2010年6月19日土曜日

安心して患者の治療させて 患者も診療の継続訴え 無免許医療で2審まで有罪 「地球人間模様@コリア」「103歳の韓方医」

(2010年6月9日 共同通信社)

「私は、懲役を受けるようなことをしていない。
国家は、法律で医師免許を得たものだけから、
治療を受けろというが、それなら、国家が患者の生命に
責任を負ってくれるのか。
私の願いは、安心して病気の治療をさせてほしいということ」

ソウル市東大門区の自宅で韓方医、張炳斗(チャン・ビョントゥ)
103歳とは思えないはっきりした口調で自らの心情を語った。

最近の韓国では、韓国で発達した「漢方」として、
「漢方」を「韓方」と表記することが多い。
張は、環境や食生活の変化により、昔の漢方だけでは
今日の現実に効果的に対応できない。

中国の三国志演義に、後漢末期の「華佗」という伝説的な名医が登場。
民衆に「神医」といわれた。
がんや難しい病気の治療をしてほしいと訴える患者たちは、
張を現代の「華佗」とたたえる。

張は、医師免許を持っておらず、「無免許医師」と批判。
張は、2006年に医師免許なく医療行為をしたとして訴えられ、
同年12月に一審で懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決。
07年、二審も一審と同じ量刑、現在、大法院(最高裁判所)で係争中。
張は今、治療をしたくてもできない。

1906年10月、韓国南部の全羅北道任実郡で、
4人きょうだいの2番目に生まれた。
生後2カ月の時、やけどで背中がひどくただれ、
10歳になってようやく治った。
両親は長く生きることができないと思い、それまで出生届を出さず、
戸籍上は16年生まれ。

背中のただれを治してくれたのは、医師だった母方の祖父。
その祖父から、背中の病気の治療法を教わったが、
「治療法は、誰にも言ってはいけない」と口止めされた。

張が14歳の時、父と2歳上の兄が亡くなり、母方の祖父も死亡。
母は、生活のために田を売り、張は14歳で一家を
支えなくてはならなくなり、学校にも行けなかった。
食堂の下働きなどさまざまな仕事をし、
ドジョウを捕って売り、生計を支えるなどした。

17、18歳ころから薬草に興味を持ち、約3千種類の薬草を研究。
自分で口に入れたり、犬に食べさせたりしながら効能を調べた。

父が生きていたころ、よく家を訪れた林学(イム・ハク)という道士がいた。
林学は張をかわいがり、「おまえは薬を知り、かわいそうな民衆を
病気から救わねばならない」と、張を連れ、
韓国南部にある智異山に入りともに修行をし、
山野をめぐり薬草を教えた。
張は、さらに独自の修行を積み、観相学なども学んだ。

31歳で17歳の妻と結婚、妻は戸籍を信じて21歳と思っていた。
1男1女をもうけた。
息子を小学校しか行かせなかった。
息子は、大学入試の検定試験を受け、大学へ進み、
韓医学を専攻して今は韓方医となっている。

張はその後、人相見や鉱脈探しなどの仕事を経て、
30年以上前から韓方医として活動を始めた。
医師免許はなかったが、人々はがんや持病に大きな効果があったと、
張の治療を求めて集まった。

張は、薬の調剤方法を韓方医をしている息子にも教えない。
薬剤の成分なども秘密。
「薬は、患者の状態などを見て判断するもので、
一律的に定めることができない。
患者を治す調剤方法は、心から心に伝えるものだ。
まだそれを伝えるだけの人物に出会っていない」

2006年に訴えられた後も、張の治療によって病気が好転したという
患者たちは診療を続けてほしいと訴えた。

韓国マスコミでも、張の事件が報じられた。
がんや持病などの治療を受けて効果があったという
患者たちの声が多数、紹介、現代医療から見放された患者や
家族から多くの問い合わせが寄せられるなど、大きな反響。

「治療の効果が出ると、本当に気分が良くなる。
死に向かっている人が私の処方で生き返り、
『先生、ありがとうございます』と言ってくれる時が、
自分が生きている目的に目覚める瞬間だ」
患者たちに再び治療することを願いながら、裁判所の判断を待つ日々。

韓国の著名な詩人、金芝河(キム・ジハ)は、
張炳斗(チャン・ビョントゥ)の医術を高く評価、
その治療を認めるべきだと主張する支持者の一人。

金は、抵抗詩人として軍事政権時代に5年9カ月を獄中で送った。
長い独房生活から精神に異常をきたし、12回も入院し、
3回も自殺を図った。

そんな金が張に出会った。
張はまず、「一文の値打ちもない憤怒を遠ざけなさい」と。
張は、初めて会った金について、「正直な人間、
一つの道を歩む人だと思った。たくさん苦労してきたと感じた」

金は張の薬で、それまで手放すことができなかった
精神安定剤や睡眠薬などを絶つことができた。
約2カ月で、苦しみを与え続けた悪夢がうそのように消え、
安らぎを得た。
2人の息子は、金の精神障害に衝撃を受け、
極度のうつ症状に陥っていたが、これも張の治療で治った。
金は、「張先生の医学こそが、最高の生命学と信じる」と評価。

張の支持者たちは、インターネット上に、
「張炳斗おじいさんの生命医術を生かす集い」というサイトを立ち上げ、
その会員は約2万3千人。

張の支持者たちは、「代替医学」という観点から、
張の医療が許されるべきだと訴える。
現代医学で治せない病気については、医師免許がなくても
韓方などに特別な能力を持った者の治療が許されるべきだという主張。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/9/121416/

AIM、脂肪塊溶かすたんぱく質 72時間後に1/4に減

(2010年6月9日 毎日新聞社)

脂肪の塊を溶かす働きを持ったたんぱく質を、
宮崎徹・東京大教授(疾患生命科学)らが発見し、
9日付の米医学誌セル・メタボリズムに発表。

このたんぱく質を接種したマウスの体重は減った。
研究チームは、肥満を抑えるやせ薬の候補として、
新薬の開発に乗り出した。

研究チームは99年、白血球の仲間であるマクロファージで
作られているたんぱく質「AIM」を見つけた。
その作用を調べようと、AIMを作れないように操作したマウスを
観察すると、同じ量の餌を与えても通常のマウスより太る。

脂肪の貯蔵庫となる「脂肪細胞」にAIMを加えると、
72時間後に脂肪の塊が溶けて、4分の1の大きさに。
毎週1回0・1mgを接種した太めのマウス(体重40g)は、
高カロリーの餌を食べても、4週間後の体重は5g減ったが、
未接種のマウスでは50gに増えた。

AIMは、脂肪細胞の表面にある別のたんぱく質の力を借り、
細胞内に入り、脂肪細胞自体もできないように作用。

脂肪の塊を溶かす薬剤はすでに開発されているが、
脳への悪影響が課題。
AIMは、脂肪細胞とマクロファージのみに作用し、
体内で作り出されるので副作用の心配もない。

宮崎教授は、「脂肪細胞は、エネルギーを貯蔵する役割もある。
人でのAIMの働きを詳しく調べ、糖尿病や動脈硬化につながる
肥満の解消に貢献したい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/9/121411/

新聞で伸びる(8)童話読み込み論点整理

(読売 6月9日)

「新聞の題字は、みんなの名前の頭文字をとって付けようよ」、
「トップ記事は主人公が何を学んだかをテーマにすれば……」

東京・稲城市の私立駒沢学園女子中学校。
1年美組の国語の授業で、生徒たちは「小説新聞」の制作
取り組んでいた。
何人かずつの班に分かれ、童話『赤ずきん』を題材に、
物語を紹介し、分析する新聞を作る。
完成した作品は廊下に張り出し、先生全員投票による
コンクールも行おうという試み。

赤ずきんのあらすじは、祖母の見舞いに行く際、
道草はしないと母と約束したのに、
オオカミにそそのかされて道草し、食べられてしまう。
狩人が、オオカミの腹を切り裂き、
祖母と赤ずきんを助け出す――というもの。

稲津恵子教諭(58)は、全5時間の最初の授業で、
物語は、〈1〉発端、〈2〉展開、〈3〉頂点、〈4〉結末――という流れで
構成されていることをまず教えた。

「母は、なぜオオカミがいることを教えずに一人で行かせたのだろう」、
「赤ずきんは、なぜ知らないオオカミに聞かれたことを
全部答えたのか」など、矛盾点を追究する“批判読み”をさせ、
生徒たちに考察と想像をさせた。
その上で、情報の取り出しと分析を目的に、
B5判のミニ新聞に整理。

「おりこう新聞」と題した坂本雪乃さん(12)の主見出しは、
「約束守っている?」
自分の経験をふまえた意見として、
「私も何度かお母さんに言われたことを守れず、後悔したことが。
人は一度自分で失敗してみないと、約束の大切さに
気付かないのでは」というコラムも書いた。

各自の作品を素材に、グループ学習に発展させ、
班ごとに議論しつつ大きな新聞に仕上げていく。
グループ学習を織り込むことについて、稲津教諭は、
「主体的に取り組むことで、自分の意思を明確に伝える力や
社会性を身につけさせたい」

こうした新聞作りを経験してきた上級生たちも、
「登場人物の気持ちを、真剣に考えるようになった」、
「項目に仕分けるのが面白いし、自分でもできる方法」

新聞は、送り手の意図によって情報が取捨選択され、
理解されるように編集された「物語」でもある。
新聞作りを通じ、事実と意見をかぎわけ、筆者のメッセージを
受け止められる力を養うことを、稲津教諭は目指している。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100609-OYT8T00251.htm

2010年6月18日金曜日

女性は言葉で感動? 擬音語分析、男女に違い

(2010年6月8日 共同通信社)

女性は言葉で、男性は視覚で「じーん」と感動しやすい-。
博報堂生活総合研究所が、全国の20~59歳の男女6千人を
対象に、直近の3カ月で抱いた感情について、
オノマトペ(擬音語や擬態語)を使って調査、こんな結果が出た。

オノマトペを「ほっ」、「ほのぼの」、「じーん」など喜びや感動を表す
"快"の10項目と、「いらいら」、「うんざり」、「もやもや」などの
"不快"の10項目に分け、感じた頻度を調査。
"快"の感情は、10項目すべてで女性のほうが感じる頻度が高かった。

女性の61・6%が「じーん」と感じていたが、男性は40・4%。
じーんとした理由は、男性では五輪や娘の学芸会など、
実際に目で見たことを挙げる人が多かったが、
女性は「五輪で選手の母のコメントを聞いて」、
「転勤する彼から『幸せにする』と言われて」など、
言葉で感じたという意見が目立った。

不快を表す感情では、男女で結果に大差は見られなかった。

同研究所は、「閉塞感が漂う社会でも、女性のほうが生活に
"快"を上手に取り入れているのでは」と分析。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/8/121351/

広がる6次産業化 県内で30業者着手、70人雇用

(岩手日報 6月9日)

農林水産業が、加工・流通まで取り組む「6次産業化」の
動きが県内で広がっている。
県は2009年度から、6次産業化チャレンジ支援事業を開始。

これまで30業者が新事業に着手、70人の雇用に。
6次産業化は、生産者の収益増や雇用創出などが期待、
国も重点的に推進。
各事業者が創意工夫を凝らし、新たな経営形態が生まれつつある。

県のチャレンジ支援事業は、国のふるさと雇用再生特別基金で実施。
事業計画を公募し、発展性などを審査、
09年度は19業者(16業者は10年度も支援を継続)、
10年度は11業者を採択。

県が事業委託する形で、09年度は50人、10年度は20人を雇用。
人件費など委託費は、09年度が約1億316万円、
10年度が約5675万円で同基金から充てた。
支援事業は11年度まで行う。

09年度に採択された西和賀町沢内の
農事組合法人・銀河の里沢内(柴田照男組合長)は、
従来のシイタケ栽培のほか、地元の農産物を使った
総菜の調理・卸を始めた。
調理師や営業で3人を雇用。
料理業界関係者を相談役に、県内のホテルへ販路を広げている。

野田俊夫総務部長は、「ホテルは、バイキング方式の増加で
調理済みの総菜を求めていた。
今後は、自店販売でも集客できるような商品を開発し、
農家の経営安定化につなげたい」と展望。

10年度に採択された大船渡市三陸町越喜来の
三陸とれたて市場(八木健一郎社長)は、
船上からの漁のインターネット中継と、
水揚げ直後の魚介類の直売が人気。
支援事業を利用し、アユ釣りや山菜採りなどの中継も検討。

八木社長は、「消費者は、産地でしか味わえない感動を求めている。
ITという新しい可能性を地域に定着させ、育てていきたい」

県は同支援事業のほか、マーケティングなど専門家の派遣や
首都圏のバイヤーを紹介するなど、事業をサポート。
県北、沿岸両広域振興局も独自に、6次産業化の補助事業を進める。

県流通課の中南博企画マーケティング担当課長は、
「6次産業化について、まだ行政のノウハウも十分でない。
専門的な人材の育成や連携体制を強化していく」

◆6次産業化とは?

農林水産業で、事業者が生産だけでなく、加工・流通・販売にも
取り組み、生産物の付加価値を高める経営形態。
1次産業(生産)、2次産業(加工)、3次産業(流通、販売など)の
数字を掛けた造語。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100609_14

新聞で伸びる(7)騎手の卵 記者に変身

(読売 6月5日)

「こんにちは、お昼のニュースです」
記事の切り抜きを持つ生徒たちが、
教室でキャスターになりきって解説。

毎日、関心のある記事を張っては感想を添え、
それを仲間に発表する。
授業に臨む8人の若者は、騎手の卵たちだ。

JRA(日本中央競馬会)運営の競馬学校(千葉県白井市)の
騎手課程。
中学を出たばかりの15~20歳までの22人が、
レースで馬にまたがる騎手を目指して、勉強に励んでいる。

騎手課程には、騎乗訓練や馬小屋での厩舎作業と、
飼育管理や疾病などを学ぶ学科授業がある。
生徒は、約3年間の学校生活を経て、騎手免許試験に合格し卒業。
晴れて騎手になったら、調教師が経営する厩舎に所属し、
騎乗経験を積む。

学科授業では、競馬に限らず、経済などの一般教養も教える。
2年前から、新聞活用教育(NIE)を組み込み、
新聞を読んで切り抜くことを習慣にするよう指導。

なぜ、騎手の育成に一般教養が必要なのか?
「人との付き合いがうまくできる人を育てるため」と、
同校総務課長の奥山隆一さん(41)。

レースに向けて、調教師から「この馬に乗れよ」と声を掛けられる
一流の騎手になるには、技術はもちろん、
調教師との信頼関係が欠かせない。
厳しい勝負の世界に生きる騎手にも、社会人に求められる
一般常識とコミュニケーション能力が重要。

中学校を卒業して間もない生徒に、
座学で理屈を並べるだけでは難しすぎる。
そこで注目したのが新聞。
「読む、聞く、話す、書く、の力が試される新聞活用は、
教養とコミュニケーション能力を身につける上で、
とても役に立つ」と奥山さん。

「私を取材して下さい」
競馬学校からの要請で、出前授業をした元中学校教諭で
読売新聞NIE企画デザイナーの鹿野川喜代美さん(60)は、
そう切り出し、騎手の卵の前で自己紹介を始めた。

見聞きした情報を、メモ帳に詳しく書き込む生徒たち。
鹿野川さんが、「私の印象は?」と尋ねると、
「元気がある」、「面白い」、「よくしゃべる」などと
様々な表現が上がった。
将来、取材されるかもしれない彼らに対し、鹿野川さんは、
「同じ人を取材しても、書き方はみんな違うんだよ」と
記事の多様性を説いた。

新聞で学んだ騎手たちが、競馬場の外でも活躍する日が、
いずれ来るかもしれない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100605-OYT8T00234.htm

2010年6月17日木曜日

日本政策投資銀行 2020年に5500億円市場と試算 医療ツーリズム市場調査

(2010年6月7日 Japan Medicine(じほう))

日本政策投資銀行産業調査部は、
医療ツーリズムの国内外の動向を検証した結果、
医療ビザや勤務医不足の解消などの受け入れ条件が整えば、
2020年には5500億円の国内市場が創出されると試算。

同行では国内の調査結果を基に、
<1>良質の健診・検診を求める新興国富裕層
<2>最先端の医療技術を求める世界の患者
<3>低コストの医療を求める米国など先進国からのツーリスト-
からの需要が高まるとし、医療ツーリズムの市場拡大について検証。

現時点での潜在需要から試算した結果、
日本に渡航する医療ツーリストは、20年時点で年間43万人、
観光を含む医療ツーリズムの市場規模は約5500億円。
その場合の経済波及効果は、約2800億円。

中国・ロシアの富裕層(年間世帯所得15万ドル以上)には、
海外で健診・検診を受けたいとする希望者が35%おり、
受診希望国として5割近くが日本を挙げている。
20年時点で、富裕層の人数が増えると予測。
米国からの医療ツーリストを加えると、約43万人となる計算。

米国の医療コストは、一般的に日本よりも高い。
心臓弁置換手術は日本の4倍の医療費、
高額医療を海外で受ける米国人は増えている。

こうしたニーズを受け入れるには、国内の環境を整える必要。
同行では、医療ビザの新設や海外に向けた情報発信、
医療通訳者の育成などを必要不可欠な条件とするとともに、
国内の勤務医不足問題の解消との整合性を図ることが前提。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/7/121308/

アレルギー、元で絶つ ヒスタミン止める分子発見 筑波大

(2010年6月7日 毎日新聞社)

ぜんそくやアトピー性皮膚炎、花粉症など、アレルギー症状を
抑える分子を、渋谷彰・筑波大教授(免疫学)らが発見。
この分子の働きを強めることができれば、
さまざまなアレルギーに共通する薬の開発につながる可能性。
6日付の米科学誌ネイチャー・イムノロジー電子版。

アレルギーは、花粉や食べ物などに含まれる特定の物質
「抗原」が、体内に侵入し、肥満細胞が反応、炎症を起こす
ヒスタミンなどの化学物質が過剰に放出されて起きる。
これらの化学物質の働きを抑える薬はあるが、
完全に抑えるのは難しい。

研究チームは、化学物質を出させない方法を探った。
その結果、肥満細胞の表面にある特定の分子を刺激すると、
化学物質の量が、刺激なしに比べて半分程度に減ることを突き止めた。
この分子を持たないマウスを作ると、
通常のマウスより激しいアレルギー反応が起きた。

この分子は、花粉など抗原の種類に関係なく、
アレルギー反応を抑えることも分かり、
研究チームは「アラジン1」と命名。
人にも、アラジン1が存在することを確認。

日本では、国民の3割が何らかのアレルギーを持つ。
渋谷教授は、「アラジン1の働きを高めることによって、
アレルギーを効果的に抑制できる」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/7/121321/

新聞で伸びる(6)五輪の感動 編集に工夫

(読売 6月4日)

『日本の選手 メダルかくとく がんばった!』
『冬のぶたい スピードえんぎ 入賞とメダル』

東京都東大和市立第四小学校3年1組が、
班ごとに作った「五輪新聞」の見出し。
バンクーバー五輪で活躍する選手たちに注目、
記事の切り抜きを集めた新聞を制作した。

努力を重ね、真剣勝負するスポーツ選手の姿から、
子どもたちが学ぶことは多い。
担任の石黒文子教諭(54)は、
「選手を詳しく伝える新聞は絶好の教材」
3年生がいきなり新聞を読むのは、ハードルが高いため、
2学期から助走を始めた。

まず、総合学習の時間を使い、紙面から興味ある写真を選ばせ、
何を読み取れるか学ばせた。
一瞬の表情をとらえた写真には、人の心の内面がにじみ出て、
知識がなくても自由に想像し、考える力が養える。
道徳の時間には、足の不自由な少女が困難を乗り越えようとする
様子を描いた記事を取り上げ、深い人間ドラマにふれた。

五輪が始まるころ、児童たちは共感する写真入りの記事を
自分で探し出し、切り抜くことができるようになっていた。
持ち寄った切り抜きから、紙面に張り出す記事を選び、
班で話し合って感想をまとめ、見出しやレイアウトを考える。
みんなに伝わるようにするにはどうしたらいいか、
各班で活発に意見が交わされた。

フィギュアスケートをテーマに制作した7班。
新聞の見出しは、『感動の涙 信じる心 全力ですべる』
浅田真央選手の写真には、「おないどしのキム・ヨナ選手に
負けたけど、オリンピック初なのに、銀メダルをとって、
すばらしかった。
自分の力を信じて、いっしょうけんめいやったから、
こんなすばらしいえんぎが……」と説明を入れた。

3月に開かれた発表会では、各自が新聞で
何を伝えたかったかを述べた。
『感動の涙』という見出しを付けた小林隼斗君(9)は、
「応援してくれた人が感動し、ここまで育ててくれた親も
感激していた」と説明。
根岸麗菜さん(10)も、「自分の演技を疑わず、
必ずできると思っていることから、『信じる心』と付けた」
『全力ですべる』には、幡井菜の花さん(10)が、
「心も合わせて一生懸命という意味」と理由。

聞いている児童たちからは、「見出しの言葉を、
きちんと辞書で調べていて良かった」、
「復習はスポーツでもいるし、勉強と同じだとわかった」などの感想。

新聞を使ったグループ学習は、子どもたちの分析力、表現力を
鍛えるきっかけになったようだ。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100604-OYT8T00171.htm

2010年6月16日水曜日

ロックで献血広がれ ケセンフェス実行委が啓発

(岩手日報 6月10日)

減少する若年層の献血を推進しようと、
気仙地域の若者らで組織するケセンロックフェスティバル
実行委(村上健也委員長)と大船渡保健所(鈴木宏俊所長)が
タッグを組む。
実行委メンバーが献血、7月17日のフェス当日には
啓発グッズを配るなど、強力に周知運動を展開。

保健所が、実行委を若年世代献血普及員
(ヤンゼネ献血パイロッツ)の第1号に任命。
実行委メンバーは、献血にも協力する。

7月17日、住田町の種山ケ原イベント広場で開かれる同フェスでは、
来場者に献血を呼び掛けるティッシュを配布。
全国から若年層の来場者が見込まれている催し、
献血の広がりを目指す。
8月の陸前高田市、11月の住田町での献血でも協力を予定。

同フェスは、気仙地域の若者が中心となって開催。
アジアン・カンフー・ジェネレーション、
ザ・バンド・アパート、イースタン・ユース、ペズ、ハワイアン6など
豪華な顔ぶれと、手作り感あふれる運営が人気を集める。

村上委員長は、「われわれの団体が役に立てるのであれば、
微力だが協力したい。
今はフェス開催に向けて一直線だが、
終了後もつながりを生かして貢献できれば」

県内の若年層の献血は、年々減少。
20代は10年前、全体の28・2%、昨年度は20%まで減った。

同保健所の沢部典男主任薬剤師は、
「全国から若い世代が集まるフェスを通し、
献血の大切さを知ってほしい。
気仙から、全国の若者に発信する機会を生かしたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100610_4

牛乳由来のCPP-ACP、歯の健康維持に効果

(2010年6月4日 毎日新聞社)

6月4日は、虫歯予防の日。
虫歯を防ぐには、歯磨きの習慣が欠かせないが、
牛乳由来成分「CPP-ACP」(カゼインホスホペプチド・
非結晶リン酸カルシウム複合体)も、歯の健康維持に
活用されるようになってきた。
日常生活に効果的に取り入れるには、どうすればよいか?

CPP-ACPは、カルシウムとリン酸によって生成された
無味無臭の成分、99年、オーストラリアのメルボルン大で開発。
英語の「re」(再び)と「cal」(カルシウム)、「dent」(歯の)を
組み合わせた言葉、「リカルデント」とも。
ガムなどに配合されているキシリトールと混同しやすいが、
こちらは樹木などに由来する甘味料の一種で、成分は異なる。

なぜ、CPP-ACPが虫歯予防に効果的なのか?
虫歯ができる仕組みを、おさらいしてみたい。

虫歯は、口の中にいるミュータンス菌が食べ残しの糖質を
分解して酸を出し、歯の表面のエナメル質を溶かすことで発生。
この状態は、「脱灰」と言われる。
虫歯といえば、歯の表面に穴が開いて黒く変色した部分を
思い浮かべるだろうが、脱灰の初期は白チョークのように
白濁しているのが特徴、「隠れ虫歯」とも言われる。

歯に脱灰部分ができてしまっても、程度の軽いうちなら
自然に治すことができる。
人間の体には、口内を中性の状態にすれば、
唾液に含まれるミネラルが脱灰した部分の歯を修復する
機能がある。
この機能は「再石灰化」と呼ばれる。
口の中では、常に<脱灰←→再石灰化>が繰り返されている。

CPP-ACPには、この脱灰を抑制する働きがある。
再石灰化を促し、ミュータンス菌が出す酸に対する
歯の抵抗力を高める効果も。
CPP-ACPを、歯に直接塗りこめるペースト状の製品も発売、
CPP-ACPを配合した牛乳やガムもおすすめ。

日野浦歯科医院院長で、日大客員教授の日野浦光さん(56)は、
「普段から牛乳を飲む習慣をつけることも、
歯の健康維持につながる」
「牛乳には、再石灰化に欠かせないカルシウムやリン、
マグネシウムなどのミネラルが含まれ、乳製品を多く食べる
国では虫歯が少ない」

虫歯は、「なってから」ではなく、ならないための予防が最も重要。
虫歯になった部分を削って詰め物を入れて治したと思っても、
そこが「アリの一穴」となって、ミュータンス菌がすき間から入り込み、
今度は詰め物の内側が虫歯になってしまった--。
そんな経験を持つ人は多い。

「歯を健康に保つには、脱灰した部分が再石灰化されるまでの
時間をできるだけ多く作ることが重要」と日野浦さん。
ダラダラと飲食をしたり、間食ばかりしていると、
ミュータンス菌が食べ残しの糖質を分解して
酸を出すことが増えるため、虫歯のリスクが高まる。

日常生活にCPP-ACPを効果的に取り入れるとともに、
生活習慣そのものの見直しも欠かせない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/4/121221/

新聞で伸びる(5)生命科学の変化 身近に

(読売 6月3日)

「無性生殖と有性生殖の違いはイメージできたかな」
東京都豊島区の私立十文字高校で行われた2年の生物の授業。

アメーバなどの無性生殖では、クローンがたくさんでき、
両親から半分ずつ遺伝子をもらう有性生殖だと、
遺伝的に違った生物が生まれることを理解。

津吹卓教諭(59)が補足。
「僕は呼吸器が弱いから、空気が悪い所でバタッと倒れ、
死んじゃうかもしれない。
子どもがクローンだったら、津吹家は滅亡だね」
身近な話題も交えながら、生物界では有性生殖が圧倒的に多く、
生存に適した進化をすることを学びとり、
地球の歴史への理解を深めていく。

恐竜が絶滅したのは、地球への巨大いん石の衝突が原因だ、
という説について書かれた新聞記事のコピーが配られた。
様々な仮説がある中、国際研究チームによって論争に決着が
付けられ、それが権威ある科学誌サイエンスに載るという内容。

巨大いん石の衝突によって巻き起こされた大量のちりが、
太陽光を遮断して植物が死滅し、食物が減少したため、
恐竜は絶滅した。
地球温暖化が心配されているが、人間に影響が及ぶ範囲の話。
生物の大半が死滅するほどの、激しい規模の変化も起こる。
そのスケールは、生殖や進化の比ではないことを、
生徒たちは新聞記事によって気づかされた。

「取っつきやすく、身近で、新鮮な材料が新聞。
生徒たちの目の色が変わる」
「教科書だけでは物足りない。
教師が自分の授業を作る手段として、新聞は有益だ」

山梨県立塩山高校の広瀬志保教諭(45)も、
生物で新聞を教材に。
「生命科学は、目まぐるしく変化している。
その知識は、改訂まで数年かかる教科書では追いつけない」、
昨年から「生物交換日記」を、生徒たちと交わしている。

臓器移植法や再生医療など、ホットなテーマの新聞記事を
みつけては、「日記」ノートに張り、生徒たちに回覧する。
生徒たちは、それについて意見や感想を書き、
次の生徒に渡し、最後に教諭の手元に戻る。
生徒たちは、人の意見を知って、さらに自分の考えを
練ることができる。

新しい学習指導要領は、あらゆる教科での
言論活動の充実も求めている。
広瀬教諭は、「新聞記事を通じて、生物だけでなく、
文章表現の勉強にもなっている」と効果を実感。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100603-OYT8T00225.htm

2010年6月15日火曜日

3次元技術、高校でも 県教委が人材育成強化へ

(岩手日報 6月12日)

次世代ものづくりに欠かせない、3次元設計開発技術の
人材育成強化のため、県教委は本年度、機械学科がある
県内11高校を対象に、3次元コンピューター利用設計システム
(CAD)関連の設備を導入する方針。

関連学科を有する公立高校を、カバーする形で導入するのは
先駆的な試み。
企業ニーズに合った産業人材育成を進め、生徒の就職、
地域の産業力向上に役立てる。

デジタルエンジニアリングと呼ばれる3次元設計開発技術は、
自動車や航空機、医療機器など、
次世代機器の設計開発に欠かせない技術。

導入するのは、「NC(数値制御)加工実習システム」
パソコン上で、3次元CADソフト「ソリッド・ワークス」を駆使し、
立体構造物を描き、CAM(コンピューター支援製造)を使って
データを作成。
そのデータを元に、NCプログラムを作成し、マシニングセンタで加工。

県教委によると、1校当たり最低10台を順次配置する計画。
事業費は、国の地域活性化・経済対策交付金を活用し、
総額1億余り。
県は、すでに設備の入札に着手し、本年度中に導入、
来年度から本格運用に乗りだす方針。

指導者となる教員のレベルアップも求められ、
県が北上市に設置している国内有数の
3次元設計開発技術者育成拠点・いわてデジタルエンジニア
育成センター(三浦範和センター長)が全県的に支援。

県教委によると、産業集積地の中部地区では、
企業が若年者の人材育成を担っているが、
本県は産学官連携で人材を育成。
これにより、産学官の相互理解が深まり、
企業ニーズに合った人材育成や教員の指導力向上が図られ、
生徒の技術力向上につながっている。

佐々木修一教育次長は、「企業が求める基礎技術を、
生徒が身に付けられるようにしっかり支援していきたい」

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e201006/e1006121.html

血液循環 血流の始まりは酵素 京大教授ら解明、血栓症予防に期待も

(2010年6月4日 毎日新聞社)

脊椎動物で血液循環が始まる仕組みを、
瀬原淳子・京都大教授(発生生物学)らが解明。

血流が始まる端緒は、心臓の拍動ではなく、
血管の内壁につながった赤血球が、
はさみ役の酵素で切られ、流れ出す。
この酵素は人の血液細胞に存在し、脳梗塞など
血栓症の予防や治療に役立つ可能性がある。
3日付の米科学誌カレント・バイオロジー(電子版)。

研究チームは、ゼブラフィッシュの受精卵を使い、
赤血球の循環が始まる様子を世界で初めて撮影。
血管の外で作られた赤血球は、血管内に移動して内壁に接着。
血液を全身に送り出すポンプとなる心臓の拍動が始まっても、
1時間以上もとどまった後、一気に流れ出す。

赤血球を、血管内壁と接着させるたんぱく質を分解する酵素
「ADAM8」が働かないように操作すると、
赤血球はいつまでも血管内にとどまった。
将来、ADAM8の働きをあらかじめ調べたり、制御できれば、
血栓が生じるのを予測したり、防ぐことも期待。

瀬原教授は、「血液循環の始まりは心臓の拍動、という
受け身な要素が大きいと考えられていた。
赤血球が血管の状態を察知して、循環を始める時期を
決めているのではないか」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/4/121215/

新聞で伸びる(4)社説の違い見つけ議論

(読売 6月2日)

「全然、違う!」
都立青山高校の教室で、社説を読み比べていた
2年生の女子生徒が、蛍光ペンを持つ手を止めた。
「この新聞には、『非核3原則堅持は当然』とあるけれど、
こっちは『見直すべき』と書いている」

5月12日の日本史の授業で扱った教材は、6紙の社説。
日本への核兵器持ち込みについて、日米間に暗黙の合意が
あったとされる密約がテーマ。
その存在を初めて認めた外務省の有識者委員会報告が、
3月9日公表、翌朝、各紙が一斉にその問題を社説にした。

43年前、佐藤栄作首相が表明した
「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核3原則は、
歴史の授業で一度は耳にするが、
長年、持ち込みについては密約説がささやかれてきた。
今回、「持ち込ませず」だけは空文だったことが決定的に。

それを受けた各紙の社説の見解は分かれた。
「3原則は守らなければ」という主張がある一方、
核を載せた船・航空機の寄港や通過は認める
「非核2・5原則」を検討すべき、との論調も。

グループごとに6紙の社説を熟読し、
非核3原則を続けるべきか否かを議論。
「日本は被爆国だし、世界的にも核軍縮が進んでいる」と
平和を唱える堅持派に対し、見直し派は
「核の存在で、核兵器を持つ国に威圧感を与えられる」
話が進むにつれ、沖縄の米軍基地問題や、
北朝鮮の情勢など、最近の話題へと広がった。

社説を使う授業を企画した本杉宏志教諭(49)は、
あえて各紙の違いが際立つテーマを選んだ。
「世の中には、いろいろな意見がある。
それらを読み取り、自分の考え方を組み立てる力を身につけさせたい」

目指すもう一つの狙いが、生きた歴史の学習。
「歴史は、今につながっている。
社説から、より現実的な問題を学べる」と本杉教諭。

古代史から順に授業を進めて、近現代史にたどり着く頃には
受験間近で時間切れ、といった授業も珍しくない。
極端な場合、日米が戦争をした史実さえ知らない生徒も。

同高で日本史を選択する2年生は、幕末から昭和までを学ぶ。
そこに社説を取り入れることで、生徒たちは、
今の日本を取り巻く国際情勢にも目を向ける。
おのずと、歴史の全体像をつかめるわけだ。

社説は一つの教材だが、工夫次第で、
学習効果の可能性は広がる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100602-OYT8T00333.htm

2010年6月14日月曜日

魚ログの新沼さん1000回投稿達成 神戸の読者も祝福 魚市場から新鮮情報発信 大船渡

(東海新報 6月11日)

県内各魚市場の職員らが、市場情報をインターネットのブログで
紹介する「魚ログ」で、大船渡魚市場社員の新沼菊也さん(37)が、
1000回目の投稿を達成。

足かけ4年にわたる地道な情報発信は、
魚食普及や市場の知名度向上に貢献。
消費者の食卓と魚の生産現場をつなごうと、
新沼さんはさらに意欲を高めている。

魚ログは、県のITを活用した情報発信事業の一環として
平成18年5月にスタート。
県農林水産部水産振興課、いわてNPO事業開発センターの協力で、
各魚市場職員が水揚げの内容や珍しい魚、
市場の出来事などの情報を投稿する形で運営。

新沼さんは、立ち上げ当初からライターとして活躍、
地道な投稿がを奏し、県内外に多くのファンを作った。
19年8月、登録する「ブログランキング」で、アクセス数東北1位、
現在も1日に6000件前後の閲覧。

1000回までの投稿は、平坦ではなかった。
日々の更新は、午前5時の出社後、業務の合間を縫って、
水揚げ風景などの写真を撮影することから始まる。
記事も、空いた時間を見つけて帰社前後までにまとめる。
盛漁期には、終日水揚げ業務に追われることもあり、
投稿は大きな負担。

多忙さ以上に頭を悩ませるのが、連日のネタ探し。
季節ごとに日々同じ魚が水揚げされる中では、
記事内容にも工夫が必要。
新沼さんは、地元の漁船を写真付きで毎回紹介する
「男の漁船シリーズ」連載や、防水仕様の携帯電話を使った
魚の水中写真など、読者を飽きさせず、
親しみがわくよう試行錯誤を続けてきた。

「大変で辞めたい、と思ったことは何回もあるが、
読者からのコメントやアクセス数の伸びに励まされ、
続けることができた」と言う新沼さん。

「多くの消費者は、魚の名前ぐらいしか知らない。
料理方法や旬、どのように獲れたのかという情報を伝えたかった。
魚が食卓に上がるまでの流れを、消費者に知ってもらう
きっかけにはなったのでは

1000回投稿達成で、うれしいサプライズも。
県の担当者から、ブログに記念のロゴを掲載、
神戸在住の読者が魚市場を訪れ、プレゼントも贈られた。
県から感謝状も贈られる。

新沼さんは、「日々の魚市場の様子を、
変わらず伝えていくことが目標。
自分の後継者づくりも目指したい」と今後にも意欲。

http://www.tohkaishimpo.com/

(鳥取)<地方を生きる> 介護疲れに助け舟

(2010年6月4日 読売新聞)

「お父さんを預かってもらえんでしょうか」
国保日南病院(鳥取県日南町)の往診先である
板本ヤス子さん(70)から、入院依頼の電話があったのは昨年4月。

ヤス子さんの夫、清雪さん(71)は20年前に脳梗塞で倒れ、
寝たきりが続く。
ひとりではトイレにも行けず、腸につながるチューブで
流動食を流し込む。

介護するヤス子さんの方にも、米子市の鳥取大病院に
入院する必要が出た。
心臓病の手術のため。

電話を受け、日南病院のケアマネジャー、田辺妙子さん(57)が動いた。
病院の車もよこし、清雪さんを11日間入院。

スムーズに受け入れられたのは、病院のベッド管理の方針による。
ヤス子さんのように、介護者が家を空けざるを得ない時や
介護に疲れた時のため、空きベッド5床を常に用意。

経営を考えると、ベッドは満床にする方がいい。
「老老介護」が珍しくない町の現状を知る高見徹院長(61)は、
「往診の時、家の人が疲れていないかも診る。
いつもと違うなと思うと、患者さんを病院で預かるから、
その間、休んで下さいって声をかけます」

空きベッドは、「共倒れ」の悲劇を防ぐ安全弁。
ヤス子さんは、「私の都合で入院させてくれて」と感謝。

空きベッドを生み出すために取り組むのは、入院日数の短縮。
毎週月曜日、病院の隣の町健康福祉センターでケース検討会を開き、
病状が落ち着いた入院患者の在宅復帰を準備。

集まるのは、主治医や看護師ら病院のスタッフだけではない。
町の介護担当職員、福祉法人のヘルパーら約20人に及ぶ。

「1週間おきにショートステイを利用しては」、
「家の中の段差に注意してあげないと」
それぞれの立場から、患者の状態を踏まえ、
退院後の支援について意見を交わす。
たんの吸引や食事の補助など、介護の方法を家族に教えることも。

日南病院の平均入院日数は15・9日。
全国平均より2・9日短い。
小さくとも、病院外の人たちとの地道な連携の成果。

◆在宅支援

施行10年の介護保険制度は、長期入院患者を減らし、
在宅介護を促す狙い。
在宅介護を支援する方法は、各市町村の地域包括支援センターが
医療、福祉、保健を総合的に考える。
09年4月末現在、全国の要介護・要支援認定者数は469万人。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/4/121250/

脳の情報やりとりの様子撮影

(2010年6月3日 読売新聞)

記憶をつかさどる脳の海馬の神経細胞が、
協調して働く様子を高速で撮影することに、
東京大学の池谷裕二准教授らが世界で初めて成功。
記憶や精神疾患の解明につながる成果。

脳の活動を調べるには、血流の変化を連続的にとらえる
fMRI(機能的磁気共鳴画像)があるが、撮影できるのは
せいぜい約1mm2。
細かく見るため顕微鏡を使っても、1秒間に数十枚撮影が限界。

研究チームは、レーザーを使った顕微鏡とカメラを組み合わせ、
1秒間に2000枚撮影できる装置を開発。
ラットの海馬の神経細胞が、活動時に光を出すよう処理し、
約0・3mm2の神経細胞100-200個それぞれが出す
光の変化を撮影。
100分の1秒という短時間に、信号が伝わる様子を追跡できた。

池谷准教授は、「色々な精神疾患のモデルとなるラットで
信号パターンの違いを調べたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/3/121173/

新聞で伸びる(3)生き方・進路のヒント

(読売 5月29日)

「私が紹介するのは、NHKドラマ『坂の上の雲』の
軍人役に抜てきされた人。
競泳選手として2度も五輪に出場しながら、舞台に感動して
俳優になろうと決意し、努力して大役を得たことがすごい…」

新聞の番組紹介欄を読んで、俳優藤本隆宏さんに注目した
栗原桃子さん(11)は、発表でこう話し始めた。
東京都目黒区立油面小学校の5年2組。
「今、輝いている人」を、新聞から見つけ、
みんなの前で発表する授業が行われた。

記事をきっかけに、その人の生い立ちやエピソードを調べる。
どう輝いているのか、見出しや絵を自分で考え、
パソコンを使ってみんなの前で発表する。
授業を考案した担任の鈴木裕二教諭(33)によると、
その際、互いに公平な目で評価させるようにした。

「絵がとても工夫していて良かった」、
「紙を見ずに、しっかり前を向いて話したのがすごい」
声や表情も評価することから、
聞く方の児童たちも採点表を片手に真剣。

鈴木教諭は、「新聞には、様々な分野で活躍する人が載っている。
『へえー、こんな人に関心があるのか』と、
友達の意外な一面に触れた思いもあった」

職業選択をテーマに昨年、1年の社会で新聞を使った
調べ学習をしたのは、東京都武蔵村山市立第五中学校
河太久哉教諭(43、武蔵野市立第二中教諭)。
「いずれ社会へ巣立つ生徒たちが、
今からしっかり考えておくことは意味がある」

ハローワークの職員に話を聞き、働くことの意味を考え、
自分が職業を選ぶ際、何が一番大切かを挙げさせた。
〈1〉収入、〈2〉適性、〈3〉人間関係、〈4〉やりがい、〈5〉安定性――
そんな項目に関心が集まった。

賛同する者同士で班を作り、理由を補強する新聞記事を収集。
家庭にも協力を求め、難しい経済事象は解説してもらい、
切り抜きと主張を整理した「スクラップ新聞」にまとめた。

各班の主張を理解し、最後は各自が自分の考えを書く。
「お金が一番と思っていたが、生きがいも大切だと思うようになった」、
「好きな職業に就くのが幸せと思っていたが、
悩みやつらいことも多いと知った」、
「テレビニュースだけではわからないことを、新聞は教えてくれた」

河教諭は、「新聞を通じて、世の中の動きに関心を持つように
なったのが大きな収穫」と手応え。

新聞は生き方、進路を考える手がかりを与えたようだ。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100529-OYT8T00238.htm

2010年6月13日日曜日

電子ペーパー端末で情報配信 4社と共同開発 宮城・みやぎ県南中核病院

(2010年6月2日 毎日新聞社)

大河原町のみやぎ県南中核病院は、
デジタルサイネージ(電子看板)や次世代メディアとして注目される
電子ペーパー端末を使用し、病院や地域の情報、
ニュースなどの配信を開始。

医療機器の機能に影響しないPHS回線を通じ、各種情報を提供。
電子ペーパー端末を使用する病院内でのニュース配信は
国内で初めて。

地域の情報通信技術利活用を推進する、
総務省ユビキタスタウン構想推進事業の一環。
今野印刷(本社・仙台市)、毎日新聞社(同・東京)、
イースト(同)、ウィルコム(同)--が共同開発。

デジタルサイネージは液晶47インチ型、1階ロビーと1階外来受付、
2階外来受付に計3台設置。
外来患者の待ち時間対策としても期待。
電子ペーパー端末は、停電時でも表示し続けるため、
災害時の端末としても有効。

電子ペーパー端末は、バックライトを使用しないタイプで目に優しい。
タッチスクリーン方式のためページをめくるように使え、
個室8部屋に配備。
1階受付カウンターにも、A3型の電子ペーパーディスプレーを設置。

同病院を運営する大河原町外1市2町保健医療組合管理者の
斎清志大河原町長は、「ニュースや地域情報、災害情報の配信は
診察時間を待つ患者ら地域住民の利便向上と、
安心安全なまちづくりにもつながる。
新しい時代に対応した今後の成果を期待したい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/2/121117/

09年の出生率1・37 4年ぶり上昇ストップ 自然減も過去最多

(2010年6月2日 共同通信社)

女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す
2009年の合計特殊出生率が、08年と同じ1・37、
厚生労働省の人口動態統計(概数)。

06年以降続いていた上昇傾向が、4年ぶりにストップ。
赤ちゃんの出生数も減少、出生数から死亡数を引いた
人口の自然増減数はマイナス7万1895人、過去最多の自然減に。

出生率は、05年に過去最低の1・26を記録、
30代の出産が増えるなど、上昇が続いていた。
09年、15~49歳の女性人口が約2653万1千人、
08年に比べ約22万6千人減少。
厚労省は、「母親となるこの層の減少自体が、
出生率の横ばいにつながった」

年齢別では、10~20代はいずれも08年より下降、
30代以上は上昇。
最も高かったのは、30~34歳。

都道府県別では、沖縄が最高の1・79、宮崎1・61、熊本1・58、
鹿児島1・56。
最低は東京の1・12、北海道1・19、京都1・20の順。

国内で生まれた日本人の赤ちゃんは107万25人、
08年より2万1131人減少。

死亡数は、487人減の114万1920人、戦後の統計が残っている
1947年以降では08年に次ぐ多さ。
死因で最も多かったのは、がんの34万3954人、29年連続首位。
心疾患18万602人、脳血管疾患12万2274人。
自殺は、3万649人で前年より420人増。

結婚したカップルは70万7824組、1万8282組減。
離婚は、2272組増の25万3408組。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/2/121136/

「南高梅」抽出化合物 梅干しに新型インフルエンザ抑制効果 和歌山県立医大が確認

(2010年6月2日 毎日新聞社)

和歌山県立医大は、同県のブランド農産物「南高梅」の
梅干しから、新型インフルエンザウイルスの増殖を抑制する
新しい化合物を発見。
宇都宮洋才同大准教授(病理学)は、
「梅干しを1日当たり5個程度食べれば、予防効果が期待できる」

この研究は、梅加工会社5社の寄付で設置した
機能性医薬食品探索講座が行った。

犬の肝臓から取り出した細胞にウイルスを感染させ、
1時間後に梅干しのエキスを加えた。
加えない場合と比べ、7時間後のウイルスの増殖が約90%抑制。
エキスに含まれる新たに見つかった化合物
「エポキシリオニレシノール」が、ウイルス増殖抑制物質と突き止めた。

この化合物について、同大は特許を申請し、商標登録する方針。
奥野祥治・和歌山高専助教(天然物化学)は、
「成分の多い梅を作ったり、エキスを抽出した製品を作るなど、
実用化を目指したい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/6/2/121153/

新聞で伸びる(2)コラムで いじめ考える

(読売 5月28日)

蠅たちの集まりでは、蝶も「キモイ」と陰口をたたかれるだろう――。

読売新聞朝刊コラム「編集手帳」を使った電車のつり広告。
コラムは、大人になるための条件を前置きにし、
他人にある美しさを認めようとしない風潮や、
個人を誹謗する言葉が書き込まれる「学校裏サイト」に言及。
結びの一節で子どもたちに、別掲のように説いた。

東京都北区立東十条小学校の並木裕子教諭(58)が、
この広告に目を留めたのは、昨年の秋。
このコラムを使って、いじめについて見方を広げ、
人を思いやるやさしい心を育みたいと考えた。

自分の娘が学校時代にいじめにあい、立ち往生した経験もあった。
コラムの全文を取り寄せ、今年初め、まもなく中学へ巣立つ
6年の児童へのメッセージの意味も込め、道徳の時間で教材に。

事前の無記名アンケートでは、過去に「いじめられた」17人、
「いじめた」25人と、多くの児童が両方の立場を
経験したことが分かった。

授業では、こうした実態を紹介し、コラムが、そのいずれとも
異なる大人の視点で書かれていることに気付かせ、
それぞれの立場について、各班で話し合ってもらった。

子どもたちからは、蠅の蝶に対するうらやましい気持ちと、
その表し方への疑問が次々と語られた。
「相手の悪い点を改めてもらいたいなら、ふつうに注意すればいい」、
「相手の悪いところが気に入らなくて、いじめることがある。
直せるところを直せば、被害にあわない」、
「両方悪いところがある。集団でやるからいじめになり、
一対一ならけんかですむ」

様々な声が出る中で、「うらやましがって人を傷つけるのではなく、
自分の持っているものを磨いていく生き方をしたい」という
女児の意見に、多くがうなずいた。
児童たちは、それぞれの立場を自分に投影して考え、
成長に結びつけることができたようだった。

「道徳の副読本だと、現実の問題とは少し離れる場合もある」、
関口修司校長。
「その時々のテーマを元にした新聞コラムだと、
自分に起こりうる出来事として切実感をもって学習できる」

 ひとの心を傷つけて
 喜ぶ心さびしき者に
 聞く耳はなかろうから、
 中傷された君に言う。
 蠅たちの集まりでは、
 蝶も「キモイ」と
 陰口をたたかれるだろう。
 心ない者たちのうちにも
 自分と同じ美しさを探しつつ、君はひとり、
 大人になればいい。
 (2008年4月17日の編集手帳より)

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100528-OYT8T00230.htm