2010年3月22日月曜日

iPS細胞から「腸」 臓器は初、奈良県立医大 治療法開発に期待

(2010年3月10日 共同通信社)

あらゆる組織や臓器の細胞になることができる、
iPS細胞から「腸」をつくることにマウスで成功したと、
奈良県立医大の中島祥介教授(消化器・総合外科学)ら。

日本再生医療学会で発表。
iPS細胞から臓器ができたのは世界初。

iPS細胞は、患者自身の細胞から作製して治療に利用できれば、
拒絶反応が回避でき、中島教授は、
「治療が難しい炎症性の腸疾患や、先天的な運動異常症などの
病態の解明、治療法の開発に役立つ」

中島教授らは、マウスのiPS細胞を液体中に浮かんだ状態で
6日間培養するなど、管状の腸のような組織をつくった。

この組織は、腸の中の食べ物を移動させるのに必要な
「蠕動運動」と呼ばれる収縮をし、粘膜や筋肉、神経細胞などが
腸と同じ層構造を持っており、「機能も形態も本物と同じ」

iPS細胞は、京都大の山中伸弥教授が開発。
病気になった臓器などを再生、修復する医療に有用と
世界的に期待。

※iPS細胞

神経や内臓、筋肉など、さまざまな組織に成長できる万能細胞。
皮膚など分化が進んだ体細胞に、特定の遺伝子操作をすると、
さまざまな組織に成長する能力を持たせることができる。
再生医療の切り札として期待されるが、
がん化するなどの懸念もあり、安全性の向上が課題。
2006年、京都大の山中伸弥教授がマウスで作製に成功。

◆国立成育医療センター研究所の阿久津英憲生殖技術研究室長

マウスの胚性幹細胞(ES細胞)から蠕動運動をする腸は
できているが、腸に備わっている粘膜や神経なども、
iPS細胞からできたとすれば、腸の病気の研究の進展に貢献。
どこまで本来の生体に近い機能を持っているのか、
どれくらいの確率で分化するのか確認し、
医療での応用や創薬での利用を考えれば、
人の細胞でもできるかどうかを確かめる必要。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/10/117152/

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