2009年2月14日土曜日

東京五輪:競技施設、都心部に集中…立候補ファイル提出

(毎日 2月13日)

2016年夏季オリンピック・パラリンピックは、
東京、シカゴ(米国)、リオデジャネイロ(ブラジル)、マドリード(スペイン)の
4都市が、国際オリンピック委員会(IOC)に立候補ファイルを提出。
石原慎太郎知事(招致委会長)が、「9割の施設が半径8キロ以内に集中。
他の候補地に比べて、コンパクトな大会になる」と胸を張った。

理念は、「平和に貢献する 世界を結ぶオリンピック・パラリンピック」。
都心部に競技施設を集め、1964年東京五輪の既存施設を活用する。
最先端の技術を駆使して、二酸化炭素の削減に務める
環境重視の大会を心掛ける。

大会組織委員会の予算は3100億円。
五輪開催に伴う経済波及効果を、東京都内で1兆5500億円、
全国では2兆9400億円と試算。

▽日本オリンピック委員会・竹田恒和会長

選手が、最高の舞台で競技ができる施設の設置を心掛けた。
今後も国際競技団体の意見を聞きながら、最高の舞台になるよう努力したい。

◇東京五輪概要

【コンセプト】開催期間は7月29日~8月14日。
戦後60年平和を貫いてきた日本で五輪を開催することにより、
平和の尊さを世界に訴える。
大会理念、「平和に貢献する 世界を結ぶオリンピック・パラリンピック」。
射撃とサッカーを除く競技会場を、半径8キロ圏内に集約する
五輪史上最もコンパクトな大会とし、地球温暖化の防止につながる
二酸化炭素(カーボン)削減を優先した「世界初のカーボンマイナス五輪」
をキャッチフレーズ。

【財政】五輪組織委員会の予算は3100億円
主な収入は、IOC分配金1090億円、スポンサー収入730億円、
チケット収入780億円など。
主な支出は、大会運営費1810億円、競技会場・選手村などの
仮設整備費820億円。

【宿泊】ホテルは、東京から10キロ圏内に8万室、50キロ圏内に12万室、
大会中は、約280ホテルで4万5000室を確保。宿泊料金は上限を設ける。

【輸送】羽田、成田両空港を結ぶ高速道路や都心環状線の一部に
五輪車両専用レーンを設ける。

【警備】警視庁職員4万6000人のうち、2万1000人の警察官が警備に。

【競技会場】34施設のうち、既存会場は23施設。
メーンスタジアムは、中央区晴海に新設する10万人規模の
オリンピックスタジアムで、開・閉会式、陸上競技、男子サッカーの決勝を行う。
マラソンは、64年東京五輪のメーンスタジアムだった国立競技場をスタート。
皇居や銀座、秋葉原などを巡る10キロの周回コースを3周後、
ゴールのオリンピックスタジアムに向かう。

◇他都市の計画
◇シカゴ
国内選考でロサンゼルス、サンフランシスコを破った。
五輪開催期間は7月22日~8月7日。
ミシガン湖岸を中心に四つの会場群。
91%の会場は選手村から15分以内。ホテルは市街地に10万室。

◇マドリード
五輪開催期間は8月5~21日。
市街地から半径12キロ以内の二つの会場群に大半の会場。
約7割の23会場は既存施設を活用。ホテルは市内に約6万5000室。
12年五輪も招致したが、落選。

◇リオデジャネイロ
五輪開催期間は8月5~21日。
会場は四つの会場群に分かれ、半数以上は既存。
選手の約半数は選手村から10分で移動可。
ホテルは市内に約5万室。国内で14年にサッカー・ワールドカップを開催。

◇開催都市の決定方法

10月2日、コペンハーゲン(デンマーク)で開かれるIOC総会で、

IOC委員約100人の投票により決まる。
最下位の都市を除外しながら投票を繰り返し、過半数の票を得た都市が当選。
ロゲ会長と立候補都市がある国の委員は投票できない。
落選した都市の国の委員は、その後の投票に加わる。
01年の投票では、立候補した大阪市が1回目で6票しか取れず、
5都市のうち最下位で落選。最終的に北京が選ばれた。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20090214k0000m050091000c.html

東京五輪は「安い・クリーン・コンパクト」…招致計画

(読売 2月13日)

2016年の夏季五輪の招致を目指す
東京オリンピック・パラリンピック招致委員会は、
開催都市決定の資料となる「立候補ファイル」を発表。

チケットの半分を5400円以下に抑えるなど、
「だれでも観戦しやすい大会」をアピールし、
東京・晴海のメーンスタジアムの観客席の屋根には、
太陽光発電パネルを設置して環境への配慮も強調。

読売新聞社が実施した世論調査では、
「賛成」が74%で昨年よりも2ポイント上回り、
今年10月の開催都市決定に向けて、招致レースも熱を帯び始めている。

チケットの発売予定枚数は約730万枚。
「多くの人が足を運びたいと思える価格」(都幹部)にするため、
過半数は5400円以下とし、子ども料金(12歳以下)も設定して
最も安いチケットは1000円。
開会式は、2万5000円~15万円になる。

半径8キロ以内に競技施設の95%がある「五輪史上最もコンパクトな計画」も
売り物の一つで、さらにスピーディーな移動を可能にするため、
期間中は、首都高速都心環状線の外回り線を選手らの専用レーンにする。

日程は、7月29日からの17日間。
開会式などを行う10万人収容のメーンスタジアムの屋根に、
一般家庭1000世帯の1日の消費量に相当する
1万1000キロ・ワット・アワーの太陽光発電パネルを設置。
大会関係者らの使用車両は、電気自動車や燃料電池車などにする。

大会運営費は、仮設の競技会場建設を含め3100億円で、
スポンサー収入やチケット販売費などで同額の収入を見込んでいる。
メーンスタジアムなど、恒久施設建設には計2420億円を計上。
経済効果は全国で2兆9400億円、都内は1兆5500億円と試算。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20090213-OYT1T00916.htm

あこがれの科学者をどう育てるか

(日経 2009-02-06)

都内のアイススケート場は、休日ともなると小中学生であふれている。
フィギュアスケートのグランプリファイナルで、2度目の優勝を果たした
浅田真央選手をはじめ、世界で活躍する若い日本人選手が
相次いで登場している影響が大きい。
科学技術分野でも、若者たちのあこがれとなるような研究者、科学者の
出現が欠かせない。


1年ほど前、高校卒業を目前にしたバイオリニストのリサイタルの抽選が当たり、
無料で演奏を楽しむ機会があった。
きゃしゃながら、みずみずしく張り詰めた音を奏で、聴いていてとても満足。
録音を兼ねていたようで、その演奏がデビューCDとして発売、
応援の気持ちから迷わず購入した。

様々な分野で有望な若手が登場する姿を見ると、
「日本はまだ捨てたものじゃないな」という感慨に。
将来を託される無限の能力に、羨望すら覚える。

イチローや松井秀喜ら米大リーグに挑む野球選手、
スコットランド・プレミアリーグの中村俊輔らサッカー選手——。
一流の人材が世界から集うスポーツや芸術といった分野ならなおのこと、
にわか“愛国心”が首をもたげ、彼ら彼女らに努力と活躍を求め、
成果を期待してしまう。
逆に言えば、若い挑戦者が現れない分野は、未来は暗い。

◆「ナイスステップな研究者」の2008年度選定者

〇研究
新津洋司郎 特任教授(札幌医科大学)
肝硬変など様々な難治性疾患の治療法開発

細野秀雄 教授(東京工業大学)
第三の超電導物質、鉄系高温超電導体の発見

三浦道子 教授(広島大学)
半導体超微細化時代に適合するトランジスタモデルの開発と国際標準化

山口茂弘 教授(名古屋大学)
高性能有機エレクトロニクス材料の開発

若山照彦 チームリーダー(理化学研究所)
凍結死体の体細胞からのクローン個体作製

〇プロジェクト・国際研究交流
池田裕二郎 物質・生命科学ディビジョン長ら3人(日本原子力研究開発機構)
先端的な加速器パルス中性子源の開発

嶋田雅暁 教授(長崎大学)
ケニアを拠点とした感染症対策の国際研究交流

〇人材育成・男女共同参画
河野(平田)典子 教授(日本大学)
女性研究者支援、女子学生に対する教育活動

米田仁紀 教授(電気通信大学)
先進的な工学系大学院教育プログラムの開発と実施

〇成果普及・理解増進
新井紀子 教授(国立情報学研究所)
Webを活用した情報共有サイト構築ソフトを無償公開。

最近は、国の競争力や経済の活性化と結びつけて考える傾向が強まり、
意識して社会の関心を科学技術に向けよう、有望な若手研究者を育てようとする
施策や計画が目立つ。

文部科学省は、2005年度から若手科学者を顕彰する制度を設け、
文科省科学技術政策研究所も同年度から注目すべき業績をあげた人を
「ナイスステップな研究者」として選考。

ソフトウエア分野に限定しているが、経済産業省の「未踏ソフトウェア創造事業」
天才プログラマーらを認定。
行政が毎年の恒例事業として進めると、候補者を集めなければいけなくなるし、
マンネリ化して表彰のインパクトも弱くなってくる。
こうした制度を否定するつもりはないが、若者が強く関心を抱いて
飛び込んでいくには、あこがれとなる人の存在が必要。

日本人初のノーベル賞受賞者となった湯川秀樹博士を引き合いに出すまでもなく、
その存在感は圧倒的。
今年の大学入試で、名古屋大学理学部の志願者倍率は、
08年のノーベル賞受賞者が籍を置いた効果で急上昇。

今の日本に、社会のあこがれの対象となるような科学者はいるのだろうか?
日本の大学や研究所は、有望な若者たちがそこで研究したいと思われるような
環境を整えているのだろうか?
第3期科学技術基本計画の中間評価が始まる09年にじっくりと考えたい。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/techno/tec090204.html

「個の環境感度」が試される

(日経 2009-02-02)

国民1人ひとりが個人、国家、世界に対して義務を負っている——。
「新たな責任の時代」を強く訴えたバラク・オバマ米大統領の就任演説の一節。

このフレーズを「企業の環境経営」に置き換えると、どうなるか。
製造現場でも間接部門でも、管理職であろうがなかろうが、
企業は社員1人ひとりの環境意識とその実行力を問うということ。
実はそんな気配が、本当に漂い出している。

オフィスの省エネ対策の一環で、退社時にパソコンの電源オフを励行する
企業は多いが、富士通のインフラサービス事業本部は徹底。

本部長ら幹部が出席する月曜朝のミーティングには、
自社製システムを使って集計したパソコンなどの稼働データが集まる。
誰が何日つけっ放しで帰ったかなど、個人別の「省電力成績」が一目で分かる。

集計データをもとに、電気を使い過ぎの社員の机には、
紙コップが伏せて置かれる。
コップの底には、「ECOイエローカード」が載せられ、その状態が1週間続く。

リコーリースは、社員1人ひとりのコピー・プリンター用紙の
使用状況を月次で管理
用紙代や両面印刷機能の活用度までもが算出された一覧表を、
昨秋から業績評価面談の題材にし始めた。

社員向けの環境教育はともすれば、「とりあえず受けておけばいい」という程度の
微温的なムードになりがち。
だが、これも決して甘く見ることができなくなってきている。

NECは、国内のグループ社員約11万人すべてに2010年度までに
「エコ・エクセレンス(知識に行動が伴った環境意識が高い層)」
になることを求めている。
社員の「エコ度」を評価する独自基準で、4段階の最上位に位置。
エクセレンスの割合は、07年度で60%。
環境教育や啓発の浸透度を確認するため、毎年秋に実施する

「環境経営意識調査」への参加は任意だったが、08年度調査から必須に。
社会人として、社員として知っておくべきことやするべきことのほか、
生産・開発・営業など担当業務別にも知識と行動を問われる。

オフィス用品販売の富士通コワーコのように、役職員約270人全員に
「環境社会検定試験(エコ検定)」合格を義務付ける企業も。
東京商工会議所などが実施する検定で、地球温暖化、化学物質規制、
リサイクルなど幅広い知識が問われる。
昨年12月には芝野芳彰社長も試験に。

就業時間中だけでなく、社員や家族のオフタイムの省エネ行動にまで
踏み込んだのはファンケル。
昨夏から、家庭で電気とガスの使用量を大幅に減らした社員に
報奨金を出す制度を導入。

トナーなどを製造するリコー福井事業所
製造ラインの省エネ・省資源対策だけでなく、マイカー通勤をやめ
自転車に切り替える運動や家庭の電力消費削減など
環境活動を所外に広げたことで、「エコ工場」として地元で高い評価。

ある社員が、子供の夏休みの自由研究の手伝いで、簡易測定器で
自宅の電化製品の電力使用状況を調べて回ったことが1つのきっかけに。
個人の「点」の取り組みが「面」に広がり、
結果として企業価値の向上につながった例。

企業の環境経営を、プロセス改善や省エネ製品開発など
一部の関係部署が支える時期は過ぎ、会社ぐるみの総力戦になりつつある。

米国や日本が環境分野をテコにした景気対策「グリーンニューディール構想」を
打ち出す中で、エコに敏感な人材をいかに多く抱えているかが、
企業の商機をめぐる勝敗を分けかねない。
不況下のコスト対策としても、社員1人ひとりへの省エネ圧力は増す。

もはや傍観者でいることは許されない。
「個の環境感度」が試される時代がやってくる。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan090128.html

医学生、卒後は半数流出 研修医の地域定着率 12県20-35%と低く

(2009年2月9日 共同通信社)

医学部卒業生のうち、出身大学がある都道府県に残って研修医となったのは
49・1%と、2人に1人は他地域へ流出している実態。
今回の調査に合わせて調べた03年度は、57・8%で8・7ポイント低下。

33都道府県で定着率が03年度より低下したが、
特に北陸や山陰、九州などの12県は20-35%と
地元確保が難しくなっている状況が判明、地方の医師不足や地域偏在を示した。

背景には、豊富な臨床例が経験でき、条件の良い都市部などに
地方の人材が集まっていること。

調査は昨年9月に実施。
過去のデータがない東京や大阪の計3校と、出身地に戻ることが条件の
入学枠がある自治医大を除く、国公私立医科系75校について、
卒業直後の動向を調べた。

都道府県別(データは5%刻みで分析)で、
08年度の定着率が最も低かったのは、島根と宮崎の20-25%。
25-35%は青森、富山、福井、鳥取、大分、宮城、高知、長崎など。

高かったのは、65-70%の北海道、大阪、
60-65%の神奈川、愛知、奈良、熊本など。
03年度との比較で低下幅が大きかったのは
千葉、鳥取、島根、山口で25ポイント減。
上昇したのは秋田、栃木、長野、沖縄など7県で、
うち和歌山は15ポイント上昇し、60-65%。

地域医療を担う人材確保のため、大学側も約30校で地元高校生らを対象に
地域入学枠を設けているが、文科省は「このまま低下が続けば、
医師不足に悩む地方はさらに深刻な事態となってしまう」

医師の不足や偏在をめぐり、政府は医学部定員増のほか、
2010年度以降に医療機関の募集枠制限などで特定の地域に
人材が集中しないよう、臨床研修制度を改める方針を固めている。

医学生の半数が、卒業後の臨床研修で出身大学の"地元"を離れてしまう状況に
定着率の低い地方では危機感を募らせる。
研修内容を磨き、学生を引きつけてきた病院もある。

2008年度の定着率が最低レベルの20-25%だった島根県。
島根大では昨年3月、医学部を卒業し医師資格を得たのは82人だったが、
県内で研修医になったのは同大付属病院の16人を含め20人。

「公立病院などへの医師派遣機能にも影響が出ている」と付属病院の担当者。
県内の別の病院長は、「医療は、地域の実情に合わせて対応するのが大切。
過疎化と高齢化が進む状況を理解した学生が離れるのは、大きな痛手だ」

和歌山県の研修医は04年度の49人から年々増え、08年度は74人。
51人を受け入れた和歌山県立医科大病院は、その約7割が同大出身者。
県立医大病院は、研修1年目から将来の専門分野を重点的に経験でき、
希望に応じた柔軟なプログラムづくりが特徴。
一般病院での研修も取り込み、研修医は地域医療の実情や必要性も
肌で感じ取ることができる。

卒後臨床研修センター長の上野雅巳医師は、
「研修が終わった後も地元で働いてもらうために、地域医療を担う各病院が、
研修内容や人間関係も含め魅力的な存在になる努力をしなければならない」

▽臨床研修制度

大学を卒業して免許を取得したばかりの医師に、病院で2年間の研修を
義務付ける制度で、内科など7診療科が必修。
以前は、出身大学の付属病院で研修するのが慣例だったが、
賃金など労働条件の向上などを狙い、2004年度に制度を改正。

医師と病院の双方の希望をコンピューターで照合する「マッチング」などで、
研修先を自由に選べるようにしたが、都市部や臨床例の多い民間病院を
選択する医師が増加。
地方の大学病院などで人材の確保が難しくなる状況が指摘。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/9/91406/

2009年2月13日金曜日

運動公園内にドーム 県教委方針

(岩手日報 2月11日)

県教委は、県営運動公園内にドーム型屋内練習施設を整備する方針。
2009年度一般会計当初予算案に、地質調査費など1200万円を計上。
11年度中に着工、13年秋の完成を目指す。
スポーツ医科学センターの併設も検討。

同公園内の陸上競技場は、国体など全国大会が開催できる
第1種公認を見送り、第2種競技場として改修するため、
約1億9000万円を予算計上。

ドームは県営運動公園南側、現在サッカー場がある場所に新設。
練習場部分の面積は、8700平方メートルで事業費30億―40億円。
サッカーグラウンドが入る大きさで、床は屋内外の競技が使用できる
ゴム素材などを検討。陸上競技用の100メートル直線コースを設置。

東北で公設の屋内練習施設がないのは、本県だけ。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090211_1

知事に「1種」整備を要望 県営運動公園

(岩手日報 2月10日)

県が、県営運動公園陸上競技場の改修をめぐり、
国体の陸上競技などが開催できる1種公認取得を見送ったことを受け、
盛岡広域の県議や各界代表者らは、達増知事らに方針変更を要請。

県側と盛岡市側には、国体の在り方に対する考えに相違があり、
県議会2月定例会では激論が交わされそう。

盛岡、岩手、紫波選挙区選出の県議13人は、
同競技場を第1種公認競技場として整備し、
2016年度開催の岩手国体の開閉会式や陸上競技開催を要望。

達増知事は、「第1種競技場を本県内に2カ所持つことは、財政上難しい。
県営運動公園陸上競技場は2種として維持する」

盛岡市の商工団体や県内の競技団体代表者、
盛岡広域圏の首長ら約20人が同様に要望。

第1種公認の競技場整備には100億円以上かかるとされ、
県は既に第1種公認を受けている北上市の
北上総合運動公園陸上競技場を活用する考え。

県営運動公園陸上競技場は、今回国体施設として整備すれば
国の半額補助が受けられる。
盛岡市も、「応分の負担」として、十数億円を超える費用負担を検討。
谷藤裕明盛岡市長は、「盛岡は宿泊、練習施設が充実しており、
選手は最高の環境で競技できる。
この機会に大規模競技場を整備すれば、Jリーグやラグビー世界選手権の
誘致も可能となり、将来にわたり子どもに夢を与えられる」

岩手国体での天皇杯獲得を目指す県教委は、
財源を選手強化に集中したい考えで、県営運動公園に、
スポーツ医科学を導入したドーム型練習場を整備する方針。
事業費は数10億円に上る見込み。

県教委スポーツ健康課の川口仁志総括課長は、
「天皇杯獲得には、冬場の練習環境改善やスポーツ医科学の導入など、
全競技共通の課題克服が急務。
多くの岩手の選手が全国と同じスタートラインに立つため、
緊急性の高い基盤整備を行いたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090210_4

宗派の壁超えた高校生バスケチーム 北アイルランド

(CNN 2月1日)

紛争の歴史を乗り越え、16歳の少年たちがコートの上でひとつになった。
カトリック系とプロテスタント系の住民が激しく対立した北アイルランド紛争で、
98年の和平合意後も溝の残る両宗派を融和へ導こうと、
バスケットボールのコーチが双方の高校生を集めてチームを結成。
チームメートたちの友情は、卒業後も続いている。

チームを誕生させたのは、米大学バスケの元選手マイケル・エバンズ氏(26)。
大学卒業後、北アイルランドでスポーツを通した紛争解決を目指す
ボランティアに参加。
この経験を基に、同氏は06年、ベルファスト市内の2つの高校で
バスケチームのコーチとなった。
同じ地域にありながら、一方はカトリック系、もう一方はプロテスタント系の学校。
互いへの不信感は根強く、交流は一切ない。
和平が成立して何年もたつのに、住民らの間に宗派の壁は厳然と残っていた。

エバンズ氏は、両校の選手たちと信頼関係を築いたうえで、
それぞれ5人ずつの選手に統合チームの話を持ちかけた。
強い抵抗を示す選手もいたが、粘り強く説得。
チームがようやく結成にこぎ着け、互いの学校を行き来して練習を初めてからも、
双方の選手たちは目を合わせようともしなかった。

対外試合や日々の練習、米国への遠征などでともに時間を過ごすうち、
選手たちの間には仲間意識が芽生え、
9カ月のシーズンが終わるころには深い絆が育っていた。

エバンズ氏は、出身地の米コネチカット州に戻ったが、
チームの全員と今も連絡を取り合っている。
「最近ベルファストを訪ねて、みんなと再会したんだ。
かれらは仲良くやっているようだ。
地域は相変わらず分断されているので、
お互いを訪ねたりすることはできないけれど、
インターネットでは連絡を取ったり、仲良く腕を組んだ写真を
掲載したりし合っているんだよ」

チームの成功の理由は、との問いに、
「バスケでは、ごく少人数が1つのチームになる。
そして勝つためには、コミュニケーションが不可欠。
同じ1人のコーチの声を聞き、それに従うなかで、
心の結び付きが生まれるんだ

08年、エバンズ氏の活動に共感した有志らによる団体
「フル・コート・ピース」設立
ベルファストでは今年も、カトリック系とプロテスタント系の高校生による
新たなチーム作りが進んでいる。

http://www.cnn.co.jp/sports/CNN200902010016.html

離島で学ぶ(8)村営の塾で切磋琢磨

(読売 2月7日)

元校長が、村営塾の講師として学力向上を手助けする。

沖縄県南大東村(南大東島)の中心部の建物に、
学校帰りの子供たちが集まって来た。
子供たちが「先生」と慕うのは、島の小中併置校の元校長、野村哲さん(64)。

沖縄本島から東に約360キロ離れた、
周囲20キロの島の教育熱は高いとは言えない。
12年前から小学校高学年に算数を教えてきた村営の「育英塾」は5年前、
小中学生に5教科を教える「学習支援センター」になった。
起用されたのが、島で育ち、島の校長を退職したばかりの野村さん。
教員生活の中では、南大東島で教壇に立ったのは3年間だけで、
「教員の時には十分でなかった島への恩返し」の気持ちが強い。

センターには、島の小中学生の3分の1の43人が通う。
子供たちは、学校の宿題を済ませた後、漢字や百ます計算など、
野村さんが個別に用意したプリントで、苦手分野に挑む。
小学生が週2日、中学生は週3日で、費用は月2000~6000円。

当初は、学年ごとに時間を分けて授業をしていたが、
「自発的に学ぶ楽しさに気づく場にしたい」と自習を見守る形に変えた。
上級生が下級生の面倒も見る。
小学6年の城間のぞみさん(12)は、「自分のペースで勉強できて楽しい。
下級生に教えることで責任感も出てくる」

人口1300人足らずの島に高校はない。
「小中の9年間で、基礎学力をしっかりつけて送り出すのが我々の責任」と
照屋林伸教育長(57)。
村教委や学校と野村さんが、学年ごとの習熟度や目標を細かく話し合っている。
ここ数年、県内の基礎学力達成度テストで、
村の子供たちは常に平均を上回る成績を残すようになった。

村では、漢字検定や英語検定の受検料も、半額補助。
競争意識が芽生えにくい環境だけに、
切磋琢磨する意識を持ってほしいという願いも込めている。

全国学力テストで2年続けて最下位となった沖縄県では、
民間の塾設置を後押しする動きが全県に広がり始めた。

沖縄県対米請求権事業協会は今年度から、個人が離島などで、
小中学生向けに小規模な塾を運営する際の助成を始めた。
地域の人材を発掘し、学校外の学ぶ場を増やす試み。

離島の悩みは、沖縄全体の悩みでもある。
将来、島を離れる子供たちのために、いま何ができるのか。
離島は、その答えを探し続けるしかない。

◆沖縄県対米請求権事業協会

日本政府が沖縄返還後に拠出した120億円を元に、1981年に設立、
幅広い地域振興事業を手がけている。
塾設置による学力向上支援も、その一環。
拠出は、戦後の米軍による土地接収などに関し、
正当な補償がないまま対米請求権を放棄した問題の対応策。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090207-OYT8T00304.htm

骨粗しょう症、脂質化合物が効果 マウス実験、破壊6割減 米と阪大共同研究

(2009年2月9日 毎日新聞社)

薬として米国で試験中の脂質化合物を、骨粗しょう症のマウスに投与すると、
骨の破壊を抑えられることを、大阪大免疫学フロンティア研究センターの
石井優・准教授が、米国立衛生研究所との共同研究で突き止めた。

従来の骨粗しょう症薬とは効く原理が違うため、
今の薬で効果が不十分な患者にも、併用で効果を出せる可能性がある。
英科学誌「ネイチャー」電子版に掲載。

人体には、骨を作る「骨芽細胞」と分解する「破骨細胞」があり、
両方が均衡を保っている。
加齢などで破骨細胞の活動が過剰になると、
骨が壊れて骨粗しょう症や関節リウマチが起きる。

破骨細胞は血液中にあり、働く際は骨の表面に移動する。
石井准教授らは、移動に関係する物質として、
もともと血液中にある脂質に着目。
この脂質と同様の働きをする化合物を、マウスに投与。
その後、特殊な顕微鏡で生きたまま骨の内部を観察。

破骨細胞の移動が激しくなって、骨に近づく細胞より、
骨から離れ血液中に戻る細胞が多くなることを確認。
化合物の効果の発見も、生きたまま骨の内部を観察したのも世界初。

米国で、免疫抑制剤として臨床試験中の脂質化合物「FTY720」にも、
同様の効果があると推測。
卵巣を摘出して骨粗しょう症にしたマウスに、FTY720を投与したところ、
投与しない場合に比べ骨の破壊が約6割減った。

従来の薬の一つ「ビスホスホネート製剤」は、
破骨細胞が骨の表面に移動した後で殺す仕組み。
今回とは原理が異なる。

破骨細胞は、がん細胞が骨に転移する際にも骨を破壊し、
がんが食い込む場所を作る。
石井准教授は、「FTY720は、がんの骨転移予防にも効果がある可能性がある」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/9/91436/

2009年2月12日木曜日

大船渡市民健康づくり大会 笑いで元気いつまでも

(東海新報 2月10日)

「笑って健康になろう」をテーマとした市民健康づくり大会が開かれた。
講演会では、落語家の三笑亭夢之助師匠が招かれ、
持ち前の語り口で大ホールは市民らの笑い声に包まれた。
各種測定・相談コーナーにも長い列ができ、
健康を支える日ごろの体調管理に意識を高めていた。

健康づくり大会は、著名人による講演会や各種測定、相談対応などを通して
市民らの健康に対する意識を高めてもらおうと毎年開催。
気仙医師会や大船渡歯科医師団、気仙薬剤師会などが後援、約千人が訪れた。

落語だけでなく、テレビ番組のリポーターや司会など多方面で活躍している
夢之助さんの講演とあって、無料の入場整理券は全てなくなる人気ぶり。
甘竹勝郎市長が、「皆さんが笑って健康で、
素晴らしい人生であることを祈念します」とあいさつ。

夢之助さんは、「普段たまっている疲れを笑いで取り除いてほしい」、
故郷・北海道での暮らしぶり、真打になるまでの下積み時代、
テレビ番組でのエピソードなどを紹介。
テンポの良い語り口で、会場は終始大きな笑い声や拍手に包まれた。

夢之助さんは、普段の生活におけるお喋りの大切さも紹介し、
脳の活性化につながっていると説明。
「楽しい話は楽しく、難しい話は楽しく」と、人前で話すコツもアドバイス。

しゃれやナンセンス、ジョーク、ユーモア、ウイットと、タイプ別に小話を披露し、
笑いを誘いながらスピーチや会話を盛り上げるヒントも紹介。
五文字、七文字の組み合わせによる言葉のリズムが
聞き手に響きやすい点にもふれた上で、
「お喋りする感性を鋭くするには、ストーリー性のある物語を覚えることが大事」

各種測定・相談コーナーが設けられ、体脂肪率や足指力、活力年齢などの
測定が行われ、健康運動指導士が日常生活での運動、食事のあり方をアドバイス。
県臨床衛生検査技師会南部地区技師会による循環動態表示付きの血圧測定では、
動脈硬化の状態を「血管年齢」として表示。
薬剤師による薬相談コーナーでも、家庭での服用時における心配ごとなどを
打ち明ける姿が多く見られた。

http://www.tohkaishimpo.com/

命の燃料、酢が肝心 東大チーム解明

(朝日 2009年2月4日)

極度の飢餓状態にある人や糖尿病患者にとって、酢がかなり重要。
東京大先端科学技術研究センターの酒井寿郎教授(代謝学)らが
マウスで明らかに。3日付米科学誌セル・メタボリズム(電子版)に掲載。

体内では、代謝によってできるATP(アデノシン三リン酸)が、
体を動かしたり体温を維持したりするエネルギー源。
ATPを生み出すには、瞬発系の運動ではブドウ糖を、
持久系の運動だと脂肪酸やケトン体を主に使う。

チームは、ATPをつくる代謝経路に酢酸も関係していることに着目。
遺伝子操作し、ブドウ糖や脂肪酸は代謝できるが、
酢酸は代謝できないマウスをつくった。
このマウスと正常なマウスで、
エサを与えた場合と48時間絶食させた場合を比較。

酢酸を代謝できないマウスだけが、
絶食状態のときに著しく体温と持久力が低くなる。

酒井教授は、「ブドウ糖の吸収、利用が極端に低い糖尿病患者に、
血糖値を上げないエネルギー源として酢が役立つかもしれない」

http://www.asahi.com/science/update/0203/TKY200902030390.html

離島で学ぶ(7)現地講座 教員の負担減

(読売 2月6日)

離島の教員を支える体制が整い始めた。

スクリーンに大写しになったのは、「30分」の文字。
長崎県大村市にある県教育センター教育情報課の本多博指導主事(40)が
「時間の意味が分かる先生います?」と
机を囲んだ若い教員たちに問いかけた。

「子供たちが1日に家族と話をする時間かな」、
「正解は、子供たちがメールを受け取ってから返信するまでの時間のルール。
長崎は30分、都会なら5分以内。守らないといじめにつながることも」
教員らの表情がこわばった。

同県新上五島町の有川小学校で、昨年12月に開かれた
「授業におけるICT(情報通信技術)活用現地講座」の一幕。
町内の小中学校に勤務する20、30歳代の教員9人が集まり、
情報モラルの指導方法や、ICT機器の効果的な使い方などを話し合った。

上五島中学校の岩本有加教諭(25)は、教員3年目。
「センターで研修や講座を受けるには、たとえ1日でも、宿泊を考えると、
3日分の日程を空ける必要がある。
自分のような若い教員にとっては、島を離れて授業が滞ることが怖い」

教員向けの研修や講座は、センターでは定期的に開かれているが、
長崎県は全国で最も人の住む離島が多い。
小中学校の教員も、約9500人のうち2割が離島勤務。
県西端の五島列島にある新上五島町からセンターへは、
船と車で4時間近くかかる。

離島の教員からは、「講座を受けたくても学校を空けられない」
といった声が以前からあった。
県では、センターから出向いた方が、効率的で教員の負担も減ると判断、
今年度から離島やへき地の学校で講座を始めた。

有川小での講座には、センターから事前に3台の投影機も持ち込まれた。
教員たちは投影機を使って、「はしの持ち方を教えられる」、
「鉛筆の握り方を教えてもいいね」と、授業に使えそうなアイデアを次々と出した。
英語活動に、ICT機器を取り入れたベテラン教員の授業も見学。

同センターは2006年度から、複式学級を受け持つ教員のための
現地講座も始めている。
県内の複式学級は増加傾向で、今年度は小学校390校のうち108校にある。
複式学級は離島に多い。

有川小の講座の参加者の1人で、複式学級がある
新上五島町立仲知小学校の江口正洋教諭(38)はここ数年、
センターでの講座には参加していなかった。
全校児童14人。3人の担任が1人でも欠ければ、負担は大きいが、
「地元での講座なら」と参加。

県は、教員の人事異動の基本方針として、1度は離島での勤務を経験。
本多さんは現地講座を、「離島に暮らす教員同士が、授業の進め方や
悩みなどを相談し合える場にもしたい」
同センターでは、現地講座の種類をさらに増やす方向。

教員の負担や不安を少しでも減らす。
その成果は、離島に学ぶ子供たちに返ってくるだろう。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090206-OYT8T00305.htm

08年度から医学英語検定制度スタート グローバル化で問われる医学英語の実力

(2009年2月6日 Japan Medicine じほう)

日本医学英語教育学会(理事長=大井静雄・東京慈恵会医科大教授)は、
2008年度から医学英語検定試験(3級・4級のみ)を開始。

将来的には、国際的に活躍できるトップクラスの人材育成に役立てるため、
1級、2級の検定試験制度も導入する計画。

医学英語検定試験(医英検)は、日本の医療・医学の国際化を
普遍的に推進することを目的として、日本医学英語教育学会が
08年度から開始した医学・医療に特化した英語検定試験。

試験は、<1>医学・看護・医療技術書・文献を英文で読む
<2>医学・看護・医療技術などに関する情報を英語で聞き、話し、伝える
<3>医学・看護・医療技術などに関する情報を英文で書き、表現する、
の3つの視点から総合的に評価。

1級-4級までの検定試験制度を整備する予定、
当面の試験は3級と4級のみ。
レベルは、3級=英語で医療に従事できるレベル(医師・看護師・医療従事者、
通訳・翻訳者などを対象)、
4級=医科大・医療系大卒業程度。

学会事務局(メジカルビュー社)からは3級・4級用の教本が発刊。
受験者は、医師、看護師などの医療専門職・医療系の学生だけでなく、
教育、出版、翻訳、通訳など関連業界を含めて幅広い層を想定。

昨年4月に行われた3級(筆記試験とリスニング試験)・4級(筆記試験のみ)の
第1回検定試験には、全国から660人が受験。

まだ始まったばかりであるため、合格者数は公表されていない。
医学英語に特化した検定試験は、世界的にも珍しいこともあって、
医学英語の運用能力を客観的に評価できる指標として注目。

1998年の学会設立時から参画し、医学英語検定試験制度の導入に
尽力してきた理事長の大井氏は、日本の医学英語の現状について、
「医療・医学のレベルは、世界の中でも高いレベルにあるのに、
日本人の医学英語の能力が劣っているため、それが世界に十分示せない。
世界に日本の実績をもっとアピールし、世界のリーダーになるためには、
医師を筆頭に、医療関係者がもっと医学英語のレベルを高める必要がある

医学英語の向上、目標の1つとして医英検を活用してほしい。
大井氏は、ドイツ・ハノーバー国際神経科学研究所の脳神経外科教授を兼任、
小児脳神経外科分野の権威。
国際的に臨床・研究・教育を実践する中で、
日本人の医学英語のレベルの低さを長年懸念。
学会での活動のほか、「医学英語論文表現法辞典」など医学英語の解説本も
多数執筆し、医学英語教育の充実にも力を注いできた。

だが、医療現場ではまだまだ医学英語教育の重要性が理解されていない。
大井氏は、医英検をきっかけに、あらためて医学英語教育に取り組む
医療関係者が増えることに期待。

当面は、3級レベルの能力を持つ医療関係者を増やすことが目標だが、
2級(英語での論文執筆・学会発表・討論、医学英語教育が行えるレベル)、
1級(英語での研究論文の指導、国際学会・会議での座長・議事進行ができるレベル)
の検定試験制度も整備し、世界に通用するトップクラスの人材育成につなげたい。

グローバル化の加速で、今や日本の医療現場も英語での対応を
迫られる機会が増えている。
在日外国人も急増し、医療機関でも医療通訳の必要性が認識され始めている。
海外に仕事や観光で出掛ける日本人も増え、実地医家の医師も英語で診療したり、
紹介状を書けないといけない時代に。

「医師だけでなく、看護師などのコメディカルも、簡単な問診ぐらいは
英語でできないといけない。病院の事務、福祉分野などのスタッフも、
ある程度、医学英語を知っておく必要が。
医療に関係する人たちには、少なくとも3級は取ってほしい。
世界で活躍したい人は、2級、1級を目指してほしい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/6/91296/

2009年2月11日水曜日

五輪立候補ファイル12日提出へ  16年夏季五輪で東京

(岩手日報 2月11日)

2016年夏季五輪開催を目指す東京の招致委員会が12日、
スイス・ローザンヌの国際オリンピック委員会(IOC)本部を訪れ、
詳細な開催計画を記した立候補ファイルを提出。

「世界一コンパクトな大会」をコンセプトとした東京招致委は
中森康弘事務次長らが、10日夜に当地入り。

提出期限の12日を前に、11日にはリオデジャネイロ(ブラジル)と
マドリード(スペイン)が相次いでファイルを提出。
招致委の幹部とともに、リオは地元在住のブラジル人児童2人、
マドリードはアテネ五輪陸上男子走り幅跳び3位の
ホアンリノ・マルティネス選手らが同行。

シカゴ(米国)は、1936年ベルリン五輪で陸上男子4冠に輝いた
ジェシー・オーエンス(米国)の孫のスチュアート氏が12日に持参する予定。

立候補ファイルは交通、財政、競技会場など、IOC側からの17項目の質問に
答える形で立候補都市が開催計画を説明。
IOCは、同ファイルを吟味した上で4-5月に現地調査を行い、
投票するIOC委員が参考とする評価報告書を作成。

開催都市は、10月2日のIOC総会(コペンハーゲン)で決定する。

http://www.iwate-np.co.jp/newspack/cgi-bin/newspack_s.cgi?s_sport_l+CN2009021101000523_1

研究者のメディア・トレーニング

(サイエンスポータル 2009年2月3日)

英国在住のフリーランス・コンサルタント、山田直氏のリポート
「英国大学事情」第2号に、興味深い記述がある。

英王立協会では以前、博士号取得前の若手研究者の優れた研究を
表彰する制度で、3位以内の受賞者に賞金のほかに、
1日コースのメディア・トレーニングを副賞として付けていたことがあった」

受賞した若手研究者が、将来もっと良い研究業績をあげて
メディアの取材を受けるときに、うまく対応すれば当の研究者だけでなく、
科学全体にとっても大きなメリットがある、という狙い。

iPS細胞研究で突然、時の人となった山中伸弥・京都大学教授の
その後のメディア対応を見て、なるほどと思う人が多いかもしれない。
「以前、あった」ということは、今はないということだろうか。
しかし、効果がなかったから、やめたのではないだろう。
もっと大がかりにやる必要がある、と発展的に解消したのではないか。

山田氏のリポートの柱は、英王立協会と公的研究助成機関である研究会議が、
科学者のためのコミュニケーション・トレーニングに、
いかに力を入れているかを紹介すること。

王立協会のトレーニングは、「コミュニケーション・スキル・コース」と
「メディア・トレーニング・コース」があり、月1回1年のコース。
費用は400ポンド(5万4,000円)、王立協会と研究会議の一つである
科学技術施設会議(STFC)の研究助成金を受けている
研究者のコース参加費は、それぞれの機関が負担。
バイオテクノロジー・生物科学研究会議(BBSRC)の「メディア・トレーニング」
場合は、同会議の競争的研究助成金を受けている英国の大学や研究所の
プリンシパル・インベスティゲーターと研究プロジェクトリーダーは無料で参加でき、
同じく同会議の助成を受ける博士課程学生も参加が可能。

この種の研修が真に効果が期待できるかどうかを見るポイントは、
トレーニング内容が過不足なくそろっているかに加え、
すぐに役立つ具体的な指導、訓練が含まれているかではないだろうか。

「民間のメディアは、国内外の情報を伝えるという重要な役割も担っているが、
売り上げによって動かされることもある。
メディアは、情報普及のための無料サービスをしているわけではない
「ジャーナリストの仕事は、読者や視聴者にとって興味ある話を
科学者から引き出すことで、科学者が何をしているかを知ることではない」
「インタビュアーの質問どおりに答える必要はない。
インタビュアーは、科学者の研究に関係ない質問や非常に細部の質問を
してくることもあるが、科学者がカバーしたい主要なポイントについて
自信を持って話すべき」

バイオテクノロジー・生物科学研究会議(BBSRC)が、
科学者のためにまとめた「メディア・ガイド」に載っている注意事項。
こういう現実を、当たり前のことと多くの科学者が知っているだけでも、
メディアとの対応はだいぶ違ってくる。

英王立協会に相当する日本の機関は、日本学術会議。
市民の科学リテラシー向上に力を注ぐのと並行して、
科学者自身の「コミュニケーション・スキル」向上と、
「メディア・トレーニング」についても取り組む価値がある。
日本学術会議が率先、主体的に取り組む覚悟で。

http://www.scienceportal.jp/news/review/0902/0902031.html

離島で学ぶ(6)誇れる古里「礼文学」で

(読売 2月5日)

島の子供たちが、観光大使として活躍する。

JR京都駅でそろいの法被を着て特産の昆布を配り、
島を紹介する高校生の映像が、大きなスクリーンに映し出された。

北海道稚内市の西約60キロにある人口約3100人の礼文島。
町民活動総合センターに、島の子供たち約100人が集まり、
年に1度の観光大使活動の報告会を行った。
島唯一の高校である礼文高校だけでなく、小学校4校、中学校2校でも、
4年前から修学旅行先で、島をPRする大使としての活動。

小学生は、JR札幌駅構内での活動の結果、
「島を知っている人は多いが、来たことがある人は少なかった」と報告。
中学生も、別の日に同駅で活動した。
礼文島では、海抜0メートルから高山植物が楽しめるが、
観光客が高山植物を見るために歩いてもいいと思う時間は、
1~2時間が大半と判明。
今より気軽に歩けるコースを増やすよう提案。

報告は各校15分ずつ。
小学生と高校生が、PRのために配った手作りの観光パンフレットを見せ合うなど、
会場は和気あいあいとした雰囲気。

島の教員で作る礼文町教育研究会は3年前、
小中高の連携教育を打ち出している。
島の将来を担う人材育成は教育現場の使命だが、
島の基幹産業である水産業や観光は振るわない。
保護者の中には、島を出ても生活できる子供に育ててほしいという思いも。

子供たちが、「何もない不便な場所」と思っている限りは、
島への愛着は生まれない。
同会は、12年間を通じた礼文型教育の柱に「礼文学」を掲げ、
誇れる古里の姿を見せようと考えた。

「礼文学」では、カモメの子育て観察、高山植物学習、ホッケ薫製作り、
漁業体験、ボランティア弁当作りなど、島の自然や産業、福祉を、
成長段階に合わせてどう学ぶかを示した。

地域住民を講師に招くなど、題材も70を超える。
修学旅行での観光大使活動は、礼文学の学習成果を披露する場と位置づけ。
同会会長で、香深井小学校の曽我部藤夫校長(54)は、
「古里から生きる力を学ぶ。
たとえ島を離れても、島への思いは生きる糧になるはず」

連携教育は学校間の垣根を低くし、交流が盛んに行われている。
英語指導助手が常駐しない島では、小学校高学年の英語活動を、
中学校の英語教員が手助けする。
高校の家庭科の豆腐作りに、小学生が加わる。

島内からの礼文高校への進学率は、2002年度には44人中16人、
年々上昇傾向で、今年度は特に23人中19人に達した。
同高の平塚幸男校長(55)は、「古里を深く知ったからこその成果」と胸を張る。

島だからこそ、できる教育がある。
子供たちの心に芽生えた思いは、島の大きな財産になるだろう。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090205-OYT8T00282.htm

医療効率化にIT活用 健康産業で第2のノキアを 「フィンランドの社会保障」 [3]

(2009年2月6日 共同通信社)

高齢化による医療費増を抑制しようと、フィンランド政府はITを活用した
医療の効率化や疾病予防にも力を入れる。
国からの資金援助を受けたベンチャー企業の活動も盛んで、
「ヘルスケア産業を第2のノキアに」と期待。

「患者がどこにいるか、医療機器がどこにあるか、これを使えばすぐに分かる」
マッチ箱大のセンサーを手に、エカハウ社のアンティ・コルホネン社長は胸を張る。

2000年設立の同社が開発したシステムは、患者や移動用の医療機器に
取り付けたセンサーが発する微弱電波をキャッチ、
位置をパソコン画面上の病院内見取り図に表示。
医療機器の台数を最小限に抑えられるうえ、既存の無線LANを活用するため
導入費用も安く済む。

同社のシステムを導入した大阪大医学部付属病院は、
輸液ポンプ類など90台の機器にセンサーを付けている。
高階雅紀MEサービス部長は、「以前は必要な機器がどこにあるか、
17ある手術室を職員が順番に探し回っていたが、便利になった」と評価。

人口密度が低く過疎の問題を抱えるフィンランドでは、遠隔医療も課題。
イー・ヒット社は、各メーカーの家庭用血圧計や心電図計測機などのデータを
携帯電話に転送し、携帯から医療機関に送信するシステムを開発。

患者が自宅で測った数値をもとに医師が診断したり、助言をメールで送る仕組み。
カレビ・ボウティライネン社長は、「携帯電話の画面でデータをグラフ化したり、
疾病の危険性などを表示することも可能だ」と、
個人の健康管理にも役立つとアピール。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/6/91291/

2009年2月10日火曜日

社会現象に70年周期はあるか?

(サイエンスポータル 2009年1月30日)

「今のままだと、若い人をつぶしかねない」。
金澤一郎・日本学術会議会長のインタビュー記事で、
日本の研究現場の現状に対する危機意識を率直に語っているのが興味深い。

「日本は今、明治維新、太平洋戦争の敗戦に続く第3の意識改革の
時期にあるような気がする。
学術の面でも、本気で意識改革をしないといけないのではないか」

黒川清・政策研究大学院大学教授の記事の中で、
近代日本の歴史は、約70年サイクルで2回の激変があった。
どこの世界でも同じようなサイクルだ。日本にとっては
『明治維新』、『太平洋戦争』以来の激変のとき」

環境の激変に対応できないと、日本は大変なことになる、という
危機意識を黒川氏も強く持っている。
金澤氏は、いまが明治維新、太平洋戦争の敗戦に続く第3の意識改革の時期
といっているだけで、「周期性」については触れていない。
しかし、現、前日本学術会議会長がそろって同じことを言っているのは、
ただごとではない。

社会現象に、「70年周期」などというものが本当にあり得るのだろうか?
70年サイクルと聞いて、「南関東大地震69年周期説」を
思い起こす人はいないだろうか。
断層を特定して、何年おきに地震が再来するかを論じるならわかる。
しかし、南関東というおおまかな地域を対象に、
大きな地震が何年おきに起きるなどと言うのはほとんど意味がない。
しばらくは、だれもまともに批判せず、「69年周期説」は世の中に流布していた。

中西輝政・京都大学大学院教授(国際文明学)の著書
「日本の『敵』」(文春文庫)を読んでみた。
中西氏は、1995年に「阪神・淡路大震災」、「オウム・サリン事件」、
「兵庫銀行、木津信用金庫の破綻(97年の山一証券、北海道拓殖銀行破綻、
98年の金融システム全体の危機につながることにも触れて)」が
続けざまに起きた例を挙げ、70年周期を説いている。

「バブルの宴」の直後に必ず大地震が起き、
その後に日本社会は大きな「断絶的変化」を経験。
それが、ほぼ70年の周期で起こっている。
「阪神・淡路大震災」が起きた95年の一つ前には、
第1次世界大戦によって引き起こされた「成金バブル」の後で
関東大震災(1923年)が起き、27年の「金融恐慌」へと続いた。

老中・田沼意次による商業資本重視の政治を謳歌した安永・天明期のバブル、
その70年前は元禄期のバブルがあり、
いずれもバブル直後に大地震が起きていることを指摘。

自然界でよく知られている現象に、
13年と17年おきに大発生する米国のセミの話がある。
なぜ、13年と17年かの定説はないようだが、
吉村仁・静岡大学教授が13と17が素数であることに、
その理由を求める説を唱えている。
別々の周期で一斉に羽化し、子孫を残して続けてきたセミが、
同じ年に同時に羽化し大発生すると、それぞれ多くの子孫を残せなくなる。
同じ年に大発生するのを避けるには、
13と17という素数同士の周期がよかった、ということらしい。

社会の断絶的変化が起きるのに、70年という周期があるかどうか。
その根拠を明確にあげるのは、米国のセミの発生周期より
さらに難しそうに見えるが、数理統計学者などはどうみるのだろうか。

http://www.scienceportal.jp/news/review/0901/0901301.html

ノーベル賞の益川教授、平和への思い語る

(朝日 2009年1月31日)

ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・京都産業大教授(68)は、
受賞講演で自らの戦争体験に触れた。
益川さんの思いが知りたくて、戦争とともに始まった半生を聞いた。

受賞講演では、「自国が引き起こした無謀で悲惨な戦争」という表現で
太平洋戦争に言及した。
開戦前年の1940年生まれ。父は当時家具職人。
5歳のとき、名古屋空襲に被災。

「焼夷弾が自宅の瓦屋根を突き破って、地面にごろりと転がる。
家財道具を積んだリヤカーに乗せられ、おやじやお袋と逃げまどう。
焼夷弾は不発で、近所でうちだけが焼けなかった。
発火していれば死んでいたか、大やけどを負っていたと恐怖がわいた。
こんな経験は、子や孫に絶対させたくない。
戦争体験は、ぼくの人生の一部であり、講演では自然と言葉が出た

敗戦翌年、国民学校(小学校)入学。
校舎は、旧日本軍の兵舎跡。
銭湯の行き帰り、父から天体や電気の話を聞かされ、
理科や数学が得意と思い込んだ。

「祖父母は戦前、植民地下の朝鮮で豊かな暮らしをしていた。
高校生のころ、妹が母に、朝鮮での暮らしぶりをうれしそうに尋ねるのをみて、
ぼくは『そんなの侵略じゃないか』と怒鳴ったことが。
戦争につながるもので、利益を得るのは許せない」

58年春、名古屋大理学部に入学。
日本人初のノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士の弟子の坂田昌一氏が
教授を務める素粒子論教室で学んだ。

「家業の砂糖商を継ぐことを願っていた父に、
1回だけの条件で受験を許してもらった。
坂田先生は、『素粒子論の研究も平和運動も、同じレベルで大事だ』と語り、
反核平和運動に熱心に取り組んでいた。
科学そのものは中立でも、物理学の支えなしに核兵器開発ができないように、
政治が悪ければ研究成果は人々を殺傷することに利用される。
「科学的な成果は、平和に貢献しなければならず、原水爆はあるべきでない」
と熱っぽく語られた。
私たち学生も、全国の科学者に反核を訴える声明文や手紙を出すお手伝いをした」

67年、名古屋大理学部助手。大学職員の妻明子さんと結婚。
学生運動全盛の時代。
ベトナム反戦デモに参加したり、市民集会に講師として派遣されたりした。

「とにかく戦争で、殺されるのも殺す側になるのも嫌だ。
ぼくのやるべき仕事は、物理学や素粒子論の発展で、
平和運動の先頭に立って旗振りをすることじゃない。
でも、研究者であると同時に一市民であり、
運動の末席に身を置きたいと考えていた

作家大江健三郎さんらが設立した「九条の会」に賛同して、05年3月、
「『九条の会』のアピールを広げる科学者・研究者の会」が発足すると
呼びかけ人になった。

「日本を、『戦争のできる国』に戻したい人たちが改憲の動きを
強めているのに、ほっとけないでしょ。
いろんな理由をつけて、自衛隊がイラクへ派遣されたが、
海外協力は自衛隊でなくてもできるはず。
まだおしりに火がついている状態とは思わないが、
本当に9条が危ないという政治状況になれば、軸足を研究から運動の方に移す」

ノーベル賞授賞式から約1カ月後、黒人初のオバマ米大統領が誕生。

ぼくは、物理屋でいるときは悲観論者だが、人間の歴史については楽観的。
人間はとんでもない過ちを犯すが、最後は理性的で
100年単位で見れば進歩してきた。
原動力は、いま起きている不都合なこと、悪いことをみんなで認識しあうこと。
いまの米国がそう。
黒人差別が当然とされてきた国で、黒人のオバマ大統領が誕生するなんて
誰が信じただろう。
能天気だと言われるかもしれないが、戦争だってあと200年くらいでなくせる」

http://www.asahi.com/science/update/0131/OSK200901310014_01.html

離島で学ぶ(5)介護即戦力 地元から

(読売 2月4日)

島が求める即戦力を育てる学校ができた。

新潟市から、雪がちらつく日本海をフェリーで2時間半。
佐渡島に昨春、待望の専門学校が開校。
県内で専門学校などを手広く運営する学校法人新潟総合学院の
「伝統文化と環境福祉の専門学校」。

トキが舞い、天然杉の原生林が広がる人口約6万5000人の佐渡は、
環境に優しい島づくりに取り組む「エコアイランド」。
800を超す社寺が残るなど文化財も豊富。
渡辺秀則副校長(52)は、「島全体が大きな教科書」

同校には4学科がある。
宮大工などを目指す「伝統建築」のほか、竹芸などに取り組む「伝統文化」、
フィールドワークに力を入れる「環境マネジメント」の3学科が3年制。
「佐渡でしか学べない」を前面に押し出し、主に島外から学生を呼び込む。
2年制の介護福祉学科だけは、違った側面を持つ。

同学科の学生10人は、全員が島内出身者。
学校から車で10分ほどの特別養護老人ホーム「新穂愛宕の園」を訪れ、
入所者らと談笑しながら、先輩の介護福祉士の仕事を間近に見て学んだ。

「最近寒いから体に気をつけて下さいね」と同学科1年の信田俊さん(19)も
入所者らに声をかけた。
新潟市で介護を学ぶつもりだったが、高校3年の頃に学校ができると知り、
島に残った。
下宿生活は親への負担が大きいし、「のんびりとした島の風土が好き」。
信田さんは、島内の施設で働きたいと考えている。

佐渡から介護福祉士を目指すには、本土の専門学校などに通う例が多かった。
実習先の施設に就職するなど、必ずしも島での就職には結びつかなかった。

人口の35%を高齢者が占める島では、介護福祉分野の働き手は不足。
島内の高校5校から年600人が巣立つが、7割は進学で島を離れる。
若者と雇用をつなぐには、島で学び、働ける環境の整備が必要。

同校を誘致した佐渡市は、全面的な支援体制を敷く。
閉校した佐渡高校金井校舎の建物を市が無償譲渡し、
改修費用など約1億5000万円も負担。

市は開校の半年前、卒業生の就職支援組織を発足
観光協会や建築組合、社会福祉協議会など20近い団体が入り、
最初の卒業生が出る来春に向けた情報交換が続く。
学校は、まだ定員を満たすまでには至っていないが、
市の担当者は「若者が残ることで、島の活性化につながることを証明したい

同校では、佐渡で働く介護福祉士が集まって実技講習会を開くなど、
ネットワーク作りの拠点にもなりつつある。
学生の参加も検討している同学科の金岡恵美子講師(55)は、
「学校から介護の担い手を送り出す一方で、島全体が質の高い介護サービスを
提供できるようにレベルアップすることも重要」

官民が手を携えた取り組みが、島の発展につながることを期待したい。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090204-OYT8T00267.htm

豊かで自立した老後生活 介護人手不足は日本と共通 「フィンランドの社会保障」 [2]

(2009年2月6日 共同通信社)

ヘルシンキの中心部から車で15分の郊外に立つ、高齢者向けマンション。
現役時代、建築士として働いたヨウコ・ヘイキネンさん(78)は、
訪問看護を受けながら、妻アンネリさん(73)と2人で暮らす。

ヨウコさんは、若いころにかかったポリオで手足に障害があり、
電動車いすでの生活だが、看護師が来るのは
1日1度のトイレ介助と週1度の入浴介助だけ。

それ以外の面倒を見るアンネリさんの負担は大きいが、
「訪問看護の回数を増やすと、夫は夜8時にはベッドに寝かされてしまう。
普段は2人で12時まで起きてるから、これでいいのよ」と、自立生活を重視。

フィンランドでは特別な事情がなければ、
成人した子供が親と一緒に住むことは少ない。
ヨウコさんも、市内に子供4人が住むが、「みな家族を持ち、それぞれの生活がある。
子供に介護してもらおうとは全く思わない」と当然のように話す。

ヨウコさんの年金は、月額約1280ユーロ(1ユーロ=120円換算で15万4000円)。
日本の介護保険制度には、家族介護者への現金支給はないが、
アンネリさんには夫の個人補助者としての手当が、
市から手取りで月15万6000円支払われる。

介護サービスは、自治体が提供するのが基本。
訪問看護の利用料は、収入に応じて5段階に分かれるが、
ヨウコさんは障害があるため無料。
日本より物価がやや高いことを考えても、生活には困らない。

2人の家に来る看護師(市職員)の月給の手取り額は、
アンネリさんへの手当とほぼ同じ。
低賃金で人気はなく、日本の介護現場と同様、人手不足に悩む。
一部では、フィリピン人看護師を受け入れる動きも。

▽障害ゆえの負担なく

知的障害者のための市立グループホーム。
「ここでの生活も楽しいけど、もっと自由に生活したいから、
看護師のいない施設に移りたいな」。
入居者のラッセ・サンタラさん(24)は活発な口調で話す。

部屋には、自分で買ったゲーム機「プレイステーション2」とソフトがずらり。
ホーム側が置いている家具の中には高級ブランド品もあり、
普通の若者の部屋と遜色ない。

入居者は、23-55歳の男女10人。
昼間は全員、作業所などに通い、夕方帰ってきて
一緒に夕食を食べるという生活パターン。
作業所の工賃は人によって違い、月1万2000-3万6000円。
日本の平均(1万2000円)をやや上回る程度だが、
障害年金が月10万円程度支給され、ホームの利用料を差し引いても
4万8000-7万2000円が手元に残る。

日本のグループホームも、施設の水準や障害者の暮らしぶりはさほど変わらない。
一般企業で働いている場合、日本のほうが経済的には豊かとも。
日本では、作業所に通うにも原則1割の利用料がかかる。
フィンランドでは無料だ。
「障害が理由による負担は生じないようにする」(社会保健省)
という思想が大きく異なる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/6/91290/

2009年2月9日月曜日

離島で学ぶ(4)遠隔教室、ネットで直結

(読売 1月31日)

遠隔学習システムが離島の学びを変える。

スクリーンに、目隠しをした米国人の子供が、
福笑いに挑戦する姿が映し出された。
「ライト(右)、ライト……ストップ!」。
映像を見ながら、「耳」や「目」の位置を英語で伝えるのは、
約300キロ離れた沖縄県宮古島市立下地小学校の5年1組の子供たち。

昨年11月に同小で行われた英語活動の授業。
インターネット回線を使ったテレビ会議システムで、
同小と、沖縄本島にある県立総合教育センター(沖縄市)を結んだ。
米国人の子供たちは、近くの嘉手納基地内に住む小学生。

下地小の子供たちは、英語で自己紹介をし、得意の三線の演奏を披露する。
基地の子供たちは、映像を見ながら手拍子を打ち、学校の様子を写真で紹介。
最初は恥ずかしそうだった日米の子供たちだが、
最後は互いのスクリーンに向かって手を振っていた。

昨年7月、1組の児童に英語活動について聞いたところ、
23人中21人までが「外国の人と友達になりたい」と答えた。
しかし、島で外国の子供たちに出会える機会はほとんどない。
授業を企画した平良悦子教諭(40)は、「画面越しであっても、
言葉が通じる喜びを感じた子供たちの学習意欲は高まるはず」

沖縄県は小中学校約450校のうち、4割が国のへき地校の指定。
指定の8割は離島の学校。図書館や書店がない島も。

そんな地域の学習を支援するのが、県立総合教育センター
3億円を投じて開発した遠隔学習システム「美ら島e―net」の運用が、
今年度から本格的に始まった。テレビ会議のシステムも、その一部。
教員はIDとパスワードがあれば、県内のどの学校ともつなげることが可能。

美ら島e―netには、県内の教員らが作成した約4万件の教材が蓄積され、
子供たちは、その教材を使って自習ができる。

下地小の子供たちがテレビ交流した同じ日、
全校児童24人の宮古島市立宮島小では、4年生2人に億や兆など
大きなけたの計算の指導をする鶴町利之教諭(37)のそばで、
3年生4人が黙々とパソコンに向かっていた。
netから引き出した教材で、「時間」や「体積」など、算数の問題を解いていた。

「複式学級で、他学年の指導をしている間も、子供たちが自分のペースで
苦手な問題に取り組める。
どの問題でつまずいたかも、教員用のパソコンからすぐに把握できます」
離島に多い複式学級を持つ学校では、
netの活用が、教員の負担軽減にもつながっている。

こうしたシステムを利用できるのはまだ42校だが、
新年度には、県内すべての離島やへき地の学校に導入。
センターでは、小学校の英語活動の授業に対応するため、
ネットで学べる英語教材の準備も急いでいる。

子供たちに不利だと感じさせない教育環境の整備は、
行政の大きな責任と言える。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090131-OYT8T00242.htm

がん治療法をネット講義、地域格差解消へ…山形大

(読売 2月4日)

山形大医学部は、東北6県のがん治療のレベルアップを目指し、
医療関係者を対象にした「東北がんEBM(科学的根拠に基づく医療)事業」
5か年計画でスタート。

がん医療のリーダーとなる専門医育成コースと、生涯教育として東北全域の
医師や看護師ら医療関係者が学べるインターネット講義コースを設け、
地域に偏りのないがん治療体制を目指す。
事業は、がん治療の平準化を目指し国が2006年に施行した
「がん対策基本法」に基づく文科省の助成事業(年間約8千万円)。

全国に占める東北のがん死亡率(2004年)は秋田1位、山形4位、
青森9位と、全国上位の県が多い。
39のがん診療拠点病院などに、抗がん剤など化学療法の専門医が11人、
放射線治療が39人と少なく、専門医の配置にも地域差が生じている。

広域を対象とした教育で、威力を発揮するインターネット講義による教育システムは、
医師、看護師、薬剤師、技師らが対象。
山形大医学部の教授が、基礎知識や専門領域の最新の治療法などを
生中継で講義し、その場で質疑応答も可能。
講義内容は繰り返し視聴できる。
登録、視聴は無料で、同大医学部のホームページで公開を始めている。

リーダー育成コースは、東北のがん拠点病院に勤務する医師が対象。
指導医の資格を持つ教授らのもとで研修することで、
最先端のがん診療・研究能力を養う。
受講中は、山形大医学部の教員として身分が保証され、
研究費や学会への参加費が支給。
定員12人程度で、既に7人が受講。

嘉山孝正医学部長は、「東北地方で不足するがん専門医の育成を急ぐとともに、
がん教育のすそ野を広げたい」

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090203-OYT1T01145.htm

クラゲに含むたんぱく質「クニウムチン」注射、「変形性関節症」治療に効果

(2009年2月2日 毎日)

エチゼンクラゲなどに含まれるたんぱく質「クニウムチン」が、
関節の軟骨がすり減る「変形性関節症」の治療に効果があることを、
東海大の佐藤正人准教授(整形外科学)らが動物実験で突き止めた。
日本再生医療学会で発表。

変形性関節症は、加齢やけがが原因で歩行困難になる病気で、
国内に約700万人の患者が。
ヒアルロン酸を関節に注射して進行を遅らせることができるが、
根本的な治療法はない。

クニウムチンは理化学研究所などが07年、エチゼンクラゲから見つけた。
人間の胃液の主成分「ムチン」に似た構造を持つ。

佐藤准教授らは、関節の軟骨の表面にもムチンがあり、
変形性関節症の人はその量が少ないことに着目。
変形性関節症のウサギで実験したところ、
ヒアルロン酸だけを注射したウサギより、ヒアルロン酸とミズクラゲや
エチゼンクラゲから採取したクニウムチンを注射した方が、
軟骨の厚さの回復がよく、損傷の度合いや範囲も大きく改善。

佐藤准教授は、「ヒアルロン酸がクニウムチンを包み、相乗効果によって
軟骨に長くとどまるからではないか。大型の動物で安全性などを確認し、
人の治療に役立てたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/2/90907/

高齢化に備え歳出抑制策 消費税22%も政府を信頼 「フィンランドの社会保障」 [1]

(2009年2月6日 共同通信社)

フィンランドでは、日本の消費税に当たる付加価値税は22%で、
税金と社会保険料を合わせた国民負担率は日本の1.5倍。

行政サービスも手厚く、雇用保険では、パート労働者と正社員の扱いは同じで、
失業手当の基本部分は最大500日(日本は360日)受けられる。
社会的弱者への支援も充実、障害者は月18回までタクシーを無料で利用。
育児では、児童手当はもちろん、出産時にベビー服一式から
絵本までがそろった子育てパックを支給。

医療や年金なども含めた社会保障給付費(2005年)は、
国内総生産(GDP)比で日本18・6%に対し、26・1%。
教育も重視し、学校の授業料は大学まで無料。

しかし、高齢化による社会保障費の増加がやはり悩みの種。
財務省のユッスィ・フオパニエミ氏は、「このままだと将来、
財政収支のバランスは保てない」と危機感を示す。

▽年金運用見直し

歳出抑制策では、日本と共通する点が多い。
(1)公務員削減や市町村合併、
(2)介護サービスを施設から在宅重視へ転換、
(3)民間活力の導入

介護では、12年までに75歳以上人口の90%以上が自宅で暮らすようにする、
という目標を掲げ、現在ほぼ実現。
年金は、05年に改革を実施。
定年退職年齢を63-68歳の間で選べるようにし、就労意欲を高めるために、
長く働けば年金が増える仕組みとした。
年金積立金の運用方法を、07年に変更。
株式投資などハイリスク・ハイリターンの運用で高収益を目指す。

昨年1-9月は、世界的な金融危機などで7・4%の赤字だったが、
不安の声は出ていない。

▽清潔度世界1位

年金の運用にせよ、高い税金にせよ、国民が受け入れているのは、
政治や行政への信頼感が高いため。
世界各国の汚職を監視する非政府組織(NGO)
トランスペアレンシー・インターナショナルの07年の「清潔度」順位で、
フィンランドは1位。

すべてがうまくいっているわけでもない。
医療は、自治体が運営する「保健センター」の主治医にかかることが原則。
しかし医師不足のため、歯の治療などで予約を入れようとしても
数カ月待ちが珍しくない。

▽医療めぐる相違

現地に住んで15年になる森下圭子さん(39)には、こんな体験が。
花粉症が悪化し声が出なくなってしまったため、保健センターへ行くが、
医師の診察の前に行われる看護師との面会が3時間待ち。

いったん帰宅し、看護師と面会するが、「主治医の診察は3時間後」と再び帰宅。
ようやく主治医の診察を受け、薬の処方を頼むが、
「街の薬局で買って」と断られた。
森下さんは、「高い税金の見返りがこの医療では...」と憤る。

終末期医療についても、日本とは考え方が異なる。
「高齢者に積極的な医療はしない。それが国民的な合意になっている。
延命治療はあまり効果がなく、むしろ苦痛を与えるだけだ」、
国立保健福祉研究所のハリエット・フィンネ・ソベリ上席研究員。

「患者権利法」で、終末期に関する希望を聞くことが義務付けられ、
多くの国民は「自然な」最期を望む。
こうした事情を反映してか、公的医療費のGDP比は日本をやや下回っている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/6/91289/

2009年2月8日日曜日

離島で学ぶ(3)「食」で見つめ直す生活

(読売 1月30日)

離島の暮らしを通して、学生が生活を見つめ直す。

鹿児島純心女子大学の調理室には、香ばしい香りが立ち込めていた。
調理服姿の学生15人が、班ごとに、キビナゴをあぶったり、
焼いたクロダイに高菜の葉を巻き付けて煮たりしていた。
それから2時間ほどで、海鮮鍋、煮魚、炊き込みご飯など
6品がテーブルに並んだ。
市内の甑島列島の食材を使った伝統料理ばかり。

看護栄養学部が、島の食事に着目したのは4年前。
コンビニエンスストアやスーパーには、1年を通じて季節感のない
食材が並ぶ飽食の時代。
森中房枝准教授(調理学)は、「島の食生活から、
学生が今を見つめ直すきっかけになれば」

甑島列島は、薩摩半島の西約30キロの東シナ海に浮かぶ
上甑、中甑、下甑の3島からなる。人口約6000人。
漁業で生計を立てる人が多い。
島には高校はなく、「15の島立ち」という言葉が今も残る。

市はそんな島を、丸ごとキャンパスとして全国の大学や短大に使ってもらう
「こしきアイランドキャンパス」という試みを始めた。
学生が、島民と交流するのが条件。
島の自然や文化に触れながら、島の新たな産業や未利用資源の活用策などを
提案してもらう代わりに、市が1団体20万円までの補助金を出す。

「交流で活気が生まれる。島の子供たちには、学生と話をして夢を描いてほしい」
と市企画政策課の村岡斎哲・甑島振興グループ長(50)。
昨夏には、鹿児島純心女子大の伝統食のほか、神戸大、
京都造形芸術大など3団体が、方言の調査をしたり、空き家に芸術作品を展示。

鹿児島純心女子大からは、看護栄養学部の学生と教員計12人が、
地元の主婦ら生活研究グループと交流会を持ち、
小学校では子供たちと一緒に清掃活動もした。

瀬口華代さん(22)(4年)は、島民との会話の中で、
改めて食生活を考えさせられた。
その日に採れた野菜や魚から、何を作るかを決める。
島の食卓には旬があった。
荒天が続くと、島には外からの食料は届かない。
大切さを知っているからこそ、食材は無駄なく使い切る。
「忘れてはいけない当たり前のことを、島の人たちに教えられた」

檜垣奏恵さん(22)(同)は、奄美大島の出身。
古里に比べて、甑の島々には簡単に食べられる土産物が少ないと感じた。
キビナゴを使ったせんべいやクッキー、塩アイスなど、
学生の目線での商品開発を提案。

森中准教授は、「管理栄養士を目指す彼女たちには貴重な経験になったはず」
今後は、島で慶事の際に作られるかまぼこや、子供用の小さなお重など、
最近は見られなくなった料理をレシピに残す取り組みも始めたい。

日常を離れて島民や島の生活に触れる。
学生たちが「今」を考えるには、またとない機会になるだろう。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090130-OYT8T00273.htm

世界の風力発電昨年28.8%増 総出力米国がトップに

(サイエンスポータル 2009年2月4日)

世界の風力発電出力は昨年、28.8%増加、
120.8ギガワット(1億2,080万キロワット)に達した、
と世界風力エネルギー協会(本部ベルギー)が発表。

この量は、毎年、1億5,800万トンの二酸化炭素排出削減効果を持つ。
昨年、最も伸びが大きかったのは米国で、前年の50%に相当する
836万キロワットの増加。
総出力は2,510万キロワットとなり、ドイツ(2,390万キロワット)を抜いて世界一。

風力の増加量は、米国で昨年1年間に増えた総発電出力の42%を占め、
3万5,000人の新しい雇用増をもたらした。

米国に次いで伸びが大きかったのは中国で、昨年1年間で630万キロワットの増。
これは4年連続の倍増で、総出力は1,220万キロワット。
ことしも倍増の勢いは変わらず、2010年にはドイツ、スペインを抜いて
世界第2の風力発電国になる。

「中国企業は、2009年には国内だけでなく、日本や英国市場へも参入。
米国へもいずれは」と中国再生エネルギー産業協会。
欧州は、昨年1年間で890万キロワット伸び、総出力は6,600万キロワット。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0902/0902041.html

低コスト製造技術を開発 岩手生物工学研究センター

(岩手日報 1月31日)

岩手生物工学研究センター(北上市、内宮博文所長)は、
稲わらからバイオエタノールを低コストで製造する新技術を開発。

新発見したタンパク質「CW31」で、セルロース(繊維質の主成分)の結束を
緩めて酵素分解効率を高め、アルコール発酵に必要な糖質への変化を促す。
従来の製法に比べ、コストは約半減。
県は新技術を特許出願。
食用部分を使わないバイオエタノールの実用化へ一歩前進。

セルロースからバイオエタノールを精製するには、
グルコースという糖質に変化させる必要があるが、
強固な束状のセルロースをいかに分解するかが課題。

同研究センターは、いもち病菌から新タンパク質「CW31」を取り出すことに成功。
セルロースの分解にはセルラーゼという酵素を投入するが、
「CW31」により、セルロースの結束が緩むため、
セルラーゼの投入量が少なくて済む。

これまでの手法では、セルラーゼの経費がバイオエタノール製造費の
5、6割を占める。
新技術を使うと、コスト(施設の設置費用と人件費は除く)は
従来の1リットル200円から80-120円に下げる。

施設の設置費用や人件費を含むと、現在1リットル100円ほどの
ガソリンの価格を大きく上回ることが課題。
コストを下げるさらなる技術開発が必要で、
化学系企業と共同で実用的な生産技術の開発を進める。

技術を開発した同センターの竹田匠主任研究員は、
「遺伝子を変化させて、CW31の力を高めるとともに、
CW31を大量に増やす技術を開発してさらなる低コスト化を図りたい」

県は、2020年度を目標にエネルギーの地産地消を目指す
「いわてバイオエネルギー利活用構想」を08年3月に策定。
バイオエタノールの生産技術確立や、原料となる多収量米の
低コスト生産などに取り組んでいる。

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e200901/e0901311.html

短時間の激しい運動で糖尿病リスクを削減

(2009年2月3日 WebMD)

短時間の激しい運動によって、身体が糖を処理し糖尿病と闘う能力に
有意に影響を及ぼすことが可能である。

『BMC Endocrine Disorders』で発表された研究において、
ヘリオット・ワット大学(スコットランド、エジンバラ)の科学者らは、
1-2日ごとに短時間でも激しい運動をすることが、
糖尿病のリスクを下げるのに役立つ。

工学・物理学部の教授であるJames Timmons博士は、
16例の若年健康男性志願者を対象として、「運動強度の高いトレーニング」が
インスリンの作用と血糖コントロールに及ぼす影響を検討。

博士らは、2週間の研究においてインスリン感受性が有意に改善。
定期的な運動は、2型糖尿病と心臓疾患のリスクの低減に役立つ。
多くの人々は、現在の運動ガイドラインに従う時間は絶対ないと感じており、
それは不幸なこと。
なぜなら、博士のチームは「それぞれ約30秒しかかからない、
いくつかの激しい筋肉運動をすることによって、わずか2週間で代謝が劇的に改善」

現在の勧告には、1週間に2.5時間、運動強度が中程度の活動。
博士のチームは、「量は少なく、運動強度の高いトレーニングによって、
それ以外にはあまり身体を動かさない若年男性におけるインスリンの作用と
グルコース・クリアランスが大幅に改善した」

「従来から言われている運動と糖尿病との関係を、
我々がまだ十分には理解していない」ことを示している。

被験者は30秒間ずつ合計15分間、エクササイズバイクを全速力でこぐ運動を
2週間にわたって行った。
被験者は日頃あまり身体を動かさず、運動プログラムに参加したことはない。
「新しい手法は、運動する時間をより簡単に見つけられるようにすることによって、
より健康的な生活をおくるのを手助けし、将来の健康状態を改善し、
医療サービスにかかる何百万ポンドもの費用を節約する可能性」

2型糖尿病が世界的に増加しているため、この知見は重要。
糖尿病および心臓血管疾患を発現するリスクを下げることは可能であるが、
運動療法があまりにも時間がかかったり面倒なものであってはならない。

http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/2/3/91039/