2009年2月10日火曜日

離島で学ぶ(5)介護即戦力 地元から

(読売 2月4日)

島が求める即戦力を育てる学校ができた。

新潟市から、雪がちらつく日本海をフェリーで2時間半。
佐渡島に昨春、待望の専門学校が開校。
県内で専門学校などを手広く運営する学校法人新潟総合学院の
「伝統文化と環境福祉の専門学校」。

トキが舞い、天然杉の原生林が広がる人口約6万5000人の佐渡は、
環境に優しい島づくりに取り組む「エコアイランド」。
800を超す社寺が残るなど文化財も豊富。
渡辺秀則副校長(52)は、「島全体が大きな教科書」

同校には4学科がある。
宮大工などを目指す「伝統建築」のほか、竹芸などに取り組む「伝統文化」、
フィールドワークに力を入れる「環境マネジメント」の3学科が3年制。
「佐渡でしか学べない」を前面に押し出し、主に島外から学生を呼び込む。
2年制の介護福祉学科だけは、違った側面を持つ。

同学科の学生10人は、全員が島内出身者。
学校から車で10分ほどの特別養護老人ホーム「新穂愛宕の園」を訪れ、
入所者らと談笑しながら、先輩の介護福祉士の仕事を間近に見て学んだ。

「最近寒いから体に気をつけて下さいね」と同学科1年の信田俊さん(19)も
入所者らに声をかけた。
新潟市で介護を学ぶつもりだったが、高校3年の頃に学校ができると知り、
島に残った。
下宿生活は親への負担が大きいし、「のんびりとした島の風土が好き」。
信田さんは、島内の施設で働きたいと考えている。

佐渡から介護福祉士を目指すには、本土の専門学校などに通う例が多かった。
実習先の施設に就職するなど、必ずしも島での就職には結びつかなかった。

人口の35%を高齢者が占める島では、介護福祉分野の働き手は不足。
島内の高校5校から年600人が巣立つが、7割は進学で島を離れる。
若者と雇用をつなぐには、島で学び、働ける環境の整備が必要。

同校を誘致した佐渡市は、全面的な支援体制を敷く。
閉校した佐渡高校金井校舎の建物を市が無償譲渡し、
改修費用など約1億5000万円も負担。

市は開校の半年前、卒業生の就職支援組織を発足
観光協会や建築組合、社会福祉協議会など20近い団体が入り、
最初の卒業生が出る来春に向けた情報交換が続く。
学校は、まだ定員を満たすまでには至っていないが、
市の担当者は「若者が残ることで、島の活性化につながることを証明したい

同校では、佐渡で働く介護福祉士が集まって実技講習会を開くなど、
ネットワーク作りの拠点にもなりつつある。
学生の参加も検討している同学科の金岡恵美子講師(55)は、
「学校から介護の担い手を送り出す一方で、島全体が質の高い介護サービスを
提供できるようにレベルアップすることも重要」

官民が手を携えた取り組みが、島の発展につながることを期待したい。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090204-OYT8T00267.htm

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