2010年2月17日水曜日

健康食品との付き合い方:/3 栄養の専門家、どう活用

(毎日 2月11日)

病気のとき、気軽に受診できる「かかりつけ医」がいると安心。
「病気の予防や健康維持で、かかりつけ管理栄養士が
身近にいれば、素晴らしいですね」、
鈴木志保子・神奈川県立保健福祉大学教授。
金メダルに輝いた北京五輪日本女子ソフトボールチームの
栄養管理をした管理栄養士。

鈴木さんは、サプリメントと健康食品は区別して考えた方が
活用しやすい。
ビタミンやミネラルは、れっきとした栄養素。
栄養素を補う目的で使うのが、ビタミンやミネラルのサプリメント。
健康食品は、さまざまな疾病の予防やより健康になるための
目的で、食物の抽出物などを利用。

「ビタミンなどのサプリメントは、賢く使えば健康維持に役立つ」。
鈴木さん自身、スポーツ選手との合宿など仕事で忙しく、
おにぎり程度の食事しかできない時は、
ビタミンB群やCのサプリメントで栄養素を補う。

一般人にとって、どんな時に、どんなサプリメントをどれくらい
摂取すればよいかが判断しにくい。
鈴木さんは、「どの薬局にも、かかりつけ管理栄養士のような
アドバイザーがいれば、誰でも気軽に相談できる」と、
アドバイザーの充実を期待。

国の審査で、健康効果が認められた特定保健用食品(トクホ)でも、
専門家のアドバイスがあると効果が得やすくなる。

たいていの人は、トクホを軽い気持ちで取っているが、
国立健康・栄養研究所の梅垣敬三・情報センター長は、
「食後の血糖値の上昇を抑えるトクホを取るのであれば、
同時に糖質の取り過ぎを避けて食物繊維を多めに取るなど、
食生活全体を見直すきっかけに

サプリメントや健康食品を賢く活用するには、
それ相当の知識やアドバイスが必要。
専門家はどこにいるのか?どうすれば相談できるのか?

専門知識をもったアドバイザーは全国にたくさんいるが、
その存在はほとんど知られていない。

臨床検査技師などで組織する「健康食品管理士認定協会」
(事務局・鈴鹿医療科学大学内)は、一定の試験を課して
健康食品に詳しい健康食品管理士を養成。
約7000人もいるが、主に病院で働き、消費者の認知度は低い。

積極的に活用する医療機関も現れた。
香川大学医学部付属病院では、健康食品管理士の
多田達史・臨床検査技師が、糖尿病教室などで定期的に
健康食品の相談にも応じている。
「健康食品管理士の資格を持っている」と話すと、
患者たちが健康食品のチラシをもってきて、
「これは効くの?」などと質問。
「健康食品の話になると、患者の目がぱっと輝く」と
関心の高さを実感。

こういう活動はまだ少ない。
長村洋一同協会理事長(鈴鹿医療科学大教授)は、
「せっかくの能力が生かされていない。
薬局や自治体の窓口に、アドバイザーを配置するようなことを
国が決められないものか」

こうした専門家はほかにもいる。
国立健康・栄養研究所では、認定試験を実施し、
「栄養情報担当者」(NR)を養成。
主に管理栄養士や薬剤師で約4000人いるが、
やはりあまり知られていない。
同研究所の梅垣さんは、「自治体の消費生活センターに配置し、
相談に応じられるような仕組みができないものか」と、
消費者庁の政策に期待。

日本栄養士会では、2年前から全国の都道府県に
栄養ケアステーションを設け、健康指導などを行っている。
東京の本部では、健康食品の相談にも応じている。
以前に保健所で働いていたという管理栄養士の
迫和子常務理事は、「管理栄養士や薬剤師のいる保健所に、
消費者がもっと相談していい」

米国では個人で契約し、健康や疾病の相談に応じてくれる
パーソナル管理栄養士がいる。
健康食品やサプリメントへの関心が高まるなか、
日本でも全国に数多くいる専門家をどう活用するか、
知恵の見せどころ。

http://mainichi.jp/life/health/archive/news/2010/02/20100211ddm013100161000c.html

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