2008年7月12日土曜日

当世留学生事情(9)交流の懸け橋 積極歓迎

(読売 6月27日)

留学生の受け入れに積極的にかかわる自治体がある。
五月晴れのさわやかな風が吹く中、別府市立大平山小学校で、
約500人が参加して運動会の全体練習が行われていた。
モンゴル人で小学5年のトゥムル・ブジンさんの横には、
別府大学に留学している、ツェグメド・ガンチメグさん(20)が寄り添った。

教員の指示は、ガンチメグさんによって通訳され、
ブジンさんは戸惑うことなく、ほかの児童と一緒になって走ったり、
応援したりと無邪気な笑顔を見せた。

ガンチメグさんは、別府市から相談員として派遣。
相談員は、通訳など、同市内に留学している学生の子供の支援をし、
安心して留学生活を送れるようにする。

ガンチメグさんは週2回、小学校に通い、授業中はブジンさんの机の横に
座って、教諭の説明を通訳していく。
ブジンさんは、「まだ分からないところがあるけど、メグさんのお陰で
だいぶ分かってきたし、友達も増えた」。

母親のゲレルマさん(34)は、同市内の立命館アジア太平洋大学(APU)
大学院で保健行政を学んでいる。
日本語も勉強中で、学校からの配布物を読むのもひと苦労だが、
ガンチメグさんがメールや電話で補足。
「学校での娘の様子も教えてくれて、本当に感謝している。
相談員がいてくれるから、全く心配がない」。

現在、同市内では、ガンチメグさんのほか韓国人留学生2人が、
相談員として留学生家族の支援。
2000年から始まった制度で、これまで65人の支援をしてきた実績。

別府市では、学生の約半分が留学生のAPUが誕生、
国際交流都市宣言。
アジアやアフリカ諸国の大使を招いたサミットを開くなど、
情報発信にも努めてきた。
留学生数は、同年の487人から08年には3333人と急増。
出身国・地域は83にも広がった。

別府市は03年、構造改革特区制度を活用して、
公営住宅の空き室を留学生に提供できる「留学生特区」の認定も受けた。
現在もこの仕組みを使うのは、別府市だけ。
13室21人の留学生が、市営住宅に住んでいる。

温泉街だけに、留学生のホテルや旅館でのアルバイトも増えた。
その波及効果もあるのか、外国人観光客も2000年の12万5844人から、
06年には22万6013人に急増。

別府市の後藤邦俊・文化国際課長は、
「受け入れ体制は、大学だけでは限界がある。
留学生に、本国でスポークスマンの役割を担ってもらうため、
第二のふるさとと思えるように、もてなさなければいけない」。

自治体には、留学生に交流の懸け橋になってもらい、
町の活性化につなげたいという期待。
留学生を増やすなら、その受け入れ体制は考えておく必要がある

◆大分県は人口比で2番目

都道府県別の留学生数は、東京が4万316人で圧倒的に多く、
大阪(1万203人)、福岡(6017人)、愛知(5774人)など大都市が続く。
大分は3587人で10番目だが、人口比で見ると東京に次いで多い。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080627-OYT8T00248.htm

医療崩壊防ぐ対策日本学術会議が要望

(サイエンスポータル 2008年6月30日)

日本学術会議は、医療費抑制政策の転換などを政府に求める要望
「信頼に支えられた医療の実現-医療を崩壊させないために-」を公表。

要望は、桐野髙明・国立国際医療センター総長を委員長とする
「イノベーション検討委員会」がまとめ、
「臨床医学委員会医療制度分科会」の審議を合わせた検討結果に基づく。

「医療費抑制政策の転換」、「病院医療の抜本的な改革」、
「専門医制度認証委員会の設置」の3点から成り、
省庁の枠を超えた「医療改革委員会」(仮称)を設置することを求めている。

要望は、「長年、総医療費の抑制政策が続けられてきた。
産科、小児科などの医師不足、救急医療の疲弊など、
深刻な危機が進行、国民の不安をまねいている」と、
日本の医療が危機的な状況にあることを指摘。

「医療費抑制政策の見直し」について、
他の先進諸国と同様な水準の資源投入を行うよう求めた。
病院医療について、実働医師の不足対策を中心とした、
抜本的な改革を検討、3年以内に実施。

専門医の制度について、医学界の取り組みを含め厳しい目を注ぐ。
日本の専門医は、医学領域の各学会がそれぞれの専門分野ごとに
専門医制度を導入し、専門医試験を実施。
持続的に一定の臨床経験を持った専門医を養成するという
量的な考え方が欠けている結果、医師の偏在をもたらしたことを指摘。

専門医制度を根本的に見直し、新しい制度を確立するため、
「専門医制度認証委員会」(仮称)の設置を実現、
10年以内に新しい専門医制度の体制整備を完了することを求めている。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0806/0806301.html

組み込む遺伝子数減らせる 万能細胞で独チーム

(共同通信社 2008年6月30日)

山中伸弥京都大教授が、皮膚細胞に4つの遺伝子を組み込んで
作製した新型万能細胞「iPS細胞」は、
神経のもとになる神経幹細胞から作ると、組み込む遺伝子は2つで済む。

ドイツのマックスプランク研究所などのチームが、
マウス実験を基に英科学誌ネイチャーに発表。
人間の細胞でも同じことが確認できれば、将来の臨床応用に向け、
安全性の向上につながる成果。

チームは、山中教授が最初に報告した4遺伝子のうち、
「Sox2」と「cMyc」と呼ばれる2つの遺伝子が、
もともとよく働いているマウスの神経幹細胞を使用。
これに、残りの「Oct4」と「Klf4」を組み込むと、
iPS細胞ができることを突き止めた。

iPS細胞の安全性向上には、組み込む遺伝子数を減らすこと、
特にがん遺伝子であるcMycを入れない手法が模索。
山中教授も、cMyc抜きの3遺伝子で作製に成功。

今回組み込んだ2遺伝子については、
働きを一時的に高める化合物があるとして
「遺伝子を使わないiPS細胞作製につながる可能性がある」。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=76552

2008年7月11日金曜日

当世留学生事情(8)アニメを核に海外提携

(読売 6月26日)

アニメなど、日本の強みを留学生獲得の呼び水にする大学がある。
中国、韓国、米国出身の5人の留学生が見入るテレビ画面の中の
大柄な米国人が、みるみるうちにアニメの妖怪に変化。
東京工科大学の研究室。
同大と米国の南カリフォルニア大学(USC)の学生が、
初めて共同制作した「YOKAI」。

約5分のDVDは、米国から東京に引っ越してきた妖怪一家と
隣人の日本人のやりとりをコミカルに描いている。

USC出身で、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」が好きだという
米国人ウメナチ・メリチさん(25)は、「映像が素晴らしい」と、
後輩の作品に驚きの表情を浮かべた。

1999年に開設された東京工科大メディア学部は、
CG合成やデジタル録音編集などの最新設備のスタジオを持つ。
アニメーション制作技術を核に、東京西部地区をアニメ産業の
一大拠点にしようという「アニメバレー構想」を提唱。

USCは、映画監督のジョージ・ルーカス氏、ロバート・ゼメキス氏らを
輩出したことで知られ、映画制作技術で米国有数の大学。

同学部の金子満教授がUSC出身、2001年に両大学の提携が決まった。
これまで短期の交換留学なども行ってきた。

東京工科大が、アジアで本格的に留学生の獲得に乗り出す。
今年、マレーシアの経営科学大学(MSU)とゲームやアニメ分野で提携。
3年後に3年次に編入させる計画。
政府の補助金を得て、マレーシア以外からも留学生を受け入れる。
制作技術のほかに、ビジネスのやり方なども教える。

USCとの共同制作の担当者でもある同大メディア学部の三上浩司講師は
「アジアの国々を、ビジネスパートナーにしていき、
アジア全体でハリウッドに対抗していかないと、
ハリウッドに総取りされてしまう」と危機感。

経済産業省のコンテンツグローバル戦略研究会の委員を務めた
アニメ制作会社「シンク」の森祐治社長も、
「日本のアニメ業界の今後の成長のためには、
アジアとの連携は欠かせない」。

「日本のアニメは、動画や彩色などをアジアの国々に
発注しているのがほとんど。
日本のやり方を理解した人材がアジア圏で育つことは、
業界全体としても歓迎すべき」

日本のアニメやゲーム、映画などコンテンツ(情報内容)産業の
国内市場規模は、米国に次いで世界2位。
輸出額を国内市場で割った海外展開比率(2005年)は、
日本はわずか1・9%、米国の17・8%と雲泥の差。

世界に冠たるアニメ大国の飛躍のためにも、
アジアからの留学生は欠かせない。

◆日本のコンテンツ産業

世界のコンテンツ産業の市場規模(2005年)は、146兆円。
米国が60兆円で41.7%、日本は13.7兆円(9.4%)で世界第2位。
01~05年の国内市場の成長率は、0.7%にとどまっている。
米国は5.6%、世界全体の成長率も5.8%。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080626-OYT8T00303.htm

エコな大学を学生の手で 岩手大農学部チーム

(岩手日報 6月30日)

岩手大(藤井克己学長)農学部は、構内環境整備に向け
「ECOキャンパスプロジェクト」を本年度からスタート。
大学生の「グリーンサポーター」が、ハンギングバスケットの製作や
水やり、除草に取り組んでいる。

学生たちは、「自然豊かなキャンパスを自分たちで守っていこう」と、
身近な実践を通し環境意識を高めている。

「ECOキャンパスプロジェクト」チームは、
農学部の学生や教職員で構成。
登録制の「グリーンサポーター」には、学生17人が参加、
講義の空き時間に、交代でハンギングバスケットの水やりを行っている。

ハンギングバスケットは、6月に大学正門前などに9個設置。
卒業生で、ハンギングバスケット協会県支部長の吉川三枝子さんの
指導を受け、学生が作った。

除草は、これまで外部に発注していたが、経費面で回数も限られ、
雑草が「伸び放題」。
4月からは3週間に1度、学生が機械を操作し除草。

農学部棟玄関前の小道にも、クリスマスローズやギボウシを植えて整備。
学部棟南側の壁には、ヘチマやアサガオで「緑のカーテン」を設置。
冷暖房への木質バイオマス燃料や太陽光発電の導入なども検討。

大学院農業生命科学専攻の佐々木真由紀さんと山影陽子さんは、
「学校の役に立つことができてうれしい。
もともと興味があった『エコ』が身近になった」。

プロジェクトの代表を務める吉川信幸農学部教授は、
岩手大のキャンパスは、市民も散策に訪れる憩いの場。
身近な実践を通し、大学全体に環境意識を広げていきたい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080630_6

知的障害者をサポート 成年後見NPO誕生へ

(岩手日報 6月30日)

知的障害者の成年後見業務を行う「成年後見センターもりおか」
設立総会は、サンセール盛岡で開かれた。
成年後見業務を行う団体では、県内初の特定非営利活動法人
(NPO法人)となる予定。

障害者や高齢者らを狙った悪質商法などが増加する中、
専門的で永続的な支援を提供し、権利や財産を保護する。
設立趣旨書の確認など11議案を可決。
同市の石橋乙秀弁護士を理事長に選出。
毎月勉強会を重ね、7月に盛岡地方振興局にNPO法人の認証を申請。

10月ごろに認証を得て業務を開始、
初年度は5人、来年度は15人程度の後見を目指す。

近年、全国的に障害者や高齢者ら、判断能力が十分でない弱者を狙った
財産侵害や不公正な契約、権利の侵害などの事案が多発。

知的障害者の親は、自らの加齢とともに子どもの将来への不安が
大きくなるが、行政の支援はまだ不十分で、
成年後見制度への関心が高まっている。

一個人の後見人に、子どもの将来を託すことには不安があり、
長期的に持続した後見も難しく、普及は進んでいなかった。

同センターは、法律や医療、福祉などの専門家が親と協力、
法人として永続的で多面的な支援を提供するため設立。

石橋理事長は、「費用的な問題もあり、これまで成年後見制度を
利用できるのは一部に限られていた。
NPO法人化後は、実績を重ねて信頼を築き、より多くの障害者が
安心して暮らせる仕組みをつくりたい」。

◆成年後見制度

認知症や精神、知的障害などで判断能力が十分でない人の
財産管理や日常生活にかかわる契約などを支援する制度。
後見人は、契約を代理したり、本人が行った
不利益な契約の取り消しなどを行う。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080630_11

2008年7月10日木曜日

糖尿病治療に「適度な空腹」必要 東大などマウス実験

(朝日 2008年7月2日)

生活習慣がおもな原因とされる2型糖尿病を治すには、
適度な空腹が必要であることが、
発症にかかわるたんぱく質の働きの解明から裏付け。

東京大学などの研究チームによるマウスの実験で、
このたんぱく質は空腹が続くと増え、血糖値を下げるインスリンの働きを
仲介していることをつかんだ。米代謝学専門誌で発表。

東京大の窪田直人准教授(糖尿病・代謝内科)らは、
インスリンの働きにかかわる、IRS2というたんぱく質が
肝臓にないマウスをつくり、調べた。

その結果、IRS2は、肝臓が体内の脂肪などを分解して糖をつくるのを
抑えるインスリンの働きを促し、空腹が続くほど増え、
食後にほとんどなくなることがわかった。
インスリンは、肝臓が食後に糖から脂肪をつくりためこむのを助ける働きもあり、
これにはIRS1という別のたんぱく質がかかわっていた。

IRS1の量はほぼ一定なので、食べ続けることで肝臓には脂肪がためこまれる。
2型糖尿病患者に、高血糖と脂肪肝が同時に起こる原因。
治療薬開発につながる成果。

共同研究者の門脇孝・東大教授は、
「間食をせずに、3食リズムよく食べることが大切」。

http://www.asahi.com/science/update/0702/TKY200807010538.html

当世留学生事情(7)MBA「日本流」で差別化

(読売 6月25日)

留学生を引き付けることに成功しているビジネススクールがある。
東京都千代田区にある一橋大の大学院「国際企業戦略研究科」。

6月第1週は、自分の使命(ミッション)や将来の展望(ビジョン)など、
学生が自分の思いを英語で語り、議論。
名付けて、「ナレッジ(知識)ウイーク」。

学生は、年齢も肌の色も様々。
スーツ姿もTシャツだけの学生も。
インド人学生が、「若いころから、金銭面だけの展望を掲げていいのか」と
投げかけると、次々と手が挙がった。
「じゃあ、何でビジネススクールで勉強しているの?」
「大金持ちになった後どうするかが一番問われる」。
研究科長の竹内弘高教授(61)は、教室の中心で議論に聞き入った。

MBAを取るなら欧米、という流れを覆すビジネススクールを目指し、
研究科が出来たのは8年前。現在の学生106人中80人が留学生。
東アジアだけでなく、米英仏、中東など学生の出身国・地域は28。
今秋の新入生も、留学生が約8割。

米ハーバード大のビジネススクールで教べんを取った経験のある
竹内教授は、「MBAを持って、実務経験があり、英語堪能。
この3条件を満たす教授陣を集めるのは至難の業」。
若い教授たちをベテラン教授の授業に参加させたり、
ベテラン教授が若い教授の授業を指導したりして、教育力をアップ。

教授陣に実務経験があるからこそ、企業とのつながりも強く、
留学生の日本での就職率は9割超。

日本に呼び込むためには、日本で学ぶ付加価値を持たせることも重要。
米国のビジネススクールと差別化を図るため、
社員が持つ経験や知識を全社で共有し、
商品開発や新規分野の開拓などに生かす「ナレッジマネジメント」を必修。
株主一辺倒でなく、人間中心で、社会貢献や従業員、顧客などを重んじる
日本企業の経営を教えることが特徴。

「日本は、物事の進め方がとても不思議な国。
トヨタに代表されるように、ビジネスのやり方も独特なものがある」
台湾出身で、大学を含め10年間米国で過ごした黄子軒さん(29)。

3、4人の学生に教員1人という割合で、ゼミ形式の授業が多いのも
留学生から好評。
ウズベキスタン出身のアンナ・レメシキナさん(24)は、
「学生と教授たちの間のきずながとても強い」。

教授と一緒に旅行をしたり、居酒屋で過ごしたりといった、
プライベートな交流も、留学生は好意的に受け止める。
「温かく迎えられているという心の部分の魅力も大きいようだ」。

こうした利点がネットを通じた口コミで広がる。
今秋入学予定のフランス人は、在学中のフランス人学生のチャット
(ネット上のおしゃべりの場)を見て興味を抱いた。

同科の取り組みは、魅力あるプログラムがそろえば、
海外からも学生を呼び込めることを示している。

◆MBA(Master of Business Administration)

ビジネス・スクール(経営学大学院)の修士課程修了者に与えられる学位。
実務家養成が目的で、会計、法務などのカリキュラムを実践的に学ぶ。
日本では定義が明確ではないが、ビジネス系の専門職大学院は30校。
MBA取得を掲げるのは、約20校。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080625-OYT8T00201.htm

障害者の社会参加考える 盛岡でシンポジウム

(岩手日報 6月30日)

金ケ崎町出身で岐阜県中津川市前市議の小池(旧姓小沢)公夫さんが
起こした「代読裁判」を支援する岩手の会(千田功平代表世話人)は、
盛岡市若園町の市総合福祉センターで
「障がいをもつ人の参政権はいま」と題したシンポジウムを開いた。

県内の障害者団体の代表者らが、日常社会のさまざまな問題点について議論。
聴覚障害者団体からは、「知事選の政見放送で、手話が認められていない」
などの問題が提起。

田中尚県立大社会福祉学部准教授は、
「自分と他人に違いがあることを、分かり合おうとすることが大事。
想像力や共感力が前提になる」。

大阪夕陽丘学園短大の川崎和代教授が基調講演。
障害者の社会参加を拒む問題点などについて解説し、
「人権は、時として主観的になる。
障害者がわがままとみられることがあるかもしれないが、
そこにはその人の苦しみがある」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080630_8

2008年7月9日水曜日

宇宙飛行士の心と骨チェック ミスや骨量減の防止研究へ

(朝日 2008年7月1日)

国際宇宙ステーション(ISS)に日本の船内実験室ができ、
日本人宇宙飛行士が来年から宇宙に長期滞在する。
これを見すえ、宇宙航空研究開発機構などが、
宇宙飛行士のストレスを自己診断する機器の開発や無重力で骨の量が
減るのを防ぐ研究計画を進めている。
来年1月以降、ISSに約3カ月間長期滞在する
若田光一飛行士(44)らを対象。

ストレス診断器は、弱みを見せたがらない飛行士が個人用の端末で
自分のストレス具合を知ることで、作業ミスを防ぐのが狙い。
向井千秋さんが、室長の宇宙機構・宇宙医学生物学研究室と
産業技術総合研究所が共同研究。

市販の携帯情報端末のタッチパネル式画面を使う。
25種類のゲームの中から、ストレスの相関性が高かった5種類を選んだ。
10分で「抑うつ」、「疲労」など6項目のストレス程度が点数で示され、
地上での数値と比較。

無重力の宇宙にいると、骨密度が徐々に減る。
骨折しやすくなるほか、骨から溶け出したカルシウムが尿に混じって、
尿路結石になるリスクが高まる。
日米共同研究チームの松本俊夫・徳島大教授(生体情報内科学)は、
3カ月で大腿骨の骨密度が5%ほど減る。

骨をとかす「破骨細胞」のはたらきを抑える骨粗鬆症治療薬の
ビスフォスフォネート製剤を、ISS滞在中の若田さんに週1回、食前に1錠服用。
米航空宇宙局(NASA)と共同で、
地球に帰還後の骨密度や尿路結石の有無などを調べ、
薬が宇宙でも効果があるかどうか研究。

http://www.asahi.com/science/update/0630/TKY200806300132.html

当世留学生事情(6)早大 8000人受け入れ戦略

(読売 6月24日)

私学の雄が、戦略的に留学生増を図る。
キャンパスを見渡せば、様々な人種の学生がすぐに目に付き、
日本人学生と留学生が英語で会話する光景が見られる。
内田勝一副総長がイメージする早稲田大学の5年後の姿。

昨年の留学生数2435人は、日本の大学でトップに立った。
創立125周年を機に、今後10年以内の指針を定めた
「早稲田ネクスト125」を発表。
「留学生の受け入れと、日本人学生の海外への派遣を、
それぞれ5年以内をめどに、8000人に増やす」という目標。

早大の狙いは明快。
「留学生を入れることによって、研究、教育水準を高めること」(内田副総長)。
高等教育熱の高まる中国などアジア諸国から、優秀な学生を獲得。

必然的に英語での授業に力が入る。
1998年に開設した大学院アジア太平洋研究科では、
英語による授業だけで修士課程修了に必要な単位が得られる。
2004年にできた国際教養学部は、すべての授業を英語。
来年度から理工学部も、1年生から英語だけの授業を新設。

留学生のための日本語集中講座も。
「アジアで仕事をするなら日本語、英語、中国語が
今後50年は中心的な言語となる。留学生に、プラスアルファで
日本語がついてくると思わせるメリットは大きい」。

早大では、海外での情報提供や学生のリクルートを担当する
海外オフィスの整備も進める。
上海オフィスを新設、ニューヨーク、ソウル、台北でも開設し、10か所体制に。
バンコク、米オレゴン州、北京、シンガポール、独ボン、パリに拠点を持つ。

留学生が入れる学生寮は13棟(546人収容)、
交換留学生専用寮が5棟(442人収容)。
中野の警察大学校跡地に、900人収容可能な大型寮を建設中。
日本人学生と留学生を一緒に生活させ、困った時の相談相手となる
「レジデント・アシスタント(RA)」を配置するのが特徴。

西東京市の田無寮には、160人の学生が入居。
5階建ての建物には、各階に共通台所がある。
昨年1年間英国の学生寮で過ごした国際教養学部4年斉藤隼人さんは、
「海外での楽しい寮経験を、日本でも実現させたい」とRAを引き受けた。
サッカーに寮生を誘ったり、七夕イベントを企画したり。

韓国人留学生の同学部1年キム・ムンジョンさん(18)は、
「料理を一緒に作ることなどで友達が増えた。
同じ学部の人には、授業のことも聞けていい」。

様々な施策を取っても、8000人という数字は大きい。
学部と大学院で4000人ずつ増やすのが目標だが、
その実現には、より具体的な数値目標も必要。

◆英語による授業

2006年度に、英語で授業を実施している大学は227校。
英語による授業だけで卒業出来る大学には、早大国際教養学部のほか、
国際教養大、上智大国際教養学部、立命館アジア太平洋大など。
英語による授業だけで修了出来る大学院は、57校101研究科。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080624-OYT8T00237.htm

「プール熱」幼児らに流行の兆し、手洗いなど予防徹底を

(読売 7月2日)

発熱や目の痛みなどを引き起こす咽頭結膜熱(プール熱)について、
幼児を中心に流行の兆しを見せていることが、
国立感染症研究所感染症情報センターの調べで分かった。

過去10年間で最大の流行だった、06年に次ぐ規模で患者が急増、
手洗いなどの予防対策の徹底を呼びかけている。

今年の患者は、5月中旬ごろから増え始め、
先月24日現在で2万7693人。
昨年の同じ時期よりも、1200人以上多い形で推移。

大分県、長崎県、石川県などで比較的多いものの、
地域の偏りなく感染は全国に広がっている。
年齢別では、5歳以下で全体の8割。

プール熱は、39度前後の高熱やのどの痛み、結膜炎などを
3~5日間にわたり発症する病気で、目やにやつば、便などを通じて感染。
保育施設などでは、プール行事をきっかけに流行が拡大することも多い。
重症化することはほとんどないが、再登園には医師の治癒証明書が必要。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080702-OYT1T00296.htm

2008年7月8日火曜日

世界宗教者会議が札幌で開幕、平和や環境問題など討論

(読売 7月2日)

世界の宗教者が集まり、平和や貧困解消などについて話し合う
「世界宗教者会議」が、札幌市で開幕。

世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会が、
北海道洞爺湖サミットに合わせて開いたもので、
世界約20の国や地域から、仏教やキリスト教、イスラム教、ユダヤ教などの
代表者ら約300人が参加。
2日間にわたって、世界平和や、環境問題などについて、
宗教者の視点で討論する。
討論の結果を提言にまとめ、サミットで北海道を訪れる福田首相に手渡す。

WCRPは、宗教者が各宗教の壁を越え、平和や人権について
対話を進める世界的な民間活動団体(NGO)。
全員が、それぞれの宗教の作法で平和への祈りをささげて始まった。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080625-3057808/news/20080702-OYT1T00293.htm

平泉、「平和希求」前面に 文化庁が概要公表

(岩手日報 6月28日)

世界遺産登録を目指す「平泉の文化遺産」について、
国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会委員国に対する
説明資料の概要を公表。

国際記念物遺跡会議(イコモス)の「登録延期」勧告で、
証明不十分とされた浄土思想の価値について、
「平和希求」の精神がユネスコ憲章にも通じる―などと
時代や国境を超えた普遍性を強調。

説明資料は、文化庁や地元自治体関係者らが、
フランス・パリに渡り、イコモスの勧告で世界遺産にふさわしい価値を
「証明しきれていない」と指摘された原因を分析、要点をまとめた。

普遍的価値について、中国や朝鮮から6世紀以来伝わった
仏教思想の一つ、「浄土思想」の世界を現世に再現したのが平泉であり、
「平和希求」、「万物共生」、「自然との融合」の精神は
世界遺産にふさわしい―と主張。

歴史的、世界的な意義は、
▽第2次世界大戦を悔いて作られた「ユネスコ憲章」の精神にも通ずる
▽中尊寺金色堂などは、マルコ・ポーロ「東方見聞録」で
日本を「黄金の島」と記されたきっかけに、
大航海時代の遠因になったと考えられる―などと説明。

イコモスの勧告では、9つの構成資産範囲の再検討が必要と指摘、
「信仰、行政、防衛などの機能が相互に軸線に従って配置され、
周辺地形と一体となって浄土世界を表している」と反論。

文化庁記念物課の内藤敏也課長は、
「推薦書のベースは変えていないが、限られた時間でも委員国が
理解しやすいよう、焦点を絞り、表現も分かりやすくした」。

文化庁は、イコモス勧告書類で見つかった固有名詞や数字の誤り
計6点を、「事実誤認」と指摘する文書を、
ユネスコ委員会議長国カナダに提出。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080628_3

2008年7月7日月曜日

IOC:史上最も包括的な検査 北京の薬物対策で

(毎日 7月2日)

国際オリンピック委員会(IOC)のリュンクビスト医事委員長は、
スイス・ローザンヌのIOC本部から会見、
北京五輪でのドーピング検査は、
「スポーツ史上最も包括的な取り締まりになるだろう」。

選手村がオープンする7月27日から8月24日の閉幕まで、
IOCの管理下で4500件を超す検査が実施、
前回アテネ五輪から約25%増、00年シドニー五輪からは約90%増。
違反が見つかった選手は、4年後のロンドン五輪に出場できない
新規定も7月1日に発効。
同委員長は、「大会中のドーピング検査は大幅に強化され、
検査技術も科学の進歩に伴いより精密になっている」と警告。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20080703k0000m050100000c.html

コレステロール:「悪玉」成分 東北大教授らが解明

(毎日 7月2日)

「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールのうち、
動脈硬化を促進するのは成分の一つの「酸化LDL」であることを、
東北大の片桐秀樹教授(代謝学)らがマウスの実験で確かめた。
米医学誌「サーキュレーション」に掲載。

酸化LDLは、LDLコレステロールが酸化したもので、
LDLコレステロール全体の中のごくわずかな成分。

片桐教授らは、高LDLコレステロール血症のマウスの肝臓に
酸化LDLを蓄積させる遺伝子を導入。
血液中のLDLコレステロール全体の量はほとんど減らさず、
酸化LDLだけを3分の1程度に下げた状態を作り出した。

4週間後、普通の高LDLコレステロール血症マウスは
全身の動脈硬化の病変部分が実験前より約4割増加。
酸化LDLだけを減らしたマウスは、動脈硬化がまったく悪化しなかった。
動脈硬化促進物質の過酸化脂質などの血中濃度も減少。

LDLコレステロールは、細胞膜の材料などになる物質もあり、
薬でLDLコレステロール全体を下げ過ぎることを懸念する専門家も。
片桐教授は、「酸化LDLだけを減少させる治療法が開発できれば、
安全に動脈硬化の進行を抑制し、心筋梗塞の発症予防が
できるようになる可能性がある」。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080702k0000m040151000c.html

「五輪講座」で竹田招致委員会副会長が講義

(東京オリンピック招致 2008,07,01)

筑波大学で「五輪講座」が開かれ、東京オリンピック・パラリンピック
招致委員会副会長の竹田恆和日本オリンピック委員会会長が、
2016年オリンピック・パラリンピック招致について講義。

2003年を皮切りに、今年8回目を迎えた五輪講座は、
国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長から初回に、
“世界の大学でも、前例のない先駆的なオリンピック教育”
として称賛され、国内外から高く評価。

今回の主要テーマは、「オリンピックに対するアジアの貢献」。
オリンピズム、オリンピックムーブメントの発展に、アジアの国や地域、
大会開催地などが、どのように貢献してきたか。

竹田副会長は、日本の戦後復興と1964年の東京オリンピックに触れ、
「焼け野原になった東京が20年も経たないうちに、
世界最高かつ最大のスポーツの祭典オリンピックを開催し、成功を収めた。
私は当時高校2年生だったが、そのことを誇りに思い、自信を持った。
時代を担う子どもたちにも、同じ体験をしてほしい」、
2016年開催を目指す東京オリンピック・パラリンピック招致プランについて、
次のように説明。

日本人は世界の中でも、特にオリンピックが好き。
アテネオリンピックで、国民一人あたりのテレビ平均視聴時間は、
日本が飛び抜けて高かった。
北京オリンピックの8年後のため、
2016年の東京オリンピック招致に対する支持率は伸び悩んだが、
立候補都市選定でトップの評価を受けた今、支持率は70%超。
オリンピック招致の意義を、より多くの方に理解していただき、
さらに支持率を上げていかなければいけない」

オリンピック招致には国の財政保証が不可欠なこと、
2009年10月2日のIOC総会で開催都市が決まること、
大怪我をおしてミュンヘンオリンピックの馬術に出場したエピソードなどを披露、
「出場を断念しなくてはならないような状況だったが、
人々の温かい愛情に支えられて、なんとかオリンピックに出られた。
そのことは一生忘れられない」。

竹田副会長の五輪講座を熱心に聞き入っていた学生から。
・日本の環境技術や交通施設の整備は、世界に誇るもの。
長所を、もっとアピールしていくべき
・オリンピック招致に成功すれば、日本は誇りを取り戻せる
・東京の招致活動について冷めていたが、
今日の講義で開催してほしいと強く思った
・日本だからできるオリンピックについてもっと世間に広めてほしい

1894年の近代オリンピック復興決議を記念した
オリンピックデーに行われた今回の講義では、
オリンピックムーブメントの改革と発展に対する功績が評価。
2006年10月に筑波大学の名誉博士号が授与された
ロゲ会長の記念講演と同じ、「大学会館国際会議室」を使用。

http://www.tokyo2016.or.jp/jp/news/2008/07/2016_7.html

2008年7月6日日曜日

60秒間の毛髪数算定は男性の脱毛評価に有用である

(Medscape 6月17日)

『Archives of Dermatology』6月号に報告された研究によれば、
簡単な60秒間の脱毛数算定は、男性の脱毛を
実用的かつ客観的に評価できるツールである。

ベイラー医科大学のCarina A. Waskoらは、
「現時点では、広く一般に認められている、標準化されている
1日脱毛数の評価方法は存在していない」
「皮膚科の文献やメディアでは、1日脱毛数の正常値が約100本と
報じられているが、この値には疑問の余地がある」

研究の目的は、脱毛のない健常男性60例を便宜的標本として、
標準化した方法により60秒間櫛ときでの脱毛数を病院内で評価し、
その正常範囲を求めること。

被験者の年齢範囲は、20-60歳。
脱毛数は、20-40歳群で0-78本(平均10.2本)、
41-60歳群では0-43本(平均10.3本)。

いずれの年齢群も、全被験者の脱毛数が連続する測定日間で
一致を示したことから、脱毛数の個人内変動は低かった。
6ヵ月後に両年齢群の脱毛数を再評価したところ、
大きな変化はみられなかった。

経験を積んだ研究者が脱毛数を再評価し、算定値を確認したところ、
被験者自身による脱毛数算定値との差は認められなかった。
「60秒間の脱毛数算定は、適切に実施すれば、
脱毛評価の簡単、実用的かつ信頼性の高いツール」

研究の限界は、被験者のほとんどが直毛の白人男性であり、
すべての民族の人に一般化できないこと、
櫛の歯の間隔が一定でないため、脱毛数に差が生じた可能性があること、
半数のくしは歯の幅が広く、もう半数のくしは歯の幅が狭かったこと。

「今後研究を行う際、使用する櫛の歯の大きさと間隔を合わせること。
より多くの被験者を対象とし、正常値の民族差を比較するべき。
さらに研究を実施し、今回の結果と男性型脱毛症または休止期脱毛症患者で
得られる結果を比較し、算定法の有用性を向上させる」

Arch Dermatol. 2008;144:759-762.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=76362

赤ワインを武器に脂肪と戦え

(WebMD 6月17日)

レスベラトールは、赤ワインとブドウの中から見つかった
抗酸化物質として知られ、すでに心臓の健康を守り癌を防ぐと
考えられているが、脂肪撃退効果もある。

ウルム大学(ドイツ)の研究者Martin Wabitschによると、
脂肪前駆細胞にレスベラトールを加えたところ、
脂肪前駆細胞の増加が止まり、成熟した脂肪細胞に変化しなくなった。

Wabitsch博士は、内分泌学会第90回年次総会“ENDO 08”で発表。
「人でも同じように効果があることを、証明しなければならない」。
レスベラトールと同じ脂肪細胞制御メカニズムを利用した薬を開発したい。

レスベラトールの健康増進効果:
Wabitsch博士らは、レスベラトールがカロリー制限と似たような作用を
示すことによって、高カロリー食を与えられている実験マウスの
肥満関連疾患を予防することを見出していた。

細胞を変え、ヒト脂肪細胞でこの物質が疑似カロリー制限効果を
示すかどうかを探った。
安定した細胞株、ヒト脂肪細胞株にレスベラトールを加え、
比較群の脂肪細胞にはレスベラトールを加えなかった。
「(脂肪前駆細胞が)倍増する時間は、通常40時間。
48時間で対照ディッシュの脂肪前駆細胞は2倍以上に増えたが、
レスベラトールを入れたディッシュでは、脂肪前駆細胞数が40~45%減少」。

レスベラトールに触れた脂肪細胞は容積も小さくなり、
実質的に脂肪細胞が縮んだ。
レスベラトールに触れたことで、インターロイキン6、8の分泌量が低下。
肥満関連疾患と考えられる糖尿病や動脈閉塞の発症に関係する物質。

フレンチパラドックス(フランス人は、比較的脂肪の多い食事を摂り
赤ワインをよく飲むのに、心臓疾患による死亡率は低い)は、
赤ワインに含まれるレスベラトールにより説明が可能という説と、
今回の研究結果はつじつまが合う。

レスベラトールの健康増進効果:
レスベラトールは、様々な方法で脂肪に作用する。
「メカニズムは、1つだけではない。
脂肪前駆細胞数の減少は、SIRT1を介して行われる」
代謝と老化に関連する遺伝子の活性化についても触れながら説明。
動物実験で、SIRT1の活動を「封じた」ときは、
脂肪前駆細胞の増殖に対するレスベラトールの影響がみられなかった。

レスベラトールの健康増進効果:
これは興味深い研究である、と
米国栄養士会(American Dietetic Association)の広報担当、
Katherine Tallmadgeは言うが、「さらに研究が必要」。
カロリー制限については、まだ十分わかっていない。
カロリー制限は体脂肪を減らし、様々な効果をもたらす。
しかし、厳しすぎるカロリー制限は骨粗しょう症などの健康問題を起こす。

レスベラトールの健康増進効果:
レスベラトールの脂肪制御メカニズムがさらに深く解明され、
レスベラトールの作用を模した薬剤を開発したい。
製薬業界は、すでにこのコンセプトについて研究を開始。

red-wine-a-weapon-in-battle-of-the-bulge

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=76197

[第3部・タイ](上)国民の意識変えた「金」

(読売 7月1日)

1、2、3、8。
直近の五輪4大会で、タイはメダル倍増を続けている。

タイのスポーツと言えば、キックも使う国技のタイ式ボクシング、
ムエタイが知られる。
五輪で足技は使えないが、やはりボクシングはお家芸。
1952年の五輪初参加から92年バルセロナ五輪までに、
タイが獲得した全4個のメダルを、この種目だけで稼いできた。
1大会で複数のメダルはなく、金メダルもゼロ。
伝統の力は、国際舞台での限界も示していた。

流れを変えたのが、96年アトランタ五輪。
フェザー級のソムラック・カムシンが、タイ史上初の金メダルを獲得、
バンタム級も銅で、史上初の複数メダルもボクシングで実現。
今は、小さなテレビ番組製作会社を経営しつつ、手作りのジムで
ムエタイ選手を育てるソムラックさん(35)は、
「実は、ムエタイ頼みでは国際大会で通用しなかった。
金メダルはメンツを捨て、海外の文化とタイの伝統を融合させた成果」

タイは91年のクーデター後、東南アジアで有数の政治的安定を誇る
民主化が進んだ。
日本企業など外資も次々進出し、経済は発展を続けた。
ソムラックさんが獲得した史上初の金も、社会の改革機運と無縁ではない。

タイボクシング協会は、バルセロナ五輪後、キューバなど海外のコーチを
導入し、国際ルールに適応するボクシングを磨いていた。

「タイ人は良くも悪くも、優しすぎ。
キューバのコーチは、技術はもちろん、厳しい管理の大切さを教えてくれた」
民主化の風を受けた改革で、社会主義国の技術と規律を導入したことが、
伝統の力を五輪の舞台で生かすことに。

ソムラックさんは帰国後、政府からの報奨金やCM出演料などの
総計1億2000万バーツ(当時約4億7500万円)を超える金額を
手にしたとされ、CDを出し、俳優にもなった。

タイ五輪史上最高のスター誕生で、スポーツへの国民のまなざしは変わった。
「ソムラックは、タイ人も世界で勝てるとの自信を国民に持たせ、
スポーツも成功する手段という認識も広めてくれた」と、
タイのスポーツ紙、サヤーム・スポーツのオラン・チュアバン編集局長。

史上初の金がもたらした衝撃。
それが、その後のメダル倍増の呼び水になったが、
最も奮起したのは、それまで才能を眠らせ続けていた、タイの女性たち。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080701.htm