2008年4月12日土曜日

異例のジャパン総力戦 新万能細胞iPSの真価/2

(毎日新聞社 2008年4月8日)

人工多能性幹細胞(iPS細胞)を、ヒトの皮膚から作ったという
山中伸弥・京都大教授らの発表から2週間後、
文部科学省の徳永保・研究振興局長は財務省で
担当主計官と向かい合っていた。
「国民の期待が高まっている。何とか上積みしてほしい」

iPS細胞は、再生医療を大きく前進させる可能性。
08年度予算の財務省原案内示まであと10日あまり。
徳永局長は、再生医療研究支援の概算要求額(15億円)の増額を求め、
大臣折衝を経て20億円が予算化。
「30年以上役人をやっているが、財務省査定で予算が増えたのは記憶にない」。

日本の科学技術政策に携わる者にとって、苦い思い出、
ヒトゲノム(全遺伝情報)解読計画」。
DNAに記録されたヒトの全遺伝情報を機械で読み取る構想は、
日本の研究者が提案。

だが、国としての支援が遅れた結果、
米国企業が読み取り装置を先行して開発、日本の貢献度は6%に。
「独創のタネはあっても、育てるのが下手」。
日本に押された烙印。

iPS細胞を巡る政府の対応は、「異例の早さ」。
ヒトでの作成発表から、わずか1カ月で文科省は総合戦略をまとめ、
今後5年間で100億円の支出を決めた。
基礎研究と距離を置く厚生労働省、経済産業省も支援策を決定、
「オールジャパン」態勢を整えた。
希望する研究者に、実費でマウスiPS細胞を分配する事業も始めた。

政府の支援策を検討した昨年12月の総合科学技術会議の前日、
議長の福田康夫首相も「支援策の説明を非常に熱心に聞いていた」。
誰も異論をはさめない「突出した成果」に加え、
「世界と競争しているという構図が理解しやすかった」
(須田年生・慶応大医学部教授)。

「異例」は、これだけではない。
日本では、胚性幹細胞(ES細胞)研究指針で、
ES細胞の利用に、国と研究機関の二重審査など厳しい規制。
「受精卵を壊す」という倫理問題に慎重に対応するため。

だが、総合科学技術会議はiPS細胞研究を進めるために
ES細胞研究は欠かせないとし、審査の簡略化を求めた。
「長年の議論を簡単に覆してよいのか」。
官僚の間には戸惑いもある。

一方、拒絶反応が起きない再生医療の細胞作りに有望とされていた
クローン技術などで、研究費打ち切りという事態。
「全体のパイはあまり変わらない。iPSに流れただけだ」。
世界との競争を背景に、iPS細胞研究は「錦の御旗」に。

山中教授は、「科学的な研究で、日本の独り勝ちはあり得ない。
すべての患者に役立つ治療につながる成果をいち早く出すこと」。
過去の失敗を教訓に、日本の生命科学研究は飛躍できるのか。
その岐路に立っている。
……………………………………………………………………………
◇iPS細胞研究への国の支援策

文科省は、研究の中核として京都大の「iPS細胞研究センター」や
東京大、慶応大、理化学研究所を拠点に選定し約10億円を投入。
若手研究者育成なども行う。
厚労省は、iPS細胞を使った医療の実現に向けた安全基準作り、
経産省は産業創出や特許管理支援などに取り組む予定。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=70542

穴通磯が親子洞門として、昭和12年の出版物に記載大船渡市立博物館で公開

(東海新報 4月6日)

大船渡市末崎町の碁石海岸を代表する「穴通磯」が、
今から71年前に発刊された出版物に、「親子洞門」の名称で掲載。
同市立博物館の特別展で紹介。

穴通磯を、親子洞門として紹介しているのは、
昭和12年(1937)4月発行の「史蹟名勝天然紀念物(第12集、第4号)」。
発行所は、文部省宗教局保存課内の史蹟名勝天然記念物保存協会。
穴通磯の白黒写真の下には、「碁石海岸の親子洞門」という説明文。

波の浸食による大きな三つの洞門は、
両親と子どもの親子三人を連想させるものだが、
親子洞門として掲載された経緯や当時の一般名称かは不明。

この写真と一緒に、「碁石海岸の三角洞穴」という説明文付きの写真も。
出版物には、地質学者の脇水鐵五郎理学博士が論文を寄せ、
昭和12年に碁石海岸が国の名勝・天然記念物指定に、
陸前高田市小友町の博物学者の鳥羽源藏氏とともに尽力した人物。
鳥羽氏の指定決定を、地元に知らせるはがきも展示。

穴通磯は、この指定範囲外にあるが、国立公園内に位置。
穴通磯が陸から観光できるようになったのは昭和40年代、
湾口防波堤へ続く道路ができてからのこと。

市商工観光物産課によると、昭和27~45年の市勢要覧に、
「穴通り」、「穴通し」、「穴岩」、「穴通し岩」の表記があり、
同46年の市勢要覧では、現在の名称の「穴通磯」。

博物館の特別展は、「碁石海岸ものがたり~春の章」と題し、
この穴通磯に関する資料のほか、クロコシジロウミツバメなど動物のはく製、
ヒサカキなど植物の写真や地下約300メートル付近で行われた
ボーリング標本など、約170点を展示、来月25日(日)まで。

http://www.tohkaishimpo.com/

エコナビ:再生可能エネルギーと新エネルギー どう違うの?

(毎日 4月7日)

再生可能エネルギー」、「新エネルギー」はどう違うのでしょうか?

再生可能エネルギーは、自然現象から生まれ、
何度も繰り返し使うことができるものを指します。
太陽光、風力、バイオマス(生物資源)、水力など。

新エネルギーは、再生可能エネルギーのうち、
国が特に導入を促進し、重点的に支援を行うもの。
太陽光などは新エネルギーで、
周辺環境に影響を与える大規模な水力発電などは含まれません。

新エネルギーは、「新エネルギー法」という法律で定義。
化石燃料由来の廃プラスチック発電や燃料電池など、
再生可能エネルギーでないものも含まれ、
定義を見直し、これらを除きました。

国内に供給されるエネルギーのうち、
新エネルギーが占める割合はわずか2%(05年度)。
温室効果ガスを大幅に減らすためには、
国の大胆な普及政策が必要。

http://mainichi.jp/life/ecology/news/20080407ddm016040014000c.html

インスリン分泌、たんぱく質が制御 糖尿病治療に貢献

(毎日新聞社 2008年4月6日)

血糖値を下げる「インスリン」を分泌する細胞は、
特殊なたんぱく質によって働き過ぎないよう調節されていることが、
岡芳知・東北大教授(分子代謝病態学)らの研究で分かった。
細胞の「過労死」を防ぎ、インスリン分泌能力を長持ちさせる
糖尿病治療法につながるとして注目。

インスリンは、膵臓にあるβ細胞から分泌。
「2型糖尿病」は、インスリンの分泌能力に対し、
ブドウ糖の過剰状態が続くことなどで発症。
過食などで血糖値が上がり、インスリンを大量に出し続けると、
β細胞が疲弊し、2型糖尿病を発症しやすい。

研究チームは、糖尿病マウスではβ細胞の活動を制御する
特殊なたんぱく質「4E-BP1」が増えることに着目。

マウスのβ細胞に、薬剤で糖尿病のときと同じような負荷を与えたところ、
4E-BP1が約10倍に増加、β細胞の活動を抑えた。
糖尿病で、4E-BP1を持たないマウスはβ細胞が減り、
一般的な糖尿病マウスと比べインスリン量は半分以下になり、
血糖値も急激に悪化。

石原寿光講師は、「4E-BP1と同じ働きをする薬剤ができれば、
インスリン分泌を極端に減らさない程度に投与し、
β細胞を保護する治療ができるようになる」。
米科学誌「セル・メタボリズム」に掲載。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=70489

2008年4月11日金曜日

日本の大学も早晩、環境対策が評価対象に?

(サイエンスポータル 2008年4月3日)

日経新聞の記事「本番・京都議定書-問われる実行力」(上)に、
国際的株価指数の構成銘柄から、旭硝子の名前が消えた事実が紹介。
理由は、「(構成銘柄の)選定基準に、温暖化ガス排出削減の
具体的な目標設定などを追加した結果」。
生産高当たりの排出量といったあいまいな削減では、
世界に通用しなくなっている例。

国際的株価指数とは「FTSE4Good」で、
英国のFTSEが社会的責任投資向けに開発。
FTSEというのは、英国の経済紙フィナンシャルタイムズと
ロンドン証券取引所の合弁会社。
欧州を代表する株価指数の発信元。

「FTSE4Good」は、FTSE株価指数の一つで、
この構成銘柄に選ばれるということは、
社会的責任に関する取り組みが基準を満たした企業と認められた。

社会的責任を果たしているかは、環境保全に対する取り組み、
ステークホルダーとの建設的関係の構築、
人権擁護の取り組みという3つの観点から判断。

旭硝子は、環境保全の温暖化ガス排出削減取り組みで引っかかった。
欧州社会が企業に社会的責任の遵守を厳しく求めていること、
日本企業も社会的責任について国際的な要求を満たさない限り、
生き残れない時代になっていること。

では、大学はどうか?
英国在住のフリーランス・コンサルタント、山田直氏の報告
「英国大学事情」が、英国の大学をめぐる興味深い動きを伝えている。

英国最大規模の大学・カレッジ学生ネットワーク「People & Planet」が、
英国の約120の大学の環境対策データを収集し、
ランキング結果を「People & Planet Green League 2007」と公表。

「環境政策を公表しているか」、「包括的環境監査が行われているか」、
「再生可能なエネルギー利用率」、「廃棄物のリサイクル率」、
「一人当たりの二酸化炭素(CO2)排出量」など、
数項目の評価を総合して点数を付けている。

例えば、ケンブリッジ大学は、再生可能エネルギー利用率22%、
廃棄物リサイクル率29%、一人当たりの二酸化炭素排出量2,349キロなど、
50点満点の40点、ランクは7位と評価。

「英国の大学における初めての環境対策ランキングであり、
関係者に大きな反響を与えた。
今後、大学の総合ランキングに環境対策も評価項目に入るだろう」

大学の評価は、研究論文の質量、研究成果の社会還元、知財活動、
競争的研究資金の獲得実績といった研究活動を判断するデータに
重点が置かれ、教育活動や地域への貢献などを加味。

これからは、社会的責任をどれだけ果たしているかが
より厳しく問われることになる。
環境保全に対する取り組み実績も、大学の総合評価の重要な判断材料に。

山田直氏「英国大学事情2008年第4号【大学のエコ・キャンパス促進活動】

http://www.scienceportal.jp/news/review/0804/0804031.html

体の変化:「やせにくくなった」 実感する年齢、平均32.4歳

(毎日 4月4日)

30~40代男女が「やせにくくなった」などと
「体の曲がり角」を感じる年齢は平均32・4歳。
ノボ・ノルディスク・ファーマのアンケートで分かった。

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策として
4月から始まった特定健診・保健指導(メタボ健診)は40~74歳が対象、
30歳前後から自分の生活習慣に関心を持つ必要がありそう。

仕事を持つ30~40代の男女1268人を対象に、インターネット調査を実施。
「体を動かす量は変わらず、食事量は減ったのに体重が減らなくなった」など、
加齢に伴う体の変化を経験した人は679人。

体の変化を感じた年代は、30代前半が240人(35・3%)で最も多く、
30代後半が155人(22・8%)、20代後半が132人(19・4%)。

体の変化を経験しても、263人(38・7%)は体を動かす量も
食事量も変えなかった。

変えない理由として、約3割が
「ストレスがあり生活習慣を変える余裕がない」と回答。
今後生活習慣を変えるきっかけ(複数回答)については、
「健康診断の結果」(37・3%)や「服のサイズが合わなくなったら」(28・5%)、
「仕事のストレスが軽減されれば」と答えた人も26・2%。

責任ある仕事を任されるようになる年代では、
疲労やストレスで生活改善が難しい実態も浮き彫りに。

http://mainichi.jp/life/health/archive/news/2008/04/20080404ddm013100004000c.html

ヤマナカ、世界動かす 新万能細胞iPSの真価/1

(毎日新聞社 2008年4月7日)

人工多能性幹細胞(iPS細胞)を人の治療につなげようという競争は、
06年初夏に始まった。
山中伸弥・京都大教授が、マウスの皮膚からiPS細胞を作ったと発表。
世界有数の幹細胞研究の拠点、米ハーバード大にも大波が打ち寄せた。

「あのころは、エレベーターでも『ヤマナカ、ヤマナカ』と持ちきり。
だれも思いつかない方法で、教科書を書き換える成果を上げた」。
同大で幹細胞を使った腎臓病の解明に取り組む長船健二さん(37)。

それから2年、同大幹細胞研究所は患者自身のiPS細胞を既に作成。
同研究所で、iPS細胞研究に取り組むコンラッド・ホッケドリンガー准教授は
「難病の治療や解明に役立つノーベル賞級の成果に、
米国の多くの研究者がいや応なく巻き込まれた」。

iPS細胞に反応したのは研究者だけではない。
米ホワイトハウスは07年11月、ヒトiPS細胞作成が発表された当日に
「倫理的な研究の前進に大変喜んでいる」と異例の声明。
ブッシュ大統領は、今年1月の一般教書演説で
「医学の未開拓だった分野へと広がっていく。資金援助したい」。

ローマ法王庁(バチカン)も、
「人(受精卵)を殺さず、多くの病気を治すことにつながる重要な発見」。
いずれも、受精卵を壊して作る従来の「胚性幹細胞(ES細胞)」研究に反対。

政治、宗教にも対応を迫る科学の発見。
ハーバード大幹細胞研究所を率いるダグラス・メルトン教授は、
「大胆な実験によって得られた近年では、非常に重要な成果。
ヤマナカは、壁かもしれないところをたたいて回り、新しいドアを見つけた」。
米タイム誌で昨年、「世界に影響を与える100人」に選ばれた
世界的な幹細胞研究者は称賛を惜しまない。

同大の幹細胞研究所を歩くと、アジア系、ヒスパニック系など
さまざまな人種の研究者と出会う。
患者自身のiPS細胞を作ったチャド・コーワン准教授は、
「欧州の友人も、iPS細胞研究を始めた。
従来の幹細胞に比べ大幅に扱いやすいので、
世界中の大学で、この技術を教え始めるだろう」。

iPS細胞は、特別な研究者、機関でなければできなかった
研究の敷居を下げた。

この分野の研究が、世界各地で進展することを意味。
米カリフォルニア州は、今後10年で幹細胞研究に約3000億円を支援。
山中教授と同時に、ヒトiPS細胞作成に関する論文を発表した
米ウィスコンシン大のジェームズ・トムソン教授は昨年末、
「iPS細胞はすべてを変えたが、これだけで難病治療が成功するとは限らない。
選択肢が出てきた今こそ、ES細胞などの研究を進めることが必要」。

米国だけでも、iPS細胞だけでもない。
新万能細胞の登場をきっかけに、世界が大きくうねり始めた。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=70502

2008年4月10日木曜日

ラットの「記憶」はヒトとは違う

(Science 2008年4月4日)

ラットは、チーズのかけらを発見してからどれくらい時間が経過したかを
把握することができるものの、
いつ発見したかについて記憶を構成することはできない、
ということが明らかに。

ラットやアメリカカケスが貯蔵、発見した様々な食べ物のことを
記憶していることは、過去の研究でも示されているが、
これらの動物がその出来事の正確な時間を覚えているのか、
その出来事から経過した時間がきちんとわかっているのかどうか
については不明であった。

William Robertsらは、一日のうち特定の時間を設定し、
ラットが放射状迷路の分岐した各枝に到達する頻度を調べる
という実験を計画した。
分岐した迷路の各枝部には通常のペレット食を設置したが、
そのなかの一本だけにはラットの大好物であるチーズを設置。
ラットは、再び迷路に戻されたが、ある時にはチーズが撤去され、
それ以外の時は設置。

あるグループのラットは、最後にいつチーズを見たかを
思い出すことでチーズが手に入るかどうかどうかを予想できたが、
別のグループのラットは最後にチーズを見てから
どれくらい時間が経ったかを辿ることで予想できた。

その結果、どれくらい時間が経過したのかを辿ることのできる
グループの方がはるかに成績が良く、
ラットのエピソード的記憶には、ヒトとは異なり、ある出来事が起った
過去のある時点を記憶する能力はないことが示唆。

"Episodic-Like Memory in Rats: Is It Based on When or How Long Ago?,"
by W.A. Roberts; M.C. Feeney; K. MacPherson; N. McMillan; E. Musolino
at University of Western Ontario in London, ON, Canada; M. Petter at Dalhousie University in Halifax, NS, Canada.

http://www.sciencemag.jp/highlights.cgi?_issue=102#433

赤ちゃんの2割が不足 ビタミンD、骨に影響 京大講師が1120人調査

(共同通信社 2008年4月1日)

国内の新生児の2割は、丈夫な骨をつくるのに必要なビタミンDが
不足しており、母乳だけで育てると、粉ミルクの場合と比べ
欠乏状態が長引く可能性があるとの調査結果を、
京都大の依藤亨講師(小児内分泌学)が発表。

ビタミンDは、日光を受けて皮膚内でも合成される。
欠乏すると、骨が曲がる「くる病」などを発症する恐れもある。

依藤講師は、「母乳は望ましい栄養だが、ミルクに比べて
ビタミンDが少ない。不足分を十分に補えない可能性があり、
赤ちゃんに短い日光浴をさせるなど配慮が必要」。

京都市内の生後5-7日の新生児1120人を対象に、
ビタミンD欠乏の目安と考えられる頭の骨の軟らかさを調べたところ、
22%(246人)が不足気味と判明。
日照が少ない時期に妊娠期間を過ごした4、5月生まれの新生児は、
30%前後と高かった。

1カ月後に追跡調査すると、ビタミンDを添加したミルクや母乳を
組み合わせた育児と比べ、母乳だけの方が不足の度合いが高かった。
「妊娠中のお母さんは、短い日光浴をしてほしい。
魚の脂など、ビタミンDが多く含まれた食事も有効」。

▽ビタミンD欠乏症

魚や卵、キノコなどに多く含まれるビタミンDには、
カルシウムの吸収を促進する機能があり、
不足すると骨が変形する「くる病」や、骨がもろくなる骨粗しょう症を
引き起こす恐れがある。
免疫調整作用に異常をきたし、1型糖尿病などを発症する可能性。
ビタミンDは、日光を浴びることでも合成される。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=70147

町ぐるみでスポーツ 総合型クラブ設立目指す

(東海新報 4月4日)

総合型地域スポーツクラブ未設置の気仙地区
国と県が22年度までに、各市町村に最低一つは設立を目指す中、
住田町では創設に向けた具体的な動きが進んでいる。

総合型地域スポーツクラブは、種目や年齢、技術レベルに多様性を持ち、
誰もがさまざまな競技へ自由に取り組める場を提供、地域が運営主体。
生涯スポーツの普及を目指す国が設立を推進。

住田町での創設目的は、「地域による自主的な運営のもと、
子どもからお年寄りまで誰もがいつでも参加でき、
クラブを中心に人と人とが豊かにつながり合う新しいコミュニティづくり」。

昨年3月と10月の2回、クラブ創設を後押しする
県広域スポーツセンターの事業により、
岩手大学の浅沼道成准教授、葛尾ふみ同センター専任指導員を招き、
町内の体育指導員、体協関係者とともに研修を実施、
クラブのあり方や運営形態について学んだ。

今年3月、日本体育協会が文部科学省の委託を受け、
クラブ設立を支援する「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」の
補助を受けるべく申請。

同事業は、年間100万円を限度に、設立に向けた準備委員会の
立ち上げやスポーツ教室開催、広報活動などを支援。
町では採択された場合、21年度か22年度の創設を目指して
準備委員会設置などを進めたい考え。

町教委生涯学習係の村上初男社会教育主事は、
「総合型クラブの考え方は、町内に浸透していないのが現状。
より一層PRを強めるとともに、地域型のクラブにするか町全体型にするか、
どのような形が好ましいかを検討していきたい」。

内では19年度末現在、13の市町村に34クラブが創設

http://www.tohkaishimpo.com/

2008年4月9日水曜日

ソーシャルビジネス育成に法的支援も

(サイエンスポータル 2008年4月4日)

高齢者・障害者の介護など社会的な課題解決を事業として担う
「ソーシャルビジネス」を日本でも育成、支援することが必要とする
研究会の報告書を経済産業省が公表。

少子高齢化の進展や人口の都市部への集中などにより
高齢者・障害者の介護・福祉、青少年・生涯教育、町づくり・町おこし、
環境保護、貧困問題といった社会的課題が、顕在化。
行政だけでは対応できなくなっていることから、
民間で課題解決に当たるソーシャルビジネスの役割が大きくなっている。

国内のソーシャルビジネスの市場規模は、約2,400億円、
事業者数は約8,000、雇用規模は約3万2千人。
NPO法人が約半数を占め、営利法人(株式会社・有限会社)は約2割、
NPO、会社ともソーシャルビジネスを進めるにはそれぞれ制約がある。

ソーシャルビジネスの認知度が非常に低い。
株式会社は出資を受けられるが、NPO法人は出資を受けることができない。
NPO法人は、社会性のある活動を取り組む法人格として
一定の外部説明力があるが、
株式会社の場合は営利目的の組織と見なされがちといった制約。

こうした問題を解決するため、
社会性と事業性を兼ね備えた組織に対し新たな法人格を与え、
国の信用力をもってソーシャルビジネス事業者の信用を補完するとともに、
資金調達の面でも便宜を図る法制度を構築することを提言。

ソーシャルビジネスが発展している英国では、社会的企業向けに
コミュニティ利益会社(CIC:Community Interest Company)
2004 年に創設、社会性がある活動と認知されて
収益事業を行っている団体が1310ある。

英国のソーシャルビジネス規模は、事業者数約55,000、
市場規模約270億ポンド(約5兆7千億円)、雇用規模は約77万5千人。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0804/0804041.html

マグロペプチド:血合肉を精製し血圧下げ効果、商品開発へ

(毎日 4月2日)

はごろもフーズと焼津水産化学工業が、
マグロの「血合(ちあい)肉」から精製した「マグロペプチド」に
短時間で血圧を下げる作用があることを確認。
日本水産学会春季大会で成果を発表。
成分を生かした健康食品などの商品開発を目指す。

血合肉のたんぱく質を特殊な酵素で分解して作ったマグロペプチドを、
高血圧ラット6匹に体重1キロあたり0.1グラムずつ与え、
与えない高血圧ラット6匹と比較。

その結果、6時間後の最高血圧は平均14mmHg、
最低血圧は同8mmHgペプチドを与えた方が低くなった。

血合肉は、マグロのツナ缶詰の製造過程で出る暗赤色の部分。
栄養価は高いが、色やにおいがきついため、
主に味付きフレークやペットフードに加工。
世界的なマグロ価格の高騰を受け、有効活用策を共同研究。

はごろもフーズバイオ営業部の名倉洋輔さんは、
「安価な血合肉が原料のため、血圧降下作用のある商品を
安く提供できるのではないか」と期待。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080403k0000m040083000c.html

海フェスタ、大型船舶が夢の共演 大船渡

(岩手日報 4月5日)

大船渡市を主会場に開かれる「海フェスタ」(7月19―27日)の期間中、
大船渡港に豪華客船「飛鳥Ⅱ」が入港することが決まった。
初代「飛鳥」から17年連続21回目の入港で、
世界最大級の練習帆船「日本丸」との「共演」が実現。
深海調査研究船「かいれい」大型しゅんせつ兼油回収船「白山」などの
入港も続々と決まり、大型船舶がフェスタを盛り上げる。

飛鳥Ⅱ(5万142トン)は、全長241メートルの日本最大の豪華客船。
7月20日に乗務員、乗客約1300人を乗せて横浜港を出港。
釧路経由で23日午前10時に大船渡港に入る。
野々田埠頭では、「日本一の歓迎」として有名な市民挙げての
歓迎式典を実施。午後5時には盛大な出港セレモニーも行う。

日本丸の入港は19日。
23日午後2時に出港予定で、数時間だけだが同港に
飛鳥Ⅱと日本丸がそろい、同時に見学もできそう。

深海7千メートルまで潜航できる「かいこう7000Ⅱ」の母船で、
海溝型巨大地震の研究などで活躍している
かいれい」(4628トン)は19日から3日間、
流出油災害時に現場で油回収に当たる「白山」(4185トン)は
24日から4日間寄港。
いずれも一般公開などを予定。
海上保安庁の巡視船や自衛艦など期間中は数多くの船舶が入港予定。

市海フェスタ開催推進室の武政久夫室長は、
「船舶の一般公開や体験航海なども予定しており、
多くの子どもたちに海の素晴らしさを感じてほしい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080405_14

2008年4月8日火曜日

将来の病気分かる 心のケア、情報保護を 遺伝子検査の現状・課題

(東京新聞 2008年4月1日)

生命の設計図ともいわれる遺伝子を調べれば、
将来の病気の発症を予測できる場合がある。
だが、知ることで本人や家族が不安になることも。
糖尿病、ハンチントン病、筋ジストロフィー、がん…。
遺伝子検査で多くの情報が入手可能になったいま、
心のケアや個人情報保護の取り組みが大切。

4年前に開設され、検査についての相談が月に延べ100件を超すという
東京女子医大付属遺伝子医療センターで話を聞いた。

遺伝情報は極めて私的な情報で、時間がたっても
検査結果が変わることはない。
家系内で遺伝子が共有され、検査を受けた本人だけでなく
家系全体にも意味を持つ。
将来の発症の可能性を予測できるため予防措置をとることができ、
発症しないと分かった人は不安がなくなる、という利点。

一方、「将来が分かってしまう」ことを求めない人の
「知らないでいる権利」を尊重する必要がある。
将来発症が予測されることで、差別につながる恐れも。

東京女子医大付属遺伝子医療センター所長の斎藤加代子教授は、
「患者や家族を心理的にサポートする遺伝カウンセリングの役割が重要」。 

斎藤教授が症例として挙げたのは、ハンチントン病の発症前診断。
遺伝によって発病し、体が勝手に動いたり認知症になったりする難病。
母親が発症した中年の女性が相談に訪れた。
この女性には、夫と子ども3人がいる。
自分も将来発症するのでは、と10年以上思い悩んでいた。
発症前診断を受けたいと強く希望、説明や心理評価、意思確認を9回実施。
夫にも来てもらい、発症した場合の生活設計などについて考える。

検査の結果、発症の可能性があることが判明。
女性は一時落ち込んだが、カウンセリングを続けたことで落ち着いた。
夫も、「発症しても自分が支える。自宅の改造やソーシャルワーカーを
付けることも考えている」と前向きに受け止め、夫婦間のきずなが深まった。

斎藤教授は、「結果が陽性と分かったとき、どのように受け止めるか、
将来をよく考えているかなど検査前に心理面接をして分析。
患者は十分な説明を受け、同意するかどうか決める。
検査後の長期的なフォローも大事」。

センターへの相談は、出産前の相談が多いため約6割は女性から。
年代では30代が目立つ。男性は40~50代の働き盛りが多い。
新規の相談は、月に30~40件、
その半分が心理面接や説明の過程で検査を受けるのをやめる。

遺伝子検査は簡単。血液を採取して調べるだけ。
早ければ三日で遺伝情報が分かり、薬の副作用の予測など体質検査まで利用。

遺伝情報では、プライバシー権が重要。
がんや心臓病、糖尿病などを遺伝子検査で予測できるようになると、
入社時や職場の検診で行われる恐れがあり、
採用拒否や解雇につながる可能性がある。
斎藤教授は、「いまは法的な規制がない。
知らない間に他人に遺伝情報を知られてしまうことも考えられ、
プライバシー権尊重への対応がこれからますます大切になる」。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/technology/science/CK2008040102000082.html

環境省:野外イベント・スポーツなど、参加者もエコ活動を 第三者機関で認証へ

(毎日 3月31日)

プロスポーツやコンサート、演劇などで実施される
温室効果ガス排出削減などの環境配慮活動を、
第三者が認証・登録する仕組みを環境省が作る。
7月までに実施指針をまとめる。
サッカーのJリーグや劇団四季などが参加する方向。

7月の北海道洞爺湖サミット開催で、高まる国民の環境意識を
持続させる狙いで、野外イベント、スポーツ、文化芸術の3分野で実施指針。

開催前の計画段階での取り組みを審査・認証し、
開催当日に再び審査。
イベント参加者に働きかけ、環境行動に巻き込む具体策が
計画に盛り込まれているかどうかを重視。

環境省所管の財団法人「地球環境戦略研究機関・持続性センター」
認証にあたる第三者機関。
認証制度に基づく温室効果ガス削減実績を排出枠として
売買する制度の創設も検討。

対象事業場の二酸化炭素や廃棄物排出量、水の使用量などを点検し、
重点的に取り組む分野を把握。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/03/31/20080331dde001010057000c.html

特集:メタボ健診、きょうスタート 健康増進、新たな一歩

(毎日 4月1日)

新年度から、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した
特定健診・保健指導(メタボ健診)が始まる。
メタボ該当者・予備群に生活習慣改善を促すことで、生活習慣病の
発症や悪化を予防し、医療費削減を目指す世界でも例のない制度。

◇生活習慣病、患者減を目標に

特定健診・保健指導は、「内臓脂肪の蓄積が糖尿病や高血圧、
脂質異常などの共通の原因」との考え方に基づく新たな生活習慣病対策。
日本内科学会などが発表した、メタボリックシンドロームの診断基準が基本。
腹囲、BMI(体格指数)が基準を超えたメタボ該当者・予備群などに対し
保健指導を実施。

生活習慣病の医療費は、国民医療費の3分の1。
生活習慣の変化などから、脳卒中や心筋梗塞などの発症の危険性が
高くなる糖尿病患者らが急増。
医療費削減に、こうした疾患の発症や悪化予防が欠かせない。
2015年までに、生活習慣病患者・予備群の25%減(08年比)を目指す。

注目したのが、「内臓脂肪型肥満」。
内臓脂肪を、食生活や運動などによって減らすことで、
内臓脂肪蓄積の結果として起こる血糖や血圧、脂質の異常が解消できる。
生活の質の向上と、医療費抑制の実現も期待。

住民健診は、これまで市町村が実施していたが、
特定健診・保健指導は医療保険者(市町村や健康保険組合)に実施義務。
対象は、40~74歳の医療保険加入者約5600万人(妊婦などを除く)。
市町村国保加入者には市町村が実施し、健康保険加入者には
職場健診と兼ねて実施。

従来の健診や保健指導と大きく違うのは、目的や評価方法。
これまでは、病気の早期発見を目指し、実施回数や参加人数が評価。
新制度では、内臓脂肪蓄積者を見つけ、改善に結び付けることが目標。
評価方法も、「生活習慣病患者、予備群が減ったか」という結果が問われる。

12年度までに、メタボリックシンドローム該当者や予備群の10%減少が目標。
達成できない保険者には、後期高齢者医療制度への財政負担が
最大10%加算。
保険料の値上げなどが必要になり、保険加入者の負担増になる可能性。

◇「積極的支援」「動機付け支援」「情報提供」に分類、食事や運動を実践的に

特定健診の項目は、従来の住民健診(基本健診)項目に、
腹囲とLDL(悪玉)コレステロールを加えた。
腹囲は、内臓脂肪の蓄積の程度を反映。
血圧測定、血液検査(脂質、肝機能、血糖)、尿検査(尿糖、尿たんぱく)、
問診や身体計測(身長、体重、腹囲)を実施。
腹囲かBMIが基準を超え、他の検査に一定の異常があった人は、
特定保健指導の対象。

前年度の健診で血圧、血糖、脂質、肥満(腹囲かBMI)の4項目すべてが
基準以上になった人は、心電図検査や眼底検査を受ける場合。

特定保健指導には、生活改善の方法を指導する「積極的支援」と、
自分自身で改善できるよう助言などをする「動機付け支援」。
基準以上の項目が多い人が「積極的」、少ない人が「動機付け」の対象。

例えば、男性で腹囲85センチ以上の人は、
血糖、血圧、脂質のうち2項目で基準以上になると「積極的支援」、
1項目だけ基準以上で喫煙歴がない場合は「動機付け支援」。
腹囲やBMIが基準未満の場合は「情報提供」、
生活習慣見直しのきっかけとなるような資料が送付。

「積極的支援」は個別面接、グループ支援、電話、電子メールなど
さまざまな方法を組み合わせて3カ月以上実施。
初回は保健師、管理栄養士らが面接。
対象者に健診結果の意味を理解し、生活習慣を振り返りながら
行動目標・行動計画を作成。

食事や日常生活の中での運動の仕方などを実践的に学んだり、
メールなどで計画の実行状況の確認を受けたりする。

支援の方法、時間ごとに「ポイント数」が定められ、
最低限実施しなければいけない「合計ポイント数」が決まっている。
6カ月後に、検査値や生活習慣がどの程度改善したかなどを評価。

「動機付け支援」は、面接1回が原則。
行動計画などを作り、約6カ月後に成果を評価。
血圧や血液検査の検査値が「受診勧奨値」に該当する場合、
健診機関の医師が医療機関受診の必要性の有無を判断。
病気の恐れが高く、医療機関の受診を勧められるケースが多い。
==============
◇夢実現へ-よく食べ、よく寝て、よく動く--日本栄養士会専務理事・二見大介さん

特定健診・保健指導は、国民一人一人の立場からすると、
「どういう生き方をしたいのか」と問われている制度。
「健康でいること」は、人生の目的ではありません。
生活の質の向上、さまざまな夢や理想を実現するための手段。
これを理解しなければ、健診と保健指導を受けても、
継続的に自分の生活を改善する原動力にはなりません。
理想に向かっていくための手段として健診、保健指導を利用し、
自分の生活の見直しに結び付けていく必要。

では、生活改善のためにはどんなことが必要か?
基本は、「よく食べ、よく寝て、よく動く」。
栄養、休養、運動のバランスがよければ、健康な状態を保てます。
全部同時に完ぺきな生活にするのは無理。
自分で問題点を明らかにし、改善の優先順位をつけ、
できることから始めることが必要。

栄養学で、「主食、主菜、副菜」という考え方。
もし自分の食習慣は、おかずばかりで主食が欠落していた、
主食と副菜しかなく、メーンになるおかずがほとんどないことが分かれば、
まず1食の中でこの三つをそろえることから始めましょう。
「やればできる」という自信が出てきたら、
今度は3食それぞれをバランスよく取るようにすればいい。
食事、運動がうまく連動するようになれば、必然的に休養も取るようになる。

保健指導を受けた後、いい方向に向き始めた生活を
自分自身の力で保つには、「体を動かす習慣」がポイント。
体を動かせば、おなかをすかせた状態になり、
食の選択の間口が広くなります。
多少好みでないものも食べ、バランスのよい食生活に。

体を動かすとは、スポーツだけでなく、
生活の中で体を動かす工夫をする。
車ばかり使うのではなく、歩いて買い物にいく。
掃除も、はたきをかけたり、ぞうきんがけなど
普段使わない筋肉を使うような作業を心掛けましょう。
「こうしなさい」と指導されたら、なかなかやる気が起きないが、
夢の実現のためと思えば、自分に少し負荷をかける生活も実行できる。
==============
◆特定健診の項目◆
<基本的な健診>
(1)問診
 薬の使用の有無、病歴、運動習慣、喫煙習慣など
(2)身体計測
 身長、体重、BMI、腹囲(内臓脂肪面積)
(3)身体診察
(4)血圧測定
(5)血液検査
 脂質(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)
 肝機能(AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP)
 血糖(空腹時血糖(HbA1c))
(6)尿検査
 尿糖、尿たんぱく
<詳細な健診>*一定の基準に基づき医師の判断で実施
(1)心電図検査
(2)眼底検査
(3)貧血検査
……………………………………………………
◆受診勧奨値◆
血圧:収縮期140ミリHg以上、拡張期90ミリHg以上
中性脂肪:300ミリグラム/デシリットル以上
HDLコレステロール:34ミリグラム/デシリットル以下
LDLコレステロール:140ミリグラム/デシリットル以上
空腹時血糖:126ミリグラム/デシリットル以上
HbA1c:6.1%以上
AST(GOT):51U/l以上
ALT(GPT):51U/l以上
γ-GT(γ-GTP):101U/l以上
血色素量:男性12g/デシリットル以下、女性11g/デシリットル以下

http://mainichi.jp/life/health/archive/news/2008/04/20080401ddm010040145000c.html

チベット問題:五輪開催支援などの声明承認 ANOC

(毎日 4月7日)

世界205カ国・地域の国内オリンピック委員会で構成する
各国オリンピック委員会連合(ANOC)は、総会が開幕。
すべての加盟国・地域の北京五輪参加や、
中国のチベット問題解決への期待などを宣言する声明を満場一致で承認、
国際オリンピック委員会(IOC)理事会との合同会議に提案。

声明には、北京五輪開催を全面的に支援する、
すべての国・地域が北京五輪に参加し大会に貢献する、
大会を政治的に利用することを拒否する、
中国政府が対話と理解を通じ、チベットにおける内政問題の
解決に努めると確信する。

チベット問題の解決は、要求ではなく「確信」と表現することで、
中国に配慮したとみられる。
チベット問題に関する議論では、十数カ国が発言。
「政治とスポーツは異なる問題」、
「我々には選手の五輪参加を保証する責任がある」など、
五輪への影響を懸念する声が相次いだ。
IOCやANOCが明確な姿勢を示すことで、
選手や関係者の不安を軽減するよう求める声も。

総会の冒頭では、IOCのロゲ会長もあいさつのなかで、
チベット問題の平和的解決や、各国のボイコット回避と
北京五輪出場を訴えたほか、聖火リレーに対する妨害行動を批判。
IOC理事会でも、引き続きチベット問題が議論される見通し。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20080408k0000m050103000c.html

2008年4月7日月曜日

全国運動テスト:体育も調査 小5と中2、生活習慣と併せ分析

(毎日 4月2日)

文部科学省は、すべての小学5年生と中学2年生を対象にした
「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」を08年度から毎年実施。
43年ぶりに07年復活した「全国学力・学習状況調査」
(全国学力テスト)のスポーツ版
結果を分析し、都道府県別の平均値などを12月に公表。

全児童・生徒を対象としたスポーツテストは初めて。
文科省は、市町村教委を通じて各校の参加意思を確認。
参加校は4~7月の間にテストを実施。

小5の実技調査は、握力、上体起こし、座った状態で前屈する長座体前屈、
反復横跳び、二十メートルシャトルラン、五十メートル走、立ち幅とび、
ソフトボール投げの8種目。

中2も8種目だが、ソフトボール投げはハンドボール投げに替わり、
二十メートルシャトルランは持久走との選択制。

併せて、生活習慣や食習慣、運動習慣などを調査し、
実技の結果との関連を分析する。
08年度は約240万人が対象。
文科省生涯スポーツ課は、「子供の体力低下が課題となっており、
現状をきめ細かく把握・分析する必要がある。
競争を助長しているわけではない」

http://mainichi.jp/life/health/news/20080402ddm041100158000c.html

気象庁が21世紀末の日本の気候変化予測

(サイエンスポータル 2008年3月28日)

気象庁が、地球温暖化による21世紀末の日本付近の
気候変化を予測した結果を公表。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が作成したシナリオのうち、
排出量が比較的多いA1Bシナリオと、排出量が比較的少ない
B1シナリオの2つで予測した結果。

これまでのIPCC報告書には、日本の研究成果が相当反映され、
報告書の執筆にも多くの日本人研究者がかかわっている。
今回の予測結果は、専門家の想定内。

気象庁によると、21世紀末の日本付近の気候は20世紀末に比べ
次のように変化すると予測。

寒候期(12~3月)の平均気温は、高緯度ほど大きく上昇。
上昇量は、A1Bシナリオの場合、北海道で3℃以上、
東北から西日本では2~3℃、沖縄・奄美では1.5℃。
B1シナリオの場合、北海道で1.5~2℃、他地域で1~1.5℃。
降雪量は、排出シナリオにかかわらず東北以南で減少、
北海道の標高の高い地域で増加。

年平均海面水温は、A1Bシナリオの場合100年あたり2.0~3.1℃、
B1シナリオの場合100年あたり0.6~2.1℃上昇。
海面水温の上昇は、日本南方海域より日本海で大きい。
年平均海面水位(海水の熱膨張による寄与のみ)は、
A1Bシナリオの場合100年あたり9~19cm、
B1シナリオの場合100年あたり5~14cm上昇。

A1Bシナリオは、すべてのエネルギー源のバランスを重視しつつ、
高い経済成長を見込んだ場合となり、
昨年11月の第4次報告書で、2100年の二酸化炭素濃度は717ppmと予測。
現在(2005年)の濃度は、379ppmだから1.9倍に増える。
世界の平均気温の上昇は約2.8℃、海面の平均水位上昇は21~48cm。
日本付近の平均水位上昇は、IPCCの世界平均予測をだいぶ下回るが、
気温上昇は北海道など一部で、世界平均を上回るところが出てくる。

B1シナリオは、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する
社会を想定、第4次報告書では、2100年の二酸化炭素濃度は549ppmと、
現在の1.45倍増。気温上昇は1.8℃で、海水面は18~38cm上がると予測。
気象庁の予測による日本付近の気温上昇は、
IPCCによる世界平均予測値と同程度、海水面上昇はIPCCによる
世界平均予測よりは低いという結果。

さて、それでどうなのかということである。
山本良一・東京大学生産技術研究所教授は、国際シンポジウム
「地球温暖化と低炭素・循環型共生社会への道」で基調講演。
「3つのシナリオが、世界的に議論されている。
平均気温上昇を3℃以下にとどめる、二酸化炭素濃度で550ppmで
安定化する、というシナリオが政治的コンセンサスをとりやすい。
しかし、これでは地球上のどこでも大きな影響が出てしまう。
世界エネルギー機関(IEA)は、2030年までにあらゆる経済政策、
革新的技術を総動員して二酸化炭素の排出をさらに削減する必要がある
というシナリオを提示。
大変な努力を要するが、これをやるしかない」

気象庁の予測に使われた「すべてのエネルギー源のバランスを重視しつつ、
高い経済成長を見込んだ」AIBシナリオを前提とした温暖化対策、
二酸化炭素濃度を549ppmで安定化させるというB1シナリオでも
対策はまだ不十分。

http://www.scienceportal.jp/news/review/0803/0803281.html

肥満に関係するたんぱく質の構造解明

(朝日 2008年04月01日)

食べ過ぎた食物を脂肪に変える時に働くたんぱく質複合体の構造を、
理化学研究所播磨研究所の国島直樹・上級研究員らのグループが解明。
このたんぱく質を活性化する酵素の働きを妨害できれば、
肥満など生活習慣病の予防が期待。
米専門誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」電子版に発表。

炭水化物や糖などを脂肪に変える反応で働く特定のたんぱく質は、
BPLとよばれる酵素の仲介で、
ビタミンの一種ビオチンと結びついて活性化し、脂肪の合成が始まる。

このたんぱく質がつくれないマウスは、食べ過ぎても太らない。

たんぱく質が活性化する様子を知るには、たんぱく質、ビオチン、BPLが
結びついた複合体の立体構造を調べる必要。

研究チームは、短時間で形が変わる複合体を、安定化させる工夫をして、
大型放射光施設「SPring8」(スプリング8)で構造を解析

BPLの立体構造の一部が活性化の前後で大きく変わり、
たんぱく質の活性化に重要な役割を果たしていることがわかった。

http://www.asahi.com/science/update/0401/OSK200804010006.html

2008年4月6日日曜日

ミトコンドリア異常でがん悪性化 筑波大チームなど解明

(朝日 2008年04月05日)

がん細胞にあるミトコンドリアの遺伝子に異常が起こると、
がん細胞が悪性化し、転移しやすくなることが、
筑波大、島根大、千葉県がんセンターのチームの研究でわかった。
治療法開発につながると期待。
米科学誌サイエンス電子版に掲載。

林純一・筑波大教授(細胞生物学)によると、
細胞のエネルギーになるATP(アデノシン三リン酸)をつくる
ミトコンドリアの酵素に遺伝子変異があると、活性酸素が過剰にできる。

マウスの肺がん細胞を使った実験で、活性酸素によって、
細胞増殖を調節する物質が異常に増えることを突き止めた。

酵素に変異があるがん細胞をマウスに注射すると肺に転移したが、
マウスに活性酵素を抑える薬を飲ませると、転移は減った。
人の乳がん細胞でも、同じ酵素に異常があると
活性酸素が過剰に生み出され、悪性化することを確かめた。

http://www.asahi.com/science/update/0404/TKY200804030351.html


がんの転移を助長する突然変異
Mutations That Encourage Cancer to Spread

ミトコンドリアDNAと呼ばれるDNAの突然変異が、
ある種の腫瘍の転移を助長することが明らかにされた。
がんによる死亡のほとんどは原発腫瘍中の細胞の転移によるが、
腫瘍細胞が転移性に変化するメカニズムは明らかにされていなかった。

石川香らは、独自のDNAを持つ細胞内の小器官ミトコンドリアが
この転移プロセスにどのような役割を担っているかを調べた。
石川らは、転移能の高いあるいは低いマウス腫瘍細胞株を選び、
細胞内のミトコンドリアDNA(mtDNA)を交換。
レシピエントとなった細胞は、mtDNAを提供した細胞と同じ転移能を獲得。

1つの腫瘍細胞ラインを詳細に調べたところ、
高い転移能を付与するmtDNAは「呼吸鎖複合体I」と呼ばれる
酵素複合体の一成分をコードする遺伝子上に突然変異を保有
これらの突然変異が活性酸素(ROS)の過剰産生を引き起こし、
それが転移に関与する遺伝子の過剰発現をもたらす。

腫瘍細胞をROSスカベンジャーで処理してから移植したマウスで
転移能の低減に成功したことから、この発見は、
がん転移抑制のための治療の開発に新しい道を開いた。

"ROS-generating Mitochondrial DNA Mutations Can Regulate Tumor Cell Metastasis," by K. Ishikawa, A. Yamaguchi, H. Imanishi, K. Nakada, and J-I. Hayashi at University of Tsukuba in Ibaraki, Japan; K. Ishikawa at Japan Society for the Promotion of Science in Tokyo, Japan; K. Takenaga and N. Koshikawa at Chiba Cancer Center Research Institute in Chiba, Japan; K. Takenaga, M. Akimoto, and Y. Honma at Shimane University Faculty of Medicine in Shimane, Japan.

http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/1156906

ローソン:顧客が協力する「CO2オフセット運動」開始へ

(毎日新聞 2008年3月31日)

ローソンは、買い物客が会員カードのポイントを使って
二酸化炭素(CO2)の排出量削減に協力できる
CO2オフセット運動」を4月8日に開始。
12年までにCO2排出量を、06年比で1店舗当たり10%削減目標。

オフセット運動は、顧客が交換を申し出たカードのポイントを
CO2の排出枠の購入に充てる仕組み。
ローソンがポイント分の対価を支払って、
アルゼンチンの風力発電事業で生み出された排出枠を商社を通じて購入。
政府に譲渡することで、京都議定書に基づく
CO2削減目標の達成に貢献。

1口50ポイントで、10キログラム相当のCO2削減に協力、
50口の交換でCO2削減の証明書やエコバッグがもらえる。
ポイントの代わりに、現金での協力も可能。

新浪剛史社長は、「企業だけでなく、顧客にもCO2削減に協力してもらい、
地球温暖化の防止につなげたい」

http://mainichi.jp/select/science/news/20080401k0000m020098000c.html