2010年4月24日土曜日

インタビュー・環境戦略を語る:ザ・ボディショップ ソフィー・ギャスペルマンCEO

(毎日 4月19日)

世界64カ国に2500店舗を展開する英国の化粧品専門店
「ザ・ボディショップ」の企業理念は、環境保護。
天然原料を安定調達するため、貧困地域の農家と
公正な価格で取引し、生産方法も支援するなど、
独自の取り組みを展開。
日本出店20周年を記念して来日した
ザ・ボディショップインターナショナルの
ソフィー・ギャスペルマンCEOに聞いた。

--環境保護に取り組む理由は?

◆1976年創業時から、環境保護に目を向けてきた。
創業者の故アニータ・ロディックは、ビジネスと社会的貢献を
両立させるべきだ、という強い信念。
化粧品の開発過程で行われていた動物実験の反対など、
当時の業界では画期的なコンセプトを掲げた。
89年、森林伐採防止を訴えるキャンペーンを実施、
店頭で署名を集めてブラジル大使館に届けた。
01年、グリーンピースとともに、風力や太陽光など
再生可能エネルギーの使用を訴え、160万人の署名を集め、
国際会議に提出。
環境保護への取り組みは、企業のDNAであり、ブランドの強みに。

--原料の調達で、独自の仕組みを採用。

◆昨年発売した香水の原料に使用しているアルコールは、
南米エクアドルで収穫されたサトウキビからしぼっているが、
単に原料として購入するのではなく、生産方法にも深く関与。
農家には、化学肥料を使わず、収穫を手作業でやってもらっている。
水処理システムや教育設備の導入のお手伝いも。

--なぜか?

教育や情報の不足のため、化学肥料を乱用し、
過剰に森林伐採して、環境汚染を招くことも。
こうした事態を防ぐため、当社は、支援を必要とする貧困地域と
公正な価格で、持続性ある取引関係を築いている。
「コミュニティートレード」と呼び、20カ国・2万5000以上の
生産者から原料を直接購入。
全原料の1割以上をこうした取引で調達し、店頭に並ぶ製品の
約7割に、何らかの形で配合。

--容器も再生可能な素材。

◆もともと店頭で空容器を回収したり、詰め替えできる製品の
販売をしたりしてきたが、日本で自治体のリサイクル体制が
整ってきたことから、容器に再生プラスチックを使うことに
力点を置いている。
配合率は、03年には30%、08年は100%の商品も投入。

--今後の目標は?

倉庫や事務所、店舗のCO2排出量を、15年に09年比で
半減させる目標を検討。
エネルギー効率の高い電球を導入したり、再生エネルギーを
使うことなどで高い目標に挑戦したい。
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◇Sophie Gasperment

85年、化粧品の世界最大手、仏ロレアルに入社。
英国子会社CEOを経て、08年6月から現職。45歳。
日本での経営は、イオンの子会社が行っている。

http://mainichi.jp/select/science/news/20100419ddm008020027000c.html

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