2009年2月13日金曜日

骨粗しょう症、脂質化合物が効果 マウス実験、破壊6割減 米と阪大共同研究

(2009年2月9日 毎日新聞社)

薬として米国で試験中の脂質化合物を、骨粗しょう症のマウスに投与すると、
骨の破壊を抑えられることを、大阪大免疫学フロンティア研究センターの
石井優・准教授が、米国立衛生研究所との共同研究で突き止めた。

従来の骨粗しょう症薬とは効く原理が違うため、
今の薬で効果が不十分な患者にも、併用で効果を出せる可能性がある。
英科学誌「ネイチャー」電子版に掲載。

人体には、骨を作る「骨芽細胞」と分解する「破骨細胞」があり、
両方が均衡を保っている。
加齢などで破骨細胞の活動が過剰になると、
骨が壊れて骨粗しょう症や関節リウマチが起きる。

破骨細胞は血液中にあり、働く際は骨の表面に移動する。
石井准教授らは、移動に関係する物質として、
もともと血液中にある脂質に着目。
この脂質と同様の働きをする化合物を、マウスに投与。
その後、特殊な顕微鏡で生きたまま骨の内部を観察。

破骨細胞の移動が激しくなって、骨に近づく細胞より、
骨から離れ血液中に戻る細胞が多くなることを確認。
化合物の効果の発見も、生きたまま骨の内部を観察したのも世界初。

米国で、免疫抑制剤として臨床試験中の脂質化合物「FTY720」にも、
同様の効果があると推測。
卵巣を摘出して骨粗しょう症にしたマウスに、FTY720を投与したところ、
投与しない場合に比べ骨の破壊が約6割減った。

従来の薬の一つ「ビスホスホネート製剤」は、
破骨細胞が骨の表面に移動した後で殺す仕組み。
今回とは原理が異なる。

破骨細胞は、がん細胞が骨に転移する際にも骨を破壊し、
がんが食い込む場所を作る。
石井准教授は、「FTY720は、がんの骨転移予防にも効果がある可能性がある」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/9/91436/

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