(読売 6月3日)
「無性生殖と有性生殖の違いはイメージできたかな」
東京都豊島区の私立十文字高校で行われた2年の生物の授業。
アメーバなどの無性生殖では、クローンがたくさんでき、
両親から半分ずつ遺伝子をもらう有性生殖だと、
遺伝的に違った生物が生まれることを理解。
津吹卓教諭(59)が補足。
「僕は呼吸器が弱いから、空気が悪い所でバタッと倒れ、
死んじゃうかもしれない。
子どもがクローンだったら、津吹家は滅亡だね」
身近な話題も交えながら、生物界では有性生殖が圧倒的に多く、
生存に適した進化をすることを学びとり、
地球の歴史への理解を深めていく。
恐竜が絶滅したのは、地球への巨大いん石の衝突が原因だ、
という説について書かれた新聞記事のコピーが配られた。
様々な仮説がある中、国際研究チームによって論争に決着が
付けられ、それが権威ある科学誌サイエンスに載るという内容。
巨大いん石の衝突によって巻き起こされた大量のちりが、
太陽光を遮断して植物が死滅し、食物が減少したため、
恐竜は絶滅した。
地球温暖化が心配されているが、人間に影響が及ぶ範囲の話。
生物の大半が死滅するほどの、激しい規模の変化も起こる。
そのスケールは、生殖や進化の比ではないことを、
生徒たちは新聞記事によって気づかされた。
「取っつきやすく、身近で、新鮮な材料が新聞。
生徒たちの目の色が変わる」
「教科書だけでは物足りない。
教師が自分の授業を作る手段として、新聞は有益だ」
山梨県立塩山高校の広瀬志保教諭(45)も、
生物で新聞を教材に。
「生命科学は、目まぐるしく変化している。
その知識は、改訂まで数年かかる教科書では追いつけない」、
昨年から「生物交換日記」を、生徒たちと交わしている。
臓器移植法や再生医療など、ホットなテーマの新聞記事を
みつけては、「日記」ノートに張り、生徒たちに回覧する。
生徒たちは、それについて意見や感想を書き、
次の生徒に渡し、最後に教諭の手元に戻る。
生徒たちは、人の意見を知って、さらに自分の考えを
練ることができる。
新しい学習指導要領は、あらゆる教科での
言論活動の充実も求めている。
広瀬教諭は、「新聞記事を通じて、生物だけでなく、
文章表現の勉強にもなっている」と効果を実感。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100603-OYT8T00225.htm
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