2009年11月9日月曜日

動物と生きる(6)「障害者乗馬」ともに成長

(読売 11月4日)

障害を持つ子どもらに乗馬の楽しみを教えることで、
高校生も成長していく。

馬上から、「お母さーん」と何度も叫ぶ子。
馬からずり落ちかける子。
乗馬が待ちきれず、どこかに姿を消して戻ってきた子。
満面の笑みでバイバイする子。
近くでは、「○○君の担当はだれ?ちゃんと見てるのかな」、
「この子は今日はかんしゃくを起こした。
騒がしいのが苦手なんだっけ」などと高校生らが話し合いながら、
子どもの乗馬記録をテキパキとつけていく。

岐阜県北方町の県立岐阜農林高校乗馬場に、
岐阜市立岐阜特別支援学校の児童生徒約10人が
保護者と一緒にやってきた。
同高校馬術部が、毎月第4土曜日に開く「わくわく乗馬会」。
男女部員17人が、知的障害や自閉症などの障害を持つ
子どもらを介助し、順番に馬に乗せ、
1人あたり10分間、乗馬場を回る。

小学5年生の高橋裕明君(11)を連れて訪れていた
母親の百合さん(40)は、「息子は、馬に乗るのが楽しみ。
気兼ねなく、お兄さん、お姉さんに『ダメなことはダメ』と
言ってもらえるのもいい」
中学1年の中村真也君(13)と母親の佐千代さん(45)も、
「犬にはまだ近寄らないけれど、馬はほえないし、
優しい目をしているから、そばにいると落ち着くようです」

1998年、民間牧場から木曽馬2頭が譲渡されたのをきっかけに、
同高校に乗馬の同好会が誕生、2007年には馬術部が発足。
サラブレッド3頭も加わり、今年7月には、創部3年目にして
全日本高等学校馬術競技大会3位入賞という快挙。

その一方で取り組んできたのが、「障害者乗馬」。
馬とのふれあいや乗馬は、障害を持つ人に心身両面で
プラスの効果を及ぼす。
同高校動物科学科の三輪嘉文教諭(37)が、
「福祉活動にも役立てたい」と、04年ごろから本格的に
同支援学校との交流を始めた。
現在、同高校は日本障害者乗馬協会の岐阜支部。

馬術部副部長でセラピー担当のリーダー、瀬川里恵さん(16)は、
今年夏に先輩から会の活動を引き継ぎ、
県外の乗馬クラブに障害者乗馬の研修に出かけた。
その結果、「いろいろ遊んであげた方が効果があるらしい」と
自分たちで考え、ボール遊びや数字クイズを取り入れ、
一人一人のその日の様子を詳しい記録に残すようにした。
わからないことは、本などで調べる。
瀬川さんは、「小さい子も好きだし、馬と一緒に楽しむことが
できるのは喜びです」

三輪教諭は、「農林高校の生徒たちは、もともと自分たちで
課題を見つけ、試行錯誤しながら解決法を探る学習に慣れている。
大きな動物に乗ることで自信をつけ、障害者乗馬の手伝いで
さらに成長してくれるのでは

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091104-OYT8T00802.htm

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