2010年4月20日火曜日

全国学力テスト(10)お茶の水女子大 耳塚寛明副学長に聞く

(読売 4月15日)

今回の連載では、主に学校現場が、全国学力テスト(学テ)で
得た結果を、どのように学習指導に役立てているかを報告。

今年度から抽出方式に切り替わるため、参加しない学校では、
その検証と改善のサイクルが途切れてしまう。
4回目の実施が20日に迫る中、学テが果たしてきた意義や課題、
今後の展望などを、学テの設計や検証にかかわった
耳塚寛明・お茶の水女子大学副学長(教育社会学)に聞いた。

「ほとんどの学校が学テの結果を受け止め、
それぞれの方法で、学力向上に生かしたことは高く評価したい」

教育の世界は、結果がどうであれ、
その過程で努力していれば、称賛されがち。
学テの導入で、成果に基づく評価とデータによる
検証の流れができた意義は大きい。

都道府県間の学力格差が縮小している反面、
同じ都道府県内でも、学校間格差は大きいことがわかった。
背後に、高所得の家庭の子どもほど、学力が高い関係があることも、
耳塚副学長らが国の委託で行った研究で明らかに。
そうした検証結果を、国や自治体は教育施策に生かさなかった。

「正答率が低迷している学校に、ヒト・モノ・カネを優先的に投じ、
子どもの学力を保障するべきなのに、
学校の序列化を懸念するあまりデータを伏せ、
議論も起こさなかった。
『低迷は、学習指導が問題』とし、学校の尻をたたくだけの
自治体が多かった。
学テを評価するとしたら、50点」と、批判。

全員調査から抽出調査に変わると、
学校別データがそろわなくなる。
学校間格差を縮小する、チャンスの喪失を意味する。

「抽出方式への移行は、国の予算節約が優先した結果。
何のために行うのか、目的について議論を深めず、
見切り発車した今年度の学テは、中途半端に終わる可能性が強い」

抽出方式になった今回の学テに、抽出から漏れた学校の
約6割が自主参加することについて、
「正直、驚いた。
参加を望む地域住民の声が後押しした結果といえる」

今後の学テの在り方については、
「5年に1度、全員調査を実施したらどうか。
高校で行うことや、実施教科を増やすことも考えては。
都道府県も、独自にテストを実施すべきだ」などの考え。

4年目を迎え、ますます注目を浴びる学テ。
望ましい姿について、教育関係者だけに任せず、
広く議論することが求められるようだ。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100415-OYT8T00310.htm

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