(2010年2月9日 読売新聞)
メタボリックシンドロームの適正な診断基準を検証していた
厚生労働省研究班(主任研究者=門脇孝・東京大学教授)は、
診断の必須項目の腹囲の数値によって、
心筋梗塞や脳梗塞の発症の危険性を明確に判断できないとする
大規模調査の結果をまとめた。
現在の腹囲基準(男性85cm、女性90cm以上)の
科学的根拠を覆すもので、診断基準の見直しに影響。
現在の診断基準は、腹囲に加え、血糖、脂質、血圧の3項目で
2つ以上で異常があった場合、メタボと診断、
保健指導(積極的支援)の対象。
他の先進国に比べ、男性の腹囲基準は厳しすぎる、
女性の基準は逆に甘いと、批判。
研究班は、全国12か所の40~74歳の男女約3万1000人に、
心筋梗塞、脳梗塞の発症と腹囲との関連を調べた。
その結果、腹囲が大きくなるほど、発症の危険性は増加したが、
特定の腹囲を超えると、危険性が急激に高まるという線引きは
困難であることがわかった。
現在の腹囲基準は、学会などが集めた小規模の研究データをもとに、
腹囲が基準を超えると、内臓脂肪が蓄積して、
生活習慣病になりやすいという前提で設定。
同研究班は昨年、腹囲が男性85cm、女性80cmを超えると、
血糖や脂質などの検査データの異常が急激に増える、
ということを明らかにし、今回の発症との関連では
腹囲基準の妥当性は導きだせなかった。
国際的には、腹囲を必須とせず、総合的にメタボを診断するのが主流。
米国では、腹囲(男性102cm、女性88cm以上)は中性脂肪、
HDLコレステロール、血圧、血糖値を含めた
5つの診断基準の一項目に過ぎない。
今回の研究でも、肥満の人ほど発症しやすい傾向は変わりない。
現行の基準で、メタボと診断された人は、そうでない人に比べ、
発症の危険性は男性で1・44倍、女性で1・53倍高かった。
門脇教授は、「腹囲が大きくなるほど、心臓病や脳卒中を起こす危険は
男女とも高くなったが、基準値としてどの数値が明確なのかを
示すことは難しかった。
今回の研究結果をもとに今後、最適な腹囲の基準について
議論をしていく必要がある」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/2/9/115722/?pageFrom=m3.com
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