2007年8月4日土曜日

中高年には、間欠的な高強度歩行訓練が有効

(Medscape 7月19日)

間欠的な高強度歩行訓練にランダム化された高齢者は、
収縮期血圧(SBP)が低下し、大腿筋力と最大酸素摂取量が増大―。

信州大学大学院医学系研究科・根本賢一らは、
「高齢者に最大強度の70%以上の歩行訓練を行うと、中強度の歩行訓練よりも
大腿筋力とVO2peak(最大酸素摂取量)が増大し、安静時血圧が低下するという仮説を検証。
身体運動能力に強度を合わせた運動訓練を中高年に行うことで、
機能障害と加齢関連疾患をさらに有効に減少させることが可能に」。

2004年の5カ月間の試験で、男性60例と女性186例(平均年齢:63±6歳)を、
1)歩行訓練なし、2)連続的な中強度歩行訓練、3)間欠的な高強度歩行訓練
の3群に分けた。

連続的な中強度歩行訓練は、50%VO2peakで連続的に歩行、
歩数計を用いて週に4日以上、1日あたり8,000歩以上歩いた。
間欠的な高強度歩行訓練は、40%VO2peakでの低強度歩行を3分間、
70%以上VO2peakでの高強度歩行を3分間を1セットとし、
週4日以上、1日あたり5セット以上実施。

訓練の前後に、被験者の等尺性膝伸展・屈曲筋力、
自転車こぎ時の最大酸素摂取量、歩行時の最大酸素摂取量を測定。

訓練目標を満たした人数は、歩行訓練なし群では男性9例(25例中)、女性37例(59例中)、
連続的な中強度歩行訓練群では男性8例(16例中)、女性43例(59例中)、
間欠的な高強度歩行訓練群では男性11例(19例)、女性31例(68例)。

間欠的な高強度歩行訓練では、
等尺性膝伸展筋力13%、等尺性膝屈曲筋力17%、自転車こぎ時の最大酸素摂取量8%、
歩行時の最大酸素摂取量9%増加。
これらの増加はすべて、連続的な中強度歩行訓練で得られた値よりも大きく、
安静時SBPの減少幅も大きい。

「間欠的な高強度歩行訓練により、加齢に伴う血圧の上昇および
大腿筋力と最大酸素摂取量の低下防止を可能に。
健康な高齢者の運動ガイドラインに、歩行における高強度成分を奨励すべき」。

この試験の限界として、
中強度歩行訓練群と高強度歩行訓練群とで用いたモニターシステムが異なること、
高強度歩行訓練群の被験者はトレーナーの指導を受ける回数が多かったこと、
訓練後に身体能力検査に戻らない被験者が17~30%いたこと、
分析対象採用基準を満たさなかった被験者が歩行訓練なし群と
連続的な中強度歩行訓練群では15%、間欠的な高強度歩行訓練群では30%存在し、
選択バイアスが生じている可能性があること。

「今後は、インターネットを使うことで、トレーナーによる遠隔指導と参加者による
進捗の自己モニタリングを可能にし、運動施設に出かける必要がなくなり、
運動目標の達成がしやすくなる。
また、身体機能が向上した被験者でSBP低下が見られたことから、
加齢関連疾患だけでなく医療費に対する遺伝子背景、血中脂質、血糖値、
食事、うつ尺度の影響についても調べる」。

Mayo Clin Proc. 2007;82:797-798, 803-811.

http://www.m3.com/news/news.jsp?articleLang=ja&articleId=51143&categoryId=580&sourceType=SPECIALTY

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高齢者に運動をさせることは、健康を維持させるためにも大切なこと。
では、どういう運動が効果的なのか?
また、安全性、簡便性、快適性などの要因も考慮しなければならない。
今回の結果は、とても興味深いです。
高齢者の日常生活では、強度の大きい運動はあまりやらないので、
できるだけ強度の大きい運動を行うことが望ましいです。
ただし、安全性という面から、今回行った強度(70%peak)が限度では??
私は高強度の運動は久しくやってません。
軽い歩行すらもやってないかなあ。。。

2007年8月3日金曜日

男子バスケ:日本、北京五輪出場絶たれる アジア選手権

(毎日新聞 2007年8月2日)

北京五輪アジア地区予選を兼ねたバスケットボールの男子アジア選手権は
2次リーグ最終戦を行った。
2組では、カザフスタン(C組2位)が韓国(D組1位)を75-73で降し、
日本(B組1位)の同組3位以下が決定。
日本は準決勝進出を逃し、今大会2、3位に与えられる
世界最終予選(来年7月予定)の出場権も手にできず、
北京五輪出場の望みは絶たれた。

日本は最終戦でヨルダン(A組2位)と対戦し、
桜木ジェイアール、竹内公輔(ともにアイシン)がゴール下から得点を重ね、
71-68で競り勝ち、2次リーグを1勝2敗で終えた。

1組では、レバノン(B組2位)がイラン(A組1位)に82-60で快勝し、同組1位通過を決めた。
カタール(C組1位)は台湾(D組2位)に勝った。
 
◇32年の夢消える…原因は現場だけにあらず

チーム最年少21歳の川村が、チーム最多得点を記録するなど収穫もあったが、
大きな課題を残す結果となった。

1次リーグ敗退に終わった昨年の世界選手権では、高さに苦戦。
今大会は、身長210センチのセンター青野、大会直前に日本国籍を取得した
元NBA選手の桜木を加入させて、ゴール下を強化。

だが、2次リーグでは、肝心のゴール下の防御で後手に回って
得意の速攻に転じられず、常に相手に先行を許した。

大会前には欧州遠征などで高さへの対策を練ってきたはずだが、
主将の佐古は、「アジアは、各国ごとにバスケットのスタイルが全然違う。
それに合わせられなかった」と悔やんだ。
勝負どころでフリースローを外すなど精神面の弱さを克服できず、
鈴木監督は、「国際大会では精神力が大事。もうちょっとハングリーにならないと……」。

とはいえ、現場だけを責めるのは酷だ。
今大会は、日本協会で内紛が続いて評議員会を開けず、
今年度予算が成立しないまま迎えた。
鈴木監督は、「合宿はぜいたくをせずにやってきた」と、
予算を気にかけていたことは明らかだ。

石川武専務理事は、「私が選手なら、そういうことには煩わされない。
そのためにこうなったとは言いたくない」と言うが、
現場が練習、試合に全神経を傾けられる状況でなかったことは否めない。

男子の五輪出場は、76年のモントリオール大会が最後。
石川専務理事は、「コーチの養成が立ち遅れている」と話したが、
世界から遠ざかっている原因は、なにも現場にだけあるのではない。

http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/feature/news/20070803k0000m050107000c.html

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今の日本のレベルは、世界で戦える戦力ではない。
体格的なハンデはあるが、それよりも選手個々人の能力が足りない。
NBAで活躍する選手がいないことでも明らか。
国際経験が足りないことも大きな要因。
さらに、bjリーグの選手を日本代表に選んでいないのもおかしい。
日本リーグはいつまでbjリーグを排除するつもりか??

まずは、日本国内のリーグのレベルを高めること。
それには、完全なるプロリーグとして興行すること。
韓国や中国を含めたアジアリーグを創設したっていい。
そして、NBAやユーロリーグに選手をたくさん輩出すること。

サッカーでも徐々に世界レベルに近づいている。
「ローマは一日にしてならず」
日本バスケットの発展を期待!!!
陰ながら応援してます。

2007年8月2日木曜日

ニューロペプチドYは脂肪組織に直接作用し、肥満と代謝症候群の原因に

(nature medicine 7月号Vol.13 No.7 / P.803 - 811)

ストレスと肥満の関係はよくわかっていない。
ストレスに応答して体重が減少する人もいれば、体重が増加する人もいる。

今回我々は、腹部白色脂肪組織で、ストレスが末梢性の機序を介して
摂食誘導性肥満を増悪すること、
またこれにはニューロペプチドY(NPY)が関与していることを報告。

寒冷や攻撃にさらされるといったストレスは、
交感神経からのNPY放出をもたらし、
これが次に腹部脂肪でグルココルチコイド依存性機序により
NPYとY2受容体(NPY2R)の発現を増加。
NPYによるこの正のフィードバック反応が腹部脂肪を増加。
NPY放出とNPY2R活性化は、脂肪の血管新生、マクロファージ浸潤、
および新たな脂肪細胞の増殖と分化を誘導し、
その結果腹部肥満および代謝症候群類似状態が生じる。

NPYは、ストレスと同様にマウスとヒトの脂肪増加を促進するが、
NPY2Rの薬理学的阻害あるいは脂肪特異的ノックダウンは
血管新生、脂肪新生を抑制し、腹部肥満と代謝異常を軽減。
したがって、脂肪組織におけるNPY2R活性の操作は、
脂肪のリモデリングおよび肥満と代謝症候群治療の新たな方法となる。

[原文]
Neuropeptide Y acts directly in the periphery on fat tissue and mediates stress-induced obesity and metabolic syndrome.

Lydia E Kuo1, Joanna B Kitlinska1, Jason U Tilan1, Lijun Li1, Stephen B Baker2, Michael D Johnson3, Edward W Lee1,8, Mary Susan Burnett4, Stanley T Fricke5, Richard Kvetnansky6, Herbert Herzog7 & Zofia Zukowska1 1 

The relationship between stress and obesity remains elusive.
In response to stress, some people lose weight, whereas others gain.
Here we report that stress exaggerates diet-induced obesity
through a peripheral mechanism in the abdominal white adipose tissue
that is mediated by neuropeptide Y (NPY).
Stressors such as exposure to cold or aggression lead to the release of NPY
from sympathetic nerves, which in turn upregulates NPY and
its Y2 receptors (NPY2R) in a glucocorticoid-dependent manner in the abdominal fat.
This positive feedback response by NPY leads to the growth of abdominal fat.
Release of NPY and activation of NPY2R stimulates fat angiogenesis,
macrophage infiltration, and the proliferation and differentiation of new adipocytes,
resulting in abdominal obesity and a metabolic syndrome-like condition.
NPY, like stress, stimulates mouse and human fat growth,
whereas pharmacological inhibition or fat-targeted knockdown of NPY2R
is anti-angiogenic and anti-adipogenic,
while reducing abdominal obesity and metabolic abnormalities.
Thus, manipulations of NPY2R activity within fat tissue offer new ways
to remodel fat and treat obesity and metabolic syndrome.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200707/nature_medicine/02.html?Mg=ea6dfc159d446d080de3e85f045f1495&Eml=12b55b931cb52b4152963c77864c5aec&F=h&portalId=mailmag

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ニューロペプチドYについては、いろいろ報告されてきましたが、
そのレセプターを制御することで、肥満や代謝異常を改善させれることができれば、
実際に臨床治療として使用する道が開かれることに。
もちろん、単一の物質だけで判断するのではなく、
アディポネクチンやレプチンなどの糖代謝に関与する物質も調べることで、
多角的に検証することが大切です。
肥満に一歩ずつ近づいている私にとっても、
このような研究が進んでくれることはありがたいです。。。

2007年8月1日水曜日

“小泉流”姫が逆転 地殻変動の現場 検証・参院選 岡山

(毎日新聞 2007年7月31日)

「これだけの逆風を、もう少し早く反省すべきだった」。
29日夜、自民参院幹事長、片山虎之助氏は
岡山市の選挙事務所前で、支持者らに頭を下げた。

参院国対委員長、総務相などを歴任した実力者。
県議を2期務めただけの姫井由美子氏を相手に、「横綱相撲」のはず。

逆に言えば、民主にとっては、与野党逆転の象徴的な選挙区に。
姫井氏の陣営は、メディア戦略に力を注いだ。
「姫の虎退治」のキャッチフレーズは、
出馬表明した直後、江田五月県連顧問らが思いついた。
片山氏の知名度を、自らの知名度アップに利用する戦略。
党幹部らが連呼すると、週刊誌やテレビ、新聞が飛びついた。
片山氏に見立てた虎を、姫井氏が得意の居合刀で退治する寸劇まで披露。

各メディアの世論調査で「接戦」が伝えられた23日、
小沢一郎代表から姫井氏の選対幹部に電話が入った。
「頑張っているじゃないか。ありがとな。27日に入るけど、どこに行けばいい?」。
幹部の頭に浮かんだのは、山間部の新庄村。
公示日、小沢氏が第一声を上げる予定だったが、台風で断念。
「民主党は約束を守ることを示すために、無理してでも行ってください」。

27日。「この前の償いに参りました。合併などで村はほとんどなくなったが、
いいところを残しながら自立することは必要です」。
人口1081人の新庄村で、小沢氏は約50人を前にあいさつ。
「選挙は川上から」の持論に基づくパフォーマンスを見せた。

メディアを使った「空中戦」重視の姫井氏に、片山氏は「地上戦」で対抗。
建設や医師会などの団体・企業の推薦は、約1300。
公明党の支持母体・創価学会幹部にも、片山氏自ら電話で要請。
学会は、県内で約15万票を持つ。
学会側は、見返りとして比例代表での公明支援を求めた。
「岡山選挙区は片山。比例は公明党の山本博司、
プラス与党の先生方を押し上げてほしい」。

結局、2人の得票差は約5万票。
民主への追い風に対する組織選挙の限界がのぞいた。
「郵政選挙での小泉純一郎前首相のメディア戦略を逆にやられた。
改革で組織が弱体化しており、逆風をしのげなかった」。
自民県議はこう振り返った。

http://www.m3.com/news/news.jsp?articleLang=ja&articleId=51564&categoryId=&sourceType=GENERAL

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今回の選挙は、自民党の実力者をも追い落としてしまった
安倍政権に責任があります。
信頼を失うような行動、発言を繰り返しては、
安心して政治をまかせることはできません。
民主党がようやく政権担当できる体制になってきました。
二大政党制が確立されれば、
与党も野党も緊張感を持って政治を行うでしょう。
バカなことをすれば、次の選挙では敗れてしまう、ということを
常に意識して政治を行って欲しい。
そうすれば、官僚主導の政治から脱却できる。
いつまでも官僚の作った作文を読んでいる大臣がいるようでは、
21世紀の社会に対応できない。
岡山の結果が、とても象徴的ですね。

2007年7月29日日曜日

冷水浴は筋肉疲労回復に効果なし

(2007年7月10日/HealthDayNews)


激しい練習や試合の後に冷水浴(ice bath)をしても、
スポーツ選手の筋肉疲労の回復を早める効果は得られないことが、
オーストラリアの研究で明らかに。


冷水浴をすると、血管が収縮することにより、
運動で生じた乳酸などの老廃物の含まれた血液が押し出され、
冷水から上がると酸素を豊富に含む新鮮な血液が血管を満たして、
筋肉の修復が促されるといわれている。

しかし、40人のボランティアを対象としたメルボルン大学の研究によると、
運動後に冷水浴をした人は、微温湯浴の人に比べ、
24時間後に筋肉痛を訴える人が多かったと。


「この研究は、スポーツ選手の冷水浴使用に異議を唱えるもの。
冷水浴には痛み、腫れ、等尺性筋力および機能に対する効果は一切なく、
むしろ翌日の筋肉痛を増大させるものだ」と。


研究は、英医学誌「British Journal of Sports Medicine」6月号に掲載。


http://health.yahoo.co.jp/news/detail?idx0=w04070701


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スポーツ選手の筋肉疲労をいかに早く除去させるかは、
コンディション維持にはとても大事な話。
野球選手の肩など局所にアイシングを行うことはよく行われます。
しかし、全身の筋疲労を除くには冷水浴はあまり効果的ではないようです。
私としては、あったかい湯に入りながら、
ビールを飲むのが一番の疲労回復になるのでは??