2008年11月29日土曜日

「体育」を見直す(6)楽しく踊って体力作り

(読売 11月25日)

生徒が親しみやすい音楽で、楽しく体力作りを進める学校がある。

「レッツ・ゴー(いくぞ)」、「ザッツ・グー(いいぞ、その調子だ)」。
ビートの効いた音楽に合わせた英語のかけ声が、矢継ぎ早に、
体育館のスピーカーから流れてきた。
生徒たちは歓声を上げ、スクリーンの映像を見ながら、
キック、パンチ、スクワットと基本動作をこなしていく。

北海道教育大付属釧路中学校3年の体育は、
日本に一大ブームを巻き起こした米国の軍隊式エクササイズ
「ビリーズブートキャンプ」で始まった。10分間の基礎体力作りの時間。

次に、ヒップホップ系の音楽が流れ、6、7人ずつに分かれたダンス。
生徒たちは、1か月半でマスターした基本ステップを組み合わせ、
「こうやると格好良いよ」、「動きが合ってないよ」と、
見栄えのするフォーメーションを話し合っては試す。

「大きく踊るのがコツだぞ」と、生徒に声をかけた佐藤毅主幹教諭(45)は、
ヒップホップダンス入門の市販DVDを購入して、独学で学んだ。
ダンスは元々、苦手だという。

佐藤教諭が、体育に「ビリー」を取り入れたのは昨年4月。
持久力や柔軟性を身に着けながら、筋力強化も図れる。
中学校の新学習指導要領で必修になるダンスの方は、先月から始めた。
話題性のある「ビリー」と、若者に人気のヒップホップ音楽なら、
生徒もなじみやすい。
ダンスも相当な運動量になるが、仲間と一つのものを作る達成感が
厳しさを補ってくれる。

同校の生徒は、7年前から体力低下が目立ち始めた。
4年前の文部科学省の体力・運動能力調査では、
全8種目中7種目が全国平均以下に。
特に男子の1500メートル走など、持久力の落ち込みが激しい。

生徒は市全域から集まる。
7割の生徒が、保護者の車かバスで通学。
2年前の調査で、同校生徒が1日に歩く歩数は、
東京の中学生の半分の6000、7000歩だったという数字も。

「都会の子に比べて歩かない。どうしても運動不足になるようだ」と
室山俊美副校長(50)。
このことへの危機感が、体育を見直す契機に。
「体育科の体力作りといえば、腕立て伏せや腹筋などの『個人競技』。
これでは面白くないし、続かない。
楽しんで体力を高める授業を目指している」と佐藤教諭。

「みんなと工夫して、踊ることの楽しさを強く感じた」(3年男子)、
「1人では苦労するけど、みんなと一緒にやればとても効率がいい」(3年女子)。
授業に対する生徒たちの反応は上々。

卒業後もスポーツで自身の生活改善、健康維持が図れるような生徒を
育てるのも目標の一つ。
「心拍数120~130で最低20分間の運動をすると、
皮下脂肪が初めて燃焼し始める」といった知識を授ける座学の時間も設ける。

「生涯にわたって、運動に親しむ能力を育てる」。
そんな新指導要領の考え方に沿った取り組みが、ひと足先に進められている。

◆ダンスに3類型

中学校の指導要領では、ダンスを
〈1〉動きに変化をつけて即興的に表現する「創作ダンス」、
〈2〉音楽に合わせて特徴的なステップで踊る「フォークダンス」、
〈3〉変化のある動きを組み合わせて、全身で踊る「現代的なリズムのダンス
に分けている。
地域や学校の実態に応じて、その他のダンスを履修させることもできる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081125-OYT8T00217.htm

体験型教育旅行が好調 県内受け入れ前年度比31%増

(岩手日報 11月23日)

小中高生らが、農作物の収穫や農家民泊などを行う
体験型教育旅行の受け入れが増えている。

2007年度は、前年度比31%増で4万人を突破。
受け入れ先の農林漁家も700戸を超え、すそ野が広がってきた。
政府は、本年度から「子ども農山漁村交流プロジェクト」を実施、
全国の受け入れ地域を拡大する方針。

今後は競争激化も予想され、岩手ならではの魅力あるプログラムや
教育的効果が求められる。

県農業振興課によると、本県の07年度の
体験型教育旅行受け入れ数は、4万1019人。
データを取り始めた04年度(1万3317人)から2万7702人増。

昨年度は、全国から405校(前年度比23・9%増)が農家民泊などを実施。
都道府県別でみると、北海道が最も多く148校。
宮城県50校、東京都47校などと続く。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20081123_3

北限のミカンたわわ 大船渡で700個大豊作

(岩手日報 11月26日)

大船渡市大船渡町の佐藤初子さん(79)方の庭先で、
鮮やかに色づいたミカンがたわわに実を付け、家族の目を楽しませている。
県内でも温暖な同市では、庭先などでミカンの木を育てる家もあり、
「北限のミカン」として有名。

佐藤さん方のミカンも約40年前に植え、ほぼ1年置きに豊作と不作を
繰り返しながら、小ぶりの実を付けている。

今年は、約700個の実を付ける大豊作。
間もなく収穫時期を迎える。
酸味が強いため、ジュースにしたり生け花用として知人に配る。
収穫後は、毎年わらで冬囲いをしてミカンを大切に守り育てている佐藤さん。
ひ孫の永遠君(6)と一緒にめでながら、
「いつまでも元気に実を付けてほしい」と願っている。

ユニリーバ・ジャパン、紅茶が集中力を高めることを確認

(日経ヘルス 10月30日)

紅茶ブランド、リプトンを展開するユニリーバ・ジャパンは、
「第4回 リプトン ひらめきIST AWARD」を開催
紅茶に関する新たな研究結果を発表。

紅茶に含まれるL-テアニンが、脳のリラックス及び覚醒効果のほか、
集中力を高める働きがあることを、複数の研究者が明かした。

静岡県立大学栄養科学研究室の横越英彦教授は、
紅茶に含まれるアミノ酸の一種、L-テアニン(以下テアニン)が、
脳内神経伝達物質の一つであるグルタミン酸と類似していることから、
脳神経への生理作用を持つと推測、実験を紹介した。

マウスでは、神経伝達物質の中でも特に各種の行動や情動の制御に関与する
ドーパミンの放出を顕著に増加させることから、
「血圧や記憶学習機能にも好影響を与える」

人でもテアニンを摂取すると、休息時や集中時に発生する脳波・α波が
増加することから、「紅茶が人にリラクゼーションと覚醒を与える効果がある。
月経前症候群のイライラに関しても、改善効果がある」

横越教授らの研究結果をさらに発展させ、人への試験を発表したのは、
同社のリプトン紅茶研究所研究員ソレーヌ・ナビオスさん
実際に人に紅茶を飲用してもらい、テアニンが集中力に与える効果を実験。

紅茶を2~3杯摂取(50mg)すると、集中力を要する各種テストの正解率が上がった。
被験者の自己診断においても、「集中力が増した」との回答が得られた。
ソレーヌさんは、「紅茶がα波に作用し、脳の集中力を改善する働きがある

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20081030/102806/

2008年11月28日金曜日

「体育」を見直す(5)武道必修 手薄な環境

(読売 11月22日)

中学校での武道必修化の狙いと課題は何か。

「着座! 黙想!」
山梨大学付属中学校の格技場に、飯塚誠吾教諭(35)の声が響いた。
柔道着姿の3年生男子19人と女子12人が、正座して目を閉じる。
飯塚教諭の「やめ、礼」の合図で、一同がお辞儀をし、授業が始まった。

同中では、男女とも1、2年で柔道が必修、2年ではダンスも必修。
3年では、秋から柔道かダンスを選ぶ。
柔道を選ぶ女子も、ダンスを選ぶ男子も少なくない。

得意技は大腰という石井瑛里香さん(14)は、
「1、2年の授業で初めて柔道をやってはまった。
試合で一本が決まった時の喜びが何とも言えない。闘志が燃える」と笑顔を見せる。
一方、体育館で行われたダンスの授業では、男子20人、女子28人が
班ごとに分かれ、ポップ、ロック、テクノ音楽などにあわせて、振りを確認。

学習指導要領の改定で、中学生は2012年度から、
1年か2年で武道とダンスを必ず学ぶことに。
器械運動、陸上競技、水泳、球技は以前から必修だが、
現行の指導要領は武道とダンスはどちらかの選択。
以前、男女が別々に学んでいた名残がある。

同中が必修化したのは、16年前。
「大人になって、趣味として楽しめるスポーツを選ばせる時、
経験したことがないスポーツは選びづらい。
学校ではさまざまな種目を経験させ、基礎を固めさせたい」と飯塚教諭。
指導要領改定の狙いも同様。

武道必修化に向けた課題の一つが、指導者養成。
和歌山県教育委員会は、必修化の指導要領が3月に告示されてから初めて、
剣道の実技指導者養成講習会を開いた。
これまで剣道を教えたことのない教師らに、最低限の基礎を教えるため。
10人が講師から剣道の心得を聞いた後、足の運び方や竹刀の使い方、
防具をつける練習をし、1日目の午後には打ち込みを始めた。

県教委は、今年度の講習会を柔剣道で各1回開催するにあたり、
県内の中学校約150校、高校約60校に参加を呼びかけた。
参加者は柔道も25人だけだったが、
県教委健康体育課の坂口雅紀指導主事(39)は、
「今回講習に参加した教師は意欲的で、不案内な武道の習得も早かった」と
安心した様子を見せる。

体育教師は、大学の教職課程で一通りの武道は学んでいる。
現在でも、県内公立中学で男子42%、女子29%に武道の授業を実施。
しかし、必修化までに、礼儀作法、防具の着装から、技の教育、
安全性の確保まで含めた習得が間に合うか。2日程度の講習で十分なのか。
来年度以降の計画は、まだ手探り状態。
剣道の場合、授業に必要な防具や竹刀の数も圧倒的に不足。

武道場の整備状況は、和歌山県内の公立中学校で昨年、14%と全国最低。
柔道の授業をしようとすると、体育館で授業のたびに畳を敷く学校が多数出てしまう。

子供に様々なスポーツを経験させるには、環境の整備が欠かせない。

◆武道場を持つ公立中47%

文部科学省の調査では、2007年5月現在、全国の公立中学校に
武道場(柔道場、剣道場、柔剣道場、弓道場、相撲場、なぎなた場)の
いずれかがあるのは47%。
文科省は09年度予算の概算要求で、公立中学校に武道場整備の補助として
約48億円(215校分の半額)を計上。
13年度には、整備率を70%にするのが目標。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081122-OYT8T00221.htm

大船渡港・新ふ頭24年頃完成へ 臨港道路も同時整備

(東海新報 11月21日)

港湾整備が進む大船渡市の永浜・山口地区で、
水深13メートル岸壁背後に広がるふ頭用地の埋め立て工事が始まった。
県による事業で、埋め立て終了は22年度、
土砂の沈下促進や舗装作業を経た最終的な完成時期は24年度。
今年度は、臨港道路整備に向けた用地補償も進め、同時期の完了を目指す。
工業用地は、部分供用のメドはあるものの、企業誘致との関係も残されている。

4万トン級の大型船舶が接岸できる水深13メートル岸壁は、全長260メートル。
地元負担のない「国直轄事業」として、国土交通省東北地方整備局
釜石港湾事務所が整備を進め、今年度末までに完成。

ふ頭用地はその岸壁に隣接し、港湾荷役に欠かせない場所。
現在は海水が入っている状態で、“陸続き”になっていないが、
県による土取運搬埋立工事が先月末から本格化。
事業費は約1億6000万円、(株)佐賀組が請け負っている。

土砂は、立根町の総合公園予定地からトラックで運搬。
盛町内の国道45号から佐野橋を経由、主要地方道・大船渡綾里三陸線を通って
埋め立て地まで運んでいる。
工事は、3月まで日中の時間帯に行われ、地元住民らへの説明機会も。

ふ頭埋め立て面積は、3・4ヘクタール。
34万立方メートルの土砂が必要で、今年度は約9万立方メートルを予定。
県道側から岸壁側に向かって土砂を投入。
埋め立て作業は、22年度の完了を目指す。
水抜きや沈下を待ち、舗装作業を経た工事完了は24年度ごろ。

県では、約1億5000万円を投入し、港湾から県道に接続する
臨港道路の用地補償を進める。
完了時期は、ふ頭整備と同じ24年度ごろ。

水深13メートル岸壁北側で、県が整備している同7・5メートル岸壁の
今年度予算規模は少なく、ふ頭用地を含めた整備完了には
今後10年程度はかかる見通し。
県は、同じく北側にある船揚場は21年度までに整備し、
漁業者の利便性に応える姿勢も示している。

新ふ頭の整備によって、大船渡港の大型船受け入れ態勢が拡大。
世界的な資源価格高騰が予想される中、大型船による効率的な運搬を
求める声は地元内外の企業・事業所から強まっている。

岸壁とふ頭用地の背後に整備される工業用地は、面積11・7ヘクタール。
弁天山に近い南側の約5・2ヘクタールについては、
盛り土が行われ造成にメドがつき、縦貫道整備によって出た土砂を
受け入れて安定化を促している段階。

赤崎中に近い北側約6・5ヘクタールは、浚渫ヘドロもあるため、
地盤が安定していない状態。

県大船渡地方振興局土木部の小野寺徳雄部長は、
工業用地全体の完成について、「造成した土地への企業進出をみながら判断。
具体的交渉には至っていないが、市に対し税の優遇措置照会は来ていると聞く。
新ふ頭にも大型船舶が入れる状況を整え、港湾活性化を図りたい」

ふ頭と臨港道路の完了目標年度が明らかになることで、
岸壁、工業用地ともに活用の見通しが広がってくる。
さらなる工業用地整備には、企業進出と予算措置が連動する形になっているため、
今後は県や市、地元産業界が一丸となった戦略的な企業誘致も求められている。

http://www.tohkaishimpo.com/

本県の人材育成に貢献 昨年施行の企業立地法

(岩手日報 11月24日)

昨年6月施行の企業立地促進法に基づく産業集積戦略が、
全国的に展開されている。
本県では、6地域が基本計画をつくり産業力を強化。
特に、ものづくり人材育成に貢献。

世界経済低迷で沈滞ムードの産業界だが、本県関係者は、
「付加価値の高い研究開発・技術者などの人材育成は、
将来的な企業立地、産業集積の大きな力になる」と将来に備える。

同法は、自治体や経済団体などで構成する組織が、
誘致目標を掲げた基本計画を策定。
国の同意後、都道府県が企業の立地計画を認めれば、
進出企業は設備投資減税などの対象。

本県では、6地域が計画を策定し、それぞれ集積業種を重点化。
北上川流域が自動車や半導体など、盛岡広域は組込みソフトと情報技術(IT)関連
気仙は食品、木材、港湾関連釜石・大槌は産業用機械・金属、食品関連
宮古・下閉伊がコネクター、自動車、木材関連
県北が食、港湾関連輸送機器、電子部品関連と設定。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20081124_3

みんなのスポーツ「チャレンジデー」日本に上陸

(sfen.jp 08.11.19)

「チャレンジデー」は、1983年(昭和50年)に
住民総参加型スポーツイベントとしてカナダで誕生。
日本では、1993年(平成5年)からSSF笹川スポーツ財団の
コーディネーターにより普及・活動が始まりました。

このスポーツイベントを簡単に紹介すると、
『毎年5月の最終水曜日に、人口規模がほぼ同じ市区町村・地域間で、
午前0時から午後9時までの間に15分間以上継続して運動やスポーツ等の
身体活動を行った住民の参加率を競い合い、
敗れた場合は対戦相手の自治体(地域)の旗を、
庁舎のメインポールに1週間掲揚する』というもの。
このイベントは、真剣に取り組めば取り組むほど、
スポーツを通じて地域住民に夢や希望、感謝を与え、
地域環境づくりや健康づくりに貢献するイベントに成長。

地域住民がひとつの目標に向かい、一丸となってスポーツ活動を通じて
地域づくりを行うというイベントは、スポーツ・文化活動などで
企画・運営されることはあっても、各自治体・団体単位と規模は小さく、
一部の関係者や団体に片寄りがちの傾向に。

しかし、「チャレンジデー」の規模は世界・全国規模であり、
世界で一斎開催であるため、夢がふくらむイベント。
地域住民が同じ目標に向かい、特別な技術や体力などにこだわることなく、
多世代の老若男女、誰もが気軽に参加できる活動。
競技感覚で、「競う」というよりも「楽しさ」を主とし、
「出会いと交流の場」としての要素を含めたうえで参加率を競うという
ユニークな企画で実施され、実際に体験してみると実に新鮮なスポーツイベント。

「チャレンジデー」は、海外で人気があり、取り組みやすい事業のように
思われますが、実はお祭り好きの日本人の性格にはピッタリなイベント。

「チャレンジデー」を実際に企画・運営して強く感じるのは、
各自治体、職場、団体の組織力はまちがいなく強化され、
さらに連帯感が深まる。
昨今多様化、複雑化する現代社会において最も必要とされる要素で、
地域コミュ二テイづくりには計り知れない効果が生まれるのでは。

対戦相手の自治体とは、お互いのまちの情報交換が頻繁に行われ、
特産物の交換や関係団体間の交流が生まれる。
最近対戦した沖縄県と秋田県の自治体間では、
中学生の修学旅行の企画が行われるなど、友好的に発展した例が数多くみられ、
自治体間や地域間のPR、交流のきっかけに。

21世紀生涯スポーツの中核的事業として展開されている
「総合型地域スポーツクラブ」設立に向けて、
地域住民のスポーツに対する関心度を高め、理解を深めるきっかけづくりにも。

参加していない自治体に対して、チャレンジデーの説明をすると、
事業効果が「まちづくり」等に大きく貢献することは、
検討の段階では認めるものの、いざ本格的な取り組みの段階になると、
諸般の事情により実現できなくなる自治体・地域が見受けられる。

最たる理由のひとつは、一部関係者がチャレンジデーのスケールの大きさに
飲み込まれて、「挑戦しない(やらない)理由」を探し、前に進まないこと。
何事にも言えますが、「できるか出来ないではなく、やるかやらないか
視点をどこに置くかが、大きく将来的を左右するのではないか。

「チャレンジデー」は、真剣に取り組めば取り組むほどすばらしさが実感でき、
見る夢より実る夢が実現できるイベントである。

平成20年度は、「インターナショナルチャレンジデー」に
20ヵ国45自治体・地域が参加。日本からも3自治体から参加。
国内では、109ヵ所(23市28町6村52地域)が参加し、
総参加者数1,212,450人(19年度:871,816人)と年々参加人数も増えている。

今年度実施していない12都府県へのアプローチなどの課題もあるが、
「チャレンジデー」は生涯スポーツ社会実現のためのイベントに成長し、
市民参加型のスポーツイベントの旗手として、今後一層の期待が高まる。

◆田中忠夫氏

財団法人秋田県体育協会、総合型地域スポーツクラブ育成担当、
財団法人日本体育協会、クラブ育成アドバイザー、SSF笹川スポーツ財団、
チャレンジデー普及推進員

http://sfen.jp/opinion/citizen/03.html

協賛金集まらずスキー世界選手権ピンチ 福島で来年開催

(朝日 2008年11月25日)

来年3月2日開幕の国際スキー連盟(FIS)フリースタイルスキー
世界選手権大会で、予算上は2億6243万円集める必要がある協賛金などが、
数千万円しか集まっていないことが分かった。

大会組織委員会は、中小企業1600社に1口1万円の小口協賛を求めるなどの
対策を打つ方針だが、大手企業の経営担当者からは
「景気が良い時ですら、主催者が億単位のカネを集めるのは厳しい」との声も。

世界選手権大会の予算は、福島県や猪苗代町などからの
補助金計1億6250万円や、入場券などによる雑収入5500万円など、
計5億1282万円を予定
そのほぼ半分を占めるのが、企業から募る協賛金。

だが世界的な景気悪化で、協賛金を出す側の企業心理は悪化。
ある大手企業の経営担当者は、「1億円でも、100万円を100社から
集める必要がある。景気悪化で、右から左に100万円はなかなか出せない」

関係者によると、現在、協賛金を得られる見通しの企業は数社。
県の担当者も、「景気悪化は想定外。本当に厳しい」と頭を抱える。

事前大会となるワールドカップ(W杯)猪苗代大会が開かれた
昨年度の予算は、2億5331万円
協賛金は9830万円を見込んでいたが、実際に集まったのは2100万円。
大会運営費を約4200万円も節約するなど、
経費削減で約3700万円の黒字を出した。

しかし、世界選手権大会は経費削減だけで乗り切るのは難しく、
「大会の規模が違うので、切り詰めるのは限界がある」と県の担当者は話す。
大会組織委員会は、1口3千円で一般市民の「大会応援隊」を募るなど、
広く支援を求める態勢づくりも進めている。

内堀雅雄副知事は、「大会は必ず成功させる。
これを失敗させたら、県の存在感はなくなる」と危機感を募らせている。

http://www.asahi.com/sports/spo/TKY200811220271.html

2008年11月27日木曜日

「体育」を見直す(4)フォーム撮影 すぐ確認

(読売 11月21日)

コツを教える教師の創意工夫を、映像ソフトの進化が支える。

そろいのジャージー姿の女子生徒たちが、くすくすと笑い声を漏らしながら、
興味深そうにパソコン画面をのぞき込む。
盛岡市立下小路中学校の体育館で、3年生の授業。
10月から週3回、12回続けてきたマット運動は、この日が最後。
生徒たちが見ているのは、次々と登場する自分たちの姿。
マットの上で逆立ちをして背中から倒れ、
くるっとでんぐり返しをする「倒立前転」の映像。

「腕や足、『6時10分』はどうなっているかな、よく見てね」。
岡田幸一教諭(39)は、各生徒の“食いつき”を確認するように声をかける。
「6時10分」は、倒立から次の動作に移る前の体のフォームを、
時計の針の位置で示している。
ちなみに、倒立を始める最初の動作は「グリコのポーズ」と呼ばれ、
体育の教師の間でよく使われる。
両手を上に伸ばし、片方の足をひざから曲げる姿を、
菓子のキャラクターからとっている。

岡田教諭は、運動に意欲的な子とそうでない子の二極化を心配してきた。
できない子は、できる子の身体感覚を容易には理解できず、どんどん差が開く。
特に、地味で、失敗した時の格好悪さが目立つマット運動は、
苦手な子に人気がない。
「限られた50分間の授業で、できない子に、
頭でできるコツをわかってもらうのが近道」だと、
視覚に訴える掲示物や人形、ビデオなどを使って説明してきた。

そんな岡田教諭の工夫を支える最新装置が、映像ソフトの「スポーツミラー」。
同中に赴任した今年から取り入れた。

撮影した映像を、巻き戻しなしですぐ見られるだけでなく、分解写真にもでき、
自分の体のフォームを確認するのに便利。
この日も、個々の生徒の分解写真を一人ひとりに配った。
近くの子と見比べながら「まじキレイやねー」、「猿みたい」、「どれどれ」と大騒ぎ。

「足の伸びや、足を上げる時の勢いなど、
ここを直せば次にやれるってわかる気がする」と生徒の一人、千葉花穂さん(15)。
このクラスでは、千葉さんを含め、16人中3人は全く倒立ができなかったが、
生徒同士の支え合いもあって、全員ができるように。

「生徒が『自分はできない』と思い込んでいても、教師は評価していたり、
逆に生徒が『演技は完璧』と自信満々でも、教師から見ると問題点が多かったりと、
演技の評価が分かれることがよくある。
このソフトで、画像をすぐ確認するとそうした食い違いがなく、
生徒にも理解しやすく、コツを覚えやすい」
ソフトの開発に協力した小沢治夫・東海大体育学部教授(59)が力説。

生徒が自分の動きを客観的にとらえることができる映像が、
「次」への自信につながる。

◆スポーツミラー

マット運動、体操、跳び箱、柔道、ゴルフなどのスポーツで、
連続した動きを場面ごとにチェックできるソフト。
開発したのは、筑波大生が起業した株式会社ニューフォレスター(つくば市)。
2005年11月の発売開始以降、小中高校を中心に約400本売れている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081121-OYT8T00373.htm

スペシャルオリンピックス:派遣費の寄付呼びかけ

(毎日 11月26日)

知的障害や発達障害のある人たちが日ごろのスポーツの成果を競う、
第9回スペシャルオリンピックス冬季世界大会が
来年2月7~13日、米国アイダホ州で開かれる。

NPO法人・スペシャルオリンピックス日本の有森裕子理事長が、
選手団の派遣をまかなう寄付を呼びかけている。

スペシャルオリンピックスは、知的障害や発達障害のある人たちが
スポーツを通じて社会参加や生きがいを目指す運動。
1962年、ケネディ米大統領の妹が、知的障害のある姉のために始めた。
以来、世界各地で開かれている。

有森さんは、「スポーツの感動はみな同じ」と、
6年前から競技大会でサポーターを務めてきたが、
今年4月、理事長に就任。

来年の冬季大会には、61人の選手と26人の役員・コーチを派遣。
スポンサー探しに奔走する有森さんは、
「選手たちはスポーツで見違えるように変わる」と協力を訴えている。

カレンダーやマグネットの購入のほか、パソコンのクリック募金などで寄付できる。
事務局(03・3501・4680)、ホームページ(http://www.son.or.jp

http://mainichi.jp/life/health/fukushi/news/20081126ddm013100177000c.html

「北京と張り合う必要はない」 ロンドン五輪にIOC会長

(朝日 2008年11月26日)

国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は、
2012年夏季五輪の舞台となるロンドンで講演し、
「ロンドンはロンドンであればいい。
五輪はそれぞれが異なり、一番や最高は存在しない」と述べ、
国家的な大事業だった北京五輪と張り合う必要はないと強調。

講演は、この日から本格的に始まった五輪引き継ぎ会議に際して開かれ、
同会長は、「閉会式で五輪旗を渡された次回開催都市は、
五輪史に新たなページを書き始めるが、
同時に将来の五輪がさらに発展するための遺産を残すことが求められる」と説明。

27日まで開かれる会議には、北京五輪組織委員会から約80人が参加。
輸送、宿泊、アクレディテーション(資格認定)などのテーマごとに、
大会開催で得た知識や経験を伝達する。

16年夏季五輪の招致を目指す東京、シカゴ、マドリード、リオデジャネイロの
関係者もオブザーバーとして参加しており、
東京の河野一郎・招致委員会事務総長は、
「細部にわたる実質的なやりとりがあり非常に役に立つ。
(来年2月に提出する)開催計画書に反映させたい」

http://www.asahi.com/sports/spo/KYD200811260008.html

プロ棋士の直感、脳中心に源? 理研などのチーム

(朝日 2008年11月22日)

将棋のプロの脳活動の解明を目指している理化学研究所などの研究で、
詰将棋を瞬間的に「判断」するとき、
脳の真ん中部分に活発化する領域があることがわかった。

「判断」の手前の、盤面を「認識」する、という実験では
後頭部が活発になることがわかっており、
脳にプロ独特の「直観回路」ができているのではないかという。

日本将棋連盟や富士通と進めている研究で、
活発化した脳の一部が大きくなるという仮説「脳ダコ」がわかるかも知れないと期待。

理研脳科学総合研究センターは、
プロ棋士が見れば、瞬間的に解けるような詰将棋を用意。
盤面を1秒間見せて、それを解くときの脳の働きを
機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)装置で調べた。
すると、大脳の真ん中にある基底核という部分が活発化。
駒を並べた盤面で「金」がどこにあるのかを探すような、
単純な問題では活発になっていなかった。

この部分は、自宅から駅まで道順を意識せずに歩くとき、
曲がる角を判断するような場合に活発になる領域。
棋士は、詰将棋の判断が日常のレベルになっているようだ。

同センターの山口陽子チームリーダーは、
「いろんな実験で、プロとアマの差が非常に明確にでている。
直観思考を解明する道筋が見えてきた」

2008年11月26日水曜日

「体育」を見直す(3)休まず動き体力アップ

(読売 11月20日)

体を動かすことを最大限、心がける授業がある。

授業開始を告げるチャイムが鳴る前に、29人の児童全員が縄跳びを始めた。
愛知県知多市立旭南小学校の体育館。5時限目の4年生の授業。

次はかけ声とともに走り、軽快な音楽に乗ってスキップ。
体を反らせてブリッジ。ここまで約8分。
「サーキット」と呼ばれる準備運動の中身は、同小オリジナル。
児童は動きっぱなしで、1分あたりの心拍数が120回まで上がる。
始業のチャイムが鳴った時には、児童は汗だくだった。

担任の中野香菜教諭(24)が、「はい、マットを出して」と言って笛を吹くと、
児童は一斉に駆けだし、6グループに分かれて30秒とたたないうちにマットが敷かれた。
事前に説明を受けており、前転や側転の練習も、指示がないまま始まる。
体育館の壁には、それぞれの運動の方法を示した紙も張ってあり、児童が参考に。

45分の授業で、児童が中野教諭の周りに集まったのは、
始業から20分後と最後の2回だけだった。
どうしたら児童が立ち止まらないかを、第一に考えている」と中野教諭。

子供たちが動き回る体育の立役者は、知多市教委の鰐部忠夫指導員(61)。
同市立新知小学校で校長を務めていた5年前、
「体育の授業で、体を動かす時間が短すぎる。これでは体力づくりができない」
体育座りをして教師の指示を聞き、技のお手本を見る時間が長い。
調べてみると、授業1コマの間に、一人ひとりが動いているのは5~10分だけ。

鰐部さんは教師たちに、話す時間を減らすよう指示。
ストップウオッチで動いた時間を測定させるようにし、歩数計も導入。
グラウンドを使う種目だと、ジャングルジムや鉄棒、ハードルを使って
準備運動代わりにした。
こうした取り組みで、3年目の2005年度には、
学年別・男女別の体力測定結果96項目のうち、全国平均を上回る項目が69に。

06年度からは、市内の全小学校10校で「体育での動く時間増加」運動が広がり、
教師の間で「運動量の確保」が合言葉となった。
児童が動く時間は、45分の授業時間のうち25分に。

市全体でも、効果は数字に表れた。
学年別・男女別に50メートル走や立ち幅跳び、反復横跳びなど
60項目の成績をみると、愛知県平均を上回った項目が、
04年の28項目から07年には53項目に増えた。

「動き回ることが、体力増加につながったのは間違いない」と
知多市の授業に助言してきた中京女子大の時安和行准教授(体育学)が太鼓判。
「ただ、体力に重点が置かれると、技能の習得がおろそかになりがちだ。
技やフォームを子供同士で互いに指摘し合うといった工夫が必要に」

基礎となる体力がついたからこそ、その先の目標が見えてきたようだ。

◆子供の体力

文部科学省の体力・運動能力調査で、1985年度が小中高校生の体力のピーク。
その後低下したが、この10年間、中高生で若干の回復傾向に。
13歳男子の50メートル走は、85年度が7秒90、98年度が8秒00、
2007年度が7秒94。
文科省では、「練習すれば上がるものは上がってきているが、
ピーク時とは大きな隔たりがある」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081120-OYT8T00233.htm

スポーツ21世紀:新しい波/284 武道の必修化/2

(毎日 11月22日)

東京体育館の会議室に、「スポーツ9条の会」のメンバーが集まった。
この日の学習会のテーマは、「中学校体育の武道必修化について考える」。
議論は3時間近くに及んだ。

憲法改正に反対する護憲派知識人が組織した「九条の会」に連動し、
スポーツを通じた平和運動を推進しようと、
大学教授や元選手らが4年前に設立したのが「スポーツ9条の会」。

参加者に配布された資料には、昨年2月に日本武道協議会が
安倍晋三首相(当時)に提出した「嘆願書」があった。
武道関係10団体が加盟する協議会の会長名は、塩川正十郎・元衆院議員(同)。
中学、高校の武道必修化を求める内容。

「倫理道徳の退廃が著しく、自他の尊厳や義務感の欠如等、
人として歩むべき『道』の規範意識低下は、民族の存立基軸すら危うくしつつある」、
「武道は、国民精神の根源、武士道精神の神髄を基調に、人間陶冶、
世界平和を希求し、日本人としての自覚と使命感に立つ有為の人材を育成する道」

戦前の旧制中学校では、1931年に武道が必修化され、
戦時中の国民学校でも「体錬科武道」が必修科目。
当時の資料には、教育関係者が「日本人に日本人としての魂を植え付ける」と
語った記述もある。
武道が、民族意識の高揚や「忠君愛国」の精神と結びつけられた
過去は否定できない。

体育史を研究する武蔵野美術大の青沼裕之教授は、
「戦前、武道の必修化は他のスポーツにも影響を与え、
たとえば野球も武道的に扱われた。
それが国家統制につながり、戦争に突入していった歴史は
重大視しなければならない」

スポーツ9条の会が、武道必修化にすべて反対しているわけではない。
若者の価値観が、多様化する現代で武道の教育効果に期待する声も強い。
思いやりの心や相手を敬う精神。参加者からこんな声が飛んだ。

「武道を利用しようとする政治的意図と、文化としての武道との間には
ギャップがあるのではないか」。
その溝をどう埋めるか?
武道教育の大きな課題だ。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

16年五輪招致:自民の調査会、国会決議の採択働きかけへ

(毎日 11月26日)

自民党のスポーツ立国調査会が、東京・永田町の党本部で開かれ、
東京都が立候補している2016年の五輪招致に向け、
国会決議の採択を働きかけていくことを決めた。

首相就任に伴って退任した麻生太郎会長の後任を、
保利耕輔・党政調会長とすることを了承。

五輪招致に向けては、共産、社民両党を除く超党派の
「2016オリンピック日本招致推進議員連盟」設立を各党と調整中で、
会長には森喜朗元首相が内定済み。
12月中にも発足させ、衆参両院で五輪招致を決議し、
これを来年2月に国際オリンピック委員会(IOC)に提出する
立候補ファイルにも明記。

調査会の遠藤利明事務局長は、
「(五輪開催に対し)政府保証が得られることを前提に国会で決議したい」

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20081127k0000m050017000c.html

ホッケーの町を研究 岩手町で慶大大学院生ら

(岩手日報 11月25日)

岩手町一方井地区で、慶応大大学院生ら3人がスポーツ振興について研究。
Jリーグなどプロや企業が参画せずに地域に競技が根付いた「成功例」として、
同町の「ホッケーの町」づくりの源流を探る。

児童から60歳以上まで、一緒のグラウンドで汗を流す様子に、
「うらやましい環境」と評価を高めている。

研究しているのは、慶応大大学院政策・メディア研究科博士課程の
松橋崇史さん(26)と同修士課程の植野準太さん(25)、
同大3年の伊藤彩香さん(21)の3人。

23日は、同地区恒例のスティック納めを取材。
1年の締めくくりとして世代を問わず試合する行事で、
一方井小や一方井中の児童生徒と父母、地区民ら約100人が参加。

3人も、飛び入りで試合に出場。
試合後の会食で地域の結束を実感し、同町のホッケーの草創期を知る
60歳代や中学生から座談会形式で、競技に対する思いを聞き取った。

3人は、人口規模が少ない地域でのスポーツ振興の現状を研究しようと情報収集。
岩手町の話題を各方面で聞いて興味を持ち、県内の第一人者の
西田範次・富士大教授から一方井地区を紹介。

10月、町民ホッケー大会小・中学生の部を視察。
植野さんは、大会の盛り上がりに驚き、1週間後の一般の部も
深夜バスで駆け付けるほどのめり込んだ。
今後、それぞれの論文などで成果を発表する。

松橋さんは、「子どもから大人まで、元全日本選手も交じって触れ合う様子に驚いた。
うらやましい環境だ」、伊藤さんは「ここまで熱心とは思わなかった」と評価。

同地区で、スポーツ少年団を指導する町ホッケー協会の田村政雄会長は、
「関心を持ってもらいうれしい。
慶応大の合宿を誘致するなど、さらなる交流につなげたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20081125_11

肺がん:マウスのがん消失 酵素働き抑制、新薬期待--自治医大など

(毎日 11月25日)

肺がん遺伝子が作る酵素の働きを抑える化合物で、
マウスの肺がんを消失させることに、自治医科大などの研究チームが成功。
肺がんの新たな治療薬として期待。
米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載。

昨年、肺がん患者から、がん化にかかわる遺伝子「EML4-ALK」を発見
肺がん患者の約5%が、この遺伝子を持っていることが分かっている。
この遺伝子が肺がんを起こすことを確かめるため、
肺だけで遺伝子が働くようにしたマウスを作ったところ、
生後1~2週間で両肺にがんができた。

この遺伝子が作る酵素の働きを阻害する化合物を作り、
肺がんマウス10匹に1日1回経口投与。
投与開始から25日ですべてのマウスのがんが消失。
投与しなかった肺がんマウス10匹は、がんが両肺に広がり、
9匹が1カ月以内に死んだ。

肺がんの治療薬としては「イレッサ」があるが、
副作用がある上、効く患者が限られる。
この化合物は別のタイプの肺がんへの効果が期待できるといい、
既に複数の製薬会社が治療薬開発に着手。
間野博行・自治医科大教授は、「副作用はみられない」。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/11/25/20081125dde041040039000c.html

2008年11月25日火曜日

「体育」を見直す(2)実技サポーターが手本

(読売 11月19日)

実技が得意な体育の補助役を、全小学校に派遣する自治体がある。

「今日は江原先生がいるから、チャンスですよ」
さいたま市立与野南小学校の校庭の鉄棒の前で、
教師歴10年の伊藤希教諭が3年生に語りかけた。
紹介された江原俊さん(22)は、埼玉大学教育学部の4年生。
昨年度から、さいたま市の「小学校体育授業サポーター」として週に1度、
同小で体育の授業の補助。

江原さんは、逆上がりの練習を始めた子供たちに、
「もっとおなかを鉄棒にくっつけて」、「おへそを見て」と声をかける。
寄り添って児童のひざや腰を下から支えもする。

伊藤教諭に促されて、足かけ前回りを2回、3回と連続して披露。
その姿に、驚きのまなざしを送る児童たちのそばで、
伊藤教諭が「江原先生の腕、伸びてますね」と解説。

江原さんに逆上がりを手伝ってもらった児童は、
「もうちょっとでできそうになって、うれしかった」と笑顔を見せる。
江原さんも、「子供たちが笑顔で運動しているとうれしくなる」と楽しそう。

さいたま市が、「体育サポーター」を導入したのは昨年度から。
101の市立小全校に、ボランティアの大学生や、派遣会社を通して採用した
体育系大学出身者などを週1~2度派遣。
昨年6月から10校で試行し、9月からは全校に派遣。
今年度予算は約4600万円を計上。

市教育委員会の藤田昌一主任指導主事は、
「よい手本を見せてくれる、はつらつとした体育の先生に教わることで、
子供たちは運動にあこがれを持って意欲的に取り組んでくれるはず」と期待。

サポーターをどう活用するかは学校に任せているため、
必ずしも「体育が苦手だから」、「年配だから」という理由で
サポーターが入るわけではないようだ。
全校導入の背景には、小学校教員の高齢化がある。
さいたま市の教師の年齢構成は2007年度で、50代が4割、40代以上で6割超、
20代は2割にすぎない。

「ベテランの先生は授業は上手だが、自分で見本を見せるのが難しくなってくる。
子供の補助がつらいという声も聞こえる。
サポーターに目の前で実技をやってもらうと、子供の意欲も違ってくる」と藤田さん。

教師がけがで跳び箱の見本を見せられないというような場合も。
20年前に足のじん帯を痛めた別の小学校の女性教諭(55)は、
「子供が技のイメージを持つには、ビデオで見せるよりも
実際に目の前で見せる方がわかりやすい。
サポーターに演技をしてもらいながら、ポイントを説明することもできる」と利点を強調。

市教委には、休み時間にもサポーターに教わりに来る児童がいるなど、
子供が意欲を喚起されているという報告も。
いずれは、体力向上という数字になって表れるだろう。

◆50代が倍増

文部科学省の学校教員統計調査(3年ごとに実施)によると、
全国の国公私立小学校教員のうち、50代は2007年度で34.2%。
1998年度の18.3%から2倍近く増。
公立小の都道府県別では、50代の割合が最多なのは奈良県の47.8%。
和歌山県(47.5%)、埼玉県(46.8%)は3番目に多い。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081119-OYT8T00182.htm

インタビュー・環境戦略を語る:野村ホールディングス・渡辺真一郎常務

(毎日 11月24日)

証券最大手の野村証券を傘下に持つ野村ホールディングス(HD)は、
環境関連企業への自己資金投資や、環境に役立つ技術を持つ
企業の上場支援などに力を入れている。
証券業界が、環境をキーワードに企業や投資家との結び付きを強める中、
金融の枠組みを使い、どのように環境問題の解決を目指していくのか。
渡辺真一郎常務に聞いた。

-環境関連企業とのかかわりを教えてください。

本業の金融業を生かして環境に貢献できないか、を考えている。
04年ごろから、環境関連企業の資金調達や上場支援に力を入れ、
地球環境関連企業は、00年~今年4月、東京証券取引所などに11社が新規上場。
汚染土壌調査や浄化処理までを行うダイセキ環境ソリューションなど
3社の主幹事を、野村証券が務めた。

-環境関連投資はブームで終わるとの指摘も。

◆(野村HDの)100%子会社、野村リサーチ・アンド・アドバイザリー(NR&A)が、
成長性がある企業を発掘し、環境関連企業は高い技術を持つ企業が多く、
ブームでは終わらない。
NR&Aでは、創業から早い時期で資本を入れるなどの支援を行い、
環境関連企業12社に対して、計約11億円を出資。

-海外企業にも出資している。

◆インドの太陽電池メーカーのモーザー・ベア・ソーラー社に約30億円を出資。
資金は、太陽電池製造能力の増強に活用。
経済成長が著しいアジアでは、公害や産業廃棄物などの問題が起き、
解決するには金融面での支援も重要。
ウイン・ウイン(共に勝者となる)の関係になることも大事。

-社内の環境対策は?

◆書類のペーパーレス化を進めている。
野村証券には約430万口座があり、投資家に送付する取引残高報告書(A4判)
の年間使用量は4800万枚。
用紙のレイアウトを変えるなどの工夫で、紙使用量を25%削減、1200万枚減。
紙を積み上げると、東京タワー四つ分の高さになる量。
電子メールでの目論見書の交付を始め、約21万口座のお客様の了解を得られ、
紙削減に。今後も電子メールでの交付を増やす。

-社内運動も行っている。

◆社内で出たペットボトルのキャップをリサイクル業者に売却した代金を、
途上国の子供のワクチン購入費に充てる「エコキャップ運動」。
07年度末で、グループでワクチン301個相当を提供。
地道な活動ですが、今後も広げたい。
==============
◇わたなべ・しんいちろう

九州大経済学部卒。82年野村証券入社。
04年4月に野村証券執行役、07年4月に取締役に就き、
08年10月から野村ホールディングス常務。大分県出身。49歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/11/24/20081124ddm008020030000c.html

特集:広がるMOTTAINAI 64企業がブランド活動に参加

(毎日 11月22日)

横浜、宇都宮、富士山ろく、フランス・ストラスブール--
MOTTAINAIは、子どもから大人まで、多くの企業の応援で国内外に広がった。
MOTTAINAIブランドで環境問題に取り組む企業は、64社に上る。

ノーベル平和賞受賞者でキャンペーン名誉会長、ワンガリ・マータイさんは、
米国のバラク・オバマ次期大統領一家と2年前に植樹した
ケニア・ナイロビのウフル公園で新たな木を植え、
プレートに歴史的な瞬間を刻んだ。

「もったいない」の心を世界に発信する
「第2回もったいない全国大会inうつのみや」が宇都宮市で開催。
ワンガリ・マータイさんが出席、約2100人の聴衆が熱心に耳を傾けた。

マータイさんは、第4回アフリカ開発会議などに合わせて来日。
宇都宮市立中央小(高田実校長、203人)で、ハナモモの木を記念植樹。
マータイさんは、「一人一人、『もったいない』のために何ができるか考えてください」
とあいさつ、来場者から拍手を浴びた。

全国大会で、マータイさんは地球温暖化の危機的な現状に触れ、
「炭素を吸い、酸素を吐き出す森は地球の肺だ。森林を守ることが極めて重要」、
MOTTAINAI運動を世界に広げるよう訴えた。
パネルディスカッションではマータイさんのほか、小池百合子元環境相らが
環境保護をテーマに議論を展開。
「この素晴らしい『MOTTAINAI』を、この大会から全国へ、世界へ広げていく」
との宣言文が読み上げられた。

マータイさんは今月6日、オバマ次期米大統領の勝利を祝い、
英高級紙「ガーディアン」に寄稿(http://www.guardian.co.uk/)。
マータイさんは、「米国は真に克服した。世界はこの潮流に加わりつつある」と題し、
ケニア国民が同国にルーツを持つオバマ氏の勝利を祝っている。

寄稿文の書き出しは、
「今朝、私はナイロビのウフル公園に植樹に行くつもりです。
記念プレートには、『バラク・オバマ氏が米国大統領に選ばれた日を記念して
この木は植えられました』と刻まれています。
この木に並んで、オバマ氏が一昨年ケニアを訪問した際に植えた木が
すくすくと育っています。
この木の成長は、米国と世界にとってすばらしいこの歴史的な瞬間の証しとなる」

マータイさんは06年8月、ケニアを妻子とともに訪問したオバマ氏を招いて、
ナイロビ近郊のウフル公園で記念植樹を開催、
オバマ氏と妻ミシェルさんとともに木を植えている。
アフリカの大地に植えられた木の成長を、オバマ氏の飛躍に重ね合わせ、
歴史のダイナミズムを表現。

「ケニア中が、この国の息子が米国大統領になったことを祝福。
多くの国民は夜を明かしました。
この日が国民の休日になったことも、オバマ氏と深くつながっているという
心情によるものでしょう」とし、
オバマ氏の勝利を喜ぶケニア国内の様子を伝えた。

「もし、私がオバマ氏に個人的に望めることが一つだけあるとするならば、
それは環境問題に取り組んでほしい。
オバマ氏がアフリカ諸国に森林を守り、気候変動に適応するように働きかけてほしい。
ポスト京都議定書の枠組みでも、森林は重要な解決手段の一つ、
米国がこの取り組みを支持することを期待」。

「MOTTAINAI(もったいない)フリーマーケット2008」が、
パシフィコ横浜で開かれ、家族連れなど約6万3000人が来場。
一般市民のほか、フリマ愛好家や雑貨商など計320店が出店。

一般向けのフリーマーケットに加え、出店者も客も小学生以下という
「キッズフリーマーケット」も開催。
「ポケットモンスター」や「ムシキング」などのキャラクターを描いた
トレーディングカードやアクセサリーを売り買いする子どもで熱気に包まれた。

キッズフリマは、リサイクル精神や金銭感覚を養ってもらおうと昨年開始。
横浜市教委をはじめ、東京都の文京区や品川区の教委と協力し、月1回開催。

MOTTAINAIフリマは、おおむね毎週末開催。
出店料のうち、7円(苗木1本分)と「MOTTAINAIステーション」で回収した古着や
DVDの販売利益が、マータイさんの植林活動「グリーンベルト運動」に寄付。
今回は古着2600キロ、古本やビデオ274点、天ぷら油10リットルを回収。

フランス・ストラスブール市と群馬県板倉町の小学生をインターネットで結び、
暮らしの中の「MOTTAINAI」について話し合う第2回テレビ討論会が開かれた。
両国の子どもたちが、「環境保全、交通、観光とまち」をキーワードに、
お互いの国の習慣や取り組みを紹介し、社会に向けた提言をまとめた。

東洋大の地域活性化研究所(板倉町)の呼びかけに、
町立東小とストラスブール市立サンジャン小が応じて実現。
両校の5年生がウェブカメラを使いながら意見交換した。

今回は、1日目の小学生による議論を受け、
2日目には東洋大生と専門家を招き具体的に議論を深めた。

MOTTAINAIキャンペーンに協賛する企業が、自ら環境保全に取り組むイベント
「第3回企業対抗ゴミ拾い大会」が、富士山ろく・青木ケ原樹海で行われ、
29社240人が汗を流した。

アルピニストでNPO富士山クラブ「もりの学校」校長、野口健さんが指導、
東京・新宿からバスを運行し、現地で約2時間の清掃活動を行った。

企業対抗は、キャンペーン事務局と「MOTTAINAI」のブランドビジネスを手がける
パートナー、伊藤忠商事がライセンシー企業に呼びかけ、一昨年から始まった。
ライセンシー・協賛企業は64社、この1年で26社増えた。

業種も多岐にわたり、肥料、陶器、繊維、文具、学生服、エコバッグ、風呂敷、
マイ箸、銀行、クレジットカード、ポータルサイト、スーパーマーケットなどさまざま。
NHKみんなのうたで、「MOTTAINAI」を歌った人気タレント、ルー大柴さんも
特別参加し、独特のトークで参加者をなごませた。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/11/22/20081122ddm010040132000c.html

医師定着へ歴史や文化に興味を 福島県立医大、来年度から福島学を必修科目に

(毎日新聞社 2008年11月20日)

県立医大は、福島の歴史や文化を学ぶ「福島学」(仮称)を、
医学部の必修科目として来年度から開設することを決めた。
県外からの入学者が6割を占める中、福島への理解を深め、
県内への医師定着を図る狙い。
同大は、「まずは福島に興味を抱き、1人でも多くの医師に福島に残ってほしい」

福島学は、一般教養に当たる「総合教育科目」とし、医学部1年生の必修とする。
来年度の後期日程から導入し、週1回15コマの講義を予定。
福島の歴史文化、産業、観光などの分野で活躍する学外の講師を複数招いていく。

「会津の赤べこや土湯こけしなどの伝統工芸師や、二本松のちょうちん祭り、
須賀川の松明あかしなど伝統行事の関係者、会津学など
地域文化の学識者らをイメージしている」

地元学を巡っては、弘前大が06年度に「津軽学」を開設し、
ねぷた絵師や津軽三味線師らを講師に招いており、
県立医大は、「弘前大を参考にカリキュラムを考えたい」。
医科大学が、地元学を導入するのは「全国初ではないか」

同大の卒業生のうち、約4割は県外に就職し、県内では医師不足が深刻化。
同大は、06年に県内各地で臨床実習する「ホームステイ型教育研修」
導入するなど、医師定着に取り組んでいる。

同大学生課は、「医大生は学業で忙しく、福島を知る機会が少ない。
県内の学生にも、福島を体系的に学ぶ絶好の機会になるだろう。
中身の濃い講義にしたい」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=83297

2008年11月24日月曜日

日本生まれの癒やしロボ「パロ」、デンマークで活躍へ

(読売 11月21日)

産業技術総合研究所(産総研)が開発したアザラシ型の癒やしロボット「パロ」が、
デンマークの高齢者福祉施設約40か所で導入
デンマーク技術研究所(DTI)が発表。

日本のハイテク技術を使った「ロボットセラピー」が、
海外で本格的に実施されるのは初めて。
DTIは、「年内に約40か所、2010年までに500か所での導入を目指す」。

パロは、05年に製造・販売がスタート。
これまで約1000体が生産され、日本では個人がペット代わりに購入したり、
老人ホームで導入されたりしてきた。

欧米では、認知症のお年寄りのケアにペットを活用する
「アニマル・セラピー」が盛んで、DTIは昨年からパロでも
同様の効果があるかどうかを確認する実験を続けてきた。

その結果、認知症の患者がパロと接することで気持ちが落ち着いたり、
表情が豊かになったりする効果が確認されたため、導入を決めた。

今後、DTIと産総研は共同で、お年寄りのケアに役立てながらデータを集め、
パロのセラピー効果を高める研究を進める予定。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20081121-OYT1T00403.htm

スポーツ21世紀:新しい波/283 武道の必修化/1

(毎日 11月15日)

「一本を目指す」。
日本の柔道家がよく口にする言葉だ。
しかし、今夏の北京五輪ではその伝統に反旗を翻した選手がいる。
男子100キロ超級で金メダルを獲得した、石井慧(国士大)。
石井は「どんな形であれ、勝たなければ意味はない」と公言。

「1ポイントでも上回れば勝ち、と石井選手は考えている。
しかし、武道を学んだ多くの人はそうは思わない。
『結果がすべて』という価値観とは異なる」。
武道研究家として知られる福島大の中村民雄教授はそう語る。

中村教授は昨年、「今、なぜ武道か」という本を出版。
「一本」を求める価値観に、日本武道の思想が流れている。
柔道でも剣道でも、技を仕掛け、完了するまでの一連の動作を評価して
「一本」と判定する。礼法にも、相手を敬う意味がある。
しかし、西欧生まれの近代スポーツは、数値化した結果に最大の価値を置く。

武道は過程を重視し、近代スポーツは結果による強さを追求。
文化と文化のぶつかるところ。
石井選手のように違った考えを持つ日本人も現れてきた」。
国際的発展によって、柔道は変質を余儀なくされ、
競技者の意識も変わってきた。
社会にも、成果主義の風潮が広がっている。

武道は戦後の一時期、連合国軍総司令部(GHQ)の指導によって禁止。
学校体育でも、86年までは「武道」とは呼ばず「格技」の名称が使われてきた。
軍国主義的な思想教育への懸念があったため。
ナショナリズムとの関係を指摘する声は今も根強く、
政治家の動きも見え隠れする。

中村教授は、「対人運動である武道は、『自然体』を基本に相手と向き合う。
その距離感が大切で、対人関係や国際関係を考える上で教育的価値がある。
しかし、愛国心は自然発生的なものであり、武道で教育はできない」

12年から中学1、2年生の授業で武道が必修化。
日本人の価値観の変容。
国際化の中での日本の位置。
武道が現代にもたらす意味を考える。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

「体育」を見直す(1)外遊び経験不足…「多様な動き」学ぶ

(読売 11月18日)

遊びの中で培われてきた運動を、体育で取り入れる動きがある。

1年生の児童30人が、体育館でケンケンを始めた。
川崎市立宮前小学校で行われた体育の授業。
担任の佐藤映子教諭(32)のタンバリンに合わせ、体育館を端から端まで移動。
途中、両足で跳んでしまう子もいて、佐藤教諭からストップがかかった。

ケンケンの後は、「うさぎ」、「くま」、「あざらし」と次々に指示が出る。
ウサギ跳びをしたり、四つんばいで歩いたり、腹ばいになって
腕の力だけで前進したり、子供たちは大忙し。

後半は、体育館内の五つのコーナーを巡った。
マット上でロープや筒を引っ張り合ったり、フラフープを回したり、
缶で作ったぽっくりで跳び箱の踏み切り板の坂を歩いたり。
子供たちの歓声が体育館に響き続けた。
こうした授業を、「多様な動きをつくる運動遊び」と呼ぶ。

今年3月告示の新学習指導要領で、小学1、2年の内容として新たに示された。
バランス遊び、体を移動する遊び、用具を操作する遊び、力試しの遊びの4種類
「今までの子供が、遊びや生活の中で身につけてきた動きを経験させる」
(文部科学省企画・体育課の白旗和也教科調査官)のが狙い。
同小では秋から試行。

同小の児童も、外遊びの経験は乏しい。
佐藤教諭が、クラスの子供たちに、帰宅後の遊びを聞いてみた。
結果は、半数近くがゲーム。外で遊ぶ子は2割足らず。

佐藤教諭は、「ゲームの要素も取り入れ、楽しめるようにして、
帰宅してからもできる内容にしたい」と「運動遊び」の広がりを期待。

千葉市立北貝塚小学校では、6年生が一風変わった跳び箱に取り組んでいた。
跳び箱に向かって助走しながら、自分で宙に放り投げた
バスケットボールをつかむ。
跳び箱に跳び乗り、下りる時には再び上にボールを投げ、
ジャンプしてボールを高い位置でつかむ。この時、体は90度ひねる。

「ボールをキャッチすることで、ボールとの距離感をつかむことができる。
体をひねるのは、これまでの動きと違う動きをスムーズに続ける能力を養うため」
と担任の佐藤一教諭(46)。
それぞれの能力が、踏み切り板に向かう際の距離感の把握や、
助走から踏み切りへの切り替えなど、跳び箱そのものをする際に役立つ。

こうした動きは、コーディネーション運動と呼ばれる。
身のこなしをよくしたり、運動神経を高めたりする効果があり、
「運動遊び」にも通じる。
旧東ドイツで開発されたのは約40年前だが、
東京都足立区が昨年度から教員研修で取り入れるなど、
近年、日本の学校に広がろうとしている。

「何もないところで、子供同士がぶつかったり、
子供がドアや机にぶつかったりする。距離感をつかめなくなっている」
先日も、休み時間に教室から廊下に出ようとして、
友人の机に脚を引っかけて転んだ6年生の男児がいた。
今まで普通の生活をする中で培われた運動能力だが、
今はそういう生活ではなくなってきている。
意図的な運動をすることで、能力を引き出していきたい

日常生活で多様な動きが経験できない現代社会が、
学校の「体育」を変えようとしている。

◆多様な動きをつくる運動遊び

新学習指導要領では、小学校低学年で実施。
体を動かす楽しさや心地よさを味わう内容だと強調するため、
「遊び」の名前がついている。
中学年では、「多様な動きをつくる運動」になる。
高学年は、「体力を高める運動」で、その前段と位置づけ、
体の基本的な動きを身につけさせるのが目的。

◆「楽しさ」「喜び」体感 重視

今年3月に告示された小中学校の新学習指導要領では、
芸術、技術系教科の時間が変わらない中、
前回(1998年)の改定で週2・6コマまで減っていた体育の授業時間数を、
小学5、6年を除いて週3コマに増やした。
正式な実施は、小学校が2011年度、中学校が12年度だが、
小学1、2年は来年度から時間数が増える。

背景にあるのは、子供の体力低下への懸念。
文部科学省が06年度に改定したスポーツ振興基本計画でも、
低下傾向に歯止めをかけ、上昇傾向に転ずることを目標。

この基本計画などを受け、文科省では今年、市町村ごとや学校ごとの
体力の現状を把握し、改善に役立ててもらう全国体力テストを初めて実施
小学5年と中学2年の全児童生徒が対象で、約7割の学校が参加。
結果は12月に公表。

新指導要領で強調されているのが、生涯スポーツの重要性。
これまでも小中学校では、運動に親しむ基礎を育むよううたってきたが、
今回の改定で、将来学校を卒業した後もスポーツに親しむ素養を培うことを強調。
体育の授業では、運動の楽しさや喜びを経験させることを重視。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081118-OYT8T00261.htm

ぜんそく引き起こす「悪玉細胞」、理研がマウスで発見

(読売 11月18日)

アレルギー性のぜんそくを引き起こす「悪玉」の細胞を、
理化学研究所の渡会浩志上級研究員らが、マウスの肺で見つけた。

免疫を高める役目の「ナチュラルキラーT(NKT)細胞」の一部が、
気道に炎症を起こす物質を作り出していた。
この細胞の働きを止める物質を作り、マウスのぜんそくを抑えることにも成功。
米科学誌電子版に発表。

渡会研究員は、「人間も同じ仕組みを持つとみられる。
人間での研究を進め、ぜんそく治療薬の開発につなげたい」

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20081118-OYT1T00092.htm

2008年11月23日日曜日

2010年冬季バンクーバー 競技施設ほぼ完成

(朝日 2008年11月18日)

10年2月の冬季五輪を来季に控えた、カナダ西部のバンクーバーを訪れた。
既存施設利用を推進した競技施設はほぼ完成し、
プレシーズンでテスト大会が本格的に始まったが、まだ開幕まで約1年3カ月。
五輪ムードは漂っておらず、静かに「その時」を待っている印象。

10月24日から3日間、バンクーバー市内の「パシフィックコロシアム」で
スピードスケート・ショートトラックのW杯が開かれた。
今季初の五輪のテスト大会。
関係者やボランティアら総勢250人が運営にかかわった。

バンクーバー五輪組織委員会(VANOC)スポーツ担当副会長の
ティム・ゲーダさんは、「選手からの評判は良かった。
最適な競技場を選手に用意することが使命。
一人ひとりが与えられた仕事をきちんとこなせた。
本番に向けて調整していきたい」と胸をなで下ろした。
テスト大会は、あと16大会残っている。

◆建設費半減

VANOCは、既存施設の有効利用を掲げる。
パシフィックコロシアムは、アイスホッケーの20歳以下のジュニアリーグが使う
専用リンクで、五輪ではフィギュアスケート会場にもなる。

開、閉会式は、カナディアンフットボールリーグ・BCライオンズの本拠BCプレイス。
アルペンやアイスホッケーなど、9会場あるうちの4会場は既存施設を使う。

ジャンプ、そり競技、スピードスケート、カーリングなどの会場は新設するが、
ゲーダさんは、「どの五輪でも、施設のその後が問題となっている。
新しく造るスピードスケート会場は、地域のスポーツ施設となる」と強調。

五輪関係の総建設費は、06年トリノ五輪は約936億円だったが、
バンクーバーは半分の約452億円。
「予算をオーバーせず、地域に本当に必要なものだけを提供する。
持続可能が我々のテーマだ」

競技施設の準備はほぼ終わったが、市街地と空港を結ぶ鉄道新設工事や、
山岳地域のウィスラーと結ぶ片側1車線道路の拡幅工事は残る。
7月に、崩落事故で通行止めになったこの道路は、
ウィスラーにつながる唯一のルート。
完成が急がれるが、地元ブリティッシュコロンビア州の担当者は、
「危険なので、以前から予定されていた工事。
五輪とは関係ない。でも来年の秋には間に合う予定」

◆前売り好調

バンクーバー市内で五輪プレシーズンを示すのは、
オフィス街の公園に設けられたカウントダウン時計くらい。
だが、11月7日まで販売されたカナダ国内向けチケットの
第1期販売の売り上げは、9週間で約59億円を売り上げた
前々回02年ソルトレーク大会の約4.5倍、269億円。

VANOC営業販売担当のカレー・デントンさんは、
「我々カナダ人は、とても興奮している。
世界中の人々を歓迎できるのはもちろん、
生で五輪の感動を目撃したいと思っているんだ」

〈バンクーバー冬季五輪〉

2010年2月12~28日。
バンクーバーの人口は約210万人。カナダ西海岸の玄関口。
海と山の豊かな自然に囲まれ、「世界で最も暮らしやすい街」と言われている。
カナダでの五輪開催は、88年カルガリー大会以来22年ぶり。
パラリンピックは3月12~21日に開かれる。

http://www.asahi.com/sports/spo/TKY200811180136.html

沿岸観光巻き返し 陸中海岸魚彩王国

(岩手日報 11月20日)

陸中海岸魚彩王国実行委員会(会長・沢田克司宮古観光協会長)は
12月7日、宮古市臨港通の市魚市場で「大漁祭」を開催。

地震の風評被害で夏季が振るわなかった中、冬季の誘客を図ろうと初めて企画。
海産物特売など冬の味覚をPRするイベントを繰り広げる。
来年3月まで月1回、イベントを開催する予定で、冬の沿岸観光を盛り上げる。
大漁祭は、午前10時から午後2時半まで。

サケ、イクラなど海産物の即売のほか、大鍋やサケのチャンチャン焼きの振る舞い、
体験競り市などイベントを繰り広げる。

大食いタレントの三宅智子さんが、すしの大食いに挑戦。
周辺市町村の郷土芸能も上演する。
同実行委などは、集客に向けて同祭に合わせた宿泊パックのツアーや企画を
JR東日本を中心としたエージェントに依頼。

宮古市によると、県内で今年2回起きた大地震の風評被害で、
市内8施設の予約キャンセル数は6月15日から8月末までで、4487人。
市全体の宿泊施設では、さらに影響は広がる見通し。

沿岸部の自治体や観光協会など、25団体で構成する同実行委は、
来年1月にも市魚菜市場でイベントを実施。
2月には、宮古観光協会とタイアップした宮古毛ガニまつりを開催。
3月は、宮古駅前広場で催しを企画。
沢田会長は、「沿岸の冬の魅力をアピールして、誘客につなげたい」と抱負を語る。

http://www.iwate-np.co.jp/kanko/f2008/f0811/f200811201.htm

市民参加型イベントこそ、スポーツ界の主役だ [第2回] 参加型スポーツイベントの可能性

(sfen.jp 08.10.08)

今年7月、「武蔵野スポーツ新聞」という月刊紙を創刊。
武蔵野市の話題だけを取りあげる、地域限定のローカル新聞。
武蔵野市には、今季からトップリーグに昇格したラグビーの横河電機がある。
昇格を機に、企業チームから地域チームへの脱皮をはかり、
名前を『横河武蔵野アトラスターズ』と変えた。
その心意気に、自分たちのできる形で応えたいという気持ちも。

サッカーのJFLで上位を走る『横河武蔵野FC』もある。
市民のチームがラグビー、サッカーふたつもあるのに、あまり認知が高くない。
練習試合などは、ふらりと入って行ける市内のグラウンドでやっている。
だが、自宅から徒歩や自転車で行け、無料で観戦できる贅沢を楽しんでいる
市民はまだ少ない。そうした情報を伝える新聞の存在意義があると思った。

武蔵野スポーツ新聞創刊の目的は、それら「見るスポーツ」の報道だけではない。
市民が主役の「するスポーツ」を応援したい、テレビにも全国紙にも載らない
地域のスポーツの話題を発信し、草の根のスポーツ選手にエールを送りたい、
との強い思いがある。

スポーツなら、政治信条も宗教信仰も越え、初対面の人とも親しく熱く交流できる。
スポーツ新聞を通じて、いままで他人行儀にすれ違っていた人たちと挨拶を交わし、
会話を交わすきっかけが作れるのではないか。
それがいちばんの願い。

その背景には、ここ数年の切実な体験と実感があった。
ひとつは、小学生が登下校の途中で、変質者に襲われる事件が都内で頻発。
小学生の子どもを持つ親として、それは不安な出来事だった。
学校と親がいくら努力をしても、カバーしきれない場面がある。
子どもを取り巻く「地域の目」が、こうした犯罪を防ぐ大事なベースになると痛感。
武蔵野市のような小さな市でさえ、隣り近所との付き合いが浅く、
自宅外の出来事に無関心な空気が強い。
顔見知りをもっと増やしたい、何気ない会話や挨拶を交し合う
コミュニティーにしたいと切実に思った。

新聞やテレビが取りあげるスポーツの話題は、
大半が世界一、日本一につながる競技のニュース。
ときにジュニアや若い選手、あるいはシニアの選手の話題もあるが、
その視線は勝利者に向いているものが多い。
スポーツの楽しさは、他人との競争(勝った負けた)ばかりではない。
自己との戦いもあり、競技をする喜びがあり、技を極めたり深めたり、
仲間ができる楽しみもある。

マスメディア主導でスポーツが語られる世相の中で、
スポーツの魅力が一部しか語られていないところが、実は大きな社会的問題、
スポーツを矮小化し、知らず知らず偏ったスポーツ観を広める要因に。

オリンピックで勝つことが最高の価値で、小さな大会の勝利には
大した意味がないような錯覚も与えかねない。
スポーツの感動は、小学校のグラウンドにもある、
家族で楽しむ公園の遊びの中にもある。
個人の感動、親子の感動は、ある意味でオリンピックの勝利より
遥かに価値がある場合も少なくない。

商業化が進み、グローバリゼーションの発想の中、
ささやかな感動の価値が低いような誤解をメディアは日々与え続けている観。

私たちが応援すべきは、世界にはばたく選手以上に、
毎日スポーツに取り組むひとりひとりのスポーツ愛好者たちだ。
それこそが、スポーツの効用を実感する基盤、
スポーツが社会にもたらす活力の源泉だと信じて、
僕はあえてローカルなスポーツ新聞を創刊した。

ささやかな感動に自信を与えたい。
マスメディアで紹介されないからといって、その感動や興奮の価値が低いのではない。
その人、その家族にとっては、五輪選手の金メダルよりずっと大切で貴い勝利や
挑戦があるという実感を、子どもたち、大人たちにも再認識してもらいたい。
武蔵野スポーツを創刊した心意気の底には、そうした情熱がある。

笹川スポーツ財団が推進している『チャレンジデー』プロジェクトなども、
同じ目的を果たす貴重な取り組み。
第一の目的は、住民たちのスポーツ振興とスポーツを
日常的に取り組むことで得られる心身の健康増進。
その成果は、個人にとどまらず、市町村がチーム一丸で戦うことを
通じて得られる一体感、チャレンジデーの話題を折に触れて
語り合うことで生まれるコミュニケーションの深まりにもある。

国民のスポーツ参加を活発にすると、国の医療費負担が大幅に減る、
だから医療費の予算をむしろ予防のためのスポーツ予算に充てたほうが賢明だ
といった数字を提示する人たちもいる。
それも大事な論拠だろうが、参加型スポーツの重要性は、
数字に表すことのできない、人々の心の交流、社会の親密度の復活にこそある。

参加型のスポーツが活発に行われたら、失われつつある近所づきあいが復活し、
社会の根幹を成す地域のコミュニケーション
(地域を越えた人と人とのコミュニケーション)を
日本社会が再び取り戻す可能性を秘めている。
生きがいを持ち、身体を動かす喜びを持ち、仲間と出会い交流する喜びを
日常的に感じていたら、いま社会を不安に陥れている異常な犯罪を
引き起こすような温床は淘汰されるのでは。
参加型スポーツイベントが生み出す喜びや感動が、
ひとりひとりの心を満たすことによって、社会に無限のエネルギーがみなぎるだろう。

東京の公共施設に行くと、2016年の東京五輪招致を促す横断幕や
ポスターが掲げてある。
「日本だから、できる 新しいオリンピック」とある。
具体的なプランはいま公募中で、まだ漠然としているようだが、
筆者は、一部エリートが集うだけの競技会はもうその役割を終えていると
訴え続けている。
「いまできる 新しいオリンピック」とは、誰もが参加できる、国際大会ではないか。

昨年2月から始まった東京マラソンは、その大きなヒント。
今年は北京五輪の代表権を競って、エリートランナーたちも一緒に走った。
だが、主役は3万人の市民ランナー。海外からの参加者もいた。

2016年の東京五輪では、そのプレイベントとして
東京マラソンのような参加型イベントをたくさん開催してほしい。
オープンウォータースイミング、トライアスロン、
老若男女がこぞって参加できる世代別のバレーボール大会、
卓球大会、バスケットボール大会、バドミントン大会などがあったら、
世界中から愛好者が日本を目指して訪れるのではないか。

その年は一年中、東京で参加型の各種大会を行う。
東京はその年、世界のスポーツ愛好者たちが
「一度は行かなければならない都市」になる。

一部のエリートのために施設を作り、観客のために交通網を整備するのでなく、
主役である市民が安全に競技でき、移動でき、楽しく過ごせる街づくりは、
日常の充実につながる施策ではないだろうか。
かれこれ30年以上、参加型のスポーツイベントに関わり続けている僕は
そんな夢を描いている。

http://sfen.jp/opinion/citizen/02.html