2010年4月24日土曜日

インタビュー・環境戦略を語る:ザ・ボディショップ ソフィー・ギャスペルマンCEO

(毎日 4月19日)

世界64カ国に2500店舗を展開する英国の化粧品専門店
「ザ・ボディショップ」の企業理念は、環境保護。
天然原料を安定調達するため、貧困地域の農家と
公正な価格で取引し、生産方法も支援するなど、
独自の取り組みを展開。
日本出店20周年を記念して来日した
ザ・ボディショップインターナショナルの
ソフィー・ギャスペルマンCEOに聞いた。

--環境保護に取り組む理由は?

◆1976年創業時から、環境保護に目を向けてきた。
創業者の故アニータ・ロディックは、ビジネスと社会的貢献を
両立させるべきだ、という強い信念。
化粧品の開発過程で行われていた動物実験の反対など、
当時の業界では画期的なコンセプトを掲げた。
89年、森林伐採防止を訴えるキャンペーンを実施、
店頭で署名を集めてブラジル大使館に届けた。
01年、グリーンピースとともに、風力や太陽光など
再生可能エネルギーの使用を訴え、160万人の署名を集め、
国際会議に提出。
環境保護への取り組みは、企業のDNAであり、ブランドの強みに。

--原料の調達で、独自の仕組みを採用。

◆昨年発売した香水の原料に使用しているアルコールは、
南米エクアドルで収穫されたサトウキビからしぼっているが、
単に原料として購入するのではなく、生産方法にも深く関与。
農家には、化学肥料を使わず、収穫を手作業でやってもらっている。
水処理システムや教育設備の導入のお手伝いも。

--なぜか?

教育や情報の不足のため、化学肥料を乱用し、
過剰に森林伐採して、環境汚染を招くことも。
こうした事態を防ぐため、当社は、支援を必要とする貧困地域と
公正な価格で、持続性ある取引関係を築いている。
「コミュニティートレード」と呼び、20カ国・2万5000以上の
生産者から原料を直接購入。
全原料の1割以上をこうした取引で調達し、店頭に並ぶ製品の
約7割に、何らかの形で配合。

--容器も再生可能な素材。

◆もともと店頭で空容器を回収したり、詰め替えできる製品の
販売をしたりしてきたが、日本で自治体のリサイクル体制が
整ってきたことから、容器に再生プラスチックを使うことに
力点を置いている。
配合率は、03年には30%、08年は100%の商品も投入。

--今後の目標は?

倉庫や事務所、店舗のCO2排出量を、15年に09年比で
半減させる目標を検討。
エネルギー効率の高い電球を導入したり、再生エネルギーを
使うことなどで高い目標に挑戦したい。
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◇Sophie Gasperment

85年、化粧品の世界最大手、仏ロレアルに入社。
英国子会社CEOを経て、08年6月から現職。45歳。
日本での経営は、イオンの子会社が行っている。

http://mainichi.jp/select/science/news/20100419ddm008020027000c.html

親と向き合う・2(2)「複数担任」で負担軽減

(読売 4月17日)

担任が黒板にチョークを走らせていると、
後ろから話し声が聞こえてきた。
横から目を配る副担任が、「話を聴きましょう」と注意。
群馬県太田市立宝泉中学校では昨年度から、
1年の全クラスで複数担任制を試みている。

背景には、中学校に入学して学校生活になじめない
「中1ギャップ」がある。
保護者対応にも手間がかかり、現場の仕事は複雑化。
学年主任だった斎藤守正教諭(46)は、
「何か、教員が支え合う仕組みがないかを考えた」

県の支援で、教員が1人加配されたこともあり、
1年の4学級すべてで2人担任が実現。
中堅・ベテランと若手がペアを組み、朝の会や帰りの会などの
学級活動では、共に教室に入った。
給食の時間は、受け持ちでないクラスにも行き、
学年全体で情報を共有。

昨春、新規採用教員として副担任に入った本間健介教諭(26)は、
「最初は不安だったが、担任と一枚岩になって
クラスを見ることができた。
1人で思い悩むことはなく、学級運営の勉強にもなった」

東京都新宿区には、校長経験者が若手教員の相談に乗る
授業改善推進員の制度がある。
区教委の非常勤職員として、年に数回、区立の小中学校を訪れ、
1~4年目の若手に授業や学級運営について助言。
新人には、家庭訪問での親との接し方など、初歩的な質問にも答える。

2006年5月、区立小学校の新人女性教諭が、
保護者対応などに悩んで自殺。
周りの教員も忙しく、女性が相談できる環境は十分でなかった。
同年4月、推進員制度は始まっていたが、活動は6月頃から。
この教訓もあり、翌年度からは4月中に1度は新人の様子を見ている。

新年度、区立小学校に配属され、初めて教壇に立つ新人は12人。
9人が担任に就いた。
彼らを見守る推進員の前沢紘一さん(65)は、
「最初は分からなくて当然。
職場になじめるように支えていきたい」

自殺した女性教諭がいた小学校のように、1学年1学級の
小規模校では、担任の日々の負担が大きく、
その支援をどうするかも課題。
教員が、1人で悩まずに済む環境づくりの模索は続く。

◆中1ギャップ

中学校に入学した新1年生が、小学校との環境や授業の変化に
戸惑い、様々な問題を起こすこと。
不登校やいじめに発展することも。
命名した新潟県教委は2006年度から、中学1年の学級を対象に
複数担任制の支援を開始。
今年度は8校が導入。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100417-OYT8T00205.htm

中国の富裕層呼び込め! 福島県、医療観光PR

(2010年4月19日 共同通信社)

福島県は、医療サービスと観光を組み合わせた
「医療観光」のモニターツアーを企画、
招待された中国上海市の一行が、郡山市の病院で
最新のがん検診を体験。
健康意識が高まっている中国の富裕層を、県内に呼び込む狙い、
県は参加者らの意見を参考に商品化を後押し。

ツアーは、15日から3泊4日の日程、
上海市の医療や経済界、旅行会社などから7人が参加。
検診のほか、推定千年以上の樹齢を誇る福島県三春町の
「滝桜」や、会津若松市の若松城(鶴ケ城)観光などを盛り込んだ。

16日の検診は、郡山市の総合南東北病院の関連施設で行われ、
一行のうち3人が約5時間にわたり、がんの早期発見に有効とされる
陽電子放射断層撮影装置(PET)や
磁気共鳴画像装置(MRI)検査などを受けた。

会社経営の40代女性は、検診後「非常に満足した。
院内も五つ星ホテルのようにきれい」と笑顔。
立ち会った上海市の浦南医院医師も、
「日本のように、ゆったり検診を受けられるのはとても良い」

県によると、総合南東北病院と浦南医院は提携、
今回の検査結果は帰国後、中国人医師が説明する。
治療が必要な場合でも、スムーズに処置できる。

県観光交流課の担当者は、「期待半分、不安半分だが、
中国の人を満足させられるようなツアーにしたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/19/119165/

日本、医療の満足度15% 世界22カ国で最低レベル

(2010年4月16日 共同通信社)

日米中など先進、新興22カ国を対象にした医療制度に関する
満足度調査で、手ごろで良質な医療を受けられると答えた
日本人は15%、22カ国中最低レベル。

ロイターは、日本は国民皆保険制度があり、
長寿社会を誇っているとしつつも、
「高齢者の医療保険の財源確保で苦労している」と指摘。

自国の医療制度に満足している人の割合が高いのは、
スウェーデン(75%)とカナダ(約70%)、
英国では55%が「満足」と回答。
韓国、ロシアなどの満足の割合は30%以下。

国民皆保険制度が未導入で、オバマ大統領による
医療保険制度改革の議論で国論が二分した米国は、
回答者の51%が手ごろな医療を受けられると回答。

調査対象は、計約2万3千人。
世論調査会社IPSOSとロイターが、昨年11月から1月にかけ、
インターネットを使い実施。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/16/119063/

2010年4月23日金曜日

親と向き合う・2(1)要望の裏に「悩み」あり

(読売 4月16日)

都立葛飾特別支援学校の卒業式。
卒業証書を受け取る秀男さん(18)(仮名)の姿を見つめながら、
父親(52)は感慨深げに振り返った。
「信頼できる担任に出会えて、本当に良かった」

秀男さんの父親は、中程度の知的障害がある秀男さんの生後、
間もなく離婚し、男手一つで育ててきた。
「息子の自立には、より健常者に近い教育を」との思いから、
小中学校は普通学級に通わせた。

おのずと、求める内容は増えた。
宿題の出し方から授業の進め方まで、学校や教育委員会に出した
要望書は数知れない。
秀男さんは、中学卒業後は特別支援学校に進んだが、
今度は、息子にとって授業のレベルが低いなどの理由で、
クラス替えを求めた。

「担任は、『私は頑張っています』と言うだけ」と父親。
不信感は募るばかり。

秀男さんが2年に進級し、担任が変わったことが転機。
新たに担任になった久保田浩司教諭(44)は、
前任者からの引き継ぎで、秀男さんに要求の多い
父親がいることは知っていた。
「思いの丈を聴き、要望の裏にある悩みを見極めよう」と考えた。

父親の考えが、何ページも書かれた日々の連絡帳。
面談には、通常の4倍、約2時間かけたことも。
やがて見えてきたのは、息子の教育への重圧で、
心労が積もり積もった姿。
「無理をせず、共に歩みましょう」と声を掛けた。

昨年12月、連絡帳に「疲れました。
息子と心中するかもしれません」とSOS。
久保田教諭は、すぐに区役所に相談、
子どもを預ける保護施設を見つけた。

久保田教諭は、「きちんと話を聞き、難しい要求は周りに相談する。
その土台がしっかりしていれば、保護者との信頼関係は築ける」

学校に対する要求が多い親の問題は、
「モンスター・ペアレント」として、過激さが注目された段階を過ぎ、
真意を読み取り、解決策を模索する新たな段階を迎えた。
研究も少しずつ始まって、日本大学の佐藤晴雄教授(社会教育学)は、
苦情を「正当系」、「学校依存系」、「わが子中心系」、「イチャモン系」に
分け、分析を試みている。

4月は、教師が子どもや保護者と関係を築く上で大切な時期。
年度末に掲載されたシリーズ「親と向き合う」に寄せられた
情報や感想をもとに、現場の実践を再考する。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100416-OYT8T00258.htm

化学授業、工夫に光 水沢高教頭の高橋さんに有功賞

(岩手日報 4月14日)

奥州市水沢高の教頭兼主任指導教諭、高橋匡之さん(58)は、
日本化学会による2009年度の化学教育有功賞を受賞。

全国から化学教育に功績のあった5人の教諭が受賞、
本県では4人目となる栄誉。
研究会設立や工夫した教材開発など、
生徒の関心を高める長年の授業実践が認められた。

高橋さんは、県教委が06年度、指導力ある教諭に新設、
指導担当教頭の一人。
工夫した実験による授業が有名で、全国放送のテレビ番組に
出演したことも。

高橋さんは、小規模校に勤務していた1979年、
一人での学習指導に限界を感じ、県内の化学教師に呼び掛け、
研究会「岩手化学サークル」を設立。

活動を記録した「化学通信」は100号を発行、
県内外の教諭と情報交換を進めた。

2000年から、実験教材に関する「化学教材研究会」を年2回開催。
若手教諭も積極的に参加し、研さんの場として定着。

実験のほか、教材も工夫。
独自のテキストには、「ハーバー・ボッシュ法」、
「阿弖流為と黄金文化」など、化学史の背景と解説をまとめた
読み物を掲載し、生徒の関心を引きつける。

「教科書には1行しかない法則や事象の中にある、
化学者の血のにじむ努力を知ってほしい」
生徒の感想を掲載する教科通信も、長年続ける。

「実験に感動した生徒の言葉に、教師も刺激を受け、
授業を工夫する。
生徒と教師のキャッチボールで、学習意欲と授業の質が高まる」、
「これからも生徒に化学の面白さを伝え、
今以上にいい授業をしたい」と意欲を新たにしている。

授賞式は、3月27日に大阪府の近畿大で行われた。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100414_11

脳神経形成の仕組み解明 タンパク質複合体が鍵

(2010年4月16日 共同通信社)

大人の成熟した脳で、神経回路が形成、維持されるのに、
2種類のタンパク質の複合体が重要な役割を果たしていることを、
マウスの実験で解明したと、
慶応大の柚崎通介教授(神経生理学)らが
16日付の米科学誌サイエンスに発表。

この複合体は、小脳で神経細胞の接着や成熟を促すことを確認。
小脳の病気による運動障害の、新たな治療法開発に
つながるのではないか。

人間の脳は、1千億個を超える神経細胞が結合し、
神経回路をつくっている。
細胞と細胞のつなぎ目である「シナプス」は、発達に伴って形成され、
大人になってからも学習によって改変されるが、
大人の脳でシナプスがどのように形成、維持されるかは
よく分かっていなかった。

柚崎教授らは、大人のマウスを使った実験で、
小脳にある顆粒細胞とプルキンエ細胞という2種類の
神経細胞の間で、「Cbln1」と「GluD2」という2種類の
タンパク質が複合体を形成し、細胞と細胞の間で
「のり」のように働いて接着を促していることを突き止めた。

これらに似たタンパク質は、記憶や学習に関係する
海馬や大脳皮質にもあり、柚崎教授は、
「将来は、認知症や精神神経疾患の治療法開発にも
役立つのではないか」

Science. 2010 Apr 16;328(5976):363-8.
Cbln1 is a ligand for an orphan glutamate receptor delta2, a bidirectional synapse organizer.

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/16/119052/

インサイド:次代の針路 第1部 多様化するU18の現場/1

(毎日 4月20日)

日本スポーツの次代を担う底辺層が揺れている。

優秀な選手の養成に力が注がれる一方、
少子化や指導者不足でスポーツの場は減っている。
教育価値の軽視や学力低下、燃え尽き、ドロップアウトといった
問題も叫ばれる。
若者のスポーツは、どんな針路を取るべきか?
第1部は、多様化するU18(18歳以下)世代の現場に迫った。

◇模索続ける英才教育

2年前の夏、2人の女子中学生は寮を抜け出し、
新大阪から新幹線に飛び乗った。
親元を離れ、大阪でバレーボールの英才教育を受けていた
彼女たちは、厳しい練習や孤独な環境で心身ともに疲れ、
実家に帰ろうと決意し、東京へ向かった。

これに気づいた女子マネジャーから携帯電話に連絡があり、
東京駅で待つよう指示。
追いかけてきたマネジャーに3時間説得、寮に戻ったが、
もやもやした気持ちはしばらく消えなかった。

「『もう一回頑張ってみよう』、『やっぱり無理かも』の繰り返し。
学校から寮に戻ればすぐに練習があるし、
中学から寮まで歩いて帰る5分間が重く感じた」
その後も2人はバレーを続け、今春、強豪高校に入学。

2人は、日本バレーボール協会が05年、
大阪・貝塚のナショナルトレーニングセンターに開校した
アカデミーの生徒。

寮や練習場は、1964年東京五輪で金メダルを獲得した
「東洋の魔女」の選手が所属した旧日紡貝塚の工場跡地。

日本協会は長年、地道な底辺拡大から有望選手の発掘を
目指してきたが、世界のレベルは上がり、日本は低迷。
お家芸復活には、低年齢からの英才教育が必要と判断、
女子の強化に着手した。

寮で生活しながら、近くの公立中学に通う日々。
現在は、1~3年の計15人が1日約5時間の練習を積む。
これまで計42人が入り、4人が退校。
開校から5年。
順調に成長した生徒もいる。

入校までバレー未経験だった清水真衣(17)=京都橘高3年=は
3月、全日本高校選抜でプレー。
交流試合で、軽快にブロックを決めた清水は、
「貝塚に行かなければ、高校選抜でプレーする選手にはなれなかった」
清水の上の学年では、企業チームに入ったり、
体育大学に進んだ選手がいる。

アカデミーは、中学生が対象、卒業生の大半が強豪の高校へ進む。
日本代表につながる一貫指導は難しい。

日本協会の成田明彦・強化事業本部長は、
「Vリーグのジュニアや中高一貫の強豪校もあり、
長身の有望選手もなかなかアカデミーに来ない」
試合経験が少なく、高校選抜の強化関係者から、
「『金の卵』の純粋培養で、ひ弱さも感じる」との声も。

今後、アカデミーでは国立スポーツ科学センター(JISS)の
協力を得て、手の骨の長さを分析、将来背が伸びる可能性の高い
「未完の大器」を探す。

足の大きさや親の身長、スポーツ歴など、競技力以外の指標で
選考してきたが、選手の発掘法がエスカレートしてきた感も。

日本サッカー協会(JFA)も06年、「エリート教育」を掲げ、
福島県のJヴィレッジに「JFAアカデミー福島」を開校
寮生活を送り、近隣の公立中学、高校に通いながら、
6年間の一貫指導を受ける。

1期生の幸野志有人(16)は、才能を評価され、
3月にFC東京に入団。
アカデミー出身者初のプロとなった。

アカデミーの島田信幸・男子ダイレクターは、
「身に着けた技術や知識を活用して集団の先頭に立ち、
社会に貢献できる人が真のエリート」
バレーと同様、親元を離れた思春期の若者を育てるのは
簡単ではない。

「彼らはさまざまな不安を抱えている。
大切なのは、周りの大人がささいな信号でも見落とさないこと」
競技者の育成と人間としての成長。
そのはざまで、スポーツの英才教育は模索を続ける。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2010/04/20/20100420ddm035050004000c.html

2010年4月22日木曜日

繭にアンチエイジ成分 鈴木・岩手大教授らが確認

(岩手日報 4月16日)

岩手大農学部応用昆虫学研究室の研究グループと、
絹タンパク製品を開発製造している「ながすな繭」
(京都府、堀井和輝社長)は、カイコの繭を形成する
タンパク質の一つフィブロインから製造した
食用シルクパウダーに、記憶力回復や毛質改善などの
アンチエイジング(抗加齢化)効果があることをマウス実験で確認。
研究グループによると、動物実験で効果が確認されるのは国内初。

岩手大の研究グループは、鈴木幸一教授(63)、
山本圭一郎学術研究員(30)ら。
山本研究員らは、マウスに高濃度の糖を8週間投与し老化後、
1~2%のシルクパウダー水溶液を5週間飲ませ、水泳訓練を実施。
白濁した水を張った直径1mの円形プールで、
周辺の記憶を頼りに足場となる台へ到達する時間を調べた。

訓練3日目、シルクパウダーを摂取したグループは、
平均20秒で台に到着、糖を与えない正常なマウスや
老化マウスは同30秒要した。

台を取り除くと、正常なマウスは1回の水泳で平均4・5回、
台のあった場所を横切ったのに対し、
老化マウスは同2・2回。
シルクパウダーを飲み続けたマウスは同4・7回、
正常なマウス並みの記憶力の回復がうかがえた。
体毛も摩擦が少なく、キューティクルが正常なマウスと同程度に改善。

研究成果は、長野県上田市で開かれた日本蚕糸学会で発表。
山本研究員は、「実際に老化させたマウスで、
効果が確認できた意義は大きい。
今後は、メカニズムの解明が課題」

岩手大とながすな繭は、毛質や記憶力を改善する食品として
特許を出願。
同社は、近くシルクパウダーを錠剤にして機能性食品として
商品化を予定。
120錠入り6900円(税込み)で販売。

堀井社長は、「フィブロインの機能性とともに、
アンチエイジング効果が実証された。
シルクが、人間の健康に役立つことで、
昆虫産業の発展につなげたい

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100416_12

ダイエット効果の人気のサプリ、αリポ酸で低血糖症

(2010年4月16日 読売新聞)

ダイエットや老化防止に効果があるとして、広く使われている
サプリメント「αリポ酸」で、震えや動悸を引き起こす
「自発性低血糖症」を招くケースが相次いでいる。

厚生労働省研究班(主任研究者・内潟安子東京女子医大
糖尿病センター教授)がまとめた全国調査、2007年から
3年間で、少なくとも17件起きた。

自発性低血糖症は、血糖値を下げる薬を使っている
わけではないのに、低血糖になる。
重症になると、昏睡状態に陥る。

原因は様々だが、特定の白血球の型を持つ人が、
SH基と呼ばれる構造を持つ薬やサプリメントを服用すると、
発症しやすい。
αリポ酸にも、SH基がある。

この白血球の型を持つのは、日本人の約8%、
SH基のある薬やサプリメントによって、自発性低血糖症が
起きた患者は、9割以上がこの白血球の型を持っていた。

研究班によると、全国の主要病院207施設で、
07年から3年間に自発性低血糖症と診断された患者187人のうち、
サプリメントとの関連が報告されたのは19人、うち17人がαリポ酸。
摂取した量や期間は不明、服用を始めてから一、二か月で
震えや動悸などの症状が出て、受診するケースが多い。

内潟教授は、「サプリメントは健康増進をうたっているが、
使い方によって、薬と同じような副作用が起こる恐れ。
異常が起きたらすぐ服用をやめ、受診の際、
どんなサプリメントを服用しているか、医師に必ず伝えてほしい」

◆αリポ酸

ビタミンのように、体内で代謝を助ける働きを持つ補酵素の一つ。
もともとは医薬品、2004年の基準改正でサプリメントとして売られる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/16/119097/

多様な性、悩む子に理解を…教職員向け手引書を奈教組が作成

(2010年4月15日 読売新聞)

性同一性障害や同性愛など、
性的少数者(セクシュアルマイノリティー)としての悩みや課題を
抱える子どもたちへの理解を深めようと、
奈良教職員組合(竹平均執行委員長)は、
教職員向けの手引書をまとめた。

同様の手引書の作成は全国でも初めて、
体と心の性が一致しない「トランスジェンダー」など、
多様な性に対する偏見をなくす取り組みとして注目。

看護師や大学教員らでつくる市民グループ「性と生を考える会」
(中田ひとみ代表)からの要請をきっかけに、
性的少数者の意見も踏まえ、1年半をかけて同会と共同で作成。

セクシュアル・マイノリティサポートブック」(A4判、19ページ)
として、2700部作成、県内の公立学校や幼稚園、組合員に配布。

手引書では、教員側の心構えとして、
「どのクラスにも、セクシュアル・マイノリティの子どもがいる、
という前提で接し、授業する」など、ポイントを記載。

学校での対応策として、
▽男女カップルを前提とする伝え方をしない
▽性的少数者に偏見を持つような言葉を使わないよう指導する
▽性に関する人権に取り組むクラブ活動などの設置--などを紹介。

体の性で分けられることに苦痛を感じるケースでの配慮も指摘
制服やトイレ、宿泊での部屋割り、水泳の授業、身体測定などでの
個別の対応や検討を示した。

同性愛者の青年の手記も掲載し、
「この社会にも、いろんな人が生きている。
誰もが、自分とは違う。
同性愛者に出会ったことがないと思っている皆さん、
僕たちはここにいます」とつづられている。

同組合執行委員の福嶋明美・女性部長は、
「親にも先生にも、友達にも言えずに悩んでいるケースもあると思う。
先生が知識をもつことで、子どもが相談しやすくなれば

希望者には1部100円(送料別)で送付。
問い合わせは、同組合(0742・64・1020)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/15/119013/

2010年4月21日水曜日

再造林で岩泉町と提携 NPO法人クリーン・プリント

(岩手日報 4月17日)

東京のNPO法人クリーン・プリント(阿部野耕一理事長)は、
岩泉町と森林支援活動の提携を結んだ。
今後約40年間、同町内の森林で再造林事業を支援。
積極的な森林政策を展開する同町と連携、
持続的な環境保全活動の輪を広げる。

調印式で、阿部野理事長と伊達勝身町長が署名を交わした。
活動計画によると、同町上有芸地区の町有林(2ヘクタール)で、
同法人がスギの植栽から伐採まで、約40年間の活動を支援。

同法人が負担する事業費は、200万円。
メンバーらが刈り払いなどの作業を行い、
町も作業やイベントなどを支援。

同法人は、印刷・デザイン業界の有志が印刷物の無駄な紙を減らし、
CO2削減に貢献することを目的に、2008年8月設立。
環境に優しい印刷を象徴する「クリーン・プリント」マークの
普及などを行っている。

植林事業を検討する中、適切に管理された森林を認定する
森林管理協議会(FSC、本部ドイツ)の森林認証に取り組むなど、
積極的な森林政策を行っている同町に着目、支援を決めた。

阿部野理事長は、「下草刈りなど、山に親しむ活動をイベントとして行い、
息の長い事業にする」、
伊達町長は、「森林には、新しい価値が生まれている。
その存在意義を、子どもたちに教えていきたい」

http://www.iwate-np.co.jp/economy/e201004/e1004171.html

特定看護師 より広範囲の医療行為を行う看護師… 医療ナビ

(2010年4月15日 毎日新聞社)

国立病院機構敷地内に、東京医療保健大の大学院が誕生。
5年以上の臨床経験を持つ、看護師21人が入学。

患者の状態に応じて総合的に判断・診断できる、
医療行為に踏み込んだ検査や治療を実践、
医師と協力してチーム医療を推進--
などの能力を持つ看護師を育てる。

病気のなりたちから薬理学、診察・診断学までを学ぶ。
隣接する同機構東京医療センターなどで、
医師の指導のもと、実践教育を積む。

矢崎義雄・同機構理事長は、
「看護師は、医師より患者に目線が近く、患者をよく見て判断できる。
高齢化が進む中、看護師が診療に入った方が、医療の質が上がる」
医師の卒後臨床研修並みの態勢で臨む。

厚生労働省の検討会は、看護師の役割を拡大する新資格
「特定看護師」(仮称)の導入を提言する報告書。

導入されれば、簡単な傷の縫合や患者の状態に応じた
薬の選択や使用など、広範囲の医療行為ができる。

厚労省は、保健師助産師看護師法(保助看法)の改正も視野に。
導入については、「特定看護師の業務独占になり、
チーム医療を行う地域医療の現場が混乱する」(日本医師会)など
反対意見も。

医師不足が深刻な現場から、医師と看護師らが協力する中、
看護師らの役割が広がることへの期待感が高い。

日本周産期・新生児医学会(名取道也理事長)は、
新生児仮死など緊急時には、医師の管理のもと、訓練を受けた
看護師や助産師が気管内吸引などの蘇生を行えること、
医療施設に限定し、助産師が定期検査の発注、出産時に膣の出入り口を
切る会陰切開や縫合などをできるよう、求める要望書を提出。

同学会では、質の高い新生児蘇生技術を普及させようと、
全国で医師や看護師、助産師らを対象に講習会を開催、認定も。

医療現場では、医師以外は行えないのが実情。
副幹事長の久保隆彦・国立成育医療研究センター産科医長は、
「分娩施設は減少しているのに、リスクの高いお産は増えている。
新生児仮死は、重い後遺症の原因となるが、
医師が到着するまで蘇生を行えないのでは、貴重な時間を失う」

日本外科学会など、11学会は連名で、
「米国では、日本より外科系医師数が少ないのに、
手術件数は多い。
日本のような過重労働も、問題になっていない。
最大の要因は、医師と看護師の中間レベルの職種の充実」、
特定看護師の早期導入を求めている。

厚労省は、10年度からモデル校を指定、養成を試行、
特定看護師ができる医療行為を明確にする方針。
こうした動きに先行し、東京医療保健大を含む
一部の大学院が養成を始めた。

昨年度から、糖尿病など慢性疾患管理ができる看護師を養成する
国際医療福祉大大学院の湯沢八江教授(看護管理)は、
「日本の看護師の基礎教育は、米国などと比べ、
医学がきちんと教えられていない。
養成大学は今後増えるが、そこを考慮しないと、
名前だけの特定看護師が出てくる可能性が」
………………………………………………………………………
◇看護師の業務

保助看法では、「療養上の世話または診療の補助」であり、
「医師の指示がある場合、医療行為ができる」。
高度な医学的判断や技術が必要な医療行為は、
「診療の補助」の範囲を超え、医師が自ら行うべきで、
看護師は行えないと解釈。

両者の役割分担は、過去にも議論になり、
厚労省は02年に静脈注射、07年に薬の投与量調節など、
看護師ができる「診療の補助」に含まれるとする通知。
それ以外の医療行為については明確にしておらず、
現場の判断に任されてきた。

海外では、診療できる看護師資格の導入が広がっている。
医師不足の議論と相まって日本でも、能力のある看護師を
活用しようと、業務拡大の検討が始まった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/15/119036/

東京大が9年連続トップ 論文引用回数、米社集計

(2010年4月14日 共同通信社)

学術情報を扱う米国のトムソン・ロイターは、
1999~2009年の11年間を対象に、日本の研究機関の論文が
引用された回数のランキングを発表、
トップは、02年の発表開始から9年連続で東京大。

世界の約4300機関の中では、昨年と同じ11位。
世界1位は、米ハーバード大。

国内2位は京都大(世界31位)、3位は大阪大(同37位)、
4位は東北大(同65位)、5位は科学技術振興機構(同67位)。
政府系研究機関の被引用数の伸びが目立つ。

22の分野別では、免疫学で大阪大、薬理学・毒物学で東大が
それぞれ世界5位と、初めてトップ5入り。

世界5位までに入ったのは、物理学の東大(2位)、
材料科学の東北大(3位)と産業技術総合研究所(4位)、
生物学・生化学の東大(3位)、化学の京都大(4位)と東大(5位)。

学術論文の統計データベースから、
著者が記した所属機関名に基づき集計。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/14/118947/

2010年4月20日火曜日

全国学力テスト(10)お茶の水女子大 耳塚寛明副学長に聞く

(読売 4月15日)

今回の連載では、主に学校現場が、全国学力テスト(学テ)で
得た結果を、どのように学習指導に役立てているかを報告。

今年度から抽出方式に切り替わるため、参加しない学校では、
その検証と改善のサイクルが途切れてしまう。
4回目の実施が20日に迫る中、学テが果たしてきた意義や課題、
今後の展望などを、学テの設計や検証にかかわった
耳塚寛明・お茶の水女子大学副学長(教育社会学)に聞いた。

「ほとんどの学校が学テの結果を受け止め、
それぞれの方法で、学力向上に生かしたことは高く評価したい」

教育の世界は、結果がどうであれ、
その過程で努力していれば、称賛されがち。
学テの導入で、成果に基づく評価とデータによる
検証の流れができた意義は大きい。

都道府県間の学力格差が縮小している反面、
同じ都道府県内でも、学校間格差は大きいことがわかった。
背後に、高所得の家庭の子どもほど、学力が高い関係があることも、
耳塚副学長らが国の委託で行った研究で明らかに。
そうした検証結果を、国や自治体は教育施策に生かさなかった。

「正答率が低迷している学校に、ヒト・モノ・カネを優先的に投じ、
子どもの学力を保障するべきなのに、
学校の序列化を懸念するあまりデータを伏せ、
議論も起こさなかった。
『低迷は、学習指導が問題』とし、学校の尻をたたくだけの
自治体が多かった。
学テを評価するとしたら、50点」と、批判。

全員調査から抽出調査に変わると、
学校別データがそろわなくなる。
学校間格差を縮小する、チャンスの喪失を意味する。

「抽出方式への移行は、国の予算節約が優先した結果。
何のために行うのか、目的について議論を深めず、
見切り発車した今年度の学テは、中途半端に終わる可能性が強い」

抽出方式になった今回の学テに、抽出から漏れた学校の
約6割が自主参加することについて、
「正直、驚いた。
参加を望む地域住民の声が後押しした結果といえる」

今後の学テの在り方については、
「5年に1度、全員調査を実施したらどうか。
高校で行うことや、実施教科を増やすことも考えては。
都道府県も、独自にテストを実施すべきだ」などの考え。

4年目を迎え、ますます注目を浴びる学テ。
望ましい姿について、教育関係者だけに任せず、
広く議論することが求められるようだ。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100415-OYT8T00310.htm

ボールがつなぐ支援の輪 JFA特任理事・北沢豪 (上)

(日経 2010/4/13)

ソニーと国連開発計画(UNDP)、国際協力機構(JICA)が
共同で開いた記者会見。

JICAのオフィシャルサポーターとして同席した、
サッカーの元日本代表、日本サッカー協会(JFA)特任理事の
北沢豪は、静かに喜びをかみしめていた。

「これまでやってきたことが積み重なって、
点から線になった気がする。小さくても、幸せを感じますね」

サッカー・W杯南アフリカ大会の期間中、カメルーンの3都市、
ガーナの9都市で、パブリックビューイングを行う。
北沢も、その計画の一員として現地に飛ぶことに。

ただの上映会ではない。
会場では、エイズ予防のための寸劇やカウンセリング、検査も実施。
この手の硬い集会に、なかなか人が集まりにくいが、
W杯がライブで見られるとなれば、話は別。

両国とも、テレビ普及率は20%台前半と低い。
200インチ大画面の力を借りて、計20試合の上映で、
1万3000人の集客と1800人の検査を目指す。

JICAの押山和範アフリカ部長は、
「アフリカでは、エイズという病気があることすら知られていない。
認知のさせ方には、それぞれの地域に合ったやり方がある。
アフリカでは、サッカーと組み合わせるのが有効」

北沢は、下見を兼ねて3月にカメルーンを訪ねた。
「100%の国民がサッカー好きというか、ボールがあると、
人がどっと集まってくる。
日本とW杯で対戦することも知っていた。
サッカーに関しては、本当に誇り高い。
欧州にサッカーを教わったというより、
自分たちが欧州のサッカーを発展させた、
というプライドをびしびし感じた」

今回のプロジェクトに、耐久性に優れた“アフリカの大地仕様”
特製ボールの配布が含まれることも、うれしい。

2001年、カンボジアを手始めに、
「アジアの子供たちにボールを届けるプロジェクト」
ずっと携わってきた。
様々な名目で、これまでに15カ国を計22回訪ね、
アフリカではザンビアとセネガル、南アフリカ、カメルーンを訪れた。

なぜ、ボールを届けることにこだわるのか?
現地の人たちに、本当に喜ばれるから。
新品である必要もない。
むしろ使っていた子供の名前が書いてあるようなボールの方が、
どういう経緯でここに来たか説明できるし、
受け取る側も何かを感じてくれる。
ボールと一緒に込められたメッセージも届けられる。
翌年、同じ場所に行ってボールがしっかり管理されているのを見ると、
気持ちや意味も伝わったんだなあと、うれしくなる」

10年続けるうちに、支援の輪は広がった。
「アジア、南米、アフリカの子供たちと交流してきて、
今回W杯がアフリカで開かれるのも、何かの縁に思える。
W杯が、アフリカの人々に大きな夢を与えるのは間違いない。
一人ひとりの感動がつながって、それが国を動かす力になり、
アフリカ全体の発展につながってくれたら」

北沢にとって、ボールはただのモノではない。
人と人をつなぐ、力の起点そのものなのである。

http://www.nikkei.com/sports/column/article/g=96958A96889DE2E7E4E7E0E4E7E2E3E1E2E6E0E2E3E28781E2E2E2E2;p=9694E0EBE2E3E0E2E3E2E1EBE3E1

気仙観光に新拠点 大船渡に10日体験館オープン

(岩手日報 4月10日)

気仙地域を中心とした体験型観光の拠点施設を目指す
「三陸まるごと体験館」(熊谷満恵館長)が、
大船渡市三陸町越喜来にオープン。
空き事務所を活用し、地元の農業・漁業関係者らが開設、運営。
同地域を訪れる体験型ツアーが人気を集めており、
新たな魅力を掘り起こす拠点として期待。

運営するのは、グリーンツーリズムを受け入れる
地元住民ら約20人。
約20畳分の施設内には、炉端焼きができる
気仙杉の手作りテーブル5卓を用意。
炉端焼きのほか、しゃぶしゃぶ、ホタテ・カキ・アワビの殻むき、
船釣り、ブルーベリー摘み・ジャムづくり―などの体験を受け付け。

手作り菓子や海産物、木酢液などの即売コーナーも設置。
ホタテ、カキ、イカ(各150円)を50枚ずつ用意し、
10日午前10時からもちつきも行う。

三陸鉄道や同恋し浜駅、越喜来地区のカキ納屋などを訪れる
体験ツアーが人気を集め、施設はそれらの拠点機能を狙う。
普段は、地元住民の茶屋としても開放。
熊谷館長は、「三陸に多くの魅力が詰まっていると、発信したい。
地元の人も、地域の誇りを見直すきっかけとなる施設にしたい」

営業時間は午前9時~午後4時。月曜休み。
体験は、3日前までの予約が必要。
問い合わせ、予約は同館(090・6253・2273)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100410_9

脳の老人斑なくてもアルツハイマー病発症 大阪市大などマウス実証

(2010年4月13日 毎日新聞社)

アルツハイマー病の特徴の一つとされる脳の
「老人斑(アミロイド斑)」がなくても、
アルツハイマー病の症状が起きることを、
大阪市立大などの研究チームがマウスで実証。
老人斑を抑制するだけでは、有効な予防や治療にならない可能性。
米神経科学会誌(電子版)に掲載。

老人斑は、アミロイドベータ(Aβ)というたんぱく質が
繊維状につながったもの、アルツハイマー病の原因の一つ。
実際の患者の症状の重さと老人斑の数が比例しなかったり、
老人斑がなくても発症するケースがヒトで報告。

富山貴美・大阪市立大准教授(脳神経科学)らは、
患者の脳では老人斑だけでなく、Aβの分子が数個~数十個
集まった「重合体」も蓄積されていることに着目。

重合体はできるが、老人斑はできない遺伝子改変マウスを作製。
8カ月ごろから、Aβの重合体が目立って増えた。
記憶中枢である海馬では、神経細胞が減少し、
平均寿命に近い24カ月(ヒトの80歳程度)では、
普通のマウスの半分近くに。

プール内の休憩場所を覚えさせる記憶テストでも、
8カ月の遺伝子改変マウスは、同月齢の普通のマウスが
1週間程度で覚える課題をこなせなかった。
チームはこうした症状から、老人斑のないマウスも
アルツハイマー病を発症したと結論。

J Neurosci. 2010 Apr 7;30(14):4845-56.
A mouse model of amyloid {beta} oligomers: their contribution to synaptic alteration, abnormal tau phosphorylation, glial activation, and neuronal loss in vivo.

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/13/118928/

2010年4月19日月曜日

全国学力テスト(9)成績 学校別に統計分析

(読売 4月14日)

「分析の結果、御校は算数で底上げが進んでいます」、
「我々の取り組みがデータで確認され、手応えを感じます」

東京都板橋区立A小を訪れた区教委の
溝畑直樹・指導主事(45)と校長との間で交わされた。

溝畑さんが持参したのは、過去3回の全国学力テスト(学テ)
におけるA小の正答率を、区教委が独自分析したグラフ。
「箱ひげ図」と呼ばれ、正答率上位・中上位・中下位・下位の
層別に、推移が分かるようになっている。

基礎を問う「算数A」では、2009年度は08年度に比べ、
下側の「ひげ」が上方向に縮んだが、これは、下位層の学力が
底上げされたという証し。
この時期、習熟度別授業を徹底するなど、
算数が苦手な児童に対する指導を強めたことが報われた。

文部科学省が、同区に伝えてきた過去3回の学テの成績によると、
区全体では、いつも小学校は全国平均をやや上回り、
中学校はやや下回るなど、見かけ上は大きな変化はなかった。
中には、平均的な学力を持つ子が多く集まる学校もあれば、
上位者と下位者の学力差が大きい学校も。

「平均点を比較するだけでは、板橋区の問題点が見えなかった。
学校ごとの分析が必要だった」、
区教委の中川修一・指導室長(52)。

中川室長は、区の教育委員で計量経済学が専門の
今井英彦・武蔵大学教授(52)に統計分析を依頼。
この結果、小中計76校の箱ひげ図が次々と作られた。
各校は、渡された分析結果を踏まえ、
10年度の学力向上推進プランを策定。

区教委は、「学テだけでは、一人一人がどこでつまずいたかが
分からない」、小5は国算の2教科、中2は英国数の3教科で、
基礎学力の定着を調べる独自の「学習ふりかえり調査」を、
昨年から導入。
結果は、「個人票」に記録して本人に渡し、つまずきの内容と
克服に向けた方法を提示。
各校は、放課後の補習の際や冬休みの宿題などとして、
子どもたちに区作成の教材に取り組ませている。

中川室長は、「個人票により、その子にあったフィードバック学習が
効率的に進められる」

今年度のふりかえり調査は、学テ直後の25日に実施。
学テの長所や短所を踏まえた独自の分析や学力調査が、
学力向上につながっている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100414-OYT8T00181.htm

科学技術理解促し大臣賞 岩手大の研究者グループ

(岩手日報 4月10日)

2010年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞)、
岩手大「環境と水」研究者グループ
(代表・平野紀夫農学部准教授)が選ばれた。
児童生徒を対象にした体験学習プログラムが評価、
理解増進部門での受賞。
13日、東京都内で表彰式。

グループのメンバーは、平野代表のほか
梶原昌五教育学部准教授、北爪英一人文社会科学部教授、
清水健司工学部教授、吉田純・前技術部農学系技術室副技術室長。

体験学習プログラムは、「環境と水」をテーマに、
01年から毎年実施。
小、中、高校生が2日間、フィールドワークを伴う
実験を手掛けている。
NPOや国立研究機関からの外部講師を招いての講演も企画、
視野を深める。

実験は、河川の上流、下流、わき水、井戸水それぞれの水を
採取して、大腸菌の多さを調べたり、
せっけんと合成洗剤の生物への影響を比較したりと、
身近な環境に目を向けさせる。
顕微鏡などの器具は、同大の施設を利用。

独立行政法人国立青少年教育振興機構の
「子どもゆめ基金」の助成を得て実施。
これまでの9回、350人以上が参加。

活動が高く評価されたことに、平野代表は、
「21世紀は環境問題が重要になると考え、
子どもたちに教えようと有志でスタートさせた。
子どもたちは、とても意欲的に実験。
今後も継続していきたい」と喜びをかみしめる。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100410_6

世界一の都市、ニューヨーク首位 北京とベルリン躍進

(CNN 4月11日)

世界を制するのは、どの都市だろうか?
経済活動、政治力、知的基盤、住み心地の、
4つの尺度を基に計測したランキングが発表。

英不動産コンサルティング会社、ナイト・フランクが発表した
世界の都市ランキングでは、ニューヨーク、ロンドン、東京の
3都市が、4つの尺度すべてで上位に。

総合首位は、ニューヨーク。
昨年首位だったロンドンは2位に転じた。

2010年調査で首位は入れ替わったが、ニューヨーク、ロンドン、
パリ、東京の上位4都市が、どの尺度をとっても、
他の都市より際立って高い状況に変わりはなく、
5位のロサンゼルスとの差はかなり大きい。

4つの尺度で、飛躍的な発展を遂げた都市といえば、
北京とベルリンの2都市。
ベルリンは、生活レベルの高さが支えとなり、
昨年の13位から8位に浮上。上昇幅は最大。
生活レベルの尺度だけでみれば、パリに次いで世界2位。
生活レベルは、公共サービスの充実度や治安、
政治的・個人的自由度、文化、気候などを基に評価。

順位の上昇幅が2番目に大きかったのは北京、
昨年の12位から9位。
北京の上昇に寄与したのは、政治力。
北京の政治力は、昨年の7位から4位に上昇、
ロンドン、パリ、東京を上回った。

上位10都市(ナイト・フランク調べ)
 1位:ニューヨーク
 2位:ロンドン
 3位:パリ
 4位:東京
 5位:ロサンゼルス
 6位:ブリュッセル
 7位:シンガポール
 8位:ベルリン
 9位:北京
10位:トロント

http://www.cnn.co.jp/fringe/AIC201004110016.html

「健康大国」へ需要創出 消費税、段階的に引き上げ 経団連の成長戦略案

(2010年4月12日 共同通信社)

日本経団連が検討している成長戦略案の全容。
医療・介護サービスを成長産業にする「健康大国戦略」など、
重点6分野の需要創出策を提示。

年金、医療などへの不安を解消し内需拡大に導くため、
2011年度から消費税を2%ずつ段階的に引き上げ、
少なくとも10%程度にすることや、財政再建のための
「歳入歳出改革法(仮称)」の立案を求めた。

政府も、菅直人副総理兼財務相を中心に成長戦略を練っており、
産業界の意見も影響を与える可能性。

鳩山政権は、家計支援による景気浮揚を目指しているが、
経団連は中長期的な成長を実現するには、
企業の競争力を高めることが欠かせないと主張、
法人税の引き下げを求めた。

低所得者の負担軽減策として、生活必需品の消費税を
還付する制度づくりも盛り込んだ。

産業面では、健康大国、環境・エネルギー、アジア経済戦略、
観光・地域活性化、科学技術、雇用・人材育成の6分野を重視。
健康関連では、インターネットや衛星回線を使った遠隔医療の普及、
アジア各国との医薬品の共同開発、バリアフリー住宅の整備など。

環境対策では、時限的に補助金や減税を集中的に活用し、
環境重視の製品の普及を支援すべき。

労働力人口が減少するのに備え、規制緩和による保育サービスの
拡大など、女性が働きやすい環境をつくることも提案。

アジア地域でのインフラ整備の受注を官民一体で増やすことや、
拠点空港の機能強化を求めた。
貿易、投資自由化の協定を、さらに広げるべき。

※経団連の成長戦略

政府が、6月に経済成長戦略を策定するのを前に、
経済界としての意見をとりまとめた。
政府は、「名目3%、実質2%を上回る経済成長」を目指す方針。
経済界では、企業活動の活性化につながる政策をはじめ、
消費税引き上げや年金改革による財政健全化を
求める意見が強い。
経団連は、成長戦略に関連して、医療、介護サービス、
子育て支援、人材育成なども議論。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/12/118833/

2010年4月18日日曜日

「大人の寺子屋」意欲高く、日本書紀輪読で建国学ぶ

(東海新報 4月17日)

本増寺(木村勝行住職)壇信徒らが、大人の生涯学習の場
「大人の寺子屋」講座を立ち上げた。

今年は、平城遷都から1300年を迎える記念の年。
本家の「寺子屋」からも刺激を受けた参加者は、
日本書紀の輪読を通して建国の歴史を学び直そうと、
高い意欲で取り組んでいる。

講座では、『全現代語訳 日本書紀』(宇治谷孟著、講談社学術文庫)
をテキストに、日本書紀を輪読。
主幹は木村住職。

初の講座は、7日に盛町のリアスホールで開かれ、
約20人の市民が参加。
開講式では木村住職が、日本書紀をいま学ぶことの意義などを説明、
参加者同士も自己紹介。

「神武紀」をテーマにした今回は、時間が少なく輪読は省略し、
木村住職が用意した解説用レジュメで、
神日本磐余彦命(神武天皇)の東征から即位までを学んだ。
参加者が意見や解釈を述べる時間もあり、
戦前教育で初代から天皇の名をすべて暗記した人らは、
そのルーツを確認して思いを新たにした様子。

本増寺は、8年ほど前から、中学3年~高校3年生を
対象にした「寺子屋」を開催。
学習意欲の高い子どもたちに、英語や数学などを教えている。

「大人の寺子屋」は、寺の壇信徒ら有志が中心、
「先人たちの知恵を楽しく学ぶ〝楽習〟の場を設けたい」と
立ち上げられた。
時には、深夜までも寺で熱心に勉強していくという、
子どもたちの姿に感化された部分も。

木村住職は、「大人が勉強する姿勢を子どもに見せ、
何歳になっても勉強が大事だと教えてほしい」と訴える。

輪読という形式も、声に出して読むことでより
頭に入りやすくするだけでなく、理解力と表現力を高めることを
意識している。
時間に余裕がある次回以降は、前半を輪読と解説、
後半をフリートーク形式で解釈などを発表し合う。
今年は日本書紀を、来年は続日本紀を輪読し、
その歴史的背景や宗教観にも触れる。

平城京は西暦710年、奈良に誕生し、今年は1300年目。
日本書紀はわが国最古の正史とされ、720年に完成。

木村住職は、「平城京の完成で五畿七道、律令制度など
国家としての形ができた。
奈良だけでなく、今年は日本全体で建国の歴史を考えるべき年。
中国における史記のように、国家成立に正史は欠かせず、
日本書紀の持つ意味は大きい」

大人の寺子屋は、12月までの毎月第1水曜日、午後6時30分から
リアスホール会議室で開催。
詳細日程や講座の様子など、本増寺のホームページ
http://www.geocities.jp/honzoji/)。
問い合わせ、申し込みは同寺(℡26・3090)。

http://www.tohkaishimpo.com/

スポーツ発信、岩手元気に 「スタンダード」が復刊

(岩手日報 4月11日)

昨年4月休刊した本県を舞台とするスポーツ雑誌
「スタンダード」が、発行体制や編集スタッフを一新、15日復刊。
林裕編集長(49)は、「スポーツを通じて岩手を元気にしたい

復刊第1号はA4判、112ページのフルカラーで7千部を発行。
「岩手を一つにするのはスポーツだ」をテーマに、
プロ野球西武の雄星投手や、
いわてユースサッカーリーグU-18を特集。

企画「名将対談」では、盛岡商高サッカー部の斎藤重信監督と、
盛岡大付高野球部の関口清治監督が対談。
指導者同士のジャンルを超えた交流を目指す。

林編集長は、「読者に、実際試合へ足を運んでもらえる
きっかけになるよう情報提供していきたい」

スタンダードは、2007年9月創刊。
県内で約4千部を発行、経営難から休刊していた。

復刊の発行元は、山口北州印刷。
盛岡博報堂が企画、岩手日報社など県内メディア6社が協力。
隔月発行、定価700円。
県内の書店などで販売。
問い合わせは、スタンダード編集部(019・646・8111)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100411_5

オルニチン 継続使用で肝機能改善 ストレス軽減にも有効

(2010年4月10日 毎日新聞社)

昔から、シジミは肝臓によいと言われてきた。
シジミには、オルニチンというアミノ酸が多く含まれる。
オルニチンが、肝臓の働きをよくすることが
いろいろな試験で分かってきた。
どんな効果が期待できるのか?

島根県に次ぐヤマトシジミの産地、青森県。
地場産業の育成を目指す、
県産業技術センター工業総合研究所の内沢秀光・環境技術部長らは、
シジミが肝臓によいと言われてきた根拠などを研究。
シジミにオルニチンが含まれていることは、以前から知られていたが、
どういう状態で多いのか、他の貝類との違いは知られていない。

10年以上にわたる研究の結果、同じ貝類でもハマグリやアサリ、
ホタテには、オルニチンはほとんど含まれていないと分かった。
内沢さんは、「昔の人の観察眼は鋭かった」と感心。

オルニチンは、シジミの身に含まれるが、煮出すと水に溶け出してくる。
シジミ汁なら、汁を吸うことでオルニチンを摂取できる。

水に溶けたシジミエキス(オルニチン含有)は、
肝臓の働きにどう影響するのか?
内沢さんらは、地元の病院の協力を得て試験を行った。

肝機能の異常を知る指標として、健康診断でおなじみの
γ-GTPやGOTなどがある。
その数値が高いと、肝臓の機能が正常でないことを示す。

内沢さんらは、γ-GTPが1000を超える41歳の男性に、
粉末シジミエキス入りカプセル6錠(計約1・2g、シジミ約50個分)を
20週間摂取。
その結果、摂取して4~6週間後にγ-GTPが半分の約600に下がり、
12週間後に376、20週間後には258まで下がった。

γ-GTPが281の38歳男性でも、12週間後に124、
20週間後に94に下がった。
同様の試験を計10人で行ったところ、γ-GTPが60以下の人には
あまり変化はなかったものの、150以上の人では数値が改善。
途中からオルニチンの量を倍の12カプセルにしても、
効果はあまり変わらなかった。

1日どれくらい摂取すればよいのか?
内沢さんは、「シジミエキスはあくまで食品なので、
どれくらいで効果があるとは言えない」と前置き、
「試験結果からは、1日約1・2gが一つの目安かもしれない」

不思議なことに、シジミを冷凍すると、オルニチンの量が
約5~8倍に増えることも分かった。
死んでしまうと増えないことから、生きているシジミは
環境の温度に応じて、オルニチンを増減させている。

オルニチンの効果が期待できるのは、肝機能の改善だけではない。
津田彰・久留米大学教授(心理学)らは、飲酒習慣があり
疲れ気味の勤労者42人を対象に、オルニチン(1日400mg)を
8週間摂取、偽食品(プラセボ)の摂取群と比較する試験を行った。

その結果、オルニチンの摂取グループは、血液に含まれる
抗コルチゾールホルモンが相対的に増えることが分かった。
疲れの度合いを点数化したスコア評価で、
朝の目覚めがすっきりし、落ち込みの気分が改善。
疲れの改善やストレスの軽減にも、オルニチンが有効なことを示唆。

飲酒した翌日に、疲労感が減っているかどうかを調べた試験も。
堀内正久・鹿児島大学大学院准教授(環境医学)らは、
酒を飲むと顔が赤くなるタイプの16人を、
オルニチン(1日1回1600mg)摂取群とプラセボ摂取群の
2群に分け、効果を比べた。

この調査では、オルニチンを1回摂取しただけでも、
翌日の疲労が軽くなるなどの体感効果が表れた。
結果は、動物実験でも裏付けられた。
堀内さんは、「オルニチンは肝臓の代謝機能を上げ、
脳のエネルギーである糖やケトン体の産生を高めることで、
脳の疲労感を軽減しているのではないか」
………………………………………………………………
◇オルニチン

食べものから摂取したオルニチンは、腸で吸収されて
肝臓などに運ばれ、アンモニアの解毒やエネルギーの生産、
たんぱく質の合成などに寄与。
アミノ酸の多くは、たんぱく質の材料となるが、オルニチンは、
「遊離アミノ酸」といって、たんぱく質を構成することなく、
血液に溶け込んだ形で体をめぐる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/12/118808/

ヒト染色体操作 新技術、がん原因解明に有効

(2010年4月12日 読売新聞)

県立成人病センター研究所(滋賀県守山市)は、
ヒトの染色体の組みかえを簡単に操作できる技術を開発、
米国科学雑誌オンライン版で発表。

研究所は、「染色体の異常で起こるがんなどの病気の
原因解明に役立つ可能性がある」

研究グループの植村宗弘氏(遺伝子研究部門)によると、
新技術はノーベル化学賞を受賞した下村脩博士が発見した
蛍光たんぱく質を応用。

酵素の作用によって、2本の染色体が交差して組みかわる現象
「転座」が起こると、細胞が光って観察しやすくなり、
光る細胞の割合を測定すれば、転座の起きやすさが
遺伝子の場所や細胞の種類によって、
どう違うのかを調べることができる。

がん細胞では、染色体の異常が頻繁に起きているが、
構造異常の原因などはわかっておらず、
研究所は、「開発した技術を用いて、がんの新しい診断や
治療の開発につなげたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/12/118861/

社説 外国人看護師 締め出し試験の愚かさ

(2010年4月15日 毎日新聞社)

経済連携協定(EPA)に基づき、インドネシアとフィリピンから
来日している受験生が、初めて看護師国家試験に合格。
ただし、わずか3人。
両国の受験者は254人、合格率は1・2%。

日本人の合格者は、約9割に上る。
外国人受験生にとっての壁は、難解な漢字や専門用語。
本当に看護師の仕事に必要なのか?
わざと締め出そうとしているようにしか思えない。

関税を撤廃し、貿易の活性化を目指す枠組みが
自由貿易協定(FTA)で、これに投資や知的財産保護を加えた
幅広い自由化のルール作りをするのがEPA。

インドネシア人候補者は08年8月から、フィリピン人は
09年5月から受け入れ始め、これまでに看護師候補約360人、
介護福祉士候補約480人が来日。

看護師候補者は、半年間の日本語研修を経て、
病院で働きながら国家試験の勉強をする。
期限は、3年間で3回の受験機会に合格すれば、
日本で働き続けることができる。

試験は今年で2回目、昨年は82人全員が不合格。
第1陣は、来年の試験に不合格だと帰国しなければならない。
自国では看護師資格のある人々なのに。

試験問題の文中には、「誤嚥」、「臍動脈」、「塞栓」、「喉頭蓋」、
「喘鳴」、「落屑」などの難しい漢字がたくさん登場。

どうしても必要ならば仕方がないが、「眼瞼」は「まぶた」、
「褥瘡」は「床ずれ」に言い換えた方が患者もわかるし、
医療現場でも便利ではないか。
「創傷治癒遅延」は、「傷の治りが遅い」ではだめか。
「腹臥位」、「半坐位」、「仰臥位」、「砕石位」は、
診察や治療の際に患者に取ってもらう姿勢だが、
イラストを付けるとわかりやすくなる。

医学用語である「企図振戦」は、
intention tremorという英訳を付けてはどうか。
日本人の受験生も、こうした業界用語を習得する勉強に
時間を費やしているのだろうか。

患者とのコミュニケーションや医療事故を起こさないスキルの
獲得に励んだ方が有益ではないか。
患者や第三者の監視の目を立ち入らせないようにする
閉鎖性が、こういうところに表れるのではないか。

形式的な公平だけでなく、実質的な公平を実現しなければ
ならないことを「合理的配慮義務」という。
国連障害者権利条約などにある概念で、障害や宗教、
人種などによる目に見えない障壁を取り除くために用いられる。

看護師を目指す外国人に対する日本の国家試験は、
まったく合理的配慮に欠けている。

高齢化が急速に進んでいく一方、就労人口は減っていく。
外国人看護師にたくさん来てもらわなければ困るのに、
いったい何を考えているのか。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/15/119033/