2008年11月23日日曜日

2010年冬季バンクーバー 競技施設ほぼ完成

(朝日 2008年11月18日)

10年2月の冬季五輪を来季に控えた、カナダ西部のバンクーバーを訪れた。
既存施設利用を推進した競技施設はほぼ完成し、
プレシーズンでテスト大会が本格的に始まったが、まだ開幕まで約1年3カ月。
五輪ムードは漂っておらず、静かに「その時」を待っている印象。

10月24日から3日間、バンクーバー市内の「パシフィックコロシアム」で
スピードスケート・ショートトラックのW杯が開かれた。
今季初の五輪のテスト大会。
関係者やボランティアら総勢250人が運営にかかわった。

バンクーバー五輪組織委員会(VANOC)スポーツ担当副会長の
ティム・ゲーダさんは、「選手からの評判は良かった。
最適な競技場を選手に用意することが使命。
一人ひとりが与えられた仕事をきちんとこなせた。
本番に向けて調整していきたい」と胸をなで下ろした。
テスト大会は、あと16大会残っている。

◆建設費半減

VANOCは、既存施設の有効利用を掲げる。
パシフィックコロシアムは、アイスホッケーの20歳以下のジュニアリーグが使う
専用リンクで、五輪ではフィギュアスケート会場にもなる。

開、閉会式は、カナディアンフットボールリーグ・BCライオンズの本拠BCプレイス。
アルペンやアイスホッケーなど、9会場あるうちの4会場は既存施設を使う。

ジャンプ、そり競技、スピードスケート、カーリングなどの会場は新設するが、
ゲーダさんは、「どの五輪でも、施設のその後が問題となっている。
新しく造るスピードスケート会場は、地域のスポーツ施設となる」と強調。

五輪関係の総建設費は、06年トリノ五輪は約936億円だったが、
バンクーバーは半分の約452億円。
「予算をオーバーせず、地域に本当に必要なものだけを提供する。
持続可能が我々のテーマだ」

競技施設の準備はほぼ終わったが、市街地と空港を結ぶ鉄道新設工事や、
山岳地域のウィスラーと結ぶ片側1車線道路の拡幅工事は残る。
7月に、崩落事故で通行止めになったこの道路は、
ウィスラーにつながる唯一のルート。
完成が急がれるが、地元ブリティッシュコロンビア州の担当者は、
「危険なので、以前から予定されていた工事。
五輪とは関係ない。でも来年の秋には間に合う予定」

◆前売り好調

バンクーバー市内で五輪プレシーズンを示すのは、
オフィス街の公園に設けられたカウントダウン時計くらい。
だが、11月7日まで販売されたカナダ国内向けチケットの
第1期販売の売り上げは、9週間で約59億円を売り上げた
前々回02年ソルトレーク大会の約4.5倍、269億円。

VANOC営業販売担当のカレー・デントンさんは、
「我々カナダ人は、とても興奮している。
世界中の人々を歓迎できるのはもちろん、
生で五輪の感動を目撃したいと思っているんだ」

〈バンクーバー冬季五輪〉

2010年2月12~28日。
バンクーバーの人口は約210万人。カナダ西海岸の玄関口。
海と山の豊かな自然に囲まれ、「世界で最も暮らしやすい街」と言われている。
カナダでの五輪開催は、88年カルガリー大会以来22年ぶり。
パラリンピックは3月12~21日に開かれる。

http://www.asahi.com/sports/spo/TKY200811180136.html

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