2010年2月20日土曜日

東京ガスの前田副社長、新LNG基地建設〜「環境対策で都市ガス需要は拡大へ」

(日経 2月13日)

東京ガスが、日立市に同社で4カ所目となる
液化天然ガス(LNG)輸入基地を建設。

完成は2015年度の予定、当初計画より2年前倒し。
景気低迷と地球温暖化対策の進展で、
国内エネルギー需要が伸び悩むなか、
新たな拠点をどう成長戦略につなげるのか。
前田忠昭副社長に聞いた。

——LNG輸入基地を新設する狙いは?

当社の既存のLNG輸入基地は根岸、扇島、袖ケ浦の3カ所で、
すべて東京湾岸に。
東京湾を通航させる船を、大幅に増やすことは難しい。
北関東でも、LNGを受け入れることができれば輸入量を拡大し、
潜在需要が大きい北関東のマーケットの開拓を加速できる」

——09年は都市ガスの需要減少が続いた。

「国内需要はリーマン・ショック以後、工業用が大幅に落ち込んで
前年割れが続いていたが、東京ガスでは昨年12月に
前年同月比でプラスに転じた。
日立市の基地建設を決めた昨年1月は、まだ景気がどこまで
下がるのか見通しがつかなかった。
ようやく景気の底が見え、昨年12月に基地建設の
2年前倒しをめざす方針を決めた」

都市ガスは、石油より燃料時のCO2排出量が少なく、
環境対応のため、燃料を都市ガスに替えようとする企業は多い。
景気が本格的に回復してくれば、工場の設備更新が進み、
その際に燃料転換をする需要が増える。
景気が上向き始めると、基地の建設コストも上昇が予想、
今は設備投資のいいタイミング」

——どの程度の需要拡大が見込めるか?

「東京ガスの管内で、石油系燃料を使っている工場の数を考えると、
90億立方メートルほどの潜在需要がありそう。
当社の工業用のガス販売量は、年50億立方メートル程度。
潜在需要をすべて掘り起こせば、長期的には3倍近くに増やせる計算。
営業努力は必要だが、成長余地は大きい。
日立基地は、完成後にさらに増強することも検討」

——都市ガスも、石油と同じ化石燃料の一種。長期的には、
太陽光などクリーンエネルギーに置き換わっていくのでは?

「太陽光や風力などの新エネルギーは、設備投資の負担が大きく、
出力も不安定な面が。
急速に普及させることは難しい。
CO2排出量を減らすため、もっとも簡単なのは、
燃料を天然ガスに替えること。
企業は、CO2排出量を減らさないと生産量を増やせない。
即効性のあるガスへの燃料転換の需要は増え続ける」

都市ガスと新エネルギーの組み合わせも提案。
都市ガスを燃料に使って、発電と給湯をする燃料電池に
太陽光発電を併用する『ダブル発電』など、
都市ガスの有効活用を工夫する」

——都市ガスは内需型産業だが、海外展開の考えは?

海外の新興国でも、エネルギー源としてLNGの需要が拡大。
当社は、子会社の東京ガス・エンジニアリングを通し、
中国やインドなどでLNG基地の設計や建設などを受注。
今後も、経済成長が進むアジアなどで受注を伸ばせる」

「LNGを生産・出荷する上流事業では、
すでにオーストラリアなど海外6カ国、計10件のプロジェクトに参画。
今後も、LNGの調達力を高めるため、
条件があえば上流の案件を増やしていきたい」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100212.html

資源を追え、変わる海運「航海図」

(日経 2010-02-10)

2009年の海運業界は、資源や穀物を運ぶばら積み船だけが活況。
運賃の値動きを示すバルチック海運指数(1985年=1000)は、
年初に底入れした後、11月には底値から6~7倍の水準に。
けん引役は中国で、09年の鉄鉱石の輸入量は6億2000万トンと
過去最高を記録、石炭の純輸出国から純輸入国に転じた。

中国需要が海運市況をけん引する構図は、
リーマン・ショック前と同じに見えるが、実は資源を運ぶ
「航海図」は塗り替わり、海運・鉱山会社は新たな戦略
描き始めている。

昨年来、積極的な動きを見せているのは、
ブラジルの資源大手、ヴァーレ。
鉄鉱石を運ぶばら積み船を購入、自社保有船を増やし、
マレーシアには鉄鉱石輸送の拠点港を建設。
日本郵船の小笠原和夫経営委員は、
「船を自社で運航することで、運賃を安定させる狙い」

ヴァーレは、年間2億5000万トンの鉄鉱石生産を、
5年後には4億トンに拡大する計画。
売り先として最も注目しているのは中国。

◆バルチック海運指数

鉄鉱石や石炭を運ぶ、ばら積み船の運賃を示す国際的な指標。
英ロンドン海運取引所が、世界の海運ブローカーを対象に調査、
毎日発表。指数が上昇すれば、運賃が上昇。

ブラジル産の鉄鉱石は、世界最大のオーストラリア産と競合。
「ブラジル−中国間」の輸送時間は、「オーストラリア−中国間」の3倍。
運賃も高くつき、主要な買い手である中国市場における競争力が劣る。
効率よく大量輸送できる40万トン積みの超大型鉱石運搬船(VLOC)
などで、ブラジルからマレーシアに鉱石をピストン輸送、
中国や日本、韓国などに振り分ける計画。

ヴァーレの増産による恩恵は、日本の海運会社にもありそう。
商船三井は、中国鉄鋼大手の鞍山鋼鉄との間に、
ブラジル−中国間の鉄鉱石輸送で5年間の契約、
日本郵船はヴァーレとの間に2012年から20年間の輸送契約。

長期契約がなくても、ばら積み船市況は力強いという見方も。
昨年6月、商船三井の副社長から第一中央汽船の社長に転じた
小出三郎氏の分析はその代表格。
「長期契約は安定利益というが、薄利多売にすぎない」
利益を最大化するためには、リスクをとりながらも
すべての船をスポット市場に割り振ったほうがいい。

背景に、「今後20~30年、ばら積み船市場には追い風」という見方。
世界各地で建設計画がある鉄道。
土木工事に加え、線路や車両、設備などには鋼材が欠かせない。
鉄鋼原料の輸送ルートは、中国を中心とする東アジアだけでなく、
米国や欧州も増える可能性。

2009年、ばら積み船市場で中国に次いで
存在感を高めたのがインド。
南アフリカ共和国から大量の石炭を輸入し、中国には鉄鉱石を輸出。
川崎汽船の今泉一隆執行役員は、
「インドの石炭輸入は今後も増える」と予測。
電力インフラが不足し、安価な発電用石炭の需要は高まる。
粗鋼生産の拡大に伴い、鉄鋼用石炭の輸入も増えるという見立て。

製鉄用の石炭はアジア地域で不足、日本や韓国の製鉄会社は、
一部を米国から輸入する動きも。
どこからどこへ資源を運ぶのか。
海運会社が関心を抱く国や地域を追いかければ、
新たな成長市場のフロンティアが見えてくるかもしれない。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/shikyou/shi100209.html

仏、兵士使い人体実験 60年代、核爆発の影響調査

(2010年2月17日 共同通信社)

1960年代初頭、フランスが同国領アルジェリアのサハラ砂漠で、
大気圏核実験を行った際、軍兵士らを実験直後の爆心地周辺まで
進ませ、人体への影響を調べていたことが分かった。
軍の機密文書を基に、16日付パリジャン紙が報じた。

フランス政府は昨年12月、同国の核実験で被ばくし、
後遺症に苦しめられた兵士らへの補償法を成立、
半世紀にわたり封印されてきた核実験の暗部の一端が
明らかになった。

260ページに及ぶ文書によると、
61年4月25日に行われた核実験は、
「核兵器が人体に及ぼす生理的、心理的影響調査」と目的を明記。

兵士ら約300人を核実験場周辺に配置、核爆発の20分後から
爆心地へ向けて徒歩や車で進ませた。
ある部隊は、爆心地から700メートルの距離まで進んだほか、
別のパトロール部隊は爆心地まで275メートルまで近づいた。

同核実験に参加したのは、ドイツ駐留のフランス軍部隊など、
兵士の一人はパリジャン紙に対し、
「(部隊移動の表向きの理由は)アルジェリアの油田の監視だった」
診察した医師から、「将来まともな市民生活を送りたかったら、
黙っていろ」と警告されたことを暴露。

別の被ばく者は、同紙に「われわれは核兵器のモルモットだった」、
理由も知らされず実験台にされ、
後遺症に苦しめられたことに怒りをあらわにした。

機密文書は、フランスが包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准した
直後の98年、「1人または複数の匿名の軍関係者」によって作成。

※フランスの核実験

フランスは、1960~66年アルジェリアのサハラ砂漠で、
17回の核実験を実施。
66~96年、仏領ポリネシアのムルロア環礁とファンガタウファ環礁で、
計190回以上の核実験を行った。

フランスの軍兵士や民間人約15万人、多数の現地住民が動員。
フランスは昨年12月、サハラ砂漠と仏領ポリネシアの核実験で
被ばくし、甲状腺がんなどを発症した軍関係者や
現地の民間人らへの補償を定めた法案を成立。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/17/116104/

2010年2月19日金曜日

幼児肥満:孤独な夕食+寝不足+テレビ漬けで1.7倍に--米の大学調査

(毎日 2月15日)

孤独な夕食や睡眠不足、テレビにくぎ付けという
3要素がそろうと、そうではない幼児に比べ、
1・7倍も肥満の割合が増えることが、
米オハイオ州立大などの研究チームの調査で分かった。
運動不足や間食が背景。
米小児科学会誌3月号に掲載。

過去の研究で、テレビ視聴時間が長かったり、睡眠不足が続くと、
食欲をつかさどるホルモンのバランスが崩れて、肥満になりやすい。
食事から睡眠まで、幼児の生活全般と肥満の関係を調べたのは例がない。

調査は05年、1)週6日以上、家族と夕食をとる、
2)10時間半以上寝る、
3)1日当たりのビデオやテレビ視聴が2時間以内--の
3項目について、全米の4歳児8550人を対象に実施。
このうち、肥満児は18%。

3項目を満たしている場合の肥満児の割合は14・3%、
いずれも満たしていないと24・5%に増えた。

米国では、週6日以上親子がそろって夕食をとったり、
幼児が1日10時間半以上の睡眠をとっている家族は
それぞれ約6割、2時間以内の視聴を守っている家族は約4割。
「肥満防止では、食事や運動メニューを議論するだけでなく、
家庭生活全般を指導していくことが重要」

http://mainichi.jp/life/health/news/20100215ddm003100124000c.html

日本スウェージロックFSTの田村社長 「新エネ分野開拓へ営業刷新」

(日経 2月12日)

米流体制御機器大手のスウェージロック(オハイオ州)が、
日本での営業を強化。
エネルギー向けの流体装置の拡販を図るため、
1月に市場開拓の新組織を立ち上げた。
現在12ある物流拠点を、兵庫と神奈川両県の2カ所に集約し、
効率化を図る。
同社の日本での販売会社の日本スウェージロックFSTの
田村達也社長に、同社の戦略などを聞いた。

——2010年の事業戦略の内容は?

太陽光発電など、新エネルギー分野の需要が中長期的に
伸びると考え、市場の開拓を急がなければならない。
専門部署の『市場開発・企画室』は、営業経験が豊富な
専任のスタッフ3人で1月に発足。
全国26カ所の営業拠点から顧客情報を集め、
LED(発光ダイオード)やリチウムイオン電池向けの
商品開発を進めていく」

日本での顧客満足度を高めることが必要。
オンラインビジネスの充実を図り、注文履歴の確認や
ワンクリックでの注文などの機能を追加。
もう一つは、ユーザー側の無駄を省くため、
プラントの健康診断も実施。
漏れなどを数値化し、流体機器の効率的な運用方法を提示」

——営業体制を強化する狙いは何か?

顧客は、継ぎ手やバルブだけでなく、周辺機器の調達や
組み立ても含めたパッケージ商品を求めている。
継ぎ手やバルブに関連する、あらゆる製品やサービスを
そろえるために市場調査をし、製品を即時に顧客に
届けられるようにするため、新たな体制づくりが必要」

——日本は成長市場なのか?

代替燃料、医薬・バイオ、紙・パルプなど
今後有望な分野が多く、成長の余地は十分。
環境も重要になってきており、環境性能が高い継ぎ手や
バルブが求められている。
すでに太陽光発電向けでは、環境性能を高めるステンレス鋼の
改良などを試験的に始めている。
有望な分野の需要の取り込みで、日本での売り上げは
前年に比べ、2ケタ増やすことが可能

——販社を1社体制にしたメリットは?

地域差などなく、全国一貫したサービスが提供できる。
一貫してできることで、顧客や用途別で違う技術サポートに
きめ細かく応じることができるようになった。
納品までの時間がかかっているのが現状。
物流拠点を集約し、注文を受けた翌日には配達できる体制を構築」

——景気の回復度合いをどう見るか?

全体的には、底ばい状態が続いている。
好調だった08年水準に戻るのは、今年いっぱいかかるだろう。
新エネルギー市場は、11年以降に隆盛するだろうし、
半導体市場も徐々に回復していくなど明るい兆しは見えている」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100210.html

自動車で鍛えたノウハウを林業に

(日経 2010-02-09)

自動車部品の研磨を手掛けてきた会社が、
全く畑違いの林業に進出、参入半年で黒字を達成。
衰退産業と言われる林業で、ずぶの素人が成功したのはなぜか。

研磨会社とは、大津技研(熊本県大津町、木村幹男社長)。
大分県臼杵市の山中にある現場では、
責任者の本田栄一さん含め、5人が働いていた。
伐採する木は深い山中にあるため、切り出す前に、
山の斜面に道を切り開く。
邪魔になる木を切ったうえ、切り株を掘り起こす。
担当は、新たに採用した林業の専門家と重機の専門家の2人。

伐採−−。
初めに、材木にするスギやヒノキを選んで切り倒す。
倒した木を、重機でつかんで持ち上げ、チェーンソーで枝を落とす。
さらに輪切りして長さをそろえる。
これを別の重機でつかんで斜面を降ろし、公道で待つトラックに
載せて運び出す。

一連の作業は、新たに採用した2人に加え、
もとから大津技研の社員で研磨作業に当たっていた3人の、
合わせて5人が共同で行う。

作業工程そのものは、従来の伐採会社と同様。
同社の伐採現場で目を引くのは、作業者5人の「手待ち時間」が
極めて少なく、重機3台も切れ目なく稼働していること。

製品である木材も、常に「流れて」いる。
同社の研磨ラインで、自動車部品がよどみなく流れ続ける姿と似ている。
「要は、中間在庫をためないこと」(本田さん)。
コスト管理に厳しい自動車業界で培った、生産性を徹底的に
引き上げる工夫の数々を、同社は伐採現場に応用。

現場の工程管理にとどまらない。
本田さんは、工場長や営業所長も経験した大津技研の古参社員。
同社が研磨工場の発想や工夫を、事業全体に生かしている。

事業の収益性を明確にするため、「この山(伐採現場)は
何カ月で作業を終了するか」という目標を設定。
目標を月、週、日ごとに落とし込む。
家業型の伐採業者では、ここまで厳密には計画を立てない。

伐採事業の目標管理は、研磨工場と比べ格段に難しい。
伐採の仕事は、天候に大きく左右。
雨の日に作業すれば危険だし、無理にやれば道をぬかるませ、
壊してしまい、次の日に晴れても作業できなくなってしまう。
翌週雨になりそうだと判断した時、土曜日も働く。

研磨出身の3人は、新たに採用した林業や重機の専門家から
ノウハウを習いつつ働いている。
同社は、そのノウハウの標準化にも全力を挙げている。
ある山を「攻める」時、道をどう作り、どういう順番で
木を切って行くか−−。
現場の写真を撮り、毎日の作業を詳細にパソコンに記録。

一番時間のかからない効率的な伐採の手法を開発するためだが、
安全性向上のためでもある。
木村哲也専務の指示が飛んでいた。
本田さんが、「根元が曲がった木を曲がった部分で切ると、
裂けてしまうことがある」と、木村専務は「じゃあ、ビデオを撮って
安全な処理方法を皆で共有しよう」。

大津技研が森林事業部を作って林業に参入したのは、2009年。
経営が立ちゆかなくなった個人企業を吸収する形でスタート。
木村幹男社長が決断、子息の木村哲也専務が陣頭指揮に立つ。
作業班は、臼杵市で働く班のほか、もう1班。
投入する重機は、合わせて11台。
一部はリースだが、それでも3000万円ほどの設備投資。
収入は、材木の販売代金。
「事業を始めて半年で、営業利益ベースで黒字に。
償却を含めて、黒字化するメドもたった」(木村専務)。

日本の林業は衰退している。
安価な外材に押される一方、林業従事者の高齢化が進み、
木を育てる人も切り出す人も足りない。
大津技研が伐採の仕事を始めようと決意し、専門家に相談した時、
「はっきりとは言わないにしろ、
『素人にできるほど甘い仕事ではない』という空気だった」(同)。

でも、木村専務は気にしなかった。
日本の自動車生産台数が減ることが確実になった以上、
新たな仕事を探す必要がある。
研磨の仕事も初めは素人だったが、日本一の生産性を
誇れるまでになったではないか」

確かに、厳しい業界で鍛えられ生き抜いてきた会社が、
“甘い”業界に参入し、業界常識を塗り変えて
成功するケースは多い。
バブル経済崩壊後に登場した、いくつかの旅館再生会社。
一部は、もとは自動車系ディーラー。
旅館業は、地方名士の旦那商売とも言われ、コスト意識も薄かった。
計数管理を身につけた自動車ディーラーが参入し、
赤字に陥っていた旅館を相次いで立て直すことに成功。

木村専務は、現状に満足していない。
「基本的なノウハウは確立した。
自分が得られたノウハウぐらいなら、他の人も追いかけて来られるはず。
もっとノウハウを積み重ねないと・・・」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon100208.html

2010年2月18日木曜日

スポーツ政策を考える:NPO法人浦和スポーツクラブ・小野崎研郎

(毎日 2月6日)

さいたま市浦和区を拠点に活動する
総合型地域スポーツクラブの副理事長を務めている。
競技はサッカー、テニス、フィットネスがメーン、会員は1300人。
年間運営費は約4700万円。
toto(スポーツ振興くじ)から、700万円の助成。

最近、totoの申請手続きなどが難しくなってきた。
大きなお金を扱うようになり、より厳格な審査と手続きが求められる。
申請するクラブも増え、一部には不明朗なお金の使い方をしたり、
活動実態がよく分からなかったりするクラブがあるのかも。

書類作成などの事務処理能力が高いクラブはいいが、
そうではないクラブの方が圧倒的に多い。
社会的な責任もあり、力をつけなければいけないが、時間が必要。
今のやり方では、スポーツの二極化と一緒で、
できるところとできないところの差が広がる。

totoの運営主体、日本スポーツ振興センターの担当者にすれば、
助成を通して、クラブやスポーツの役に立ちたいと思ってくれている。
クラブからすると、なぜこんな細かいことを
いちいち言ってくるのかと受け止めてしまう。
一方は疑い、一方は不信感が募る。
雰囲気は決してよくない。

互いに顔が見えない中、お金のやり取りをしていることが原因では。
totoに限らず、やれコンプライアンス(法令順守)だ、
やれ危機管理だと、システムばやりで、
そこに膨大な人と予算が投入。

管理する方も、される方も大きな労力や費用がかかる。
総合型クラブに代表される地域のスポーツは、成熟していない分野で、
今からそこに労力や費用をかけてしまっていては、
拡大の足かせになってしまう。

顔の見える関係づくりや地域ごとの実情に合わせた施策展開を
行うためには、お金の配分を決め、使途を検証する組織は
各地域にあった方がいい。
広域スポーツセンターや都道府県体協のクラブ育成アドバイザーら
専任職員に任せてはどうか。
彼らは、日ごろからクラブとの付き合いがあり、
互いに切磋琢磨できる。

先日、ある民主党国会議員の話を聞く機会が。
政権交代によって、政策提案や事業のやり方が変わっていく中、
国が作成したマニュアルに沿って事業を進めるのではなく、
それぞれの地域の実情に応じて、やりたい事業を考えてもらい、
そこでお金が使えるような仕組みにしていきたい。

全国を一つのスタンダードにあてはめるのではなく、
国と地域の役割分担を見直し、国は権限と財源を地域に移譲。
地域は、地域のスポーツ振興をマネジメントする役割を果たす。
==============
◇おのざき・けんろう

1961年生まれ。東京農工大卒。
1996年、青少年の一貫指導と生涯スポーツの実践を目指す
浦和スポーツクラブに入会。NPO法人クラブネッツ理事。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/02/06/20100206dde035070049000c.html

UMNファーマの金指社長、「ワクチン開発、強毒性の新型インフルにも対応」

(日経 2月9日)

毒性の強いH5N1型のインフルエンザワクチンの開発を
進めているUMNファーマ(秋田市)。

現在は、約6カ月かかるワクチンの生産期間を
約2カ月に短縮できる技術がIHIに評価、
今春に共同出資会社を設立。
インフルワクチンの開発を急ぐUMNファーマの金指秀一社長

——IHIと共同出資会社を設立した。

「IHIとは、以前からワクチン製造に関し、共同で研究。
今後の事業化に向け、より深い関係を構築するため4月、
秋田市に共同出資の新会社を設立。
20~30億円程度を投じて工場を建設、
2012年には年250~500万回分のワクチンの原薬を
製造できるようにしたい」

——なぜ今、ワクチンの研究開発に取り組むのか?

「日本では、インフルワクチンは現在、鶏卵を使って
ウイルスを増殖させる製造技術が主流。
鶏卵を使った製造法では、製品化まで6カ月近くかかる

「昨年、感染が拡大したH1N1型の新型インフルエンザから
得た教訓は、流行し始めてから対策をとっても遅い。
流行が落ち着いてから、インフルエンザワクチンが
輸入できても遅い。
欲しいときに、あるようにすべきだ」

「豚由来のH1N1型の新型インフルに比べ、
鳥由来のH5N1は強毒性。
次に流行するかもしれないH5N1型に備え、
早期にワクチンを供給できる体制を整備することが求められる」

——開発の進ちょくはどうか?

「主に製剤の用量を決めるために実施した
第2相臨床試験(治験)が終わった。
すでに実施した治験のデータと併せ、安全性や有効性を確認」

「今回、対象は90人だったが、次は安全性を確認するため、
もっと大規模な臨床試験を行う必要がある。
12年の発売を目指している」

——新型インフルエンザはいつ流行するか分からない。
収益は安定しないのでは?

インフルエンザワクチン製造に使う技術は、
他の医薬品製造にも転用できる。
同技術の導入元である米バイオ企業のプロテイン・サイエンシィズは、
他の感染症やがん、生活習慣病などのワクチンの研究を進めている。
インフルエンザワクチンが軌道に乗れば、
当社も他のワクチンについて、導入を検討していきたい」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100208.html

電力10社体制はいつまで続くか?

(日経 2010-02-15)

東京電力と北海道電力が、北海道での風力発電拡大で協力、
2014年、東電が北電から風力発電による電力の買い取りを始める。

電力会社どうしが手を携え、温暖化ガス削減に取り組む
前向きな動きだが、見方を変えると、
「日本に電力会社が10社も必要なのか」という疑問。

東電は、東北電力とも同様の内容で事業協力を進める。
日本で、風力発電に適した地域を抱えるのは、北電と東北電。
両社の営業エリアにある風力発電設備は、日本全体のおよそ半分。

北海道では、良い風が吹こうとも、風力発電を増やすことができない。
北電の電力供給規模では、安定した電力品質を維持には、
風力発電設備の導入は36万kwが限界、26万kw分の設備が立地。
東電は、10~20万kw分の風力発電を北電から供給、
同等規模の風力発電の開発余地を北海道に生み出す。

北海道、東北、東京の各電力のエリアが、1社で運営されれば?
品質の不安定な風力発電の受け入れ量は一気に増え、
北海道と東北が抱えていた「風力ボトルネック」は解消に。

「低炭素社会対応」をキーワードに俯瞰してみると、
戦後から続いた電力10社体制の限界は他にも。

温暖化対策の最有力手段である原子力発電。
沖縄を除く9社が原発を運営、立地場所に制約があり、
各社の原発比率は格差が。

苦しいのが中部電力。
全発電設備に占める原発比率は1割程度、
3割程度の東電や関西電力に見劣り。

都道府県別風力発電ランキング(NEDO調べ、2009年時点)
 1位 青 森  277,100 kw   192基
 2位 北海道  258,485 kw   268基
 3位 鹿児島  136,505 kw   97基
 4位 秋 田  122,662 kw   103基
 5位 石 川   78,515 kw   56基
 6位 山 口   74,450 kw   37基
 7位 福 島   69,860 kw   43基
 8位 千 葉   68,150 kw   50基
 9位 茨 城   67,905 kw   46基
10位 長 崎   67,410 kw   60基
   日本全体 1,853,624 kw 1,517基

原発立地に適した地域に乏しい中部電の原発は、浜岡原発のみ。
原発比率が低いままでは、業界目標のCO2排出源単位を
クリアするには、排出権を購入する必要があり、財務体質に響く。
2000年、三重県芦浜地区での新設計画を断念して以降、
新規立地のめどはたたない。

関係者のあいだでささやかれる秘策は、北陸電力との経営統合。
志賀原発2基、190万kw分が手に入り、原発比率が上昇。
電力会社どうしの経営統合は、独禁法上の問題が障害、
供給区域が広がると、米国のように停電時のリスクが増す。
吸収される側の電力会社の強い抵抗もありそう。

「なぜ10社?」の疑問は、今後もさらに強まる。
風力発電など、再生可能エネルギーを手掛ける新興企業では、
電力の品質確保を理由に、受け入れ量を制限する
電力会社への不満が根強い。
「再生可能エネルギー導入量を増やすには、発送電分離が不可避」
温暖化ガス削減に熱心な民主党政権とどこかで結びついたら・・・。

電力会社が、最も敬遠する「発送電分離論議」を封じ込めるには、
電力会社どうしの連係やスマートグリッド(次世代送電網)の
構築などを通じ、再生可能エネルギー導入実績を積みあげる。
西日本では、太陽光の豊富な九州電力と関西電力などが協力、
太陽光導入に取り組むケースも。
再生可能エネルギー導入に取り組むほど、電力10社体制の
意味合いが薄れていくというパラドックスに陥りそう。

戦時体制下で発送電を独占していた日本発送電を分割し、
本州9社体制が発足してからおよそ60年。
日本経済が成長を続けてきた時代は、営業区域を分け、
需要地と電源を近接した電力供給は効率よく機能。

低成長下の低炭素社会対応で、制度疲労が目立ってきた。
電力会社が、「発送電分離」という最悪シナリオを回避したいなら、
10社体制に自らが風穴をあける覚悟が求められる。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan100212.html

健康食品との付き合い方:/4止 効果や安全性、根拠を確認

(毎日 2月12日)

<美をいつまでも保ちたい>
<年をとっても、元気に歩きたい>
<カルシウム補給>
こんな誘い文句が、健康をうたった食品の宣伝によく使われる。
特定の食品に、<病気に効く>と表示すると、
医薬品扱いとなるため薬事法違反に問われるが、
<美をいつまでも保ちたい>といった願望の表現であれば、
違反にはならない。

こういう表現に出合ったときの注意について、
高橋久仁子・群馬大学教育学部教授は、
「書いてあること以上に、勝手に自分に都合よく
行間を読んではいけない」

<年をとっても、元気に歩きたい>という表現を、
「この健康食品を取れば、年をとっても元気に歩くことができる」と
解釈してはいけない。
<カルシウム補給>という表現も、「カルシウムが補給できる」
とまでは書いていない。
「カルシウムが体内に補給されて、骨が丈夫になる」と
読んではいけない。

そういう表現とともによく出るのが、若い女性や元気な高齢者などの
「私はこれを取っていて、元気です」といった写真付きの体験話。
高橋さんは、「使って効果がなかった人は出てこない」、
表現や体験話の意味を冷静に考えることが必要。

特定の健康食品の有効性や安全性を、
自分の力で見極めるのは容易ではない。
健康食品を利用したい、でも何を信じていいか分からない、
判断に迷ったとき、多くの専門家たちが勧めているのが、
国立健康・栄養研究所が運営するホームページ
「『健康食品』の安全性・有効性情報」

国内外の健康食品による被害事例のほか、
論文など科学的根拠に基づいて、専門家が審査した情報が掲載。
不確かなものがあふれる健康食品情報の中では信頼性が高く、
情報も時々に更新、それぞれの商品について
科学的な安全性や有効性がどこまで実証されているかを確認。

情報は大きく分けて、
(1)注意すべき健康食品の特徴などをまとめた「基礎知識」、
(2)国内外の摘発事例や健康被害事例を掲載した「被害関連情報」、
(3)「α-リポ酸」、「酸素水」などタイムリーな情報をまとめた
「話題の食品・成分」、
(4)健康食品に含まれる成分の安全性と有効性の科学的根拠を
集めた「素材情報データベース」--
の四つで構成。
トップページから一括して検索できるので、
成分名や製品名を入力して情報を引き出す。

「健康茶」、「減肥茶」などと販売されているお茶に
含まれることが多い成分「センナ」で検索、
厚生労働省などがセンナを含む製品「飲まなく茶」を使用しないよう
注意を呼びかけているという被害関連情報や、
食品に利用が認められている茎について、
「ヒトでの安全性・有効性の情報は見あたらない」といった
素材情報などが一覧表示。

同研究所の梅垣敬三情報センター長は、
「健康食品だけでは、健康になれない。
基本は、毎日の食生活のバランス」。

その上で、健康食品を利用する場合、
「まずは、被害関連情報がないかを確認すること。
製品には、主成分以外にいろいろな成分が入っていて、
副成分が被害を及ぼす場合も。
被害情報がない製品であれば、含有成分の安全性や有効性が
どこまで科学的に実証されているかを見て、
摂取するかどうかの判断材料の一つにしてほしい」

◇信頼できる情報の見分け方

健康食品の有効性をどこまで信じてよいか、判断力を養いたい。
国立健康・栄養研究所のサイト
「『健康食品』の安全性・有効性情報」の、
「科学的根拠のある情報とは?」でその方法を紹介。

サイトは、情報の信頼度を5段階に分け、1から5に近づくほど
科学的な根拠がしっかりした情報。
体験談や専門家の一意見だけでは、信頼度は低い。
実験結果でも、試験管内の細胞や動物実験だけでは低いが、
科学的な論文として名のある専門雑誌に出ていると、高くなる。

人を対象にした試験では、ある健康食品を取った人(投与群)と
取らない人(対照群)を、長期間追跡して効果の差を比べた
臨床試験であれば、信頼度はかなり高い。
最も良いのは、こういう試験が複数あるもの。

http://mainichi.jp/life/health/archive/news/2010/02/20100212ddm013100094000c.html

2010年2月17日水曜日

御室桜:京都・仁和寺の名勝、クローン技術で増殖 住友林業が成功

(毎日 2月10日)

住友林業は、京都市右京区の世界遺産・仁和寺境内にある
国の名勝「御室桜」を、独自のクローン技術で増やすことに成功。

御室桜(御室有明)は、人の背丈ほどの高さの遅咲き八重桜。
現在ある約200本は、樹齢が350年を超えている。
若枝を株分けする方法では、突然変異で花びらが一重になりやすく、
接ぎ木など従来の方法では増やすことが難しい。

同社は、御室桜を後世に残すため、
千葉大園芸学部の協力を受け、07年から取り組みを始めた。

新しい方法は、やがて芽になる「茎頂」という部分を
冬芽から顕微鏡下で摘出。
特殊な培養液で大量に発芽させ、培養土で幼苗まで育てる。
完全なコピー(クローン)のため、突然変異の心配がない。
無菌環境での作業により、病虫害も防げる。

同社の筑波研究所で、苗を育成中。
八重の形質を受け継いでいることを確認のうえ、
現存のものが枯れた場合などの補充として植えていく。

同社は04年、豊臣秀吉が盛大な花見を催したことで知られる
醍醐寺(京都市伏見区)のしだれ桜「土牛の桜」の
クローン作成にも、同様の手法で成功。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/02/10/20100210dde041040027000c.html

NTTの宇治則孝副社長 「電子看板を100億円事業に」

(日経 2月3日)

商業施設や交通機関などに設置したディスプレーに、
広告を配信するデジタルサイネージ(電子看板)が注目。
ネットワーク経由で、時間帯や場所に応じた広告を効果的に配信、
広告市況が低迷する中でも高い成長が期待。

同分野への本格参入を発表したNTT持ち株会社の
宇治則孝副社長に、参入の背景や狙いを聞いた。

——なぜ今、電子看板事業に参入するのか?

「NTTは、2008年に策定した中期経営戦略の中で、
インフラ事業者から『サービス創造企業』への転換を掲げ、
光ファイバー通信回線の利用を促進する
新たなサービスの開発に総力。
3年目となる10年は、『サービス創造を花開かせる1年』と位置付け、
これまで準備してきた新事業を一気に商用化する計画」

「電子看板について、法人向けの光回線需要を創出する技術として
早くから注目、07年電機大手などと
『デジタルサイネージコンソーシアム(DSC)』を組織、
広告配信技術の標準化などを進めてきた。

09年、京浜急行電鉄の改札口などに電子看板を設置、
広告効果を確かめる実証実験にも取り組んだ。
景気低迷の影響で、広告ビジネスを取り巻く状況は厳しいものの、
電子看板の商用化に向けた環境が整ったと判断」

——NTTの電子看板事業の概要は?

まずは、ディスプレーとネットワークを組み合わせた
電子看板システムを2月1日に発売。
『ひかりサイネージ』というグループの統一ブランドを掲げ、
NTT東西地域会社やNTTドコモなど、グループ各社の
法人営業部門を通じて、フランチャイズチェーン(FC)を展開する
飲食業や金融機関、交通機関向けに販売する」

「電子看板事業への参入に当たって、パナソニック子会社の
ピーディーシーや丸紅と提携、両社からディスプレーなど
機材の供給を受けることに。
ネットベンチャーのニューフォリアとも組み、NTTが販売する
電子看板システムにニュースや占い、天気予報などの
コンテンツを配信してもらう」

——NTTの電子看板サービスの特徴は?

「利用企業のさまざまなニーズに応えられるよう、
導入規模やディスプレーの種類によって、3つのメニューを用意。
FCを展開する飲食業などを対象とする『ベーシックシリーズ』では、
ネットワーク経由でサービスを提供する『SaaS(サース)』の
仕組みを採用。

ネットワークを含め、月額料金で利用できるようにし、
企業の初期負担を軽減。
ディスプレーの大きさにもよるが、利用企業はディスプレー1台当たり
月1万円弱の費用で電子看板を導入」

「10年中、電子看板向けの広告配信サーバーを運用する
プラットフォーム事業にも乗り出す計画。
現在約170社が参加する標準化団体のDSCなどを通じ、
広告配信技術の標準化を推進、NTTグループが販売する
ひかりサイネージ以外のディスプレーにも広告を配信」

——ターゲットと販売目標は?

飲食店や商業施設だけでなく、官公庁や病院、美術館など
人が集まるあらゆる施設がターゲットに。
ドコモの携帯電話販売代理店『ドコモショップ』に、
ひかりサイネージを導入することも。

電子看板の市場規模は、ネットワークにつながったタイプに限っても、
2008年の約150億円から、15年に320億円前後に成長すると見込む。
15年までに、NTTグループで25~30%のシェアを獲得、
早期に売上高100億円規模の事業に育てたい」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100202.html

新日鉄も実験、CCSは切り札か

(日経 2010-02-08)

昨年12月、コペンハーゲンで開かれた
第15回気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)で、
世界全体の長期目標として、気温上昇を2度以内に抑えるべく
行動することが盛り込まれた。

これは、世界の温暖化ガス排出量を2050年までに
ほぼ半減させることを意味。
13年以降、当面の削減の枠組み(ポスト京都議定書)の交渉に
進展がみられなかったことに隠れてしまったが、
長期目標の方は改めて確認された形。

CO2大幅削減は、人類にとって初めての経験。
長期目標をおおむね共有しているとしても、そこに至る道程で、
意見の相違や試行錯誤があってもやむを得ない。
そういったチグハグぶりの中には、見逃せないものも。

それは、CO2回収・貯留(CCS)をめぐる問題。
石炭火力発電所や製鉄所の高炉などの排気の中からCO2を分離し、
地中などに封じ込めてしまう技術。

CO2を直接、大量に削減できる技術として、
先進国を中心に関心が高く、日本でも高炉大手が手を組んで
今春から新日本製鉄君津製鉄所で、高炉ガスから
CO2を分離・回収する実験を始める。

排出削減の決め手とされ、略称の知名度も上がってきた。
実のところ、京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)に基づく
排出枠を生み出す手段として、認められていない「中途半端」な存在。

国際エネルギー機関(IEA)によれば、現行の省エネペースを続けた
程度では、50年には世界の温暖化ガス排出量は
05年比2.3倍の620億トンまで増える。
気温上昇を2度以内にする長期目標の条件を満たすには、
排出を140億トンまで抑え込まないとならない。

ギャップの480億トンをどうするか?
IEAの技術予測を織り込んだ分析では、19%をCCSが稼ぎ出す。
再生可能エネルギーの21%、原子力発電の6%と比較し、
いかに期待が大きいかが分かる。

先進各国が、ポスト京都で大幅な削減目標を受け入れても、
国内の自助努力だけでは達成は難しい。
海外から規模の大きな排出枠を調達する手段を確保するため、
CCSをCDMの中に位置付ける必要。
経済発展の過程で、化石エネルギーへの依存度が高まってくる
途上国にとっても、CCSは有効な温暖化防止対策。

05年、CCSのCDM化が適当かどうかを検討する作業が
始まったが、いまだに結論は出ていない。
コペンハーゲンでも、「CDM化することを推進する」との合意文書は
採択したものの、実質的に先送りに。

国際協力銀行の本郷尚・環境ビジネス支援室長は、
膠着の理由について、「技術上の問題や地中からのCO2漏出への
懸念よりも、排出量取引市場への影響がネックに」
大量の排出枠を生み出す可能性を秘めたCCSを認めれば、
既存の排出枠価格が下落しかねない。

CDM化に反対している代表格が、ブラジル。
ガソリンに代わる自動車燃料、バイオエタノールの生産大国だけに、
CCS活用による排出削減の加速が、自国の「特産品」の需要増に
水を差しかねない。

過去の議論の歴史をひもとけば、植林のCDM化を狙う南米勢と、
CCSを有望視する欧州・中東産油勢がけん制し合い、
両論併記に持ち込む駆け引きに終始。
COP15でも、CCSのCDM化をめぐって、
「サウジアラビアやブラジルが、互いの主張を人質にとったような状態」

地球温暖化防止のために何をするべきか——。
「ポスト京都」論議の混迷ぶりを含め、排出量取引など
低炭素社会の仕組みが定着し、経済を規定するようになるにつれ、
「原点」とのきしみが大きくなってきている。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan100205.html

健康食品との付き合い方:/3 栄養の専門家、どう活用

(毎日 2月11日)

病気のとき、気軽に受診できる「かかりつけ医」がいると安心。
「病気の予防や健康維持で、かかりつけ管理栄養士が
身近にいれば、素晴らしいですね」、
鈴木志保子・神奈川県立保健福祉大学教授。
金メダルに輝いた北京五輪日本女子ソフトボールチームの
栄養管理をした管理栄養士。

鈴木さんは、サプリメントと健康食品は区別して考えた方が
活用しやすい。
ビタミンやミネラルは、れっきとした栄養素。
栄養素を補う目的で使うのが、ビタミンやミネラルのサプリメント。
健康食品は、さまざまな疾病の予防やより健康になるための
目的で、食物の抽出物などを利用。

「ビタミンなどのサプリメントは、賢く使えば健康維持に役立つ」。
鈴木さん自身、スポーツ選手との合宿など仕事で忙しく、
おにぎり程度の食事しかできない時は、
ビタミンB群やCのサプリメントで栄養素を補う。

一般人にとって、どんな時に、どんなサプリメントをどれくらい
摂取すればよいかが判断しにくい。
鈴木さんは、「どの薬局にも、かかりつけ管理栄養士のような
アドバイザーがいれば、誰でも気軽に相談できる」と、
アドバイザーの充実を期待。

国の審査で、健康効果が認められた特定保健用食品(トクホ)でも、
専門家のアドバイスがあると効果が得やすくなる。

たいていの人は、トクホを軽い気持ちで取っているが、
国立健康・栄養研究所の梅垣敬三・情報センター長は、
「食後の血糖値の上昇を抑えるトクホを取るのであれば、
同時に糖質の取り過ぎを避けて食物繊維を多めに取るなど、
食生活全体を見直すきっかけに

サプリメントや健康食品を賢く活用するには、
それ相当の知識やアドバイスが必要。
専門家はどこにいるのか?どうすれば相談できるのか?

専門知識をもったアドバイザーは全国にたくさんいるが、
その存在はほとんど知られていない。

臨床検査技師などで組織する「健康食品管理士認定協会」
(事務局・鈴鹿医療科学大学内)は、一定の試験を課して
健康食品に詳しい健康食品管理士を養成。
約7000人もいるが、主に病院で働き、消費者の認知度は低い。

積極的に活用する医療機関も現れた。
香川大学医学部付属病院では、健康食品管理士の
多田達史・臨床検査技師が、糖尿病教室などで定期的に
健康食品の相談にも応じている。
「健康食品管理士の資格を持っている」と話すと、
患者たちが健康食品のチラシをもってきて、
「これは効くの?」などと質問。
「健康食品の話になると、患者の目がぱっと輝く」と
関心の高さを実感。

こういう活動はまだ少ない。
長村洋一同協会理事長(鈴鹿医療科学大教授)は、
「せっかくの能力が生かされていない。
薬局や自治体の窓口に、アドバイザーを配置するようなことを
国が決められないものか」

こうした専門家はほかにもいる。
国立健康・栄養研究所では、認定試験を実施し、
「栄養情報担当者」(NR)を養成。
主に管理栄養士や薬剤師で約4000人いるが、
やはりあまり知られていない。
同研究所の梅垣さんは、「自治体の消費生活センターに配置し、
相談に応じられるような仕組みができないものか」と、
消費者庁の政策に期待。

日本栄養士会では、2年前から全国の都道府県に
栄養ケアステーションを設け、健康指導などを行っている。
東京の本部では、健康食品の相談にも応じている。
以前に保健所で働いていたという管理栄養士の
迫和子常務理事は、「管理栄養士や薬剤師のいる保健所に、
消費者がもっと相談していい」

米国では個人で契約し、健康や疾病の相談に応じてくれる
パーソナル管理栄養士がいる。
健康食品やサプリメントへの関心が高まるなか、
日本でも全国に数多くいる専門家をどう活用するか、
知恵の見せどころ。

http://mainichi.jp/life/health/archive/news/2010/02/20100211ddm013100161000c.html

2010年2月16日火曜日

脳細胞:「ひげ」は右回り 左右の脳に非対称性 理研、大阪大チームが解明

(毎日 2月2日)

脳の神経細胞から伸びるひげ状の「神経突起」は
成長する際、先端部が時計と同じ右回りに回転、
理化学研究所と大阪大のチームが動物実験で発見。

回転が左右の脳の非対称性を生み、
右脳と左脳の機能分担を生じさせると推測。
米科学誌「ジャーナル・オブ・セルバイオロジー」で2日、発表。

理研の上口裕之チームリーダー(脳科学)らは、
ラットの神経細胞を特殊なゲル状の溶液中で三次元的に培養。
あらゆる方向に成長する神経突起の先端の動きを記録。

神経突起の先端にあり、突起の進む方向を決める
「成長円すい」から、多数飛び出ているとげ状の「糸状仮足」という
部分が、根元から見て、時計回りに回転し続けている。
毎分1回転で、回転しつつ伸び縮みしている。

遺伝子操作で、糸状仮足の回転を止めると、
通常右曲がりに伸びる神経突起が直線的に伸びるようになった。
右脳、左脳とも、回転は右回りだった。
左右の脳の神経回路は、鏡に映した対称形ではなく、非対称になる。

上口さんらは、「非対称の神経回路が右脳、左脳の
機能差を生むと考えられる。
回転を止めたり逆にした神経細胞を作ることで、
脳のメカニズムを解析する新しい方法が生み出せる」

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/02/02/20100202ddm012040080000c.html

大豆食品で肺がんリスク低 非喫煙男性、厚労省研究班

(2010年2月5日 共同通信社)

たばこを吸わない男性では、豆腐や納豆などの大豆食品に
含まれるイソフラボンの摂取量が多い人が肺がんになるリスクは、
摂取量が少ない人の半分以下だとの研究結果を、
厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎
国立がんセンター予防研究部長)が公表。

研究班は岩手、秋田など8県に住む45~74歳の
男女約7万6千人を平均約11年間、追跡調査。
男性481人、女性178人が肺がんになった。
食事内容のアンケートからイソフラボンの摂取量を算出、
男女をそれぞれ4グループに分け、肺がんの発症率を比較。

男性のうち、非喫煙者では、イソフラボン摂取量が最も多い
グループ(豆腐換算で1日約203g)の発症率は、
最も少ないグループ(同約37g)の43%。
男性全体では、関連は出なかった。
喫煙の影響があまりに大きいため。

豆腐1丁は、300~400g程度。
女性でも、統計学的に意味のある差はなかったが、同様の傾向。

肺がんと女性ホルモンの関係を指摘する報告があり、
女性ホルモンと構造が似ているイソフラボンの摂取が
肺がん発症に影響するか注目、今回と同じように
イソフラボンの摂取で肺がんリスクが下がることを示唆する
海外の報告がある。

同センター予防研究部の島津太一研究員は、
「肺がんの最大の原因は、やはりたばこ」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/5/115575/

諸外国から学ぶスポーツ基本法:フランス

(sfen)

◆フランスのスポーツ基本法の形成

フランスにおけるスポーツ法は、
第1に、1940年のスポーツ組織に関する法律、
1945年のスポーツ非営利社団、リーグ、連盟および団体に関する
臨時立法、学校および大学のスポーツ組織に関する臨時立法など、
スポーツ団体組織を中心に制定され、
特別なスポーツ団体法が形成。

第2に、1940年代から1950年代に、スポーツ活動の安全を
確保するため、スキー、水泳、山岳ガイド、柔道の
指導者資格に関する特別法が制定。
1963年、スポーツ教育者の職業資格全体に関する法律が制定。

第3に、1958年にド・ゴール政権となり、1960年ローマオリンピックでの
惨敗を契機とし、スポーツ行政の強化が求められ、
1966年青少年・スポーツ省が設置、スポーツ専門の公務員制度が確立、
総合的なスポーツ政策が展開、関連する法令の整備が進んだ。
1961、1965、1971年、スポーツ施設に関する長期計画法が制定。

以上の法令の展開を受け、1975年フランスにおける最初の
スポーツ基本法「体育およびスポーツの発展に関する法律」制定。
同法は、教育改革の影響も受けて、
体育とスポーツの両方の基本を定めた。
ヨーロッパみんなのためのスポーツ憲章の制定に対応し、
あらゆる人が、あらゆる水準で、スポーツ活動に参加する
自由と平等の原則を定めた。

1984年、「身体的およびスポーツ的活動の組織および促進に
関する法律」が制定。
同法は、1941年スポーツ施設に関する法律、
1963年スポーツ教育者の職業資格に関する法律、
1975年スポーツ基本法を廃止、
それまでの関連する諸規定を統合。

第1条では、「身体的およびスポーツ的活動の発展は、
一般の利益にあたり、身体的およびスポーツ的活動の実践は、
性別、年齢、能力または社会的条件がいかなるものであろうとも
各人にとって権利である」と、スポーツに関する権利を定めた。

関連するスポーツ判例法の影響を受け、
スポーツ連盟に公役務の任務を与え、スポーツ連盟の処分決定に
関する紛争を、行政裁判所の管轄として認めた。

◆フランスのスポーツ法典

1984年スポーツ基本法は、①学校体育・スポーツ、
②スポーツ会社、③地方公共団体、④プロフェッショナルリーグ、
⑤プロフェッショナルスポーツ(選手契約・代理人)、
⑥自然スポーツ、⑦公開スポーツ施設、⑧スポーツ行事の安全、
⑨スポーツ行事の放送・営業権・放送の自由、⑩段位交付、
⑪スポーツの財政、⑫海外における法の適用について、
関連する諸規定が追加、改正された。

スポーツの経済的活動など諸課題の解決と、
安全なスポーツ環境の整備を目的として改正が行われた。
学校体育について、教育行政への統合が求められ、
教育法典の体系に組み込まれることに。

フランスにおいて、ドーピングに関する特別な法律が制定。
最初のドーピング法は、1966年制定、1989、1999、2006年に
新しい法律が制定。
フランスドーピング法は、ドーピング対策とスポーツマンの
健康の保護の両面を定め、
2000年公衆衛生法典の特別法としても位置付け。

フランスにおける法典化、法の簡素化に関する政策の影響を受け、
スポーツ法は、1984年スポーツ基本法、ドーピング法、
教育法典における体育・スポーツ教育に関する規定を
中心にまとめられ、2006年スポーツ法典として編さん。

スポーツ法典は、4編14章32節254条からなり、
第1編:身体的およびスポーツ的活動の組織、
第2編:スポーツのアクター、
第3編:スポーツ実践、
第4編:諸規定から構成。

スポーツ法典は、①組織、②人、③実践のレベルから構造化。
具体的には、スポーツ法の一般原理、国、地方公共団体など
公法人によるスポーツ振興の責務、スポーツ非営利社団、
スポーツ会社、スポーツ連盟、プロフェッショナルリーグ、
フランスオリンピックスポーツ委員会、スポーツ調停、
スポーツの職業教育、有償スポーツ教育と資格、
高水準スポーツ、プロフェッショナルスポーツ、選手契約、
スポーツ代理人、スポーツマンの健康、ドーピング対策、
動物ドーピング対策、自然スポーツ、スポーツ施設、スポーツ保険、
スポーツの衛生および安全、スポーツ行事の組織および安全、
スポーツ行事の放送、スポーツの財政、海外適用規定など
多様な規定がある。

◆日仏のスポーツ法の比較と提言

日本において、フランスのスポーツ基本法、スポーツ法典のように、
スポーツに関する特殊な法体系の基本を定め、
その整備を図る必要がある。

第1に、公権と私権の両側面からスポーツ基本法の立法を行う。
これまでの日本のスポーツ振興法のように、
行政によるアマチュアスポーツの振興を中心にだけ
立法を考えるのではなく、プロスポーツなどスポーツの経済的活動、
スポーツ連盟、スポーツ非営利社団、スポーツ会社などといった
スポーツ団体組織の法的基盤を定めるなど、
社会的経済的に多様な側面からスポーツ法を立法する必要。

行政によるスポーツの助成を単に定めるのではなく、
自由や平等、安全、公正などに基づいて、
行政によるスポーツの規制や人権の保護についても
積極的に定める必要。

第2に、日本のスポーツ振興法は、教育関係法として位置付いてきたが、
スポーツに関する総合的体系的な立法と施策の展開を
実施するためには、スポーツ基本法を制定し、
ひとつの独立した特殊法として認めていく必要。
スポーツを総合的に規律していくためには、
専門の主務官庁によって、政策と立法の整備を進める必要。

第3に、フランスでは、スポーツの振興の責任は、
行政とスポーツ運動組織の共同責任であると考えられている。
スポーツ基本法は、単にスポーツ行政とその施策を定めるものではなく、
スポーツ団体組織の法的地位を明白に定め、
両者のパートナーシップを定める必要。

◆斉藤健司

筑波大学大学院人間総合科学研究科・体育科学専攻・准教授、
日本スポーツ法学会理事、日本体育・スポーツ政策学会理事、
著書「フランススポーツ基本法の形成」成文堂、
共著「スポーツ法学入門」体育施設出版、
「導入対話によるスポーツ法学」不磨書房、
「スポーツ政策の現代的課題」日本評論社など。

http://www.ssf.or.jp/sfen/sports/sports_vol2-1.html

2010年2月15日月曜日

理系白書’10:挑戦のとき/22 防災科学技術研究所主任研究員・長江拓也さん

(毎日 2月9日)

「ブレーブテスト(勇気ある実験)」
国際学会で発表するたび、規模の大きさに称賛の声。

95年、阪神大震災を機に建設された実験施設
「E-ディフェンス」(兵庫県三木市)。
実際に観測された地震波などを再現し、実物大のビルや家屋を
丸ごと揺らすことができるこの施設で、
長江さんは超高層ビルの耐震性を研究。

揺れを作り出す震動台は、縦15m、横20m。
台上に、実際に建設会社が建造した鉄骨4階建てのビルを据え、
その上に4枚のコンクリート板(重さ約700トン)を重ねる。
20階建てを想定した「模擬高層ビル(高さ21m)」。
このビルを、揺れ1往復に2秒以上かかる
「長周期地震動」で揺らす。
近い将来起きる可能性の高い巨大地震、
東海・東南海・南海地震で生じると考えられる震動。

実験中、制御室の窓から上をのぞくと、
ビルがしなりながら揺れている。
万一に備え、倒壊を防ぐ鉄製ストッパーなどの対策を施し、
「強度計算も全部自分でやっているから、
うまくいくかどうかドキドキした」と振り返る。

実験では、揺れのエネルギーが鉄骨の柱とはりの接合部に
集中して切断することが確認できた。
実際に起きれば、ビル自体が使えなくなる深刻な被害。
同じビルに、油圧ダンパーと呼ばれるエネルギー吸収装置を
付ければ、被害を防げることもわかった。
「超高層ビルを、耐震改修しなければいけない根拠を示した
初の実験」と胸を張る。

明治大で建築を学んだが、もともと目指していたのはデザイナー。
子供のころ、家が増築されたのがうれしくて、
「設計は、みんなに喜んでもらえる仕事」と思ったから。

2年生の95年1月、成人式のため帰省していた愛知県の実家で、
阪神大震災の揺れに遭遇。
「こんなことが本当に起きるのか、という大災害。
起きないためにどうしたらいいのか」と志望を変え、
耐震工学を専攻。
コンクリートや鉄骨構造などを学び、今のテーマにたどりついた。

耐震工学は、実際の被害を教訓に知見を積み重ねてきた分野。
「超高層ビルなどが密集した都市が、
巨大地震で被害を受ければ、日本は立ち直れなくなる。
これまでのやり方は当てはまらない」と危機感。

「超高層ビルは、解体する方法がなく、どうやって地震後も
使い続けられるようにするかを真剣に考えなければ。
そのためには、被害を予測して予防しなければならない。
被害を実際に見るための実験がとても大切
==============
◇ながえ・たくや
74年、愛知県瀬戸市生まれ。東京工業大院博士課程修了。
米スタンフォード大、京都大研究員を経て、06年から現職。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/02/09/20100209ddm016040196000c.html

塩分 やっぱり、日本人3大死因の引き金 厚労省、8万人調査

(2010年2月4日 毎日新聞社)

塩漬け食品の取りすぎや、食事全体で塩分の多い
生活習慣を続けると、各種のがんや循環器疾患
(心筋梗塞、脳卒中など)を発症しやすいことが、
厚生労働省研究班の大規模調査で分かった。

がんと循環器疾患は国民の死因の1~3位、
全体の6割近くを占める。
胃がんなど一部の疾患では知られていたが、
塩分の取りすぎが多くの生活習慣病に影響するとのデータが
示されたのは初めて。

調査は、8県に住む45~74歳の男女約8万人を対象。
対象者を、食事全体の塩分(ナトリウム)摂取量、塩辛や漬物、
イクラなど塩漬け食品の摂取量によって5グループに分け、
6~9年間の調査期間中のがん、循環器疾患の発症状況を調べた。

塩分全体の摂取量が多い群(1日当たり平均17・8g)は、
少ない群(同7・5g)に比べ、循環器疾患の危険性が約2割高かった。

塩漬け食品の摂取量が多い群は、何らかのがんを発症する
危険性が11~15%高かった。

塩漬け食品の摂取量が多い群の循環器疾患の危険性は
高くはなかったが、魚や野菜に循環器疾患を予防する
栄養素が含まれるため。

研究班の津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長は、
「調味料の塩分を減らし、塩漬け食品を食べる回数を減らすことで、
多くの生活習慣病を予防できるだろう」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/4/115530/

認知症予防、青魚で効果 島根大グループが実証

(2010年2月3日 毎日新聞社)

青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)や
EPA(エイコサペンタエン酸)を毎日食べ続けることで、
認知症予防に効果があることを、
島根大医学部の橋本道男准教授(脂質栄養学)のグループが、
高齢者108人に行った試験で実証。

100人規模の高齢者を対象に、実際に毎日食物として
食べさせるなどする「介入試験」で効果を実証したのは国内初。
米国・ハワイで開催の国際アルツハイマー病会議で発表。
島根県立大などと共同で実施。

同県在住で、65歳以上の健常な高齢者108人(平均年齢73歳)を、
二つのグループに分け、一方にDHA850mg、EPA200mgを含む
魚肉ソーセージ、もう一方にいずれもほとんど含まない
魚肉ソーセージを1年間、毎日2本ずつ食べさせた。

一度見た図形を模写するテストや、あらかじめ決められた
ルールに沿って、指を動かすテストを行ったところ、
DHA入りを食べていたグループは成績が改善、
短期記憶や運動能力などの機能低下が抑制。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/3/115475/

諸外国から学ぶスポーツ基本法:イギリス

(sfen)

イギリスのスポーツに関する政策の改革は、
過去10年の間に起こった。
変革と呼ぶにふさわしいほどの劇的な改革、
イギリスのスポーツを政策の中心に位置付ける方法は、
わが国にとっても注目に値する。
英国ラフバラ大学研究員の山本真由美さん。

◆スポーツ先進国家に向かうイギリスのスポーツ政策

イギリス政府は、伝統的にスポーツに対する政策は
「無関心」状態だったが、過去10年間にスポーツが
国家の政策的中心に位置づけ、スポーツを通した
社会的課題の解決を目指した政策展開がなされてきた。

2012年ロンドン・オリンピック・パラリンピック(London 2012)開催が
決定されて以降、イギリスのスポーツの政策目標は、
同国が「世界のスポーツ先進国家」として確固たる地位を築くこと。

◆スポーツの「国家戦略化」への道筋

イギリスのスポーツ政策、スポーツの政策環境の特徴は、
エリートレベルのスポーツ支援、アンチ・ドーピング政策、
オリンピック・パラリンピック大会開催以外、
国民国家として統一された「スポーツ政策」が存在しない。
「スポーツ基本法」のような統一的な法整備はなされていない。

中央政府には、スポーツ担当省となる文化・メディア・スポーツ省(DCMS)
の国務大臣、イングランドのスポーツ大臣(Minister for Sport)など、
英国の各4地域にスポーツ担当大臣が存在する。

イギリスが、「スポーツにおける先進国家」を目指し、国家戦略として
政策展開を試みている背景には、
London 2012を成功裏に開催すること、
自国大会開催でのイギリス・チーム(Team GB)の成功
(オリンピック・メダル獲得数4位、パラリンピック・メダル獲得数1位)、
大会後も続くスポーツへの、スポーツを通したレガシーを
国内、国際社会に根付かせるという目的。

国内的制約があるにも関わらず、各中央スポーツ組織が統一した
ヴィジョンを持って、パートナーシップを形成する。
エリートレベルのスポーツ支援を通し、
イギリスのスポーツ全体を底上げするという方策がとられている。

◆政権交代後に掲げられたスポーツの近代化

スポーツ政策において、現在のような方策が
とられるようになったのは、ここ10年前後。
1997年、保守党から労働党に政権交代、
労働党の基本的政策理念に合致させた形で、
スポーツも「変革」を余儀なくされた。

変革の一番の特徴は、スポーツを「近代化」すること。
それまでのスポーツ組織は、ボランティア・ベースの
アマチュア団体が主で、各団体間の関係が複雑で連携が希薄。
そのような団体を効率の良い運営形態へ移行させ、
専門知識を持った人材の登用を奨励し、
「エビデンス(証拠)」を基にした財政支援の原則を
導入することで、これを促した。

特記すべきは、上記の変革を促進させるため、
「エリート・スポーツ vs 生涯スポーツ」といった、
往々にして想起される対立構図を捨て、
確固たる長期的戦略目標を中核に据え、
目標達成のための青写真と、踏むべきステップ(施策)を
具体的に描いたということ。

DCMSと子ども・学校・家庭省(Department for Children,
Schools and Families, DCSF)の両省庁が連携する
「若者の体育・スポーツ戦略(PE and Sport Strategy for
Young People, PESSYP)」は、学校、コミュニティー・スポーツ、
エリートのレベルに至るまでのパートナーシップ、パスウェイを
横断的に構築することを目指した好例。

◆脚注
※1. The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
(the UK, GB)。
イギリスは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの
四地域(ネーション)から構成、1999年、スコットランド議会が開会、
地域分権政策がさらに進行。
ネーションに権力移譲された政策分野には、
スポーツや教育も含まれ、各ネーションがそれぞれ担当大臣を有する。
1944年以来、最も重要な法律、ナショナル・カリキュラム(学習指導要領)
を導入した1988年教育改革法(Education Reform Act)は、
スコットランドには適応されていない。

※2. イギリスには、法的に統一されたスポーツ政策の展開ができない。
2012年ロンドン大会開催決定後、2006年英国議会は、
「オリンピック法(Olympic Bill)」を可決、首相直属の内閣府に
オリンピック大臣が任命。
オリンピック法を根拠とし、実質的に国家として統一した
スポーツ政策の展開がなされている。

※3. 山本真由美「『先進スポーツ国家』へ?
-イギリスのエリートスポーツ政策の分析」
*Japanese Journal of Elite Sports Support*, Vol. 1, pp.1-11参照。

※4. PESSYPは、03~08のPhysical Education, School Sport &
Club Link (PESSCL)プログラムを拡大、5~16歳まで週5時間以上の
質の高い体育とスポーツ、16~19歳に、スポーツからの脱落を
回避するため、週3時間以上のスポーツ・イン・スクールを
達成することを目的。

◆今後のわが国のスポーツ政策展開に向けて

わが国でも、「スポーツ基本法」成立を目指した動きが高まりを
見せているが、スポーツ権の問題、
スポーツ省/庁設置に関する議論、
スポーツ関連予算を有する各関係府省の棲み分けの問題、
公的資金(補助金)の分配(方法と分配先)、
スポーツ関連基金や国営くじの活用方法とその位置づけの明確化等、
議論し整理を付けるべき課題が現状まだまだ山積。

わが国のスポーツ行政は、スポーツ・体育施設整備や体力の増強、
健康の増進のための指標、指導者や組織の育成などの事業に関し、
国家として統合された目標が示されていない。

イギリスのスポーツ政策環境は、各関連領域が法的根拠に則り
一元化されたものではない点で、わが国と近似関係にある。
国家の成長戦略として、スポーツを政策の中心に位置づけ、
目標を共有し、省庁等各組織間の実質的な連携を
成功させていることは注目に値する。

◆ハイ・パフォーマンス・センター(シェフィールド)

国際競技力向上計画の一環で建設された、
ハイパフォーマンス・アスリートの包括的なサポートを
目的とした施設の一つ。
当センターには、インドア・アウトドア・トラックや
ウェイトトレーニング場、理学療法、マッサージ、体力測定、
食事プログラム、アスリートの競技内外の生活をサポートする
パフォーマンス・ライフ・スタイル・プログラムを受けることができる。
イングランド内には、バーミンガム大学、ラフバラ大学、
ロンドン郊外ビッシャム・アビー、シェフィールドを含む9カ所に設置。

マスタープランとは、失業、住宅、景観、環境、福祉など、
さまざまな問題への社会的な価値判断をともなった政策方針。
スポーツの普及・振興も含まれ、文化・メディア・スポーツ省は
スポーツに関する計画や改善策を提示。

◆近年におけるイギリスのスポーツのマスタープラン

A Sporting Future for All(全ての人にスポーツの未来を)
2000年/DCMS発行
エリート・スポーツと学校体育の二大政策課題、
スポーツの社会政策的価値の認識の明確化、
組織の近代化、公的資金の効率的な活用

Game Plan(ゲーム・プラン)
2002年/戦略ユニット(Strategy Unit)& DCMS 共同発行
2020年までの長期目標、政府の役割の明確化、
公的資金の必要性、スポーツの社会政策的価値の認識

Playing to Win: A new era for sport(勝利に向けて: スポーツの新時代)
2008年/DCMS発行
London 2012のレガシーを根付かせ、世界の先進スポーツ国家へ
例:2012年までに200万人が日常の身体活動に参加

◆山本真由美

英国ラフバラ大学博士号。
世界アンチ・ドーピング機構(WADA)勤務。
ラフバラ大学オリンピック・スタディーズ研究センター客員研究員。
嘉納治五郎記念国際研究・交流センター研究員。
スポーツ政策専門。
エリートスポーツとアンチ・ドーピング政策の展開についての研究。
Comparative Elite Sport Development共著。

http://www.ssf.or.jp/sfen/sports/sports_vol1-1.html

2010年2月14日日曜日

健康食品との付き合い方:/2 機能表示、よく理解して

(毎日 2月10日)

健康食品の中でも、国が有効性や安全性を認めた
特定保健用食品(トクホ)の人気は高い。
現在約900品目もあり、消費者にすっかり定着。
表示の意味を正しく理解せず、過剰な効果を期待してはいないか?

<体に脂肪がつきにくい>と表示されている
日清オイリオの食用油「ヘルシーリセッタ」。
分子の鎖が短い中鎖脂肪酸を含むため、通常の油より
肝臓での分解が速く、脂肪として体内に蓄積しにくいのが特色。
摂取するだけで、すでにある体脂肪が減ったりするわけではない。
同社広報・IR部は、「あくまで通常の油に比べ、
体内で脂肪になりにくいという意味」と説明。

トクホ製品の中でも、代表的なヒット商品となった
サントリー「黒烏龍茶」には、<脂肪の吸収を抑える>。
この意味は、「脂肪の多い食事と一緒に飲むと、
食後の中性脂肪の上昇を抑えるということ」で、
「空腹時でも、中性脂肪が下がるというわけではない」(同社広報部)。

<血糖値が気になる方に>と表示されている
大正製薬の「グルコケア」は?
でんぷんの一種、難消化性デキストリンを配合し、
小腸での糖の吸収を穏やかにするが、大正製薬広報室は
「食事の時に飲めば、糖類の吸収が抑えられ、
食事30分後の血糖値が下がるという意味」。
血糖値の高い人が毎日飲んで、血糖値が下がるものではない。

適切な利用法を知らないと、思わぬ健康被害に遭う恐れも。
トクホなどの健康食品と薬の飲み合わせを詳しく解説した
「健康食品ポケットマニュアル」(416ページ)をまとめた
「健康食品管理士認定協会」(事務局・鈴鹿医療科学大学内)によると、
血糖値改善をうたうトクホ製品と血糖値を下げる医薬品を
同時に服用し、血糖値が下がり過ぎたとの症例報告。
糖尿病などの疾患がある人は、トクホを利用する際、
医師に相談したほうがいい。

加藤亮二・香川県立保健医療大学教授は、
「トクホは食品なので、あくまで健康な人が病気の予防目的で
利用すべきもの」
血糖値を下げる製品の場合、「太っていて、血糖値が気になるという人が、
時々摂取して血糖値を下げながら生活し、
糖尿病になるのを遅らせるという意義はある」

現実に、血糖値の高い人が、トクホを利用しているからという理由で、
つい肉類などを食べ過ぎ、食生活の改善を怠ってしまうというケース。
どんな人がどれだけ、どのくらいの期間摂取すればいいのかまで
表示されていればよいのだろうが、
加藤さんは、「服用期間まで表示すると、医薬品の領域に入ってしまう」、
健康食品の表示の難しさ。

商品によって、最低限度の注意書きが小さく記されていたり、
メーカーのホームページなどで詳しい説明がされている。
インターネットを使わないお年寄りや、「トクホは健康にいい」という
漠然としたイメージで利用している消費者には、
十分には伝わっていない。

<虫歯の始まりである脱灰を抑制し、歯を丈夫で健康にします>と
表示されたトクホのリカルデントガム(キャドバリー・ジャパン)。
小さなパッケージの脇に、<1日摂取目安量:2粒を同時に1日4回、
1回あたり20分間を目安にお召し上がりください>

蒲生恵美・目白大学講師が、学生約300人に聞いたところ、
このガムを食べている学生の多くが、
「1粒かむだけで効果がある」と勘違い。

トクホの望ましい利用法を、消費者にどう伝えていけばよいか?
蒲生さんは、まず「消費者が表示をきちんと確認することが大事」とし、
「メーカー側も、注意しなければならない持病のある人は
対象外とすることや、どういう試験で有効性が確かめられたか、
もっと分かりやすく示す必要がある」と提言。

◇制度見直しへ、国が有識者会議

トクホなど健康食品の表示を巡って、消費者庁が昨年11月から
有識者による検討会を設置し議論、今年度中に
トクホ制度の改正も含む論点を整理する方針。

検討会では、「有効性をうたって販売するすべての食品を網羅する
ルールを確立すべきだ」(全国消費者団体連絡会)、
「トクホは、機能性の表示があいまいで正しく伝わらず、改善すべき」
(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会)、
消費者団体から現行制度の見直しを求める意見。

業界団体の健康食品産業協議会も、
「健康食品全体を包括した枠組み作りが必要」、
見直し自体に目立った異論は出ていない。
何をどう見直すかといった具体的な方向性は、まだ定まっていない。

http://mainichi.jp/life/health/archive/news/2010/02/20100210ddm013100154000c.html

壊死の筋肉、tPAで再生 マウス実験で東大医科研

(2010年2月4日  共同通信社)

脳梗塞の治療薬として使われている「tPA」を投与し、
血管の閉塞が原因で壊死したマウスの筋肉を再生することに
成功したとの実験結果を、東京大医科学研究所の
服部浩一・特任准教授らが4日までにまとめた。

新型万能細胞「iPS細胞」などの細胞を使わず、
実現性の高い再生医療の可能性を示すもので、
心筋細胞や神経細胞の再生も可能ではないか。

服部准教授らは、tPA投与によって体内にプラスミンという
物質が増え、骨髄由来のさまざまな細胞が、
壊死した組織の周囲に集まることを見つけた。

これらの細胞の中には、組織の再生を促す
血管新生因子をつくり出すものもあった。

そこで、足の血管を閉塞させ、筋肉を壊死させたマウスに
tPAを投与すると、筋肉の再生と歩行などの機能回復が
促進されることが判明。
出血などの副作用は見られなかった。

服部准教授は、「再生医療を臨床応用する際の倫理面や
安全性の課題が少なく、実現性の高い研究結果」

tPAは、脳血管に詰まった血の塊を溶かす作用があり、
脳梗塞発症から短時間のうちに投与すると効果がある。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/4/115513/

メタボ腹囲は科学的根拠なし…線引き困難

(2010年2月9日 読売新聞)

メタボリックシンドロームの適正な診断基準を検証していた
厚生労働省研究班(主任研究者=門脇孝・東京大学教授)は、
診断の必須項目の腹囲の数値によって、
心筋梗塞や脳梗塞の発症の危険性を明確に判断できないとする
大規模調査の結果をまとめた。

現在の腹囲基準(男性85cm、女性90cm以上)の
科学的根拠を覆すもので、診断基準の見直しに影響。

現在の診断基準は、腹囲に加え、血糖、脂質、血圧の3項目で
2つ以上で異常があった場合、メタボと診断、
保健指導(積極的支援)の対象。

他の先進国に比べ、男性の腹囲基準は厳しすぎる、
女性の基準は逆に甘いと、批判。

研究班は、全国12か所の40~74歳の男女約3万1000人に、
心筋梗塞、脳梗塞の発症と腹囲との関連を調べた。

その結果、腹囲が大きくなるほど、発症の危険性は増加したが、
特定の腹囲を超えると、危険性が急激に高まるという線引きは
困難であることがわかった。

現在の腹囲基準は、学会などが集めた小規模の研究データをもとに、
腹囲が基準を超えると、内臓脂肪が蓄積して、
生活習慣病になりやすいという前提で設定。

同研究班は昨年、腹囲が男性85cm、女性80cmを超えると、
血糖や脂質などの検査データの異常が急激に増える、
ということを明らかにし、今回の発症との関連では
腹囲基準の妥当性は導きだせなかった。

国際的には、腹囲を必須とせず、総合的にメタボを診断するのが主流。
米国では、腹囲(男性102cm、女性88cm以上)は中性脂肪、
HDLコレステロール、血圧、血糖値を含めた
5つの診断基準の一項目に過ぎない。

今回の研究でも、肥満の人ほど発症しやすい傾向は変わりない。
現行の基準で、メタボと診断された人は、そうでない人に比べ、
発症の危険性は男性で1・44倍、女性で1・53倍高かった。

門脇教授は、「腹囲が大きくなるほど、心臓病や脳卒中を起こす危険は
男女とも高くなったが、基準値としてどの数値が明確なのかを
示すことは難しかった。
今回の研究結果をもとに今後、最適な腹囲の基準について
議論をしていく必要がある」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/9/115722/?pageFrom=m3.com