2008年4月26日土曜日

環境対策などに取り組む企業を優遇 県が新制度開始

(岩手日報 4月18日)

県は、本年度から環境対策や障害者雇用などに積極的に取り組む
中小企業に対し、県への物品購入等で優遇する制度をスタート。
出納局や各地方振興局が納入する物品(10万円以下)や
印刷物(30万円以下)が対象。
優先扱いとなる物品などの発注額は約700万円と見込。
県が推進する子育て施策などに賛同する企業の広がりを目指す。

優遇するのは県内に本社があり、
県の競争入札参加資格者名簿に登録した授産施設や中小企業など。

条件は、①ISO14001の認証やいわて環境にやさしい事業所の
3つ星以上の認定を取得した企業、
②いわて子育てにやさしい事業所の認証を取得した企業、
③障害者の雇用率1・8%以上で2人以上を雇用。

コピー用紙や文房具など物品購入や印刷物の入札参加資格を持つ企業は、
県外大手企業を含めて約1700社。
県の年間発注額は40億-50億円で、
このうち優先扱い対象となる発注額は約700万円と見込。

今回対象となる盛岡市緑が丘の特定身体障害者授産施設
岩手ワークショップ(福田和紀所長)は、
2006年度の受注が盛岡地方振興局関係の報告書印刷の1件のみ。
同施設には62人が入通所し、印刷のほか
電気部品組み立てや包装材製造も行っている。

就労支援課の井上勝巳係長は、
「近年は県からの受注はほとんどなかった。
得意先を回る際にも励みになる。大いに施設をPRしていきたい」。

県出納局の小守武義管理担当課長は、
「単に中小企業支援だけでなく、環境や雇用、子育てに関する
県の施策に賛同する企業の拡大を後押ししたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080418_8

月経血から心筋細胞 慶応大など「幹細胞源として期待」

(朝日新聞 2008年04月17日)

女性の月経血には、からだのさまざまな組織に変化する
可能性がある幹細胞が豊富に含まれ、条件を整えると、
心臓の細胞(心筋細胞)に高い確率で変化して拍動もすることを、
慶応大と国立成育医療センターなどのチームが実験で示した。

チームは、「月経血は新しい幹細胞源として期待できる」。
米専門誌ステムセルズ(電子版)に論文を発表。

チームは、女性6人に協力してもらい、
月経血をガラスの容器に採取して培養。
人工的に心筋梗塞を起こしたネズミの心臓に移植したところ、
症状の改善が確認された。

試験管内の分化誘導実験では、月経血に含まれる細胞の
20%が心筋細胞に変わって、自ら拍動を始めた。
現在、病気の治療に幹細胞を使うときは、
赤ちゃんのへその緒に含まれる臍帯血や、骨髄から採ることが多い。
しかし、さまざまな組織に変化できる有用な幹細胞が
含まれる割合が低いうえ、目的の細胞に変化する割合も高くない。
チームの実験では、心筋細胞に変化した骨髄細胞の割合は、0.3%。

三好俊一郎・慶応大講師は、「月経血は医療廃棄物で、
使うことに倫理的な問題はなく、採取の際に痛みもない。
将来、若いころに月経血を採って冷凍保存しておき、
あとで心臓病になったときに使うことなどが考えられる」。

http://www.asahi.com/science/update/0417/TKY200804170280.html

2008年4月25日金曜日

スポーツと環境~[第2回] C.W.ニコルさん 『まずは身近な自然を大切に』

(SSF 08.03.11)

―ニコルさんとスポーツとの関わりは?

僕は、チームスポーツというものには全く興味がなかった。
野球、フットボールは、今でも30秒以上テレビで観たことがない。
スクール時代も、スポーツの授業は全くだめでした。
反対に、格闘技は好きでした。
12歳で柔術を始め、日本に来たのも空手を習うため。
空手の型の美しさに燃えました。道場の中での友情も素晴らしかった。
カヤックやローイングなどのアウトドア、ハンティングなんかも大好き。
僕にとってスポーツとは、あくまで目的達成のための手段。
楽しむため、ゲームのためのスポーツはやらない。

―最近は、山道を走るトレイルランをやる人が増えています。

人口が増えることによって、自然破壊を心配する声も
トレイルランや、マウンテンバイク、クロスカントリースキーなどは大賛成。
どんどんやったらいい。山や森をもっと利用すべき。
自然と触れ合うことで、その豊かさ、尊さを知り、保護意識が高まる。

ロードを走るランナーは、僕くらいの年になると必ずひざを壊しています。
アスファルトの硬さに比べ、山道は土やチップ(木くず)で、
柔らかくて足に負担がない。いつまでも健康的に走ることができます。

自然の中で活動するには、守るべきルールがあります。
例えば、黒い服を着て山に入るのはいけません。蜂に襲われる。
川沿いの道を歩くとき、半袖や半ズボンで行くのもだめ。ブヨに刺される。
自然の中でしていいこと、悪いこと、その知恵が必要。

―自然の中でスポーツを楽しむためのルールもありますか?

もちろん。僕の生まれ故郷・ウェールズには、3万ヘクタールの自然林があり、
中心の1万1千ヘクタールは、「アファン アルゴード森林公園」といって、
その中にマウンテンバイクや散歩のためのトレイルがあります。
道を侵食しないため、マウンテンバイク用の道は幅80cm、
ウォーキングやランニング、車いすでの散歩をする道は幅2m。
もとはボタ山(炭鉱)の跡地でしたが、
地元のボランティアの努力によって、美しい森が生まれたところ。

その森林公園には、「散歩の処方箋」というのがある。
ウェールズは、生活習慣病の患者が多く、治療の一つとして導入。
日本でも、警察病院の本間医師が、森を散歩した生活習慣病患者の
症状がどう変わるか調べた。
結果、患者全員の血圧が安定し、免疫力が15%上昇、NK細胞も増加した。
山道は、地面がチップで柔らかいですから、患者の脚への心配はない。
ウェールズでは、最初のうちは患者を心配して、携帯電話を持たせた。
ところが、これはすぐにやめてしまった。
待機しているレンジャーに、ひっきりなしに電話がかかってくる。
「珍しい鳥を見たぞ」、「この花は何という名前なのか?」、
心配していたのとは逆の事態でしたね(笑)。

日本の病院でも、患者に運動を勧めるが、スポーツジムの利用が中心。
でも、自然の森にかなわないこともある。
森には木があり、天然のアロマがあり、自然な音や涼しさがある。
スポーツをするのに、こんないい環境はない。
カナダの国立公園で仕事をしていた頃、デスクワーク中心でしたが、
昼休みの1時間は必ず広大な公園の中で過ごしました。
ランニングコースを設定し、太い木の枝で懸垂やジャンプしたりして、
自然のトレーニングジムを考えた。とてもよいリフレッシュになりました。

―日本も自然豊かな国ですが、なぜそのような習慣ができないのか?

オフィスワーカーの集まる都市に、公園が少ないことも一因。
カナダのバンクーバーは、都会と自然が調和した素晴らしい都市。
自然林が残されて、日本みたいにヒートアイランドになることもないし、
オフィスワーカーたちはこぞって自然の中に出て行きます。
大きな川が流れ、夏は昼休みにひと泳ぎしてからオフィスに戻る人も。
日本も、本当に人が心豊かにしあわせに暮らすために、
自然と調和した都市の在り方を考えた方がいい。

日本は、他国に比べ、レンジャーの数が圧倒的に少ない。
レンジャーとは森林保護官、公園監視員といった職業、
カナダに約4,500人、アメリカ約9,000人、ケニア約3,000人。
日本には、200人ほどしかいない。
それもほとんどはデスクワークをする人。
彼らは森の歩き方、自然との接し方において、レンジャーにはかないません。

―自然と接する知恵は、子どもたちにこそ必要では?
SSFでは、子どもたちの長期のスポーツキャンプを開発・支援する事業を行う。
子どもと自然の関係というのは、どうお考えですか?

以前からずっと提案したいことがありました。
小学校の校庭、トラックの周囲に、木を植えてトレイル(道)を作る。
土ではなく、チップを敷き詰める。
子どもたちは涼しい木陰で走ることを楽しみ、木を育むことを通じて
自然とのふれあいを体験できます。
スポーツの授業は、より健康的に、楽しくなるでしょう。

もう一つ、僕にはやりたい事があります。
「森林棒術」とでも名づけましょうか。
レンジャーが使うような1本の棒を使い、森を歩くルールを確立したい。
子どもたちや高齢者、生活習慣病患者のように、足腰や腕力が弱くても、
棒を使えば段差を乗り越えたり、道をふさぐ障害物を取り除いたりできます。
自然の中で生きる知恵の集大成です。
僕の棒術の先生は沖縄にいるのですが、その型を取り入れ、
武道としても完成度を高めたい。

山道を歩く方法については、2本のポールを使うノルディックウォーキング
のようなすぐれたエクササイズもあります。
エチオピアのレンジャーも、2本の棒を持ち歩いています。
棒が1本なら、片手が空くでしょう?
ただ歩くだけではなく、別の道具を使ったり何かを調べたり、
もっと応用がきくようになる。

―スポーツを愛する人たちに向けて、エコメッセージをお願いします。

まずは、身近にある自然を大切にすること。
自然の中でスポーツをすることは本当によいことですが、
時にそれは人を鈍感にさせます。ゴルフなどがいい例。
ゴルフは、世界が認める素晴らしいスポーツですが、
人間のマナーの悪さ、自然を破壊する傲慢さを、絶対に認めたくない。
自然と接するマナーを学び、自然を生かしていくことが大切。

「環境」がテーマの東京マラソン2008を走ったランナーの皆さんに、
“A true runner always remember the trail and leaves only good memories behind.
(真のランナーは、トレイル(道)のことをいつも心に留め、
そこに良い思い出だけを残していくものだ)”

http://www.sfen.jp/opinion/athlete/02.html

ホーキング博士、地球外生命体の可能性を語る

(CNN 4月22日)

英国の物理学者、スティーブン・ホーキング博士(66)が、
米航空宇宙局(NASA)設立50周年を記念して、
米ジョージワシントン大学で講演。

講演は、「地球外生命体は存在するかどうか」がテーマ。
おそらく人類は孤独ではない、とホーキング博士は語り、
ではなぜ宇宙人が流す電波をわれわれは傍受できないのか、
例えば「エイリアンクイズ番組」のような放送電波に遭遇しても
いいのではないかと問い掛けた。

地球外生命体は存在しないかもしれないし、存在するとしても、
宇宙に電波を送る技術があるのなら、
核兵器開発能力も持っていると考えることもできる。

しかしホーキング氏は3番目の可能性を信じたいといい、
原始的な生命体は非常によくあるが、知的生命体は極めて稀有だ。
地球でも、それ(知的生命体)はまだ発生していないという意見もある」。

宇宙人に恐怖を感じないかとの問いには、
宇宙人に誘拐されるという話は妄想だとしても、
宇宙人は地球人とは違うDNAを持っているかもしれず、
「もし宇宙人に出会ったら、地球人が抵抗力を持たない病気に
感染するかもしれない」。

人類の宇宙探査については、
「もし人類があと百万年生き続けようとするのなら、
前人未到の領域に踏み込む大胆さが必要」。
宇宙探査に予算を割くことを渋る人たちは、
1492年のコロンブスの冒険に反対した人たちと同じだと言い、
新世界の発見は、旧世界に根本的な変化をもたらした。
ビッグマックもKFCもなかったかもしれないと考えてみてほしい」。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200804220015.html

インフルエンザ、アジアが発生源 国際チームが解明

(朝日新聞 2008年04月17日)

毎年流行するインフルエンザのウイルスは、
東アジアから東南アジアの地域で生まれ、旅行や貿易といった
人の活動にともなって世界中に広まっていくことを、
日米欧豪などの国際共同チームが確認。
米科学誌サイエンスに発表。

チームは、02~07年に世界中から採取した
インフルエンザA型(H3N2)のウイルス1万3千株について、
ウイルスに特徴的な分子やDNAの微妙な違いを調べた。
こうした違いから、ウイルスの変異(進化)の過程がたどれ、
ウイルスがどういう経路で広まったかがわかる。

その結果、ウイルスは東アジアから東南アジアにかけての地域で生まれ、
その後、オセアニア、欧州、北米へと拡大。
最後に南米に達したところで、「進化」を終えていた。
論文は、ウイルスが生まれる具体的な地域や国の名前はあげていない。

A型は、68~69年に世界的に大流行し、
100万人もの死者が出たとされる「香港かぜ」と同じ型。
毎年、少しずつ変異した新たなタイプのウイルス(亜型)が流行し、
世界の毎年の死者は平均25万~50万人と推計。

ウイルスの供給源として、東南アジアやその周辺とする見方が強かったが、
「北半球」、「熱帯地域」など供給源をより広くとらえる専門家もいた。

今回の成果から、アジアの供給源地域を集中監視し、
次に流行するウイルスをいち早く見つけることの重要性が、
あらためて裏付けられた。

インフルエンザの被害軽減の決め手となるワクチンは、
毎年の流行予測に基づいて製造。
国立感染症研究所ウイルス第三部の田代真人部長は、
「ウイルスが、日本に来るまでに起こす変異にも一定の傾向があった。
成果は、日本が流行予測するのにも役立つ」。

http://www.asahi.com/science/update/0417/TKY200804160355.html

堆積層で津波巨大化、東大が「明治三陸津波」解析

(読売新聞 2008年4月15日)

高さが最大38メートルに達した明治三陸津波(1896年)は、
震源付近の海溝沿いに厚くたまった堆積層が地震によって盛り上がり、
津波の巨大化を引き起こした可能性が高いことが
東京大の解析で明らかになった。

堆積層によって、ゆっくりと長く揺れる長周期地震動が
発生しやすくなることも突き止め、長周期地震動の早期検知で、
日本近海で発生する巨大津波の来襲を事前に伝えることも可能に。

三陸沖の日本海溝沿いでは、プレート(岩盤)境界上には、
厚さ7~10キロの堆積層がある。
同大の古村孝志教授(地震学)らは、
ほとんど考慮されなかった堆積層の存在に注目し、
2万人を超す死者を出した明治三陸津波をコンピューターで再現。
地震の規模は、記録に残る震度分布からマグニチュード7・4とした。

その結果、プレートのずれで軟らかい堆積層が大きく変形、
大量の海水を持ち上げて大津波が起き、
堆積層を考慮しない場合の5倍前後の高さとなった。
明治三陸津波で、岩手県宮古市の1キロ沖の津波の高さは4・2メートル、
入り組んだ海岸線では30~40メートルに達したと推定。

また、地震波は堆積層内で何度も反射し、
10~20秒の長周期の揺れが強まることも確認。
研究チームは、昭和三陸津波(1933年)も堆積層で
津波が大きくなったと推定。

東南海・南海地震の震源となる南海トラフでも同じ仕組みで、
巨大津波が起きる恐れがあるとしている。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080414-OYT1T00708.htm

2008年4月24日木曜日

「右脳マウス」を発見 九大などの研究グループ

(共同通信社 2008年4月16日)

九州大と自然科学研究機構生理学研究所の共同研究グループは、
左右の脳の神経回路がいずれも「右脳」の性質を持つマウスを発見。
米科学誌プロスワンに掲載。

ヒトの左脳は、言語や計算など論理的思考、右脳は音感やひらめきなどの
直感的思考をつかさどるとされるが、
左右差ができるメカニズムは分かっていない。

九大大学院の伊藤功准教授(分子神経生理学)は、
「このマウスの脳を詳しく調べ、どのような遺伝子が
脳の左右差形成に重要な役割を果たすかを解明できれば、
将来のヒトの脳再生医療に役立つ可能性がある」。

脳全体が右脳の性質を持つヒトがいるかどうかについて、
「存在する可能性はあるが、現時点では解明できていない」。

内臓の位置が、左右逆転して生まれた突然変異マウスを詳しく調べ、
神経細胞情報をやりとりする脳内のシナプスが、
左右いずれも右脳の働きをしていることを見つけた。

"右脳マウス"には子育てを放棄するそぶりがあるが、
脳内メカニズムと関連があるのかどうかは不明という。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=71258

スポーツと環境~[第1回] 有森裕子さん 『あなたの走りが世界に通じる』

(SSF 08.02.06)

―有森さんが環境問題を意識し始めたのはいつから?

1996年頃に、車の環境エンジンのCMに出たこと。
マラソンランナーはレース先導車の後方を走るので、一番排気ガスに近い。
普通車のCMの依頼もあったが、ランナーが汚い空気を吸わなくていいように、
ランナーからのメッセージという意味で、環境エンジンの方に出演。
そのお陰か、最近の先導車はほとんどがエコカーですね。

ランナーの立場でスポーツと環境を考えると、まずは空気。
都心の空気ではとても練習できないので、合宿は緑と土のあるところに。
アウトドアで活動する人間は、“自然を感じ、きれいな空気で
よい血液を作って、それをパワーに変えていく”というイメージがある。

―オリンピックや海外の大会で、環境への取り組みを肌で感じるような経験は?

2005年のヘルシンキの世界陸上では、日本車のエコカーが進出。
環境エンジンでは、日本のものがダントツだと思います。
フィンランドは、ヨーロッパでも最も環境を考える国。
大会グッズやパンフレットなど、ものをたくさん作り過ぎない。
日本でも、大会グッズは最低限に抑えてもいい。
一つのものに、協賛各社の名前が入るようなグッズをオフィシャルで作るとか。
パンフレット類も、「欲しい人は持っていって」というバイキング方式でいい。
コストも削減できる。
無意識にもらって捨てるだけということを疑問に思い、
必要なものを自分で選ぶ意識を持つことが大事
「環境を考え、必要な資料だけお持ちいただいてます」っていう
大会コンセプトをきちんと打ち出せば解決する。

マラソン大会って、至れり尽くせりじゃなくてもいい。
とても不自由で不親切な大会だって山ほどあるけど、みんな走れればいい。
大会運営に文句つけに行ってるわけじゃない。
運営を丁寧にやればやるほど、みんな探すんですよ。
「あっ、これが欠けてるぞ」なんてね。
そんな意識を持つより、自分から楽しむ姿勢が本当は大切。

NPO法人「ハート・オブ・ゴールド」では、どんな活動を?

カンボジアで、チャリティのためのマラソン大会を開催するなど、
スポーツを通して子どもたちへ様々な支援。
この活動も、2007年で12年に
ポル・ポト政権の傷跡が残るカンボジアでは、
日々生きていくことが最優先で、まだ環境問題を考える余裕はない。
ポル・ポト政権で壊されたものの中に、森や山などの自然環境もある。

「ハート・オブ・ゴールド」のツアーで必ず見せるものがあります。
スモーキーマウンテン」と呼ばれるごみの山。
先進国で不法に捨てられたごみ、特に電化製品などの家電ごみから
必要な部品だけをとって、残った部分を廃棄。
山積みになったそのごみが自然発火して、いつも煙が出ている。
アジアの貧しい国のほとんどは暑いから、悪臭は本当にひどい。
貧しい子供たちが、そこで裸足で仕事をしています。
事故も起こって本当に危険なんですが、
そういう現実は、ほとんどの日本人には知られていない。
今まで彼らは、食べかすのごみはそのへんに捨てていた。
捨てたら、地に還るものしかなかった。
でも最近は、プラスチックやペットボトルなんかが生活の中に増え、
捨てても自然に還らず残る。
雨季になると、雨水がたまって、ボウフラが大発生して、デング熱が広まる・・・

私は、「ハート・オブ・ゴールド」の活動がなくなることを願っています。
必要とされなくなる事を願います。
それは、カンボジアの問題がなくなることですから。

―スポーツ愛好者ができるエコ、リサイクルについて

ランナーは、たくさんのシューズやウェアを使います。
贅沢にも現役選手の頃は、1回限りで使わなくなったりしていました。
捨ててしまえばごみですが、私の住むコロラド州のボウルダーでは
それをアフリカに送っているスポーツ店があります。
南アフリカ出身の元選手が中心になって運営している
「ボウルダーランニングカンパニー」というお店。

「ハート・オブ・ゴールド」でも、スポーツ用品をカンボジアに送っています。
学校教育で、保健体育科を作る運動をしていて、指導要領ができたところ。
必要となったボールなどを日本から送っています。

いずれも送料が膨大にかかる。コンテナの保管料もかかります。
ものを寄付するだけじゃなく、チャリティの気持ちを載せて、
ワンコインでもいいからそえてほしい。
東京マラソンなら、東京という日本を代表する都市を開放して走る大会から、
チャリティの心を世界に送り出そうという気持ちも一緒にください
“マイシューズ・プラス・ワンコイン”、“プラス・マイマインド”。

ニューヨークシティ・マラソンでは、ランナーがスタート直前まで来ていた服を、
走り出す時に脱いで大会に寄付します。
スタートまで長い時間待つランナーにとって、取り組みやすいチャリティ。
日本なら、「私の服をどうしてくれるんだ」って言われそうですけど、
メッセージを出し、場所を確保すれば、賛同してくれるランナーは大勢いる。

―最後に、東京マラソンを走るランナーへのメッセージを。

自分のベストを尽くしてほしいのと同時に、
自分の走りがいろんなところにつながり、いろんなメッセージが流せる、
ということを楽しんでほしい。
マラソンへの参加をきっかけに、様々な問題解決にもっと協力し、
考えを持っていってほしいと思います。
『あなたの走りが世界に通じる』、ということを忘れないでほしい。

http://www.sfen.jp/opinion/athlete/01.html

琥珀の中に8700万年前のカマキリ化石、体長14ミリ

(読売新聞 2008年4月18日)

岩手県久慈市の久慈琥珀博物館は、同館近くの採掘場から、
琥珀に閉じ込められた白亜紀後期(約8700万年前)の
カマキリの化石を発見したと発表。

カマキリの化石としては、日本最古。
佐々木和久館長(48)が見つけた。
頭から押しつぶされた後部までの長さは約14ミリ。

北九州市立自然史・歴史博物館の上田恭一郎・学芸担当部長(57)が
鑑定したところ、獲物を捕らえる「斧」のつけ根に、
現在のカマキリと共通するトゲがあった。
これまで見つかった白亜紀のカマキリにはこのトゲがないといい、
上田部長は「新種の可能性が高い。
現在のカマキリと白亜紀のカマキリを結ぶ、大きな発見だ」。

琥珀は、樹液が250万年以上をかけて固まった宝石で、
久慈市は世界有数の産地。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080417-OYT1T00855.htm

赤ワインの抗酸化物質には抗癌作用がある

(WebMD 3月26日)

赤ワインに含まれる抗酸化物質が癌細胞を内側から破壊し、
放射線療法と化学療法による癌治療の有効性を増強することが、
新規研究で明らかに。

ブドウの皮に含まれるレスベラトロールという抗酸化物質が、
癌細胞のエネルギー源を標的にし、
それを活動不能にすることによって効果を示す。

放射線療法と組み合わせた場合、放射線療法の前に
レスベラトロール治療を行うことによって、
癌治療の重要な目標である細胞死も誘導。

レスベラトロールは、膵癌の化学療法に対する抵抗性を下げる
可能性があるが、「赤ワインの摂取が、化学療法にどのような
影響を及ぼすかは依然として不明」。

ロチェスター大学メディカルセンターの放射線腫瘍学Paul Okunieffは、
化学療法または放射線療法の期間中の赤ワインの摂取については
十分な研究が行われていないが、禁じられているわけではない。
癌患者がすでに赤ワインを適度に飲んでいる場合、
ほとんどの医師は患者にそれを止めよとは言わないだろう。

もっとよい方法は、同じくレスベラトロールを含んでいる
赤または紫色のブドウジュースを望むだけ飲むこと。

「抗酸化物質の研究は現在、非常に活発であり非常に魅力的である。
課題は、適切な濃度を明らかにすることと、
細胞内でどのように作用するのかを解明すること。
我々は、この問題の重要部分をすでに発見した。
レスベラトロールは、腫瘍細胞の放射線療法に対する感受性を高め、
正常な組織の放射線療法に対する感受性を下げることによって、
治療効果を示すように思われる」。

発表された研究では、50μg/ml用量のレスベラトロールの単独および
放射線療法との併用での膵癌細胞に対する作用を検討。
赤ワイン中のレスベラトロールの濃度は、高くても30μg/ml。

結果は、レスベラトロールが次のような有用と考えられる
種々の抗癌作用を有したことを示した。
1)治療に抵抗する蛋白質を阻害することによって、
化学療法に対する癌細胞の感受性を高める
2)癌細胞の死(アポトーシス)を引き起こす
3)癌細胞のエネルギー源に害を及ぼし、機能する可能性を低下

「更なる研究が必要であるとはいえ、本研究はレスベラトロールが
癌治療の一部として将来有望であることを示している」

Sun, W. Advances in Experimental Medicine and Biology, March 2008.
News release, University of Rochester Medical Center.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=70184

2008年4月23日水曜日

スポーツ21世紀:新しい波/265 日本テニス界の挑戦/下 NTCに室内コート

(毎日新聞 2008年4月19日)

日本テニス協会が待ち望んだ室内コートが、
ナショナルトレーニングセンター(NTC)の一角に設置。
男子国別対抗戦・デビス杯の竹内映二監督は
「ここを強化の拠点として、いずれはエリートアカデミーのような
事業もできれば」と期待。

ハード、クレーのコートが各2面。
ハードコートの天井にはフォーム分析用カメラがあり、
屋外での試合を想定して太陽光を模したライトも設置。
クレーコートにも、全仏オープン会場と同じ赤土を使うなど工夫。
協会側の熱心な要望が実ってできた「悲願のコート」。

協会はこれまで、選手強化に頭を悩ませてきた。
テニスは他の球技に比べ、国を代表する大会が少ない。
トップ選手は、個人で国内外のツアーを転戦することが多く、
1カ所に集めて強化策を図ることが難しい。

協会が練習拠点としていた朝日生命久我山スポーツクラブが、
約5年前に閉鎖されて以降、選手は練習相手の確保にも苦労。
NTCを中心に活動するジュニア担当の村上武資コーチは、
「海外の試合に派遣しても、日本に帰ってくると選手たちは別々に練習。
強化は、『他力』に頼る部分もあった」。
NTCによって、こうした悩みが解消されると期待。

今後は、北京五輪代表選手に優先的に使用させ、レベルアップを狙う。
全国各地で行われる大会の参加者から、
100~500円のNTC運用費を徴収する「ワンコイン制度」も開始し、
活動を支えていく方針。

長年男子テニス界を支えてきた32歳の岩渕聡(ルネサンス)は、
「練習の場所や相手を探すのは、労力がいる。
トップが集まるNTCでは、効率のいい、内容の濃い練習がしやすくなる」。

NTC近くに引っ越してきたという23歳の添田豪(ミキプルーン)も
「ここには、他競技の選手もいて、いい刺激になります」。
国内での選手強化は「器」が整い、ようやく本格的なスタートを切ろうとしている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

Highlights: T前駆細胞による汎用的免疫療法

(Nature Biotechnology 26(4), Apr 2008)

T細胞の欠損は、老化、自己免疫疾患、血液がん、感染症、
造血幹(HS)細胞移植プロトコルと関連。

T細胞を用いる治療は、困難である。
患者由来の細胞を使用すると悪性細胞が混入すること、
同種異系細胞を使用すると移植片対宿主病が生ずること、
細胞の入手が困難で寿命が短いことが理由。

van den Brinkらは、主要組織適合複合体(MHC)の壁を越える
養子移入でT前駆細胞を用いることは、比較的安全で効果的であり、
同種異系造血幹(HS)細胞の移植を併用する必要もない。

van den Brinkらは以前、同種異系T前駆細胞と
同種異系HS細胞の共注入によって、
抗菌薬耐性と移植片対腫瘍活性が増強されることを実証。

今回は、同種異系HS細胞の代わりに同系HS細胞を用いるプロトコルと、
HS細胞を全く用いないプロトコルが利用。
この変更は、T前駆細胞が宿主MHC拘束性で宿主に許容される
同種異系T細胞に分化し、放射線照射したレシピエントマウスの
生存期間を延長して抗腫瘍反応を増強するという点で、
注入する同種異系T前駆細胞の特性に影響を与えなかった。

CD19を標的とするキメラ受容体を発現するT前駆細胞を導入すると、
抗腫瘍活性が増強された。
同種異系T前駆細胞は、遺伝子操作したOP9骨髄間質細胞上で
培養すれば、容易にex vivoで増殖可能であり、
この注入プロトコルの変更によってMHC適合を要さない
新しい免疫療法の開発が促進される可能性がある。

http://www.natureasia.com/japan/biotechnology/highlights/article.php?i=65558

未来ロボットは352万人力…労働力不足8割強を肩代わり

(読売新聞 2008年4月19日)

2025年の未来社会で、ロボットは352万人分の仕事をするという
試算を、経済産業省の関連団体「機械産業記念事業財団」がまとめた。

少子高齢化に伴って見込まれる労働力不足の8割強を、
ロボットが肩代わりできる計算で、
新たな戦力として期待できる結果。

同財団は、17年後におけるロボットの仕事量を、
現在開発されている機能に基づき技術向上も加味して、労働人口に換算。

その結果、卸小売業では商品配達・レジロボなどが65万人分、
サービス業では集客施設での案内・清掃ロボなどが141万人分、
医療福祉分野では入浴支援ロボなどが97万人分の働きをすると予測。

農林水産業、運輸通信業も合わせると、
ロボットは計352万人分の業務をできる見通し。

01~05年における産業別の生産性や就業者数の推移から、
これら5業種では、25年に427万人分の労働力が不足すると試算。
同財団は、「高齢者や外国人労働者のほかにも、
ロボットが経済成長の担い手になる可能性をもっており、注目」。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080419-OYT1T00572.htm

2008年4月22日火曜日

重要論文被引用数世界のトップ200に日本の11機関

(サイエンスポータル 2008年4月15日)

米国の科学技術情報提供会社「トムソンサイエンティフィック」が、
論文の被引用件数から見た日本の研究機関のトップ20と
それぞれの世界ランク順位を発表。

最近11年間の論文の総被引用数を基に、
世界のトップ1%にランクされる研究者と研究機関の情報を
収録してある同社のデータベースが、分析に用いられた。

トップは、東京大学で、約7万の論文が約92万回引用
世界の順位では12位。
2位以下は次の通り。最初の数字が日本の順位。かっこ内は世界順位。
5機関が世界のトップ100以内、11機関がトップ200以内にランク。

2(28) 京都大学、
3(33) 大阪大学、
4(65) 東北大学、
5(92) 科学技術振興機構、
6(104) 名古屋大学、
7(123) 九州大学、
8(139) 理化学研究所、
9(142) 北海道大学、
10(162) 東京工業大学、
11(182) 産業技術総合研究所、
12(223) 筑波大学、
13(279) 広島大学、
14(285) 自然科学研究機構、
15(299) 慶應義塾大学、
16(300) 千葉大学、
17(343) 神戸大学、
18(345) 岡山大学、
19(373) 東京医科歯科大学、
20(378) 熊本大学

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0804/0804151.html

小児救急の改革を進める

(読売新聞 2004年9月14日)

中澤誠さん(61) 東京女子医科大学教授

「小児救急の行方は、子どもたちの未来に直結。
親たちと小児科医たちとが共に歩み寄らなければ、道は開けない」

患者の夜間のたらい回しや小児科医の過労死などの悲劇が続き、
“瀕死”の状態とまで言われる小児救急診療
日本小児科学会の担当理事として、状況を改善するための構想をまとめた。

「患者と小児科医との共倒れだけは避けなければ。
一定の地域ごとに、小児科医が年中無休で確実に診療する拠点を置き、
医師をそこに集約する


だが、実現には幾つもの壁がある。
「小児科医が不足する一方、夜間の病院に軽症患者が殺到し、極度に忙しい。
医師不足の背景にある、小児科の採算が取れない診療報酬制度……。
医療を巡る様々な矛盾が小児救急を直撃」

長崎大医学部が、小児科医約60人を対象に行った調査では、
「子どもが医師になるとして、小児科医を勧める」 と答えた医師はゼロ。

1943年、京都府に生まれ、薬理学教授の父に伴って長崎へ。
卒業後は、日本の高度成長を支えた炭坑の島、
通称「軍艦島」での診療などを経て、26歳の時、日本の心臓治療を
リードしていた東京女子医大付属日本心臓血圧研究所。

専門の循環器小児科は、まだ黎明期。
心臓を患う子どもたちの痛ましい死を防ぐため、
手探りの治療と研究が続いた。
「子どもの命をつなぎ留めたくて、三日三晩、呼吸用の補助器具を手で
押し続けたことも。看護師も必死で、両親も一睡もしませんでした。
人の愛情があり、人間が医療にかかわっている温かさがあった」

医学は、「当時とは別次元」の高度な科学に“進化”し、
医療現場は次第にマニュアル偏重の世界に。

「医師が小さな命と向きあい、微妙な感覚や技術を身につけていた時代、
新しい技術や研究が子どもの未来を守ることと同義だった時代は戻らない。
医師教育の方法も変わらなければならない。
しかし、医療のあり方だけでなく、社会も大きく変わった」

外来で順番を待つことに耐えきれず、どなり出す若い親が増えている。
大都市では、患者の3割が深夜11時以降に受診するが、大半は軽症。
自治体の首長や議員は、選挙になると
「小児科医を連れてきます」などと公約するが、
地域医療の体制づくりに腰を据えて取り組むことは少ない。

「六本木ヒルズで、男の子が自動回転ドアに挟まれて亡くなりました。
危うさが分かっているのに、危害が身に降りかからなければ
放置してしまう日本を、『子どもに優しい社会』と言えるか。
問題を、子どもたちの命を守るために解決しなければ」

「子どもは社会の宝」に、異を唱える人はいない。
「改革構想を具体的な動きにつなげないと、手遅れに。
全国で1人1人が自分の地域の未来像を描き、
一緒に行政に働きかけてくれることを願う。
『小児救急を地域で支える』という理解こそが必要

小児科学会による改革構想

救急医療の拠点として、24時間対応の「地域小児科センター」を
全国400か所程度設け、地域の小規模病院や診療所の医師の
協力も得て診療体制を整える。
 
日本小児科学会のホームページ http://www.jpeds.or.jp/

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/sasaeru/20040914sq31.htm

18年度・気仙3市町、ごみ減量化に成果

(東海新報 4月17日)

18年度における県全体のごみ排出量は、前年度比1・8%減の51万トン、
県民一人一日当たりの排出量が23年ぶりに減少。
気仙では、住田町の一人一日当たり排出量が全県で3番目に少なく、
リサイクル率でも3位。
大船渡、陸前高田両市の一人一日当たり排出量も県平均を下回り、
ごみ減量化に一定の成果を挙げた。

18年における県全体のごみ排出量は、51万2060トン。
東京ドーム約1・4杯分の相当量。
県全体のごみ排出量は8年度以降、増加が続いていたが、
11年ぶりに対前年度実績が減少。

県民一人一日当たりの排出量は、1012グラム(年間369キロ)。
前年度から1・0%減少し、昭和58年以来23年ぶりに対前年度を下回った。
全体排出量の内訳は、生活系ごみが前年度比0・4%減の35万1954トン、
事業所系ごみが同4・8%減の16万106トン。
ごみの種別では、可燃ごみが35万4988トン(全体の72・8%)、
資源ごみ5万1538トン(同10・6%)、直接搬入ごみ4万1852トン(同8・6%)、
不燃ごみ1万9054トン(同3・9%)など。

県全体の資源化量は、9万2000トン。
前年度を0・9%上回ったが、頭打ちの状況。
一人当たりに換算すると、年間66・6キロがリサイクル。
リサイクル率は18・1%で、前年度から0・6ポイント上昇。
一人当たりの資源化量とリサイクル率は市町村間で大きな差があり、
資源化量では最高の釜石市が125キロ、最低の藤沢町が20キロ、
リサイクル率は最高の滝沢村が39・2%、最低の野田村が10・6%。

県全体の年間ごみ処理経費は、143億4千万円。
処理施設や設備の建設・改良に要した経費は、13億円。
処理および人件費に要した経費は、129億1千万円、
県民一人当たり前年比5・1%増の9312円。
ごみ袋(45リットル)に10キロのごみを入れて排出されると仮定した場合、
ごみ袋一個当たりの処理費用は約265円と試算。

気仙3市町の状況をみると、一人一日当たりのごみ排出量は
大船渡市が前年度比5・8%減の926グラム、
陸前高田市が同3・8%減の924グラム、住田町が同4・2%増の682グラム。
いずれも県平均を下回っており、住田町は藤沢町、洋野町に次いで
全県で三番目に少なかった。

一人当たりの年間資源化量は、大船渡市76・8キロ、
陸前高田市58・8キロ、住田町70・8キロ。
リサイクル率は大船渡市22・7%、陸前高田市17・5%、住田町28・5%。
大船渡、住田両市町は資源化量、リサイクル率とも県平均を上回り、
資源化量では大船渡市が全県7位、住田町が11位、
リサイクル率では住田町が全県3位、大船渡市が8位と上位。

ただ、ここ数年の経年変化をみると、住田町は人口減少が続く中、
一人一日当たりのごみ排出量が増加傾向にあり、
18年度は14年度比で37・8%増加。
陸前高田市も14年度の数値を1・4%上回る。

県全体のごみ処理経費が3年ぶりに増加に転じた現状からも、
今後、各市町村のいっそうの排出削減と資源化の推進が求められる。

http://www.tohkaishimpo.com/

万能細胞 iPSの奇跡 (5)再生医療 普及へバンク

(読売新聞 2008年3月9日)

「患者本人の細胞からiPS細胞(新型万能細胞)を作る
オーダーメードの再生医療は、
早期の治療が必要な脊髄損傷では非現実的」

国の総合科学技術会議iPS作業部会で、岡野栄之・慶応大教授は、
iPS細胞による拒絶反応のない再生医療への過剰な期待にクギを刺した。

岡野教授によると、脊髄損傷の治療で神経細胞を移植するのは、
損傷から9日目ごろが最適。
しかし、患者本人の皮膚から神経細胞を作るには、
腫瘍化の危険性などを調べるため、約2年かかる。
これでは効果が期待できない。

そこで岡野教授は、安全性を確保したiPS細胞や神経細胞を多数作製し、
保存しておく細胞バンクの設立を考えている。
拒絶反応の原因となる白血球の型の不適合をなくすため、
型が異なるiPS細胞を200種類用意。
これで、日本人の8割に拒絶反応のない細胞が作れるという。

共同研究者の国立病院機構大阪医療センターの金村米博医師は、
「バンクは、高品質で安い移植用細胞が提供できる。
脊髄損傷に限らず、iPS細胞を使う再生医療の普及には、
バンクが望ましい」。

創薬分野でも、iPS細胞の本格的な活用が始まりつつある。
東京・港区のバイオベンチャー企業「リプロセル」は現在、
サルの胚性幹細胞(ES細胞)から心筋細胞を作製。
その細胞に、製薬会社から依頼された新薬の候補物質を投与して
毒性を調べる事業を行っている。
これを発展させ今年中に、人のiPS細胞を使った事業も始める。

iPS細胞の実用化へ課題も見えてきた。
一つは、国の再生医療に関する指針は、体内に元々ある幹細胞が対象で、
iPS細胞を想定していない点。
iPS細胞を使う再生医療技術が確立しても、指針が間に合わず、
安全面などから臨床応用できない恐れがある。

もう一つは、日本で治療の技術が医療特許として認められていない点。
バイオベンチャー企業の取締役を務める森下竜一・大阪大教授は、
「医療特許の範囲が狭いままだと、企業が参入しない。
今からでも欧米並みに医療特許を広く認めれば、
日本がiPS細胞の産業化・実用化で勝てるかもしれない」。

文部科学省は、実用化に向けて京都大や慶応大など
4つの研究拠点を選定、オールジャパン体制がいよいよ動き出す。
山中伸弥・京都大教授は、「これからの道のりは、
iPS細胞の作製までにかかった道のりよりも長いだろうが、
一日も早く実用化させたい」

http://www.yomiuri.co.jp/science/ips/news/ips20080309.htm

2008年4月21日月曜日

睡眠時間と体重に注意

(WebMD Medical News 4月1日)

我々には、快い睡眠時間が少なすぎるかもしれない。
睡眠時間が長すぎるか短すぎると、肥満になりうるという研究結果。

ラヴァール大学の研究者らは、
カナダ人に関する大規模研究に参加した被験者276名を6年間調査。
睡眠時間は、質問票を用いて判定し、
睡眠時間が短い群(一晩につき5-6時間)、
平均的な群(7-8時間)、長い群(9-10時間)の3群に分類。

結果の一部は次の通り。
1)睡眠時間が短い群は、睡眠時間が平均的な群よりも、
体重が11ポンド増加する可能性が35%高い。
2)睡眠時間が長い群は、睡眠時間が平均的な群よりも、
体重が11ポンド増加する可能性が25%高い。
3)睡眠時間が短い群は、睡眠時間が平均的な群よりも、
ウエスト径が58%多く増え、体脂肪も124%多い。

健康を維持するための「最適な睡眠時間」があるかもしれない。
米国睡眠医学会(AASM)は、成人の睡眠時間として7-8時間を推奨。

ラヴァール大学の研究者Jean-Philippe Chaput氏は、
「成人の睡眠時間が短いまたは長いことによって、
将来の体重および脂肪増加のハイリスクを予測」。
「この結果は、体重増加および肥満に寄与する我々社会の
身近な環境因子のひとつとして、睡眠時間をとらえる必要」。

米国人の睡眠時間は奪われつつあり、40年前に比べると、
一晩の睡眠時間は1時間半から2時間短い。
以前の研究でも、睡眠時間の減少と肥満とを関連付ける結果。
今回の新しい研究は、睡眠とホルモン濃度変動を伴う
体重増加との結びつきを示す。

米国睡眠医学会(AASM)によると、
成人のほぼ3分の1が睡眠時間を6時間未満。

理想的な睡眠のためのヒントは、次の通り。
1)就寝時の日課を一定に保つこと。
2)就寝時にリラックスできる環境をつくること。
3)毎日、一晩ぐっすり眠ること。
4)就寝前のカフェインや他の刺激物の摂取は避けること。
5)就寝時に心配事をしないこと。
6)空腹または満腹状態で就寝しないこと。
7)就寝前6時間以内に激しい運動をしないこと。
8)寝室は静かで暗い状態を保ち、やや涼しくすること。
9)毎朝同じ時間に起床すること。

Chaput, J-P. Sleep, April 1, 2008; vol 31: pp 517-523.News release, American Academy of Sleep Medicine.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=70542

日本の宇宙技術から生まれた商品、独自ブランドでアピール

(読売新聞栗 4月5日)

国際宇宙ステーション(ISS)で、日本の有人施設「きぼう」の運用が
始まったのに合わせて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、
日本の宇宙開発技術から生まれた商品などを、
独自の宇宙ブランド「JAXA COSMODE PROJECT」(コスモード)
に認定する制度を始める。

日本の宇宙技術をPRし、より身近に感じてもらうのが狙いで、
宇宙先進国の米航空宇宙局(NASA)の認定商品を超える日本版を目指す。
コスモードに認定された商品を製造、販売する企業にとって、
過酷な宇宙環境に使われる信頼性の高い技術をアピールでき、
他社の類似製品との差別化が期待。

コスモードは造語で、英語で宇宙を意味するCOSMOS(コスモス)と
流行や生活を表すMODE(モード)を組み合わせた。

日本の宇宙開発から生まれた技術や商品はあまり知られていないが、
宇宙機構の特許などが利用された商品としては、
ISSなど宇宙での利用を目指し開発された特殊なフィルターを使った浄水器、
ロケットの機体に使われる断熱効果の高い塗料。

土井隆雄さんがスペースシャトル内で着た「宇宙普段着」も、
宇宙機構と共同開発され、
消臭・抗菌に優れるスポーツ衣料素材として実用化。
補助ロケットの切り離しに使われる発火技術は、
瞬時にふくらむ車のエアバッグに採用。
衛星観測技術は、皮をむかずに甘さが分かる果物センサー。

認定基準は、
〈1〉宇宙機構との共同開発で生まれた技術
〈2〉宇宙機構の特許技術から生まれた技術
〈3〉宇宙でも利用可能と認定した技術が生かされた商品やサービス。

宇宙機構は、ロゴマークを考案中で、
「先進、信頼、開拓、人類の希望といったイメージを
企業活動に生かして欲しい」。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080405-OYT1T00342.htm

パーキンソン病のiPS細胞治療、米で動物実験に成功

(読売新聞 4月8日)

新型の万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」から
作り出した神経細胞を使い、パーキンソン病のラットを治療することに、
米マサチューセッツ工科大のルドルフ・ヤニッシュ教授らが成功。
iPS細胞が、神経病の治療に使えることを初めて示した成果。
米科学アカデミー紀要に7日発表。

研究グループは、マウスの皮膚からiPS細胞を作り、
神経伝達物質のドーパミンを分泌する細胞に分化。
パーキンソン病を人工的に発症させたラット9匹の脳に移植したところ、
8匹の症状が改善、特有の異常動作がなくなった。

パーキンソン病は、ドーパミン細胞の異常で手のふるえなどが起きる難病。
移植した細胞がラットの脳内に定着し、ドーパミンを正常に分泌し始めた。

患者自身の皮膚などからiPS細胞を作れば、
拒絶反応なしにこうした移植治療ができると期待。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080408-OYT1T00257.htm

万能細胞 iPSの奇跡 (4)ES研究 重要性増す

(読売新聞 2008年2月24日)

「実験の結果次第では、別の研究に100%シフトしようと思っていた」
マウスの肝臓と胃の細胞からがん化しにくいiPS細胞の作製成功を
発表した山中伸弥・京都大教授は、そう言って安堵の表情を浮かべた。
より安全なiPS細胞を作れる展望が開けたからだ。

iPS細胞は、形や性質が胚性幹細胞(ES細胞)とよく似ている。
しかし、普通の細胞が、核移植のように極めて特殊な操作を経ず、
時の流れを逆行するように変化してできるのがiPS細胞の特徴、
そのメカニズムは不明のまま。

この謎に挑むのが、近畿大の松本和也教授
1996年にクローン羊ドリーの誕生で注目された核移植の技術を
駆使して、サルや牛などの動物実験で細胞の変化を追う。

核を除いた卵子に、普通の細胞の核を移すと、
核は受精直後と同じ全身を作り出す能力を持つ。
一方、iPS細胞は受精卵とは異なり、個体に成長する能力はない。
核移植は、iPS細胞より3日半から6日間、時間をさかのぼる。
この時間差に、秘密が隠されている」。

核移植は、職人芸のような技術が必要で、
実験を数百回繰り返しても1回成功するかどうか。

理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(発生・再生研)の
若山照彦チームリーダーは、核移植とES細胞の培養法を組み合わせて
クローンマウスを確実に作り出す技術を開発。
時間差の謎を解く研究の進展へ援軍として期待。

iPS細胞の登場で、ES細胞やクローンの研究は
衰退するかのようにも思われた。
しかし、重要性はむしろ増している。

サルのES細胞を作製した鳥居隆三・滋賀医大教授は、
「iPS細胞から網膜細胞などができれば、そこからが我々の出番」。
将来的に、ES細胞から拒絶反応の少ないサルや特定の病気のサルを作り、
iPS細胞から作った様々な細胞を移植し、治療できるかを試すのが目標。

神経分野で先駆的な研究を行う発生・再生研の
笹井芳樹グループ・ディレクターは、
人のES細胞とiPS細胞の培養条件などの比較・検討に余念がない。
「ES細胞の研究成果は、ほぼそのまま応用できそう」。

心臓や血管再生の研究に取り組む山下潤・京都大准教授は、
「数年のうちに、ES細胞と寸分変わらないiPS細胞ができるだろう。
それまでに、ES細胞で成果や技術を蓄積することが大事」。

日本で初めて人のES細胞の作製に成功した中辻憲夫・同大学教授も、
「ES細胞とiPS細胞は兄弟のようなもの。
双方の研究が並行して進めば、互いの長所を生かせる」。

http://www.yomiuri.co.jp/science/ips/news/ips20080224.htm

2008年4月20日日曜日

統合失調症関与の物質発見 日米チーム、治療薬に期待

(共同通信社 2008年4月8日)

記憶や行動に影響を及ぼし、統合失調症の発症にもかかわる
タンパク質を、アステラス製薬の松本光之主管研究員と
米国立精神衛生研究所などのチームが発見、
米科学アカデミー紀要(電子版)に発表。

このタンパク質の働きを抑える物質が見つかれば、
統合失調症などの治療薬に使える可能性がある。

中枢神経で強く働いている「SREB2」と呼ばれるタンパク質。
人や動物のゲノム(全遺伝情報)を利用した薬の研究過程で見つかった。

松本さんらは、SREB2が脳で過剰に機能するマウスと、
働かないマウスの2種類をつくって調べたところ、
過剰なマウスでは脳が小さくなり中のすき間が拡大。
記憶や情報処理など、統合失調症と関連する障害も観察。

SREB2が働かないマウスでは脳の重量が増加、記憶力も
向上するなど逆の傾向がみられた。

米国立精神衛生研究所の解析で、
SREB2は人でも統合失調症へのかかりやすさを左右し、
記憶に関係する、脳の「海馬」と呼ばれる部分の大きさに関係。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=70572

農学教育体制の見直し提言

(サイエンスポータル 2008年4月9日)

農学教育の現状は、社会の期待にこたえる体制になく、見直しが必要、
とする報告書を、生産農学委員会農学教育分科会が公表。
農学を、「物理科学などの自然物の認識科学とは異なる科学、
つまり設計科学の一つの領域」で、
「自然科学と人間科学を統合し、生物生産や地球生態環境をめぐる
特定の価値目標の実現を目指す実際科学」でもある、と位置づけ。

現在の農学教育の体制は、「小規模で限定的な分野で構成されており、
多くの学部は農学の一部分を分担しているに過ぎず、
世界的な規模での食料不足や地球環境の破壊といった
困難な課題を解決するためには不十分」。

今後の農学教育に求められるものとして、
「世界の農業や農学の動向を総合的に学習し、
多様な知の修得と活用を促す分野横断型の教育体制の構築」、
「高い社会規範を持ち、地球規模の新たな課題を解決するための
科学的な理論と方法を開拓し、実践する気概、能力、知識、
技能や態度を有する人材の養成」などを挙げ、
社会の期待、要請にこたえられる大学、大学院の
教育体制に変えることを提言。

食品の安全性に関する事件・事故についても触れ、
「根底には人間としての資質に加えて、職業倫理あるいは
生命倫理の破壊と呼べる社会規範や順法精神の崩壊がある。
農学教育は、教養教育などとの整合性を保ちながら
取り組まなければならない」と、
人材養成の重要性を重ねて強調。

初等中等教育へ農学教育を導入する意義について、
「農学は、自然と人間を対象にした学術であり、
すでに子どもの成育環境を改善するために取り入れられている
自然体験、集団体験や運動体験などの体験学習は、
総合的な理科教育と合わせて豊かな人間性の涵養とともに
伝統や文化の教育にも有効である」と評価。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0804/0804091.html

万能細胞 iPSの奇跡 (3)倫理面に考慮 ルール作り

(読売新聞 2008年2月17日)

「社会的関心の高いiPS細胞研究に、タガをはめるのは慎重にすべき」、
「iPS細胞は良くて、胚性幹細胞(ES細胞)は駄目だというのでは
(対応に)統一性がない」

先端研究のルールを話し合う文部科学省の生命倫理・安全部会は、
ES細胞同様に、人のiPS細胞から精子や卵子などの生殖細胞を
作ることを当面禁止すると決めた。

iPS細胞から作った精子や卵子による人間の誕生は、
現時点では、社会に受け入れられず、
その可能性を取り除いておくべきだと判断。

今回の規制のきっかけは、iPS細胞の“生みの親”
山中伸弥・京都大教授による問題提起。
一定の規制を設けた方が、逆に研究がやりやすいためで、
山中教授は2007年12月、国に検討を求めた。

最先端の生命科学研究は、倫理面などを考慮した
規制強化と社会利益のバランスが求められる。

人のiPS細胞作製という発表からわずか2か月余りで設けられた
規制の背景には、韓国の黄禹錫(ファンウソク)・元ソウル大教授の
捏造事件が透けて見える。

04年、黄氏らが作ったという世界初の人のクローンES細胞は、
実際には存在せず、作製に必要な卵子の提供を
部下の女性研究者に強要した倫理問題が発覚。
この事件で、韓国の幹細胞研究は大きく停滞した。

iPS細胞は、ES細胞と違い、作製過程で受精卵は破壊しないなど
倫理的な問題は少ない。
しかし、分子生物学の基本的な技術を持つ科学者であれば、
容易にiPS細胞を作製できるとされ、
技術を悪用される可能性も捨てきれない。

児玉聡・東京大医学部講師(医療倫理学)は、
「黄氏の事件のような例を含め幅広い視点で、倫理的問題を検討し、
対応策を考えなくてはならない。
倫理問題が起きると、iPS細胞研究全体が止まりかねない」。

厳格な規制について、京大人文科学研究所の加藤和人准教授は
「規制が足かせになって、再生医療の実現が遅れ、
結果的に社会にとって不利益になることもある」。

文科省の部会が「当面」禁止にとどめたのも、
不妊症患者のiPS細胞から作った生殖細胞で、
不妊症の原因解明や治療法の開発につながる可能性があるから。
委員の位田隆一・京大公共政策大学院教授は、
「完全な禁止は、研究の道を閉ざしてしまうことになり悩ましい」。

黄氏の事件を契機に、国際幹細胞学会は07年、
生命倫理学者と協力し、人のES細胞研究の倫理指針を作成。
加藤准教授は、「iPS細胞の研究や応用でも、この研究で先行する
日本が主導して、倫理面や安全面の国際的なルール作りの
検討を始めるべきだ」。

http://www.yomiuri.co.jp/science/ips/news/ips20080217.htm