2008年11月15日土曜日

特集:働く女性(その2止) 働く女性の身体と心を考える

(毎日 11月9日)

中林座長
次は「代替要員の確保方法」について。
学校現場は、制度が非常によくできている。
校長先生が、「診断書に1カ月と書いてくれないと代替の教員が雇えない」と言う。
ところが書いてしまうと、1週間後に流産して、すぐに働きたくても
代替の人が来ていて働けないと文句を言う人もいる。

鈴木委員
育児・介護休業を取った場合、届け出た休業期間より早く戻るのは
認められていない。

中林座長
だから我々は、中途復帰はできないと相手に念押し。
実態に見合わない話だが、代替要員をどうやってうまく確保したらいいのか。

鈴木委員
一般の企業は、派遣社員を頼んでいる場合が多い。
初めから、育児休業の代替要員で期間限定と言って来てもらう。

内山委員
ジョブローテーションというのは、職場でのやりくりになるのか?

中林座長
そうでしょうね。

小畑委員
ある製造業の職場では、製造ラインの特定の部分で作業するのではなく、
いろいろなところにローテーションで入って作業できる「多能工」を育成し、
作業負担の軽減と業務のカバー。

内山委員
いろいろな作業に対応できるなら、過重労働の対応にもつながる。

小畑委員
妊娠中は立ち作業だけではなく、座れる作業を組み合わせるなど、
作業態勢も考える必要。

鈴木委員
銀行などは、不正防止のためもあるが、業務を短期間に交代。
誰かが休んでも、他の人に任せられる。
ジョブローテーションというのは、結構重要。

内山委員
企業の現状を見ると、代替要員の確保以前に、
まずは同僚がお互いにカバーし合う職場でのやりくり。
問題は、過重労働にならないような配慮。
やりくりは結局、上司や同僚による残業になる。
特に中小企業は、無駄な仕事をやめるため業務の見直しを行い、
「無駄取り」といって、どれをやめてどれをやるか、社内で検討することも大事。
そうしないと、誰かが過重労働に。

鈴木委員
育児休業中は、企業は給料を払わないところが多い。
社会保険料も労使とも免除に。
その分、休んだ人の給料で代替要員として派遣社員を雇えばいい。
雇う費用は、社会保険料の免除分を足しても、
休んだ人の給料を少し上回る程度。

北浦委員
代替要員を雇っても、必ず周りに業務のしわ寄せはいく。
代替要員が、休んだ人の仕事を完全にカバーできるわけではない。
できない部分は、上司や同僚に回る。
休んだ人の代替ではなく、その職場単位でカバーするために
代替要員を考えるというような発想でないと、過重労働を防ぐのは難しい。

中林座長
育児は数年にわたるので、やはりワークシェアリング。
当院も、子育て中の女性医師が2人で1人分働く曜日ごとの交代制を取る。

小畑委員
私事で恐縮ですが、私は20代後半から約10年間に産業医をしながら
4人の子を出産。育児休業は、ほとんど取っていない。
長女の小学校入学を機に、第3子出産前に実家の裏に家を建てて引っ越した。
両親におんぶに抱っこの毎日だが、4人生まれるとフルタイムはきつく、
第4子出産の1年後フリーに。
30代前半までは夫に合わせて勤務先を変わったり、
留学にもついていったが、今は夫が私に合わせて遠距離通勤。

鈴木委員
いろいろな働き方を考えるべき。

長井委員
職種によって、代替要員がどういう時に本当に必要で、
カバーし切れないのはどんな時か、現実の事例がわかると、
働き方を考える上でイメージがわく。

鈴木委員
専門的な職能で分かれている業務だと、完全な代替は難しい。

中林座長
「制度に関する研修」はどうか?

大久保委員
管理職の研修が一番大事。

中林座長
管理職研修は、まだまだ不十分。

鈴木委員
新入社員研修の時、就業規則について詳しく説明するのも、とても大事。

北浦委員
管理職研修をやっていなかったり、効果がないのは、
そもそも該当者がいない場合が多い。
該当者が出てきた時に、管理職が自分のこととして人事部に聞きに行く。
そういう個別的な対応も、推奨した方が有効。

中林座長
「申請から実施までの流れ」に関して、我々産科医は、
赤ちゃんの心拍が見える妊娠7~8週以降、
安定して流産の可能性が少なくなったいわゆる3カ月に入ってから、
会社に言ったらどうですかと女性に話している。

百枝委員
予防的な観点からは、妊娠がわかった時点で会社に言っておかないと、
切迫流産に対する処置が遅れるという恐れ。
そこは微妙かなと思う。

中林座長
女性の考え方で違う、と。

百枝委員
女性の価値観や考え方によって、ケース・バイ・ケース。
産科の外来では、患者さんの半数が仕事を持ち、
体調が悪くても休めない人が多く、月に2、3人は医学的に問題のある人がいる。
妊娠・出産期の業務軽減が、キャリア形成にマイナスだと考える女性も。
キャリア形成に響かないようにすることが、企業に求められている。

中林座長
次に「男性社員育児参加のための取り組み」。
男性の育児休業取得率10%という国の目標があるが、
企業の風土が変わる必要。
男性は残業ばかり、女性は家事も育児も、となると女性の負担に。
その上介護まで加わると、仕事との両立はとても無理。

鈴木委員
育児休業は、男女五分五分で取ってほしい。
法律で、子供ができたら男性も、女性も半分取るべきだと決めてくれたら一番いい。
企業というより、国として男女五分五分の責任を明確にする。

北浦委員
その条件として、女性の就業率がもっと上がるようにならないといけない。
もう一つ問題が、大企業に「なぜ男性が育児休業を取らないんですか」と聞くと、
「うちは必要がないから」と言われてしまう。
奥さんが専業主婦だから必要ない、と。
この意識も、変えていかないといけない。

鈴木委員
現在育児・介護休業法を変える議論をしていて、女性の産後休業の時、
父親である男性も一緒に育児休業を取ることを促進する話し合いがされる。

北浦委員
労使協定で取れるようにしても、たぶん男性はいやがって取らない傾向が
非常に強いんじゃないか。

中林座長
今の日本は、残業で成立。
残業できないで帰宅する人は要らないよ、と思うこと自体がおかしい。
社会が成熟して、男性が家事、育児をするのも仕事だと、
皆が考えるようになっていかないと。
そういう風土づくりは時間がかかるが、
こういう委員会で意見を言っていくことが必要。

「妊娠中の健康管理」については、妊娠中に2~3割ぐらいの人は、
むくみなどのマイナートラブルに始まりいろいろなトラブルがある。
その場合は、気兼ねなく休むのが大事。

内山委員
「他の企業へのメッセージ」では、母性健康管理をはじめとした取り組みが
社内の業務効率を見直すきっかけになったとか、
さらに広いライフステージへの支援につながっているという点が重要。
女性の働き方を考えることが、全体の働き方を考えることになる。

大久保委員
母性健康管理も大事だが、それをやることによって
働く人すべての環境がよくなるし、雰囲気もよくなるし、
結局それは企業の前進につながる。

中林座長
その点を、これからも大いに議論しましょう。
==============
◆母性健康管理指導事項連絡カード
診断書に代わって、妊産婦の症状ごとに求められる職場での対応と
その期間を、事業主に示す文書。
つわりの症状が著しい場合は勤務時間の短縮、
胎児の発育の軽い遅れには作業の制限、重症の高血圧には休業など、
事業主が取るべき対応の目安が書かれ、指導項目に医師が○を付ける。
発行の料金は、医療機関によって違い、
無料や診断書と同額の場合もあるが、診断書より安価な場合が多い。

医師の指導内容を、事業主に的確に伝達するため、
医療機関、女性労働者と事業主の連携ツールとして作成。
改正男女雇用機会均等法を受けて、事業主が取るべき母性健康管理の
措置を示した97年の労働省(当時)の指針で様式が定められている。
02年度から母子健康手帳の巻末に収録、A4判に拡大して使う。
インターネットからダウンロードもできる。

認知度がまだ低く、ここ1、2年の女性労働協会の調査では、
カードの存在を知っている女性労働者は30%に過ぎない。
http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/josei/hourei/980801-30w.doc
http://www.jaaww.or.jp/about/pdf/document_pdf/card.pdf
==============
◇長井聡里(ながい・さとり)
すてっぷ産業医事務所長。大阪労災病院産婦人科、
松下電工本社健康管理室長、産業医大産業医実務研修センター講師などを経て、
08年産業医として独立。
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◇小畑泰子(おばた・やすこ)
おばたやすこ労働衛生コンサルタント事務所長。
三菱重工業下関造船所産業医、産業医大産業医実務研修センター助手を経て、
04年7月産業医として独立。
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◇百枝幹雄(ももえだ・みきお)
東京大医学部産科婦人科学教室講師。
焼津市立総合病院、長野赤十字病院などを経て
89年東京大病院産婦人科助手。
92~94年米国立衛生研究所に留学。04年から現職。

http://mainichi.jp/life/health/news/20081109ddm010040039000c.html

特集:働く女性(その1) 母性健康管理のあり方は--医療、労務の現場

(毎日 11月9日)

働く女性は年々増加し、全雇用者の4割以上を占める。
働きながら妊娠、出産する人も業種を問わず増えてきた。
安心して妊娠、出産期を迎えるために、国や企業は何をすればいいのか。
財団法人女性労働協会が、医師や労務問題の専門家を集めて
母性健康管理の望ましいあり方について調査研究している
「働く女性の身体と心を考える委員会」の模様を紹介。

女性労働協会(以下、協会)
今年度は、企業が母性健康管理に積極的に取り組むための情報提供として、
妊娠中から育児休業後の職場復帰まで、仕事と生活の両立支援を
積極的に実施している先進企業に事例調査を実施。
どの企業も、法律で義務化された措置を講じているだけでなく、
制度が利用しやすい職場の風土づくりにも取り組んでいた。

「働く女性の身体と心を考える委員会」では、これまでに実施した
7社の調査結果を基に、企業が母性健康管理の取り組みを
円滑に行うための留意点などについて。

中林座長
「取り組み前の現状と課題」に関して、出産を機に退職する女性が多く、
人材が流出して企業の損失だと気づいて、優秀な人材に長く働いてもらおうと
取り組みを始めたという企業が多い。

大久保委員
すばらしいところばかりだが、おおかたの企業の現状とはかなり乖離している。
非正規労働者に対しても同様に取り組んでいるのか?
妊娠中も無理をさせず、育児休業を取ってでも働いてもらいたい
貴重な人材だと思っているのは、正社員だけの話。
非正規の従業員まで含め、母性健康管理を徹底しているなら、本当にすばらしい。

中林座長
気になったのは、母性健康管理の対象者を企業が、
「『優秀な人材』として認識している」という点。
優秀な人には企業は当然、働き続けてほしいと思うもの。
しかし、それが女性全般に広がらなければいけない。
妊娠・出産期だけではなく、ライフステージ全般にわたって
配慮されなければいけない。

能力には個人差があり、どんな女性に対しても同じように考えることが必要。
出産を機に辞めるのではなく、継続して働いた方が、
自分のキャリアアップ、社会全体の労働力の活用から見てもずっといい。
育児中の短期間、少しペースダウンしてでも働き続けることのよさを、
経営のトップとともに職場の仲間が皆認識していかないと、
休みが取りやすくなる環境は育たない。

育児休業から復帰した女性たちは、
「自分たちが恩恵を受けたから、ちゃんと働かなくちゃ」とあり、
あまりにけなげすぎるじゃないか?
もっと女性の権利として、妊娠・出産の時はある程度のペースダウンは当然。
仕事を続けることが社会に対する貢献だというのが、
母性健康管理の哲学だ。

鈴木委員
まだまだ企業は遅れている部分があった。
企業にとって、必要な女性が妊娠・出産を理由に辞めた時に初めて、
大きな損失なんだと気がついた。
法令を順守して制度を整え始めた。
いったん制度を取り入れたら、能力で差別することは許されない。

今は過渡期。
妊娠・出産して、“寿退社”が当たり前の世の中が、
徐々に法律が整備され、ある特定の年代の人から恩恵を受けられる。
全員が恩恵を受けた世代になれば、年長者も、
自分は出産・育児で休んだから今度は若い人をサポートしようと思う。
若い人たちは、今はサポートする側だけど、
いつかは自分たちもお世話になるんだからと、
ギブ・アンド・テークのような関係ができてくる。

北浦委員
お互いさま意識ですね。

中林座長
そういうことです。
日本も結婚・妊娠・出産を経験して、管理職になるのが
一般的に受け入れられる社会にならないと。
いろいろな立場の働く女性が、妊娠・出産、育児を考える
一つのグループになることが、労働組合とは違う意味で大切。

鈴木委員
そこに男性も加えてほしい。
男性による子育てを当然と考えて、企業内で労働組合とは別の
妊娠・出産、育児に関するワーキンググループをつくってほしい。

中林座長
妊娠中や職場復帰後の相談窓口に関して、人事部など企業内の部署より、
周りの先輩の女性を見ながらやっていく人が圧倒的に多い。
管理職に、出産・育児経験のある女性を取り立てていくことが必要。

大久保委員
逆の場合もある。
あくまで何もトラブルが起きないで復職できた人が、管理職に。
セレクションがかかっている。
実際は、うまくいかなかった人がかなりいる。
トラブルのなかった人が上に来ると、かえってきつい場合もある。
「私はできた」と。
経験者の登用が必要かというと、どうかなと感じる。
知らない方が親切だったりする。
知っている人の方が、きつい時がある。

鈴木委員
優れた制度を持っている会社でも、制度を知らないとか、
就業規則を読んだことがないという従業員が非常に多い。
私のところに労働相談に来る人も、ほとんど就業規則を見ていない。
会社の就業規則は、国の憲法みたいなものだから、
会社にどういう制度があってどう運用しているのか、
労働者側も就業規則を知らないと、何も準備できない。
就業規則を読んでいれば、トラブルは小さいうちに防げたのでは、
というケースが、妊娠・出産に限らず多々ある。

長井委員
企業の公式の相談窓口に、「こういう経験をした人がいるよ」と、
社内の先輩を紹介してくれる機能があればいい。
客観的な制度の説明と、実質の相談という二つの機能を、
企業の窓口が果たせる。
相談に来る人は、就業規則を読んでも理解できないから来られるので、
制度を説明しても、「結局わかりません」となる。
「この部署にこういう先輩がいるから、一度話をしてもらえるように
つないでみようか」、という流れになると助かる。

協会
大企業で女性社員が少ないと、妊娠・出産の際に母性健康管理の制度を
利用した先輩がどこにいるのかわからないことも。
日立ソフトウェアエンジニアリングが、両立支援の取り組みを検討する
ワーキンググループを作っていたが、
女性社員同士が知り合うきっかけの場としても機能し、
先輩・後輩とのつながりが生まれていった。

大久保委員
ワーキンググループを常時走らせてもいい。
サークルのようなものを制度化して、新しく入ってきた人も
先輩の中ヘ入っていけるような仕組みを作っておけば、
自然に先輩の話が後輩に伝わっていく。
==============
◆母性健康管理

働く女性が安心して出産できるように、事業主が取らなければならない措置。
通院時間の確保や医師の指導に基づく勤務時間の短縮、時差出勤、
休業などで、正社員やパート、契約社員、派遣社員などの就業形態を問わず、
すべての妊娠中から出産後の女性労働者が措置の対象。

働く女性のうち、既婚女性が急増して6割近くになった73年5月、
労働省(当時)に産婦人科医や労働衛生の専門家でつくる
「母性の健康管理に関する専門家会議」が発足。
職場での妊産婦の健康管理のあり方について、
政策提言のための調査研究が行われた。

母性健康管理が事業主に義務づけられたのは、
97年の男女雇用機会均等法の改正から。
母性健康管理の措置は、それまでは努力義務にとどまっていたが、
改正均等法の全面施行より1年早い98年4月から事業主の義務として施行。

06年の再度の均等法改正により、母性健康管理の措置を求めたことなどを
理由とする解雇や不利益取り扱いが、改正法施行の07年4月から禁止。
同月から、企業が母性健康管理の措置を講じない場合、
厚生労働省の都道府県労働局雇用均等室に女性労働者が申し出れば、
無料で調停などの紛争解決を図る「紛争解決援助制度」が始まっている。

◆母性健康管理に関する制度の紹介サイト

女性にやさしい職場づくりナビhttp://www.bosei-navi.go.jp/
女性労働協会が、厚生労働省の委託で今年2月に開設。
労使双方に、情報提供と医師や労務問題の専門家による
無料メール相談を行っている。
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◆座長:中林正雄
42年東京都生まれ。68年千葉大医学部卒。
三楽病院産婦人科部長、東京女子医大母子総合医療センター教授を経て、
02年から愛育病院長。
産科医の立場で働く女性に望ましい母性健康管理について
国の調査研究に携わり、職場環境の整備や男性の育児休業取得の
必要性について発言。
06年9月、秋篠宮妃紀子さまの主治医として帝王切開手術を執刀。
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◇大久保利晃
放射線影響研究所理事長。専門は公衆衛生学。
慶応大講師、自治医大助教授、産業医大教授などを経て、
02~05年産業医大学長。05年7月から現職。
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◇鈴木千恵子
特定社会保険労務士。出産・育児に関連した労働問題に詳しく、
企業のコンサルティングや育児雑誌の監修、労働相談を通して
働きやすい職場作りに取り組む。
==============
◇北浦正行
社会経済生産性本部事務局次長。
企業の人事管理や労務関係などが専門。
ワークライフバランスを推進する民間運動に取り組む。
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◇内山寛子
JR東日本健康推進センター呼吸器科部長。
関東圏にある同社の事業所の産業医を務める。95年から現職。

http://mainichi.jp/life/health/news/20081109ddm010040029000c.html

授業を変える(4)点数評価制で教員発奮

(読売 11月7日)

昇給につながる教員評価が、授業の工夫を促す。

高知工科大学の名物教員2人が10月末、授業をしていた。
「流体力学」の授業は、蝶野成臣教授(52)。
「プールに放り込まれたノミの気持ちになって」。
得意のたとえ話に、約70人の学生が笑い声をあげる。
人間が受ける空気や水の抵抗を、小さな模型で再現するには、
どんな条件付けが必要かを考えさせる。
専門用語を使わず、身近な例で説明するため、
綿密な授業台本も作っている。

「専門教育ガイダンス」の授業は、篠森敬三教授(45)。
1年生約100人に、「学べば必ず未来がある」、
「未来のための勉強だ」と繰り返す。
一部上場企業で、大きなプロジェクトを任されている卒業生たちを引き合いに、
目の前の学びがどう社会で役立つかを具体的に示す。
話に吸い込まれるように、学生は熱心にノートを取っていた。

2人には、学生の授業評価で高く評価され、
大学に表彰されたという共通点がある。

2人の原動力となったのは、同大独自の教員評価。
導入は5年前。
発案者の岡村甫前学長(70)は、「学生を育てるには、成果を出す教員を
客観的に評価、支援する制度が不可欠と考えた」

教育・研究・地域貢献などの分野ごとに、質と量から得点を定め、
独特の計算方法で評価をはじき出す。
授業を一つ担当すると、100点。
そこに、科目別の点数、単位数、学生の授業評価の平均点などの要素が加わる。
研究面では、ネイチャーなど著名な英文雑誌に論文を発表すると300点、
国内誌なら部数によって100~200点、
地域貢献にかかわる委員を務めると5~20点。
すべて大学のホームページで公開。

3年平均で、教授は1100点、准教授は900点取らなければならない。
平均を100点上回ると50万円昇給で、100点下回ると50万円の降給。
大半の教員は5年の任期制で、5年連続して下回ると契約を更新できない仕組み。
すでに教授職で年250万円の差が生まれたが、教員の大半は支持。
点数と数式が明示され、上司との相性を気にする必要がない上、
教育・研究・地域貢献のどこに軸足を置くかは自分次第。

「結果的には、自然に教育力が上がった」と篠森さんは明かす。
学生が力をつけないまま進級すると、関連科目の担当者も困り、
「どんな授業をしていたのか」と教員会議で問題にする。
苦情を受けた教員は授業を改善するか、担当をやめるかの選択を迫られる。
担当が不在になった授業は、教員が奪い合う。

県などの支援を受け、私立大として開学した同大は、
来年度から公立大学法人によって経営。
開学12年目で力をつけた大学は、新たな一歩を踏み出そうとしている。

◆公立大学法人

地域活性化などを目指し、5年前にできた地方独立行政法人法で始まった制度。
自治体の裁量で、弾力的な組織運営や教育、研究を展開できる。
全国で37大学が公立大学法人化しているが、
私大が公立大学法人化されるのは異例。
国から同大に出ている助成金の2倍の交付税措置が受けられ、
年間約124万円の授業料は半額以下に抑えられる見込み。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081107-OYT8T00215.htm

2008年11月14日金曜日

線虫は長生きするために脂肪を燃焼させる

(サイエンス 11月7日)

脂肪燃焼が長寿につながる
少なくとも線虫ではそうであることが新しい研究により示された。

Meng Wangらは、線虫(Caenorhabditis elegans)の生殖幹細胞の
増殖が止まると、脂肪燃焼酵素の活性が促進され、
その結果、寿命が延びると述べている。

Ting Xieは、Wangらの研究結果が、代謝の調整・寿命・生殖が
どう関連し合っているかという、寿命の研究において
重点的に焦点が当てられている関係に関して一層興味深い見解を示している。

Wangらは、線虫の成虫では生殖幹細胞がリパーゼK04A8.5
積極的に調節し、腸内脂肪を減少させていることを示した。
生殖幹細胞の増殖が止まると、リパーゼが大幅に増加して脂肪が分解。
腸内で、リパーゼが活性化した線虫は
同胞種より24%長寿であることをWangらは発見。

"Fat Metabolism Links Germline Stem Cells and Longevity in C. elegans,"
M.C. Wang; E.J. O'Rourke; G. Ruvkun.
"Fat Metabolism: The Surprising Link Between Reproduction and Aging,"
T. Xie

http://www.sciencemag.jp/highlights.cgi?_issue=133#559

授業を変える(3)教員同士参観 共に工夫

(読売 11月6日)

教員同士の簡便な授業参観の仕組みを作った大学がある。

学生が約220人もいる大教室だが、私語は少ない。
流通科学大学(神戸市)サービス産業学部での授業「流通科学入門」。
横山斉理講師(31)は、空欄を設けた手作りの資料に書き込みをさせ、
「メモして」、「そこは試験に出すよ、テキストに線引いて」と指示を出す。

90分の授業中、教室内を歩き続け、「君はどう考える?」と学生に問いかける。
座席は、学籍番号順の指定席。名前も分かる。
居眠りを始める学生がいると、「この辺の睡眠率は高いね。
僕が来る回数が少ないからかな」と笑わせ、眠気を吹き飛ばそうと努める。

神戸大大学院を修了、昨年4月に着任したばかり。
授業の工夫を、「ほかの先生の見よう見まね」と打ち明ける。
流通科学大が、前後期に3週間ずつ行う教員同士の授業参観で、
先輩たちのやり方を見て、居眠りや私語、遅刻への対処法を身につけた。

教員が、互いの授業を見学し合う授業参観を取り入れている大学は
少なくないが、実を挙げるのは難しい。
流通科学大でも、始めたのは8年前だが、
その後3年間に公開されたのは15授業、参観者も数人程度にすぎなかった。

5年前、約1000の授業すべてを3週間、公開するよう教員に義務づけた。
「学生にやる気を出させ、退学者を減らすには、
教員が、授業を通して悩みと知恵を共有することが急務と考えた」と
義務化の推進役、教育高度化推進センター長の南木睦彦教授(52)は説明。

南木さん自身、20年前の開学時に着任して以来、
同僚に授業を見てもらったり、学生に授業アンケートをしたり、
独自の努力を重ねていた。
塾講師や高校教員の経験もあり、
「学生の力を伸ばすには、教員自身の学びが大切」と実感。

授業公開義務化の翌年には、学内ウェブサイト上に、授業の日程だけでなく、
どのような工夫をしているかも事前に調べることができるページを開設。
例えば「私語」をキーワードに検索すれば、
私語対策で工夫をしている授業が探せて、
その中から都合の良い授業を選び、参観を申し込むことができる。
さらに、参観後の意見交換もウェブ上で閲覧できる。

悩み解決への“近道”が具体的に示されたことが教員を動かしたのか、
この5年で参観者数は1400人超。
低迷していた学生の授業満足度は、5点満点で4点前後と、
1ポイント近く上昇、理解度は今年度前期、初めて4点を超えた。
1年生の退学者も、昨年度は21人と5年前から半減。

今春、他大学でも使えるソフトを大学で開発、
すでに他大学からの視察や問い合わせが相次いでいる。
「大学の壁を越え、一緒に学生を育てていきたい」と南木さん。
流通業界の風雲児と呼ばれた故中内功氏が生んだ同大。
教育への熱い思いを、独自の方法で発信し始めている。

◆授業参観「有効に機能」3割

読売新聞「大学の実力 教育力向上への取り組み」調査で、
実施している大学は499大学中290大学、58%に上ったが、
「有効に機能している」は30%、「他大学の模範となるレベル」は2%に過ぎない。
時間の確保が難しいことや、互いの授業に踏み込まないという、
従来の教員気質が根強いことが背景にあると指摘。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081106-OYT8T00200.htm

JOC:英国大学と提携模索…強化拠点に 理事会で報告

(毎日 11月11日)

12年ロンドン五輪に向けた強化拠点として、
日本オリンピック委員会(JOC)が英国・ラフバラ大との提携
検討していることが、理事会で報告。

ラフバラ大は、英国中西部にあり、
整ったスポーツ施設やスポーツ研究の分野で有名。
JOCでは、日本のナショナルトレーニングセンターと提携関係を結び、
五輪の事前合宿などで施設を利用できるよう模索。

しかし、米国、カナダ、中国、韓国も提携に名乗りを挙げており、
JOCの田嶋幸三ゴールドプラン委員長は、
「来年1月の理事会でこの案を認めていただき、早めに提携を結びたい」

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20081112k0000m050033000c.html

検定で「カケッコ」速く 北上の運動教室・阿部さん

(岩手日報 11月12日)

北上市の運動能力育成教室「カケッコーズ」を主宰する阿部丈二さん(36)は、
よつんばいバック走や立位体前屈、1分間走など6つの検定項目を
点数化して個人の運動レベルを判定する「カケッコ検定」を、
28日と12月5日に同市で実施。
「どこでもやっていない初の試みではないか」(阿部さん)というユニーク検定が、
県内外への広がりを目指し走りだす。

検定は、小学1年生以上が対象。
教室独自の動作基準で運動レベルを自己管理したり、
スピードや柔軟性、正確性などコントロール能力を向上させる目的。

検定項目は、
①うつぶせからの変型スタート
②よつんばいバック走
③立位体前屈
④グーチョキパージャンプ
⑤ミニハードルドリル
⑥1分間走―の6項目。

例えば①は、反応、動き始め、走る動作を素早く行うことができるかを見る。
②は、腕と脚のサイクル・全身運動が行われリズムよく進むことができるか、
③は、背面部の柔軟性測定―
など走る際に必要な基本の到達度合いにポイントをつける。
点数化することで、一人一人の課題も浮き彫りに。

阿部さんは、「走れる子でも体が硬い面が見受けられ、
柔軟性を増せばストライドが広がってもっと速くなる。
体力測定のようなもので、総合的なバランスをポイント化してみようと思った」、
年3回程度の実施を予定。
さらに県内外にも広げる考え。

検定は28日、12月5日の両日とも午後5時半~7時。
募集はそれぞれ30人限定で、参加料1000円(カケッコーズ受講者は500円)。
場所は、北上市相去町の北上総合運動公園陸上競技場室内走路で行う。

申し込みは、カケッコーズ活動時(木曜日午後6時―7時、同陸上競技場)か
アイガースポーツ江釣子店(午前10時―午後6時)で。
締め切りは17日。
問い合わせは、阿部さん(090・6222・1418)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20081112_14

絶滅危惧種チチブミネバリ撮影

(東海新報 11月11日)

国、県ともに絶滅危惧種に指定されているチチブミネバリが、
住田町世田米の山林で自生しているのが、
盛岡市在住の森林インストラクターによって確認。

チチブミネバリは、カバノキ科の夏緑性の小高木で、
昭和30年代に秩父山地で採取された標本をもとに命名。

当時は、秩父地方の固有種と考えられていたが、
県内でも同60年代になって確認され、隔離分布種として知られる。

環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定され、
県版でも「絶滅の危機に瀕している」とするAランクに位置づけ。

県内は、岩泉が分布の中心とされ、気仙では過去に同町上有住で
確認されたが数は少ないとされ、目にすることは極めてまれ。
大船渡市出身で盛岡市在住の森林インストラクター、久保田礼さん(35)
今年7月下旬、世田米地内で自生しているのを見つけ写真撮影し、
その後、岩手大学に依頼して確認した。

希少種とあって盗掘などの心配もあることから、
久保田さんは詳しい場所を明かしていないが、
スギ植林などすぐ近くまで人の手が入っている場所といい、
保護が求められそうだ。

2008年11月13日木曜日

「男男格差」寿命にも 低所得者の死亡率、高所得の3倍

(朝日 2008年11月8日)

男性の高齢者で、所得の低い人の死亡率は、所得の高い人の3倍――。
65歳以上の男性約1万2千人を4年間追跡した結果、
所得により死亡率に差があることが、
日本福祉大学などの研究グループの調査で浮き彫りに。

同大の平井寛主任研究員、近藤克則教授(社会疫学)らが、
名古屋市から60キロ圏内の5自治体に住む65歳以上の男女を対象に実施。

匿名化した介護保険データを、自治体から提供してもらい解析。
03年10月時点で、要介護状態ではない男女2万8千人が、
07年10月までに死亡した率を所得別に調べた。

所得は、介護保険料算定の基礎となる階層に基づき、
「老齢福祉年金(年約40万円)や生活保護受給レベル」の第1段階から、
「課税対象の合計所得200万円以上(年金受給なら年320万円以上)」の
第5段階まで、5分類。

その結果、最も所得が低い第1段階の男性の死亡率は34.6%。
第5段階の11.2%の約3倍、第2段階の15.3%の倍以上高かった。

一方、女性の死亡率は所得階層による有意な差は出なかった。
女性の本人所得は、必ずしも世帯全体の所得を反映していない。

世界保健機関(WHO)の専門委員会に携わった
黒川清・政策研究大学院大学教授は、
「所得の低い人が受診を抑制したためではないか。
日本は、国民皆保険で長寿が達成されていると国際的に評価されてきたが、
近年の所得保障崩壊や医療費の自己負担増などで揺らいでいる
近藤教授は、「医療保障だけでなく、労働・教育政策など総合対策をとるべきだ」

http://www.asahi.com/health/news/TKY200811080073.html

授業を変える(2)「仮想教室」討論を熱く

(読売 11月5日)

豊富な機能を持つ電脳空間が学習意欲を刺激する。

「リポート提出はムードルに」、「先週の学習時間をムードルに報告して」
三重大学(津市)の生物資源学部で、「環境情報学」の授業中、
森尾吉成准教授(37)は何度も「ムードル」という言葉を口にした。
1年生約50人がパソコンの前にいる。

「ムードル」とは、同大が学内ウェブサイト上で
授業支援用に開いた“仮想教室”。
リポート提出コーナーや学生同士が24時間書き込める“談話室”、
授業用の資料の閲覧室や、テスト室も設けることができる。

授業ごとに作り換えができるため、どんな機能を持たせるかは担当教員次第。
授業中の小テストの結果を、その場で書き込ませて集計すれば、
瞬時に理解度を把握し、講義をやり直すことも可能。

「自分で学ばない人は置いていく」と言葉をかけるなど、
授業中の緊張感を保つ工夫は欠かせないが、
「提出物の管理などの手間が省け、学生の表情や理解度を見ることに集中できる」
森尾さんは、ムードルの威力を実感している。

三重大で初めてムードルを使い始めたのは、
奥村晴彦学長補佐(57)(情報教育)。
4年前の着任時に見た授業風景が、きっかけに。

自己紹介させると、名前しか言えない学生がほとんど。
私語はないが、議論も弾まない。
「人と交われないのか」と疑念を持ちながら学生のパソコンをのぞき込んだ時、
会員交流サイトの大手「ミクシィ」の画面が目に飛び込んできた。
パソコンを通しての対話なら、授業への積極参加を促せるかも――。

早速、欧米やオーストラリアで広がっていたムードルを個人的に使い始めた。
リポート提出箱を設けたところ、学生が送信記録を確認できるため、
「出した」、「いや受け取っていない」といったつまらないトラブルがなくなった。
電子掲示板の設置で、課題や予習復習の指示も明確にできる。
小テストは、学生一人ひとりのつまずきを確認するのに役立つ。

学生同士の関係も、大きく変えることになった。
学習内容についての討論コーナーでは、夜中まで書き込みが続くことがある。
ウェブ上で知り合えたことで表情が変わり、授業中の議論が活発に。

評判は、大学の外まで広がり、2年前から大学として普及を図ることに。
現在、ムードルを使う授業は約700。大学の授業全体の2割強。
昨年度の学生による授業評価では、20項目中19項目で
ムードルを使用する授業の方が高い点数を得た。
中でも「新しい知識・考え方・技術が獲得できた」、
「知的刺激が与えられた」など、学習意欲につながる項目で差が出た。

奥村さんは、「全教員に義務化は難しい」と打ち明ける。
ムードルの更新を怠る教員も目につくからだ。
「先生によって差がある。使いやすいムードルは、勉強する気にさせる」
と生物資源学部の1年生。
小手先の工夫では、学生を刺激することはできない。

◆ムードル(Moodle)

オーストラリアで開発された無料の授業支援ソフト。
会員同士で交流するミクシィと異なり、教員が管理することを想定して作られた、
学生とのコミュニケーションシステム。
国内では、名古屋工業大学や鈴鹿工業高等専門学校などで導入。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081105-OYT8T00201.htm

山崎直子さん初のシャトル搭乗決定

(サイエンスポータル 2008年11月11日)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)と米航空宇宙局(NASA)は、
国際宇宙ステーションの組み立てを目的とする米スペースシャトル飛行に、
山崎直子・宇宙飛行士を搭乗させることを決めた。
山崎宇宙飛行士の飛行は、シャトル「アトランティス」により
2010年2月11日以降に予定。

実験ラックやクルー備品など補給物質を積んだ多目的補給モジュールを
国際宇宙ステーションまで運び、欧州宇宙機関(ESA)のぺイロードなど
回収物質を多目的補給モジュールに積んで持ち帰るのが任務。
2週間の飛行期間中、山崎宇宙飛行士の具体的役割はまだ確定していないが、
ロボットアーム操作作業なども考えられる。

その時点で国際宇宙ステーションには、野口聡一・宇宙飛行士が
6人の滞在要員の1人として日本の実験棟「きぼう」を初めとする
各施設のシステム運用、科学実験などに従事している予定。

山崎宇宙飛行士は、千葉県松戸市生まれ。
1993年東京大学工学部航空学科卒業、
96年東京大学大学院工学系航空宇宙工学専攻修士課程修了、
宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)入社、
2001年宇宙開発事業団の宇宙飛行士に認定、
06年2月にNASAのミッションスペシャリストにも認定。
今回が、初の宇宙飛行となる。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0811/0811112.html

待ってた平泉授業 県主催、本寺小皮切りに

(岩手日報 11月11日)

県内の児童生徒を対象に、
「平泉の文化遺産」の概要や価値を伝える県の事業「平泉授業」が、
一関市厳美町の本寺小(小沢清治校長、児童46人)を皮切りに始まった。
県の担当者が語る平泉文化の輝きに、児童が興味深く聞き入った。

6年生8人が受講。
県教委の中村英俊文化財・世界遺産担当課長が講師を務めた。

世界遺産の目的や平泉の歴史背景、保存に向けた取り組みなどを
写真入りのスライドで分かりやすく説明。

清水上ひかりさんは、「平泉はとてもきれい。最初の授業で緊張する」、
佐々木静也君は、「平泉のことはあまり知らないので、勉強したい」

「平泉授業」は、約100の小中高校から受講申し出があり、
うち20校で実施。
4校は達増知事が、16校は県教委職員が現地に出向き教える。

今夏からの開始を予定していたが、
7月の平泉文化の世界遺産登録延期の影響で開始が遅れていた。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20081111_16

大船渡で「秋の恵み」給食 たっぷり地元産

(東海新報 11月12日)

大船渡市内の4小学校で、旬を迎えたサケなどを献立メニューに加えた
「秋の恵み学校給食」が児童たちに振る舞われた。
地元水産業を支えるサケの生態やおいしさにも、理解を深めていた。

市の主要水産物である「秋サケ」を主とした県産食材を、
学校メニューに取り入れ、児童たちに県産品や食文化に
関する理解を深めてもらい、地産地消の推進を図ろうと開催。
大船渡、綾里、崎浜、吉浜の各小学校で行われた。

大船渡小では、5年生52人が迎える中、
甘竹勝郎市長ら市、県大船渡地方振興局の関係者も訪問。
甘竹市長は、「岩手で獲れる魚をたくさん食ぺて、
一生懸命勉強、スポーツしてください」

この日出されたメニューは、「サケのみそマヨネーズ焼き」、
「さつまいもごはん」、「えのきとしめじのみそ汁」など。
サケだけでなく、きのこ類、みそ汁で使用したサバだしなども県産が使われた。

児童たちは大きな口で頬張り、秋の味覚を満喫。
給食を食べた布田皇くんは、「実物のサケも見せてもらったけど大きかった。
サケは家でもよく食べます」

http://www.tohkaishimpo.com/

2008年11月12日水曜日

オートファジー:たんぱく質分解機能、インスリンの正常分泌を保つ

(毎日 11月9日)

血糖値を下げるインスリンの正常な分泌に、
「オートファジー」(自食作用)と呼ばれる細胞内のたんぱく質分解機能が
深くかかわっていることを、順天堂大などが突き止めた。

この機能を活性化できれば、インスリンの働きが悪くなる2型糖尿病の治療や、
発症抑制に役立つ可能性がある。
インスリンは、膵臓のベータ細胞から分泌される。

研究チームは、インスリン分泌の仕組みを調べる中で、
生物が細胞内のたんぱく質を分解し、自らの栄養分にし、
同時に細胞内をきれいに保つ「オートファジー」という恒常性維持機能に着目。

オートファジーの遺伝子がないマウスを作って観察したところ、
普通のマウスよりインスリンの分泌量が少なく、分泌のタイミングも遅かった。
ベータ細胞が、異常に細胞死を起こして減ってしまうことも分かった。

このマウスに高脂肪食を与えると、
高血糖を起こしてヒトの2型糖尿病と同様の症状が表れた。
2型糖尿病は、食事などの生活習慣が主な原因とされ、
肥満の患者はインスリンの働きが悪いことが分かっている。

研究チームは、オートファジーがベータ細胞内の不要なたんぱく質を
分解して健やかさを保ち、インスリンの正常な分泌を助けていると推定。

綿田裕孝・同大准教授(内科・代謝内分泌学)は、
「オートファジーがベータ細胞の機能や、
2型糖尿病に関係していたことが初めて分かった。
オートファジーが活発であれば、肥満になっても糖尿病になりにくいのではないか」
米科学誌「セル・メタボリズム」(電子版)に発表。

http://mainichi.jp/select/science/news/20081109ddm016040031000c.html

遺伝子変えて「酒豪マウス」 アルコール依存解明の一端

(朝日 2008年11月9日)

細胞で、カリウムの濃度調整にかかわっているたんぱく質の
働きを抑えると、マウスが「酒飲み」になってしまうことがわかった。
米マサチューセッツ大学グループが米科学アカデミー紀要(電子版)で発表。
アルコール依存症の仕組みの一端を解明する成果として注目。

グループは、ヒトの細胞を使った実験で、
神経や血管などの細胞膜でカリウムの濃度を調整する
「BKチャネル」というたんぱく質が働くと、
アルコール(エタノール)の影響を受けやすくなる。

BKチャネルの一部を働かなくした遺伝子改変マウスを作り、
ふつうのマウスと比べてみた。
おなかにエタノールを注射して、5~15分間の行動を観察すると、
遺伝子改変マウスは5分後では動きが鈍るものの、10分後はやや回復。
4日後の実験では、10分後には完全に回復するという、
酒に強いマウスになっていた。

ふつうのマウスは動きが鈍り、15分後でもいわゆる「酔った」状態に。
4日後に同じ実験をしても、結果は変わらなかった。

http://www.asahi.com/science/update/1109/TKY200811080180.html

授業を変える(1)楽しくクイズ 理解度を把握

(読売 11月4日)

手のひらサイズのリモコンが、大教室での授業を活気づかせる。

「さあ、クイズです」。
北海道大学の鈴木久男准教授(47)(素粒子物理学)の合図で、
水産学部の1年生約120人が教壇のスクリーンに、
「クリッカー」と呼ばれるリモコンを向け、一斉にスイッチを押した。

「基礎物理学2」の授業。熱エネルギーに関する問題。
すぐに選択肢ごとの解答数が、スクリーン上の棒グラフで映し出された。
正答者は3割。
「難しかったですか?」と鈴木さんが問いかけると、
今度は難易度を5段階で尋ねる画面が現れ、学生はまたスイッチ。
半数を占めた「難しい」に、鈴木さんはうなずき、授業をやり直し始めた。

クリッカーを導入して1年半。
理解度をクイズで確認しながら進める授業は、
居眠りや私語に逃げ込む学生をなくした。
物理嫌いの学生にも、「クイズ番組みたいで楽しい」と好評。

鈴木さんが、クリッカーを初めて目にしたのは5年前。
視察で訪れた米国カリフォルニア大バークレー校でのこと。
学生約500人が、真剣な表情で講義に臨んでいた。
静寂が破られたのは、学生がクリッカーを手にする時だけ。
「うらやましい」と心底感じた。

名古屋大学の大学院を修了後、大阪大学を経て13年前に北大に着任。
10分と持たずに寝たり、私語をしたりする学生にうんざりしていた。
だが同時に、自分が授業を工夫していなかったことにも気づかされた。
板書しながら、一方的に講義するだけ。
かつての自分はそれで理解できたから、
わからない学生の気持ちを考えたこともなかった。
「わからないから、私語や居眠りをするのか」。
クリッカーは、それらを解決する“万能薬”に映った。

帰国後、クリッカーを使った教授法を独自に学んだ。
1台1万円近くかかることもあり、当初は挙手での解答を求めたが、
学生は人前で間違えて恥をかくのを恐れ、ほとんど参加しない。
必要なのは、だれが何と答えたかわからない匿名性と気づき、
大学と掛け合って購入にこぎ着けた。

使い始めてすぐ、有効活用にはコツが要ると知った。
まず話し方。
「口べた」を自認する鈴木さんは、クイズ番組に出演するタレントの
みのもんたさんや島田紳助さんの話術を研究し、
「正解は……」の後、言葉を少しためる工夫をし、
ユーモラスに語りかけるよう努力もした。

クイズは、難しすぎても易しすぎても飽きる。
全問正解が出ないように設計し、難しい時には学生同士で話し合わせ、
教壇で実験をして視覚で理解させる。
学生自身に、クイズとその解説を作らせるのも毎回の課題にした。
最高正答率の学生には、賞品として100円程度の文具を出すことも。

90分授業で、クイズは約20問。
説明時間に限界があるため、授業は「学ぶきっかけの場」と割り切って
基本的な内容に絞り、枝葉は自習に委ねている。
そのためのウェブを開き、自習用の参考資料や問題、小テストを用意した。

今春からは、「基礎物理学」を教える武貞正樹講師(41)も使い始めた。
学生に渡すクリッカーの登録番号で、個々のつまずきが把握できるため、
「瞬時に授業を変え、個々の学生に対応できる」。

導入による成果は、まだ正確には測れないが、
宿題の解答からは学習の形跡が見られるようになった。
鈴木さん自身も変わった。
かつて「研究がしたいだけ」で選んだ道だったが、
今は「授業が楽しい。教育は奥深い」と笑う。

新しい小道具が、授業だけでなく、
学生と教員も変える手段として根付こうとしている。

◆クリッカー

欧米の大学で急速に広がる授業用のリモコン。
盤面には、「0」から「9」までのスイッチが並ぶ。
押すと、受信装置をつけたパソコンが自動的に集計し、
スクリーンに映し出す。
米国ではハーバード大やマサチューセッツ工科大でも多用され、
国内では東北大や高知工科大などでも活用が始まっている。

◆「主体的に学習」の工夫 一方的な講義減少

事実上の全入時代を迎えた大学は今、「学生に教える場」から、
「自ら学ぶきっかけ作りの場」に変わろうとしている。
主眼は、授業改革だ。
今年4月、文部科学省の大学設置基準が改正され、
教育力向上の組織的な取り組みが大学に課せられた。
単に学生を集めるだけでなく、きちんと育てて卒業させる責務が
大学に問われている。授業改革は、時代の必然の産物。

大教室での一方的な講義は減りつつある。
学内のウェブサイトに授業と連動した自習プログラムを載せて、
予習や復習を課し、学生同士で調査・議論させるなど、
主体的に学ばせる工夫を凝らす大学が目立つ。

読売新聞の「大学の実力 教育力向上への取り組み」調査によると、
学生の意欲喚起のために、何らかの取り組みを組織的に行っている大学は、
回答した499大学中380校、76%にも上った。
55大学は、「1年以内に実施する予定」と答えている。
意欲や目的意識のない学生をどうするかは、大学共通の課題。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081104-OYT8T00190.htm

学校の太陽光発電導入を促進、企業が一部負担…政府方針

(読売 11月8日)

政府は、温室効果ガスを削減するため、
公立小中学校に太陽光発電の導入を促進する制度を作る方針。

10月から始まった国内排出量取引制度に基づき、
企業が、設備の設置費用の一部を負担、資金の拠出度合いに応じて、
温室効果ガスの削減量に算入できるようにする。

企業に比べて、学校などの公共施設は温暖化対策が遅れ、
年度内にモデル事業を始める見通し。
公立小中学校にとっては、企業に資金を出してもらうことで、
太陽光発電の設置費用の負担が軽くなり、省エネ効果で光熱費も安くなる。

企業にとっては、京都議定書の目標達成に向けて、
「国内排出量取引制度」が始まったため、減産などをしなくても、
温室効果ガスの削減を加速できる。

経産省の推計では、全国約3万2000校の公立小中学校の8割が
太陽光発電を導入すれば、年間発電量は一般家庭15万世帯が
太陽光発電を設置した場合の発電量に相当する
5・1億キロ・ワット・アワー程度。

二酸化炭素の排出量は、大手鉄鋼メーカーの年平均削減量に相当する
年間約23万トンを減らすことができる。

政府は太陽光発電の導入を、発電量ベースで2020年に05年の10倍、
30年に40倍に増やす方針、公共施設での普及に弾みをつけたい考え。
経産省は、文部科学省、国土交通省、環境省、厚生労働省と連携し、
道路、鉄道などにも同様の仕組みを作る考え。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20081107-OYT1T00806.htm

2008年11月11日火曜日

インタビュー・環境戦略を語る:キリンホールディングス・加藤壹康社長

(毎日 11月3日)

大手メーカー4社がひしめく国内ビール業界。
激しい販売競争とシェア争いが続くが、その一方で、
缶ぶたの仕様共通化やビールの共同配送など、
ライバル会社同士が環境面で協力する動きも出始めた。
企業の枠を超えた連携をリードするキリンホールディングスの
加藤壹康社長に環境への取り組みを聞いた。

-ライバルメーカーとの連携が進んでいますね。

◆段ボール原紙の共同調達、ビールの缶ぶたの仕様共通化でサントリーと協力。
サッポロビールとは、北海道の一部地域で、
ビールや清涼飲料の共同配送に取り組んでいる。

もちろん消費者のために、競争はしっかりやらなければならない。
自社製品の技術を磨いて、より優れたものを提供していく。
ただ、省資源など業界で取り組めることも多く、
2年ほど前から連携を提案してきた。

-効果は?

資材を供給する側はメーカーごとの在庫を持たなくて済み、
経済効果も大きい。
物流面でも、1社で運ぶと地域と季節によっては、
トラックの荷物が満杯にならず、効率が悪かった。
共同配送で二酸化炭素(CO2)削減の効果は出ている。
他の地域でも導入を検討していきたい。

-12年までに工場のCO2排出を90年比で半減するという高い目標。

◆燃料を、重油からCO2排出の少ない天然ガスに転換して効果が出ている。
キリンビールは、廃水を微生物で分解処理し、その際に出るメタンを
エネルギー源として再利用するなどの取り組み。
目標は、かなり前倒しで達成できる見通し。

-環境問題に取り組む意義は?

キリングループのビジネスは、「大地のめぐみ」のおかげで成り立っている。
ビールに使う麦やホップ、ワインに使うブドウなどの原材料は、
まさに大地のめぐみ。
事業を継続していくために、環境保全は避けては通れない。
地球環境が危ぶまれる現象も出始めており、
もっと積極的にやらなくてはいけない。

-メーカーは良い製品をつくるだけでは不十分か?

率先して環境問題に取り組むことが、消費者の評価につながる。
商品・サービスの良しあしだけではなく、
企業がどれだけ環境に配慮しているかが、
消費者の購買基準の中に組み込まれている。

環境問題への取り組みは、コストととらえがちだが、経営の効率化、
企業の成長につながるととらえるべき。
90年代にビール瓶を21%軽量化したが、一度に運べる量が増えるなど
輸送効率が12%向上。
環境問題の取り組みが、製品開発につながる技術革新を生むなど
プラスの面が増えている。
==============
◇かとう・かずやす
慶応大商卒、68年キリンビール入社。
北海道支社長、常務酒類営業本部長など経て06年社長。
07年7月に持ち株会社化し、社長。静岡県出身、63歳。

http://mainichi.jp/life/ecology/news/20081103ddm008020040000c.html

脳動脈瘤の関連遺伝子特定

(サイエンスポータル 2008年11月10日)

くも膜下出血の主原因となる脳動脈瘤の発生にかかわっていると
見られる遺伝子を、東海大学総合医学研究所などの研究チームが発見。
今後、遺伝子がどのように脳動脈瘤の発生に関与しているかを
研究することで、脳動脈瘤によって起きるくも膜下出血の予防や
治療法開発につながると期待。

東海大学総合医学研究所の井ノ上逸朗・教授らは、
米エール大学医学部脳神経外科のムラート・グネル教授と共同で、
日本、欧州の脳動脈瘤患者2,200人と脳動脈瘤を持たない8,000人の
ゲノムを比較。
DNAの配列がわずかだけ異なる「遺伝子多型」を調べることで、
病気の原因遺伝子を探す研究手法が使われた。

研究の結果、脳動脈瘤患者とそれ以外のグループでは
3つの遺伝子領域で明らかな差が見つかり、
この3遺伝子領域が脳動脈瘤の発生にかかわっている。

脳動脈瘤は、糖尿病や高血圧などと同様に複数の遺伝子だけでなく、
環境要因も複雑に絡み合って発生する。
くも膜下出血は、脳を覆うくも膜と軟膜の間にできた動脈瘤が破れて出血し、
膜の間にあふれた血液によって脳全体が圧迫される。
脳卒中の10%強を占めている。
発症者の約半数が死亡、20%程度に重い後遺症が残る。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0811/0811101.html

英語は習い始め時期より長期の学習

(サイエンスポータル 2008年11月7日)

英語は習い始める時期が早いかどうかより、
長期にわたって学び続けるかどうかが大きな影響を与えるという結果が、
東京大学と宮城学院女子大学の研究チームによって明らかに。

酒井邦嘉・東京大学大学院准教授らは、脳に一切悪影響を与えず
脳の活動変化を追跡できる機能的磁気共鳴映像法(fMRI)という手法を用い、
言語の処理にかかわっている「文法中枢」と呼ばれる脳の部分が、
英語の課題を与えたときにどのように活動するか調べた。

研究の対象となったのは、中学1年から英語を学び始めた中高生18人と、
小学1年生から学び続けている中高生12人。
研究の結果、課題を与えられた際、脳の「文法中枢」と、
その近くに位置する「文章理解の中枢」部が活発に活動することが観察。

その活発度は、中学1年生から英語を学び始めた18人(短期習得グループ)が、
成績がよいほど脳活動も活発化していたのに対し、
小学1年から学び続けている12人(長期習得グループ)は、
英語力が身についているものほど脳の活動は活発でない、
つまり脳活動の節約(省力化)が見られた。

酒井准教授らのこれまでの研究で、英語を中学1年から学び始めると、
その後の6年間の学校教育により英語が定着するに従って、
脳の「文法中枢」の活動が高まり、維持され、その後節約(省力化)される
という変化が見られることが分かっている。

英語は6年くらい長く学ぶと、身につくにつれて当初、
活発に働いていた脳の「文法中枢部」をそれほど使わなくても済むようになる
という結果が出ていた。

今回、小学1年生から学び始めたケースについての新たなデータが
付け加わったことで、「外国語としての英語力の定着は、
習得開始の年齢だけでは説明できず、
6年以上にわたる英語接触量の重要性が強く示唆された」

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0811/0811071.html

宮スタ「アクセス最低」 バス、マイカー立ち往生

(河北新報 11月10日)

宮城スタジアムで9日行われたベガルタ仙台―広島戦では、
渋滞に巻き込まれて試合開始に間に合わない観客が続出、
スタジアム周辺の交通事情の悪さがあらためて浮き彫りに。

渋滞は、開場1時間前の午前10時ごろから発生。
時間とともに混雑に拍車が掛かり、最寄りのJR利府駅からの
シャトルバスの所要時間は通常15分が、
ピーク時には30分以上を要した。
仙台市太白区の会社員男性(56)は、
「宮スタの試合は初めてだが、アクセスは最低。
満員のバスで立ちっぱなしはきつい」とぐったり。

約2000台分を確保したスタジアム駐車場は、正午ごろには満車。
急きょ近隣の県サッカー場や利府中央公園野球場などの駐車場を
開放して対応したが、マイカー客からは不満の声が続出。

仙台市青葉区の会社員木村真也さん(36)は、
「正午に着くように家を出たが、渋滞で30分遅れ、
臨時の駐車場からスタジアムまで歩いて30分。
こんな会場の試合は2度と来ない」と怒り心頭。
試合後も、駐車場は大混雑。
スタジアムを出るだけで30分以上も要した人も多かった。

本拠地ユアテックスタジアム仙台の改修工事が行われる来年は、
10試合程度の開催が予定、混雑解消は大きな課題。
クラブの安孫子博専務は、「今回は至らないところがあった。
いろいろな意見を集約し、次の開催に生かしたい」。

◎サッカー協会田嶋専務理事

日本サッカー協会の田嶋幸三専務理事が、
9日の宮城スタジアムのベガルタ仙台―広島戦を視察、
2005年以来途絶えている同スタジアムでの日本代表戦開催について、
「東北のサポーターの期待もあるので、前向きに考えたい」。

田嶋専務理事は、代表戦の誘致を目指す宮城など
東北各県のサッカー協会の要請で来場。
アクセスが課題の同スタジアムの実情を確かめるため、
JR仙台駅から在来線とバスを乗り継ぎ1時間以上かけて来た。
「移動で、サポーターがストレスを感じないようにしないとならない。
(代表戦は)サポーターが快適に観戦できることが大事だ」、
公共交通機関との協力体制の強化を課題に挙げた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081110-00000010-khk-l04

2008年11月10日月曜日

北京五輪「金」のワンジル選手訪問 洋野・大野一中

(岩手日報 11月7日)

洋野町の大野一中(中村晴彦校長、生徒168人)に、
北京オリンピック男子マラソンで金メダルに輝いた
サムエル・ワンジル選手(21)=ケニア=が訪れ、
特設駅伝部の生徒たちに長距離走の基本を教えた。

ワンジル選手は、同校グラウンドで約1時間にわたり
ペース配分の方法や腕の振り方などを丁寧に指導。
百鳥光太君(3年)は、「苦しいときに我慢することの大切さを教わった」と感激。
ワンジル選手の訪問は、同校の父母が、インターネット関連会社などが
企画した「スポーツ応援プロジェクト」に作文を送り、
最高賞に選ばれたことから実現。

アワビ漁初開口 トップ切り吉浜漁協で

(東海新報 11月7日)

気仙沿岸のトップを切って6日早朝、大船渡市三陸町の吉浜漁協で
アワビ漁が口開けした。
初日の水揚げ量は、合わせて3.4トン、まずまずのスタート。

同漁協は、先月末の事前入札で10キロ当たり5万円台と、
地区内最高値がついており、待ちに待った海の幸の初開口に、
浜は久しぶりに活気づいた。

“キッピンアワビ”のブランドが定着している吉浜産のアワビは、
第一期(11月分)事前入札会では、10キロ当たり5万1500円
(気仙地区平均価格は4万6000円)の最高値。

初口開けとなった同日は、早朝から穏やかな日和に恵まれ、
小型船約220隻が海の幸を求めて一斉に出漁。
岩場近くに集まった各船上で、箱形の水眼鏡で海底をのぞき込みながら、
カギのついた長い竹竿を器用に操ってアワビを一つひとつすくい上げた。

5~7年成育した殻長9センチ以上のアワビを積んだ船が、漁港に到着。
吉浜漁協職員らが待機する受渡所に、見事なアワビが次々と持ち込まれ、
浜には笑顔が広がった。

「ナギ、透明度もまずまずだが、あまりサオが動いていない」、
中にはカゴいっぱいに大粒のアワビを水揚げした組合員もあり、
「これからの海況しだい。値段が安い分、昨年よりいくらでも多く獲りたい」、
今後の漁に期待を込めていた。

この日の水揚げは3.4トン強、昨年より65%にとどまったが、
“海の小判”を待ち受けていた業者などに次々と引き取られていった。

同漁協では今月中に6回の口開けを行い、12トンを出荷する予定。
気仙沿岸の各漁協でも、次々と口開けする予定で、
年内いっぱい浜はアワビ漁で忙しいシーズンを迎える。

http://www.tohkaishimpo.com/

人格パターンは体重に影響を及ぼす可能性

(WebMD 10月31日)

減量に関して、成功しやすい人とそうでない人がいるのはどうしてか?
単にカロリーの問題もなく、トレッドミルに費やした時間だけの問題でもない。
それには、人格も関わっている。

Robert Kushner(Northwestern Comprehensive Center on Obesity:
米国北西部総合肥満センター)、Dawn Jackson Blatnerは、
21種類の人格タイプを挙げ、各人格タイプの人が
食事、運動、ストレスに対処する方法について説明。

これらの人格タイプは、Blatner博士らの著書、Counseling Overweight Adults:
The Lifestyle Pattern Approach and Tool Kit
(肥満成人のカウンセリング:ライフスタイルのパターンおよびツールキット)に記した。

◆7つの人格パターン

Kushners博士とBlatner博士は、肥満者によく見られる、
永久に減量が難しい人格パターンを挙げている。

摂食に関連する7つの人格パターン
1)食事を抜く人
2)夜間飲食者
3)便利な食事をする人:外食が多い
4)果物が少なく、ご馳走を食べる人:果物や野菜が不足
5)常に間食する人
6)食べる分量が多い人
7)両極端に揺れる人:食事療法の「優等生」と「落第生」との間を揺れ動く

運動に関する7つの人格パターン
1)ソファ支持者:あまり動かない人(カウチポテトなど)
2)不安な参加者:運動に気後れする
3)初めての人:運動の初心者
4)全か無かの人(All-or-nothing doer):任務を熱心に遂行した後、何もしなくなる
5)きまりごとを繰り返す人:きまった同じ運動を何度も行う
6)身体を曲げると痛む人(Tender bender):痛みのために運動が制限
7)運動を先送りにする運動選手(Rain-check athlete):やる気はあるが実現しない

ストレス対処に関する7つの人格パターン
1)感情的に食べる人
2)自分を綿密にチェックする人:否定的なセルフイメージを持つ
3)絶えずぐずぐず先延ばしにする人
4)他人を喜ばせる人:他人に関心を向けすぎ、自身の時間もエネルギーもない
5)忙しすぎる人(Fast pacer)
6)食事療法に対して疑い深い人:自分は成功できないのではないかと疑う
7)背伸びしすぎる人:非現実的な目標を立て、失望する人

◆人格パターンの利用

はじめに50問の質問調査に回答。
栄養士は、21の人格パターンのそれぞれにランクを示す棒グラフを作成。
カテゴリーごとに、複数のパターンに該当してもよい。
摂食カテゴリーでは、他人を喜ばせる人、便利な食事をする人が最高ランクに分類、
運動カテゴリーでは、ソファ支持者と身体を曲げると痛む人、
ストレス対処カテゴリーでは、感情的に食べる人と他人を喜ばせる人が最高ランク。

次に、人格プロファイルに合った体重とライフスタイルのプランを作成。
「患者は、型にはまった方法は望まない」。
Blatner博士は、目標に向かって小さな達成可能なステップを進め、
「一度にひとつの巧妙な(tricky)ライフスタイルの状況」に取り組むことを推奨。

栄養士と連携していない人に対しては、21の人格パターンを見直し、
各カテゴリーから自分に一致するものをいくつか見つけ、
それらのパターンに対処する方法を探すように提案。

食事を抜く人は、食事のスケジュールを立て、
感情的に食べる人は、自分の感情に対処する別の方法を見つける。
Blatner博士は、書物Dr. Kushner's Personality Type Diet
(Kushner博士の人格タイプ別食事療法)も推薦。

◆体重の経時的グラフの作成

体重の経時的グラフを作成することも有用。
方法は次のとおり。
白紙を1枚用意し、時間を横軸に、体重を縦軸にとる。
18歳以降の体重を記し、転換点付近にメモを付す。

大学時代に体重が増加し、結婚直前に体重が減少、妊娠中に再度増加、
その後減少、仕事で降格後にさらに増加したというグラフ。
出張で体重が増加し、一時的に運動したが、
食事に対処しなかったために問題は解決しなかった増減サイクルのグラフ。

後から省みることによって、前進する際に有用性がわかるヒントが得られる。
カロリーは重要だが、健康的な体重に至るための自分自身の道があり、
独自の道を見つけるには、自分の過去と人格についての認識が必要。
そうした認識を持つことは道を外れない助けになるし、
「遵守すればするほど、成功する可能性が高くなる」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=82651

英語力つくと「省エネ脳」 学習期間で活動に差

(共同通信社 2008年11月6日)

小学1年から英語を学んだ中高生は、中学から学び始めた生徒より、
脳が働かなくても英語を理解できるとの研究結果を、
酒井邦嘉・東京大准教授(言語脳科学)らがまとめ、米科学誌に発表。

酒井准教授は、「英語力がつくほど、考えなくても答えが出る
『省エネ脳』になることを示している。
6年以上、英語に接する重要性を示唆するものだ」。

小学1年から毎日英語の授業を受けた中高生12人と、
中学から勉強を始めた18人を対象に、
脳血流の変化を測る機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)を使い、
英語の文法問題を解いている最中の脳の活動を調べた。

両グループの成績の平均値に大差はなかったが、
中学からのグループでは、成績の良い生徒ほど文法をつかさどる
左脳の中枢の活動が活発化。
逆に、小学校からのグループは成績の良い生徒ほど
活動が盛んでなかった。

英語習得の初期には、この文法中枢の活動が高まり、
英語力が定着するほど文法中枢を使わなくても
英語を処理できるようになってくるためだとみられる。

注)米科学誌はHUMAN・BRAIN・MAPPING

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=82576

2008年11月9日日曜日

16年五輪招致:オバマ氏勝利でシカゴに「追い風」期待

(毎日 11月5日)

米大統領選で、民主党候補のバラク・オバマ上院議員が勝利。
オバマ氏は、16年夏季五輪開催地に立候補したシカゴ市内に自宅を持つ。
シカゴのデイリー市長は、「バラクが五輪運動の後ろに控えていることは重要。
大統領の助けで、大きな前進を果たすことができる」

シカゴは96年アトランタ大会以来、20年ぶりとなる米国での
夏季五輪開催を目指す。
地元では、オバマ氏の大統領就任が東京、マドリード(スペイン)、
リオデジャネイロ(ブラジル)との招致争いに「追い風」になると
期待する声が大きい。

初の黒人大統領になるオバマ氏の清新なイメージや、
国際社会との「対話」を重視してイラク戦争には反対の立場をとる姿勢などから、
英BBCの調査ではブッシュ共和党政権の単独行動主義に批判的だった
欧州諸国で、同党候補のマケイン氏より高い好感度を得た。

16年五輪開催都市は、来年10月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で
決まるが、投票するIOC委員の好感度も高まるとの見方も強い。

12年ロンドン夏季五輪は英国のブレア首相、14年ソチ冬季五輪は
ロシアのプーチン大統領(ともに肩書は当時)が、
招致活動に大きな役割を果たしたとの分析結果もある。
オバマ氏自身も今年6月、シカゴで開かれた16年夏季五輪招致イベントで
「16年は私が大統領任期の2期目を終えるころだ」と語り、
8年後のシカゴ五輪実現に向けても前向きな姿勢。

◇石原都知事「こっちはこっちの姿勢で戦う」

東京五輪招致委員会会長の石原慎太郎・東京都知事は、
「オバマさんの(16年五輪への)姿勢や評価は知らないが、
こっちはこっちの姿勢で戦わざるを得ない。
世界の歴史のうねりの中で、米国の限界をみんなが感じ出している。
(開催地の)投票をする人が、そういう流れをどうとらえるか」などと話した。

日本オリンピック委員会(JOC)の市原則之常務理事は、
「シカゴには追い風だろう。東京はまず足元を固め、
国内を盛り上げていくことが大事」、
「最近の五輪招致は、国の支援の度合いが大きく影響する。
日本もそのレベルの方にぜひ(IOC総会に)行ってもらいたい」と、
首相の総会出席も含む政府支援の必要性を強調した。

http://mainichi.jp/enta/sports/news/20081106k0000m050114000c.html

ソニーと慶應大学が人材育成で協働プロジェクト

(サイエンスポータル 2008年11月5日)

ソニーと慶應義塾大学は、人材育成で密接に協力していくことで合意。
ソニーが慶應大学に大学院修士課程、博士課程の学生を対象にした
寄付講座を設置するほか、慶應大学の留学生を含む大学院生を対象に、
3カ月から1年のインターンシップをソニーで行うことなどが含まれている。

寄付講座では、企業における経験に基づいた教育を行い、
学生が専門性を高め、社会的な問題を解決することができる
高い能力と判断力を身につけることを目指す。

2009年4月、大学院理工学研究科に「イノベーション創出戦略マネジメント」
講座を開講する予定。
将来は、慶應大学教員とソニー技術者の交流も行い、
研究者、技術者としてそれぞれ多様な経験を積み、
さらなる成長を図ることも目指す。

インターンシップは、学生の研究環境の拡大や、産業界に精通した
人材育成が狙いで、大学は単位を認定する予定。

ソニーが、家庭用ゲーム機「プレイステーション3」150台を提供、
家電製品への応用の可能性について共同研究も実施する。
国内の大学は、工学系へ進学する学生数の減少や、
大学院博士課程修了者の就職難といういわゆるポスドク問題で悩んでいる。

ポスドク問題の解決には、学会や大学でいろいろな試みがなされているが、
数学の博士課程在籍者を一定期間、企業にインターンシップさせて
効果を挙げている九州大学の例などがある一方、
学生側にアカデミズム志向が強すぎるといった産業界からの不満の声も根強い。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0811/0811051.html

平泉循環バス好調 8-10月利用者1.6倍

(岩手日報 11月6日)

平泉町の名所を巡る循環バスの利用が増えている。
10月末までの3カ月間の利用者数は、前年同期比約1・6倍。
特に9月は約2倍と好調。
岩手・宮城内陸地震による観光客減も心配されたが、
今夏始めた土日祝日の増便や、名所の風景を車体にデザインした
「ラッピングバス」によるPRなどが効果を挙げている。

運行する県交通は、来季から運行時間の拡大を検討。
平泉町も利便性向上に意欲を見せる。

バスは中尊寺、毛越寺など町内の名所を回る「るんるん」。
1回券140円、1日乗り放題券300円。
土日祝日はほぼ15-20分間隔で運行。

7月の利用者数は前年度並みだったが、
8月は1万733人(前年同月比約1・5倍)、9月は1万229人(同約2倍)。
10月は6847人(同約1・5倍)の利用。

富山県射水市から夫婦で訪れた二日市千代さん(53)は、
1日乗り放題券で中尊寺や高館義経堂を回り、
「料金の安さ、バスがすぐ来るのがいい」と喜んでいた。

循環バスは8月末、土日祝日を平日の約2倍に増便。
平泉町によると、利用者増加の理由は増便に加え、
▽名所の風景写真のラッピングバスによるPR効果、
▽原油高で公共交通機関の利用が注目された-などが考えられる。
今季の運行は今月末まで。

平泉町の藤澤義人世界遺産政策監は、
「10月から英語の車内放送も行っている。
外国人の利用促進も図りたい」とさらなる利便性向上を目指す。

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e200811/e0811061.html

大脳皮質の層状培養に成功 理研、ES細胞で世界初

(共同通信社 2008年11月6日)

高次の脳機能をつかさどる大脳皮質の神経組織を、
人やマウスの胚性幹細胞(ES細胞)から層状に培養することに、
理化学研究所チームが世界で初めて成功し、米専門誌に発表。

特有の神経刺激が起きることも確認。
失われた脳機能を回復する再生医療に役立つ一方、
生きた組織でワクチンや治療薬を開発するなど創薬分野への応用が期待。

理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹グループディレクターは、
「きちんと働く脳をつくるのはまだ無理だが、
発達過程に関する理解が大きく進みそうだ」。

チームは、ES細胞からつくった神経前駆細胞を容器内で浮かせて
立体培養する技術を開発。
人とマウスで、胎児期の大脳皮質とそっくりな4層に分かれた
神経組織をつくるのに成功。
きれいに並んだ細胞が、そろって神経刺激を発する
大脳皮質特有の現象もみられ、基礎的なネットワークが形成されているのを確認。

これまで神経細胞の集まりは培養できたが、
秩序だった働きを持たせるのは無理だった。
笹井さんは、「より自然な培養環境を整えたことで、
本来あるべき姿に自己組織化されたと考えられる」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=82568