2010年3月25日木曜日

日本語を学ぶ(7)効果乏しい国の支援

(読売 3月13日)

今後、日本語はどう教えられていくのか?

「石油会社と言う時、私たちの多くは『せきゅ』と発音。
学習者が、『せきゅ』と聞き取って書くことで、
ネイティブの私たちは初めて自分の発音を知る」

東京・高田馬場の千駄ヶ谷日本語教育研究所。
日本語教師養成講座で、部長講師の小山紀子さん(45)の話を
十数人の受講生が熱心に聞いていた。
「海外関連の仕事をしていたので、興味を持って」と
受講生の一人。

日本語教師として働く場合、養成講座(420時間)の修了、
日本語教育能力検定試験合格、大学での日本語教育課程修了の
いずれかが一般的な採用条件。

2008年度の文化庁の調べによると、国内の日本語教師
約3万1000人のうち、半数の約1万6000人がボランティア、
約1万1000人が非常勤講師、比較的安定した待遇の
常勤講師は約4000人にすぎない。

地域での日本語学習は、ボランティア頼みだが、
「教える場所、金、時間、人材、知識」の不足で悲鳴を上げている。

さいたま市浦和区の国際交流基金日本語国際センター。
カザフスタン、ケニア、インドなど29か国から来日、
半年間の研修を受けていた外国人の日本語教師44人の
歓送会が行われた。

研修は、母国で半年以上の教師経験を持つ人たちが、
日本語教育法を改めて学ぶもので、
これまで71か国の1000人以上が受けてきた。

モロッコから来ていた男性アディル・エル・ハッダウィさん(32)は、
「モロッコでも、日本語はブーム。
実際に来日して、清潔さ、時刻表通りに電車が来るきちょうめんさなど、
日本の文化も知ることができた。
帰国していろいろ伝えられる」

日本のアニメーション人気もあって、海外では日本語学習熱が
高まっており、133か国・地域で約298万人が日本語を学ぶ。

教える側の日本語教師は、約4万4000人。
同基金でも、海外22か所を拠点に日本語教育を展開。

田尻英三・龍谷大学教授(63)(日本語教育)は、
「文部科学省から厚生労働省まで、様々な官庁が
外国人の日本語学習支援策を打ち出しているが、
断片的、対症療法的で、効果的とは言い難い」

教える側の条件整備、待遇改善も課題だが、
自国語の普及体制を積極的に整える
欧州や中国などに、後れをとりつつある。

日本語教育学会は、国の研究・開発機関として
「国立日本語教育研究所(仮称)」を提唱。
会長で、名古屋外国語大学教授の尾崎明人さん(64)は、
「日本語教育の能力評価、人材育成などに総合的に取り組むと
同時に、外国人が日本語を学ぶ重要性に広く気づいてもらう必要」

日本語教育の将来をどう導くのか、
国としての方向性が問われている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100313-OYT8T00346.htm

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