(2009年10月31日 毎日新聞社)
◆開会あいさつ
◇総合生命科学部を来春新設--坂井東洋男・京都産業大学学長
京都産業大学(65年開学)が、社会の負託に応える大学、
社会の先端の課題に果敢に挑戦する大学として創設され、
今年で45年目。
04年、創設40年を迎えるのを機に、社会の負託に
どのようにして応えられるかという建学の精神に基づいた
中期将来構想を作った。
現在取り組んでいるのは、天文台の学内建設、
12月に竣工の予定。
宇宙への夢とともに、萎縮しがちなこの時代に、
宇宙的視野を持ってほしい。
06年、鳥インフルエンザ研究センターを設置。
この分野の第一人者である大槻公一先生を所長に迎え、
国内外の研究機関と共同研究を進める。
研究力、知見を生かし、来年4月には総合生命科学部を新設。
生命のなりたち、地球規模での環境変化が動物植物に与える影響、
動物と人間との共通の感染症--を考える三つの学科から成る。
ご理解とご支援をお願いします。
……………………………………………………………………
◇家庭、取引先、地域と連携--山本光世・JOHNAN専務取締役
京都府宇治市に本社があり、テレビや携帯電話の電子部品などの
組み立て、加工。従業員は、全国で1200人。
新型インフルエンザ対策は、08年3月から始めた。
従業員の生命・健康を守り、緊急時にもお客さま(取引先)に
商品を確実に届けるという社会的責任のため。
2カ月分の食料やマスクなどの備蓄などだが、
一番力を入れたのがマニュアル。
マニュアルでは、危機管理委員会を開催して
手洗い、うがいの奨励、マスクの装着などの対策内容を決める。
6月、弱毒性ウイルスだとして、対策を緩和した。
役員が指示しなくても、マニュアルに基づき社員が対策を推進。
仮に強毒性ウイルスが出ても、心強い。
自社でできることは限られ、家庭、お客さま(取引先)、
地域の企業と連携して対策を取る、という三つを推奨。
パートや正社員は、本人が感染したら出社を禁止し、
有給休暇や無給の休暇が4日以上になれば傷病手当を出し、
プラスアルファで一時見舞金を支給。
賞与が多くない社員、パートやアルバイトなど時給で働く人は、
体調が悪くても、無理をして出社し、感染が広がる可能性が。
本人の生活・健康を守ることと、出社しないことを促すことを
両立させる観点から手当てを行っている。
職場復帰の判断について、平熱が3日間以上続くのを基準。
出社時は、第三者が検温確認。
お客さま(取引先)と連携した対策とは、
共通の対策ルールを策定すること。
仮に、前の工程の取引先が対策を取っていなければ、
部品が納入されず、事業継続がむずかしくなる。
地域の企業と連携した対策とは、同じ地域に立地する
18社が協力、出社可能な従業員が互いの業務を助け合ったり、
倉庫や設備を互いに共有したりできないか、などの協議。
◇「陰性証明」の請求自粛を--酒井英雄・大阪府医師会副会長
医師会が、大阪府内の医療機関への要請について。
WHO(世界保健機関)が、警戒度をフェーズ5に引き上げた時、
医師会では府内でも感染者発生は避けられないとの
見通しに立って、対策本部を作った。
5月、カナダから帰国した府立高校生らの感染が確認、
府内の診療所の役割分担と、慢性疾患のある人への
薬の長期院外処方をマニュアル化。
神戸市で高校生が陽性、大阪・北摂を中心に中高生の感染が確認。
府医師会で抗インフルエンザ薬を持つ医療機関を調査すると、
5人分持っているという医療機関は7割。
検査キットが全くないという医療機関も3割。
新型インフルエンザに対する体制ができていなかったので、
卸業者に検査キットと、抗インフルエンザ薬の流通をお願いした。
府内では、「発熱外来はどこか」と問い合わせを受けた。
発熱相談センターの電話番号は広報したが、
発熱外来の場所は公表しなかった。
外来の場所が分かると、軽症の人も多数訪れて、
本当に医療が必要な患者を診察できなくなる。
センターには、一番多いときで8000本の電話がかかった。
3分の2は、「熱が出たかもしれない」というような内容。
医療機関に、インフルエンザの「陰性証明」を求める
学校や会社がある。
簡易検査キットで検査をして「陰性」だったとしても、
感染していないとは言い切れない。
奈良で行われたインターハイ(全国高校総体)では、
新型インフルエンザで学級閉鎖をした学校から出場している
生徒がいたが、出場のために、医療機関に陰性証明を求めた。
家族が新型インフルエンザにかかると、その親に対し、
勤務先が陰性証明を持って来るように求める場合も。
検査キットも不足している状況。
医療機関は、陰性証明を出さない。
皆さんも、医療機関に陰性証明を求めないでほしい。
◇重篤度に応じた分担重要--大下達哉・大阪府保健医療室副理事
大阪府では、海外で感染が報じられると、電話相談を開始。
成田空港の検疫で、府立高校の教員と生徒の感染が確認された際、
学校に「どう責任とるのだ」、「帰ってくるな」といった声が
寄せられるというバッシング被害。
5月、府北部の私立高校で患者が確認。
国の行動計画は、鳥インフルエンザ想定だったので、
原則隔離入院させていたが、厚生労働省と掛け合い、
軽症者は在宅で対応できるようにした。
橋下徹知事と舛添要一厚労相(当時)が協議、一斉休校も決めた。
その後、感染ピークは収まり、初期の封じ込めは成功。
封じ込めで、医療体制や予算を整える時間ができ、効果はあった。
7月から、府医師会の協力で感染対策をした全医療機関で
診療できるようになった。
遺伝子検査で一人の感染も見逃さないようにするという体制も、
その後、集団感染を把握する方針に変わった。
医療機関から、患者数の報告を受けている。
季節性では例年、定点当たりの患者数は12月から1月が多い。
今年は8月から上向き、現在は毎週約3万5000人の
新たな患者が出ている。
今後は、感染拡大の抑制、ワクチンの接種、
重症化を想定した受け入れ態勢の整備--といった対策が必要。
患者1人がうつす人数を1割減らせば、
感染者は総数で4分の1減る。
咳(せき)エチケットは、感染を広げないための取り組み。
症状が出たらマスクをしてほしい。
感染しないことも大切。
飛沫感染防止に手洗いとうがい、栄養を取ることが大切。
重症リスクの高い患者への対応は、透析医会、産婦人科医会に
受け入れを要請。
患者が増えると、診療窓口は混乱する。
開業医に対し、大規模病院に協力するよう要請。
新型患者の受け入れ可否を知らせる医療情報システムの
整備も進めている。
受け入れ余力には限度がある。
重篤度に応じた適切な役割分担が必要。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/2/110303/
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