2010年2月18日木曜日

スポーツ政策を考える:NPO法人浦和スポーツクラブ・小野崎研郎

(毎日 2月6日)

さいたま市浦和区を拠点に活動する
総合型地域スポーツクラブの副理事長を務めている。
競技はサッカー、テニス、フィットネスがメーン、会員は1300人。
年間運営費は約4700万円。
toto(スポーツ振興くじ)から、700万円の助成。

最近、totoの申請手続きなどが難しくなってきた。
大きなお金を扱うようになり、より厳格な審査と手続きが求められる。
申請するクラブも増え、一部には不明朗なお金の使い方をしたり、
活動実態がよく分からなかったりするクラブがあるのかも。

書類作成などの事務処理能力が高いクラブはいいが、
そうではないクラブの方が圧倒的に多い。
社会的な責任もあり、力をつけなければいけないが、時間が必要。
今のやり方では、スポーツの二極化と一緒で、
できるところとできないところの差が広がる。

totoの運営主体、日本スポーツ振興センターの担当者にすれば、
助成を通して、クラブやスポーツの役に立ちたいと思ってくれている。
クラブからすると、なぜこんな細かいことを
いちいち言ってくるのかと受け止めてしまう。
一方は疑い、一方は不信感が募る。
雰囲気は決してよくない。

互いに顔が見えない中、お金のやり取りをしていることが原因では。
totoに限らず、やれコンプライアンス(法令順守)だ、
やれ危機管理だと、システムばやりで、
そこに膨大な人と予算が投入。

管理する方も、される方も大きな労力や費用がかかる。
総合型クラブに代表される地域のスポーツは、成熟していない分野で、
今からそこに労力や費用をかけてしまっていては、
拡大の足かせになってしまう。

顔の見える関係づくりや地域ごとの実情に合わせた施策展開を
行うためには、お金の配分を決め、使途を検証する組織は
各地域にあった方がいい。
広域スポーツセンターや都道府県体協のクラブ育成アドバイザーら
専任職員に任せてはどうか。
彼らは、日ごろからクラブとの付き合いがあり、
互いに切磋琢磨できる。

先日、ある民主党国会議員の話を聞く機会が。
政権交代によって、政策提案や事業のやり方が変わっていく中、
国が作成したマニュアルに沿って事業を進めるのではなく、
それぞれの地域の実情に応じて、やりたい事業を考えてもらい、
そこでお金が使えるような仕組みにしていきたい。

全国を一つのスタンダードにあてはめるのではなく、
国と地域の役割分担を見直し、国は権限と財源を地域に移譲。
地域は、地域のスポーツ振興をマネジメントする役割を果たす。
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◇おのざき・けんろう

1961年生まれ。東京農工大卒。
1996年、青少年の一貫指導と生涯スポーツの実践を目指す
浦和スポーツクラブに入会。NPO法人クラブネッツ理事。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/02/06/20100206dde035070049000c.html

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