2008年7月9日水曜日

当世留学生事情(6)早大 8000人受け入れ戦略

(読売 6月24日)

私学の雄が、戦略的に留学生増を図る。
キャンパスを見渡せば、様々な人種の学生がすぐに目に付き、
日本人学生と留学生が英語で会話する光景が見られる。
内田勝一副総長がイメージする早稲田大学の5年後の姿。

昨年の留学生数2435人は、日本の大学でトップに立った。
創立125周年を機に、今後10年以内の指針を定めた
「早稲田ネクスト125」を発表。
「留学生の受け入れと、日本人学生の海外への派遣を、
それぞれ5年以内をめどに、8000人に増やす」という目標。

早大の狙いは明快。
「留学生を入れることによって、研究、教育水準を高めること」(内田副総長)。
高等教育熱の高まる中国などアジア諸国から、優秀な学生を獲得。

必然的に英語での授業に力が入る。
1998年に開設した大学院アジア太平洋研究科では、
英語による授業だけで修士課程修了に必要な単位が得られる。
2004年にできた国際教養学部は、すべての授業を英語。
来年度から理工学部も、1年生から英語だけの授業を新設。

留学生のための日本語集中講座も。
「アジアで仕事をするなら日本語、英語、中国語が
今後50年は中心的な言語となる。留学生に、プラスアルファで
日本語がついてくると思わせるメリットは大きい」。

早大では、海外での情報提供や学生のリクルートを担当する
海外オフィスの整備も進める。
上海オフィスを新設、ニューヨーク、ソウル、台北でも開設し、10か所体制に。
バンコク、米オレゴン州、北京、シンガポール、独ボン、パリに拠点を持つ。

留学生が入れる学生寮は13棟(546人収容)、
交換留学生専用寮が5棟(442人収容)。
中野の警察大学校跡地に、900人収容可能な大型寮を建設中。
日本人学生と留学生を一緒に生活させ、困った時の相談相手となる
「レジデント・アシスタント(RA)」を配置するのが特徴。

西東京市の田無寮には、160人の学生が入居。
5階建ての建物には、各階に共通台所がある。
昨年1年間英国の学生寮で過ごした国際教養学部4年斉藤隼人さんは、
「海外での楽しい寮経験を、日本でも実現させたい」とRAを引き受けた。
サッカーに寮生を誘ったり、七夕イベントを企画したり。

韓国人留学生の同学部1年キム・ムンジョンさん(18)は、
「料理を一緒に作ることなどで友達が増えた。
同じ学部の人には、授業のことも聞けていい」。

様々な施策を取っても、8000人という数字は大きい。
学部と大学院で4000人ずつ増やすのが目標だが、
その実現には、より具体的な数値目標も必要。

◆英語による授業

2006年度に、英語で授業を実施している大学は227校。
英語による授業だけで卒業出来る大学には、早大国際教養学部のほか、
国際教養大、上智大国際教養学部、立命館アジア太平洋大など。
英語による授業だけで修了出来る大学院は、57校101研究科。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080624-OYT8T00237.htm

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