2010年4月18日日曜日

オルニチン 継続使用で肝機能改善 ストレス軽減にも有効

(2010年4月10日 毎日新聞社)

昔から、シジミは肝臓によいと言われてきた。
シジミには、オルニチンというアミノ酸が多く含まれる。
オルニチンが、肝臓の働きをよくすることが
いろいろな試験で分かってきた。
どんな効果が期待できるのか?

島根県に次ぐヤマトシジミの産地、青森県。
地場産業の育成を目指す、
県産業技術センター工業総合研究所の内沢秀光・環境技術部長らは、
シジミが肝臓によいと言われてきた根拠などを研究。
シジミにオルニチンが含まれていることは、以前から知られていたが、
どういう状態で多いのか、他の貝類との違いは知られていない。

10年以上にわたる研究の結果、同じ貝類でもハマグリやアサリ、
ホタテには、オルニチンはほとんど含まれていないと分かった。
内沢さんは、「昔の人の観察眼は鋭かった」と感心。

オルニチンは、シジミの身に含まれるが、煮出すと水に溶け出してくる。
シジミ汁なら、汁を吸うことでオルニチンを摂取できる。

水に溶けたシジミエキス(オルニチン含有)は、
肝臓の働きにどう影響するのか?
内沢さんらは、地元の病院の協力を得て試験を行った。

肝機能の異常を知る指標として、健康診断でおなじみの
γ-GTPやGOTなどがある。
その数値が高いと、肝臓の機能が正常でないことを示す。

内沢さんらは、γ-GTPが1000を超える41歳の男性に、
粉末シジミエキス入りカプセル6錠(計約1・2g、シジミ約50個分)を
20週間摂取。
その結果、摂取して4~6週間後にγ-GTPが半分の約600に下がり、
12週間後に376、20週間後には258まで下がった。

γ-GTPが281の38歳男性でも、12週間後に124、
20週間後に94に下がった。
同様の試験を計10人で行ったところ、γ-GTPが60以下の人には
あまり変化はなかったものの、150以上の人では数値が改善。
途中からオルニチンの量を倍の12カプセルにしても、
効果はあまり変わらなかった。

1日どれくらい摂取すればよいのか?
内沢さんは、「シジミエキスはあくまで食品なので、
どれくらいで効果があるとは言えない」と前置き、
「試験結果からは、1日約1・2gが一つの目安かもしれない」

不思議なことに、シジミを冷凍すると、オルニチンの量が
約5~8倍に増えることも分かった。
死んでしまうと増えないことから、生きているシジミは
環境の温度に応じて、オルニチンを増減させている。

オルニチンの効果が期待できるのは、肝機能の改善だけではない。
津田彰・久留米大学教授(心理学)らは、飲酒習慣があり
疲れ気味の勤労者42人を対象に、オルニチン(1日400mg)を
8週間摂取、偽食品(プラセボ)の摂取群と比較する試験を行った。

その結果、オルニチンの摂取グループは、血液に含まれる
抗コルチゾールホルモンが相対的に増えることが分かった。
疲れの度合いを点数化したスコア評価で、
朝の目覚めがすっきりし、落ち込みの気分が改善。
疲れの改善やストレスの軽減にも、オルニチンが有効なことを示唆。

飲酒した翌日に、疲労感が減っているかどうかを調べた試験も。
堀内正久・鹿児島大学大学院准教授(環境医学)らは、
酒を飲むと顔が赤くなるタイプの16人を、
オルニチン(1日1回1600mg)摂取群とプラセボ摂取群の
2群に分け、効果を比べた。

この調査では、オルニチンを1回摂取しただけでも、
翌日の疲労が軽くなるなどの体感効果が表れた。
結果は、動物実験でも裏付けられた。
堀内さんは、「オルニチンは肝臓の代謝機能を上げ、
脳のエネルギーである糖やケトン体の産生を高めることで、
脳の疲労感を軽減しているのではないか」
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◇オルニチン

食べものから摂取したオルニチンは、腸で吸収されて
肝臓などに運ばれ、アンモニアの解毒やエネルギーの生産、
たんぱく質の合成などに寄与。
アミノ酸の多くは、たんぱく質の材料となるが、オルニチンは、
「遊離アミノ酸」といって、たんぱく質を構成することなく、
血液に溶け込んだ形で体をめぐる。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/12/118808/

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