6%)、
次いで「日本語がわからないから」(12・6%)。
景気が急速に悪化した08年以降、経済的な理由で
外国人学校に通えなくなった子どもたちが増加。
転校先の地元公立校にも、言葉や習慣の違いなどからなじめず、
不登校になるケースが目立っている。
多言語教育研究所に通うブラジル人のA君(13)は、
日本生まれで、小学校1年からブラジル人学校に通い、
5年生の途中で日本の小学校に転校、授業について行けず、
中学校1年で不登校に。
日常会話にさほど支障はないが、漢字は小2レベル。
「ここは楽しいよ。勉強も、給食も。たぶん、また学校に行ける」
1月に授業が始まったころ、まだみんな表情が硬かった。
同研究所コーディネーターの本堂晴生さん(64)は、
「学校に行かずに家にいると、両親も多くは共働きのため、
日中は誰ともしゃべらず、言葉の力が伸びない。
ここに来て友達や教師と、とりあえず母語でしゃべることで、
興味ややる気がよみがえってきている」
最近閉鎖したブラジル人学校に通っていた18人が、新たに加わった。
虹の架け橋教室の重要性は、さらに高まっている。
◆虹の架け橋教室
文部科学省委託の「定住外国人の子どもの就学支援事業」として、
昨年10月以降順次、各地で始まった。
現在、12県34か所で開催。
子ども1人あたり半年間、日本語や学習の支援を行い、
公立学校や外国人学校に通ってもらうことを目指す。
2012年3月末まで。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100306-OYT8T00172.htm
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