2011年1月15日土曜日

目指すは"人工光合成" 金属触媒使い、根岸氏計画

(2011年1月11日 共同通信社)

ノーベル化学賞を受賞した根岸英一・米パデュー大特別教授が、
地球温暖化の原因となるCO2から、医薬品など有用な化合物を
つくり出す"人工光合成"の実現を目指し、研究計画を立ち上げた。
化学反応を促す触媒として、金属を使う。

光合成は、植物や藻類がCO2と水から炭水化物を合成し、
酸素を出す反応。
温暖化防止には、CO2を吸収する森林の保全が重要とされ、
今回の計画はCO2を原料として役立てようとの狙い。

根岸さんが特別招聘教授に就任した北海道大触媒化学研究センターを
中心に、東京工業大、東京大、京都大などの研究者100人以上が
参加予定の大型プロジェクト。

化学賞の受賞対象は、炭素でできた化合物を自在に結び付け、
別の化合物をつくる「クロスカップリング反応」。
触媒として、根岸さんは「遷移金属」と呼ばれる特定の金属のうち、
パラジウムを使用した。

新たな計画は、パラジウム以外の遷移金属も広く対象とし、
CO2から別の化合物を合成するのが目標。
複数のグループに分かれ、有用なものだけを選択的に作りだす
「不斉合成」の研究や、クロスカップリングで新材料を探す研究も進める。

どの金属を触媒にすれば効率よく反応を繰り返すかを、
突き止めるのが課題で、根岸さんは、
既成概念を捨てるプロセスがないといけない。
しばらく時間はかかるが、自然の世界でできている光合成を、
われわれができなかったら恥ずかしい」と意気込んでいる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/11/130734/

MOTTAINAI:塚本哲夫・六甲バター社長に聞く

(毎日 1月5日)

Q・B・Bブランドで知られる「六甲バター株式会社」
(本社・神戸市、塚本哲夫社長)が、
MOTTAINAIキャンペーンに賛同し、マータイさんの植林活動を支援する
取り組み「Q・B・B&MOTTAINAIオリジナルキャンペーン」を展開。
食育を通じた豊かな食文化を目指す同社の目標などについて、
塚本社長に聞いた。

--近年、食品の原材料価格がじわじわと上昇。
新興国の経済発展で、食料不足を懸念する声も。

社会資本の蓄積した日本に、家計に占める飲食費の割合が高ければ
生活水準が低い、という考え方をそろそろ見直してもいいのでは。
食事にある程度お金をかけ、豊かな食文化を楽しむ時代になった。

--豊かな食文化とはどのようなものか?

価値観や品ぞろえが多様であるということ。
私どもは、健康で、明るく、楽しい食文化の提供によって、
社会に貢献することを経営理念に掲げている。
主力商品のチーズだけでなく、独自の技術を生かしたナッツや
ドライフルーツ、デザートなどの商品を新たに展開中。

チーズは、お年寄りでも口にしやすく、栄養を吸収しやすい食品で、
こうした機能性を打ち出した商品作りも考えている。
食に対する感謝の気持ちも忘れてはいけない。

--食文化を広めるため、どのような取り組みをしているか?

神戸市立六甲山牧場に、「六甲山Q・B・Bチーズ館」をオープン。
チーズの種類や歴史を紹介し、実際にチーズを作っていただく
体験教室を開いている。
今回の取り組みのように、豊かな食文化を支える地球環境を
保全する活動にも取り組んでいく。

--将来の構想?

プロセスチーズで、世界一の技術を持ったメーカーになること。
加熱工程があるプロセスチーズは長期保存しやすく、形が自在で、
熱に対する性質などを調節することができ、
これにナチュラルチーズの個性を取り込むことができれば、
さらにいい商品が作れる。
10年後には目標を実現したい。
==============
◇Q・B・B&MOTTAINAIオリジナルキャンペーン

Q・B・B「大きいスライスチーズ」を購入し、商品に付いている
バーコードを、1枚1口として郵便はがきか応募はがきに貼って応募。
抽選で「Q・B・B&MOTTAINAIオリジナルボトル&風呂敷」セットが
500人に贈られる。
締め切りは1月31日。
2万通を上限に、応募1通につき苗木1本分の費用を、
マータイさんのグリーンベルト運動に寄付。
==============
◆塚本哲夫

関西学院大卒。1964年、六甲バター入社。
副社長などを経て、85年から現職。
チーズ普及協議会副会長や神戸経済同友会常任理事などを務める。
趣味はゴルフ、油絵など。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/01/05/20110105ddm010040145000c.html

2011年1月14日金曜日

「医療イノベーション推進室」で競争力強化

(2011年1月8日 毎日新聞社)

政府は、医薬品開発や再生医療の国際競争力を高めるため、
内閣官房に「医療イノベーション推進室」を設置。

世界級の研究者をトップに据え、基礎研究から実用化まで、
産学官が省庁の壁を超えて連携する。

室長には、ゲノム研究の第一人者の中村祐輔・東京大教授、
室長代行には再生医療が専門の岡野光夫・東京女子医大教授と
ノーベル化学賞を受賞した田中耕一・島津製作所フェロー
(いずれも兼任)が就任。

政府の組織で、研究者がトップを占めるのは異例。
スタッフ23人は厚生労働、経済産業、文部科学、内閣府の
各省庁官僚に加え、研究者や製薬、医療機器メーカーからも起用。
今年夏に控える12年度政府予算の概算要求に向け、
作業部会を設置して議論。

中村室長は、「戦略的な取り組みがなかったため、
日本は医療・健康分野で競争力を失いつつある。
省庁の壁を超えた戦術を練り上げて、日の丸印の医薬品、医療機器、
再生医療の開発に取り組みたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/11/130690/

国語力を鍛える(4)全教科で辞書 語彙強化

(読売 1月12日)

生徒たちの机の上には、教科書とノートに加えて、
国語の辞書が置かれていた。

「『森林が涸渇した』という文が出てきたね。
それじゃあ、涸渇の意味を調べよう」。
鈴木一利・主任教諭(44)が指示すると、辞書を繰る音が教室に響く。
東京・瑞穂町立瑞穂中学校で、2年生の国語の授業。
どの子の辞書にも、ラインマーカーでたくさんの印がつけられていた。

「国語だけでなく、他の教科の授業でも、1回は辞書を引かせる。
言語活動の基盤となる語彙力を強化することが、
全教科での学力の底上げにつながる」。
鈴木主任教諭はそう力を込めた。

全教科にわたる言語活動の充実をうたった新学習指導要領を見すえ、
同中は2008年度から、言語活動によるリテラシーの育成を進めてきた。
リテラシーとは、活用・探求する学力。
辞書の活用に加え、全教科での音読、朝の読書に取り組んでいる。

全校あげての実践を支えているのは、各教科での言語活動を整理し、
学年ごとに一覧にした「言語活動バランスシート」。
研究主任の遠藤弘・主幹教諭(53)は、
「教科の枠を超えて情報交換ができるようになり、
生徒に効率的に言語活動を体験させられるようになった。
小学校と連携し、5・6年生で取り組む活動も取り込むことで、
中1ギャップを防ぐのにも役立っている」

バランスシートは、シラバス(授業計画書)として保護者にも公開。
その結果、保護者の協力も得やすくなり、
生徒の家庭学習の習慣がついてきた。

2年生の鳥海将也君(13)は、
「作文を書く時、知っている言葉が増えているのを実感する。
長い文章でも、集中して読めるようになった」と顔をほころばせた。

漢字検定3級を持つ2年生の福永愛望さん(14)は、
「もっと漢字の知識を習得し、高卒・大学・一般程度が対象の2級を、
卒業までに合格したい」と意気込む。

言語活動の成果は、データにも表れている。
全国学力・学習状況調査で、主に知識を問う国語Aの結果を比べ、
無解答率が1割を超えた設問が08年度は4項目あったが、
09年度は2項目に半減。

リテラシーの向上が、あきらめない気持ちを生み、学習意欲を育む。
学力向上への確かな手応えを、教師たちは感じている。

◆瑞穂中の言語活動バランスシート

書く、読む、聞く、話す・話し合う、家庭学習の五つの言語力について、
国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術、家庭、
英語、道徳、総合、学活、小学5・6年でそれぞれどんな言語活動を
具体的に実践するかを一覧表にまとめたもの。
学年ごとに作成する。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110112-OYT8T00233.htm

2011年1月13日木曜日

速く歩く人ほど長生き…米医師が65歳以上調査

(2011年1月8日 読売新聞)

歩くのが速い高齢者ほど長生きする傾向がある、という研究結果を、
米ピッツバーグ大学の医師らがまとめ、米医師会雑誌で発表。

65歳以上の男女計3万4485人の歩行速度を記録した
過去のデータを解析。

普通に歩いた時の速さは、平均で秒速0・92m(時速約3・3km)
だったが、どの年齢でも同1m以上で歩く人は、
比較的長く生き、歩くのが速い人ほど余命が長かった。

同0・6m以下の人は、早く亡くなることが多かった。
速く歩くには、強い心肺機能や筋力が必要で、
歩行速度が健康度の目安になったと考えられる。

現在、高齢者の余命を予測する良い指標はないため、
研究チームは、「歩行速度に注目すれば、
高齢者の健康管理などに役立つ」

文献:Studenski S et al. Gait Speed and Survival in Older Adults.
JAMA.2011;305(1):50-58.

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/11/130766/

MOTTAINAI:「もったいない」5年の歩み 世界が注目、世界に浸透

(毎日 1月5日)

2005年に始まったMOTTAINAIキャンペーンは、
国内外でさまざまな取り組みの輪が広がっている。
5年間の歩みを振り返りながら、新たな動きを紹介。

マータイさんは、05年初来日した際、毎日新聞とのインタビューで、
日本語の「もったいない」を知り、共感。
3月、「国連婦人の地位向上委員会」で、
「女性たちによる世界的『もったいない』キャンペーンを展開し、
資源を効率良く利用しましょう」と訴えた。

これを機に、もったいないを世界に広げるMOTTAINAIキャンペーンを
毎日新聞社とともに始めた。

福島県や神奈川県など、各地で資源循環型社会の構築に向けた
県民運動が実践。
06年、世論調査で、回答者の86%の人がキャンペーンを知っており、
70%が「実践したい」と回答。

毎日新聞社は、創刊135年記念事業として07年、
横浜市の日本新聞博物館で、企画展示展「MOTTAINAI(もったいない)へ
~キャンペーン報道の力」を日本新聞博物館と共同で開催。

08年、地球温暖化の影響とみられる潮位上昇で、
島全体が水没の危機にさらされている南太平洋の島国ツバルに、
スクールバスが届けられた。
MOTTAINAIキャンペーンを通じ、バスが足りずに通学できない
子どもがいるツバルの現状を聞いた宇都宮青年会議所(JC)が、
市民らに寄付を呼びかけて実現。

フランス・ストラスブール市と群馬県板倉町の小学生を、
インターネットで結び、暮らしの中の「MOTTAINAI」について話し合う
ネット討論会も同月、板倉町で開かれた。

マータイさんは09年、日本政府から旭日大綬章を受けた。
日本の環境保護に関する意識向上や国際的地位の向上に
寄与したことが授章理由。
5月、キャンペーンの寄付金により、ケニア中部に20万本の木を植える
「緑のMOTTAINAI」キャンペーンが始まった。

◆広島訪問、古着回収…

国連平和大使に就任したマータイさんは10年、広島市を訪問、

秋葉忠利広島市長と共に原爆慰霊碑に献花し、原爆資料館を見学後、
平和記念公園で市内の高校生らと被爆桜を植樹。

「KYOTO地球環境の殿堂」の第1回殿堂入り者として、
京都市で開かれた表彰式に出席。

毎日新聞MOTTAINAIキャンペーン事務局は、
同年1月からキャンペーン公式店で古着を回収し、
リメーク作品の素材として提供する取り組みを開始。
6月、ペットボトルの消費量を減らすため、マイボトルを持ち歩くよう
呼びかけるキャンペーンを実施。

◇植林実践「研究所」に期待 NW誌もFT紙も

地球環境の保全と世界平和を目指し、日本文化やものを大切にする
精神を学ぶMOTTAINAI学科などを併設する
「ワンガリ・マータイ環境・平和研究所」が世界から注目。

ビル・クリントン元米大統領が設立し、「米国版ダボス会議」とも
呼ばれている「クリントン・グローバル・イニシアチブ」(CGI)
昨年の定期総会で紹介、米英の有力メディアに相次いで取り上げられた。

CGIは、9月20~23日にニューヨーク市内で開催、
「世界の森林資源」をテーマに特別会議が開かれた。
マータイさんは、パネリストとして会議に出席、
司会者から研究所の設立に向けた動きがマータイさんの最近の
活動内容として紹介。

米誌「ニューズウィーク(NW)」は11月、ウェブ版の特集企画
「女性とリーダーシップ」に、マータイさんのインタビュー記事を掲載。
マータイさんは、次の目標として同研究所を挙げ、
「私たちが取り組んできた植林活動『グリーンベルト運動』が、
どのようにして地域社会を動かしていったのか学びたいという要望が、
多くの人から寄せられている。
大学や農場から若者が研究所に集い、実践を通じて学ぶことを
(私たちの研究所が)可能にできる」

英経済紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」は12月、
「アフリカの緑の星」と題するマータイさんのインタビュー記事を掲載。
マータイさんは、「アフリカでは、政治的な指導力の欠如が長い間課題で、
指導力とは単に巧みな話術を指すのではなく、実践的なものであるべき。
ケニアでは、農業や林業に従事する人々に土壌や水の質を
守っていくことの重要性を説くことである」、
研究所設立を決意した理由。

◇筆先から地球を思う 毎日書道会、ほご紙再生に着手

財団法人「毎日書道会」(理事長・北村正任毎日新聞社会長)を
通じた書道古紙のリサイクルの取り組みが、今年から始まる。
小中学校などでの書道の授業や書道塾、書道家の書斎で出る
書き損じの用紙「ほご紙」を有効活用する試み。

毎日書道会員らで設立した一般社団法人「エコ再生紙振興会」
書道塾や書家、小中学校などの教育機関に呼びかけて、
ほご紙を回収し、日本郵政が運搬。
静岡県にある再生パルプ工場で再生紙にし、
文房具店などで販売する仕組み。

当初からかかわっている書家の池田光希さん(44)が、
塾を構える横浜市で、生徒1人が授業で使う半紙を5枚として
見積もったところ、市内の小中学校491校で年間に出るほご紙は
50トンと推定。
池田さんは、「国内の書道人口は約360万人、
想像を絶する紙がごみになっている」

昨年12月、横浜市で毎年実施している書道コンクールで、
出品時に使用する書道用紙をすべて再生紙に替えたところ、
参加者からは「書きやすかった」などと好評。
11年度、横浜市の小中学校を対象に回収を始め、
東京周辺の県に広げていく予定。

池田さんは、「関東に限らず、全国の書道にかかわっている人に、
運動への参加を呼びかけたい」
問い合わせ先、池田さん(電子メール ike10koku@yahoo.co.jp)。
==============
◇ワンガリ・マータイ環境・平和研究所

ナイロビ大農・獣医学部(ナイロビ市)の一角、約20haの敷地に、
研究棟や集会場、日本文化を紹介する施設などを建設する予定。
生物多様性に配慮し、樹木や水辺はそのまま残す。
マータイさんが実践で培った「行動から学ぶ」を教育方針に、
環境保全と平和を両立する開発手法を学ぶ。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/01/05/20110105ddm010040133000c.html

背景に国内の"臓器不足" 料金の不透明さに批判も

(2011年1月6日 共同通信社)

国内の臓器移植を増やす目的で、改正臓器移植法が
施行されてから約半年が過ぎた現在も、海外での移植を支援すると
うたう複数の団体がインターネット上などで活動を続けている。
中国は、欧米に比べ費用が安いとされることなどから、
希望者が後を絶たない。

日本臓器移植ネットワークによると、移植を受けようと、
同ネットワークに登録する患者は、昨年12月末現在で1万2722人。
昨年に脳死下で臓器を提供した人は32人、
心停止後の提供者も81人にとどまる。

生きている親族から臓器提供を受けない限り、速やかな移植は望めず、
命が差し迫った人は海外に渡るしかないのが実情。

代表的な渡航先に挙げられるのは中国。
死刑囚の臓器を移植に使っているなどとして国際的な非難を浴び、
近年は外国人の移植希望者への門戸を閉ざしつつある。

移植支援団体は、「中国の病院とつながりがある」などとうたい、
患者を募っている。

欧米よりも安価とはいえ、料金面では不透明さが残る。
臓器移植法は、有償での臓器あっせんを禁止。
今回捜索を受けた団体側は、「飛行機代や透析費用などの
実費だけを受け取っている」と強調、
同業者間で、「あちらの団体は料金を水増ししている」などと
批判し合う現状も。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/6/130607/

2011年1月12日水曜日

国語力を鍛える(3)互いに批評 言葉に磨き

(読売 1月7日)

書き上げたエッセーの原稿を手に、伝えたかったことを友だちに話す。
話を聞いた友だちは、気に入った表現などを付箋に書き、
原稿に張りつけていく。

横浜市立並木中央小学校で行われた6年生の国語の授業。
子どもたちは、岸田薫・主幹教諭(38)の指示で班に分かれ、
卒業文集に載せるエッセーを批評し合った。

「エッセーの内容や表現について、友だちと交流し、
自分に身についた力を確かめるのが目的」

6年間大切に使ったランドセルへの感謝の気持ちをつづった
宮崎霞さん(11)は、「文章を半分に縮めるのに苦労した。
一つも比喩を使っていないことに気がついたので、
今度は友だちのように使ってみたい」

横浜市初の再編統合校として、2006年に開校した同小は、
豊かなコミュニケーション力の育成を目標に掲げ、
第一歩として07年から、国語力を高める教科指導に力を入れる。

酒井宏校長(57)は、「自己を確立し、個性や感性を映し出す
基盤となるのは日本語の力。
コミュニケーション手段として英語は有効だが、まずは国語力を鍛え、
自分の考えをしっかり持つことを優先すべきだ」

身につけたい力、言語活動、教材を結びつけて単元づくりをするため、
「単元プラン凝縮シート」を独自に開発。
研究推進委員長の岸田主幹教諭は、
「児童の実態を把握し、まずは身につけたい力を明確にする。
その上で、教材と言語活動を設定して単元を作る。
同じ学年でも、クラスによって活動や教材が違うこともある」

6年間を見通した系統性も欠かせない。
高学年で「書評」を書く場合、その前に「推薦文」、さらに前には
「紹介文」を書いていなければならない。

岸田主幹教諭が、子どもたちの変化を意識したのは、11月中旬。
単元のまとめとして、クラス全体での交流を行った時。
教師の指名がなくても、子どもたちの発言は途切れず、
約20分間にわたって活発な意見が飛び交った。

「1学期には、付箋やノートに事前に意見をまとめ、
少人数の班の中でしか発表できない子が多かった。
児童が主体的に活動したいという思いが高まり、
学習の雰囲気も良くなった」

自ら考え、他人とかかわり、つながり合う力の基盤として、
確かな国語の力が育まれている。

◆並木中央小の単元プラン凝縮シートの項目

▽単元を通して児童に身につけたい力
▽重点化した領域と指導事項
▽設定した言語活動と選んだわけ、既習経験
▽選択した教材と選んだわけ
▽単元と部会テーマのかかわり
▽単元における「チャレンジ」の部分
▽授業の見どころ
▽指導でアイデアがほしいこと

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110107-OYT8T00150.htm

がん免疫強めるマクロファージ発見

(サイエンスポータル 2011年1月7日)

死んだがん細胞を食べて、がんに対する免疫機能も向上させる
新しいマクロファージを、理化学研究所免疫・アレルギー科学総合
アレルギーセンター自然免疫研究チームの田中正人・チームリーダー、
浅野謙一研究員らが発見。

このマクロファージの働きを強めることで、がん免疫を誘導する
新しい治療法につながる可能性がある。

田中チームリーダーらが見つけたマクロファージ
(CD169陽性マクロファージ)は、リンパ節の表面付近のリンパ流が
流れ込む場所にわずかに存在。

マウスを使った実験で、CD169陽性マクロファージが、
死んだがん細胞をリンパ節の入り口で待ち構え効率よく食べてしまい、
さらにがん細胞を直接攻撃する細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)に、
がん細胞の情報を伝え、がん細胞を殺すよう指令を出していることも分かった。

放射線照射などによって、がん細胞を殺すと、
死んだがん細胞を認識して、がんに対する免疫力が強まる。
この現象を利用した治療法も試みられている。
マクロファージが死んだ細胞を食べるだけでなく、
免疫にかかわる抗原提示と呼ばれる働きを持つことも分かっていた。
なぜ、がん免疫を誘導するのか、具体的なメカニズムは解明されていなかった。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1101/1101071.html

競泳古賀が第一三共入社 JOC橋渡しで第1号

(2011年1月6日 共同通信社)

競泳の世界選手権男子100m背泳ぎ金メダリストの
古賀淳也(23)=スウィン埼玉=が、
JOCの選手雇用支援プロジェクト「アスナビ」を通じて、
第一三共に入社することが決まった。

JOCによると、就職先やスポンサーを求める選手と企業を橋渡しする
同プロジェクトを活用しての正式決定第1号。
製薬大手の第一三共が、スポーツのトップ選手を採用するのは初めて。

不況で企業のスポーツ離れが進む中、JOCは「1社で1人の支援」を
呼び掛け、昨年10月に経済同友会の協力で初の説明会を開催。
就職を希望する20~30代の現役選手のリストを各企業に配布。

第一三共は、「世界の頂点を目指す選手を支援することは
社員の刺激になる。人柄、実績、将来性を高く評価した」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/6/130612/

2011年1月11日火曜日

女の涙に弱いのは男の本能?

(ナショナルジオグラフィック 1月7日)

最新の研究によると、男性の性欲は、女性の涙で減退するらしい。
感情に由来する「泣く」という行為は、人間に特有と考えられるが、
科学的な解明は進んでいない。
マウスを使った以前の研究により、涙の“化学信号”に
情報伝達能力があると判明。
人間の涙にも、同様の機能があるのではと推測。

「人間は、既に言語やボディーランゲージで、高度にコミュニケーションし、
化学的と言っても、それほど大層な話ではない」、
イスラエル・ワイツマン科学研究所の神経生物学者、ノーム・ソベル氏。

人間の涙に、どのような能力が潜んでいるのだろう?
少なくとも、感情に由来する女性の涙に、男性ホルモンの一種
「テストステロン」の分泌を抑える働きがある。

攻撃性を高めるホルモンが抑制されれば、性欲も減退する。
女性の涙は、男性の性衝動に対する化学的な拒否の表明

実験では、女性の新鮮な涙と塩水がしみこんだシートを用意、
複数の男性被験者の鼻の下に、別々に貼り付けた。
涙は、“泣ける”映画を観た女性から集め、塩水は同じ女性の顔から汗を採取。
においを嗅いだだけでは、被験者に変化は見られなかった。

実験とは関係ない普通の女性の写真を見せたところ、
涙グループの被験者は、性的興奮度が塩水グループより低かった。
興奮の度合いは、心拍数、皮膚温度、血中のテストステロン濃度など。

MRI(核磁気共鳴画像法)による脳検査も実施、
その結果も新発見の信憑性を裏付け。
涙を嗅いだ男性の脳は、性的興奮をつかさどる部位の活動が薄かった。

ソベル氏は、この研究にはまだまだ続きがある。
性欲減退は、単なる副作用かもしれない。
涙の化学成分で、テストステロン量を減らす本当の目的は、
攻撃性の抑制にあるのではないか?
「つまり、他の動物の攻撃性を抑えられれば、
進化上大きなメリットになる」とソベル氏。

ある種のメクラネズミは、分泌した涙を全身に擦りつけるが、
敵を寄せ付けない効果があるらしい。
「敵の攻撃性を抑えて、身を守っているようだ。
実験結果と同じ現象ではないか」

ソベル氏によると、涙のシグナルは性別より立場の優劣と関係がある。
立場の弱い側が涙を流すことで、
強者の攻撃性を抑えようとしているのかもしれない。
チームは、男性の涙も研究しようと計画。

アメリカ、シカゴ大学にある精神生物学研究所
(Institute of Mind and Biology)の設立者マーサ・マクリントック氏は、
人間の化学信号研究の第一人者。
同氏は、涙の研究の功績を認めながらも、化学信号の意味に関して
早計に結論を出さないよう警告。
「さらに研究を深める必要がある。
何かあるのは間違いないが、全体像を掴めていないし、仕組みもわからない」

「男性、幼児、高齢者の涙も調べる必要がある。
涙の効果は、年代により違いがあるのかも。
性欲だけに話を留めるのはいかがなものか」

研究成果は、「Science」誌オンライン版に1月6日付けで公開。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110107001&expand#title

ニンテンドー3DS 「6歳以下、長時間プレーだめ」 目の発達期、悪影響も

(2011年1月5日 毎日新聞社)

任天堂が、裸眼で3D(三次元)映像を楽しめる、
新たな携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」について、
6歳以下の子供は、3Dで長時間の使用を控え、
2D(平面)表示にするよう注意喚起。

発達段階にある子供の視覚に悪影響を与えないため。
保護者が暗証番号を入力しない限り、
3D映像が表示されない制限機能を搭載。

3D映像について、長時間見続けると、大人も眼精疲労などの
症状が出ることが報告。
電子情報技術産業協会(JEITA)などは10年、
3D映像機器を家庭で安全に楽しむためのガイドラインをまとめた。
視覚機能が発達段階にある子供に不適切な映像を与えると、
悪影響を及ぼす可能性を指摘。

物を立体的に見る機能は5歳前後に完成するとされ、
この時期に強烈な3D映像を見ないよう、
「大人が視聴の可否を判断し、時間制限するのが望ましい」と指導。

任天堂は今年2月26日、3DSを発売予定。
体験会で、6歳以下の参加者は2D使用に限定することを
ホームページで告知。
6歳超の子供についても、映像の立体感を最大から最小の平面表示まで、
段階的に調整できる機能を使い、自分に合った画像で遊ぶよう勧めている。

任天堂は、主力の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDSシリーズ」や
据え置き型の「Wii」などの販売が伸び悩んだほか、
3DSが年末商戦に間に合わず、2月に発売延期、
11年3月期連結最終利益見通しは大幅減。
業績回復の切り札として、3DSは注目。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/5/130582/

りんくうタウン「医療観光」拠点に…大阪府

(2011年1月5日 読売新聞)

大阪府は新年度から、関西空港対岸の「りんくうタウン」
(泉佐野市など)で、観光と先端医療をセットにして
外国人旅行者を呼び込む「医療ツーリズム」の拠点作りをスタート。

進出医療機関への財政支援に加え、国の総合特区制度の指定を受け、
税の軽減やがん病床の増設など独自の規制緩和策も進める方針。
国際空港の目の前という立地を生かし、
なお空き地が残る同タウンを「医療の街」として売り出す。

同タウン内には、すでに国際外来を持ち、
約60人の医療通訳を擁する泉佐野市立泉佐野病院や、
がん治療などに定評がある「ゲートタワーIGTクリニック」が立地。
2010年4~11月、同病院で医療通訳を利用した約500人の大半は、
急病患者か在日の外国人。

府は、観光業者に同病院の健診サービスなどをPRする方策を検討。
タウン内に、新たな医療機関や医療通訳を養成する専門学校が
進出する場合、補助金拠出などの優遇策も講じる方針。

府と泉佐野市は、同タウンを国際医療交流拠点とする
総合特区構想を国に提案。
国は、今夏にも指定地域を決める見通しだが、
橋下徹知事は、「りんくうタウンは、関空前の一等地で潜在能力は高い。
医療ツーリズムは大阪の成長戦略の要で、絶対に(特区を)勝ち取りたい」

◆医療目的来日 2020年43万人の試算も

先端医療を目的に来日する外国人は増加傾向にあり、
日本政策投資銀行の試算では、2020年の潜在需要は、
中国やロシア、米国人を中心に年43万人、市場規模は5500億円。

政府も、新成長戦略の一環に位置づけ、今月から、医療目的で入国する
外国人と付添人向けに、「医療滞在査証(ビザ)」を創設、
6か月在留できるようにした。

各地の取り組みも活発化。
徳島県は昨年3月、徳島大病院などでの糖尿病検診と観光が
セットのツアーをスタート。
3回企画し、計51人が参加。
神戸市のポートアイランドでも、国内外の患者に生体肝移植などを行う
施設の構想がある。

「国内の医師不足の深刻化を招く」との指摘や、海外で流行する
多剤耐性菌が持ち込まれる可能性を懸念する声も。

◆りんくうタウン

関西空港開港に合わせ、大阪府が約5700億円を投じて造成した
318ヘクタールの産業用地。
2003年度、格安の賃貸方式を本格導入、
ショッピングセンターなどが相次ぎ進出したが、現在も10%は未契約。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/5/130566/

2011年1月10日月曜日

スズメバチが「太陽光発電」 海外の研究チームが発見

(朝日 2010年12月30日)

太陽光を使って、活動のエネルギーを作っている可能性のある
「ソーラースズメバチ」ともいうべき、ハチが見つかった。

イスラエル・テルアビブ大などのチームが、ドイツの専門誌12月号に発表。
体の表皮に、太陽電池に適した構造を持っていた。
光合成をする植物や微生物のように、
太陽光を直接利用する動物の発見は初めて。

このスズメバチは、アフリカから南アジアにかけて分布する
「オリエンタル・ホーネット」。
地面に穴を掘って巣を作り、人間の皮膚に日焼けを起こす
紫外線(UVB)が強い昼間に、活動が活発になる習性があった。

このハチの背中の表皮を調べると、光を吸収せず透過させる
溝のようなものがあった。
チョウの羽に、色を付けたりする黄色い特殊な色素も含まれていた。
この特徴を参考に、「色素増感型」と呼ばれる太陽電池を試作すると、
効率約0・3%で光のエネルギーが電気エネルギーに変換。

チームのマリアン・プロトキンさんによると、
ハチの黄色いしまに、数百ミリボルトの電圧が発生していることもわかった。

約11%のエネルギー効率を持つ人工の色素増感型太陽電池に比べ、
効率はぐっと低く、電気が発生する仕組みはよくわかっていない。

エネルギー源の多くは食物と考えられるが、
プロトキンさんは、「電気エネルギーが代謝を進め、
スズメバチの昼間の活動を助けているようだ」

http://www.asahi.com/science/update/1229/TKY201012290266.html

水素含む電気分解水が慢性腎臓病に効果

(サイエンスポータル 2011年1月5日)

水を電気分解した後に得られる高濃度の水素を含む水を飲むと、
慢性腎臓病の合併症状が抑えられることを、
東北大学と日本トリム社の共同研究チームが、
ラットによる動物実験で確かめた。
日本で約1,300万人にも上るといわれる慢性腎臓病の予防対策に
つながることが期待。

東北大学大学院医学系研究科創生応用医学研究センター
先進統合腎臓科学コアセンターと日本トリム社の共同研究チームは、
慢性腎臓病の原因と考えられている酸化ストレスを、
水素ガスが軽減できることに着目。

酸化ストレスは、体内で過剰な活性酸素が発生することによって
もたらされる。
水を分解すると、陰極側に水素を含む水(水素水)が生成。
この水素水を、慢性腎臓病のモデルラットに飲ませ続けたところ、
普通の水を飲ませたラットに比べ、腎臓や心臓の炎症や
酸化ストレスなどの進行を抑える効果がある。

実験では、虚血再還流という方法で、腎臓へ意図的に酸化ストレスを
与えたが、普通の水を飲ませたラットは、炎症や酸化ストレスが高進し
腎臓、心臓の障害が現れた。
高濃度の溶存水素を含む電解水素水を飲ませたラットは、
腎臓、心臓の障害が明らかに抑えられた。

活性酸素は、栄養素がミトコンドリアで代謝され、
酸素を使ってATPをつくる際にできる。
体内で脂質、タンパク質、糖、核酸などを酸化変性させるため、
活性酸素が過剰にできると、体内の酸化ストレスが高まり、
慢性腎臓病だけでなく動脈硬化、心筋梗塞、糖尿病、
がんなどの原因にもなると考えられている。

食事、呼吸という人間に不可欠の活動によって発生するため、
過食や過度の運動を控える以外、
活性酸素の過剰発生を抑える方法はない。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1101/1101051.html

トヨタ、宮城の新工場稼働 関自岩手と年50万台へ

(岩手日報 1月7日)

トヨタ自動車子会社で、完成車の製造を担うセントラル自動車
(本社・相模原市)の新工場が宮城県大衡村に完成し、
6日、操業を開始した。

トヨタは東海、北部九州に続く、国内第3の生産拠点を
東北地方に集約、新工場はその中核的存在。
同じく子会社の関東自動車工業岩手工場(金ケ崎町)
=年産実績35万台=と合わせ、東北で小型車を中心に
年間50万台の生産を目指す。
将来的には、ハイブリッド車(HV)の生産も視野に入れる。

セントラル自動車の白井安良副社長は、
「やっとここまで来た。
世界のお客さまに、東北から良い品質の車を提供したい」と意気込み。

新工場の生産能力は、年間最大12万台。
北米やアジアなど海外輸出向けの小型車「ヤリスセダン(日本名・ベルタ)」
を製造する。
カローラなどを生産している現本社の相模原工場は、
3月に運転を終了。
4月以降、生産を全面的に宮城工場に移管し、本社も移転。

セントラル自動車は、資本金約109億円(2009年10月現在)、
従業員数は約1500人。
宮城工場の延べ床面積は、約12万平方メートル。

東北地方にはここ数年、HV用の電池を生産する
プライムアースEVエナジー(湖西市)や、部品製造の太平洋工業(大垣市)
などが宮城県を中心に進出、自動車関連企業の工場集積が進んでいる。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110107_7

2011年1月9日日曜日

フロンティア:世界を変える研究者/13 東京大教授・藤田誠さん

(毎日 1月4日)

◇脱「力ずく」で分子多様に--藤田誠さん(53)

「最新の成果です」と見せてくれたのは、ボールのような分子の模型。
48個の有機分子が、24個の金属イオンで結合。
実際の大きさは、直径6~7nmで、炭素原子がボール状に結合した
新素材「フラーレン」(直径1nm)よりはるかに大きい。
巨大で複雑だが、「実験操作は簡単。材料を混ぜるだけ」とほほ笑む。

駆け出しの研究者だった90年、作るのが難しかった正方形の分子を
大量に合成できた。
予想以上の成果の理由を考えるうちに、水溶液中の金属イオンが、
有機分子の窒素原子とくっついたり離れたりを繰り返し、
「一番おさまりがよく、安定した形」に、自ら落ち着いたのだと気付いた。
「自己組織化」の概念にたどりついた瞬間だった。

自己組織化は、雪の結晶や脳の神経回路構築など、
自然界に多く見られる。
DNAの二重らせんも、高度な自己組織化の結果だ。
生物が持つこの精妙な技を使って、さまざまな分子を
人工的に作れないか。
熱や圧力をかけて、「力ずく」で組み立てる従来の手法では不可能だった、
新しいものづくりができる--。そう直感した。

材料となる有機分子の形状を工夫すれば、カゴ状、筒状、
知恵の輪状など多様な分子を作れる。
これらの可能性は無限だ。
薬を閉じこめて、患部へ直接運ぶ「ドラッグ・デリバリー」や、
内部で化学反応を起こす「ナノサイズのフラスコ」としての応用が期待。

小学生時代の宝物は、小遣いで買いためた実験器具。
姉の教科書に出てくる実験を、片っ端から試して楽しむ理科少年だった。
一方、「記憶するのは大の苦手」。
有機化学は、複雑な化学式で記述されるが、
今でも丸暗記している反応はない。
「原理・原則を理解すれば、100個くらい化学式が並んでいても、
(反応時の)電子の流れが見えてくる」

学生時代は岩登りに熱中し、大学1年の時は年間100日以上、
山に通った。
絶壁で手掛かりを失い、とっさに歯で岩にかじりついて
ピンチを脱したことも。
数々の修羅場で培った胆力が、研究でも役立っている。
「人と違ったことをするのが好き」。
学生・スタッフ約30人の研究室を率いる今も、その冒険心は衰えない。
==============
◇ふじた・まこと

東京都出身。千葉大大学院修士課程修了。
東京工業大で博士号(工学)取得。千葉大助教授、名古屋大教授などを
経て、02年から現職。
01年日本IBM科学賞、10年江崎玲於奈賞。専門は有機錯体化学。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/01/04/20110104ddm016040018000c.html

NEDOリヨンでスマートコミュニティ実証事業

(サイエンスポータル 2011年1月1日)

情報通信技術を活用したエネルギー効率が高い都市
「スマートコミュニティ」をつくるための実証事業を、
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が
フランス・リヨンで始める。

「スマートコミュニティ」は、既に日米が協力して、
ニューメキシコ州で実証事業を始めている「スマートグリッド」の考え方を
さらに広げた新しい地域形態。
スマートグリッドが、電力需給の効率化を核にしているのに対し、
熱や未利用エネルギーも含めたエネルギーを地域単位で統合的に管理し、
さらに交通なども融合した次世代の社会システム。

NEDOが、リヨン市と周辺地域を含む「リヨン共同体」と共同で実施する
実証事業は、新設されるビルに消費されるエネルギーよりも
多くのエネルギーを生み出す技術を導入し運転管理するほか、
電気自動車の課金、認証システムを含めた充電インフラの構築、
太陽光発電遠隔監視システムの導入などを含み、
導入効果や電力の需給バランスへの貢献を実証する。

事業期間は2015年度まで。
既に委託企業として、東芝、東芝ソリューションが決まっており、
両社は3月末までに実施可能性調査を行う。

NEDOは、スペイン政府・産業技術センターと共同で、
スペインでも同様の実証事業を進める計画で、
委託企業の公募も始めた。

経済産業省は昨年1月、「スマートグリッドに関する国際標準化ロードマップ
を発表している。
スマートグリッドにかかわるビジネスの拡大や世界各国へ向けての技術の
普及を図るために、「送電系統広域監視制御システム」、
「配電網の管理」、「電気自動車」など、
7つの事業分野の標準化を進める方策を明示。

昨年2月、官民が協力してスマートグリッド社会実現のための課題に
取り組む組織「スマートコミュニティ・アライアンス」が設立、
5月、大学、メーカー、電力会社など28法人が、
日本版スマートグリッドの基礎技術確立を目指し、
共同で実証事業をスタート。
東芝は、東京大学、東京工業大学、早稲田大学、日立製作所、
明電舎、三菱電機、電力中央研究所、東京電力とともに
28法人の幹事社になっている。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1101/1101011.html

5市町ごみ減量競争 沿岸南部処理施設4月稼働

(岩手日報 1月2日)
 
釜石市、大船渡市、陸前高田市、大槌町、住田町の
広域ごみ処理施設・岩手沿岸南部クリーンセンターが、
今年4月から本格稼働することをにらみ、
各市町はごみ減量に本腰を入れている。

搬入量が、建設・運営費の負担割合に反映されるためだ。
指定ごみ袋の導入や企業と連携して再利用する社会実験など、
あの手この手の対策を展開。
「ごみ減らしレース」は、静かに熱を帯びている。

同センターは、最高1800度の高温で、金属やガラスなど
不燃物も処理できる溶融炉式。
2010年12月21日から試運転が始まった。
建設費約96億円と、向こう15年の運営費約98億円の負担割合は、
主に各自治体からの搬入量で決まる仕組み。

5市町でつくる岩手沿岸南部広域環境組合によると、
過去の実績などから推計した11年度の搬入量の割合は、
釜石40%、大船渡28%、陸前高田17%、大槌12%、住田3%。

負担が最大になると見込まれる釜石市は、
09年度から指定ごみ袋を導入。
既に実施している大船渡市、陸前高田市、住田町と同じように、
1回の収集で出せるのは1世帯3袋までと制限、
09年度のごみ量は前年度比で15%ほど減った。
指定ごみ袋は、大槌町も11年度から導入する予定。

他にも各市町は、生ごみを家庭で処理できるコンポストの設置費用や
集団資源回収に取り組む団体に補助金を出し、減量を図っている。

中でもユニークな取り組みを進めるのが大船渡市だ。
09年秋から、一部地域のプラスチック系などの家庭ごみを
太平洋セメント大船渡工場の燃料、原料に活用する社会実験をスタート。
将来的には、市内全域での導入を視野に入れる。
寺沢英樹市民生活環境課長は、
「地域特性を生かした試み。
取り組み家庭を増やし減量につなげたい」

各市町が熱心に減量を図る中、危機感を抱くのは住田町。
もともと量が少ない同町は、減らせる絶対量も限られる。
町民生活課の佐々木圭一主任は、
「他市町が大きく減らした場合、負担割合に跳ね返るのではないか」と
不安をのぞかせる。

同組合事務局は、「総量が減り、実際の運営費が安く済んだ場合は、
(委託先との)契約額を見直せることになっている。
施設の延命にもつながる」と期待。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110102_2