2008年4月10日木曜日

ラットの「記憶」はヒトとは違う

(Science 2008年4月4日)

ラットは、チーズのかけらを発見してからどれくらい時間が経過したかを
把握することができるものの、
いつ発見したかについて記憶を構成することはできない、
ということが明らかに。

ラットやアメリカカケスが貯蔵、発見した様々な食べ物のことを
記憶していることは、過去の研究でも示されているが、
これらの動物がその出来事の正確な時間を覚えているのか、
その出来事から経過した時間がきちんとわかっているのかどうか
については不明であった。

William Robertsらは、一日のうち特定の時間を設定し、
ラットが放射状迷路の分岐した各枝に到達する頻度を調べる
という実験を計画した。
分岐した迷路の各枝部には通常のペレット食を設置したが、
そのなかの一本だけにはラットの大好物であるチーズを設置。
ラットは、再び迷路に戻されたが、ある時にはチーズが撤去され、
それ以外の時は設置。

あるグループのラットは、最後にいつチーズを見たかを
思い出すことでチーズが手に入るかどうかどうかを予想できたが、
別のグループのラットは最後にチーズを見てから
どれくらい時間が経ったかを辿ることで予想できた。

その結果、どれくらい時間が経過したのかを辿ることのできる
グループの方がはるかに成績が良く、
ラットのエピソード的記憶には、ヒトとは異なり、ある出来事が起った
過去のある時点を記憶する能力はないことが示唆。

"Episodic-Like Memory in Rats: Is It Based on When or How Long Ago?,"
by W.A. Roberts; M.C. Feeney; K. MacPherson; N. McMillan; E. Musolino
at University of Western Ontario in London, ON, Canada; M. Petter at Dalhousie University in Halifax, NS, Canada.

http://www.sciencemag.jp/highlights.cgi?_issue=102#433

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