2008年1月26日土曜日

エビさんの食べるスポーツ:甘い男

(毎日 1月21日)

アスリートや指導者が肉好きであることは、ここにも何回か書いた。
指導者のみなさんとの懇親会でも、焼き肉屋が選ばれることが多い。
骨付きカルビにタン塩、ビールに韓国焼酎。
次から次へと彼らの胃袋の中に消えていく。

数時間前に見せていた厳しい指導者の顔はそこにはなく、
あるのはただのオヤジの優しい笑顔。
楽しい時間を過ごし、誰もが満腹でお開きになる。

いや、お開きになったはずであるが、後日談を聞かされることが少なくない。
「街道沿いにおいしいラーメン屋ができた」。
誰かが漏らしたささやきに、有志が続々名乗りを上げる。

そう、フィニッシュラーメン。焼き肉屋でたくさん食べたはずなのに。

しかし、この一連の行動は、実は理屈が通る。
お酒を浴びた体は、一時的なエネルギー不足に陥る。
アルコールの分解に、エネルギーが必要になるからだ。
体は、エネルギー源である糖質を欲しがる。
甘い物好きであれば、ラーメンではなくケーキ類に誘惑。
いわば、魔の時間。

理屈は合っているとはいえ、アルコールと一緒に肉ばかり食べて
主食や野菜が少ない結果でもある。
バランスが崩れた状態なので、理屈が合っているからといって
ほめられたものでは当然ない。

寝る前の脂質の取りすぎは、内臓の負担になるばかりか、
体脂肪として蓄積しやすい。
ラーメンはお茶漬けにするとか、ケーキは果物にするとか、
せめて置き換えてほしい。

フィニッシュラーメンへの流れは、習慣でもあることを認識してほしい。

お酒で思考能力が落ち、自分に甘くなるから、「ま、いいか」となる。
甘い男も善しあしなのだ。

http://mainichi.jp/life/health/chie/news/20080121ddf035050025000c.html

秋田で「宇宙教育」リーダー育成講座、過去最多の50人が受講

(秋田経済新聞 1月15日)

北海道から鹿児島まで全国14カ所で開催する
宇宙教育ボランティア指導者の育成講座「リーダーズセミナー」が、
秋田セミナーを皮切りにスタート。
秋田大学「ものづくり創造工学センター」で開催した同講座には
これまでで最多となる50人が参加。

同講座は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙教育センターが、
宇宙教育ボランティアの指導者を育成するため昨年から開催。
「秋田で活動している『ロケットボーイ・ロケットガール』を
支援していく方針や、秋田大学と宇宙教育に関する協定を結んでいる」。

「宇宙教育」とは、青少年の「科学する心」を養う知識学習や体験活動、
人や自然との関わりの中で「命を大切にする心」を育む教育活動のことで、
その指導者を育成するための同講座では、日本宇宙少年団(YAC)の
杉山光二さんと臼井敏夫さんが指導者の目標や実践例教育理念を解説、
「銀河の里キゴ山天体観察センター」の小林幸雄さんは、
危機管理や安全対策などの重要性を講義。

講座を受講した高校教員の大石一博さんは、
「生徒に、体験学習への興味を持ってもらうために受講した。
かつて水ロケットを飛ばす指導をしたことがあるが、
教育のための教材を手に入れる機会にもなり、現場でも役立つ」。

同センター長の的川泰宣さんは、
「宇宙教育センターは、幅広い見識を身に付けた心豊かな青少年の育成。
宇宙活動で得られた魅力的な素材を活用して、青少年に宇宙と生命への愛や
未来に貢献する決意を持ってもらえれば。
今後も、宇宙教育への活動機運を地域に広めていきたい」。

受講生は、3年間宇宙教育リーダーとして認定され、
希望者は近隣の日本宇宙少年団の分団活動への参加や、
教室の運営や教材開発への支援などの活動サポートを受ける。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080115-00000000-hsk_ak-l05

2008年1月25日金曜日

スポーツ21世紀:新しい波/257 陸上・実業団選手登録/1

(毎日 1月19日)

陸上女子千五百メートル日本記録保持者の小林祐梨子(豊田自動織機)
実業団選手登録を求めている問題は、
小林側と日本実業団陸上競技連合の考え方が平行線のままで
解決の糸口が見えない。
背景を探ると、競技団体のあり方や規程が合わなくなった現状も浮き彫りに。

小林は、昨春に神戸市の須磨学園高を卒業。
豊田自動織機入社と同時に、社内留学制度で岡山大理学部に入学。
「実業団で競技をしながら、教養も身につけたい」と望んだ小林の選択は、
実業団か大学の一方を選ぶという進路の慣例を破った。

想定外のケースに、実業団連合は昨年3月の理事会で議論。
小林を「勤務実態がなく、実質的に企業の管理下にもない」と判断、
登録を認めなかった。

根拠は、同連合の登録規程の2項目。
第2条「当該事務所に在籍して引き続き勤務の見込みのある者」と、
付則6「実業団に在籍する選手が進学する場合は
チームの了解・退部証明書を得なければならない」。
付則6は、70~80年代に増えた大学からの選手引き抜きを防ぐ規程。

だが、議論の中で適用の対象が再確認され、小林も抵触すると判断。
豊田織機の平林裕視監督は、
「雇用契約上、小林にとって陸上は勤務そのもの」と反論。
代理人の望月浩一郎弁護士は、小林が昨年4~12月の258日間に、
陸上に1223時間半、大学で360時間を費やしたことを示し、
「勤務後に夜間部に通う実業団選手と変わらない」。
多くのスポーツで、実業団選手が競技に専念する割合が増えている現状では、
小林だけが特殊ではないとの主張。

豊田織機の指導委託を受ける佐倉アスリート倶楽部の小出義雄代表も、
「優秀な選手を、実業団の高いレベルで競わせ育てることも大人の役目」。

実業団連合にも、時代に合わせて規程の見直しを進める動きがあるが、
友永義治理事長は、
「小林さん一人のために規程を変えたり、議論を急ぐことはできない」。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

脳:情報伝達物質が伝わる仕組み確認 物忘れの改善に期待

(毎日 1月13日)

脳の神経細胞内で記憶や学習の情報伝達物質が伝わる仕組みを、
東京大のローレント・ギョー研究員と広川信隆教授の研究チームが
マウス実験で解明。将来、物忘れの謎を明らかにすることも期待。

情報伝達では、
(1)伝達物質を受け取る「受容体」を運ぶ分子モーターに受容体を載せる渡し役、
(2)運転手役の分子モーター、
(3)分子モーターから受容体を取り出す降ろし役、
の三つのたんぱく質がかかわっている。

研究チームはこれまでに、渡し役と運転手役がどのように役割を
果たしているかを解明したが、残りの降ろし役の仕組みは謎。

蛍光たんぱく質を使い、細胞内で起きている変化を可視化する方法などで、
分子モーターのたんぱく質「KIF17」の構造が受容体を降ろす段階で、
どのように変化しているのかを調べた。

その結果、KIF17を構成するアミノ酸の一つ「セリン」が
リン酸化という化学反応を起こしていることを発見。
人工的にリン酸化させたところ、受容体を切り離すことを確認。

広川教授は、「記憶や学習に、分子モーターがかかわる全段階の仕組みを解明。
アルツハイマー病や高齢により記憶力が低下した場合に、
三つのたんぱく質のどこが大きな影響を与えているのかを調べれば、
物忘れの改善などに役立つ」。
英科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」1月号に発表。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080113ddm016040142000c.html

2008年1月24日木曜日

サルの脳でロボット動く 科学技術振興機構

(朝日 2008年01月16日)

歩いているサルの脳活動を読み取り、
その動きをロボットで再現する実験が成功。
米国にいるサルと日本のヒト型ロボットを、インターネットで結んで行った。
脳情報によって、ヒト型ロボットがリアルタイムで動いたのは世界初。
脳梗塞や脊髄損傷で歩けなくなった人々の機能回復などにつながる技術。

米デューク大学(研究リーダー:ゴードン・チェン氏)と
国際電気通信基礎技術研究所(ATR=京都府精華町)が実験
動くベルトの上を歩くように訓練したサルから、
脳の電気信号を読み取り、つま先の位置を計算。

デューク大学からATRにあるヒト型ロボット「CBi」に情報を送り、
リアルタイムで動かした。
CBiは、脳情報で動くように開発した新型ロボット。
身長155センチ、重さ85キロで51個の関節を持ち、油圧で動く。

研究総括の川人光男ATR脳情報研究所長は、
「人間の脳の情報によって、ヒト型ロボットを制御する実験を5年以内に行いたい」。

http://www.asahi.com/science/update/0115/OSK200801150077.html

自宅エクササイズでメタボ対策デサントが「XaviX+D3」を共同開発

(デサント 2007年12月18日)

デサントのヘルスマネジメント研究所は、
半導体、ソフトウェア開発、デジタル機器の開発、製造、販売を行う
新世代株式会社と、日常活動の運動活動量をデータ管理し、
セルフエクササイズを行なう運動システム
『XaviX+D3(ザビックスディースリー)』を共同で開発。

このシステムは、デサントが開発した生活習慣病予防のための
健康改善プログラム「デサント・ヘルスアッププログラム」を、
自宅でいつでも自由な時間に実践できるように開発、
新世代株式会社の健康コンピュータ「XaviXPORT(ザビックス・ポート)」上で
動作し、家庭でテレビに接続して行なうトレーニングシステム。

運動時間やカロリー消費量の目標を設定でき、
自宅で気軽に目標に向かった効果的なエクササイズやスポーツを行なう。
新たに開発した特殊センサを身につけ、日々の生活における
ウォーキングの歩数や活動における消費運動量のデータ管理。

厚生労働省発表の「エクササイズガイド」に基づき、
あらかじめ自己設定した1日の運動必要量に不足したカロリーを、
ストレッチ体操や筋トレなどのエクササイズをゲーム感覚で楽しく補う。
エレクトロニクス技術やエンターテイメント技術が融合され、
忙しい現代人でも無理なく気軽に楽しみながら、
健康の維持とエクササイズを自己管理できるシステム。

デサントヘルスマネジメント研究所では、
生活習慣病予防のための健康改善プログラムの教材に「XaviX+D3」を用い、
デサント社員で本プログラムの点検や実証試験を行い、
企業の健康保険組合や地方自治体を通じた運動教室などへ販売予定。
運動教室やインターネットなどを通じて、一般消費者向けの販売も開始予定。

http://www.descente.co.jp/press_releases/detail/82

2008年1月23日水曜日

T細胞にコードされるCD80と4-1BBLは自己およびトランス共刺激を誘発して強力な腫瘍排除を惹起する

(nature medicine 12月号)

腫瘍を排除するためには、T細胞は腫瘍の低い免疫原性と
不都合な腫瘍微小環境にうち勝たなければならない。
腫瘍浸潤性T細胞に、作動性の共刺激シグナルを与えてT細胞機能を増強する
ことは今もなお、安全で効果的な免疫療法の実施における難題。

我々は、選択された共刺激リガンドを過剰発現するT細胞は、
強力であるが制約された、解剖学的に標的を絞った共刺激を仲介する
細胞性媒体として働くだろうと考えた。

本論文では、CD80および4-1BBリガンド(4-1BBL)を発現する初代ヒトT細胞が、
共刺激リガンドを欠損する腫瘍細胞に活発に応答し、
免疫不全マウスで大規模な全身性の腫瘍に対する強い排除を誘発することを示す。

また、バイスタンダーT細胞での共刺激(トランス共刺激;transcostimulation)
に加え、単離単一細胞の免疫シナプスでのCD80および4-1BBLの
それぞれの受容体への結合(自己共刺激;autocostimulation)の影響も示す。

構成的に発現する共刺激リガンドをT細胞に賦与するこの新たな戦略は、
他のリガンド-受容体の組み合わせにも拡大できる可能性があり、
標的を絞った養子移入治療の増強にも利用できるかもしれない。

[原文]
T cell-encoded CD80 and 4-1BBL induce auto- and transcostimulation, resulting in potent tumor rejection

Matthias T Stephan1,2, Vladimir Ponomarev3, Renier J Brentjens1,4, Alex H Chang1, Konstantin V Dobrenkov3, Glenn Heller5 & Michel Sadelain1,2,4 1  Center for Cell Engineering, Molecular Pharmacology and Chemistry Program, Memorial Sloan-Kettering Cancer Center (MSKCC), New York, New York 10021, USA.2  Immunology Graduate Program, Weill Graduate School of Medical Sciences, Cornell University, New York, New York 10021, USA.3  Department of Radiology, MSKCC, New York, New York 10021, USA.4  Department of Medicine, MSKCC, New York, New York 10021, USA.5  Department of Epidemiology and Biostatistics, MSKCC, New York, New York 10021, USA.

To reject tumors, T cells must overcome poor tumor immunogenicity and an adverse tumor microenvironment. Providing agonistic costimulatory signals to tumor-infiltrating T cells to augment T cell function remains a challenge for the implementation of safe and effective immunotherapy. We hypothesized that T cells overexpressing selected costimulatory ligands could serve as cellular vehicles mediating powerful, yet constrained, anatomically targeted costimulation. Here, we show that primary human T cells expressing CD80 and 4-1BB ligand (4-1BBL) vigorously respond to tumor cells lacking costimulatory ligands and provoke potent rejection of large, systemic tumors in immunodeficient mice. In addition to showing costimulation of bystander T cells (transcostimulation), we show the effect of CD80 and 4-1BBL binding to their respective receptors in the immunological synapse of isolated single cells (autocostimulation). This new strategy of endowing T cells with constitutively expressed costimulatory ligands could be extended to other ligand-receptor pairs and used to enhance any targeted adoptive transfer therapy.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200712/nature_medicine/03.html?Mg=52cb5740b0e202c971babca2a5e6f68c&Eml=12b55b931cb52b4152963c77864c5aec&F=h&portalId=mailmag

米ぬか:抗酸化作用で糖尿病腎症の発症抑制に効果

(毎日 1月20日)

和歌山県立医大、同県工業技術センターなどの共同研究グループは、
米ぬかに含まれるフェルラ酸が、糖尿病腎症の発症を抑える
効果があることが分かったと発表。

ラットを使った実験で、腎症発症を示す尿たんぱく排出量が少なくなり
病気の進行が遅いことが確認。
オランダの糖尿病専門誌に発表。

フェルラ酸は、ポリフェノールの一種。
強力な抗酸化作用があり、サプリメントなどの原料に使われている。
糖尿病腎症は、糖尿病の3大合併症の一つで、
高血糖が長く続くことで発症。
代謝異常のために、活性酸素が過剰となることが原因として注目され、
研究グループは酸化防止機能を持つフェルラ酸の効果を調べた。

糖尿病だが腎症発症前のラットに、フェルラ酸を含む飼料を与え、
12週間後に観察。
通常の飼料を食べたラットと比べ、尿たんぱく排出量が半分以下。
谷口久次・同センター化学技術部長は、
「医薬品や特定保健食用品としての実用化を目指し、
将来的には腎症患者を減らしたい」。

糖尿病腎症に詳しい槙野博史・岡山大大学院教授は、
「効果のメカニズムを詳しく調べれば、人間への効果も期待できる」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080121k0000m040112000c.html

人工降雨、実用へ一歩 九大が佐世保で実験、小雨降る

(朝日 2008年01月17日)

深刻な水不足に悩む長崎県佐世保市から依頼を受けた九州大が、
人工降雨に挑み、同市を含む県北部で小雨が降った。
気象庁も、四国で大がかりな実験に乗りだす予定。

これまでも各地の自治体などが試みてきたが、
データ検証の積み重ねがされておらず、効果のほどもはっきりしていない。
九州大や気象庁は、思い通りの場所に十分な雨を降らせることが
できる技術の確立を目指している。

九州大の西山浩司・助教(気象工学)らを乗せた軽飛行機が
佐賀市の佐賀空港を離陸。
長崎県北部の壱岐島方面に向かい、11時40分ごろから約1時間、
積雲の下で液体の二酸化炭素(液体炭酸)を散布
液体炭酸が蒸発して空気を冷やし、雲の中に氷の結晶ができる。
それに水蒸気が付着して成長し、重みで落下すれば雨になる仕組み。
液体炭酸をまいて、1時間以内に県北部で雨が降れば成功との想定。

正午すぎに平戸市や松浦市、午後0時半ごろに
佐世保市でぽつりぽつりと雨粒が落ち始めた。

佐世保市に水を供給する県内の主要6ダムの貯水率は61.6%で、
安定供給に必要とされる80%を大きく下回っている。
市は、人工降雨の実験を続けてきた九州大に
「雨を降らせてほしい」と頼み、2回分の経費として200万円の補正予算。

気象庁は、5月から高知県の早明浦ダム周辺で人工降雨の実験を開始。
年間予算は2億円で、3年間続ける計画。
国内の年間降水量は、この100年間で5.6%減少。
一方で豪雨や少雨が繰り返し起こり、両極端な降り方が目立つ。

人工降雨には、異常気象を沈静化させる狙いも。
国内では50年ごろから、人工降雨の実験が重ねられてきた。
福岡県や九州大の研究会は、94~01年に2種類の方法で実験。
液体炭酸を使った4回はいずれも雨や雪が降ったが、
海上だったため降水量は測定できなかった。
写真の感光剤などに利用されるヨウ化銀の粒子をまく方法では、
15回のうち12回で5.5~0.5ミリの雨が降ったが、
狙った場所に降ったのは6回だけ。

西山助教は、「人工降雨に適した積雲が発生するかどうかや、
風向き、風速などの気象条件を読むのが難しい。
データを積み重ね、実用化への手がかりを得たい」。

http://www.asahi.com/science/update/0117/SEB200801170008.html

2008年1月22日火曜日

体温維持:寒い時に震える仕組み解明…日本人研究員ら

(毎日 1月12日)

人など体温を一定に保つことのできる恒温動物が
寒い時に震えて体温を上げる仕組みを、
中村和弘・日本学術振興会海外特別研究員らがラットの実験で解明。
生命維持の謎を解明する研究として注目。
米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」1月号に掲載。

恒温動物は、皮膚で感じた温度を体温調節中枢である
脳の視床下部に伝えている。
寒冷時には、手足の骨格筋を震えさせて体温を上げている。
しかし、温度情報が体温調節中枢に伝わる仕組みは未解明。

研究チームは、皮膚が感じた刺激が脊髄を介して
視床下部に伝わることに注目。
特殊なたんぱく質を使い、情報が脊髄から視床下部に伝わる経路を
特定したところ、「寒い」と認識する経路と別だったことが判明。

また、その経路の神経細胞を薬剤で働かないようにすると、
皮膚を氷水で冷やしても、震えも体温上昇も起こらなかった。

一方、特定した経路を構成する神経細胞の働きを高めると、
体温とともにエネルギー消費量が上昇していた。
中村さんは、「低体温症治療などの開発に役立てたい」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080112k0000e040023000c.html

エビさんの食べるスポーツ:祭りの後の強者

(毎日 1月7日)

今年も年末年始に、駅伝、サッカー、ラグビー、アメフットなど、
各地でスポーツの熱戦が繰り広げられた。
アスリートのパフォーマンスの素晴らしさは、
たくさんの人々に感動と驚きを与えたことだろう。

その一方で、つかの間の正月休みに身を委ねたアスリートも多い。
家庭の中で家族と、故郷に戻り旧友たちと、戦いのことはしばし忘れて
おいしいものを存分に楽しんだことだろう。

しかし、夜更かしや朝食抜きなどでハメをはずした期間は、
体のリズムを静かに狂わせる。
ビルドアップしてきたアスリートの体というのは、それほど敏感。
また、食べ方のリズムが狂うと取る栄養素にも偏りがでてくる。
この時、自分の癖がでやすいのだ。
まず、塩分・糖分の過剰になりやすい。
そして、ビタミン・ミネラル・食物繊維などの必要なものが不足。

さあ。どうするか?
反省はしなくてもいい。
すでに新しい年を迎えているのだ。
一度リセットしたつもりで、前を向いて新しい行動を起こしてほしい。

失ったリズムは、朝からこまめに体を動かし、
確かな空腹感を取り戻すことからはじめよう。
そして、水を飲もう。
濃い味に慣れすぎた舌に健全な感覚を取り戻すためには、
お茶やコーヒーよりも水を補給し、舌の感覚を研ぎ澄まそう。
食べない時間をしっかり作り、味付けを薄味にし、
甘いものを食べることを一時やめてみる。

リセットしてみれば、アスリートの体はきっと再起動できる。
アスリートの体は、年末年始のハメはずしくらいで
崩れ去ってしまうほどヤワじゃない。

http://mainichi.jp/life/health/chie/news/20080107ddf035050025000c.html

2008年・記者の目、BTJ webmaster宮田 満、統合力が試される年

(Biotechnology Japan 1月6日)

新年明けましておめでとうございます。

今年は海際の霞も少なく、赤い、まん丸い太陽が海から飛び出しました。
左手に三浦半島、右手に伊豆半島と箱根山、正面には初島が姿を刻み、
湘南海岸の白波と青い海が初日の出を浮き上がらせました。
まさに、安藤広重が描いた、東海道五十三次の世界を体感。

今年のバイオは、統合力が問われる時代だと思います。
政策も、ビジネスも、そして学問もしかり。

技術革新は、境界領域の融合から興ると議論したことがありますが、
今年は技術革新のシーズを社会や事業に還元するために、
異分野や異業種を統合的にマネージする、統合力がより必要に。

今後の日本のあるべき姿や人間の幸福、追究すべき智慧の全体像を描き、
それに向かって時には相反する意見や技術、資源、集団を
いかに調和して動かすか、
わが国やわが国の国民の統合力が問われる時代がやってきた。

生命科学に関して言えば、システム生物学の時代が今年花開きます。
個々の要素追求が、omicsの登場によって網羅的に探索可能となり、
単一遺伝子やたんぱく質が原因の疾患は多くない。

問題は、ヒトというハードウェアの偏りと環境の変化の蓄積によって、
機能不全を起こしたのか、という個別システムの解明が必要。
システム生物学の追究が進めば、生物毎のシステムの記述が可能に。

DNA、時間、空間、資源、歴史、環境、コミュニティのパラメーターをもった
数学的なモデルで、ヒトというシステムをシミュレートする。
汎用性のあるヒト・モデルの誕生は、
患者毎に最適な治療を提供する個の医療の実現をもたらす。
統合力は、個別化と裏表の関係に。

iPS細胞の技術突破も、システム生物学の発展を加速するエンジン。
システム生物学の対象は細胞に限定され、標準化した細胞の供給が不可欠。
由来と分化ステージが明確なiPS細胞由来細胞が提供され、
細胞レベルのシステム生物学が世界中どこの研究室でも
比較可能なデータを生むことに。

特定の転写調節因子やがん遺伝子などのセットを細胞に導入し、
細胞の運命を変えるというiPS細胞が実証したコンセプトは、
細胞レベルのシステム生物学の基本的な解析手段を生む。
ES細胞までリセットし、分化した細胞でも可逆的に運命を操作できる。
遺伝子導入や遺伝子干渉による細胞操作によって、
その細胞たらしめているシステムや要素を解析することができる。

プロテオーム、ペプチドームの技術突破により、
シグナル伝達過程で、たんぱく質のどこにリン酸化や脱リン酸化が起こるか、
経時的に網羅的に解析可能。
今まで不可能だったシグナル伝達系のシミュレーションも手が届くように。

イメージング技術は、細胞内物質のダイナミックな分布を確実に捉えつつある。
赤血球のシステム生物学では、低酸素分圧によるTCAサイクルから
解糖系へのエネルギー生産の転換は、
解糖系の酵素群が吸着していた担体から細胞質内に放出されて起こる。
こうした変化をトップダウンで捉えるのが、先端イメージング技術。
細胞の生理学的・生化学的な解析と画像解析を統合する力が不可欠。
生命科学の統合力を実現するために、膨大な計算機能力が必要。
システム生物学のインフラとなる京速コンピューターの建設が神戸で開始。

07年は、新薬の許認可や臨床試験の促進に、大きく”山が動いた”年。
一部の医療機関も、国際共同治験に積極的に参加する体制を整備。
認可が滞っていた抗体医薬「アバスチン」も昨年承認され、
バイオ新薬が誕生する道を拓いた。
低分子標的医薬(抗がん剤)と組み換えパピローマウイルスワクチンなどの
販売申請も行われ、08年には商品化。

しかし、医療の高度化と医師の偏りによる勤務医の過剰労働により、
新薬の臨床試験どころではないという実態。
国は、臨床試験に研究資金を投入し、新薬開発と臨床開発を統合する必要。
新薬開発のらち外に置かれた患者の参画も重要。
患者の参画なき、ガイダンスの策定は止めるべき。
患者不在の小田原評定は、許されるべきではない。

07年には、大手製薬企業がいっそうのリストラを実施。
ファイザー、シェーリングなど研究所を閉鎖、
バイオベンチャーに新薬シーズを依存する
イノベーションのアウトソーシングが常態化。
2010年に大型新薬の特許切れに悩む大手製薬企業も、
自社の研究だけに拘泥することは許されない。

しかし、バイオベンチャー企業は、追加資金難で気息奄々。
大學発ベンチャーとして誕生した600社以上のバイオベンチャー企業も
単一の技術、商品に依存したビジネスモデルの限界にぶち当たり、冬眠情況。
ベンチャーと大手製薬企業、ベンチャーとベンチャーを統合し、
より強い、より創造的な企業を創り上げる統合力が不可欠。

統合力が試されるもう一つの分野は、
バイオフューエルやホワイトバイオの分野。
バイオフュエルやホワイトバイオの領域は、既存の商品との戦い。
カーボンニュートラルのような新しい価値を社会に問いかけて認知させる
科学や技術以外の政治力が必要。
バイオエタノールに対するガソリン税の不課税は、2円程度のメリットだが、
今後の社会的な突破口に。
環境エネルギー領域のバイオ事業化には、技術革新だけでなく、
社会を動かす運動を統合する力が問われている。

最後に、統合力には新しい世界観と意思が込められている。
単なる理念なき野合では、荒波を乗り越えることは難しい。
Biotechnology Japanは、わが国唯一のバイオポータルとして、
新しいコミュニティメディアを目指します。
どうぞ、皆さんの一層のご参画を今年も期待しております。

http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2008010451869

2008年1月21日月曜日

4つの習慣で14年長生き 英の2万人調査で判明

(共同通信社 2008年1月9日)

たばこを吸わず、飲酒はほどほど、野菜と果物を十分に取り、
適度な運動をする人は、そうした習慣のない人よりも
14年長く生きられるとの調査結果を、
英ケンブリッジ大の研究チームが米医学誌に発表。

どれも健康に良いとされる生活習慣だが、
具体的な利益をはじき出した点で意義があるという。
チームは、英南東部の45-79歳の健康な住民約2万人を対象に、
1993~97年にかけて健康調査を実施、
2006年までの死亡率と生活習慣との関係を解析。

(1)喫煙しない、
(2)飲酒はワインなら1週間にグラス14杯まで、
(3)1日に最低こぶし5つ分程度の野菜、果物を取る、
(4)1日30分ほどの軽い運動をする
の習慣がある人は、4つともない人より、病気による死亡率が4分の1と低く、
14年分の寿命に相当することが分かった。

習慣と最も関連するのは、心臓や血管など循環器系の病気。
「ちょっとした良い習慣の組み合わせが、長生きにつながる」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=65547

どんな医療の形がいいのか、客観的に議論するのは存外難しい

(m3.com)

養老孟司

健康な人は、医療を求めていません。
病気にならないと、本当に求める医療については実感しないし、わからない。
医療に関して議論しても、患者さんの実情にあてはまらないことが多い。

どんな医療の形がいいのか――、客観的に議論をするのは難しい。
たとえば、自殺者が増えたとたん、日本人男子の平均寿命が縮んじゃった。
平均寿命の統計数値には、医療ではなく、社会状況のほうがはるかに影響。
医療は、もう測るべきものではないほどに煮詰まっている。

では、患者さんが医療に対して求めているものは何かと言えば、
ある種のアメニティというか、快適さだと思います。
楽に死なせてくれるのがいい医療――そんな気持ちを持つ方も多い。

日本社会が、「世間」の評価に敏感である側面が、客観的議論を難しくさせる。
「お年寄りをあんな目に遭わせて」と言われたくないので、
家族は、「できるだけのことをしてください」と医師に言ってしまう。
医師も、意味があるなしにかかわらず、できるだけの治療をする。
老人医療費が、全医療費の半分近くを占める。
核家族化が進んだ現代では、老人の面倒を医療機関に見てもらう傾向が強く、
医療が福祉を背負ってもいる。
こんな状況で、国民の求める医療の形を考えてみても、
ケース・バイ・ケースですから、結論は出ません。

求める医療の形は、国ごとに、社会状況を映して違ってくる。
社会階層がはっきりしている国では、階層ごとでも違ってくる。

「医療崩壊-『立ち去り型サボタージュ』とは何か-」という本を読んだが、
イギリスの医療が、医療崩壊の例に。
予算が切れたから、今年はもう患者は診ないという病院が出てきた。

これは医療崩壊なのか――
僕は、ちょっと違う見方をしたほうがいいんじゃないかと思う。
診療に最善を尽くすことが、社会全体から見て、どれぐらいのメリットがあるか――、
そうした視点がイギリス人はかなりシビアなんですよ。

僕は、イギリス人の国民性を話すときに、「コベントリーの空襲」を例に。
第2次大戦中、イギリス情報部がナチの暗号を解読し、
コベントリーという町が空襲されるのを知った。
でも、政府はいっさいの情報を漏らしませんでした。
結局、コベントリーは空襲を受け、かなりの人が死にました。
しかし、イギリス人が戦後、その事実について文句を言った話は聞きません。
コベントリーの被害と、暗号を解読しているとドイツ側にわかってしまうことで
生じる被害を秤にかけ、冷静に判断をしている。
日本人は、そうした冷静な客観性を持っていない。
日本で同じケースが起きたら、人々に知らせて町が空になり、
たちまち暗号を読んでいるとわかっちゃう。

医療を根本的なところで「良くなった」、「悪くなった」と言うときに何で測るか――
日本では、客観的な基準がはっきりしていない。

患者さんのニーズに基準を置いたら、客観性など求めようもない。
ホテルならば、お客さんの数で比較できますが、
患者の数で医療機関を比較するのは、日本の健康保険制度に矛盾する。
何を持ってして、いい医療、悪い医療と言うのか、
おっしゃっている方にうかがいたいですね。

http://www.m3.com/tools/Healthpolicy/chapter3/index.html

ジョン万次郎:米で滞在の家、記念館に 有志が発起人会

(毎日 1月15日)

江戸時代末期、日本人で初めて米国に渡った
ジョン万次郎(中浜万次郎)が滞在した家が、米マサチューセッツ州にある。
この家屋を記念館として残そうと、
聖路加国際病院の日野原重明理事長ら有志が、発起人会を作った。
家は傷みが激しく、購入と修繕費に約8000万円必要で、募金を呼びかけ。

ジョン万次郎は1827年、土佐で生まれた。
漁に出て漂流し、米国捕鯨船のホイットフィールド船長に助けられ、
1843年に米国に上陸し、同州フェアヘブンの船長宅で暮らした。
そこで学校に通い、知識を身に着け帰国し、日本の近代化に貢献。

船長宅は、木造2階建て。
老朽化で競売にかけられると知った米国の弁護士が、
住宅を購入し資料館にしようとしたが、体調を崩し計画が頓挫。
いきさつを知った万次郎の子孫で医師の中浜博さんが、
日野原理事長に相談したことなどをきっかけに、
記念館開設に向け募金を募ることに。
購入、修繕後は非営利団体などに寄付する予定。

発起人会には、日米協会会長の大河原良雄・元駐米大使や
尾崎正直・高知県知事のほか、作家の瀬戸内寂聴さんら著名人も参加。
日野原理事長は、「万次郎の暮らした家は日米友好の原点。
その歴史を若い人に残すためにも、ぜひ多くの人に募金に協力してほしい」。
募金の問い合わせは、記念館開設募金事務局(03・3265・1907)。

http://mainichi.jp/select/world/news/20080116k0000m040068000c.html

2008年1月20日日曜日

第2部・地球からの警告/3 危うし九州の稲作

(毎日 1月4日)

50年後の米どころは、北海道かもしれない。
温暖化が九州の稲作に打撃を与え、本州のコシヒカリ信仰が揺らいでいる。

九州産米の半分を占める「ヒノヒカリ」で、白く変色し粒も小さな米が増えた。
穂が実る時期の平均気温が27度を超えると、目立つ高温障害。
九州の07年産米のうち、大きな粒がそろった1等米の比率は32%。
全国平均の80%に遠い。
ヒノヒカリを4ヘクタール栽培する専業農家の収穫が、
すべて2等米なら、売価の5%の約20万円が吹き飛ぶ。

代わって作付けが広がったのが、新品種「にこまる」。
開発に携わった農業・食品産業技術総合研究機構の坂井真上席研究員は、
「開発着手時は、味や収量の改善が柱だったが、九州が暑くなり、
高温に強い品種しか残らなかった。九州の稲作が危うい」。

坂井さんは、筑後市の研究拠点で、温暖化に対応する新品種を開発中。
前原市で7・5ヘクタールを耕作する林一磨さん(48)は昨年、
1・4ヘクタールを「にこまる」に切り替え。
収穫した「にこまる」は、すべて1等米だが、ヒノヒカリはほとんど2等米。
「同じ条件で育てたのに、この差」

全国の作付面積トップのコシヒカリにも、温暖化が忍び寄る。
「この10年で味が落ちた」。
米穀販売大手「スズノブ」の西島豊造社長(45)は漏らす。
かわりに、北海道米が台頭中。

07年産米の1等米比率は、北海道92・0%に対し、新潟は79・6%。
05年から2年間で、新米の落札価格は北海道の「ほしのゆめ」が約8%上昇、
新潟産コシは約14%下落。
北海道産は、新潟産コシヒカリより3割ほど安いが、適度な粘り気が人気で
「コシから切り替える顧客が増えた」(西島社長)。

北海道産米人気は品種改良の効果が大きいが、温暖化はプラスに働く。
林陽生筑波大教授は、品種は現在のままだと仮定して、将来の収穫量を予測。
温暖化が進めば、60年代に北海道と東北の一部で2割近く収穫が増える。
他地域は収量が落ち、全国平均で1割減。

新潟県などは、田植え時期をずらして暑さを避ける対策を取ってきたが、
そろそろ限界。
同機構北陸研究センターの松村修上席研究員は、
「平均気温が1度以上高くなると、品種を切り替えるしかない」。

「今年の天候は?」。
山形俊男東京大教授に、豪州の農家から頻繁に問い合わせが。
教授は昨年、豪州が2年連続で大干ばつに襲われるとの予測を的中。
豪州の小麦収穫量は、平年の半分。
「インド洋西部で海水温が上昇し、大気循環が変わって雨が降らなくなった。
温暖化が影響している」

豪州の凶作などで国内の業務用小麦粉価格は昨年、24年ぶりに上がった。
うどんの本場香川県の讃岐うどん店の多くが、1~2割の値上げ。
讃岐うどん用小麦粉は、9割以上が豪州産。
大峯茂樹・さぬきうどん協同組合理事長は、
「約40年前、うどんに合う品種を現地の農家と共同開発。
豪州産の代替はあり得ない」。

日本の食料自給率は、4割。温暖化は、その食を一層危うくする。

http://mainichi.jp/life/ecology/select/news/20080104ddm002040021000c.html

疑似体験ゲーム消費カロリー、実際の運動よりかなり少ない

(読売 1月7日)

テニスやボクシングなどを疑似体験できるゲーム機の
エネルギー消費量は、実際の運動よりもかなり少ないことが、
英リバプール・ジョン・ムーアズ大学による調査でわかった。

13~15歳の11人に、運動を疑似体験できる「Wii(ウィー)」(任天堂)と、
座ったまま操作する「Xbox360」(マイクロソフト)のゲームをさせた。
子供には、体の動きを測るセンサーを取り付け、エネルギー消費量を計算。

その結果、Wiiでボウリング、テニス、ボクシングのゲームをした際の
エネルギー消費量は、1分あたり約2・8~3キロ・カロリー
(1時間で約170~180キロ・カロリー)。

この消費量は、Xboxで自動車ゲームをした時の約1・6倍、
何もしない場合の2倍以上になるが、
各ゲームの消費量を実際のスポーツと比べると、
ボウリングでは実際にボウリングをした場合の87%、
テニス(ダブルス)は56%、ボクシング(スパーリング)では30%。

「ゲームは、実際のスポーツの代わりにならない」として、
毎日1時間の運動を勧めている。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080107i302.htm

東京オリンピック招致委員会 申請ファイルに関する記者説明会を開催

(東京オリンピック招致委員会)

東京オリンピック招致委員会は、国際オリンピック委員会(IOC)に
提出した申請ファイルに関する記者説明会を東京都庁で開催。
申請ファイルとは、オリンピック競技大会開催計画概要に関する
25項目にわたるIOCの質問に対し回答したもの。

東京オリンピック招致委員会事務総長の河野一郎は、
オリンピック招致の動機とレガシー、開催コンセプト、環境について説明。

東京でオリンピックを開催する主な動機としては、
高度な都市化、高齢化、成熟社会といった21世紀の課題を
世界で最初に経験しつつある東京が、オリンピックの開催を通して
新しい未来に向けて生まれ変わる契機にしたい。

招致活動がもたらす長期的な利益について、
若者から高齢者まで全ての人々が楽しめるスポーツ社会の創造や
国際的スポーツ交流の推進、先進的な教育プログラムの確立、
スポーツ施設の新設や整備、持続可能な社会、環境問題への意識向上、
東京の積極的な取り組み、都市環境の改善、持続的な都市の発展という
現代的な課題に関する他国との相互研究や情報交換など。

コンセプトについては、東京がオリンピック“パーク”として機能し、
オリンピック・パラリンピック体験が隅々まで行きわたることをベースに、
晴海を建設予定地とするオリンピックスタジアムから半径8km圏内、
有明北地区を建設予定地とする選手村からは20分の範囲内に
ほとんどの競技会場を配置。

従来にはない、コンパクトなオリンピック開催を強調。
競技会場は、1964年の東京オリンピックで使用した競技会場を含む
ヘリテッジ(遺産)ゾーンと、新設会場の多い東京ベイゾーン
ヘリテッジゾーンには、皇居を囲むパレスクラスターと、
1964年のオリンピックスタジアムと競技会場を囲む代々木クラスターがあり、
日本とオリンピック両方の歴史と文化をリアルタイムで感じ取れる。
東京ベイゾーンは、東京湾の埋立地に位置し、
東京が海と調和してきた歴史を示す地域であり、
新しい東京を象徴するゾーンとして、夢の島クラスターと
海の森プリシンクト(プリシンクト=競技専用区域)を設置。
大会後も、持続可能な都市環境モデルになる予定。

ヘリテッジゾーンと東京ベイゾーンが重なり合う部分を、
招致ロゴのコンセプトである“結び”クラスターと命名。
オリンピックスタジアム、国際放送センター(IBC)、
メインプレスセンター(MPC)、選手村といった主要施設を置く。

環境について、東京は環境保護の先駆者として、
大都市が直面する環境問題に取り組み、
世界の大都市と連携し地球規模の環境問題に挑戦。
東京を、水と緑の回廊で包まれた美しいまちにし、
世界で最も環境負荷の少ない都市づくりを実現して、
環境を最優先したオリンピックを開催する。

河野総長は、「IOCに申請ファイルを提出し、いよいよスタートラインに
立ったという印象。現段階では十分に準備ができたと思う。
この申請ファイルをベースに、これからより良い計画にしていきたい」

申請ファイルは審査を経て、6月2~6日にアテネで開かれる
IOC理事会の場で正式立候補都市が決定。

http://www.tokyo2016.or.jp/jp/news/whatsnew/infomation/post_43.html