2009年4月11日土曜日

摘めるか「保護主義の芽」

(日経 2009/04/03)

◇安井明彦(みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長)

20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)が閉会。
財政政策や金融規制について、米欧の温度差が報じられる中、
各国の意見が早々に一致したのが、保護主義防止の必要。

オバマ大統領も、「各国は共通の目的をもって行動しなければならない」、
保護主義の誘惑に抵抗する必要性を強調。
単純な保護主義批判だけでは、世論の保護主義化を抑えるのは難しい。
経済危機が深刻化する中で、世論が保護主義に傾くのは、自然な流れ。

国民が政府に求めているのは、「保護」。
自国製品の使用を義務付ける米国の「バイアメリカン条項」のように、
景気対策の成果を自国内にとどめようとするのも当然。

◆「政策効果の海外流出」に懸念

景気対策には、政府債務の増大というコストがある。
このコストは、国民が税金などを通じて負担しなければならない。
国際通貨基金(IMF)の推計によれば、米国の景気対策には、
欧州や日本の実質経済成長率を2010年時点で、
0.5ポイントずつ引き上げる効果がある。
輸入を通じて、景気対策の効果が外に漏れ出すからだ。

金融サミットに先立って、オバマ政権が各国に積極的な財政出動を
働きかけたのには、自由貿易の擁護という点で重要。
世論の保護主義への傾斜に歯止めをかけるには、
経済危機の克服に各国が果敢に取り組む必要。

各国が協調して財政出動すれば、政策の効果が外に漏れ出してしまう
という批判に対応しやすくなる。
米国の財政出動が、世界景気の回復をけん引するような絵柄になれば、
米国の対外収支の赤字は膨らみ、通商摩擦の一因となる
グローバルな不均衡が温存されかねない。

オバマ大統領も、「全ての(首脳会合)参加国が成長促進に努めれば、
各国は自国で国際貿易の重要性を訴えやすくなる。
各々が輸入をせずに、輸出だけに頼るような状況ではなく、
バランスのとれたアプローチになる」

◆トーンダウンしたオバマ政権

ドイツをはじめとする大陸欧州諸国の強い反対もあり、
オバマ政権は金融サミットを待たずに、
財政出動に関する呼びかけをトーンダウン。

反対の背景には、欧州諸国のセーフティーネット(安全網)が
米国よりも整備されているため、裁量的な財政出動をしなくても、
財政赤字が自然に拡大し、景気を支える力が働きやすいという事情。

欧州には、今回の経済危機の原因をつくったのは米国であり、
修復の責任は米国が負うべきだという思いもある。
金融サミットを終え、保護主義を巡る議論は各国の内政に舞台が移る。

見逃せないのは、経済危機が深刻化する前から、
先進国でグローバリゼーションへの懐疑的な見方が強まっていた。

英フィナンシャル・タイムズが米欧で実施した世論調査の結果を受け、
「富裕な国で、グローバリゼーションへの反動が起こっている」と
報じたのは07年7月。
07年3月、米ウォールストリート・ジャーナルが実施した世論調査でも、
自由貿易協定は米国のためになっていないという回答が半数近く。

マクロ経済の視点でいえば、「保護主義」では本当の「保護」は得られない。
純粋に自由貿易の恩恵を強調するだけでは、
グローバリゼーションへ懐疑的になっている国民の心には届かない。
自由貿易は、国民から「保護」をはぎ取る動きだという印象が強まる懸念。

◆命運握る医療・資源政策

保護主義化を防ぐには、自由貿易との整合性を保ちながら、
国民に「保護」を提供する知恵が必要。
バイアメリカン条項を巡る議論に見られるように、
オバマ政権は議会における保護主義の行き過ぎを
瀬戸際で防止しようとしてきた。

オバマ政権が進める医療保険改革やエネルギー改革にも、
「医療保険の喪失」や「エネルギー価格の高騰」といった
国民生活に潜むリスクを軽減し、保護主義の芽を摘む役割。
自由貿易の命運を握る鍵は、通商以外の政策が握っている。

http://netplus.nikkei.co.jp/forum/kosaten/t_379/e_1796.php

プロバスケ参入で島根に推進組織 経済団体など月内にも

(日経 4月4日)

バスケットボールの男子プロリーグ「bjリーグ」へ、
島根県のチームを参入させるため、地元経済団体などで構成する
支援組織、島根県スポーツ地域振興推進会が設立。

8月に出される新規参入の審査結果に向けて、
県民向けイベントなどで機運を盛り上げ、出資を募る。

チームの運営会社となる島根スポーツ振興会
(松江市、藤井3000勇社長)が、新規参入を申請。
県スポーツ地域振興推進会は、業界団体や自治体、企業など
20―30の団体で組織する予定。

松江市出身の歌手、六子がサポートマネジャーに就任。
ラジオ番組に応援コーナーを設けるほか、
CDの売り上げの一部を出資。
参入に必要な5000万円を県民や企業から募っており、
これまでに約700万円が集まった。

http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20090403c6b0301z03.html

手漕ぎボートで大西洋を単独横断、がん研究の募金募る

(CNN 3月30日)

手漕ぎボートで、大西洋を横断する単独航海に挑戦していた
米国人のポール・リドリーさん(25)が、88日間にわたる航海を終え、
カリブ海のアンティグア・バーブーダに無事到着。

リドリーさんは、2001年に母親を皮膚がんで亡くしたことをきっかけに、
がんのことを多くの人に知ってもらい、研究促進のための募金を集める
目的で、大西洋横断航海を計画。

仕事を休んでトレーニングを重ね、1月1日に全長約5.8メートルのボートで
アフリカ北部のカナリア諸島を出発。

航海中は、1日に最大で12時間ボートをこぎ続け、
食事は宇宙飛行士が食べるような凍結乾燥食が中心。
何度も船酔いに悩まされ、両手には水膨れができ、体重は9キロ減。

航海の模様は、毎日ブログに書き、衛星電話を使って更新。
電源は、太陽光発電装置から。
リドリーさんの家族と募金集めに協力した仲間がGPSで航跡を追い、
衛星電話で連絡を取り合った。

約4750キロメートルの航海を終えたリドリーさんは、
アンティグア・バーブーダに入港し、地元住民ら大勢が出迎えて歓迎。

国際団体のオーシャン・ローイング・ソサエティー・インターナショナル
によると、ボートで大西洋を東から西へ渡る航海には
これまで85人が挑戦したが、ほとんどが失敗。
米国人で成功したのは3人のみで、リドリーさんが最年少。

大西洋単独横断の目標は達成したが、がん研究に寄付するため、
50万ドル(約4800万円)を集めるという目標の方はまだ道半ば。
残り40万ドルを集めるために、傷が癒えて痛みが治まったら、
募金集めを再開する。

家族とともに設立した団体「ロウ・フォー・ホープ」では、
がん研究促進のために同じような冒険を計画しているアスリートを支援。

http://www.cnn.co.jp/fringe/CNN200903300022.html

農産物認証制度スタート ブランド化へ第一歩

(東海新報 4月3日)

住田町は、今年度から町内産農産物のブランド化を図ろうと、
独自の認証制度をスタート。
制度に登録した生産者の農産物について、
「農薬・化学肥料不使用栽培」、「農薬不使用・化学肥料節減栽培」など
栽培状況や過程に応じた格付けを行い、出荷時にシールを添付。

消費者により安心な農産物を届けるとともに、
安全・安心な農産物の生産拡大につなげたい考え。

国内の一農家平均耕作面積がおよそ1㌶、
中山間地にある同町の平均は約60㌃と狭く、
特色ある農産物生産が求められていた。
食の安全への関心の高まりも受け、18年に町内の専業、兼業農家らで
「安全・安心農業ネットワーク会議」を設立。
極力農薬や化学肥料を使わない栽培の確立を目指し研究を続け、
学校給食への食材供給などを始めている。

認証制度は、安心・安全な農業への取り組みを全町的に拡大させ、
ブランド確立を図ろうとのネライ。
対象は、町内の生産者で農産物は米を除く野菜が中心。
農産物の栽培過程によって金、銀、銅の三種にランク付け。

金の条件は、「化学合成農薬、化学肥料、化学合成土壌改良資材を
使用していない」、銀は「化学合成農薬を使用せず、化学肥料を
県慣行栽培の50%以下に減らしている」、「化学肥料を使用せず、
化学合成農薬を県慣行栽培の50%以下に減らしている」、
銅は「化学合成農薬や化学肥料を県慣行栽培の50%以下に減らしている」

審査は、町農業振興協議会(会長・多田欣一町長)が行う。
シール交付希望の生産者が申請書や栽培計画を提出し、
これを受けた町が町農振協に書類や現地審査を依頼。
結果報告を受けて、生産者に登録通知書を交付。

栽培スタート後、町農振協による現地調査を経てランク付けに至る。
シールは出荷に合わせて交付。

町では、初年度は安全・安心ネット会員を中心に30戸程度の認証を見込み、
産業振興課では、「秋ごろには、認証野菜の第一弾が出荷できるのでは」
問い合わせ、同課安全農業推進係(℡46・3861内線314)

http://www.tohkaishimpo.com/

2009年4月10日金曜日

ハイテクパトカー「E7」披露、警察官のアイデア結集

(CNN 3月24日)

米自動車メーカーのカーボン・モーターズが、
全米の警察官3000人以上から寄せられたアイデアをもとに作り上げた
コンセプトパトカー「カーボンE7」を披露。

E7は、300馬力のディーゼルエンジン、全方位から見えるパトカーランプ、
人にとっての使いやすさを考慮した人間工学設計の運転席、
音声による操作やナンバープレート認識ができるコンピューターを搭載。
オプションとして、大量破壊兵器検出装置も装備できる。
最高速度は時速250キロで、後ろから120キロで衝突されても
衝撃に耐えられる仕様。

一般の乗用車を使っていたこれまでのパトカーと異なり、
E7は警察官が警察官のために設計したパトカーだと、
同社共同創業者のステイシー・スティーブンズ氏。
同氏は、テキサス州の元警察官。

後部ドアは、手錠をかけられた人間が乗り降りしやすいよう、
リアヒンジ式を採用。
座席も、後ろ手に手錠をかけられたまま「快適に」座っていられる仕様。
警察官の安全に配慮して、シートベルトは座席中央部で固定して
バックルをドア近くに取り付け、同乗させた犯人の方に
警察官が体を傾けなくても済む。

車体後部は、継ぎ目のないプラスチック製で、
前部と完全に切り離して洗浄できる。
「犯人が後部座席で吐いたり漏らしたりして、
快適とは言い難い経験を何度もした」(スティーブンズ氏)との経験。

前部座席には、警察官が腰に付けたガンベルトのためのスペースを設け、
乗り降りする時に銃が邪魔にならない。

これほどの技術を結集したパトカーでも、売れ行きは厳しいかも。
「これを作り上げた人たちは非常に素晴らしいが、
怖いのは値段を明かしてくれないことだ」と
ノースダコタ州警察のマイケル・アーノルド氏。

価格は、5万ドル(500万円)程度になる見通し。
一般の乗用車をパトカーに仕立てる装備費や耐久性を考慮すれば
「競争力はある」と強調。

オレゴン州ポートランド警察広報のメリー・フィート氏は、
どれほど高性能でも、これまで使われた実績のない車をあえて使うことに、
州や大都市の警察は二の足を踏むだろう。
「5万ドルの車を買える警察などない。
パトカーは大量に必要なうえ、24時間乗り回して乱暴な使い方をする

カーボン・モーターズは、ジョージア州アトランタに本社、
工場をどこに作るかはまだ未定。
E7の生産は、2012年に開始する予定。

http://www.cnn.co.jp/fringe/CNN200903240025.html

健康に適した地域とは 生活習慣病の予知・予防、研究拠点発足へ 島根大

(2009年4月1日 毎日新聞社)

島根大は、長期間の追跡調査を通して生活習慣病の予知・予防に
取り組む、疾病予知予防研究拠点を発足。

遺伝や生活習慣と病気の因果関係を探る調査は各地で行われているが、
同大学では人文社会科学系の研究者らも交えて、
近所付き合いや地域コミュニティの性質が個人に与える影響も調査。

関係者は、「遺伝による体質は変えることができないが、
地域社会の特性が与える影響が明らかになれば、
健康に適した地域社会を作ることも可能」

集団を一定期間追跡する研究は、コホート研究と呼ばれ、
島根のように人口の出入りの少ない地域で適している。

調査は、出雲市や雲南市などの約5000人を対象に、
5-10年以上かけて実施。
血液や呼吸機能の検査、飲酒・喫煙の有無などの項目に加えて、
地域社会を「町内会活動が盛んで、きずなが強い半面、規律も強い集団」、
「関係の希薄な集団」などのグループに分けて追跡。
医学部だけでなく、生物資源科学部や法文学部の研究者らも参加。

こうした研究は、海外では行われているが、
生活習慣病と地域集団の関係は明らかになってない。
同大学プロジェクト研究推進機構の濱野強専任講師(社会疫学)は、
「これからの健康政策を考えていく上で、新しい挑戦になる」

医学部の並河徹教授(病態病理学)は、
「将来的には他大学と連携して、県内に多い地域の結びつきの強い
コミュニティと、都会的なコミュニティを比較する研究ができたら」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/1/94719/

4候補地 財政面に注目

(読売 4月3日)

IOC評価委員会(ムータワキル委員長)が、
2016年夏季五輪招致に立候補している4都市を、シカゴ(米)、東京、
リオデジャネイロ(ブラジル)、マドリード(スペイン)の順に訪問。

IOC総会(10月)での投票1か月前に公表される評価委の報告書は、
技術的な開催能力面に限り、4都市の長所、短所を詳細に分析。
世界同時不況下での視察とあって、財政面に特に注目した調査に。

ジャック・ロゲIOC会長は、3月米デンバーで開かれたIOC理事会で、
「評価委は、(各都市の招致計画の)財政面に特別な注意を払うことに。
(未来を見る)水晶玉を持っているわけでなく、評価は容易ではない。
開催都市を決めるのは10月で、五輪開催は、その7年先。
評価委は、4都市によって約束された保証の質の高さを見ることになる」

東京と同様に、政府の全面的な財政保証を得ているリオデジャネイロの
招致を率いるカルロス・ヌズマンIOC委員は、
ここまで同僚の委員と話をした感触として、
「財政面は、委員が開催都市を決める際の大きなポイントの一つ。
IOCは、五輪開催に当たってどれだけの安定性と保証があるかを見る」

社会インフラ整備を含むと、総額144億ドル(約1兆4230億円)
破格の予算や、14年サッカーのワールドカップ(W杯)と同時並行となる
準備に無理がないかに、視察の主眼。

法律上連邦政府の保証が得られず、州政府と市による予備費計上で
まかなうシカゴは、「十分な額が計上されており、IOC委員の誰からも
不足だという指摘は受けていない」(パトリック・ライアン最高経営責任者)
ロゲ会長が、「我々はより強い形での保証を求めているが、
実現できるかは分からない」と、皮肉を込めたのとは食い違っており、
シカゴでの評価委の調査でのポイントに。

スペインの経済状態悪化が取りざたされているマドリードは、
上限付きの政府財政保証をどう説明するか。

ロビー活動をやや苦手とする東京は、評価委報告書で
首位に立つぐらいの強みを得ておくことが必要。

元陸上選手で、12年五輪招致の評価委も率いた
ムータワキルIOC理事に対し、常に選手のためという視点を持ちながら、
交通、後利用計画、環境面などを誠実に説明することが必要。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/syouchi/sy20090403_01.htm

13メートルの大角塔婆建立 奥州市の正法寺

(岩手日報 4月6日)

奥州市水沢区黒石町の正法寺(伊藤大鑑住職)は、
六月の特別法要を前に、本堂前に高さ約13メートルの大角塔婆を建立。

角塔婆は、一辺約40センチの柱状。
境内にある樹齢約三百年のスギを伐採、加工し、
伊藤住職(78)が三日がかりで経文などを墨書。

角塔婆はクレーンでつり上げ、作業員五人と作務衣姿の僧たちが、
日本最大のかやぶき屋根で知られる本堂前に据え付けた。

角塔婆は、寺の開山(創始)者である無底良韶大和尚の
六百五十回忌法要と、伊藤住職の住職就任を記念した
晋山式を前に建てた。

伊藤住職は、「法要と角塔婆を通じて、世の中の平安を祈りたい」

2009年4月9日木曜日

中国発のスパイ情報網が発覚 ダライ・ラマなど標的に

(CNN 3月30日)

中国が拠点とみられるインターネット経由のスパイ情報網
「ゴーストネット」に、世界100カ国以上の政府施設などで
1300台近いコンピューターが巻き込まれている。
カナダ・トロント大とケンブリッジ大の専門家チームが発表。

ゴーストネットでは、スパイウェアが電子メールの添付ファイルなどを
装って、攻撃対象のコンピュータに侵入。
コンピューター内にある特定のファイルを検索、自動発信、
マイクやカメラを操作してユーザーの言動を監視することも可能。

スパイウェアの侵入を受けていたのは、インドネシア、イラン、
フィリピンの外務省、ラオス首相府、北大西洋条約機構(NATO)、
AP通信の英国事務所のコンピュータなど。
早い例では、07年5月に形跡がみられた。

調査のきっかけとなったのは、チベット仏教最高指導者
ダライ・ラマ14世の事務所での不正侵入疑惑。

事務所が、他国の外交官にダライ・ラマとの面会を提案するメールを
送ったところ、その相手が中国政府から面会を拒否するよう警告を受けた。
スパイ活動に、中国政府が関与していることを裏付ける事実はない。

在ニューヨーク中国総領事館の報道担当者は、
米紙ニューヨーク・タイムズの取材に対し、
「中国政府はサイバー犯罪に反対し、厳しく禁止している」

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200903300004.html

「宇宙の太陽光を電力に」実証試験へ 政府の基本計画案

(朝日 2009年4月3日)

宇宙で太陽エネルギーで発電し、地上に送って電力利用する
「宇宙太陽光発電」の技術開発に、日本が乗り出す。

政府の「宇宙基本計画」に盛り込まれる見通し。
3~5年後を目標に、小型の人工衛星を打ち上げ、
発電や送電の技術を確かめる実証試験に入る。

宇宙開発戦略本部(本部長・麻生首相)の専門調査会で、
基本計画の骨子案が示され、「宇宙太陽光発電」を
環境・エネルギー対策の先端的研究に位置付けた。
小型衛星による実証試験後、経済性などを見極め、実用化に向けた検討に。

人工衛星に取り付けた太陽電池パネルで発電し、
大気や雲に吸収されにくい電磁波に変えて地上に送る案が検討。
宇宙空間は天候に左右されず、昼夜を問わず安定した発電が可能。
地上の5~10倍の効率で発電できると試算。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心となって基礎研究を進めてきた。
宇宙太陽光発電は、欧米でも検討されているが、
人工衛星を打ち上げて試験する段階には達していない。
実現には、太陽光を効率的に電磁波に変えたり、
それを地上に安全に送ったりする技術開発などの課題。

月への有人探査について、骨子案は、1~2年程度をかけて
意義・目標などを改めて検討するなど、具体的な目標時期は示さなかった。
月探査は、当面は二足歩行ロボットによる無人探査を優先する方針を示し、
20年ごろの実現を目指す。

素案には、「25~30年ごろ、ロボットと宇宙飛行士が連携した
本格的な探査計画」という表現が盛り込まれたが、
有人探査には巨額な資金がかかり、人命のリスクも伴うため、
専門調査会で「弾力的に考えた方がいい」といった意見。

http://www.asahi.com/science/update/0403/TKY200904030062.html

はっぱっぱ体操完成 千葉・柏市民向け、脳を刺激し病気を予防

(2009年4月3日 毎日新聞社)

最新の運動科学の理論を取り入れた柏市のご当地体操
「はっぱっぱ体操」が完成。

医師不足や医療費負担増が深刻化する中、予防医学の観点から
「脳」を刺激して、市民の健康増進を図る狙い。

幼児や高齢者から五輪選手まで、適切なトレーニング方法を研究している
小林寛道・東大名誉教授が監修。
ダンサーの斉藤美音子さんが振り付けし、音楽はグラミー賞を受賞した
現代ミュージシャンの米国人ジム・オルーク氏が担当。

3分30秒の運動時間の間に、体の中心部で脊椎を支える大腰筋を鍛え、
脳を刺激するような動作を十数種類組み合わせている。
通常の駆け足のように、右手と左足、左手と右足を一緒に動かすのではなく、
右手と右足、左手と左足を同時に出す「難波歩き」のような
難しい運動を随所に取り入れる。
頭も使って考えながらできるよう、スローテンポが特徴。

柏の葉エリアで08年3月、県、市、東大、千葉大の4者による
「国際キャンパスタウン構想」が策定されたことを受け、
東大柏2キャンパス生涯スポーツ健康科学研究センターなどで組織する
実行委員会が体操作りに取り組んだ。

今後は、講習会(5、12日)やコンテスト(5月3日)の開催、
オリジナルロゴが入った体操服やスニーカーを商品化し、普及を図る。
コンテストへの参加希望者には、体操のDVDを無料で配布。
動画共有サイト「ユーチューブ」でも見ることができる。
問い合わせは、実行委事務局090・1733・0712(10-18時)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/3/94819/

「三陸の食卓をおすそわけ」実行委員会「奇跡の海」プロジェクト「継続」

(東海新報 4月3日)

気仙の官民有志で組織する「三陸の食卓をおすそわけ」実行委員会
(会長・佐藤博文きのこのSATO販売㈱代表取締役)は、
21年度も国が地方を支援する「地方の元気再生事業」に取り組む。

同事業で、昨年度から実施している
「奇跡の海『三陸』浜の町再生プロジェクト」が、先導性のある
新しい流通形態に挑戦していると評価、事業継続が決定。

地方の元気再生事業は、地域から提案されるプロジェクトを国が選定し、
その取り組みの立ち上がり段階を支援。

三陸の食卓をおすそわけ実行委員会は、昨年度応募し、
国の委託事業費2100万円で、奇跡の海プロジェクトを実施。
地域活性化戦力チームによる評価の結果、21年度も継続。

国の再生事業には昨年度、全国から1186件の応募、120件が選定。
本県は、選定4件がいずれも継続。

同実行委員会は、気仙の食品産業や行政が中心となり、18年設立。
メンバーは、きのこのSATO、八木澤商店、酔仙酒造、御菓子司木村屋、
清流ファームや生産者、県大船渡地方振興局、
大船渡農業改良普及センターなどで構成、
官民連携組織で産物の売り込みに力を入れている。

奇跡の海プロジェクトでは、特産カキ養殖の水揚げやカキむきの番場の
風景などをライブカメラとホームページ「いわてピュアモール」
http://www.pureiwate.com/)を活用して配信。

気仙の産地の様子を、ライブ中継しリアルタイムで伝えながら
生産者と消費者を直結。
ネット販売と一体的な買い物システムづくりに取り組んだ。

イベント販売は、計7回実施。
東京の商店街や仙台のオフィス街、スーパーマーケット、盛岡の百貨店に
出向いて、産地のライブ中継映像を流しながら三陸気仙の食材を
宣伝し売り込んだ。

気仙各地を一泊2日で巡る食の体験バスツアーも4回実施し、
仙台や盛岡方面のツアー客を産地に呼び込み、
カキむき体験や番屋の浜料理、放牧鶏農場、酒蔵、
みそしょうゆ蔵の見学など浜の食文化を体験。

実行委企画担当の八木健一郎さん(三陸とれたて市場)は、
「一年間実施してストックされた資源の豊かさや、それがあることの強みを
あらためて実感した」
内容を改善しながら、21年度の事業では「明確な成果を出したい。
ライブ映像を地元の飲食店や小売店などのホームページに無料提供し、
食材を一括発送する仕組みづくりをし、産地と消費者のつながりを強めたい」

実行委員会では事業計画を作成し、5月中旬に計画内容の審査を受け、
6月上旬に委託契約を締結する予定。

http://www.tohkaishimpo.com/

2009年4月8日水曜日

(上)ブナ林 植樹で弱る

(読売 4月2日)

ブナやコナラといった、広葉樹の植林活動ブームが続いている。
ふるさとの山の再生や二酸化炭素の吸収源対策などにつながるが、
現状のままだと、善意の行いが自然環境を汚す結果をもたらす恐れがある。
その実態と対策を、2回に分けてリポート。

「葉の開く時期がばらばら。
植えてから10年近くたつのに、この程度しか育たないブナもあるなんて……」

東北大学の陶山佳久准教授は2006年、宮城県栗原市にある
ブナの人工林を調査してあぜんとした。
植林年などが書かれた森林簿で、
259本すべてが1988年に植えられたことがわかっていた。
樹高も幹の直径も、あまりにばらばらだった。

陶山さんは05年、遺伝子解析によって、宮城県内のブナの天然林が
日本海側タイプと太平洋側タイプの2系統に大きく分けられる。
人工林のブナを調べたところ、樹高は日本海側タイプが平均4・49メートル、
太平洋側タイプは同3・43メートル。
地上30センチでの幹の直径も6・3センチ、4・5センチと、
歴然とした差が生じていた。

栗原市は、内陸型気候。
冬は深雪に覆われ、もともと生えていたブナは日本海側タイプ。
陶山さんは、「積雪などの気象環境に対する適応度の違いが
関係しているのではないか」

長野県では、これとは違う異変。
県中南部で植樹されたブナは、植えて5年ほどたつと、
樹高が高くなるどころか低くなってしまう。
この現象を見つけた県林業総合センターの小山泰弘研究員は、
「冬芽は出るが、春になると中身がなくなり、触るとぼろぼろになる」

長野県の天然ブナを遺伝子解析すると、
〈1〉日本海側タイプ(県北)、〈2〉北関東タイプ(浅間山周辺)、
〈3〉富士山・伊豆タイプ(諏訪・松本)、〈4〉愛知タイプ(木曽)に大別。
植えられる苗木の大半は、日本海側タイプ。

小山さんは、「雪が少なく気温が下がりやすい県中南部では、
凍害に似た現象が起きている可能性がある」

地域環境に適応した遺伝情報を持つ集団と、
外部から持ち込まれた集団が交配すると、遺伝情報が混ざって
環境適応能力が落ちる「外交弱勢」という現象が起きる。

この問題について、環境省研究班で代表を務める森林総合研究所の
津村義彦・樹木遺伝研究室長は、「そういう樹木が枯れずに残って
交配が繰り返された場合、周囲の樹木が成長を妨げられる恐れがある。
樹木は寿命が長いため、影響に気づきにくい」

岐阜県内のオオヤマザクラとエドヒガンの種子を調べ、
双方にソメイヨシノの遺伝情報が混ざっていることを確認したのは、
岐阜大学の向井譲教授。

エドヒガンの場合、その割合は解析した木の1割。
向井さんは、「ヤマザクラとソメイヨシノは別種だが、まれに遺伝子が混じる。
サクラには自家不和合性があるが、ソメイヨシノの遺伝子が混じった
ヤマザクラは、ふつうのヤマザクラとの間で子孫を増やし、
ソメイヨシノの遺伝情報をヤマザクラの中に広げていってしまう可能性」

国をあげて進む広葉樹の緑化事業で、
外交弱勢が起きている可能性がある。

針葉樹は、林業種苗法によって、生産地から離れた場所で
苗を植えないよう、スギは全国を7区域、ヒノキは3区域という具合に
配布区域を設けている。

広葉樹の苗は法的制限がないため、韓国や中国なども含め、
国内どこからでも入手可能。
津村さんは、「交雑が進めば、回復に数万年、数十万年もかかる」と警告。

◆自家不和合性

感染症などによる絶滅につながる近親交配を避けるため、
植物が進化させた性質。
花粉が、同じ個体に咲いた別の花のめしべに付着(自家受粉)すると、
めしべが「自己」と認識し、拒絶する。

サクラやリンゴなどのバラ科、ハクサイなどのアブラナ科、
花の構造が違うもの同士しか受精が成立しないサクラソウなどが知られる。
イネなど、自分の花粉でも構わず受粉させる自家和合性の植物も多い。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/ryokuka/ryokuka090402_01.htm

「ゴミからドレス」 ブラジルで話題

(読売 3月16日)

貧困層が多く、リサイクルへの関心が高まらなかったブラジルで、
ペットボトルなどを再利用した衣装が話題。

1人の女性の20年にわたる努力が、
「ゴミの寄せ集め」といった批判もはねのけてみせた。
ワンピースの胸元で、ひし形にカットした無数のクレジットカードが光沢を放つ。
ペットボトルや廃タイヤも裁断して“生地”に使い、
缶のプルタブで彩りを添えれば踊りの衣装に早変わり。

サンパウロ在住のリサイクルデザイナー、コンスエロ・マットロニさん(49)の
作品は、布以外の素材もドレスアップに利用する斬新さが特徴。

大学卒業後、貸衣装屋を始めた。
古着を染色し、たばこの焦げ跡は花柄の刺しゅうで“修復”するなど、
リサイクルの面白さに目覚めた。
牛乳のプラスチック容器の使い道を考えるうち、
裁断して洋服に再利用することを思いついた。

長い間、周囲の反応は鈍く、10代のめいも「ブランド品の方がいい」と
見向きもしなかったが、「いつかは理解される」と、
素材の種類を増やし続けた。

転機が訪れたのは昨年。
地元テレビ主催のファッションショーに出品し、
その様子がネットで取り上げられた。

モデルの体に斬新なデザインが映え、問い合わせが殺到。
めいも、高校の卒業パーティーに着ていきたいとねだるように。

成長途上のブラジルでは、国民の4人に1人が貧困層。
リサイクルへの関心は低く、都市部でさえ、ゴミの分別は徹底されていない。
最近では、同様のリサイクル服に取り組む人も増えてきた。
マットロニさんは、「貧困層も洋服に相当なこだわりがある」、
ブラジル人特有の美意識を、リサイクルに結びつけようと張り切っている。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/stream/20090316-OYT8T00734.htm

モンスター患者に対策続々 対応指針、警察と連携も

(2009年4月3日 共同通信社)

「待たせるなら金は払わない」、「(自分で薬剤を指定し)これを注射しろ」
医師らに理不尽な要求をしたり、時には暴力を振るったりする
「モンスター患者」への対応に、各地の医療機関が乗り出している。

徳島県阿南市の阿南共栄病院は、対応マニュアルを作成。
(1)暴言には3人以上のスタッフで対処、
(2)要求に応じて謝罪文や念書は提出しない、
(3)暴力行為は110番-などの内容。

徳島県警の協力を得て、研修会も実施。
警察官がモンスター患者役を務めて実演を行い、
「やりとりは必ず記録する」といった助言を受けた。
情報を共有するため、具体的なケースを基にした事例検討会も開いている。

同病院の篠原静看護部長(57)は、「対処法を知ったことで、
最近は大きなトラブルが減っている。
職員に余裕が出て、患者への優しさにもつながった」
「警察に協力を求めずに済む状態が理想的だが...」

全日本病院協会が、2007~08年に加盟医療機関を対象に実施した
アンケートでは、回答を寄せた1106機関のうち52%が、
過去1年間に患者や家族から職員への暴力や暴言などがあったと答えた。

兵庫県は09年度から、警察OBらを救急医療調整員として
県立病院など17カ所に配置する。

職員の少ない休日や夜間に、患者の暴力や暴言があった場合に
対応するほか、軽症でも救急外来を訪れる「コンビニ受診」の抑制も。
広島県医師会は県警と連携して、「他の患者さんに迷惑をかけないで」と
書いたポスター1万4000部を作製。
静岡県や大阪府の医療機関からも、「送付してほしい」と。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/3/94833/

4都市 五輪招致PR本格化

(読売 4月1日)

デンバーで行われた国際オリンピック委員会(IOC)理事会及び
国際競技連盟関連会議。

2016年夏季五輪に立候補している東京、シカゴ、リオデジャネイロ、
マドリードの4都市が、PRブースを開設して招致演説を行うなど、
2月の立候補ファイル提出後初の本格的な招致活動を展開。

得点を挙げたのは、失地回復に成功したシカゴと、
招致演説で評価を得たリオデジャネイロで、
ロビー活動が苦手な東京は、やや印象が薄いままだった。

招致演説後の4都市の記者会見が象徴的。
記者が詰めかけたシカゴとリオに比べ、直後の東京は参加者が激減した上、
前口上もなく短時間で終了。
計画の良さや政府の財政保証など質の高い内容を持ちながら、
国際的にアピールする好機をつかみ切れていない状況が浮き彫りに。

シカゴは、直前に米国五輪委(USOC)のジム・シェアCEOの辞任
突然発表されたこと、IOCとUSOCとの米国向けテレビ放送権料・
TOPスポンサー収入分配比率見直し問題をめぐり、
IOCの不満が募っていたことなど、招致の行方に暗雲を投げかける
事態を抱えてのデンバー入り。

しかし、ロゲIOC会長とプロブストUSOC新会長のトップ会談で、
13年以降に交渉を開始することで合意。
事実上の「延期」に近いものの、招致と切り離すことに成功。
プロブスト会長が焦げ付いた事態を収拾し、指導力を発揮したことで、
CEO問題で生じたUSOCへの信頼のかげりもある程度払拭。

リオデジャネイロは、招致を率いるカルロス・ヌズマンIOC委員
(ブラジル五輪委会長)が積極的な対話と招致演説で、
「五輪運動に歴史を刻み、次なる扉を開ける機会に」、
「南米の貧しい子どもたちに、スポーツの普及は大きな力になる」
などとアピール。
IOC委員や周囲の関係者の情に訴え、共感を得ることに成功。

東京は、ユーモアを利かせた招致演説や、ハイテクを使った
PRブースなどは好評だったものの、IOC委員と招致委幹部が
個人レベルのつながりを培い、なぜ東京か、という部分で
心に届く訴えが出来たかは疑問。
マドリードとともに控えめな印象。

シカゴ以外の都市は、母国語が英語でないことを考えれば、
言葉の壁とばかりも言っていられない。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/syouchi/sy20090401_01.htm

2009年4月7日火曜日

夜更かしの幼児は発達遅れる?久留米大の松石教授ら調査

(読売 4月2日)

平日夜10時以降に寝る幼児は、発達が遅れたり、
アンバランスになったりする危険性が高いことが、
久留米大学の松石豊次郎教授(小児神経科)らの調査で分かった。

子供の睡眠と行動との関係はこれまでも指摘されているが、
幼児期の発達との関連が裏付けられたのは初めて。

松石教授らは、大阪府と三重県で約400人の乳幼児を長期追跡する
「すくすくコホート」調査で睡眠の分析を担当。
生後18か月時点で、手足や視線の動き、言語・認知能力、
社会性などの発達の程度を調べ、睡眠との関係を調べた。

データのとれた298人のうち、59人が発達がやや遅れていると診断。
平日寝る時刻が夜10時より遅い場合、1時間遅くなるごとに、
発達に問題のある幼児の割合が約3倍増。
10時前に寝る場合、寝る時刻と発達に関連は見られなかった。
総睡眠時間や昼寝の回数などと、発達との相関は見られなかった。

松石教授は、「睡眠が原因なのか、発達の問題が睡眠に影響を
与えるのかはまだ分からない。
発達の問題は成長とともに変わる可能性があり、
寝る時間を早くすることで改善するか調べていきたい」

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090402-OYT1T00666.htm

インタビュー・環境戦略を語る:コクヨ・黒田章裕社長

(毎日 3月30日)

オフィス用品大手のコクヨは、CO2排出量削減のため、
屋外勤務制度を始めたり、社内環境基準を満たさない
商品について、カタログで「エコバツ」マークをつけて紹介、
ユニークな取り組みを進めている。
工場に比べて遅れがちなオフィスでのCO2対策について、
黒田章裕社長に聞いた。

--「エコバツ」マークはどのようなものか?

製造・運搬・使用・廃棄の4段階で、一つでも社内基準を
満たさない商品を「バツ」とみなし、マークをカタログに載せる。
「エコマーク」をつけるより、基準を満たさない商品を減らす方が、
確実に環境商品化できる。基準を満たせば外す。
10年度中に、「バツ」商品をゼロに。

--社員は納得したか?

◆「買ってはいけない商品と誤解されてしまう」と猛反対されたが、
07年9月ごろ社内で合意。反対意見も残ったが、
初めてのカタログが完成する、わずか3カ月の間に、
「バツ」の数がオフィス家具部門で2割も減った。

再生紙偽装問題の影響で、09年版は「バツ」の数が増えたが、
「2年で基準をすべてクリアします」と関連企業が話すなど、
取り組みは社外にも広がりつつある。

--オフィス屋上で勤務する「ガーデンオフィス」も話題に。

◆対象者が、1年のうち90日を「ガーデン」で働く。
昨年12月と今年1月は、前年同月比で約40%、CO2量減。
確かに冬は寒い。
「快適なオフィスがあるのに、厳しい条件で働く必要があるのか」との意見も。
目標を定めれば、社員は行動する。
環境対策に取り組むことで、社員の意識が変わった。
「集中して作業できるようになった」などの効果も。

--顧客に対してはどのような提案?

消費電力の少ないLED(発光ダイオード)照明への切り替えを提唱。
蛍光灯型なら、十分な明るさを確保。
環境に対する社員の意識改革を促すサービスを提供、
顧客から選ばれる会社を目指す。

--景気悪化でコストのかかる環境対応が遅れるのでは?

◆現在、各企業は環境対策に高いコストを払っており、重荷に感じている。
将来は逆に、環境負荷の高い商品が排除され、
環境商品の方がコスト的に安くなる。
「景気が良くなってから」との企業も多いが、環境対策は積み重ねが大事。
将来、確実に生き残るため、今から取り組まなくてはならない。
==============
◇くろだ・あきひろ

慶応大経済卒。72年コクヨ入社。取締役、常務、専務、副社長などを経て、
89年に4代目の社長に就任。大阪市出身。59歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/03/30/20090330ddm008020039000c.html

ノーベル賞:受賞3氏、子どもたちと交流 素朴な疑問に答え、生き方も指南

(毎日 3月31日)

ノーベル物理学賞を受賞した小林誠・高エネルギー加速器研究機構
特別栄誉教授(64)と益川敏英・京都産業大教授(69)、
化学賞の下村脩・米ウッズホール海洋生物学研究所特別上席研究員(80)
の3氏が、子どもたちや学生と交流するイベントが相次いで開かれた。
科学者は、子どもらの素朴な疑問に真剣に答え、
独特の言い回しで将来の生き方を指南。

◆なぜ生物は死ぬの?

小林さんと益川さんは、日本科学未来館で小学生と父母ら110人と対話。
2人は、子どもたちと一緒のテーブルを囲み、約1時間、議論に参加。
毛利衛館長と塩谷立文部科学相も加わり、
子どもたちから事前に寄せられた質問をもとに議論は進んだ。

「どうして生物は死ぬの?」との質問では、
ずっと生きていたいかどうかで子どもたちの意見が分かれた。
「将来、地底を探検したいので、ずっと生きていたい」との意見がある一方、
「知り合いがみんな死んで、自分だけ生きていても仕方がない」との声も。

益川さんは、「生物は死ぬことで進化してきた」と切り出した。
「生命の設計図DNAが人間の中にある。
死ぬから、新しい世代へとコピーが行われるが、
そこで、エラーが起きることがある。
悪い結果もあるが、より優れたものができる可能性がある。
永遠の命だと、一番最初の細胞のままで進化しない。
命は未来につながっていくのだから、安心して死にましょう」

小林さんは、「生命は、自然界の中で非常に微妙なバランスを保っている。
どんな機械だって壊れる。
微妙な生命の仕組みが壊れていくのは、自然なこと。
それを救う仕組みが子孫を残すこと」

◆自分に合うもの探せ

「科学とは何か」との質問に、
小林さんは、「ある事柄が正しいかどうか十分に検証し、
判定できるものに基づいて考えること。
そうやって得た知識は、人間の行動を決定するときに一番頼りになる」

益川さんは、「自分が楽しみながら努力できることを探してください。
少し我慢して続けることで、楽しくなってくることも。
努力が楽しみを発見し、努力の原動力となることも。
人生を楽しむと同時に、社会に役に立つことができるようになる」

司会者が、「勉強が嫌いな人は?」と問うと、
小林さんが子どもに交じって勢いよく手を挙げた。
益川さんは、「『勉強』という言葉が良くない。強いられるのは嫌い」

東京都目黒区の林駿君(12)は、「尊敬する2人の先生を自分の目で
見ることができて感動した。益川先生から、
『自分に合ったものを探しなさい』と言われたことが一番印象に残った」

◆対話前に素粒子実験

対話の前に「霧箱」を作って、宇宙から地球に絶えず高速で降りそそぐ
放射線を観察する実験も行われた。
同館のサイエンスコミュニケーター、槌野貴子さんがやさしく説明。

槌野さんは、ポテトチップスを手に「これは何でできていますか?」と尋ねた。
科学好きの子どもたちからは、いきなり「素粒子!」との声。
槌野さんは原料のジャガイモから、分子、原子、素粒子までさかのぼって
物質の成り立ちを解説。

霧箱は、透明なケースの中にアルコールを少し入れ、
ドライアイスで冷やして、霧を発生させる装置。
普段は目に見えない放射線が通った跡を見ることができる。
子どもたちには、簡単な工作用の霧箱のキットが配られ、
ボランティアらの指導で組み立てた。

周囲を暗くして、発光ダイオードで照らすと、
飛行機雲のような白い線がくっきりと浮かび、
会場のあちこちから「見えたよ」との歓声が上がった。

◆若者の奮起期待

下村さんは、母校の長崎大で、同大生300人、
長崎県内の高校生200人、中学生20人らの前で講演。

旧制諫早中(現・諫早高)時代の45年8月9日、
長崎原爆の閃光を目撃した体験を話した。
学徒動員で実質1日しか登校できず、戦後の混乱の中で
「進学のための内申書がもらえず、2年間浪人した。
一番みじめな期間だった」

受賞理由となったオワンクラゲの研究を紹介、
実際に緑色蛍光たんぱく質(GFP)を光らせてみせた。
下村さんは、「他にも無数の発光生物がいるが、
大部分が科学的には未解決。
思いがけない反応が発見できる宝庫だが、成功率が低いので
研究者はほんのわずか。若い人は『難しい』と言わず、
積極的にチャレンジしてほしい。
達成した時の喜びは大きい。努力あるのみ」と奮起を促した。
==============
◆3氏の業績

ミクロの世界では、物質を作る粒子と、電荷が反対の反粒子は
対等の関係だが、現実の世界には物質しかない。
小林さんと益川さんの2人は、素粒子のクォークが少なくとも6種類あれば、
この違いを説明できることを初めて示した。
日本の実験チームらによって、この理論が実証され、
08年のノーベル物理学賞に輝いた。

下村さんは、発光生物のオワンクラゲからGFPを発見。
GFPは、細胞内でのたんぱく質の動きを探る「道具」として、
生命科学などの分野で不可欠な存在。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/03/31/20090331ddm016040130000c.html

五輪聖火の国際リレーの廃止決定 主催国内のみに IOC

(CNN 3月28日)

国際オリンピック委員会(IOC)は、
五輪開催に伴う聖火の国際リレーを廃止することを決定。

2012年のロンドン夏季五輪では、国内のみに限られる。
カナダ・バンクーバーで来年開かれる冬季五輪でも、
国際リレーは実施されない。

国際リレーは、2004年のアテネ五輪から始まり、
昨年の北京五輪でも実行された。
中国のチベット政策への抗議に遭い、ロンドンやパリで妨害行動が
多発し、円滑な実施は実現していなかった。

IOCによると、国際リレーの廃止はアテネ大会後、考慮した。
中国五輪の組織実行委が、早い段階から実施の準備をしていたため
認めたが、IOCはリスクを伴うことを自覚していた。
聖火リレーを主催国内だけに限る方が、
しっかりとした管理が出来るとも説明。

http://www.cnn.co.jp/sports/CNN200903280006.html

2009年4月6日月曜日

生ゴミ~燃料 菜の花運動

(読売 3月30日)

菜の花畑の脇をごみ収集車が走り抜ける。
その燃料の一部になっているのが、菜の花から採れた油の廃油。
鹿児島県大崎町では、ごみの徹底した循環に取り組み、
その象徴として2001年から「菜の花エコプロジェクト」を展開中。

同町では、全約7000世帯から生ゴミを回収し、堆肥を作っている。
これを使い、町内の20農家が遊休農地など約11ヘクタールで
菜の花を栽培。採取した菜種油は「ヤッタネ!菜ッタネ!」という
商品名で、食用油として町内で販売。

家庭から出る菜種油の廃油は、ほかの廃食油とともに回収され、
町のごみ収集車10台を走らせるための
バイオディーゼル燃料(BDF)になる。
堆肥とBDFを実際に作るのは、町から委託を受けたリサイクル会社。
BDFの製造は年間約13トンで、CO2の排出抑制。

循環サイクルは全国的にも珍しく、各地の自治体からの視察が相次ぐ。
小中学校の環境学習でも取り上げられている。

町は、設置費が高額だとして焼却炉を持っていない。
以前は、ごみのすべてを埋め立てていた。
1998年、処分場が6年後に満杯になるとの試算が出たことで、
ごみの分別回収や資源化を始めた。

当初は缶や瓶など3品目だけだった分別は現在、28品目に拡大。
リサイクルできずに埋め立てるごみは、
98年度の4382トンから07年度は684トンと約85%減った。

06年度のごみのリサイクル率は、全国1位の80%。
今年度はごみ減量、再使用、リサイクルを意味する「3R」の取り組みで、
環境省から奨励賞も受賞。
同町の川添俊一郎・環境係長(49)は、
「資源の完全な地域内循環を目指したい」

http://www.yomiuri.co.jp/eco/wagamachi/20090330-OYT8T00766.htm

「青少年期の体力、女性の長寿に関係」お茶の水女子大調査

(読売 3月28日)

学生時代に体力がある女性ほど長生きする傾向にあることが、
お茶の水女子大の曽根博仁准教授らの調査でわかった。

近年、子供の体力低下が指摘されて、
「長寿の秘訣は若い頃にあり」とする結果は注目。
科学誌エピデミオロジー5月号に掲載。

研究チームは、同大付属高校で1943年に女子生徒519人が行った
1000メートル走や木棒投げなどの体力テストのデータを活用。
同窓会の協力で、所在がわかった510人を追跡調査。

その結果、体力テストで上位から半数の生存率は、50歳で97%、
下位の半数は95%と差は小さかった。
70歳を過ぎると、両グループの差は徐々に広がり、
上位の生存率は80歳で89%、下位は82%。

分析を担当した佐藤睦美・同大研究員は、
「70歳以降の差は、青少年期の体力が生活習慣病の発症に影響し、
寿命につながったのではないか」

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090328-OYT1T00262.htm

挑戦のとき/7 米ワシントン大准教授・鳥居啓子さん

(毎日 3月31日)

植物は、呼吸や光合成の際、表皮にある小さな穴(気孔)を開閉し、
酸素や二酸化炭素、水蒸気を出し入れする。
数億年前、植物が海中から陸上に進出した際、獲得した巧みな機能。
植物の生存に不可欠な気孔が形成される仕組みは、最近まで謎。

アブラナ科のシロイヌナズナを使い、その仕組みを解明したのが鳥居さん。
さまざまな突然変異体から、その特徴を引き出す遺伝子を特定する
手法で研究を続けた。

05年、気孔の形成を左右する3種類の遺伝子を突き止め、
米科学誌サイエンスに発表。
これら3種類の遺伝子をすべて欠くシロイヌナズナは、
気孔の数が大幅に増えた。
鳥居さんは、「顕微鏡を見ていた研究員が興奮して知らせに来た。
のぞいてみたら、気孔だらけでびっくりした」

07年、3つの遺伝子が順番に作用することで、未分化な表皮細胞から
気孔が作り出されることを示した。
表皮の細胞は、放っておくと気孔になろうとする性質があり、
3種類の遺伝子はそれを食い止める働き。
「パズルを解くようなシンプルさが魅力」と語る通り、
植物の基本的な仕組みを解明した業績として注目。

幼いころから、虫や図鑑が好きだった。
小学校に上がるころ、母親から「何か買ってあげる」と言われ、
顕微鏡を希望した。
その顕微鏡で、水たまりの水などを見るのに夢中。
小麦粉の中にダニを見つけたりして驚いていた。

「学園都市」の響きにあこがれ、筑波大へ。
「植物の遺伝子組み換え技術が実用化され、新しい時代が始まるという
活気に満ちていた。植物の多様性がどうしてできるのか不思議だった

博士号取得の翌年、「とりあえず半年」という受け入れ先との約束で
渡米して以来、米国生活は15年。
今の大学で知り合ったドイツ人理論物理学者の夫との間に、
5歳と2歳になる子どもがいる。
乳飲み子を連れて、教授会や講義をこなしたことも。
第2子を出産した日、英科学誌ネイチャーに論文が掲載。

「科学者になりたいというより、好きなことを続けていたらここまで来た。
元は一つの受精卵から出発した細胞同士が、
どのようなコミュニケーションを取り、さまざまな役割の器官に
分化していくかを解明したい」
==============
◇とりい・けいこ

東京都出身。93年、筑波大大学院博士課程修了。
東京大、米エール大、ミシガン大で任期付き研究員を経験し、
99年にワシントン大助教授。05年から現職。
08年度の日本学術振興会賞を受賞。

http://mainichi.jp/select/science/rikei/news/20090331ddm016040137000c.html

アシモ:念動アシモ 脳活動読み命令遂行

(毎日 4月1日)

念じるだけで、ヒト型ロボット「アシモ」に特定の動作をさせることに、
本田技研工業の子会社と国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、
島津製作所のチームが成功。

念じた時に表れる脳活動パターンの特徴を読み取る技術を応用、
脳に電極などを埋め込む必要がない。
将来は、手足を動かさず運転できる自動車や家事ロボットの
開発につなげたい。

研究チームは、脳波計と近赤外光脳計測装置を使い、
「右手を上げる」、「左手を上げる」、「駆け足」、「舌を動かす」の
4種類の動作を人が念じた時の脳波と脳血流を計測。

各動作に特徴的なパターンを統計的に処理し、念じた動作を判別して
アシモを動かすシステムを開発。

3人の被験者で試したところ、「舌を動かす」と念じると、
アシモが物を食べる仕草をするなど、
約90%の確率で思い通りの動作をした。

しかし現段階では、念じてからアシモが動くまで7~9秒かかる。
脳の活動パターンは個人差が大きいため、念じる人の脳活動パターンを
事前に計測する必要がある。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090401ddm012040047000c.html

脂肪:細胞内での分解に「自食作用」関与…日米チーム発見

(毎日 4月2日)

細胞内の脂肪を分解する新しい仕組みを日米の研究チームが発見、
1日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表。

たんぱく質分解のときに起きる「オートファジー」(自食作用)という仕組みが、
脂肪分解にも寄与しているのが分かった。
肥満治療薬の開発に役立つ可能性。

オートファジーは、飢餓状態になった生物は、細胞内のたんぱく質を
膜で包んでアミノ酸に分解し、エネルギーを得たりする仕組み。

研究チームが、マウスの肝細胞を観察したところ、
飢餓状態になると、膜が現れて細胞内の脂肪を包み込み、
リソソームという小器官が結合して分解するのを発見。
脂肪の周りには、オートファジーに不可欠なたんぱく質が存在。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090402k0000m040116000c.html

2009年4月5日日曜日

スポーツ21世紀:新しい波/297 市民マラソン熱/5

(毎日 3月28日)

宮崎市中心部にある1932(昭和7)年建築の宮崎県庁庁舎。
東国原英夫知事の就任以降、30万人を超える観光客が訪れた
新名所の前を昨年12月、7000人の市民ランナーが駆け抜けた。

第22回を数える国際青島太平洋マラソン。
従来は、海岸近くを走る大会だったが、
この年から中心市街地を巡るコースに変更。

大会は、87年に観光団体などで作る実行委員会が
最長20キロのコースで始めた。89年、フルマラソンを新設。
06年、コースの一部を海岸沿いに変えたが、
実行委事務局の中武悌晴さんは、
「県民のお祭りみたいな大会にしたい」と物足りなさを感じていた。

その後、大会の有りように大きな影響を与えたのが、
07年に始まった東京マラソン。
まずのろしを上げたのは、自身もランナーの東国原知事。
銀座、浅草を走る東京マラソンをモデルに、
県庁前、宮崎神宮を巡るコース変更を提案。
市内一の目抜き通りを通行止めにするため、市民の合意が欠かせなかった。

意見を募ったところ賛成が半数を超えたが、
「交通規制をしてまで開く必要はあるのか」などの反対も根強かった。
不安を抱えての本番だったが、当日は県庁前を走るフルのほか、
ハーフ、10キロなどを加えて史上最多の1万1000人が出場、
沿道は主催者発表で約10万人の観客であふれた。

中武さんは、「従来は宮崎市民でさえ、大会を見たことのない人が
ほとんどだったが、広く協力や支援をもらえる大会になった。
歩行者が横断できる個所を増やすなど、課題はある」と
さらに改善に努める。

東京マラソンの成功は、地域経済の活性化などの思惑も込め、
各地の大会に影響を与えている。
08年に新設された、とくしまマラソン(徳島市)、下関海響マラソン(下関市)
は、ともに中心市街地を発着点に名所を巡るルート。

月刊誌「ランナーズ」の高瀬晋治副編集長は、
中心市街地へのコース誘導は、市民に不便を強いることになる半面、
大勢の人の目に触れやすくなる特性もある。
ボランティアや沿道のパフォーマンスを含め、どれだけ多くの市民層を
大会に取り込むかが、今後の運営に欠かせない視点」

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

若田宇宙飛行士:「運動がストレス解消」…ISSで会見

(毎日 4月2日)

国際宇宙ステーション(ISS)に、日本人として初めて長期滞在している
若田光一宇宙飛行士(45)が、同僚ら5人と一緒に記者会見。
若田さんは、「まだ忙しくて休日は取れていない」と明かしたが、
元気そうな様子で「毎日の運動が一番のストレス解消になっている」と笑顔。

若田さんは、3月16日に打ち上げられた米スペースシャトルでISSに到着、
約3カ月の宇宙生活に入った。
会見には、米露の宇宙飛行士4人以外に
米国人実業家が宇宙旅行者として同席、
若田さんは「もっと多くの人に宇宙での滞在を体験してもらい、
宇宙から地球をながめてほしい」

若田さんは、ISSの維持管理や科学実験を担当。
6月中旬、シャトルで運ばれる日本の実験棟「きぼう」の
最後の構造物を取り付け、地球に帰還する。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090402k0000m040124000c.html

大船渡湾永浜地区13メートル岸壁 15年の整備経て完成

(東海新報 4月1日)

国交省東北地方整備局釜石港湾事務所が、
整備を進めていた赤崎町永浜地区の水深13㍍岸壁が完成。
21年度も県による岸壁背後のふ頭用地整備が計画、
同港安全対策協議会では、5万㌧級の貨物船を使った試験荷役を行う。

船舶大型化への環境整備が進む中、
今後は湾内養殖漁業者らとの〝共存〟の重要性も高まりそう。

永浜地区岸壁(水深13㍍)整備は、平成6年から国直轄で着手。
延長260㍍、事業費は120億円で地盤改良や杭打設、
L型ブロック据え付けなどが行われてきた。

19年度末、延長約190㍍部分が完成。
20年度、残りの70㍍部分の岸壁整備を行い、岸壁背後に広がる
ふ頭用地部分の埋め立ても進められてきた。

ふ頭用地部分は県による事業で、埋め立て完了は22年度、
土砂の沈下促進や舗装作業を経た最終的な完了時期は24年度。
臨港道路の整備完了も同時期を見込む。

同岸壁の整備によって、整備から30年以上が経過した茶屋前岸壁の
老朽化をはじめとした港湾機能再編とともに、
同地区の親水空間整備要請にも対応できる。
船舶大型化に対応することで、一括大量輸送が可能となり、
輸送コストの低減や環境負荷の低減も期待。

大船渡港では、完成に合わせ、5万㌧級の貨物船を入港させて行う
試験荷役を予定。
入港する『Hayama Star』は、全長188.5㍍、船幅32.3㍍、52900㌧、
同港を利用する貨物船としては過去最大規模。
石油コークスを約5万㌧積載して入港。

試験では、水深13㍍岸壁において、別の小型船に石油コークスを
積み替える「瀬取り」を行い、茶屋前ふ頭などに運搬。
13㍍岸壁で石油コークスを降ろし、ダンプ車による陸送も計画。

大型船を入港させることで、大型貨物船航行、荷役作業の安全性を確認、
周辺地域の生活環境に対する影響を調査。21年度、4回程度行う。
岸壁完成によって、大船渡港における機能向上や貨物増への期待が強まる。

湾内では、珊瑚島付近などの水路幅が狭く、カキをはじめ養殖施設も
多いため、漁業者といかに〝共存〟するかが課題。

大船渡市漁協の志田安雄組合長は、
「大型船が入ることで、我々の漁業活動が縮小されることがあっては困る。
道路に大型ダンプが通れば危険を感じるように、
漁業者も精神的な不安も生まれる。
今後は、一層きちんとした説明や調整が必要となる」

http://www.tohkaishimpo.com/

「オール地元」で強さ証明 花巻東、岩手にこだわり

(朝日 2009年4月3日)

「弱いといわれる岩手の野球を、岩手の選手で変えてみせる」
春の甲子園で準優勝した花巻東の原動力は、チーム一丸のそんな思い。
選手は全員、県内出身。
東北勢初の優勝には一歩届かず、涙で目を真っ赤にしたが、
岩手代表として初めて決勝を戦った姿に、
甲子園のスタンドも、岩手の街もわいた。

選抜大会の岩手勢は、84年のベスト4が最高。
以後は今大会まで1勝もできず、夏も初戦敗退が6年続く。
花巻東も、過去に4度甲子園に出場、県内実力校の一つに過ぎなかった。

岩手出身の佐々木洋監督は、岩手の子どもだけで甲子園で勝つという
「誰もやったことのない目標」にこだわってきた。
集まるのは、その姿勢に共感した選手が中心。
中学時代にシニアリーグで活躍し、強豪私立からの誘いを断ってくる選手も。

右翼手の佐藤隆二郎君(3年)もその一人。
「うちのチームは、岩手を背負って戦える。
岩手が弱くないということを証明したい」
エース菊池雄星君(3年)は、首都圏や関西からも相次いだ勧誘をけって
花巻東を選んだ。「佐々木監督を男にしたかった」

菊池君は、07年夏に甲子園のマウンドに立ったものの、初戦で敗退。
昨年は、春夏とも甲子園を逃した。
秋の東北地区大会では、岩手から県外に進んだ投手と投げ合って負け、
菊池君は号泣した。

その悔しさがバネになった。
冬、室内での筋力トレーニングや打撃練習に黙々と取り組み、
選抜出場が決まると、三重県に合宿して実戦的な守備練習を繰り返した。
速球で押していた菊池君は、スライダーなどで緩急をつけることを覚え、
テンポよく投げる投球リズムも身につけた。

今大会は、1回戦から準決勝まで31回2失点。
速球は、最速150キロを記録。
この日も9回を1失点。
控え選手が分析したデータをもとに、
バックも打者ごとに守備位置を変え、堅守でもり立てた。

「勝つたび、岩手の皆さんが喜んでくれるのがわかった。
今日も勝ちたかった」
試合後、震える声で話した菊池君は、
「明日から練習して、夏、優勝旗を取りに戻ってきたい」
その時まではと、甲子園の土は持ち帰らなかった。

http://www.asahi.com/sports/bb/TKY200904030218.html

「暑がり遺伝子」を発見 ハエで実験、京大チーム

(2009年3月27日 共同通信社)

温度が高い所を避けて、低い所で活動するのを好むようになる
「暑がり遺伝子」を、京都大の梅田真郷教授のチームが
ショウジョウバエの実験で特定、27日付の米科学誌サイエンスに発表。

エネルギー代謝が活発になり、低温に向いた体の仕組みになるらしい。
零下2度の極寒で生存できるハエもいた。
梅田教授は、「人にも同じ遺伝子があり、人体での働きを解明する
糸口になるかもしれない」

チームは、遺伝子操作したハエの幼虫で好みの温度を研究。
その結果、人では筋ジストロフィーに関係するDmDGという遺伝子の活性
下がると、通常より温度が5度程低い場所に好んで移動する。

遺伝子は、代謝機能に関係している可能性があるが、
人の病気との関係は不明。
梅田教授は、「生物がさまざまな温度環境に適応するための仕組みに
かかわっているのでは」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/3/27/94406/