(日経 3月3日)
今年4月、小中学時代にゆとりや個性を重視した教育を受けた、
「ゆとり世代」の大卒新入社員が企業に入社。
企業の採用現場などでは、これまでと異なる価値観や
言動に戸惑う声が広がっている。
若手社員の教育に詳しいリクルートマネジメント
ソリューションズ(MS)の藤江嘉彦マネジャーに、
実態と対策を聞いた。
——ゆとり世代の特徴は?
「『納得しないと動かない』、『すぐ正解を求める』といった特徴。
本人にとって意味があり、やりたいと思えば力を発揮する。
賢く、素直ともいわれる。
こうした傾向は、2006年春ごろから目立ってきた。
上司や先輩ら、異なる世代と付き合うのが苦手。
ゆとり教育だけでなく、家庭での育てられ方や入社するまで、
年上にしかられたり、ほめられたりする経験が減っていることも
影響しているのかもしれない」
「インターネットの普及で、情報や仕事のやり方は
調べれば分かると考えている。
今は、多くの業務がマニュアル化され、一見仕事ができる。
現場では、『自分で考えない』と嘆く上司が多い。
半面、若手は『言われたことをやるのが仕事』と考え、ギャップがある」
——いつの世も上司は「若い連中は・・・」と愚痴るし、
世代間の価値観のギャップは過去にもあった。
「『会社組織に入って、仕事で成果を上げる』という価値観は、
これまで世代を超えて共通だったが、ゆとり世代は上下関係や
社会的な経験が従来より不足。
今後は、価値観が異なる社員に活躍してもらうための
人材マネジメントが欠かせない。
企業が大切にしている理念や価値観に、
どのようにして共感してもらうかが重要」
——どのように教育すればよいのか?
「仕事の目的を、意識させることが重要。
ある会社で、新入社員に顧客リストを渡し、アポイントを取るように
指示したら、夕方になっても電話をしていなかった。
理由を尋ねると、『1件1件電話するのは非効率なので』。
上司は頭にきたが、この場合、事前に絞り込まれたリストであることや、
新規開拓のためにアポ取りが必要なことを説明していれば、
納得して電話しただろう」
「事実に基づいて、振り返ることも重要。
価値観が違うと、議論しても平行線になる。
顧客からクレームを受けた若手社員の対応がまずく、
顧客をさらに怒らせてしまったケースが。
その若手社員は、『顧客が悪い』と言い訳。
この場合、ただしかっても効果がない。
クレーム内容やどういう受け答えをしたか、
ひとつひとつ事実関係を聞き出し、どこが悪かったか指摘」
——従来より、時間や手間がかかりそうだ。
「育成に、時間がかかるようになった。
05年、新卒を大量採用するまで、企業は長い間
新卒採用を絞っていた。
企業内で、若手を育成する風土が失われていたことも。
今の企業の職場は非常に忙しく、マネジャーや育成担当者が
つきっきりで、新入社員を育てる余裕がない。
職場全体で、新入社員をフォローする風土づくりがポイント」
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100302.html
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