2009年11月14日土曜日

挑戦のとき/17 東北大サイクロトロン核医学研究部・田代学さん

(毎日 11月3日)

◇心身の動きを画像に--
東北大サイクロトロン核医学研究部准教授・田代学さん(42)

がん検診の予約時間に間に合うよう、あわてて走って来た人を
陽電子断層撮影装置(PET)で写したら、
全身ががんのように光って写ってしまった。

普通なら単なる失敗談だが、田代さんは「これは使える」と直感。
運動により、全身の筋肉や脳のどの部分が活発に動くかを、
PETで調べる新しい研究分野を、90年代から開拓、
独創的として注目。

PETを使った測定法はまず、微量の放射線を出す薬剤を注射。
活動の活発な細胞には、多くの薬剤が取り込まれ、
そこから出る放射線を検出して体内分布図を作る。
注射後に普通に運動し、運動中活発だった部分を
後で測定することが可能。

この方法により、ランニング中、脳の中で最も活発に
動いているのは、筋肉などの運動をつかさどる部分ではなく、
視覚を扱う後頭部と、感覚情報を統合する頭頂部だと分かった。
認知症では、逆に活動量が減る部分。

従来は、脳波計など多数の電線を付け、
動くベルトの上を走る測定方法しかなく、
これでは景色が変わらない。
「本当のランニング中の脳は、実は見えていなかった」

ランニングと自転車では、鍛えられる筋肉がまったく異なること、
ゴルフのうまい人と初心者は使う筋肉が違うことも、
くっきりと浮かび上がった。

応用範囲は極めて広い。
不安や抑うつが強いがん患者ほど、意思や思考をつかさどる
脳の前頭葉などの活動が低下していることを解明。
「心のケアに生かしたい」

市販のかぜ薬や花粉症治療薬を飲んで車を運転すると、
通常なら活発になるはずの脳の視覚野の活動が大きく低下し、
眠気がなくても蛇行運転が増えるという危険性も。
認知症患者の脳に蓄積する異常なたんぱく質を調べ、
早期診断や予防、将来の発症予測の研究にも手を広げている。

小学生のころ、「大の観察好き」で、食虫植物の葉が閉じる
速さを測ったり、あおむけにされたコメツキムシが
元の姿勢に戻るため跳びはねる方向が、
「図鑑の絵は、本物と逆だ」と出版社に手紙を送ったことも。

研究者だった友人の親の影響で、医学部へ進学し、
心を含む人の全体像が見たいと、
心療内科や代替医療まで手当たり次第に学んだ。
登場したてのPETを、大学5年の授業で知り、
新しい視野を開く道具に心が躍った。

PETは、国内約200施設でがんの早期発見などに使われている。
健康な人の測定は放射線被ばくの課題もあるが、
「普段の生活のままの身体や脳、心の動きを詳細に調べ、
医療に生かしたい」
==============
◇たしろ・まなぶ

長野県松本市出身。信州大医学部卒業。
独留学を経て東北大大学院修了。07年から現職。

http://mainichi.jp/select/science/rikei/news/20091103ddm016040121000c.html

いまこそ、基本法論議を・・・東京オリンピック招致のレガシーとして

(sfen 11月11日)

東京オリンピック招致がきっかけとなり、
スポーツ基本法、スポーツ庁設置の必要性が再度高まりつつある。
スポーツ政策に詳しい佐野 慎輔氏(産経新聞社)に、
1961年に制定されたスポーツ振興法から、
2009年に廃案となったスポーツ基本法案まで、
わが国のスポーツ政策の歩みと今後の方向性を説く。

東京の2016年オリンピック招致が残念な結果に終わった後、
活動の先頭に立った河野一郎招致委員会事務総長は、
「われわれの招致活動は確かに敗れてしまったが、
レガシー(遺産)として、必ず後世に伝えられていくと信じている

東京の蹉跌については、きちんと分析されるべき。
国際的な戦略不足、ロビー活動など外交力不足、
国民の支持率の低さなど、いろいろ指摘。

支持率の低さなどは問題にならない。
国際オリンピック委員会(IOC)委員は、
「オリンピック開催が決まれば、どんな都市でも盛り上がる」
2012年夏季大会ロンドンの支持率は、立候補5都市中最下位、
2014年冬季大会のソチも、ライバル平昌には遠く及ばない。

支持率の背後にあるスポーツ土壌やスポーツ政策について、
国際戦略も含めて、きちんと検証されなければならない。
河野さんのいうレガシーの伝播は、検証後に始まる。

東京が敗れたのは、スポーツ政策に不備があったからだと、
再度「スポーツ基本法」制定、「スポーツ庁」の設置の必要性を
求める声が上がり始めた。
これらもまた、招致のレガシーだ。

日本のスポーツ政策は、1961年に制定された
「スポーツ振興法」を基本に実施。
振興法は、1964年東京オリンピックを控え、
根拠法令としての側面を持ち、スポーツの定義に始まって
行政計画の策定、施設整備、指導者要請、国民体育大会開催、
研究の促進、補助金など全23条。

スポーツ振興のための基本的な考えを定められているが、
プロスポーツや財源確保の問題などへの言及はなく、
訓示的な性格が強い。

行政計画の要諦である政府の「スポーツ振興基本計画」が、
2000年まで策定されず、スポーツの果たす役割や機能が
複雑化している状況やスポーツを通した国際社会への参画など、
今日的なニーズにはもはや対応しきれない。

2007年、「国のスポーツ振興策のあり方」を問う声が、
自民党を中心にあがり、スポーツ振興法改訂が取りざたされた。
2008年、自民党政務調査会スポーツ立国調査会は、
「『スポーツ立国』ニッポンを目指して~国家戦略としてのスポーツ~」
と題した中間報告。

戦略1・競技力の向上に国を挙げて取り組む、
戦略2・国際競技大会の招致に国として積極的に取り組む、
戦略3・地域のスポーツ環境の整備を支援する、
との3つの柱とともに、
「新スポーツ法の制定」、
「スポーツ省(庁)の設置とスポーツ振興組織の整備」、
「スポーツ予算の拡充」
といった取り組みが示された。
スポーツ界からみれば、諸手をあげて賛成する内容。

超党派議員連盟の命をうけたアドバイザリー・ボードが、
2008年4月から活動。
新スポーツ法は振興法の改訂ではなく、根本理念をうたう
「スポーツ基本法」制定をめざし、2009年4月に答申を提出。
この答申も、自民党案に近いもの。

「スポーツ基本法案」がまとめられ、国会に提出されたが、
民主党との意見の差異から、自民党単独の議員立法として
7月に国会に提出。
法案は、衆議院解散によって廃案に追い込まれた。

廃案を残念がる声はあった。
振り返って考えれば、スポーツ界にとっては、
結果的に良かったのではないか。

議員立法国会提出にあたり、文部科学省の官僚が作成した
基本法案は、基本的には振興法を踏襲したもの。
プロスポーツの項目は加わったが、相変わらず学校教育に主眼、
オリンピックよりも国民体育大会重視、
体育指導委員にひとつ条文が割かれているのも特徴的。
文部科学省の意思を反映しやすい形の法案に。

スポーツ省(庁)設置については、法案には盛り込まれず、
附則として、「政府の行政改革の基本方針との整合性に配慮して
検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」との文言。

スポーツ関連予算をもち、実際に政策を実施している官庁は、
文部科学省以外に、健康に関わる厚生労働省、
施設建設の国土交通省や環境省、総務省、金融庁など多岐に。
それぞれが独自にスポーツ施策を行う縦割りが、
日本のスポーツ政策をわかりにくく、統合性を欠く一因。

スポーツ省(庁)には、縦割り行政に横串を刺すねらい。
各省庁の省益を妨げ、スポーツ所管官庁としての
文部科学省の省益を損ねることへの抵抗は大きい。
答申など参考意見を、換骨奪胎した法案につながった。

廃案は、官僚たちの手から、再び国民の視線による
スポーツ環境整備を行ういい転機と考えるべき。

国家戦略としてのスポーツ振興を掲げる自民党と、
政権を奪取した民主党との政策の差を指摘し、
基本法制定などの困難さを説く声が。

民主党は、マニフェストではないが、文部科学政策に
地域スポーツ振興、地域のスポーツ基盤整備を重視する
内容を盛り込んだ。
そこが両党の違いで、トップアスリート育成強化など
「トップダウン型」の自民、民主は「ボトムアップ型」に主眼。

両者は、スポーツ振興になくてはならない概念には違いない。
スポーツ省(庁)設置に対し、両党ともに
スポーツ政策の基本となる基本法制定では一致。
スポーツ基本法案再提出への環境は、悪くはない。

スポーツの持つ「する」、「みる」、「支える」、「学ぶ」、「競う」、
「育てる」、「交わる」といった要素を育てていくため、
どんなスポーツ政策が必要なのか。
東京招致の余韻が残るいまこそ、
国民のスポーツ権を重視した議論が望まれる。

体力つくり関係予算(当初予算ベース)(千円、2005年度)
文部科学省   52,241,138
厚生労働省   37,910,327
社会保険庁   51,007,174
農林水産省    7,725,622
経済産業省    11,450
国土交通省  107,608,800
環境省      12,597,166
合計       269,101,677
笹川スポーツ財団「スポーツ白書」(2006)より作成

http://www.ssf.or.jp/sfen/special_contents1.html

「人生後半の50年」を健康に 英大学がプロジェクト

(CNN 10月25日)

医学の進歩や食生活の改善によって寿命が延び、
人生100年時代の到来も予測、
加齢にともなう健康上のさまざまな問題に対処し、
「後半50年」を元気に過ごすための研究プロジェクトが、
このほど英国で発進。

リーズ大を中心に医学、工学、化学、物理学など
幅広い分野の専門家が参加し、
病院や企業なども巻き込んだ大規模な研究。

英医学誌ランセットに発表された最近の研究報告によると、
先進国で現在生まれている赤ちゃんの半数は、
将来100歳まで生きると推定。
加齢による体の衰えが止まるわけではない。
結果として、関節や心臓などに慢性的な症状を抱える人は、
今後さらに増える。

50歳以降の50年間を、それまでの50年間と同じくらい
健康に快適に、活動的に過ごすこと。
これがわれわれのテーマだ」
チームを率いるジョン・フィッシャー教授。
教授の専門分野は、人工関節と再生医療。
この2分野が、新たなプロジェクトの柱となる。
プロジェクトの予算は総額73億ドルに上る。

「技術の進歩によって、驚くべきことが可能に。
不調を来した部分の代わりに新たな組織を作ったり、
半永久的に使える人工関節を開発したりする研究も盛んだ」

進行性の病気の早期発見、早期治療を目的に、
血液中の抗体やタンパク質を検知する
生体センサーの開発にも取り組んでいる。

同大の発表によれば、プロジェクトの第一段階として、
今後5年間で次世代の人工関節など10種類を新たに開発、
これらの成果が現場で実用化されるまでの期間を
半減させることを目指す。

http://www.cnn.co.jp/fringe/CNN200910250013.html

企画書作成のコツ 2本柱は「説得力」と「共感力」

(日経 11月5日)

新製品やサービスの提案に不可欠な「企画書」。
社内外でのプレゼンテーションのため、作成する機会は多い。
内容が散漫になったり、マンネリに陥ったりするなど、
悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくない。
ヒット商品を世に送り出した開発者の経験談をもとに、
成果を生む企画書を作るためのコツやヒントを探った。

◆データ具体的に

「売れるはずだと思い込ませることが、何よりも必要」
三菱電機ホーム機器で、調理技術部長と開発部長を兼務する
長田正史さん(53)は、企画書の役割について。

長田さんらが中心に、2006年市場に投入した炊飯器「本炭釜」。
店頭実勢販売価格が10万円前後、炊飯器では高額ながら、
安定して売れ続けている。
長田さんは、それまでに培ってきたノウハウを企画書につぎ込んだ。

社内会議に使った「IH炭釜炊飯」と題した資料は、全部で8ページ。
最初のページこそ「狙い」、「開発内容」などを列挙した
一般的な内容だが、その先はかなり特徴的。

文字による説明をできるだけ省き、実験の結果を示す写真やグラフを
ふんだんに盛り込んだ。
生データを具体的に示し、「説得力」を高める効果を狙った。

白物家電は、市場も成熟し、新たなアイデアが出にくい。
日々の小さな観察の中からヒントを探し、
「自分の手で効果を確かめてみて、示すしかない」

本炭釜の商品化を提案するため、自宅で実験を行った。
炭片を釜の中に入れて米を炊くと、理想的な状態で沸騰することを
突き止め、その状態をデジタルカメラで撮影。

企画書に欠かせないのは、説得力だけではない。
生産やマーケティング、営業など様々な部門の関係者を
巻き込んで、その気にさせる「共感力」も求められる。

06年の発売以来、累積販売台数が40万個を突破、
貯金箱としては異例のヒット商品となった「人生銀行」。
この商品の企画書を作ったのが、
タカラトミー新規事業本部の遠藤千咲さん(26)。

プレゼン用ソフトで作成した企画書には、写真やイラスト、
動画を駆使、見る人を飽きさせない工夫を凝らした。

人生銀行には、液晶画面が付いている。
キャラクターが、硬貨を入れるたびに徐々に成長していく仕組み。
遠藤さんは、美大出身でイラストが得意という特長を生かし、
自らキャラクターのイメージ図を描いた。

◆「アンテナ」張る

イメージを知人に伝え、「見るからに貧しそうな格好をした青年」と
「葉巻をくゆらせる成功を収めた青年」の写真を用意。
企画書では、この写真を盛り込んで、
人生銀行のユニークさをアピールし、社内の共感を得た。

遠藤さんは、「具体的なイメージを持ってもらうことと、
何よりも面白がってもらうことを意識した」
この時のプレゼンテーションは、社内研修の一環だったが、
その場で商品化が決まり、売れ続けるロングセラー商品に。

長田さんと遠藤さんに共通するのは、
新商品のヒントになりそうなできごとへのアンテナを張り、
その成果を企画書に反映させている点。

長田さんは、常にデジタルカメラを携帯し、飲食店などで
参考になりそうな事例を撮影。
本炭釜では、飲食店で炭釜を使って炊いた米飯の写真を撮影、
企画書の最後のページに載せた。

遠藤さんも、スケッチブックを持ち歩き、新たなアイデアなどを
思い浮かぶと、イラストや文字で書き記している。
社内で関係者に見せて、即席の企画書に仕上げることも。
「興味をもってもらえれば、次につながることもある」(遠藤さん)。
優れた企画書は、日々の努力のたまものと言えそう。

◆デザインライターの道添氏の話
「詰め込みすぎには注意」

多くの企画書を見ていて気付くのは、
少ないスペースにあれこれ入れてしまう「詰め込みすぎ」。
文章を短くしたり、3、4行ごとに1行程度の空白を入れたりする、
といった工夫を。
経緯が分からない人が見ることを念頭に置き、
読み手の立場になって考えることが大切。

ムダな図やイラスト、写真が多いことも理解を妨げる要因。
色の多用やグラデーションなど、機能を多様しすぎるのも目障り。
パソコン機能向上のため、加工を簡単にできるが、
シンプルであればそれだけ、内容を訴えかける力が強くなる。

内容を磨くことが前提だが、見た目も重要。
作成能力を高めるには、いい企画書を作っている先輩のまねも。
優れたデザインの雑誌や広告も参考。
物まねで終わるのではなく、自分なりの「型」を作っていけば、
プレゼンテーションを成功に導く企画書を作りやすくなる。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz091105.html

2009年11月13日金曜日

新しい波/323 ラグビーの五輪復帰/4止

(毎日 11月7日)

全国高校大会で2回優勝の東海大仰星(大阪)は、
7人制にも力を入れる。
同校からは、7人制日本代表に大畑大介、
正面健司(ともに神戸製鋼)らを輩出。
土井崇司監督は、「正面から、
『仰星で習った7人制の理論が役立った』と言われたことがある」

今の高校生は2016、20年五輪で中核の世代、
7、11年後を現実的にとらえるのは難しい。
仰星にも高校日本代表候補、17歳以下日本代表がいるが、
「チャンスがあれば五輪に行きたい」、
「五輪はピンとこない」と本音はさまざま。

土井監督は、高校世代の7人制強化について、
「日程の整理が必要」と指摘。

全国高校大会前後に新人大会、4月に全国選抜大会、
5、6月に地区大会などがあり、夏は冬の花園予選の
土台固めと、15人制の日程が目白押し。
都道府県、地区で日程が異なるため、
合同強化の期間が限られる。

日本協会、全国高体連ラグビー専門部は、日程の再編成など、
五輪に向けた高校生の強化策を練っている。

今月下旬、7人制で将来有望な全国の中高生を集めた
合同練習と、才能の発掘を始める。
現在15人制の国体(少年)の7人制化、4月に東京で行われる
7人制大会「ジャパンセブンズ」の規模拡大などの案も。
12月に意見集約、来春に答申を出す予定。

7人制は、部員不足の高校にとって新たな目標となる可能性も。
全国高体連の登録人数は、91年度の5万7826人をピークに、
08年度は2万9527人まで減少。
全国高校大会の予選に参加した合同チームは、
全国で76チーム、237校(08年度)。

北野高(大阪)は、橋下徹・大阪府知事が所属した
87年度に花園に出場したが、現在は部員が5人。
佐藤隆夫監督は、「7人制なら、参加の可能性が広がる。
合同の名でなく、北野の名でできるのは喜ばしい」

高校年代でいかに五輪を意識させ、
7人制の普及、強化を進めていくか。
日本協会の岩渕健輔・ハイパフォーマンスマネジャーは、
「7人制をプレーできる大会を作る方向で考えたい」

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20091107ddm035050052000c.html

緑の街へ高い関心 盛岡市・市民意識調査

(岩手日報 11月9日)

盛岡市民は、緑化や地域の公園・緑地について
高い関心を持っていることが、同市が実施した
第18回市民意識調査で明らかに。

市街地の緑化について、「公園・街路樹などの整備・緑化」に
重点を置くべきだと考える市民が72・9%、
緑化推進や維持管理などで、
「企画段階から、市民と企業が参加して進めていくべき」と
答えた市民も36・9%。
市民の高い緑化意識を、市が今後まちづくりの施策に
どう反映させるか課題。

同調査では、市街地の緑化の重点について、
「公園・街路樹などの整備・緑化」の72・9%が群を抜き、
「河川敷や堤防などの緑化」42・6%。
「商店街等のハンギングバスケットなどによる緑化」は12・3%。

緑化の推進や公園・緑地などの維持管理について、
「企画にも市民と企業の参加を求めて進めていく」との回答が
最も多く36・9%。
「市民と企業が主体となって企画し、行政が実行の支援を行う」の
19・8%と合わせ、市民の半数以上が地域の緑化や公園の
維持管理に参画しようという積極的な意欲。

市は今春、同市内丸の歴史文化施設整備に伴い、
ヒマラヤシーダなどの樹木の伐採を突然発表。
伐採の是非などをめぐり、緑化事業に伴う市民参画の在り方に
ついても、市民の議論を呼んだ。

岩手大農学部の広田純一教授(地域計画)は、
「企画から参加したい、という市民の意欲の高さに驚いた。
花や緑に対しての関心も高い。
今後、市民が具体的に参加できるような機会を
どのようにつくるかが、課題になるだろう」
 
【18回盛岡市市民意識調査】
7月9~24日、20歳以上の市民4745人に郵送で実施。
有効回収数は2418人。
調査は、複数回答を含む選択式のアンケートで、
訪問販売等による勧誘、環境意識、地域の緑など、
選挙、電子市役所―の5テーマについて計30問を質問。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091109_1

最も重要な科学発明に「レントゲン」 英科学博物館で投票

(CNN 11月5日)

英国ロンドンの科学博物館が、創立100周年を記念、
重要な科学発明に関する投票を実施。
約5万人の人々が重要だと感じて投票したのは、
エックス線を利用して体の内部などを調べることができる
「レントゲン」だった。

科学博物館は科学史上、重要な発明10点を選んで、
来館者やオンラインで投票を呼び掛けていた。

「レントゲン」は、1895年にエックス線を発見した物理学者
レントゲンにちなんで名付けられたエックス線撮影装置。
レントゲン博士は、エックス線の発見により、
1901年にノーベル物理学賞を受賞。

レントゲン機器により、医師は患者の骨の状態などを
外から確認できるようになった。
非破壊検査機として、医療のほか空港の手荷物検査など、
様々な場面で利用。
全投票のうち、約5分の1に相当する最多9581票を集めた。

次点は、世界初の抗生物質「ペニシリン」の発見、
その次にDNAの二重らせん構造の解明が続いた。

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200911050020.html

ペトロブラスのガブリエリCEO「日本でバイオ燃料事業拡大」

(日経 11月3日)

ブラジル国営石油会社、ペトロブラスの
ジョゼ・セルジオ・ガブリエリ最高経営責任者(CEO)は、
日本でバイオ燃料事業を拡大していく方針を明らかに。
油田開発関連などブラジルでの事業で、
日本企業に協力を求めていく考え。

——地球温暖化問題の解決に向け、
石油を代替する新エネルギーに注目。

「当社は、ブラジルの大規模深海油田『プレサル』の開発で、
石油埋蔵量を倍増させ、石油の供給者として
世界的な地位を高める。
一方、環境に優しいバイオ燃料の生産も拡大。
ブラジルの自動車用燃料は、ガソリンより
バイオエタノールの方が多い。
人類最大の課題である環境問題にも対応し、
世界のエネルギー市場で新たな役割を担っていく」

——燃料を使わない電気自動車の普及が始まったが、
バイオ燃料の需要は伸び続けるのか?

電気自動車の普及は、バイオ燃料の市場拡大を抑制しない。
EVには、価格の高さやバッテリーの性能など、
解決に時間がかかる課題が多い。
既存のエンジンの変更が不要で、燃料を効率的に使える
バイオエタノールの成長が先行する」

——バイオ燃料の日本での事業展開は?

企業の成長には、国際展開が重要で、
日本でも存在感を高めたい。
日本へ最もバイオエタノールを輸出しているのはブラジル。
原料供給に加え、川崎市の給油所では当社のエタノールを
混合したバイオガソリンの販売も始めた。
首都圏を中心に、販売拠点を増やしていく」

——2008年に買収した沖縄県に製油所を持つ南西石油
どう活用していくか?

「当時は、設備の高度化に1000億円規模の投資を計画、
これは考え直さざるを得ない。
石油製品の利幅が縮小するなど、事業環境が様変わりした。
今後、日本で新たに製油所の売却案件が出てくるとしても、
さらに買収をするつもりはない」

アジア全体を視野に入れれば、日本が地理的に重要
という考えは変わっていない。
沖縄の製油所は、アジア全域への製品輸出や
ブラジルの原油やエタノールを使ったバイオ燃料の生産などの
形で活用し、世界で事業を展開するためのハブ(中核拠点)
として付加価値を高めていく」

——本業の石油事業の方向性は?

バイオ燃料の市場が拡大する一方、
石油も重要なエネルギー源でありつづける。
当社は、世界経済が低迷している中、
2013年まで石油事業に約1700億ドルもの資金を投じる」

「ブラジルの深海油田の開発が進めば、当社の石油埋蔵量は
300億バレルと倍増する。
巨大な埋蔵量を生かすには、設備をタイミングよく建設し、
確実に生産に結びつけていけるかが課題。
ブラジルの油田開発は、ペトロブラスが中心、
海外企業の協力も欠かせない」

——どんな分野で協力を求めるか?

油田開発には、掘削装置やガソリンなどの生産設備、
輸送用のパイプラインなど多くの関連事業がある。
当社は、歴史的に日本の石油会社や商社、
エンジニアリング会社、金融機関と親密な関係を築いてきた。
今後も、資材を提供する企業などにブラジルに進出し、
現地生産の形で協力してほしい」

——油田開発以外での連携はどうか?

新分野の技術開発で、関係を探めていきたい。
サッポロビールとは、サトウキビの搾りかすなどを再利用し、
水素ガスを作る技術を研究。
サトウキビ由来に替わる次世代のバイオ燃料の実用化には、
時間がかかるが、将来への準備は必要」

バイオエタノールを、火力発電の燃料に使う研究も始めている。
結果が出てくれば、交流協定を結んでいる東京電力との協力も。
バイオ原料から、航空機燃料やプラスチックを生産する構想も。
成長力の持続には、海外の企業や研究機関とパートナーシップを
組み、次の10年に向けた技術革新を進めることも重要」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091102.html

2009年11月12日木曜日

新しい波/322 ラグビーの五輪復帰/3

(毎日 10月31日)

「友達はすり傷を見ると、『痛そうだね』って言う。
でも、仲間意識も高くて楽しい」
女子15人制の日本代表候補合宿で、
最年少のSH井上愛美(18)=千葉・鎌ケ谷高3年=は、
懸命に楕円球を追った。
井上は、男女の7人制が実施される16、20年五輪で、
中核となる世代で、「五輪に出たい」と夢見る。

女子の日本代表は、これまで5回開催された
15人制ワールドカップ(W杯)に3回出場、通算2勝10敗。
前回はアジア予選で敗れ、06年の本大会を逃した。
7人制は、今春の第1回W杯(ドバイ)で4戦全敗。
男子同様、ニュージーランド、イングランドが強豪だが、
日本との実力差は大きい。
アジアでは中国、カザフスタンがライバル。

日本女子ラグビー連盟によると、国内の競技人口は約1000人。
主体はクラブチームで、連盟所属は全国で26。
国内で女子ラグビーが本格的に広まったのは、
80年代前半と歴史が浅いだけに、
同連盟の岸田則子専務理事は、「まず認知してもらうことから」

強化でも、難題が多い。
代表クラスの選手の職業は、契約社員や教員、学生など
さまざまで、合宿で休暇を取るにも周囲の理解が必要で、
社業との両立が保障されているわけではない。
中学や高校、大学で部活がほとんどなく、
競技を続ける場所も限られる。
井上の場合、普段は高校の部活で男子と練習しているが、
卒業後は週1回のクラブチームでの練習。
「このまま続けると、将来の職業の選択幅も狭まりそう」と不安。

岸田専務理事は、「過去に行った代表のセレクションでも、
いろいろな競技の経験者が参加したが、
女子ラグビーの環境を知らない人が多く、
10人くらい選んだのに結局1人しか残らなかった」と苦い経験。

五輪採用で注目を浴びる女子。
この冬の男子の全国高校大会で、女子のユース世代による
エキシビションマッチが計画されるなど、
新たな取り組みが始まったばかりで、
強化と普及の両輪の取り組みが急務。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20091031ddm035050025000c.html

岩手国体選手発掘へ 奥州・江刺でスクール開講

(岩手日報 11月9日)

2016年に開催される岩手国体に向けた選手発掘を目指し、
中学生を対象にした
「ウエイトリフティング競技・チャレンジスクール」は、
江刺中央体育館で始まった。
初回は、元五輪日本代表選手を招き、
競技の魅力や奥深さを伝えた。
同市は、重量挙げ競技の会場地に決まっており、
地元選手による盛り上がりと競技人口の拡大を図る。

第71回国民体育大会岩手県選手強化本部と
県ウエイトリフティング協会が主催。
同市内の中学生5人が参加。
ソウル五輪52キロ級日本代表で、
中央大ウエイトリフティング部監督の並木良憲さん(47)
講師に迎え、実技指導を受けた。

同競技のスナッチとジャークのフォームを確認。
並木さんが、「シャフト(棒)を体から離さず、
下半身の力を使って挙げる」と、
中学生に基本の形を何回も繰り返し覚えさせた。

瞬発力が必要な競技で、国際的にも若い世代が台頭する中、
並木さんは、「残念ながら、日本では8割の選手が
高校から競技を始める。
中学生で基本フォームを固めれば、
高校での成長度は格段に上がる」と効果を口にする。

参加した菊池崇人君(江刺東中3年)は、
「高校でも続けたい。
自分を鍛えることで、記録が伸びるのが魅力」と
第一人者の指導を真剣に聞いた。
吉田明日香さん(東水沢中2年)も、
「体をうまく使うと、簡単に挙げられるところが面白い」

同スクールは毎月2回、来年3月まで開催。
来年秋の中学生の全国大会を皮切りに、
インターハイ(11年開催)、国体と大きな大会が同市である。
同協会の大沼慶太事務局長は、
「競技人口のすそ野を一人でも多く広げ、
全国で活躍する選手を地元から育てたい」

問い合わせ、県協会事務局の大沼局長(0197・35・2111内線262)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091109_3

クラウドがもたらす業界再編

(日経 2009-11-05)

インターネットの世界で大きな変化を起こしている
「クラウドコンピューティング」。

膨大な情報処理能力を持つデータセンターと
通信ネットワークが融合し、これまでの技術やサービスを、
安く早く導入、大きな技術革新を促している。
その背後で進んでいるのが、IT業界の再編。
各社はM&Aや提携で、新しい価値を創造しようと躍起だが、
成功への道のりは平たんではない。

米サンフランシスコのモスコーニ・コンベンション・センターで
開幕した「オラクル・オープン・ワールド2009」。
オラクルに買収される米サン・マイクロシステムズの
スコット・マクネリ最高経営責任者(CEO)は、
基調講演に、オラクルの企業カラー、赤い服で登場。
オラクル傘下入り後、より一層の投資を得て、
「サンは、成長を続けることができる」

オラクルのラリー・エリソンCEOは、
「サンの協力で、ソフトとハード両方を持ち、“巨人”に対抗できる」
と、米IBMへの対決姿勢を改めて鮮明。

オラクルは、データベース・ソフトのトップ企業。
サンのサーバーと組み合わせ、総合的な企業向け情報システムへ。
エリソンCEOは、サン買収により「ソフト会社」から脱皮し、
ハードからソフトまで抱えるIT業界の巨人、IBMに戦いを挑む。

オラクルの新戦略に、クラウドの普及が少なからず影響。
クラウドが、世界のITシーンを大きく変えている。
その変化は、大きく分けて3つ。

第1は、基本ソフト(OS)ウィンドウズを武器に、
圧倒的な力を持っていた米マイクロソフト(MS)の弱体化。
データセンターで集中処理するクラウドは、
端末側の機能低下を促す。
端末の「部品」だったOSも、重要性が薄れた。
米グーグルなど、無料のOSなどの攻勢も活発化。
「MSに、かつての影響力はない」とITアナリスト。

OSをウィンドウズに固定することを前提に、アプリケーションソフトを
提供した、これまでのビジネスモデルは行き詰まる。
IT各社は、MSのくびきから解放され、
新しい競争環境に身を置くことを強いられる。

第2は、利益水準の低下。
クラウドの特徴の1つは、データセンターなどのIT資産の効率利用。
サーバー市場が伸び悩むなど、IT市場は頭打ち。
金融危機による景気の低迷で、IT各社の業績は大きく落ち込んだ。
IT各分野のトップ企業は、すでに高シェアに達している。
シェア拡大の余地はわずかで、今後の成長シナリオを描きにくい。

第3は、関連する業態の急激な変化。
電子書籍端末「キンドル」の世界展開を発表した
米アマゾン・ドット・コムは、ネット通販書店が原点。
これを核に、世界最大のネット小売企業に成長。
キンドルで、コンテンツ(情報の内容)のデジタル配信を本格化させ、
注文からデリバリーまで、すべて「電子」で完結する体制を築いた。

データセンターの巨大な能力を安価に使えるクラウドは、
さらに業態の変化を加速。
その動きに乗り遅れないよう、各社は焦って走り出している。

オラクルでは、主力のデータベース分野でライバルの1つ、
MSの弱体化は、攻勢をかける好機。
データベース・ソフト市場は寡占化が進み、
トップ企業のオラクルが急にシェアを引き上げるのは難しい。
市場が縮小する中、価格競争なども仕掛けにくい。

そこで、新しい事業モデルの構築。
新モデルを模索する過程で、オラクルは米アップルを参考。

同社の携帯電話機「iPhone(アイフォーン)」は、
ソフトとハードを「一貫して開発することが成功の要因」。
クラウドで、より高度なサービスや技術が可能になれば、
両者の一体提供の必要性が増す。
総合的なサービスと機器の提供の方が、他社の追随を受けにくく、
利益を確保しやすい。
IBMという「前例」があることも、一定の説得力を持つ。

パソコン大手のコンパックを買収するなど、
ハード拡大路線を突き進んできた米ヒューレット・パッカード(HP)は、
システムコンサルティングなどを中心に、ITサービス世界2位の
エレクトロニック・データ・システムズ(EDS)を買収。
「顧客は、統合されたシステムを求めている」(マーク・ハードCEO)、
ハードとソフトの融合路線にカジを切った。
外部記憶装置(ストレージ)最大手のEMCは、
暗号ソフトなどの米RSAセキュリティーを買収。

必要な時に、必要なだけ、必要なサービスが欲しい、
というのが顧客の要望。
クラウド時代、多くの技術やサービスが可能になるが、
どれがIT企業のあるべき姿かまだ分からない」。

アップルが1つの成功例だが、ハードとソフトをそろえれば、
必ずいいサービスが生まれるわけではない。
各分野の巨人たちが悩み、新しい事業モデルを模索。
IT業界の合従連衡は、5~10年は続く。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/ittrend/itt091104.html

お肌の弾力取り戻せる?たんぱく質の働き解明

(2009年11月4日 読売新聞)

皮膚や動脈などのしなやかさを作るのに欠かせない
たんぱく質の働きを、関西医大の中邨智之教授、
京都大医学研究科の堀口真仁助教らが解明。

皮膚の弾力を取り戻す薬、動脈硬化を治療する薬など、
老化防止や美容に役立つ技術開発につながる可能性。
米科学アカデミー紀要電子版に発表。

動脈などにある「ファイブリン4」というたんぱく質が、
組織を伸び縮みさせる「弾性線維」を作るのに必要。

遺伝子操作で、ファイブリン4が通常の8%しかできない
マウスを作り、大動脈瘤ができ、動脈の伸縮性も悪かった。

ファイブリン4は、弾性線維の材料となる別のたんぱく質同士の
結合に必要な酵素に働きかけ、正常な弾性線維を作るのを助けた。

Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Nov 10;106(45):19029-34.
Fibulin-4 conducts proper elastogenesis via interaction with cross-linking enzyme lysyl oxidase.
Horiguchi M, Inoue T, Ohbayashi T, Hirai M, Noda K, Marmorstein LY, Yabe D, Takagi K, Akama TO, Kita T, Kimura T, Nakamura T.

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/4/110477/

2009年11月11日水曜日

重症化防止が大切 新型インフルエンザに備えるシンポジウム(その2止)

(2009年10月31日 毎日新聞社)

◆開会あいさつ
◇総合生命科学部を来春新設--坂井東洋男・京都産業大学学長


京都産業大学(65年開学)が、社会の負託に応える大学、
社会の先端の課題に果敢に挑戦する大学として創設され、
今年で45年目。
04年、創設40年を迎えるのを機に、社会の負託に
どのようにして応えられるかという建学の精神に基づいた
中期将来構想を作った。

現在取り組んでいるのは、天文台の学内建設、
12月に竣工の予定。
宇宙への夢とともに、萎縮しがちなこの時代に、
宇宙的視野を持ってほしい。

06年、鳥インフルエンザ研究センターを設置。
この分野の第一人者である大槻公一先生を所長に迎え、
国内外の研究機関と共同研究を進める。

研究力、知見を生かし、来年4月には総合生命科学部を新設。
生命のなりたち、地球規模での環境変化が動物植物に与える影響、
動物と人間との共通の感染症--を考える三つの学科から成る。
ご理解とご支援をお願いします。
……………………………………………………………………
◇家庭、取引先、地域と連携--山本光世・JOHNAN専務取締役

京都府宇治市に本社があり、テレビや携帯電話の電子部品などの
組み立て、加工。従業員は、全国で1200人。

新型インフルエンザ対策は、08年3月から始めた。
従業員の生命・健康を守り、緊急時にもお客さま(取引先)に
商品を確実に届けるという社会的責任のため。

2カ月分の食料やマスクなどの備蓄などだが、
一番力を入れたのがマニュアル。
マニュアルでは、危機管理委員会を開催して
手洗い、うがいの奨励、マスクの装着などの対策内容を決める。

6月、弱毒性ウイルスだとして、対策を緩和した。
役員が指示しなくても、マニュアルに基づき社員が対策を推進。
仮に強毒性ウイルスが出ても、心強い。

自社でできることは限られ、家庭、お客さま(取引先)、
地域の企業と連携して対策を取る、という三つを推奨。

パートや正社員は、本人が感染したら出社を禁止し、
有給休暇や無給の休暇が4日以上になれば傷病手当を出し、
プラスアルファで一時見舞金を支給。
賞与が多くない社員、パートやアルバイトなど時給で働く人は、
体調が悪くても、無理をして出社し、感染が広がる可能性が。
本人の生活・健康を守ることと、出社しないことを促すことを
両立させる観点から手当てを行っている。
職場復帰の判断について、平熱が3日間以上続くのを基準。
出社時は、第三者が検温確認。

お客さま(取引先)と連携した対策とは、
共通の対策ルールを策定すること。
仮に、前の工程の取引先が対策を取っていなければ、
部品が納入されず、事業継続がむずかしくなる。

地域の企業と連携した対策とは、同じ地域に立地する
18社が協力、出社可能な従業員が互いの業務を助け合ったり、
倉庫や設備を互いに共有したりできないか、などの協議。

◇「陰性証明」の請求自粛を--酒井英雄・大阪府医師会副会長

医師会が、大阪府内の医療機関への要請について。
WHO(世界保健機関)が、警戒度をフェーズ5に引き上げた時、
医師会では府内でも感染者発生は避けられないとの
見通しに立って、対策本部を作った。
5月、カナダから帰国した府立高校生らの感染が確認、
府内の診療所の役割分担と、慢性疾患のある人への
薬の長期院外処方をマニュアル化。

神戸市で高校生が陽性、大阪・北摂を中心に中高生の感染が確認。
府医師会で抗インフルエンザ薬を持つ医療機関を調査すると、
5人分持っているという医療機関は7割。
検査キットが全くないという医療機関も3割。
新型インフルエンザに対する体制ができていなかったので、
卸業者に検査キットと、抗インフルエンザ薬の流通をお願いした。

府内では、「発熱外来はどこか」と問い合わせを受けた。
発熱相談センターの電話番号は広報したが、
発熱外来の場所は公表しなかった。
外来の場所が分かると、軽症の人も多数訪れて、
本当に医療が必要な患者を診察できなくなる。
センターには、一番多いときで8000本の電話がかかった。
3分の2は、「熱が出たかもしれない」というような内容。

医療機関に、インフルエンザの「陰性証明」を求める
学校や会社がある。
簡易検査キットで検査をして「陰性」だったとしても、
感染していないとは言い切れない。
奈良で行われたインターハイ(全国高校総体)では、
新型インフルエンザで学級閉鎖をした学校から出場している
生徒がいたが、出場のために、医療機関に陰性証明を求めた。

家族が新型インフルエンザにかかると、その親に対し、
勤務先が陰性証明を持って来るように求める場合も。
検査キットも不足している状況。
医療機関は、陰性証明を出さない。
皆さんも、医療機関に陰性証明を求めないでほしい。

◇重篤度に応じた分担重要--大下達哉・大阪府保健医療室副理事

大阪府では、海外で感染が報じられると、電話相談を開始。
成田空港の検疫で、府立高校の教員と生徒の感染が確認された際、
学校に「どう責任とるのだ」、「帰ってくるな」といった声が
寄せられるというバッシング被害。

5月、府北部の私立高校で患者が確認。
国の行動計画は、鳥インフルエンザ想定だったので、
原則隔離入院させていたが、厚生労働省と掛け合い、
軽症者は在宅で対応できるようにした。
橋下徹知事と舛添要一厚労相(当時)が協議、一斉休校も決めた。

その後、感染ピークは収まり、初期の封じ込めは成功。
封じ込めで、医療体制や予算を整える時間ができ、効果はあった。
7月から、府医師会の協力で感染対策をした全医療機関で
診療できるようになった。
遺伝子検査で一人の感染も見逃さないようにするという体制も、
その後、集団感染を把握する方針に変わった。

医療機関から、患者数の報告を受けている。
季節性では例年、定点当たりの患者数は12月から1月が多い。
今年は8月から上向き、現在は毎週約3万5000人の
新たな患者が出ている。

今後は、感染拡大の抑制、ワクチンの接種、
重症化を想定した受け入れ態勢の整備--といった対策が必要。
患者1人がうつす人数を1割減らせば、
感染者は総数で4分の1減る。
咳(せき)エチケットは、感染を広げないための取り組み。
症状が出たらマスクをしてほしい。

感染しないことも大切。
飛沫感染防止に手洗いとうがい、栄養を取ることが大切。

重症リスクの高い患者への対応は、透析医会、産婦人科医会に
受け入れを要請。
患者が増えると、診療窓口は混乱する。
開業医に対し、大規模病院に協力するよう要請。
新型患者の受け入れ可否を知らせる医療情報システムの
整備も進めている。
受け入れ余力には限度がある。
重篤度に応じた適切な役割分担が必要。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/2/110303/

強い感染力に注意 新型インフルエンザに備えるシンポジウム(その1)

(2009年10月31日 毎日新聞社)

シンポジウム「私たちのくらしをまもる、その方法とは」

◆基調講演「他人にうつさない心構えを」
 大槻公一・京都産業大鳥インフルエンザ研究センター長

インフルエンザウイルス(A型)は、外側にHA、NAという
とげ状物質が多数ある構造。
HAは16種類、今回の新型インフルエンザはH1というタイプ。
鳥インフルエンザウイルスはH5。
HAは、ウイルス感染の窓口となり、細胞にとりつく時に重要。
NAは、細胞内でできた子孫のウイルスが細胞から分かれる時に必要。
タミフルやリレンザは、NAの働きを阻害。

インフルエンザウイルス起源は、鳥インフルエンザウイルス。
鳥インフルエンザウイルスとカモなどの水鳥は共存関係で、感染しても
病気にならないが、ニワトリは人と同じように“被害者”に。
ニワトリからニワトリへ感染する間に、強毒に変わる。
代表例が、H5N1。

厚生労働省は、新型インフルエンザは鳥由来のH5N1と想定、
プレパンデミックワクチンを3000万人分備蓄、行動計画も。
私は、豚経由のウイルスが新型になって流行する可能性が高い。
H5N1の人での流行を否定はしないが、他の可能性も考えねば。

豚は、鳥と人の両方のインフルエンザウイルスに感染。
人ののどと鳥の呼吸器では、ウイルスの受容体が1カ所違う。
この違いで、鳥インフルエンザは人に感染しにくい。
豚は、両方の受容体を持ち、人と鳥のウイルスに感染。
同時感染すれば、豚の体内で新型ウイルスができる。

20世紀に出現した3種の新型ウイルス
(1918年スペインかぜ、57年アジアかぜ、68年香港かぜ)は、
豚の体内で作られ、人に感染してパンデミック(世界的大流行)に。
アジアかぜは、H1N1と別の鳥インフルエンザウイルスのH2N2が、
豚の体内で混じって生まれた新型ウイルス。

東南アジアでは、養豚が盛ん。
アヒルを飼っていて、新型インフルエンザが発生する背景はある。
今回は、予想外の北米で発生。
米国からの航空機を対象にした対策をしていたが、
フィリピンやタイから戻った人で罹患する人が増えた。
どちらの国も、米国と往来が頻繁で、感染者が多数出た。
日本は厳重な検疫を敷いたが、フィリピンやタイはできなかった。

今後の心配は、東南アジアが感染の震源地になること。
新型ウイルスは、元をたどると4種類のウイルスに行き着く。
HAは、90年前と同じ古典的な豚ウイルス。
NAは、76年に鳥から豚に侵入した新しい豚ウイルス。
いろんな種類の遺伝子が含まれ、世界の研究者らが競って
病原性に関係する遺伝子を解明。

最も強調したいのは、人に対し、季節性ウイルスよりも
はるかに強い病原性を持つ点。
春に大騒ぎしたことは間違いではない。
今後の心構えのため、季節性より感染力もはるかに強い。

季節性インフルエンザの大流行は、真冬に起きる。
気温が下がると、人の免疫機能は弱まり、空気が乾燥すると、
口の中の粘膜が露出、ウイルスに感染しやすくなる。
春になると、気温も上がり、人の抵抗力も強く、感染しにくくなる。

今年は、新型インフルエンザ流行がピークのまま、
従来のインフルエンザ流行期を迎える。
今年の冬、その次の冬は、相当大きな人的被害を起こすかも。

今のうちに、新型の封じ込めを図ることが重要。
特効薬はなく、感染したら、他人にうつさないこと。
私は、マスクが重要だと考えている。
マスクをすることで、衛生の認識も高まる。
みんなで行動すれば、それほど広がらずに済ませられる。
できるだけ早く手を打ち、人に感染させない心構えが重要。

◆パネル討論から

大槻教授 関西での流行時、風評被害の対応に苦労されたが、
そのための方策ではどういうことが考えられるか?

大下氏 正確迅速に情報を伝えること。
行政が、当初から「大騒ぎするものではない」と伝えておけば。

大槻教授 大阪府医師会では、医院によってタミフルや
簡易検査キットが足りなかったが、現状は?

酒井氏 薬はほぼ足りている。
検査キットは集団発生の可能性もあり、
100人分が1週間でなくなることも。
今は、検査キットが若干厳しい。

大槻教授 JOHNANは、企業として熱心に取り組んでいる。
一時見舞金制度は、無理をさせず、感染拡大を防ぐということで
非常に有効な対策。
関連企業や近隣との対策だが、業界には広がっているか?

山本氏 そういう機運が徐々に出てきている。
「新型インフルエンザ」プラス「地震防災」、で進めている。
インフルエンザだけだと連携できないが、
地震対策と一緒ならやっていける。

榊原 ワクチン接種に、効果や副作用はどのくらいあるか?
アレルギーのある人は、どの程度大丈夫なのか?

酒井氏 季節性インフルエンザワクチンでは、重大な副作用は
数十万分の1の確率で起きる。
新型用ワクチンも、作り方は同様で、副作用も同じくらい。
ワクチンは、かなりの割合で感染を防げ、重症にならずに済み、
副作用がちょっとでも出たら許さん、とは考えないで。
卵アレルギーは、専門家は心配はいらないが、
強烈なアレルギーのある人はやめた方がいい。

大槻教授 国産ワクチンは、卵から抗原を作っている。
輸入ワクチンは卵ではなく、培養細胞を使っている。
両ワクチンでは、違う性質の副作用が出るかも。
国内産か輸入物かは、認識して接種を受けた方がいい。

榊原 タミフルなど抗ウイルス薬はどの程度有効か?

大槻教授 現在のところ、タミフルが効くことで間違いない。
重症化を防ぐことが重要。
できるだけ早く医療機関を受診し、タミフルで治療してもらうこと。
薬の有効性を保つため、医療機関で処方された通りに使うこと。
……………………………………………………………………
◇新型インフルエンザ

動物のインフルエンザウイルスが人に感染し、
体内で増殖できるように変化した後、人から人へ効率よく
感染するようになった新しいウイルスによって発症。
季節性インフルエンザと違い、人類のほとんどが
免疫を持たないため感染しやすく、大流行につながる恐れ。
鳥インフルエンザが変異した場合、強毒型になると想定したが、
今回の豚インフルエンザウイルス由来の新型は弱毒。

ウイルスの大きさは、直径が1万分の1ミリメートル。
中心にRNAという遺伝子があり、表面にHA(ヘマグルチニン)、
NA(ノイラミニダーゼ)と呼ばれる二つのたんぱく質の突起がある。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/2/110286/

新しい波/321 ラグビーの五輪復帰/2

(毎日 10月24日)

「村田亙」
IRB(国際ラグビー機構)アジアセブンズシリーズ上海大会
7人制日本選抜のメンバーにその名が。控え選手の一人として。

村田は、7人制日本代表の監督だが、選手としてもエントリー。
今年度新設の大会に、急きょ出場を決めたことに加え、
国内ではトップリーグ(TL)が開幕したばかりという事情も重なり、
思い通りに選手が集まらなかった。
名称も「日本選抜」。

選手を集められるかという課題を突きつけられる中、
7人制日本代表選手兼コーチの岩渕健輔は、
「IRBの国際大会に出続けることが一番」

国際大会とは、「IRBセブンズワールドシリーズ」のことで、
世界8カ国・地域を12月~5月に転戦する最高峰の大会。
24チームが出場できる香港大会以外は、16チームが参加。
うち12チームは、「コア(核)チーム」と呼ばれ、全8大会に出場。

日本は、アジアシリーズのような格下の大会などで
ポイントを稼いで、コアチーム入りすることが重要。
日本代表事業委員会の太田治ゼネラルマネジャー(GM)は、
「(7人制で行われる)16年五輪で、男子はメダル獲得を目指す」
と目標を掲げる。
五輪の出場枠は12。
「アジア枠」が設けられて出場できても、
コアチーム並みの力がなければ、上位争いは厳しい。

太田GMは、「7人制国際大会と国内ラグビーシーズンが重なり、
選手集めは厳しい」として、15人制とはすみ分けした強化を訴える。
岩渕コーチは、「コア入り」には、
「15人制代表に選ばれるレベルの選手の力が必要」

TLのコカ・コーラウエストの向井昭吾監督は、
「五輪強化指定選手のような形なら、選手を出しやすい」と
前向きだが、別のチームの監督は、
「一部のチームだけでなく、全部が協力する形にしないと」とくぎを刺す。
日本協会のあるスタッフは、「7人制の選手だけが所属する企業や、
日本協会と7人制専門の選手がフルタイムで契約する形など、
新モデルが必要」とのアイデアも提案。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20091024ddm035050016000c.html

虫歯予防し文科大臣賞 宮古高

(岩手日報 11月7日)

宮古市の宮古高(熊谷英範校長、生徒719人)は、
第48回全日本学校歯科保健優良校表彰
(日本学校歯科医会主催)で、文部科学大臣表彰を受賞。

生徒らは、山本正徳市長に受賞報告。
高校としては、全国初の受賞。
地元の歯科医と連携した歯科保健活動を展開し、
生徒の歯磨きへの意識も高く、生徒らは、
「普段の活動が評価されうれしい」と
白い歯を輝かせながら喜びに浸る。

歯科保健優良校表彰は、日本学校歯科医会が毎年度、
歯科保健への取り組みが優良な学校を表彰。
昨年度まで、小学校のみが対象だったが、
本年度から幼稚園、小学校、中学校、高校、特別支援学校の
5校種に範囲が拡大。

同校は、宮古歯科医師会派遣の学校歯科医による
「思春期歯科保健指導」を実施。
1学年を対象に、講話やブラッシング指導を行い、
歯周病予防に努めている。

昼食後の歯磨きの習慣付けや生徒保健委員会による標語や
啓発ドラマDVD制作など、学校を挙げて歯の健康づくりに
取り組んでいる。
今では、全校生徒の7割以上が昼食後に歯を磨くほど、
意識が高まっている。

山本市長を表敬した鳥屋部洋樹君(2年)は、
「毎日、くまなく歯を磨くことを心掛け、虫歯もない」と誇らしげ。
竹内航平君(1年)は、「学校歯科医の先生に、
磨き方を教えてもらい参考になる」と感謝。

歯科医師として思春期歯科保健指導に取り組んだ経験を持つ
山本市長は、「全国表彰され感慨深い。
先生や歯科医が熱心で、生徒の意識も高い」と感心。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091107_7

2009年11月10日火曜日

食欲を抑える仕組みを解明 肥満治療に期待、自治医大

(2009年11月4日 共同通信社)

自治医大の矢田俊彦教授と前島裕子助教らの
研究グループ(統合生理学部門)が、

食欲を抑える強い作用を持つタンパク質の一種が、
脳で働く仕組みを解明、CELL・METABOLISMに4日発表。
「肥満や過食への新しい治療法の開発が期待される」

食欲抑制タンパク質「ネスファチン」は、
2006年に群馬大の森昌朋教授らのグループが発見。
効果の強さから、メタボリック症候群など肥満を伴う
病気の治療に役立つとされ、詳しい作用は不明。

矢田教授らは、ラットにネスファチンを投与し、
その脳内の神経伝達回路の変化を調べた。

その結果、ネスファチンが脳の視床下部にある
摂食中枢に作用し、ホルモンの一種「オキシトシン」が放出、
食欲を支配する神経を刺激して、
食欲が低下する仕組みであることが分かった。

ネスファチンによるこの仕組みが機能すると、
食欲抑制ホルモンとして知られる「レプチン」が働かない
肥満のラットでも、食欲を抑える効果があることも判明。
同様に、レプチン抵抗性を持つ患者でも
有用である可能性が示された。

オキシトシンはこれまで、出産や授乳時に働くことが知られ、
食欲抑制にかかわる重要な機能があると分かったのは初めて。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/4/110511/

新しい波/320 ラグビーの五輪復帰/1

(毎日 10月17日)

「10月9日」は、ラグビー界にとって歴史的な日。
国際オリンピック委員会(IOC)総会で、
16、20年夏季五輪での7人制ラグビーの実施競技入りが決定。
「五輪競技になれば、新たな観客を呼び込み、
資金を生みだせる。ビジネスの機会も作り出せる」

国際ラグビー機構(IRB)のベルナール・ラパセ会長は、
商業的成功に期待を寄せる。
IRBが目指す世界市場開拓の延長線上に、「五輪」はあった。

1924年までの4回の五輪では、ラグビーは15人制で実施。
7人制での復帰となったのは、IOCの五輪改革に合致した。
試合時間は、一般的に前後半各7分と短く、
テレビ放映には好都合。
1チームあたり1日2、3試合が可能。
五輪では、男女各12チームによる2~4日間の短期開催が計画、
競技会場も確保しやすい。
15人制では世界ランク42位のケニアが、
3月の7人制ワールドカップ(W杯)ドバイ大会で4強入りするなど、
大国以外のメダル分散化も期待。

7人制ラグビーは、1883年にスコットランドで始まった。
欧米やアフリカなど世界8都市を転戦する国際シリーズを展開し、
08~09年シリーズでは計50万人近くが観戦。
W杯ドバイ大会では、3日間で男女計98試合を行い、
7万8000人を集めた。

世界市場開拓を進めるIOCやIRBをよそに、
国内では地道な取り組みも始まっている。
小学生へのタグラグビーの普及もその一つ。

日本協会は、小学館との連携を発表し、
解説本などの出版を通じて普及に力を入れ始めた。
19年、15人制W杯の日本開催も決まっており、
日本協会の熊木陽一郎・競技普及部門長は、
「タグを入り口に、ラグビーが文化として根付くように努めたい」

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20091017ddm035050165000c.html

再利用ごみ「もっと」 大船渡・赤崎で実験1カ月

(岩手日報 11月6日)

再利用可能な家庭ごみ(再利用ごみ)を分別回収し、
セメント燃料・原料として活用する
大船渡市の社会実験開始から1カ月が経過。

分別違反が少なくなるなど運用は順調で、
エコ意識も浸透してきたが、再利用ごみの総量は想定を下回る。
持続可能な社会構築の手段の一つとして注目される
取り組みだけに、再資源化に向けより多くの住民参加が求められる。

同実験は、大船渡市赤崎町赤崎地区の約1400世帯を対象に、
10月から実施。
開始1カ月の結果は、ごみの受け入れ先である
太平洋セメント大船渡工場で行われた関係者会議で報告。

10月には9回、再利用ごみを回収。
総重量は320~560キロ、平均収集量は400キロ。
同地区の「燃えるごみ」収集量は、約7トン。
同工場が過去に行った試験などから、市は当初、4割程度が
再利用ごみとなると予想していたが、1割にも満たない結果。

市は要因について、ごみ減量効果というよりも、
参加者が少ないためと分析。
寺沢英樹市民生活環境課長は、
「まだ300世帯程度しか参加していない。
もっと多くの家庭に取り組んでほしい」とし、
啓発チラシなどで参加を呼び掛ける考え。

再利用ごみは、これまで「燃えるごみ」として収集していた中から、
ペットボトル類、食品トレー、食品プラスチック容器、ビニール、
資源古紙を除く紙類―などを回収。
釜石市の溶融施設まで運ぶ経費の節減や埋め立て処分場の延命、
エコ意識向上による減量効果などが期待。

大船渡市赤崎町の沢田地域の沢田秀秋さん(61)は、
「分別は、やってみれば簡単。すぐ慣れた」
生ごみ混入や市外からの持ち込みなど悪質な違反は残るが、
全体的に分別違反ごみが減るなど、参加世帯には分別が浸透。

赤崎地区公民館の西山謙一館長は、
「『もったいない精神』で成功させ、全市に広がるモデル事業としたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091106_10

動物と生きる(7)園の観察 視野広げる

(読売 11月5日)

身近な動物園が、授業や社会学習に活用されている。

「外国産も含めた希少動物の繁殖と研究を行っている
専門施設は、国内ではここだけ。
絶滅危惧種のカンムリシロムクは、原産地のインドネシアで激減し、
ここで繁殖させ、2003年から70羽をインドネシア政府に送りました」

横浜市旭区の市繁殖センター。
飼育技師の白石利郎さん(47)の説明を聞くのは、
神奈川県立横浜旭陵高校の生徒ら14人。
希少動物9種約200頭を飼育する同センターは、通常非公開だが、
この日は、単位制普通科である同校の選択科目
「Zoology(動物学)1」の授業のため、特別公開。

生徒らは、カンムリシロムクやカグーなどの鳥やブラジルバク、
マレーバクなどの飼育状況を見学、
オランウータンやペンギンの精子を、顕微鏡を通した映像で観察。
同校2年の萩原誉さん(16)は、
「将来は飼育員を目指したいが、絶滅する直前の動物を助け、
繁殖させる保護活動にも興味を持った」

04年に始まった「Zoology 1」は、動物園の概要を理解し、
「動物と人間の関係」を考えるのが狙い。
展示されている動物の観察のほか、動物園の歴史を学び、
同センターに隣接するよこはま動物園・ズーラシアで
飼育されている動物の調査研究も。
「Zoology 2」(08年開講)では、家畜などに学習の幅を広げ、
同園にいる動物の研究を深めて客の前で解説。

担当の山田富士彦同校教諭(41)は、
動物園は、動物と人間の接点。
もともと野生であったはずの動物が飼育・展示されている様子を
観察し、勉強することで、人間との関係を再考してほしい」

「東山動物園のクロサイの角が短いのは、野生のサイと違い、
ストレスから自分で角を削ってしまう」、
「角が漢方薬に使われるため密猟され、
世界に3700頭くらいしかいない」

名古屋市千種区の東山動物園。
小学校3~6年生40人が、同園で飼育中のニシゴリラ、ヒグマ、
口之島牛など7種類の動物について、一般の客を前に解説。
同園で、2年前から行われている「東山こどもガイド」

飼育舎を掃除して飼育担当者から話を聞き、
説明用パネルなどを作り、ガイド練習をしたうえで
本番に臨む計3日間のプログラム。
岐阜大学、椙山女学園大学、帝京科学大学などの
学生リーダーたちが指導。

クロサイのガイドをした5年生の原田悠利君(10)は、
「動物のことをたくさん勉強できた。
人にも教えてあげられてよかった」

地元の青年会議所メンバー有志などで構成する主催団体
「東山動物園くらぶ」代表の堤創さん(37)は、
大好きな動物の知識を、人のために生かす体験になれば

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091105-OYT8T00325.htm

2009年11月9日月曜日

失明ラットが視覚回復  東北大、藻の遺伝子で

(2009年11月5日 共同通信社)

東北大国際高等研究教育機構の富田浩史准教授
(分子生物学)らの研究グループは、
光を感じる緑藻の遺伝子を組み込んだ失明ラットが、
正常に近い視覚を回復することが分かった。
4日付の米科学誌プロスワンに掲載。

富田准教授は、光を感じる網膜の視細胞が障害を受けてしまう
網膜色素変性症などで、失明した人の視力回復治療に
つながる可能性がある。

緑藻に、光を感じる遺伝子があることに着目。
この遺伝子を組み込んだラットを失明させて実験した結果、
ものの動きや色の濃淡の判別などで
正常なラットとほぼ同等の視覚を取り戻した。

国内では、毎年約1万6千人が難病の網膜色素変性症や
加齢黄斑変性のほか、糖尿病網膜症、緑内障などで失明。
富田准教授らは、人に近いサルを使った実験を進め、
この遺伝子を注入して視力を回復させる治療法の確立を目指す。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/5/110562/

ファーストリテイリングの柳井会長兼社長「全員経営で成長実現」

(日経 10月31日)

世界を揺るがせたリーマン・ショックから1年。
経済はやや落ち着きを取り戻しつつあるが、先行きは不透明。
経営者は成長戦略、経営課題をどう描くべきか?

第11回日経フォーラム「世界経営者会議」に出席した
トップにインタビュー。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長。

——未曽有の経済危機の中で好業績が続いている要因は?

経営をしていくなら、いつも危機だと思わなければいけない。
世の中はどんどん変わり、事業環境もどんどん変わっていくから、
安定することはない。
逆に(本当の)危機の時、経営トップは『危機だ』などと
言ってはいけない。
それでは会社が崩壊する。
悠然と構えて、『いや、自分達の未来はこうするんだ』と
社員に語らなければいけない

——危機下で、自らを客観視するのは難しい面もあるのでは?

経営者は、未来はどうあるかを考え、
常に高い目標を掲げなければいけない。
我々は、2020年に連結売上高で5兆円(09年8月期の約7倍)を
目指している。
グローバル化し始めた大きな市場があり、
そこで理想的な企業なら、10年で10倍に成長できる。
こういう考え方が大事。
経営トップの希望より、大きく成長できる企業はない」

——ファーストリテイリングは「全員経営」をテーマに。

現実の経営は、経営者だけがするのではなく、
社員全員でやるもの。
現場で実行をするのは社員であり、経営者は現場と
直結していないといけない。
ガバナンスだけをする経営者はあり得ない。
よほど産業全体が成長しているような場合を除けば、
経営者が放っておいて、現場の頑張りで成長するような
企業は1社もない。
我々のような小売業だけでなく、どういう事業でもそうだ」

——そうした手法でしか企業価値は高まっていかないと。

「企業、特に上場企業の価値は、成長力と収益性に集約、
最近は社会貢献も加わった。
現在は、企業の力がどんどん強くなり、国境を越えて作用し始め、
社会貢献性も今まで以上に考えないといけない。
政治が世界を変えると考える人が多いが、
私は個人や私企業の方が世界を変えられると思う。
日本は、税金を払っている人がもっと声を上げないといけない。
世界的に高い日本の法人税率の問題なども含めて、
もっと(企業の成長を促して)稼ぐことを考えないと。
稼がない人が、今の日本には多すぎる」

——今後、ユニクロはどんな新商品を作っていくのか?

「企業は結局、お客様の潜在的ニーズを考え、
多分こういうものじゃないかと商品を作っていくしかない。
最近のお客様は何を買うかの前に、どこで買うかを考えている。
『ヒートテック』(08年、2800万枚を売った保温肌着)も、
ユニクロでなければあれだけブレークはしなかった。
ほかのところが、扱ってもあれほどブレークしなかったと思う」

商品を売る前に(イメージとしての)店を売り、企業を売る。
それには、ブランド=信用が大事。
お客様一人ひとりから、『この企業は、私にこんなメリットを
提供してくれる』と思ってもらえなければ、
単純に商品を出しても売れない」

——自分のこれまでの経営は「60~70点と、ギリギリ及第点」と
評しているとか、足りない点は何か?

「残りの点をとるには、まずファーストリテイリングのグローバル化、
私の後継者育成。
今後、成長の80%は海外で達成しないといけない。
多数の経営者が必要。
我々社内だけでなく、世界中の優れた大学やコンサルタントなどと
提携し、仕事の実践を通じて経営者を育てる。
実践こそ経営者育成であり、その実現は十分に可能」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091030.html

動物と生きる(6)「障害者乗馬」ともに成長

(読売 11月4日)

障害を持つ子どもらに乗馬の楽しみを教えることで、
高校生も成長していく。

馬上から、「お母さーん」と何度も叫ぶ子。
馬からずり落ちかける子。
乗馬が待ちきれず、どこかに姿を消して戻ってきた子。
満面の笑みでバイバイする子。
近くでは、「○○君の担当はだれ?ちゃんと見てるのかな」、
「この子は今日はかんしゃくを起こした。
騒がしいのが苦手なんだっけ」などと高校生らが話し合いながら、
子どもの乗馬記録をテキパキとつけていく。

岐阜県北方町の県立岐阜農林高校乗馬場に、
岐阜市立岐阜特別支援学校の児童生徒約10人が
保護者と一緒にやってきた。
同高校馬術部が、毎月第4土曜日に開く「わくわく乗馬会」。
男女部員17人が、知的障害や自閉症などの障害を持つ
子どもらを介助し、順番に馬に乗せ、
1人あたり10分間、乗馬場を回る。

小学5年生の高橋裕明君(11)を連れて訪れていた
母親の百合さん(40)は、「息子は、馬に乗るのが楽しみ。
気兼ねなく、お兄さん、お姉さんに『ダメなことはダメ』と
言ってもらえるのもいい」
中学1年の中村真也君(13)と母親の佐千代さん(45)も、
「犬にはまだ近寄らないけれど、馬はほえないし、
優しい目をしているから、そばにいると落ち着くようです」

1998年、民間牧場から木曽馬2頭が譲渡されたのをきっかけに、
同高校に乗馬の同好会が誕生、2007年には馬術部が発足。
サラブレッド3頭も加わり、今年7月には、創部3年目にして
全日本高等学校馬術競技大会3位入賞という快挙。

その一方で取り組んできたのが、「障害者乗馬」。
馬とのふれあいや乗馬は、障害を持つ人に心身両面で
プラスの効果を及ぼす。
同高校動物科学科の三輪嘉文教諭(37)が、
「福祉活動にも役立てたい」と、04年ごろから本格的に
同支援学校との交流を始めた。
現在、同高校は日本障害者乗馬協会の岐阜支部。

馬術部副部長でセラピー担当のリーダー、瀬川里恵さん(16)は、
今年夏に先輩から会の活動を引き継ぎ、
県外の乗馬クラブに障害者乗馬の研修に出かけた。
その結果、「いろいろ遊んであげた方が効果があるらしい」と
自分たちで考え、ボール遊びや数字クイズを取り入れ、
一人一人のその日の様子を詳しい記録に残すようにした。
わからないことは、本などで調べる。
瀬川さんは、「小さい子も好きだし、馬と一緒に楽しむことが
できるのは喜びです」

三輪教諭は、「農林高校の生徒たちは、もともと自分たちで
課題を見つけ、試行錯誤しながら解決法を探る学習に慣れている。
大きな動物に乗ることで自信をつけ、障害者乗馬の手伝いで
さらに成長してくれるのでは

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091104-OYT8T00802.htm

出足順調、街に活気 クロステラス盛岡、開業1カ月

(岩手日報 11月5日)

盛岡市の商業ビル「クロステラス盛岡」が、
盛岡大通商店街玄関口にオープンして1カ月。
順調な滑り出しで、街に活気をもたらしている。

2006年のMOSSビル開業で、一時客足が戻った商店街は、
不況による消費低迷や郊外店への流出など、
再び苦戦を強いられている。
JR盛岡駅と大通を結ぶクロステラスが、
新たな商店街集客の呼び水となるか?
今後の波及効果が注目。

開業した10月1日から1カ月間の営業実績は、
入館客数約23万3千人で、うち購買客数は約16万3千人。
産直ショップやベーカリーが人気を呼び、
目標に近い総額約2億568万円を売り上げた。

商店街関係者から、「大通でも、固定客以外のお客さんが
歩くようになった」との声。
ビルを運営する三田農林の三田林太郎取締役は、
「大通へ人の流れもできているようで、まずまずの滑り出し。
商店街と共に元気を出していきたい」

郊外店に行くことが多かった消費者にも変化が。
「家から近くにできたので」と、バスでクロステラスを訪れた
盛岡市東桜山の主婦平山幸代さん(30)。
「食品と子どものおやつのパンを買った。
帰りは、大通に寄って行こうと思う」と街へ向かった。

大通アーケード街の路面店は、現在101店。
小売業の退店が相次ぎ、空き店舗は9店を数える。
県外資本の店舗が約3割を占め、街は飲食店化が進んだ。

盛岡まちづくり株式会社の調査によると、3月下旬の2日間で
05年度3895人だったMOSSビル周辺の歩行者通行量は、
同ビルが開業した06年度6144人に増加。
08年度、4818人と再び減少に転じた。

「消費の冷え込みで、街は大変な状況だ」と厳しい表情を見せる
盛岡大通商店街協同組合の吉田莞爾理事長。
「クロステラスとは、一つのゾーン。波及効果を期待したい」と
今後を注視する。

クロステラスは、同協同組合のほか、周辺の商店街や
大型店でつくる「もりおかスクエア」にも加入。
共同販売促進事業やイベントで、地域と連携を図っていく。

約3割の店舗が、組合非加入という大通。
吉田理事長は、「各店舗が一緒になってやっていこうという
態勢が大切だ」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091105_15

2009年11月8日日曜日

自己投資のキーワードは「説明力」

(日経 2009-10-31)

厳しい雇用情勢を背景に、身銭を切ってでも
スキルアップを図るビジネスパーソンは多い。
多岐にわたるスキルの中で、彼らが注目しているのは何か?

ビジネススキルに関する講座やテキストを多数そろえている
産業能率大学と日本能率協会を取材し、
「説明力」という言葉がキーワードに。

説明力には、2つの意味がある。
1つは、自分の思っていることや考えていることを
相手に伝えるという意味。
コミュニケーション力や意思疎通能力とも言い換えられる。

社会人向けに、通信教育講座を企画・運営している
産業能率大学総合研究所によると、
スキルアップに関する講座で、「文章力を磨く」が人気。
「ビジネス文書入門コース」、「小論文の書き方入門コース」の
受講を申し込むビジネスパーソンが増えている。

費用は、文章力を磨くの場合で1万7850円
(期間は2カ月、リポートを2回提出)。
同僚との飲み会の費用を1回あたり4000円とすれば、
2カ月間で4、5回我慢する計算。
人にもよるが、決して軽い負担ではない。

同研究所の比企宏子・普及開発課長は、
「人気の背景には、電子メールに代表されるITの普及と
就労形態多様化、M&Aの増加の3つがある」

電子メールの普及は、ビジネスパーソン同士が
顔と顔を付き合わせて交渉する機会を減らした。
経費節減で、出張を控える企業が増えていることも拍車。

実際に会っていれば、言葉だけでなく、相手の表情や
身ぶりなども見られるので、誤解する危険性は小さい。
メールでは、文章が唯一の手段。
自分の真意を正確に相手に伝えるには、
一定水準以上の文章力が求められる。

職場では、パートや派遣、請負といった正社員以外の
就労形態の人も増えている。
正社員同士であれば、文章にしなくても、「あうんの呼吸」で
意思疎通ができたが、非正社員ではそうはいかない。
M&Aによって、ライバル企業の社員だった人と一緒に
働かなければならなくなった場合は言うまでもない。

説明力のもう1つの意味が、自分の能力の証明。
これまで「できてあたりまえ」と思われがちだった
業務分野において、その傾向が強まっている。

日本能率協会が立ち上げた2つの民間資格は、
そうしたニーズに応えたもの。
1つは、「生産技術者マネジメントスキル資格認定試験(CPE)」
生産設備の設計や配置を考えて、生産活動を効率的に
するための技能を証明するための資格。
もうひとつは、「調達プロフェッショナル(CPP)」
原材料や部品・部材の購買部門で働く人たちを対象に、
そのスキルを証明することを主な目的。

能率協会の試験対策テキスト代(試験費用を含む)は、
CPEが4万5000円前後、CPPが4万円前後。
能率協会の久保田英揮・生産マネジメント本部マネジャーは、
「法人経由の申し込みがほぼ100%だと思っていたが、
CPPで27%、CPEでも18%が個人名義」
久保田マネジャーは、「この数字は上司や会社に、
自分の能力を客観的に説明したいという気持ちの表れ」

コミュニケーションと自らの能力のアピール。
この2つの説明力が求められる場面は、これからも増える。
関連する講座や書籍への需要も、拡大する公算が大きい。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/syohi/syo091030.html

動物と生きる(5)食べる 命いただくこと

(読売 11月3日)

「命をいただく」ことを知る試みも、行われている。

床を踏みしめて立っていた肉牛が、頭を「と畜銃」で撃たれ、
ごろっと横になって転がってきた。
白い作業着に身を包んだ職員が、ナイフでノドを切り裂き、
血抜きのためにつり下げる。
頭を切り落とし、皮をはぎ、おなかを裂くと、
白い胃などの内臓が摘出される。
「おー、出てきた」
下の階で行われる作業の光景を、
ガラス窓越しに食い入るように見つめる子どもたち。

三重県松阪市の県などが出資する松阪食肉公社と、
隣接する県松阪食肉衛生検査所を、
同市立天白小学校6年生児童38人が訪れ、牛の解体を見学。

「銃から5センチの棒が出て、脳を挫滅したから、
牛はもう意識がなくて痛くないの。
次は、いかに早く血を抜くかが大切。
こうした作業を一つ一つきっちりしないと、いいお肉にならない。
せっかく牛からもらった命を食べるために、
みんな一生懸命に作業しています」

同検査所主任検査員で獣医師の山本友美さん(42)が説明。
牛や豚をおいしくて安全な食肉にする現場を見てもらおうと、
両施設ではここ数年、学校の見学を積極的に受け入れている。

同小が見学を始めたのは、4年前。
「給食で松阪牛を食べたい」という子どもたちのリクエストから、
地元食材について考えるうち、両施設の見学に行き着いた。
草分京子教諭(50)は、「食べることは、動植物の命をいただくこと、
いろんな人に支えられていることを学ぶ絶好の機会

事前に、検査所職員や生産者の話を聞くなど、基礎知識を学習。
当日、関係者が動物に対するそれぞれの思いを伝えるために
建てた獣魂碑にお参りした後、検査所で自分の心音を聴いたり、
牛の胃液に含まれる微生物を顕微鏡で見たりした。

「血がたくさん出たのはびっくり。作業が素早くてすごいと感じた」と
小谷直也君(12)。
最初は少し驚いた様子だった伊藤玲実さん(12)は、
「お肉を食べるため、お仕事してきれいにしてもらってるんだ。
感謝しないと」
草分教諭は、「子どもたちが見違えるように優しくなるんですよ」

独自の一貫教育を展開する自由学園男子部では長年、
構内で豚を飼育して業者に売り、その一部を給食で食べている。
どういう過程を経て、食材ができてくるのかを知り、
子豚を買い、大きく育てて売ることで経済観念を養うのが目的。

ペットとは一線を画し、名前はつけない。
掃除などの世話は、主に中学1年生が交代で行う。
豚にエサをあげていた小林未来野君(12)は、
「命を途中で断ちきり、食べるのは少しかわいそう。
最近結構かわいい」とやや複雑な表情だが、
山縣基教諭(34)は、「机上の勉強だけでなく、
実際の働きで苦労を経験し、工夫する心を養ってほしい」

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091103-OYT8T00311.htm

猊鼻渓・厳美渓1位 韓国人「次に行きたい東北」

(岩手日報 11月5日)

東北旅行の経験がある韓国人で、
「次に行きたい観光地」は猊鼻渓・厳美渓(一関市)が1位―。

東北観光推進機構(仙台市、幕田圭一会長)が行ったアンケート。
2回目以降、有名観光地巡りに飽き足りない意識がうかがえる。
リピーターも増える中、個人旅行への転換が急速に進む
外国人観光客の受け入れ態勢整備が必要。

アンケートは、「韓国・台湾マーケットに関する調査」として、
インターネットで実施。
来日経験がある韓国人331人、台湾人336人から回答、
10月に報告書を関係者に配布。

韓国人で、東北への訪問経験者は53人とサンプルは少ないが、
「訪問してみたい観光地」(複数回答)は、
猊鼻渓・厳美渓が43・4%。
弘前(39・6%)、青森ほか4カ所(37・7%)を抑えてトップ。
平泉・中尊寺は35・8%で、他の2カ所と並んで4位、
盛岡、花巻はともに32・1%、他の3カ所と並んで6位。

訪問経験がある観光地は、
①青森62・3%、②仙台41・5%、③弘前、福島32・1%―など
都市部や有名観光地が多い。

次に訪問してみたいのは、最上峡舟下り(山形県)、
男鹿半島(秋田県)なども上位、
体験型観光や「穴場」を望む意識がうかがえる。

台湾人が訪問してみたい観光地は、青森、十和田・奥入瀬、
仙台などが多く、猊鼻渓・厳美渓は盛岡などと並んで7位。

東北観光推進機構によると、
韓国人の旅行形態は団体やパック旅行から
個人への移行が急速に進む。

畠山広副本部長は、「有名な神社仏閣など、
より五感で伝わってくるものに満足度が高い。
海外個人客を呼び込むには、外国語の案内表記や
二次交通の充実が必要だ」と提言。

げいび観光センターの鈴木真専務は、
「パンフレットや売店の韓国語表記は遅れており、
対応しなければならない。
紅葉や桜の時季だけでなく、年間訪れてもらえる魅力をつくりたい」
と受け入れに意欲。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091105_16