2009年12月5日土曜日

「いびき」を治せばゴルフが上達、米病院が研究

(CNN 11月28日)

特徴的な「いびき」で知られる睡眠中に呼吸が停止する疾患、
「睡眠時無呼吸症候群」の治療を行えば、
ゴルフが上達するという相関関係を、
米ニュージャージー州の病院が見出した。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に一定以上の時間、
呼吸が止まることから、大きないびきをかくほか、
昼間に強い眠気に襲われたり、集中力が低下する。

ニュージャージー州モリスタウン記念病院の医師らは、
睡眠時無呼吸症候群のゴルファーを対象に、調査を実施。
12人には、睡眠中に呼吸が楽にできる装置を装着して眠り、
別の12人には治療をせずに、ゴルフの結果を調べた。

その結果、装置を装着したゴルファーらのハンディキャップが
平均して、大きいグループでは12.4から11.0へ、
小さなグループでは9.2から6.3へと改善。

米国では、睡眠時無呼吸症候群だと知らなかったり、
治療をしていない状態で、ゴルフを楽しむ人が300万人いると推定。
ゴルフがなかなか上達しない人で、
睡眠時無呼吸症候群の症状が見られる場合は、
治療することでゴルフがうまくなる可能性がある。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200911280021.html

新しい波/325 Fリーグのいま/中

(毎日 11月28日)

フットサル・Fリーグ10チーム中唯一、
全プロ選手で構成する名古屋。

市内にある大洋薬品オーシャンアリーナは、
同社が総工費約40億円かけて造った専用体育館で3階建て。
コート2面にオーロラビジョン、約2600席のスタンドなどを備え、
アマチュア主体の組織の中で突出。

選手は13人。
実業団サッカー出身の桜井嘉人ゼネラルマネジャー(GM)
全国をめぐってスカウト。
J1経験選手もいる。

球団発足当初は、「年俸400万円前後」と桜井GM。
アリーナのイベント活用や会社のバックアップも奏功して、
リーグ3季目の今季は日本人最高で約700万円。

自動車関連工場で働く日系人集住地域がある愛知県の地域性も
反映してか、競技が盛んな南米出身の日系人選手も複数いる。
名古屋の中心選手、森岡薫(30)は、ペルー出身の日系人。

12歳で、父の仕事に付いて家族と来日。
日本の生活になじめず、高校中退。
建築関係の仕事をしながら、「遊び歩く生活が続いた」。
20歳の時、立ち読みした雑誌が縁で競技を始めた。
ペルーでのサッカー経験が生き、神奈川のクラブにいる時、
桜井GMに誘われた。

リーグ初年度に14得点を挙げ、優勝に貢献し最優秀選手になり、
ペルーのメディアから取材。
1児の父になり、日本国籍取得を望む森岡。
「競技と出合えた日本に恩返しをしたい。
自分のような道もあることを示し、子どもに夢を持ってほしい」。

地域名が前面に出るのを利点にし、競技普及とセットにして
自治体支援を受けるチームも。

明海大サッカー部OBチームが前身の浦安は、
市総合体育館の優先利用を認められている一方、
市内幼稚園などで子どもたちに教える。
アマチュア組織のため、各選手に報酬はなく仕事を持っているが、
チーム行事を最優先にして集う。
浅野清春GMは、「選手になりたいという子どもが出てきてほしい」。

リーグ理念の一つが、「世代や性別、地域や所属を超えた
交流のできるフットサルコミュニティーの創出」。
地味だが、成果は着実に出ている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20091128ddm035050102000c.html

国立大学協会が予算充実求め緊急アピール

(サイエンスポータル 2009年11月27日)

国立大学協会(会長・濱田純一東京大学総長)は、
2010年度予算編成について緊急アピールを、
川端達夫・文部科学相に提出。

国立大学法人化後、既に720億円の運営費交付金が削減、
これ以上の予算削減は、教育の質を低下させ、
学問分野を問わず、基礎研究や萌芽的研究の芽を
つぶすだけでなく、地域医療の最後のとりでとしての機能や
一部国立大学の経営が破たんするなど、
日本の高等教育・研究の基盤が根底から崩壊し、
回復不能な事態に陥ると指摘。
そうならないため、予算充実の必要を訴えている。

具体的には、基盤的経費である運営費交付金の総額1%削減や
人件費削減計画(2006年度から毎年1%削減)の撤廃、
授業料等標準額の減額と減免措置の拡大、
給付型奨学金の創設など奨学金制度の拡充、
TA(ティーチングアシスタント)、RA(リサーチアシスタント)の拡充、
附属病院への財政支援の拡充、施設予算の充実、
科学研究費補助金の拡充、国際化支援予算の充実、などを要望。

附属病院については、経営改善係数の適用による
マイナス2%の撤廃、小児科、産科などニーズが高く採算性が低い
診療部門への支援、施設整備費補助金の割合の拡充、
国立高度専門医療センターと同様に附属病院の
長期借入金債務の軽減措置の実施、
診療報酬への配慮などを求めている。

事業仕分けで、運営費交付金の見直し、
特別教育研究経費の削減、
大学への支援施策の削減などが決定。
大学関係予算全体が削減の方向にあり、
国立大学の危機意識がさらに高まっている。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0911/0911272.html

2009年12月4日金曜日

インタビュー・環境戦略を語る:大成建設・山内隆司社長

(毎日 11月23日)

街作りの担い手として、環境への配慮も求められる建設業界。
大成建設は、業界でも珍しい「環境本部」を設置、
建設現場の生態系維持や資材のリサイクルなど
環境保護に向けた取り組みを加速。
山内隆司社長に環境への思いを聞いた。

--環境本部を設置した狙いは?

◆地球温暖化問題など、環境への負荷を抑える
具体的な活動が社会から求められる今、
環境対策に取り組める人材や情報を一元化したかった。
土木から建築、土壌浄化まで幅広い部門に分散していた、
環境ビジネスに役立つ人材や情報を一つの部署に集め、
顧客の要求に素早く応え、環境を意識した企業活動の
重要さを社員で共有。

--鳩山内閣が打ち出した環境政策をどう見るか?

◆2020年時点での温室効果ガス排出量を、
90年比25%削減する目標は、我が社にはビジネスチャンス。
90年、経営理念のキーワードに「環境」の言葉を盛り込んで以降、
国内外の土木・建設工事で、土壌・地下水の浄化や
自然との共生につながる技術開発に取り組んできた。
ノウハウが、鳩山政権の誕生でさらに広く生かせる。
日本の高い技術力を、世界に示す好機だと前向きに。

--環境本部は工事受注にどうかかわっているか?

◆環境への意識が高い顧客を中心に、
独自開発の技術を積極的に提案。
環境配慮型の建物や工事は、我が社の得意分野を
示せるだけでなく、顧客にとっても企業イメージが高まり、
事業拡大の好機にも。
先方から声がかかる前に、『環境』を売り込んでいこう」と。
都心のビル建設事業では、植物を建物の周囲や屋上に施すことで、
近隣からも好印象を得られ、快適な街作りに一役買うメリットを説明。

--土壌浄化も得意分野。

◆10年4月に施行される改正土壌汚染対策法で、
土壌の汚染調査や改良事業が脚光を浴びる。
我が社が手がけた土壌調査や対策事業は、
約20年間で1700件と、豊富な実績。
海外では、途上国を中心に安心して水を飲めない国が少なくなく、
技術を生かせるチャンスは無限。

--環境事業は収益につながるか?

◆新しいビルを建てるだけが、建設会社の役目ではない。
寿命の長い建築物を造ることは、建設会社の収益に
マイナスかもしれないが、建築廃材の削減や耐震補強などの
技術向上にもつながる。
こうした技術も環境事業の一環ととらえ、
精度を高めることが建設会社の使命。
==============
◇やまうち・たかし

東京大工卒。69年大成建設入社。関東支店長、建築本部長、
取締役などを経て07年4月から現職。
建築業協会会長も務める。岡山県出身。63歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/11/23/20091123ddm008020043000c.html

犬に湯治、どんな効能?岡山の温泉で調査へ

(読売 11月18日)

犬たちに温泉の効能は?
岡山理科大専門学校は、2010年度から岡山県真庭市の
湯原温泉で、犬の湯治効果を調べる研究を始める。

同校によると、ペット用の風呂を持つ温泉宿はあるが、
効能を実証した研究はない。
同校には、動物看護、ドッグトレーニングなどの学科があり、
学内で飼育している犬数匹が“協力”。

湯船の広さ、深さ、温度、水素イオン指数(pH)などの条件を
変えながら、入浴中の行動や呼吸、脈拍、体温、
心電図などで体調の変化をみる。
唾液中の酵素や神経伝達物質ドーパミンの量など、
より詳細な測定も検討。

同校の奥田宏健・動物系学科部長は、
「室内で飼われることが増え、生活スタイルが変わって
皮膚炎や関節炎など、かつては珍しかった病気になる
ペットが増えている。
人間と同じ効能を期待したい」

同校を運営する加計学園は10月末、真庭市との間で、
まちづくりや、教育、文化、福祉、温泉の活用など、
幅広い分野で連携するための協定を結んだ。

その中で、犬の温泉入浴による生理活性効果の調査を
行うことで合意。

調査に協力する湯原町旅館協同組合に加盟するたねや旅館の
多曽田格専務は、「湯原温泉は、特にアトピーや乾燥肌などに
効く美肌の湯。犬もきっと元気になるはず」と期待。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091118-OYT1T00235.htm

酪農排水浄化の人工湿地システム開発

(サイエンスポータル 2009年11月19日)

酪農家から出る糞尿や牛乳などを含む高濃度有機性排水を、
年間を通じ河川放流が可能なレベルまできれいにする
人工湿地システムを、農業・食品産業技術総合研究機構
北海道農業研究センターなどが開発。

北海道別海町と遠別町での現地試験で、
排水中の有機物を9割以上、窒素やリンを
6~8割低減できることが確認。

50~400頭の牛舎に、このシステムの費用を試算、
既存の機械的排水処理法と比べ、初期費用が半額未満、
運転費用が5分の1未満で済む。

北海道農業研究センターが、北海道大学、
畜産施設販売会社「たすく」、北海道立根釧農業試験場、
遠別町と共同で開発したシステムは、
自然の浄化能力を利用。

伏流式の人工湿地濾(炉)床には、ヨシを植えているが、
ヨシを利用する従来の方法では、有機物による濾床表面の
目詰まりのため、冬季には凍結が起きてしまい、
リンの浄化は主に吸着によっているため、
いずれ濾床の吸収能力が限界に達してしまうといった難題。

新システムは、ガラスのリサイクル資材や発泡コンクリート資材
など水に浮かぶ資材を用い、濾床の目詰まりと凍結を防止。

濾材に吸着して蓄積したリン酸は、炭酸カルシウムなどで
吸着・回収するなど、浄化率を高める新しい仕組み。
この結果、年間を通じ、狭い面積で効率よい運転が可能な
人工湿地浄化システムを実現。

回収されたリン酸は、肥料として用いることもできる。
日本の食糧自給率は、先進国中最低水準で、
穀物輸入の中で特に多い飼料用穀物の輸入は、
世界貿易全体の13%も占めている。

2007年、日本学術会議の生産農学委員会畜産学分科会は、
報告書「わが国食料生産における資源循環型畜産技術の開発と
地域活性化」の中で、
飼料の輸入依存が、家畜飼養と作物生産を乖離させる結果、
畜糞の堆肥化という資源循環を妨げ、
農村地域の衰退だけでなく、動物や水質など環境へ
悪影響を与える窒素の過剰な蓄積を招く恐れ」

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0911/0911191.html

2009年12月3日木曜日

新しい波/324 Fリーグのいま/上

(毎日 11月21日)

「日本ミニサッカー連盟」
日本サッカー協会内に発足した77年当時の
日本フットサル連盟の名前。
89年、国際サッカー連盟(FIFA)がフットサルを管轄し、
第1回ワールドカップ(W杯)を開催した流れから、
95年、日本協会もミニサッカーから改名。
07年、トップリーグの位置付けで地域名を前面に出した
「Fリーグ」を発足。

北海道、府中が新加入し10チーム構成。
秋から翌春にかけ、全国でリーグ戦約30試合を展開。
本場のブラジル、スペイン出身選手を擁するチームも複数あり、
ほとんどが地域のアマチュアクラブ。
観客動員や全国遠征する運営費の捻出で苦戦中。

「方向性は間違っていない」。府中の関係者が喜んだ。
9月、東京・府中市立総合体育館での初の本拠地開催で満員。
ただ数は1178人。
今季の1試合平均の観客数は、第13節までで約1700人。
Fリーグで発足前に見積もり、昨季達成した2000人を下回る。
競技者登録数もフットサル13万人に対し、サッカー89万人。

経費も予想を超えた。
各クラブの運営費は、年4500万円の見積もりから、
遠征費が膨らみ2000万円超過。
府中の安井貴士理事は、昨季の下部リーグ時に比べ、
「20倍で済むのかというほど増えた」
Fリーグの実力もサッカー協会の思惑通りにはいかず、
3月の全日本選手権決勝で唯一のプロチームでリーグ2連覇中の
名古屋は、下部の関東1部1位のFUGA MEGURO
(現FUGA TOKYO)に敗れた。

Fリーグは将来16チームに増やし、プロ化も目指す。
Jリーグの発足当初と違い、地方テレビ局が細々と放映。
理想と現実の大きな乖離。
あるチーム関係者は、「いい集客策があったら教えてほしい」。
経済効果を生まないスポーツには光が当たらない不況の中、
Fリーグは奮闘している。

「室内サッカー」として、日本サッカー協会が支援するフットサル。
リーグやチームの運営状況など競技の現状に迫る。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20091121ddm035050119000c.html

国際ロボット展:「力持ちスーツ」「究極の打者」 ユニーク技術に注目集まる

(毎日 11月26日)

国内外の最先端のロボットを集めた「2009国際ロボット展」
が開幕、掃除などの家事を人間に代わってするロボットや、
人間の身体能力を強化する着用型ロボットなどの
ユニークな新技術が注目。

東京理科大の小林研究室が開発した「マッスルスーツ」
ブースでは、同スーツを着用した人が50キロのコメ袋を
軽々と持ち上げるデモンストレーションに驚きの声。
同スーツは、空気圧を調節してゴム製の「人工筋肉」を収縮、
腕や腰の曲げ伸ばしをサポート。
人間が強く力を入れなくても、重い物を簡単に持ち上げられるのが
特徴で、高齢者や身体障害者の動作を補助したり、
工場での労働の身体負担軽減などに役立つ。

東京大学の石川・小室研究室の「バッティングロボ」は、
1秒間に1000枚の画像を処理できる高速カメラで飛んでくる
ボールを検知し、バットで打ち返す「究極の打者」。
人間が軌道を予測してボールを打つのと異なり、
1000分の1秒ごとにボールの位置を認識し、
0・2秒でバットの軌道を調整。
「どんな球でも空振りせず、狙った方向に打ち返せる」(石川正俊教授)。

ロボット展には国内外の192社、64団体が出展。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/11/26/20091126ddm008040080000c.html

元気で長生きできる食事は--健康ナビ

(2009年11月27日 毎日新聞社)

メタボリックシンドローム対策やダイエット志向の高まりで、
日本人のエネルギー摂取量は年々低下し、
06年にはついに終戦直後を下回った。

「このままでは、長寿社会どころか平均寿命は短くなっていく」
栄養学者からはそんな懸念の声。

人類の平均寿命が50歳を超える国が現れたのは、
20世紀に入ってから。
肉や牛乳などの動物性たんぱく質を多く取るようになった
ニュージーランドやオーストラリア、欧米の先進国が先陣を切った。

この時期の日本は、栄養状態が悪く、30代後半。
半世紀遅れの1947年、ようやく50歳を超えた。
80年代、植物性たんぱく質と動物性たんぱく質の摂取量が
ほぼ同じになり、世界最高レベルの長寿国に。

桜美林大大学院の柴田博教授(老年学)は、
「動物性たんぱく質と脂肪の摂取増が、結核や脳血管死を減少。
80年代、脂肪の摂取量が頭打ちになり、欧米のように
虚血性心疾患の増加も防ぐことができた。
理想的な栄養バランスが、日本の長寿をつくりあげた」

◆20代女性が押し下げ

80年代以降、日本人の栄養状態は年々劣化し始めた。
07年の国民健康・栄養調査によると、エネルギー摂取量は
70年代前半の約2200kcalをピークに、06年は1891kcalに減り、
終戦直後の46年の1903kcalよりも少なくなった。
たんぱく質摂取量は、95年の82gから70g、
脂質も60gから54gに減少。

柴田教授は、「(ダイエットなどに取り組む)若い女性とその子供が
低栄養状態で、全体の平均を下げている。
粗食が健康的との誤解が広がり、食のバランスを壊してしまった。
将来は、骨粗しょう症などが頻発し、平均寿命も低下しかねない」

同調査によると、20代女性のエネルギー摂取量は
約1700kcalで、必要量よりも300kcal不足。

◆ご飯の量で調整を

長寿につながる食生活に向けて、どんな工夫をすればいいのか?
柴田教授に聞いた。

人間の体は、9種類の必須アミノ酸を含む
20種類のアミノ酸でできている。
この構成に近いアミノ酸を取れるように、
食べ物全体の50-60%は動物性たんぱく質をとった方がいい。

必須アミノ酸がすべてそろった食品を100点として、
アミノ酸のバランスをみる「アミノ酸スコア」では、
「卵、牛乳、肉、魚」が100点、大豆80点、米60点、小麦40点。

1日に必要な食品の基本として、
「(1)卵1個、(2)牛乳200cc、(3)肉、魚それぞれ同量(70-90g)、
(4)豆腐3分の1丁、(5)野菜・果物350g、(6)油脂15cc」。

おかずの量を変えることなく、各人の体の大きさや運動量で
ご飯の量を調整してほしい。
高齢になると、肉などのおかずの量を減らした方がいいと
考える人は多いが、これも誤り。

基本のおかずはしっかりとった上で、基礎代謝の減少分だけ、
ご飯の量を減らせばよい。
70代では、1日約110kcal(お茶わん1杯弱)を減らす程度。

◆抗酸化効果でアーモンドに注目

ビタミン類やポリフェノール類、香辛料などに多く含まれ、
人間の老化を防ぐ抗酸化物質。
米国農務省の「ジーン・メイヤー人間栄養学加齢研究センター」
のジェフリー・B・ブラムバーグ所長によると、
米国では最近、アーモンドの抗酸化効果が注目。

「酸化ストレスを遮断するビタミンB、Eやフラボノイドなどの
栄養素と酵素が含まれ、相互作用で効果を発揮する」

1日5~20本のたばこを吸う中国人男性30人に、
1日84g(約70粒)のアーモンドを4週間摂取させたところ、
DNA鎖の切断による損傷が23%減少した。

「木の実、野菜、果物の中には、たくさんの抗酸化物質が含れる。
サプリメントよりは食べ物として取る方がよく、
1+1=2以上の相乗効果がある」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/27/112077/

温暖化対策で心臓病が減る 多くの命救えると科学者

(2009年11月27日 共同通信社)

地球温暖化対策に伴う大気汚染の減少などの副次的効果で、
心臓病の患者が10~25%減るなど、多数の命が救えるとの
研究結果を、世界保健機関(WHO)などの支援を受けた
国際研究グループがまとめた。
英医学誌ランセット(電子版)に掲載。

研究グループは、「保健分野での利益は非常に大きく、
対策に伴う費用の一部を相殺できる」
デンマークでの気候変動枠組み条約の
第15回締約国会議(COP15)では、こうした点も考慮した
交渉を進めるよう訴えている。

グループは、世界全体で2050年の温室効果ガス排出量を
1990年比で半減させることを目指して各国が対策をとった場合、
2030年に人の健康にどのような影響があるかを試算。

温暖化対策を進めると、車の利用が減り、自転車などの利用が
増えるため、大気汚染が減る上に肥満人口も減少。

ロンドンでは、心臓病の患者が10~20%減るほか、
乳がんも12~13%減少する。
インドのデリーでも、心臓病が10~25%減るほか、
糖尿病患者や交通事故による死亡も減少。

石炭火力発電が、風力発電や太陽光発電に置き換わることで
大気汚染が減り、中国では100万人当たり年5千人の命が救え、
インドでは1500人の命が救える。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/27/112055/

2009年12月2日水曜日

総合学科高校(8)科目選び 仕事に直結

(読売 11月21日)

総合学科高校で学んだ卒業生たちが、社会で活動を始めている。

東京湾が一望できる東京・港区の高層マンション。
その一室が、「女子大生社長」のオフィス。

バッグなどの革製品を手がける「グラネス」社長の
伊藤妃実子さん(22)は、慶応大学環境情報学部の4年生。
2年前に会社を設立、デザイナー兼社長として、
オフィスで製品のデザインや顧客との打ち合わせ。

建築関係の会社を経営していた祖父の影響で、
漠然と建築家になりたいという目標。
勉強とデザインの両方を学べる学校を考えた結果、
総合学科の都立晴海総合高校に。

初めは学力面で不安を感じたが、
「必要な科目を深く学ぶことができた」
同じデザインでも建築家と違い、女性らしい視点を生かせる
革製品の仕事を選んだ。

社長として、商品づくりで下町の頑固な職人と仕事するが、
高校で学んだことが生きている。
普通の高校と比べ、総合学科高校では人前で発表する
機会が多く、「人に伝えたり、表現したりする力がつく。
職人さんとうち解けることができるのはそのおかげ」

大学では、100年を超える老舗企業の研究などをし、
来年も大学院で研究を続ける予定。
しばらくは二足のわらじが続くが、学業の成果を生かし、
「長く続く企業にしたい」と意気込む。

大阪市の中尾良志さん(28)は昨年から、
司法書士として債務整理などの仕事に励んでいる。
総合学科の大阪府立今宮高校で学び、卒業後、
選べる仕事が限られた中、鉄道が好きとの理由で鉄道会社に入社。
仕事をしながら行政書士の資格を取り、
通信制の大学で司法書士の資格も取った。

「自分の力でできる仕事に就きたい」
高校時代から、そんな思いを持っていた。
高校では科目選びなどを通じ、
「自分で考えて学ぶことを覚えた」
大学で学んで資格を取ったのは、自分で考えてのこと。
高校で身に着けた力が、司法書士への転身に。

映画などに出演する女優の井上美琴さん(25)も、
総合学科の兵庫県立神戸甲北高校の卒業生。
当時から芸能活動をし、「好きなことを学べ、個性を生かせる」と
思ったのが一つの理由。

仕事と両立しながら、単位を一つも落とさずに卒業。
将来を見据えて科目を選び、「絵画」や「ダンス」などの
美術系の科目を多く取った。
それらは、今の芸能活動に役立っている。

「やりたい事が見つかってできるならいい学校だが、
楽な選択もできる。
今楽なのか、今後自分のために役立つ楽しさなのか、
よく考えて選択してほしい。
そうすれば充実した学校生活が送れる」と井上さん。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091121-OYT8T00218.htm

昨年の温室効果ガス濃度世界最高に

(サイエンスポータル 2009年11月24日)

世界気象機関(WMO)は、大気中の温室効果ガス濃度が
昨年、産業革命以降で最高となったと発表。

地球温暖化への影響が一番高いと考えられている
CO2は、2007年に比べ、2.0ppm上昇し385.2ppmに、
メタンは同じく7ppb増え1,797ppbに、
N2Oは0.9ppb増の321.8ppb。

ハロカーボンも、フロンガス規制でクロロフルオロカーボンなどは
少しずつ減っているものの、代替フロンが急激に増え、
これらの温室効果が心配。

大気中のCO2濃度は、化石燃料の大量消費など
人為的な影響がほとんどなかった産業革命以前の
1750年までは280ppmとほぼ一定に保たれていたが、
その後、上昇を続けている。

温室効果への影響力を見る放射抗力(radiative forcing)で比較、
もっとも影響の大きいのはCO2、1750年に比べ、
温室効果ガスによる地球温暖化影響増加分の63.5%。
次いで、メタンが18.2%、N2Oは6.2%、
残り約12%がハロカーボン。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0911/0911241.html

医事で五輪20回に貢献 クーベルタン賞の黒田会長

(2009年11月26日 共同通信社)

スポーツ界で、反ドーピング活動に長年尽力した
日本アンチ・ドーピング機構の黒田善雄会長が、
国際オリンピック委員会(IOC)からクーベルタン賞の表彰。

リュンクビストIOC医事委員長が、
「数々の功績に敬意を表したい」と祝辞、記念メダルを授与。

同賞は、近代五輪の父クーベルタン男爵の精神に基づき、
教育や学術研究の功労者をたたえた勲章で、1997年創設。

IOC医事委員やアジア・オリンピック評議会医事委員長を
歴任した84歳の黒田会長は、「重いメダルだなあ」と感激、
「56年メルボルン五輪以来、夏季と冬季で計20回五輪に
かかわってきたが、これほどの栄誉は想像しなかった」と感謝。

東大時代はボート部。
戦後、日本体協に「スポーツ医事相談所」が開設された時代から
週3回、選手の体を診察してスポーツ医学の道を進んできた。

印象深いのは、中国選手の大量ドーピング違反が発覚した
94年広島アジア大会。
「当時、リュンクビストが日本に来たので、相談に乗ってもらった。
東西冷戦が集結しても、競技レベルが上がり
医科学が進歩する限り、皮肉にもドーピングは終わらない」と懸念。

巧妙化するドーピングを徹底糾明するIOCの姿勢は、
「スポーツを守る」観点から支持。
五輪運動に医科学分野で貢献してきた情熱は今も冷めない。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/26/111975/

カゴメ、野菜ジュースの摂取でメタボ予防・改善の可能性

(日経ヘルス 11月24日)

カゴメ総合研究所は、兵庫県健康財団との共同研究で、
野菜ジュースの摂取が、メタボリックシンドロームの予防・改善に
効果がある可能性を示すデータを発表。
日本公衆衛生学会総会第68回大会で報告。

被験者は、兵庫県佐用町在住の56~83歳の55人。
野菜ジュースを、1日1本2カ月間摂取する群24人と、
摂取しない群31人に分けた。
野菜ジュースは、同社の「野菜一日これ一本」(200ml)を用いた。

摂取群と非摂取群で、中性脂肪や総コレステロールなど、
九つのメタボ関連マーカーを比較、有意な差はなかった。
摂取群と非摂取群で、メタボ関連マーカーの値が高めと低めの
二つずつのグループに分けて解析、
摂取群のうち、中性脂肪やインスリン抵抗性の指標の
HOMA-IRが高めのグループで、二つの数値が有意に改善。
摂取群の低め、非摂取群の高め、低めのグループでは差はない。

野菜ジュース摂取前に、血中総カロテノイド濃度
(αカロテン、βカロテン、リコピン、ルテインを合わせた濃度)と
メタボ関連マーカーとの相関を解析、
血中総カロテノイド濃度と、中性脂肪、HOMA-IR、
収縮期血圧(上の血圧)との間に有意な負の相関。
血中総カロテノイド濃度の高い人は、これらの値が低く、
メタボのリスクが低い。

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20091124/104980/

2009年12月1日火曜日

商船三井客船の萩原社長「クルーズ、日本でもブームの兆し」

(日経 11月19日)

豪華クルーズ客船「にっぽん丸」の大規模改造を決めた
業界大手の商船三井客船
団塊世代の大量退職で、クルーズ市場の拡大が期待、
世界的な景気後退の影響が続く中での“船出”となる。
改造の狙いや今後の需要見通しについて、萩原節泰社長

——改装に至った経緯は?

「日本では、10年後に2人に1人が50歳以上。
成熟社会を生きる元気なアクティブシニアに、
新しいレジャーのあり方を改めて提供したい。
2008年国内のクルーズ旅行者は19万人、前年よりも3%伸びたが、
認知度はまだまだ。
欧州での人気は高く、ドイツでは既にその数が約5倍の90万人、
日本でもブームの兆しが出てきている」

日本が成熟社会を迎える中、クルーズ旅行の成長性は高い。
1990年に誕生した3代目の『にっぽん丸』も、今後の需要増大や
多様な価値観に合わせ、客室や公共施設の改善の必要」

——具体的にどう変わるのか?

「『大人を幸せにする海の上の国』をコンセプトに、リニューアル。
食事や癒やしにはこだわったつもり。
ここ数年、人気のコースを中心に、キャンセル待ちの状態が続き、
随分とご迷惑をかけた。
客室を、184室から202室に18室増加。
乗船可能な客の数も30人増やし、398人とし、乗組員も増やす」

高額でも、良い設備を利用したいとの声が増え、
一部の部屋にバルコニーを設置、客室の内装も一新。
公共スペースでは、飲食施設を充実し、人気のスパや
ウッドデッキなども新設。
船自体を大きくしたので、1人当たりの居住面積は変わっていない。
設備を充実させた部屋の値段は上げたが、
部屋数が1番多いタイプの価格は基本的に据え置いた」

——予約状況は?

「来年3月26日の伊豆諸島周遊クルーズ2泊3日が、
『新生にっぽん丸』のデビュー。
初回は、販売開始時刻から1時間で予約がすべて埋まった。
それ以外のコースも順調に予約をもらっている。
数十億円を投じる今回の改装の決定は、
昨年9月のリーマン・ショックの前。
景気が不透明感を増す中、心配はしたが
予想以上の反響に手応えを感じている」

——どういった客層を狙うか?

10日前後の長期間のクルーズでは、会社をリタイアした
60歳以上が中心、会社を数日休んで行くことができるツアーも
たくさん組んだので、幅広い客層を狙いたい。
食事は1日7回出る。
エンターテインメントやカルチャーを楽しみながら、
寝ているうちに目的地につくというのは、日常生活では
決して味わえないゆったりとした充実感がある。
リピーター率は高く、まずは体験してもらえれば、
良さがわかってもらえる」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091118.html

総合学科高校(7)多様な科目 小中と連携

(読売 11月19日)

小中学校と連携し、一貫教育を進める総合学科高校がある。

「土の中に隠れているからよく探して」
落花生を収穫する児童を、高校教師が指導。
大阪府立能勢高校の農場で、近くの東郷小学校の
児童約20人を招いた実習。
「見つけた!」。あちこちで歓声が上がる。
収穫後は、教室で落花生の原産地や名前の由来を学び、
取れたての落花生をゆでて食べた。

能勢高では、総合学科になった2004年度から、
町内の6小学校、2中学校と連携した一貫教育を始めた。
山あいにあり、人口減に直面している地域。
町の財産である子どもたちを、小中高で一緒に育てていくことが、
12年間の一貫教育の狙い。

小学校との交流は、農場を使った実習や出前授業など、
年間60回近く。
元々園芸科があったため、広い農場を持ち、
今も園芸系の科目を持つ。
「座学よりも、子どもたちも興味が持ちやすく、
特色ある交流がしやすい」
高田裕文校長(60)は、連携する上での総合学科の利点。

同校で、小中学生と一緒に授業を受ける公開授業も
「6種類のジャガイモにはどんな調理法があるか考えて」
「家庭総合」の授業では、指導役の女子高生がそう呼びかけ、
中学2年生26人と一緒に授業を行った。
中学生4人と高校生1人のグループに分かれ、
試食して感想を言い合いながら授業を進めた。
この日は、小学生とは農場で、中学生とは教室でと、
色々な科目で子どもたちが交流。

中学校とは、英数国の3教科でも週1時間、
教師を派遣し合っている。
多様な科目を持つ総合学科の特色を生かし、
様々な形で連携を深めている。

総合学科の特色ある科目を意識し、
選択教科を中学校で設ける所も。

総合学科の三重県立飯南高校と市内の3中学校は、
1999年度から、連携型中高一貫教育を進めている。
総合学科に、生徒が進路を考える「産業社会と人間」という科目。
中高のつなぎを深めるため、連携先の3中学校では、
「人間と社会」と名付けた選択教科を設け、3年間でキャリア教育。

中学校の一つ、飯高西中学校では、まず1年生で、
なりたい職業について調べ、2年生では、
自分の適性や職業について考え、3日間の職場体験。
3年生では、将来希望する職業の資格の取得方法などを調べ、
飯南高の授業を体験。

中高一貫といっても、3中学校から飯南高へ進むのは4割程度。
飯高西中の高橋光彦校長(58)は、
「自分の将来設計を、中学校という早い段階で行うことは意義のある」

多様な科目がある総合学科の特色は、
連携先の小中学校でも生かせるようだ。

◆連携型中高一貫教育

市町村立の中学校と都道府県立の高校のように、
異なる設置者の学校が連携した中高一貫教育。
設置者が、同じ併設型より一貫教育は緩やかで、
教員や生徒の授業交流などが中心。
中高一貫校(連携型、併設型、中等教育学校)は
全国で370校、総合学科高校の一貫教育は、
能勢、飯南を含め計11校。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091119-OYT8T00205.htm

特集 高齢化と歯の健康シンポジウム 歯の健康は体の健康

(2009年11月21日 毎日新聞社)

「高齢化と歯の健康シンポジウム」を開催
タレントの森脇健児氏、大阪歯科大学の岡崎定司教授、
歯科医師で大阪インプラント再生医療センター長の河村達也氏。
健康な歯の大切さや最新の歯科治療などについて話し合った。

◇定期的なメンテナンスを--河村達也氏

老化を遅らせ、老化による体の変化を補おうというのが、
抗加齢(アンチエイジング)の概念。
大切な歯を失ってしまえば、咀嚼、審美、発音障害が起こり、
生活の質の低下を招くことは明らか。
入れ歯やブリッジに代わる最新の補綴治療法である
インプラント治療についてお話ししたい。

最新のインプラント治療は、純チタン製の人工歯根を
あごの骨に埋め込む。
インプラントの上に、「アバットメント」という歯茎を貫通する
連結部を接続し、その上に人工歯をかぶせる。
本来の歯に近い形で、歯を再生する治療法。

インプラントは直接、あごの骨と接合するため、
入れ歯にみられる痛みや違和感がなく、
自分の歯と同じような感覚で使え、周りの歯を削る必要もない。
失われた部分だけを再生させるという点において、
まさしくアンチエイジング治療。

便利な面ばかりでもない。
インプラント治療は、体の中に金属製のネジを埋め込むという
「人工臓器移植」の分野に含まれる高度な医療技術。
最終的に、人工歯が最も理想的となるように
十分な術前診査を行い、慎重な外科手術を要する。
安全な施術のためには、経験豊富な専門医による治療、
専門設備の整った施設での受診、信頼できる
インプラントメーカーの材料・器具の使用が欠かせない。

インプラント治療の第1ステップは、術前診査。
従来の石こう模型やレントゲン診査に加え、
今ではCT(コンピューター断層撮影)による診査が重要。
CTのデータを利用し、三次元的な術前シミュレーションも可能。
インプラント治療の成否は、術前診査に基づく治療設計にかかる。
糖尿病、高血圧、肝機能障害など、
全身疾患の有無も重要なチェックポイント。

次のステップは、インプラントをあごの骨に埋め込む外科処置。
インプラントと骨がしっかり結合するのに、下あごで3カ月、
上あごで半年を要する。
骨の量が足りなくてインプラントをあきらめる人も少なくなかったが、
現在では特殊な方法で骨を再生させることも可能。

最後は人工歯の製作。
人工歯の取り付け方法には、ネジ固定方式とセメント固定方式があり、
メンテナンス性や長期にわたる骨の安定を考えると、
ネジ固定方式の方が有利。

インプラント治療で取り戻した歯を、ずっと長く使い続けるため、
定期的なメンテナンスが欠かせない。
自分の歯が歯周病になるように、インプラントも
インプラント周囲炎という病気に。
歯ぎしりのひどい人は、マウスピースの着用や
定期的なかみ合わせの調整が必要。

◇難点は「き・む・ず・か・し・い」--岡崎定司氏

現代人は、物をかまなくなった。
弥生人は1回の食事に53分間かけ、平均3990回かんでいた。
現代人の食事時間は11分、620回しかかまない。

かむことの効用は、食べ物を咀嚼し、唾液分泌を促し、
大脳に刺激を与え、血液循環を良くすること。
思考意欲と集中力が高まり、意識レベルが安定化。
3分間ガムをかみ続け、脳の血流量が10~20%アップした。

人間の歯の数は、50歳代から減り始め、
75歳以上では10本弱しか残らない。
20本近くが抜けてしまったことに。
欠損した歯を補うことを「補綴治療」。
治療方法は、
(1)クラウン・ブリッジ、
(2)義歯(入れ歯)、
(3)人工歯根を埋め込むインプラント、
に大別できるが、私の専門である入れ歯の話をしたい。

日本の入れ歯人口は3000万人。
入れ歯は1500年ごろ、日本で最初に作られた。
木彫りで、歯は大理石や貝殻、動物の歯、時には人間の歯を使った。

入れ歯の難点は、「きむずかしい」と例えられる。
▽気(き)持ち悪い
▽虫(むし)歯になる
▽ずれる
▽欠(か)ける
▽しっかり手入れが必要
▽痛(いた)い--である。

1本だけ歯が抜けた時、隣の歯が10年後まで“生存”している
確率を調べたところ、ブリッジにした場合は92%、
無処置でも81%残っていたが、入れ歯は56%と生存率が低い。
入れ歯を支える隣の歯は、どうしても弱くなりやすい。
歯が抜けると、歯の周囲の歯槽骨が吸収され、
入れ歯が徐々に合わなくなり、定期的な調整が必要。

入れ歯の不具合を放っておくと、咀嚼力が低下し、偏食を招き、
肩凝りや腰痛の原因。
毎日使用する道具の一つと考え、歯ブラシや義歯洗浄剤などを使い、
入れ歯を清潔に保つことも大切。

入れ歯が合わなくなったら放っておかず、調整や新調をすることで、
常に気持ちよく使える状態を維持すべき。

◇かかりつけ医を見つけて--森脇健児氏

全国47都道府県を走るバラエティー番組「走る男2」に出演。
収録のあるなしにかかわらず、毎日15-20キロ走っている。
今朝も、京都・嵐山を走ってきた。
走ると食事がおいしく感じられ、健康に。

食事を取ったり、スポーツで歯を食いしばったり。
歯の健康は、体の健康にもつながる。
健康はお金で買えない、かけがえのないものだと痛感。

走るきっかけとなったのは、TBS系で春秋に放映される
「オールスター感謝祭」への出演。
「赤坂5丁目ミニマラソン」という名物コーナーがあり、
03年秋に初めて参加。
TBS本社のある東京・赤坂を約4キロ走り、
心臓破りの坂も駆け上がらなくてはいけない。
初挑戦でいきなり優勝。
思わぬ賞金も得て、走る喜びを知った。

沿道には、男性アイドルを応援する女性の黄色い声が響くが、
僕にはない(笑い)。
ある年、「森脇さん、いったれや」と、どすの利いた声援を受けた。
丸刈りのごついおっちゃん軍団(笑い)。
慰問に訪れた刑務所から出所してきた人かな、と思い、うれしくなった。

僕は、昔から歯が悪かった。
疲れると歯痛になり、片頭痛を伴うことも。
「歯ぎしりが原因では?」と歯科医に指摘、
マウスピースを着けて寝るようになってから調子がよく、
今は片時も離すことができない。
歯の健康は、体全体の健康。
歯の健康を保つためには何でも相談でき、的確な治療、
アドバイスを受けられる、かかりつけの歯科医を持つことをお勧め。
………………………………………………………………………
◆パネルディスカッションから

--失った歯の数に適した治療法はあるか?

河村 ブリッジを入れる場合、前後に歯が残っていないと不可能。
入れ歯も、総入れ歯でない限り、バネをかける歯が残っていないと
装着できない。
インプラント治療は、失った歯の本数を選ばない。

--どのくらいのペースで定期健診を行えばよいか?

岡崎 歯石の除去なら、半年から1年に1回程度。
入れ歯でも同様に、歯茎との適合やかみ合わせのチェックを
定期的に受けるべき。

--睡眠中は入れ歯を外した方がいい?

岡崎 その人の環境にもよるが、きちんと洗浄する方が大切。

--インプラント治療の注意点は?

河村 治療の「安全性」と長期使用に耐える「安定性」が最も大事。
適切に行われたインプラント手術では96%程度の成功率が報告、
10年以上の使用も可能。
私が治療を始めた20年前に比べ、インプラント治療は著しく進歩、
その半面、治療内容も高度化し、トラブルも目立つ。
骨が少ないケースでは、専門医に相談することが大切。

--近くに専門医がいない時は?

河村 インプラントを専門的に取り扱っていない診療所でも、
専門医へCT撮影やインプラントの埋め込み手術、
骨造成などを依頼し、人工歯の作製を近隣の歯科医院で行う
「診診連携」も増えている。
まずは、かかりつけ歯科医に相談を。

--入れ歯に向いている人、インプラントに向いている人はどんな人?
インプラントは自費診療だが、保険診療が適用される見込みは?

河村 優劣ではなく、患者が何を望んでいるかの違い。
ゴールを入れ歯に置くなら、自分の歯を最後まで大事に使うべき。
ゴールをインプラント治療なら、骨がやせ過ぎてしまうまでに実施。
健康保険に関しては、残念ながら当面、適用される状況にない。

森脇 どちらにしても、納得いく治療を受けることが必要。
……………………………………………………………………
◇かわむら・たつや

1984年、岐阜歯科大学(現朝日大学歯学部)卒、
89年大阪歯科大学大学院修了。
93年、大阪市中央区高麗橋に河村歯科医院を開院、
99年、同院内に「大阪インプラント再生医療センター」を設立。
……………………………………………………………………
◇おかざき・じょうじ

1979年、大阪歯科大学卒、84年同大学院修了。
同助手、助教授、英ウェールズ大学歯学部客員上級研究員など、
08年、大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座教授。
…………………………………………………………………
◇もりわき・けんじ

1967年生まれ。高校3年の時にタレントデビュー。
「笑っていいとも」、「夢がMORIMORI」など多数出演。
現在、独立UHF局で「走る男2」が好調。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/24/111707/

RNA運搬の仕組み解明 保護され核から細胞質へ

(2009年11月27日 共同通信社)

「RNA干渉」と呼ばれる生命現象にかかわる遺伝子の断片が、
細胞内で運搬される仕組みを、
大阪大や兵庫県立大などのチームが解明、
27日付の米科学誌サイエンスに発表。

RNA干渉は、小さなRNA断片が、タンパク質をつくる
ほかの遺伝子の働きを制御する現象。
断片は、約700種類あるが、なかには発がんやC型肝炎ウイルスの
増殖に関係するものも見つかっている。

兵庫県立大の月原冨武特任教授は、
「さらに詳しい仕組みが分かれば、病気の新たな治療法に
つながる可能性がある」

チームは、細胞核でつくられたRNA断片が、2種類のタンパク質が
組み合わさった複合体に守られて細胞質に運ばれるのを確認。
RNAの一部は端から突き出して、ほかのRNA断片と
区別する目印になっていた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/27/112031/

2009年11月30日月曜日

総合学科高校(6)生徒減 普通科に改編へ

(読売 11月18日)

生徒減の悩みに直面した地方の総合学科には、
新たな道を選択したところもある。

「船の浸水が見つかった場合はどうする?」、
「近くにいる人を呼ぶ」。
小さな教室で、教師と生徒5人がそんな言葉を交わしながら、
和やかな雰囲気で授業。

瀬戸内海に浮かぶ広島県の離島、大崎上島。
県立大崎海星高校で、再任用の中村秀樹教諭(63)が、
3年の選択授業「船舶整備」で、
船の模型を使いながら整備方法などを教えていた。

全校生徒約90人、1学年1クラスと小さいが、
造船の科目を含む「工業」、「生活」、「情報ビジネス」、「人文理数」
の4系列の科目をそろえる総合学科の高校。
来年度から、総合学科の募集をやめ、新たに普通科を設置して
再スタートを切ることに。

島には元々、普通科高校と工業高校の2校。
少子化による生徒数の減少で、2校体制を維持するのが
難しくなっていた。
島内には造船所が多く、造船主体の伝統ある工業高校は残したい。
そこで選んだのが、双方の学校の科目をそろえた
総合学科高校という道。

1998年、2校を統合して始まった当初は、
1学年2クラスで6系列の科目をそろえた。
初めは、多様な科目を用意できたが、生徒数は徐々に減り、
それに合わせて教員の数も減少。
当然、多くの科目をそろえるのが難しくなり、
6年前からは4系列の科目に。

生徒が減った理由は、島の人口減とともに
島民の進学志向の強まりも。
「大学に進学するならと、島外の普通科に行ってしまう。
島の人たちも、普通科志向が強くなっている」と東内孝司校長(55)。

約10年前、島の3中学校の卒業生の6割が入学、今は4割程度。
進学対応の授業もあるが、やはり進学するならば普通科へ、
ということで、島外の高校に生徒が出ていってしまっている。

総合学科の最大の特色は多様性。
それが、生徒の減少で生かせなくなっていた。
県教委は今年7月、同校の総合学科の募集停止を決めた。
「1学年1クラスの規模では、多くの科目を開設するのは難しい。
今は、島外の普通科へ行ってしまっているので、
普通科になることで、地元の子どもたちがなるべく
地元に残ってくれれば」と県教委学校経営課。

現在の1、2年生は、卒業するまで総合学科で学ぶ。
唯一、造船を教えている中村教諭も、あと2年は教べんを執る。
普通科に変わっても、ある程度は今の科目を残して
学べるようにするつもりだが、伝統ある造船は教える教師が
いなくなるため、なくなる可能性が大きい。

生徒の減少や地元の進学志向の強まり。
地方の総合学科では、そんな悩みに直面している。 

◆学級数は平均14.8学級

国立教育政策研究所が2007年に実施した調査によると、
総合学科高校の学級数は「13~18学級」(38.3%)が最多、
「7~12学級」(34.5%)、「19~24学級」(20%)。
平均は14.8学級で、1学年5学級程度。
1学年2学級以下にあたる「6学級以下」は5.5%とわずか。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091118-OYT8T00204.htm

小国デンマークからの産業革命・下

(日経 2009-11-23)

「自転車に気をつけて!」——。
主要な道路に、車道と歩道の間に“自転車道”が設けられ、
多くの市民が通勤・通学の足に利用。
自転車が増えたのは、高い取得税がかけられた自動車が高根の花。

政策誘導で、ガソリンを大量消費するクルマ社会から転換を加速。
同時に、電気自動車を核に据えた次世代インフラ作りも。

世界最高とされるデンマークの自動車取得税。
ガソリン車の購入に、180%もの税金。
100万円の軽自動車でも、購入価格は280万円。
取得税が、ゼロになる車種がある。
ガソリンを使わない電気自動車。

デンマーク3位のレンタカーチェーン、SIXTはこの優遇を生かし、
本格的な電気自動車レンタルを始めた。
シトロエンの小型ガソリン車を購入、エンジンを取り出し、
蓄電池を組み入れるなどの改造をし、22台を集めた。
自動車本体9000ユーロに対し、改造費用は2万ユーロ。
年内には、100台近くに増やす。

電気自動車があっても、蓄電池の充電拠点がなければ動かない。
SIXTは自費で、空港や有名ホテル、市役所など10カ所近くに、
自社のロゴを記した充電ステーションを設けた。
初期投資は、車両代を含め総額300万ユーロ。
12月までにホテル60カ所、主要な駐車場200カ所に充電器を設置。

SIXTデンマークのオーナー、ヘンリック・イサクセン氏は、
「他社は、インフラができるのを待っている。
インフラを先に整備してしまえば、追随した他社から
『使用料』を受け取れる」と、インフラ整備の先手必勝を説く。

これだけの規模での電気自動車の商業利用は、世界でも例がない。
レンタル料は、ガソリン車より28%高いが、物珍しさもあり、
連日ほぼ電気自動車は出ずっぱり。

イサクセン代表は、企業向けの社用車として、
改造電気自動車をリースするビジネスも。
最初の2週間で、数百台の受注を達成。
2010年、少なくても1500台の受注を見込む。
自動車取得税のインセンティブが、「改造車」レベルでしか
製品供給体制が整っていない電気自動車の急速な利用拡大を呼ぶ。
「バルセロナ、ニューヨーク、ブエノスアイレスでもビジネスを始めたい」

コペンハーゲンでのモデルをひっさげ、イサクセン氏の目は海外にも。
電気自動車の利用が増えれば、電気の利用が増える。
必要な電気を、デンマークは風力発電など再生可能エネルギーで。

再生可能エネルギーと電気自動車——。
次世代の新たなインフラをつなぎ、効率よく運用する仕組み作りが、
1年半前からバルト海に浮かぶ孤島を舞台に模索。
バルト海に浮かぶボーンホルム島は、人口5万人弱の観光島。

強い風が安定して吹く地形を生かし、必要電力の33%を風力発電で。
スウェーデンと送電線でつながり、島内の電力需要より多く
風力発電した場合、これまで送電線を通じて国外に売っていた。
化石燃料の消費を減らせる自然エネルギーは、自国で使いたい。

電気自動車が搭載する蓄電池内に余った電気をため置き、
需給の調整に使おうとする構想が生まれた。
実験に使うため、11年までに島内で郵便配達車や
福祉サービス用車両として、50台の電気自動車を導入。

実験には、近代文明の礎を築いた発明王にあやかり、
「エジソンプロジェクト」
内容決定、参加企業集めなど主導するのは、
デンマーク工科大学のヤコブ・オスターガード教授と
デンマークエネルギー協会のラス・アガードCEO。
30~40代の若い2人の頭に、デンマーク国内の技術蓄積だけで、
次世代技術を作り出そうという発想は最初からない。

「参加する企業間で、得られた知見を自由に使える協定を結ぶ。
参加者全員に、共通の利益が行き渡る仕組みにすれば、
小国の実験でも技術を持つ企業をひき付け、
最新技術の提供も受けられる」(オスターガード教授)。

デンマークの呼びかけに、米IBM、独シーメンスなど
世界的な大手企業が手を挙げ、国内企業と一緒に要素技術を提供。
実験参加者間で知見は共有されるが、外部には非公開。
外国技術も融合したメード・イン・ダニッシュの標準規格を作り、
次世代送電網作りで国の競争力につなげたい。

アガード氏は、日本企業にも期待。
「欧州では、日本企業はモノを売ることに熱心だが、
新技術を開発するためのオープンイノベーションに、
もっと興味を持ってほしい」。

電気自動車の製造、販売を始めた三菱自動車の参加を
呼びかけていた。
デンマーク大使館の中島健祐氏は、「北欧デザインだけでなく、
先進技術の発信拠点としてのデンマークを、
もっと日本企業に知ってもらいたい」

日本で「これから」とされる動きが、現実に進むデンマーク。
低炭素化を発端とする「21世紀の産業革命」は、
もう始まっているのかも知れない。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan091120.html

脳内の情報伝達速度左右、通り道の太さを制御するたんぱく質発見 京大

(2009年11月23日 毎日新聞社)

京都大の西英一郎准教授(循環器内科学)と
大学院生の大野美紀子さんのグループが、
マウス実験で、神経細胞から伸びる「情報の通り道」の太さを
コントロールするたんぱく質を見つけた。

これを欠損させると通り道が細くなり、認知症の初期に似た
短期的記憶の低下が見られた。
認知症の治療法開発の手がかりになることが期待、
23日の米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス(電子版)に掲載。

神経細胞からの情報の通り道は、「軸索」と呼ばれる長い突起と
その表面を覆う「髄鞘」という絶縁体から成り、
神経細胞同士を結んでいる。
太いほど情報伝達が速いとされる。

グループは以前から、神経細胞に多く見られるたんぱく質
「ナルディライジン」を研究。
このたんぱく質を欠損させたマウスの特徴を調べ、
軸索が細くなり、髄鞘も薄くなることを突き止めた。

ナルディライジンのないマウスが、餌の場所をどの程度
記憶しているか実験。
その結果、長期的記憶力は正常なマウスと変わらないのに、
短期的記憶力は落ちることが確認。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/24/111730/

2009年11月29日日曜日

水と緑の地球環境:来年6月、秋田で植樹祭 林野庁、宮脇方式を導入へ

(毎日 11月10日)

毎日新聞社の植樹キャンペーンを指導する
宮脇昭・横浜国大名誉教授(植物生態学)の植樹方法に、
林野庁は森づくりの手法の一つとして導入。

来年6月、秋田県鹿角市の国有林で、宮脇方式による市民参加の
植樹を始め、生態系を保全する多様性重視の森づくりを展開。

宮脇方式の植樹方法は、市民の参加を募り、
土地本来のさまざまな樹種を混ぜ合わせ、密植するのが特徴。
樹木の競り合い効果で、通常よりも早期に森が形成。

宮脇氏は、地盤を根で押さえ生態系もはぐくむ
「防災環境保全林」づくりを呼びかけ。
林業衰退などを背景に、林野庁は、木材生産から崩落防止や
水源かん養など、森林の公益的機能重視に方針を転換。

宮脇氏が指導した植樹地を複数個所視察し、
今年6月、呉市の国有林で全国の森林管理局職員を対象に
モデル植樹を実施。

森づくりの成功例を踏まえ、今後は、
(1)災害跡地など、早期の森林再生が求められる傾斜地、
(2)国民に森づくりの重要性を広める目的から、
市民参加による植樹祭に適している平たん地
で、宮脇方式も採用。

来年6月の植樹祭は、鹿角市の熊沢国有林で開催。
ブナ林だった斜面で97年5月、大規模地滑りが発生、
当時の澄川温泉の旅館が流された。
復旧工事で、6ヘクタールの平たん地を囲む斜面を含め、
計7ヘクタールの植樹可能な場所が生まれた。
来年は、平たん地の3ヘクタールで植樹祭を実施。
数年かけて植栽し、ブナ林をよみがえらせる。

昨年、宮脇氏の講演会に出席した農水省の舟山康江政務官は、
国有林内で郷土樹種を用いた市民参加による植樹は、
国民財産の森林を守り育てる意識を(参加者に)共有する
いい機会で、自然や環境、農林水産業にも目を向けてもらう」

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/11/10/20091110ddm012040163000c.html

消化器がん、血中遺伝子変化で判別…世界初

(読売 11月20日)

金沢大学医学類の金子周一教授らの研究グループは、
消化器がんの有無を、血中の遺伝子の変化で判別する
技術開発に世界で初めて成功。

胃、大腸、膵臓がんのいずれかの有無を9割の精度で
判別できたといい、消化器がんの早期発見、治療が期待。

金子教授らは、消化器がんが発生した場合にだけ
働きが変化する約1800の遺伝子群が、
血球中に存在することを発見。
血液2・5ミリ・リットルを使い、特に変化の大きい
約800の遺伝子群を解析。

がん患者53人の症例検査では、がんと関連した物質の
血中濃度を調べる腫瘍マーカーでは、27%だった判別率が、
遺伝子解析では91%の精度で、三つのがんの有無が判定。

腫瘍マーカーでは、正常と診断された初期(1a期)の
胃がん患者の判別にも成功。

がんの種類も、約7割の精度で識別でき、難しいとされる
膵臓がんの早期発見にも期待。
金沢大は、自前の発明を事業化する学内ベンチャー
「キュービクス」と特許許諾契約を結び、
この検査法は早ければ来年末にも、医療現場に導入。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091120-OYT1T00092.htm

服薬ほとんど影響なし 母乳を知る:下

(2009年11月20日 毎日新聞社)

静岡県に住み、2児を育てる主婦(29)は、
風邪をひいて近所のかかりつけの内科医を受診。
生後5カ月の長女に授乳中であることを告げると、
医師に、「薬は飲んでもいいけど、おっぱいはやめてください」

長女は完全母乳で育てていて、離乳食も始めていなかった。
「38度の発熱があり、早く治したいけれど、
おっぱいは簡単にはやめたくない。困りました」
悩んだあげく、出産した産科医院に電話で相談。
薬の名前を伝えて調べてもらうと、
赤ちゃんに問題のない薬だと分かった。
授乳しながら、処方された4日分をすべて服用し順調に回復。

長男(3)の授乳中も、似たような経験が何度かあった。
主婦は、「授乳中と言うと、医師に嫌な顔をされたり、
やめるよう遠回しに促されることもあった」

授乳育児中の急な病気やけが、歯の治療や既往症で、
薬の服用が必要になったとき、悩む母親は多い。
薬の添付文書で、授乳中は投与を避けるか、
授乳を中止するよう書いてあることが多く、
医師に授乳をやめるよう勧められることも。

石井第一産科婦人科クリニック(浜松市)の石井広重院長は、
「確かに、母親が飲んだほとんどの薬は母乳に移行するが、
微々たる量で赤ちゃんに影響しないことがほとんど。
母乳を中止する不利益の方が大きい

母乳は、乳房にある乳腺で、母親の血液から作られる。
母親が薬を飲むと、その成分が血液に乗って乳腺に届く。
原則的に、母乳に分泌される薬は、母親が飲んだ量の1%以下。
一般的に、母親が飲んだ量の10%以下なら、
乳児には安全と考えられている。
石井さんは、「母親に処方されるほとんどの薬は、
赤ちゃんが病気になったときにも使われる。
赤ちゃんへの処方量より、母乳への分泌量は格段に少ない」

抗がん剤や代謝拮抗薬、放射性医薬品など、
蓄積性があったり、毒性が強いなどの理由で、
授乳中に服用してはいけない薬もわずかにある。
半減期が短い診断用薬剤など、一時的に授乳を中断し、
その後再開できるものも。

近年の研究で、母乳は優れた免疫成分と個々の赤ちゃんに
最適の栄養を含み、母子間の愛情をはぐくむうえでも
重要な役割を果たす。
乳がん、子宮体がん、卵巣がんの罹患率が低下するなど、
母親にとっても多くのメリットがある。
授乳を急にやめると、母親の胸が張って乳腺炎につながることも。

石井さんは、「医師は、薬をやめるデメリットを理解していても、
授乳をやめるデメリットは理解していないことが多い


実際の症例では、個々の症状や体質によって、判断が異なる。
医師に相談するとき、「母乳を続けたい」という希望をはっきりと
伝えることや、母乳育児に理解のある医師を選ぶことも大切。

世界保健機関(WHO)とユニセフは、
母子同室など母乳育児の環境を整えた産科施設を
「赤ちゃんにやさしい病院(BFH)」として認定、
「日本母乳の会」が、国内のBFH61施設をホームページ
http://www.bonyuweb.com/)で紹介。

石井さんは、妊娠中と授乳中それぞれの薬の使い方について、
国内外の文献やデータベースを調べた内容を小冊子に。
クリニックで出産した母親に渡し、薬が必要なとき
主治医に見せるよう勧めている。
1冊200円。問い合わせは同クリニック(電話053・586・6166)。

国立成育医療センター内の「妊娠と薬情報センター」
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html)に、
「授乳と薬について」のコーナーを設け、授乳中でも通常安心して
服用できる薬と使用できない薬の代表例を一覧で紹介。
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◆授乳中に使用してはいけない薬剤の代表例(抗がん剤を除く)

アミオダロン    強心薬、抗不整脈薬、抗狭心症薬(アンカロン)
エルゴタミン    片頭痛治療薬(カフェルゴット)
ダナゾール    排卵誘発薬、子宮内膜症治療薬など(ボンゾール)
ダントロレン    抗めまい薬、筋緊張緩和薬など(ダントリウム)
ネビラピン     抗ウイルス薬(ビラミューン)
バルガンシクロビル 抗ウイルス薬(バリキサ)
ミコフェノール酸  抗リウマチ薬、免疫
モフェチル     抑制薬(セルセプト)
メトロニダゾール 抗真菌薬、抗原虫薬、駆虫薬(フラジール)
モルヒネ(同)   麻薬
ラミブジン     抗ウイルス薬(エピビル)
 ※国立成育医療センター「妊娠と薬情報センター」ホームページより抜粋

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/20/111607/