2010年9月11日土曜日

「音楽を治療に」こども医療センターでコンサート

(2010年8月31日 読売新聞)

世界的指揮者で、フランス国立リヨン歌劇場の
首席指揮者を務める大野和士さん(50)が、
横浜市南区の県立こども医療センターで、
「こころふれあいコンサート」を開催、同センターで治療する
子どもや家族など、約150人が一流の演奏に聞き入った。

大野さんは、同市で幼少時代を過ごし、現在は1年のうち
約11か月を海外で過ごす。
2008年からは日本で過ごす夏場、
「音楽を治療に役立ててほしい」と、住友生命保険の協力を得て、
全国の小児科のある病院など、
三十数か所で演奏を行ってきている。

この日は、1階ロビーに作られた特設会場で、
大野さんのピアノ伴奏に合わせ、ソプラノやテノールなど
4人の歌手が、本格的なオペラや童謡など9曲を歌い上げた。

最前列で聴いていた篠原美緒ちゃん(6)は、
「間近で見る演奏は、迫力があった」とうれしそう。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/31/124781/

若者同士で「性」語ろう NPOが学校などで啓発イベント

(2010年8月29日 毎日新聞社)

HIV感染者が年々増加傾向だが、検査や相談は減っている。
性交開始年齢が早まるなか、同世代で語り合う
啓発運動が広がってきた。

この夏、10代に人気のギャルモデルたちが学校などを訪れ、
同世代と一緒に性について学ぶ
「愛です!EDUCATIONキャンペーン」がスタート。

ラジオ番組から始まり、学校現場でタブー視されがちな
性感染症や避妊について、率直に語り合う。

渋谷のファッション系専門学校の一室に、女子生徒12人が集まった。
みんな小麦色の肌に金髪、マスカラメーク。
ギャルモデル4人も加わり、車座になった。
講師は、HIV感染者を支援するNPO法人「ぷれいす東京」の
池上千寿子代表(63)。

「セックスで感染する病気は?」、
「体がおかしいと思ったら何科の病院に行く?」。
質問に、生徒たちが照れながら答えていく。
池上さんは、感染予防や避妊のため、
「コンドームを必ず使って」と強調しつつ、
「失敗しても、人生終わりじゃない。
立ち直れることも覚えておいて」と付け加えた。

モデルのLieさん(25)は、生徒たちに呼びかけた。
「私も10代の時、(コンドームを)着けなくていいと思っていた。
自分を大事にするために自分で持ち、彼氏に『着けて』と言える
カッコイイ女になろうよ」

最後は、モデルと生徒の記念撮影。
参加した生徒(18)は、「同世代のモデルは親近感があり、
話しやすかった。友達が(陰部が)かゆいと言っていたけれど、
放置しちゃってる。今日学んだことを教えてあげます」

エフエム大阪の小野田敦乙プロジェクトプロデューサー(37)は、
「性の話は、今の子にはタブーではない。
オープンに話す環境が必要」。
Lieさんたちは、今後も各地の学校などを回る。

NPO法人「HIVと人権・情報センター」は、
若いボランティアが同世代の参加者との共感を大事にしつつ、
HIVやエイズの正しい知識を伝える
「ヤング・フォー・ヤング・シェアリング・プログラム」(YYSP)を続けている。
98年に始まり、これまでに6万人以上が参加。

今年6~7月、大阪市のラジオ放送局「FM802」が、
関西の大学や高校にディスクジョッキー(DJ)を派遣する形で、
このプログラムを実施。
同NPO全国事務局の大釜正希さんは、
「初めてHIV検査を受けた時の感想やパートナーとの関係など、
人気DJの『生の声』が生徒たちの心に響いているようだった」と
手応えを感じている。
……………………………………………………………………
◇思春期・FPホットライン

日本家族計画協会の思春期保健相談士が、電話で緊急避妊や
性の相談を受ける。
月~金曜の10~16時(祝日除く)。電話03・3235・2638。

◇ティーンズカフェ

毎週木曜9時~19時半、主婦会館プラザエフ。
産婦人科医の堀口雅子さんが相談に応じる。
無料。要予約(電話03・3265・8119)。

◇YYSP

全国で開催。
依頼、問い合わせは、HIVと人権・情報センター東京支部
(電話03・5259・0622)。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/30/124666/

今も受け継ぐ慈愛の心 マザー・テレサ生誕百年

(2010年8月27日 共同通信社)

インド東部コルカタで、貧しい人々に献身し、
「スラムの聖女」と呼ばれた故マザー・テレサ。
26日、生誕100年を迎えた。

テレサが設立した、重体患者らが住む「死を待つ人の家」では、
穏やかな最期を迎えられるよう、テレサから受け継いだ
慈愛の心で、ボランティアが患者の世話を続けている。

「キー、キャー」。
死を待つ人の家で、悲鳴とも断末魔の声ともつかぬ大声が響いた。
ある老人が唯一動く右腕で、「こっちへ来い」と、
短期ボランティアを務める記者を呼んだ。
上半身を起こして、コップで水を飲ませると、
ほっとしたように横になって目を閉じた。

死を待つ人の家には男性約30人、女性約25人が、
病院のストレッチャーのような寝台に寝かされている。
土色の顔で、ぐったりして動かない老人。
文字通り全身、骨と皮にやせ細った男性。
世話役のカトリック教会のシスターたちは、
患者の病状を明かさないが、重体であることは一目瞭然。
路上で倒れていたり、家族から見放されたりした人々が運ばれてくる。

寝たきりのビシュワシュさんに頼まれて、腕や足をさする。
「患者は、他人に触れられていることで、孤独ではないと安心する」
長年、ボランティアを続けるアイルランド人男性が説明。

壁には、青い縁取りのある白いサリー姿のマザー・テレサの写真。
天井から、いくつもの白と青色の風船がつり下がる。
気温33度。ファンが回るが蒸し暑い。

インド人スタッフがひつぎを担架に乗せて、外に運び出した。
「別の棟で、誰かが死んだ」と患者のラムさん(42)が教えてくれた。
明日の命は分からぬ、死と隣り合わせの患者たち。

死を待つ人の家では、食事や用便、洗濯など患者たちの世話は
ボランティアが担っている。
40代のイタリア人女性は、夏休みの3週間をここで働く。
スロバキアの男子学生や台湾の女子学生の姿も。
東京都の男性教師、大塚圭さん(30)は、
「言葉が通じないので戸惑う」、手足の不自由な患者に食事をさせたり、
用便の始末を懸命に続けている。

死を待つ人の家を一歩出ると、路上にも横たわる老人や裸の子ども、
物ごいの人々。
街の様子は、テレサの生前とそれほど変わっていない。

旅行代理店経営のパラス・ドゥイベディさん(54)は、
「誰もがテレサのように献身できるわけではないが、
貧しい人に各自ができることしたらよいのでは」。

※マザー・テレサ

1910年8月26日、アルバニア人を両親として、
現在のマケドニア・スコピエに生まれる。
17歳の時、貧しい人々に一生をささげる決心をし、その後インドへ。
「貧しい人々の中でも、最も貧しい人たちに仕えるように」との
神の啓示を受け、インド女性の着る質素なサリー姿で、
コルカタのスラムで活動。
「死を待つ人の家」、「孤児の家」などをつくった。
修道会「神の愛の宣教者会」を設立、貧しい人々に献身する活動は、
インドから世界中に広まった。
79年、ノーベル平和賞。
97年9月に死去、インドで国葬が営まれた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/27/124586/

インサイド:ユース五輪 未来への礎/1 関心低い国内メディア

(毎日 8月31日)

IOCが新設した、若者の祭典「第1回ユース五輪夏季大会」が、
13日間の日程を終え、26日に閉幕。

勝敗よりも、選手の教育、文化交流に軸足を置いた大会は、
勝利至上主義やドーピング(禁止薬物使用)のまん延など、
現在の五輪が抱える課題に向き合う一歩でもある。

若者のスポーツ離れを食い止め、五輪本来の価値を取り戻せるか?
未来のオリンピアンを育てるユース五輪の実情に迫った。

閉会式で、IOCのジャック・ロゲ会長は選手たちに、
誇らしげに語りかけた。
「君たちはスポーツと教育、文化交流を融合する挑戦を見事に遂行した。
単なる勝者ではなく、真のチャンピオンになるとは、
どういうことかを学んだ。
君たちは今、『若きオリンピアン』の称号を手にした

◆ロゲ会長「大成功」

大会組織委員会は、約32万人が観戦、約1750人の
報道関係者が取材に訪れた。

開閉会式のチケットはすぐに売り切れ、陸上、競泳、体操など
人気競技の会場は盛況。
スポンサー獲得も77社にのぼり、ロゲ会長は
「予想をはるかに上回る成功」とアピール。

IOCのジルベール・フェリ五輪統括部長は、
18年以降の(夏季)大会には、少なくとも17カ国が開催に
関心を示している。
米国オリンピック委員会とも話をした」

米国は、今大会の参加辞退をちらつかせていた。
選手を閉幕まで選手村に滞在させ、文化・教育プログラムに
参加させるIOCの方針に対し、他の国際大会との日程調整から
難色を示していたのだ。

その米国の態度の変化は、すべてが手探り状態だった
大会の評価の変化を物語っていた。

本格的に競技がスタートした15日。
トライアスロン女子で、歴史的な大会第1号金メダルを獲得したのは、
佐藤優香(18)=トーシンパートナーズ・チームケンズ=。

大会中は、地元市民や外国の選手から握手やサイン攻めにあい、
テレビの取材も相次いだ。
佐藤は、「スーパースターになった気分」と照れ笑い。

◆日本はTV中継もなし

こうした現地の盛り上がりは、日本にはあまり伝わらなかった。
テレビでは、開閉会式の様子を含め、大会中の中継はなし。
IOCによると、166カ国・地域がテレビ放映権を取得、
日本だけが空欄のまま。

従来の五輪は、NHKと民放で構成するジャパンコンソーシアム(JC)が
IOCと契約、今回は放映権獲得に乗り出さなかった。

NHKの広報担当者は、「8月は全国高校野球や中学、高校の
総合体育大会の中継があり、総合的に判断。
ニュース番組の中では、状況に応じて報道するように努めている」

大会前に各局を回って、テレビ中継を依頼した
日本オリンピック委員会の竹田恒和会長は、
「いろいろと頼みに行ったが、残念。
知名度がない『これからの選手』は、ネームバリューがなくて
難しいと言われた」と渋い顔。

五輪評論家の伊藤公さんは、「結局、日本はトップ選手の
勝ち負けしか報道しない。基準を改める時期にきているのでは」

ユース五輪が閉幕した26日、国内では文部科学省が
今後のスポーツ政策の方向性を示す「スポーツ立国戦略」を発表。
五輪でのメダル獲得目標を掲げ、「国際競技大会などにおける
日本人選手の活躍は、国民の意識を高揚させ、
社会全体の活力となる」などと記している。
依然、メダル獲得が国家の存在感を高めるという視点は変わっていない。

ロゲ会長は、選手村を訪れた際、
「私は、国家間のメダル争いに興味はない。
国と国との争いではなく、個人が競い合う大会なんだ」。

ユース五輪の理念を浸透させるには、まだ時間が必要だ。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20100831ddm035050081000c.html

2010年9月10日金曜日

医療通訳 基準作り急務、外国人増え 高まるニーズ…京都

(2010年8月27日 読売新聞)

医療通訳を養成、派遣しているNPO法人
「多文化共生センターきょうと」(京都市)が、他県のNPO法人、
財団法人、医療関係者などと協力し、共通して活用できる
通訳基準作りを進めている。

日本で暮らす外国人の増加に伴い、医療通訳のニーズが
高まっているが、医療通訳に公的な資格制度はなく、
各団体などが独自に養成しているのが実情。
基準を「目安」にすることで、
通訳の質やレベルの向上を図るのが狙い。

医療通訳は、日本語が不自由な外国人が医療機関で受診する際、
病状や治療の説明などを通訳し、意思疎通を助ける。
人材育成は、民間団体などが養成講座や学習会を開くなどして
独自に取り組んでいるほか、一部の語学学校も行っている。

京都市内では、「医療通訳を考える全国会議」が開かれた。
「多文化共生センターきょうと」とNPO法人
「多言語社会リソースかながわ」が、
事前に作成した基準の素案を提示。

素案では、求められる知識として、患者の国や地域ごとの宗教や文化、
医療制度の違い、病気になった時の人間の心理などを列挙。
医療面では、体の器官や、一般的な病気と症状に関する用語、
医師や看護師など、従事者の種類や役割についての知識を
身につけることとした。

倫理面でも、患者情報の守秘義務の徹底や、通訳するに際して
自分の価値観や主観を交えないことなどを求める内容。

参加したNPO法人や国際交流協会、病院など11団体からは、
「基準があるとやりやすい」、「通訳をしてもらう時に
ニュアンスが違うことがあり、最低ラインは必要」など、
基準作りに賛同する意見が大勢を占めた。

今後、関係者で素案をベースに必要な修正を加え、
10月中旬頃に共通基準を策定。
多文化共生センターきょうとのホームページなどで公表する予定。

同センターの重野亜久里代表は、
「個人的に通訳する人や、通訳を活用する病院関係者なども
基準を活用してくれれば。
医療通訳が、職業として認知されるための活動も続けたい

法務省によると、2009年末の外国人登録者数は219万人。
この年、旅行なども含め、入国した外国人は約758万人。
外国の富裕層に、日本の医療、検診と旅行をセットで提供する
「医療ツーリズム」も注目、医療通訳の必要性は高まっている。

医療通訳士協議会長の中村安秀・大阪大教授は、
「今後、医療ツーリズムが普及すれば、
旅行者専門の医療通訳者が生まれ、地域の人たちをケアする
通訳者とダブルスタンダード(二重基準)になるおそれも。
前もって、統一的な基準を作っておくべきだ」と提言。

医療通訳は、誤訳があると医療事故につながりかねず、
大きな責任を担っているが、多くがボランティアに
支えられているのが現状。
医療通訳の派遣や養成を支援する自治体は、
今はまだ神奈川県や京都市などに限られ、
資格制度の創設を含め、国や自治体のさらなる支援が求められている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/27/124614/

インタビュー・環境戦略を語る:三菱商事・小島信明常務執行役員

(毎日 9月6日)

三菱商事は、総合商社として地球環境事業に力を入れている。
12年度までの中期経営計画では、
地球環境事業を全社的な重点戦略分野と定め、
3年間で約3000億円を投資。
新設された地球環境事業開発部門最高経営責任者(CEO)、
小島信明常務執行役員に話を聞いた。

--重点戦略分野に定めた背景は?

◆世界の人口は、50年に90億人に達すると言われ、
特に途上国でエネルギー資源や水、電気の需要が増えるが、
そのインフラの整備と環境保護の両立が課題。

インフラ整備や新エネルギー事業は、安定した収益基盤として
将来の成長が期待、持続可能な社会の実現に貢献できる。
成果が出るまでに時間がかかる事業も多いので、
中長期的な視点で取り組むことに。

--特に力を入れる分野は?

◆太陽熱、太陽光、風力発電などの新エネルギー事業、水事業、
リチウムイオン電池事業など。
4月、GSユアサなどと共同で、電気自動車向け
リチウムイオン電池工場の増設を決定。
7月、タイで世界最大級となる7・3万kwの発電容量を持つ
太陽光発電事業に参画することを決めた。

--環境事業における商社の強みとは?

◆三菱商事は、世界各国に約200の拠点があり、
多くの事業パートナーがいる。
その蓄積を基盤とし、世界各国で原料調達から設備の運営・保守まで
一貫してできるのが強み。
太陽光発電では、パネルなど部材の調達、設置場所の選定、
設備の建設、運営までかかわっている。
リチウムイオン電池事業では、リチウム資源権益の取得から参画。

--温室効果ガスの排出量取引にも参画している。

単なる排出量の売買ではなく、京都議定書の発効前から
温室効果ガスの削減につながるプロジェクト開発に力を入れる。
中国山東省のフロン処理事業など、世界各国に社員が散って
企業や工場に温室効果ガス削減に必要な設備や技術を紹介、
導入して排出量の登録などを行う。

京都議定書に基づいて、国連が認定するクリーン開発メカニズム(CDM)
の排出量の登録件数は48件。
削減量は仏、イタリア企業に次いで世界3位。

--今後の戦略は?

◆10年以内に、いくつかの新エネルギーは
化石燃料より低コストになる。
蓄電技術の進歩や大量生産、スマートグリッドの発達で、
大きな変化が起こってくる。

太陽光や風力の発電能力は、地理的要因に左右され、
条件の良い土地は限られている。
土地の確保を含め、今後も世界各地で、多数のプロジェクトに
取り組んでいきたい。
==============
◇こじま・のぶあき

早稲田大法学部卒。74年、三菱商事入社。
イラン三菱商事社長、新エネルギー・環境事業本部長などを経て、
今年4月から現職。59歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/09/06/20100906ddm008020026000c.html

実感する理科(10)実験・自然教室で好奇心

(読売 9月2日)

実験室の照明を消すと、光ファイバーの先端だけが
赤や緑色に光って浮かび上がった。
「わーっ、花火みたい」、何本も束ねて光の点が集まった姿を見て
歓声が上がった。「触っても熱くないよ」。

小学生約20人は、光ファイバーを使って7色に光る花を作る実験を通して、
インターネットに使われている先端技術をちょっとだけ理解。

早稲田大学西早稲田キャンパスで開かれた、
小中学生のための科学実験教室「ユニラブ」。
「科学って楽しい、という思いから、興味を持つきっかけに」と
始まった取り組みは、今年で23回目。
理科離れを防ぎ、将来の学生確保につなげたい、という
大学の思惑があるが、夏休みの自由研究にもなるとあって
毎年盛況。

今回は、光ファイバーのほか、「シャボン玉の秘密を探ろう」、
「人力冷蔵庫」など25種類の実験が用意、約1000人が参加。
バイクのエンジン開発を行う研究室では、
ガソリンが爆発してピストンを押すエンジン模型を間近で見学、
バリバリという爆音に圧倒。

受講記念に、実験の作品や「修了証」がもらえることも、
子どもにはうれしい。
参加したことで、関心や意欲が増したというデータもある。
「普段できない体験ができる」、「研究者と直接触れ合える」など、
保護者にも好評だ。

「ユニラブでのわくわく感が、研究者を志すきっかけになった、
という人もいる」、同大理工センター技術部長の羽田野新平さん(57)。

北海道長万部町で開かれた東京理科大学のサマースクールには、
高校生55人が参加。
食事付きの寮に3泊4日して、実験や野外観察を行う。
参加費無料というのも魅力。

スクールは、1年生の時だけ長万部で寮生活という基礎工学部の
生活の一端や、理系大学の様子を知ってもらうのが狙い。
開校式では、サケの遡上見学や、ジャガイモの栽培など、
様々な体験で視野を広げる教育の様子が紹介。

台風4号の影響で、有珠山の野外調査は中止となったが、
参加した女子高生(16)は、「自然を相手に、自分で自由に学習できる
雰囲気にひかれた」

長野県白馬村では、小中学生向け自然科学教室「科学の泉」が開かれた。
ノーベル化学賞の白川英樹博士を塾長に、
ソニー教育財団が開催、今年で6回目。
5泊6日の日程で、子どもが自然の中で研究課題を見つけ、
自分で考えた実験を行い、結果をまとめて発表。

教室の特徴は、ゼロから考えさせること。
指導のコツについて、白川博士は、
「子どもと一緒に不思議がること、根気強く待つこと、問いかけること」

科学実験や自然で育まれた好奇心が、
実感の伴った理解へとつながっていく。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100902-OYT8T00174.htm

遺伝子:葉緑体増やす「草薙」、立教大の黒岩特任教授ら突き止める

(毎日 8月24日)

植物の光合成に必要な葉緑体を増殖させる遺伝子を、
立教大の黒岩常祥特任教授(生物科学)らのチームが突き止めた。

光合成で油を生産する藻の葉緑体を増殖させるなど、
将来的にはバイオ燃料の増産にも応用が可能。
20日付の米科学誌「サイエンス」に掲載。

チームは、細胞内に葉緑体1個だけを持つ単細胞の紅藻
「シゾン」を使い、葉緑体が分裂して細胞が増殖する際、
リング状の組織が現れ、葉緑体を絞るようにして切っていることを
06年に発見。

今回、このリング状の組織を解析したところ、
直径7nmの糖の繊維が束になっていた。

この繊維を作り出す遺伝子を特定し、「KUSANAGI」と名付けた。
葉緑体を分断する様子から、「日本書紀」などに登場する
三種の神器の一つ「草薙剣」にちなんだ。

黒岩さんは、「リングを絞る速度を速めることで、
葉緑体を増殖させられる」

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/08/24/20100824ddm016040132000c.html

2010年9月9日木曜日

医療観光 先進県・岡山を売り込もう おいでよアジアの旅人 県もツアー支援

(2010年8月27日 毎日新聞社)

「医療観光」--。
まだ聞き慣れない言葉が、岡山県で広がりつつある。
中国の富裕層、中間層をターゲットに、人間ドックやがん検診と
観光を組み合わせて、旅行者を呼び込もうとする動き。
病院とタッグを組んだ旅行会社も参入。
県も、海外から観光客を呼び込むきっかけに、
と医療観光ツアーの支援を始めた。

◇人間ドック、がん検診と合わせ

旅行会社「シモデンツーリスト」は今年、
PET(陽電子放射断層撮影装置)検診などと京阪神観光を合わせた
ツアーを、中国で本格販売を始めた。
岡山空港と中国・大連を結ぶ便を利用して5日間の日程で、
健康診断を受け、京都、大阪などの観光地も回るというツアー。

タッグを組んだのは、がん専用の治療施設を持つ
岡村一心堂病院。
ツアーでは、「スーパードックコース」としてPET検診の他、
MRA(磁気共鳴血管撮影)などを1日半かけて受診。
値段は、4万9800元(約65万円)。

この他にも、検査項目を減らしたオプションも要望に応じて検討。
同社は、「きめ細かい対応、高い医療水準でツアーを販売したい」

医療現場は、どう受け止めているのか?
同病院では、機器の説明を英語や中国語で作ったり、
ホームページでも複数の言語で病院の説明するなど、
受け入れ準備を進めている。
「現状では、まだ利益が出るという段階ではない。
むしろ位置づけとして、国際親善だ」、と同病院の岡村一博理事長。

「日中には、戦争の歴史もある。
歴史についてはかなり考えている。
だから、国際親善なんだ。
毎月百人単位で来るというなら、利益も出る。
『医療観光』で、病院経営に大きな影響はまだ出ない。
すべてはこれからだ」

アジアからの観光客誘致に力を入れる県も、
「医療観光ツアー商品化モデル事業」に乗り出した。
県観光課は、「中国人の旅行先は、東京・秋葉原などが中心。
地方に引き寄せるために、医療先進県・岡山を売り込みたい」

県は、人間ドックを実施している県内の医療機関に、
中国人観光客の受け入れを打診、
川崎医科大学付属病院など5病院が可能。

5月、病院と旅行会社の打ち合わせ会を開催、
4社からプランの提案を受け、4社とも選定。
計160万円を支出し、報告書などを作成。

医療観光では、タイやシンガポールなどが先行。
客層が主に富裕層に限られ、窓口販売ではツアー参加者が
集まりにくいことから、同課は、「中国での人脈利用など、
ツアー参加者を集める手法も審査した」

◇薬学英語や豪の医療制度学ぶ--就実大生15人が海外研修

「グローバル化に対応できる薬剤師を輩出する」--。
就実大薬学部は今月、オーストラリア、クイーンズランド大学で
2週間の「薬学海外研修」を実施。

学部生15人が参加。
今回が初めての試みで、実用的な薬学英語の習得、
国外の医療制度を学ぶことが狙い。
学生たちは、「2週間はあっという間、積極的に交流して頑張りたい」

押谷善一郎学長は、「遠慮しないで、分からないものは分からないと言おう。
健康にも気をつけて、しっかり勉強してきてほしい」
須藤鎮世教授は、「これからの時代、薬剤師も薬の効用、
注意を英語で説明できないといけない。
薬学英語に特化しているので、しっかり勉強してほしい」と狙いを説明。

豪州では、薬学関連の講義や病院、薬局の見学も組まれている。
海外研修を基礎に、「薬学教育の日豪比較」、「豪州の結核治療」など
テーマに据えた卒業論文を考えている学生たちも。

学生たちは、既に国内の病院か薬局で研修をし、
須藤教授は、「自分たちの国内研修の経験を元にしてほしい。
医療制度や位置づけは、国によって全然違う。
豪州の制度や薬剤師の役割を考えてほしい

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/27/124621/

実感する理科(9)達人先生 先進事例学ぶ

(読売 9月1日)

フランスの核廃棄物に関する展示館、
デンマークの風力発電用の風車、
フィンランドの学習プログラムを紹介したサイエンスセンター……。

スクリーンに映し出された写真は、エネルギーや環境教育、
先進的な理科教育に関連する施設。
京都市で開かれた、全国中学校理科教育研究会。
集まった理科教師約800人を前に、
「理科の達人先生」の海外視察報告が行われた。

写真を見せながら約20分講演したのは、達人先生の一人で、
東京都練馬区立豊玉中学校の高畠勇二校長(57)。
「エネルギー問題は、国のあり方と深く結びついている。
日本は人口、気候、経済活動を踏まえて、
エネルギーを考える必要がある」と静かに訴えた。
講演後、会場の一角に張られた視察の様子をまとめた
ポスターの前で、来場者らに説明。

海外視察は、新学習指導要領に盛り込まれたエネルギーや
理科教育の先進事例を学ぶことが目的で、
7月下旬の1週間で3か国を回った。
視察前、日本の各国大使館で詳しい説明を受けるなど
予習して乗り込んだが、視察は予想以上の収穫。

訪問地の一つ、デンマークのロラン島では、風力発電施設を見学。
風車の近くに燃料電池施設があり、太陽電池も併設。
高畠校長は、「地域で使う電力消費量に見合った規模が印象的。
火力発電の燃料にわらを使うところもあり、
国に合ったエネルギーとは何か、考えさせられた」

振り返って、日本はどうだろうと考えてみると、
「自分自身、日本らしさがよく分からなかった」と苦笑い。
エネルギー問題は、社会の色々な問題と複雑に絡んでいるが、
「事実をきちんと伝える。
それを適切に判断できる能力を育てることが必要。
学校教育、特に理科でできることを実践していきたい」

今後、5人の達人先生は、機会あるごとに視察報告を行うほか、
中学3年間で、何をどのように教えるのか、
エネルギー学習プランを提案する。
学習プランを使った研究授業も重ね、現場で使えるようにしたい。
海外事例を参考に、日本らしいエネルギー教育を探る
動きが始まっている。

◆理科の達人先生

理科教育に優れた業績を上げた中学校教師を表彰するもの。
NPO法人ネットジャーナリスト協会が、今年初めて実施。
海外視察は表彰の副賞。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100901-OYT8T00199.htm

スポーツ政策を考える:森浩寿・大東文化大准教授(スポーツ法学)

(毎日 8月21日)

文部科学省のスポーツ立国戦略案は、
五つの重点戦略を掲げている。
厳しい財政状況の中で、優先順位をつけるとしたら、
一番は競技力の向上(世界で競い合うトップアスリートの育成・強化)。

オリンピックなどで日本選手が活躍すれば、
スポーツに多くの人の関心を向けさせることができる。
メダルの数を増やすだけが目的ならば、
柔道など日本が得意とする競技を重点的に強化すればいい。

だが、それでは地域スポーツを含めたすそ野は広がらない。
ナショナルトレセンを拠点にしたエリート教育も大事だとは思うが、
すそ野を広げるには長い時間がかかる。

トップスポーツと地域スポーツをリンクさせて、
「好循環」を作り出していくことが求められる。

強化のためには、ジュニアを含めた次世代のことも
考えていかないといけない。
少子化や指導者不足などで部活動が厳しい中、
次世代の育成は競技団体の責任。

競技団体が力をつけていくこと、ガバナンス(統治)能力を
高めることが、本当の意味での強化につながる。

公益法人制度改革に注目。
あるシンポジウムで、公益法人認定の条件として、
競技団体が選手選考などに関する紛争解決の仕組みを
設けることを義務付けたらどうかと提案。

スポーツに関する紛争を、迅速に解決するため、
日本スポーツ仲裁機構(JSAA)が設立、
自動受諾条項を採択している競技団体は約4割。

外部機関に委ねることに抵抗があるのなら、
自分たちで処理する仕組みを作らないと、世界では通用しない。

フランスでは、競技団体は法律によって組織のあり方が定義され、
認可されると公的な補助金を受けることができる。

ガバナンスの強化は、本来は私的自治である競技団体に対する
国の管理と関与を強めることになる、と危ぶむ人もいる。
だが、支援を受ける以上は当然、義務が生じる。
公的な存在である以上、社会のルールは守らなければならない。

一部には閉鎖的な組織もあり、スポーツをする権利を
侵害するようなことも見聞きする。
ある競技では、指導者の意向で選手の進学先が決まる。
地元の学校ではなく、指導者とつながりのある
他地区の学校に入学せざるを得ない。
その事実を、競技団体も把握していながら是正できないでいる。

公益法人改革は、書類作成をはじめ厳格な事務手続きを
求めていて、対応できない競技団体もある。

公正、公平さを実現するだけでなく、
お金の流れも透明になっていく。
ガバナンスの強化は、競技団体のあり方を変える好機でもある。
==============
◇もり・ひろひさ

1966年生まれ。日大卒。「スポーツ六法」(共編)。
日本スポーツ法学会理事、日本体育・スポーツ政策学会理事。
豪州スポーツ政策も詳しい。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2010/08/21/20100821dde035070019000c.html

フロンティア:世界を変える研究者/9 東京大医科学研究所・中村祐輔さん

(毎日 8月24日)

約30億の塩基対からなるヒトの遺伝情報。
A、T、G、Cの4文字で書かれた「生命の設計図」が、ゲノム(全遺伝情報)。
その配列には、個人差がある。

微妙な違いを見つけることで個人を特定したり、
さまざまな病気のリスクが分かる時代になってきた。

「ゲノムを理解することで、個人差に合わせた
オーダーメード医療が進む」と力説。

中村さんは、これまで1000本以上の論文執筆にかかわり、
論文が6万5000回以上引用されるなど、
急展開を見せるゲノム研究をリードする一人。

「医学は、役に立たなければ意味がない。
それを支える研究は地味だが、必ず社会のため、患者のためになる」

もともとは消化器外科の臨床医。
悪性の胃がんにかかった結婚間近の女性や、大腸がんに侵され、
子供たちを残して亡くなった父親を前に、医師として限界を感じた。

「なぜがんができるのか。
抗がん剤の副作用が人より強く出る人がいるのはなぜなのか……」
この時抱いたさまざまな疑問が、臨床から研究に転じる原動力。

84年、米国留学。
遺伝性疾患「家族性大腸腺腫症」の解明に取り組んだ。
当時は、原因遺伝子を見つけるのに欠かせない
目印(マーカー)もほとんどない状態。

中村さんは、マーカーを効率よく見つけ出す仕組みを自ら生み出す。
88年、これで見つけた多くのマーカーの場所を、
染色体上に示した「地図」が完成。
病気の解明や診断に応用できるため、他の遺伝病やがんの研究、
犯罪捜査などに広く使われるようになった。

30億対の全塩基配列を読む「国際ヒトゲノム計画」にも参加。
03年完了後、病気のかかりやすさや薬の効きやすさに
かかわる遺伝子を見つけるための基盤となる、
ゲノムの個人差をデータベース化する国際計画に、
理化学研究所のリーダーとして参加。
がん治療からがん研究、そしてたどりついたゲノム研究。

「臨床医時代に抱いた疑問が、科学的に理解でき、
診断や治療に応用できる。
ゲノムは強力な研究道具」

5~10年後、個人のゲノムが約10万円で調べられると予測。
米国は国立衛生研究所所長に、ヒトゲノム計画を率いた
フランシス・コリンズ博士を任命するなど、
ゲノム重視の姿勢が鮮明だ。

日本は、ゲノム研究の評価が低かった。
今こそ国家戦略の基本に位置付けるべきだ」と
語る視線の先には、「患者本位の医療」の未来がある。
==============
◇なかむら・ゆうすけ

52年、大阪府生まれ。77年、大阪大医学部卒。
癌研究会癌研究所生化学部長などを経て、95年から現職。
理化学研究所ゲノム医科学研究センター特別顧問、
国立がん研究センター研究所長を併任。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/08/24/20100824ddm016040129000c.html

2010年9月8日水曜日

実感する理科(8)「エネルギー」どう教える

(読売 8月28日)

テレビ、洗濯機、エアコン、冷蔵庫、掃除機……
家電製品の名前が書かれたカードが黒板にずらり。
「電気製品には熱や光、音を出すほか、運動するものも。
分類してください」

茨城県大洗町立磯浜小学校で行われた、
6年の理科「電気の利用」の授業。
「テレビは音と光」、「洗濯機は運動」など次々に答えが出るが、
「エアコンは熱?運動?」と迷う児童も。

山本恵理子教諭(42)は、電気が色々な形で
生活に役立っていることを説明した後、
原子力や風力、太陽光など発電方法まで発展。

授業で使ったのは、原子力を中心にしたエネルギー副読本と
ワークシート。

新学習指導要領では、小学校6年の「電気の利用」、
中学3年の「放射線の性質と利用」が盛り込まれたため、
文部科学省と経済産業省が、
原子力を科学的に正しく理解してもらおうと作成。

副読本は約50ページ、放射線の基礎知識やウランが
核分裂を起こして熱を出す、原子力発電の仕組みがイラストで紹介、
今春全国の小中学校に各校1冊ずつ配布。
ワークシートは現在製作中、副読本などを使った授業例も、
今年度中にサイトで公開。

この日の授業は、ワークシートを検証するために行われた。
山本教諭は、「イラストが多く、児童が理解しやすい」と
まずまずといった様子。

千葉県総合教育センターで行われた環境・エネルギー研修会。
講師に東京電力の社員を迎え、教員を指導する立場にある
同センターの所員約60人が、発電や放射線について学んだ。

手回し発電機を使った実験では、豆電球を1分間点灯させるのにも、
ハンドルを回し続けなければならない。
力を抜くと、豆電球は暗くなる。
「火力から原子力まで、発電所も手回し発電機と同じ原理。
ただ規模が大きく、常に電気を作り続けている」との説明に、
電力安定供給の大変さを実感。

同社の研修会は、もともと原発の理解促進などを目的に、
昨年度は計90回行った。
今年度は、新学習指導要領に合わせ、手回し発電機を使った
実験を取り入れ、7月末までに35回実施。

「社会に近い、実際の話を聞きたくて企画。
電気や放射線について、教科書以上によく分かった」と
同センターの大山光晴部長(52)。

身近な電気や放射線について、実感を伴って教えるには
どうすればよいのか、現場で模索が続いている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100901-OYT8T00227.htm

体内時計:簡易測定に成功 慢性時差ぼけ解消へ一歩--佐賀大・山口大

(毎日 8月24日)

頭髪やあごひげの根元についた細胞から、
24時間周期の体のリズムを刻む体内時計を動かす
「時計遺伝子」の活動パターンを、簡単に精度良く測定することに、
佐賀大と山口大などの研究チームが成功。

体内時計の乱れは、体調不良や高血圧、糖尿病などの
病気の発症にかかわるため、病気の治療や予防、
時差ぼけの解消などへの応用が期待。
24日付米科学アカデミー紀要で発表。

時計遺伝子は20個ほどあり、体のすべての細胞内に存在。
これまで、血液や口の中の粘膜の細胞で測ろうとしてきたが、
手法が煩雑で精度も低かった。

明石真・山口大教授(時間生物学)らは、
体毛を引き抜くと、根元についてくる毛包細胞に着目。

時計遺伝子が、たんぱく質を作る過程でできる物質(伝達RNA)の
増減を測定すると、三つの遺伝子で24時間周期の
明確な変動パターンがあった。

量が最も多いピーク時刻は、早起きの人で早いなど
個々の生活習慣に対応するほか、生活リズムの変化にも連動し、
同じ人が3週間かけて起床を4時間早めると、
ピークも約3時間早まった。

時計遺伝子の増減が、高血圧や血糖値などの変動に、
どのように関連するかは今後調べていく。
自動車部品工場で、早番と遅番を1週間ごとに繰り返す
20~30代の男性6人について調べると、
生活リズムは約7時間ずつ前後にずれるのに対し、
体内時計は2時間ほどしか変化せず、
慢性的な時差ぼけになっていることが分かった。

明石教授は、「労働環境の改善や、体内時計の乱れが引き起こす
病気の予防・診断に役立てたい

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/08/24/20100824ddm002040110000c.html

インタビュー・環境戦略を語る:セディナ・浜芳樹副社長

(毎日 8月30日)

オーエムシーカード、セントラルファイナンス、クオークの3社が合併、
昨年4月に誕生したセディナ。

旧オーエムシーカード時代、環境保護活動・研究を寄付金で
支援する「地球にやさしいカード」の発行を始め、来年で20周年。
消費低迷など、クレジットカード業界の経営環境が厳しくなる中、
環境問題にどう取り組んでいくのか、浜芳樹副社長に聞いた。

--「地球にやさしいカード」の20年の実績を教えて。

◆「普通に使うだけで、地球のために寄付できる」をコンセプトに、
91年に発行を始めた。
会員のカードショッピングの利用額のうち0・5%が、
当社の負担で環境保護団体などに寄付される仕組み。

09年度末、カード会員数は2万783人、
寄付金の累計額は5億7000万円、
業界でも先駆的役割を果たしたと自負。

--会員に支持された点は?

環境問題別に14種類のカードがあり、関心の高いテーマを
寄付先に選ぶことができる。

東京農業大学・砂漠に緑を育てる会、
尾瀬国立公園で啓発活動などを行う「尾瀬自然保護ネットワーク」、
アフリカ象保護に取り組む「トラ・ゾウ保護基金」、
サンゴの保全を目指す沖縄大学地域研究所--など、
各団体の活動実績は年に1度、会員に報告。

自分のカード利用額が環境保護にどう生かされたか、
目に見える点が評価。

--業界初の環境をテーマにしたゴールドカードの発行を始めた。

◆利用額の0・1%が、環境保全団体に寄付されるだけでなく、
屋久島や白神山地へのエコツアー、環境保全型商品の購入案内など、
会員限定の体験型プログラムを充実させたのが特徴。

「地球と手をつなぐ」という意味で、「アクシュ」と名付け、
表は金色、裏は緑色にし、使うたびに地球環境問題への意識を
高めてほしいという願いを込めた。

石油や運輸関連企業から、提携カードの要望も来ている。
環境保全活動に積極的にかかわりたい、という利用者のニーズは
強まっており、環境をテーマにしたカードの訴求力は今後も高まる。

--セディナは、5月に三井住友フィナンシャルグループ入り。
合併や再編を経て、環境戦略はどう変わるか?

◆カード業界を取り巻く環境は厳しさを増すが、
これまでの取り組みは一切変わらない。
利用明細書のメール配信による紙利用削減や、
環境対応車(エコカー)ローンへの優遇金利適用などにも
取り組んでいるが、まだまだ深掘りできる。

お客様が、環境への貢献を実感できる事業を、
カード本業の中で実現するのが我々の役割。
==============
◇はま・よしき

70年東海銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。
同行常務執行役員などを経て、
08年、セントラルファイナンス(現セディナ)副社長。
09年4月から現職。63歳。

http://mainichi.jp/select/science/news/20100830ddm008020024000c.html

大学受験で数学をとった人々の将来

(サイエンスポータル 2010年8月27日)

理系出身者の方が、文系出身者より収入は恵まれている、
という意外な結果が、西村和雄・京都大学経済研究所特任教授、
浦坂純子・同志社大学社会学部准教授らの調査。

従来は、全く逆の通説が流布され、大学受験生やその親に
理工系学部への進学をためらわせる原因の一つ。
どうしてこのような根拠あやふやな通説がまかり通ってきたのか。

日本社会の最上部だけ眺めていると、
こうした通説が本当らしく思えてくる現実はある。
圧倒的に、文系が優位な政官界だけでなく、
大企業のトップも確かに文系が多い。

西村教授らの記者発表では、収入の比較だけでなく、
もう1点重要な知見として指摘。
「難易度Aの大学出身者ほど、高い人的資本が求められる
仕事に就いており、数学学習が効果的に機能していることが示された」

これはどういうことか?
記者発表の根拠になった西村教授らの論文
「数学教育と人的資本蓄積―日本における実証分析」
(Journal of Quality Education Vol.3)を見てみる。

調査は、ベネッセコーポレーションによる2008年度の
大学入試難易ランキングを用いて、得られたサンプルを
偏差値50未満(低ランク)、50-59(中ランク)、60以上(高ランク)に
分けた比較もしている。

文系理系の違い以前に、文系出身に限った中で、
数学で受験したかそうでないかを比較した結果が興味深い。

大学入試で、一度だけでも数学で受験したことがあるグループと、
大学入試で数学をとらなかったグループで、
社会人になってから年収に違いがあるかどうかを比べた結果。

偏差値が低ランクでは変わりないが、
中ランク、高ランクになるほど、数学受験グループの年収が
高くなるという結果。

西村教授らは、「入試難易度が高い出身大学ほど、
優良な企業などに就職する可能性が高く、
数学学習で培われた数理的能力が、より多くの選択肢の中から
より有利な仕事を手に入れる機会をもたらし、
着実な昇進、引いては所得に強く影響を与えるため」という解釈。

同じ文系出身の中ですら、このような違いが見られたのだから、
理系と文系出身の違いを加味したら、
もっとはっきりと差が出るのは当然。

数学で受験したかどうかによる年収への違いを、
偏差値ランクごとに文系、理系で比較するとどうなるか?
最も高収入を得ているのは、偏差値60以上(高ランク)の理系出身、
45~60歳ですべて年収1,000万円を超す。

次に高収入を得ているのは、高ランクの文系出身でかつ数学で
大学受験した人たち。
60歳になると、偏差値では下位(中ランク=偏差値50~59)の
理系出身者に抜かれる。
要するに、トップ3のグループはすべて大学受験時に
数学をとっている人々。

中ランク(偏差値50~59)の文系出身で、
数学の受験経験のない人々が、50歳までは同じ中ランクの文系、
数学で受験した人たちを上回っている。
55歳になると追いつかれ、60歳になると数学受験組より
年収が下回ってしまうことも興味深い。

単純に平均をとっても、数学を学んだかどうかまで見て比較しても、
理系出身が文系出身より所得が劣る、ということなど全くない。

今、高校の教育現場では、「国公立大学に何人合格したか」が、
大きな指標の一つになっている。
西村教授は、20年以上前から大学生の基礎学力低下に
警鐘を鳴らし続け、一つの原因に大学入試の科目減を挙げている。

入試科目を増やそうという動きは、大学側にまだないが、
高校の方が先に、気づき始めた。
比較的、入試科目の多い国公立大学に
生徒を送り込んだ方が本人のため、と。

今回の調査結果が、大学側の入試に対する考え方に
影響を与えるかどうかも注目。

http://scienceportal.jp/news/review/1008/1008271.html

2010年9月7日火曜日

実感する理科(7)教員研修 博物館が支援

(読売 8月27日)

「5分間で、人間の全身骨格を描いて」という講師の指示に、
「えーっ」と声が上がった。

「肋骨って、どこから出てるんだ」とつぶやきも。
上野の国立科学博物館で開かれた教員研修会。
参加した東京都杉並区の中学校理科教師27人に、
講師の同館職員が紹介していたのは、同館からの貸し出し教材を使った
授業である「骨ほねウオッチング」プログラム。

図が完成すると、今度は、「バラバラの全身の骨格標本を、
机に正しく並べてください」
骨格標本は約50個。
「どっちが前?」、「左右逆だよ」、中には体に骨を当てながら
「ここかな?」。
約20分で全身らしくなったところで、
講師が正解の模型を見せて解説。

同区立松ノ木中学校の真渕高史副校長(55)は、
「評判を聞き、ぜひ見てみたいとみんなで来たが、
授業のネタとして十分使えると思った」

恐竜の化石や動物の剥製など、様々な展示物が楽しめる
博物館を学習に活用してもらおうと、
同館など全国約20の博物館が協力し、貸し出し教材を使った
約60の学習プログラムを開発。

「骨ほね」もその一つ。
いずれも、体験を通して楽しく理解できるよう工夫され、
同館のサイト「授業に役立つ博物館」で紹介。

新学習指導要領が、博物館などの積極的活用を明記したことを受けて、
このプログラムを紹介する研修会も、各地で開かれている。
同館での研修も、申し込みが急増している。

横浜市は昨年、同館の研修に4人を派遣。
研修後、4人が指導員役に回り、ほかの教員にプログラムを伝授。
実際、十数校が同館から骨格標本を借りて授業を行うなど、
予想以上の効果があった。

先生たちに博物館をもっと知ってもらおうと、
同館は今月29日を、「教員のための博物館の日」として、
教員向けの様々な行事を開催。
夏休みに開くのは、今年が初めて。
植物画の描き方や顕微鏡の基本操作の講座のほか、
類人猿の頭骨や岩石鉱物など、貸し出し教材も紹介。
教員の入館料は無料。

企画した小川義和・学習企画調整課長(50)は、
「博物館は、学習資源の宝庫。
展示以外にも、色々な形で授業に利用できることを知ってほしい」

◆授業に役立つ博物館

http://www.kahaku.go.jp/、「学習」をクリック。

◆教員のための博物館の日

事前申し込みは不要だが、プログラムは先着順。
対象は、幼稚園から高校までの教員、
職員証などの提示が必要。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100827-OYT8T00141.htm

舶用エンジンの排ガスで発電するハイブリッド過給機を開発 三菱重工

(三菱重工ニュース 2010年8月23日)

三菱重工業は、船舶用ディーゼルエンジンの過給機に、
発電機を内蔵したハイブリッド過給機「MET83MAG」を開発。

エンジンの排ガスを、過給機コンプレッサの駆動だけでなく、
発電に活かすことで、航海中に必要なすべての電力を
供給することができ、燃料消費量とCO2排出量の削減に貢献。

日本郵船株式会社、ユニバーサル造船株式会社、
日立造船株式会社の協力により製品化、
2011年、就航する大型ばら積み運搬船に搭載し、
世界で初めて実証試験を行う。

初号機の完成を記念、長崎造船所で23日に披露式典を開いた。
MET83MAGの発電機最大発電出力は、754kW(毎分9,500回転時)。
発電機を電動機として作動させ、過給機を加勢し、
補助ブロワの代用とできるメリットがある。

実証試験は、ハイブリッド過給機MET83MAG 1台を装備した
エンジンを、ユニバーサル造船が日本郵船向けに建造する
ケープサイズのばら積み運搬船に搭載して実施する計画。

今回のハイブリッド過給機は、排ガスを利用する
排熱回収システムの一つで、発電機を過給機に
内蔵したことで省スペースとなり、
既設過給機からの置換え需要にも対応できる。

当社は、コンテナ船や原油運搬船などの電力消費が大きい
船舶用として、排ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせて
発電し、燃料コストの10%低減を可能とした排熱回収システム
「MERS(Mitsubishi Energy Recovery System)」
製品化、好評を博している。

当社は、船舶エネルギーの有効利用に必要な主要機器を
手掛ける強みを活かし、将来の環境規制強化や、
熱効率向上の技術ソリューションシステムを
今後も継続して提案していく。

http://www.mhi.co.jp/news/story/1008234974.html

理系出身者の方が高収入

(サイエンスポータル 2010年8月27日)

理系学部出身者は、文系学部出身者より高収入、
という結果が西村和雄・京都大学経済研究所特任教授、
浦坂純子・同志社大学社会学部准教授らの
インターネットを利用した調査。

理系出身者は、収入の面でも文系出身者に劣る、
というのが通説、若者の理系、特に工学部離れの原因の一つ。
今回の調査結果は、こうした通説を真っ向から否定するもの、
小・中・高校生、その親たちにも大きな影響を与えそう。

調査対象者のうち、所得がある約1,600人を文系、理系にわけて
平均年収を比べたところ、全体平均で約100万円、
25~60歳まで5歳刻みの年齢別で見た場合でも、
すべての年齢で理系出身者が文系出身者を上回っていた。

平均年収は、25歳で文系出身が約306万円、
理系出身は約366万円と60万円もの差。
この差は年々、広がり続け、60歳では文系が約720万円、
理系は約889万円と、170万円近くまで開く。

通説に全く反する結果が得られたことに対し、
西村教授らは、「『理系離れ』が進む現在、
重要なメッセージを投げかけている」

http://scienceportal.jp/news/daily/1008/1008271.html

林業体験に心弾ませ 31日まで生出地区に立教大の学生ら17人 陸前高田

(東海新報 8月27日)

立教大学に通う学生ら17人が、林業体験のため陸前高田市入り。
初日は市役所を表敬訪問、中里長門市長と懇談。
矢作町生出地区に、31日まで滞在しながら、
山林の下草刈りや間伐作業、炭焼きなどに挑戦。

この林業体験は、同大学の学生部が毎年企画、今年で8回目。
山里での生活を通して自分を見つめ直し、
今後の人生を考える機会にしてもらおうと行われている。

生出地区が、体験の場に選定されたのは、以前、大学関係者が
インターネットで「ホロタイの郷・炭の家」を知り、
炭焼き体験が目にとまったことが発端。
同市や生出地区コミュニティ推進協議会(佐々木英一会長)の
バックアップのもとで、体験事業が続けられている。

今年来高したのは、学生15人と随行者2人。
市役所では、同大学観光学部4年の神野かおりさん(21)が、
「山での作業や食事を楽しみに参加した。
思い出に残る体験にしたい。よろしくお願いします」とあいさつ。

中里市長は、「生出地区は、地域づくりを一生懸命行っている土地柄。
皆さんが来るのを楽しみに待っています。
暑い夏が続いていますが、ケガなどないよう過ごして下さい」

一行は、高田松原を訪れ、白砂青松の美しい景観を楽しみ、
体験場所となる生出地区のホロタイの郷「炭の家」へ移動。
いなか豆腐づくりに挑戦、佐々木会長の講話に耳を傾けた。

滞在期間中、学生たちは市有林の「立教の森」で、
下草刈り作業、農家での炭焼き体験、原台山登山、
山林の間伐作業に励む。

http://www.tohkaishimpo.com/

2010年9月6日月曜日

岩手県立地域診療センター無床化 空きスペースを特養ホームに 花巻市長

(2010年8月26日 毎日新聞社)

県立大迫地域診療センター(花巻市大迫町)の無床化問題で、
花巻市の大石満雄市長は、入院病床の空きスペースを
特別養護老人ホームとして活用することを決めた。

地元住民との懇談会で、特養構想が大勢を占めたため。
今後は、住民主体で社会福祉法人を設立し、特養開設を目指す。

無床化を巡っては、市が09年12月に
民間介護老人保健施設の併設案を提示したが、
住民の間で賛否が割れ、結論を出せなかった。

その後、特養構想が浮上。
特養に常勤医を置く必要はなく、診療センターとの役割分担も
期待できるため、多数の住民がセンター存続に有効だと判断。

懇談会では、「診療センターの存続を前提に、就労の場が増えるから
特養の方が良い」と賛成意見が目立った。
「老健も特養も、医療問題の解決につながらない」と反対の声もあったが、
大石市長は、「診療科目の維持は、責任を持って県と交渉を続ける。
特養を設置する方向で、お願いしたい」と協力を求めた。

特養設置を目指す住民団体「特養を考える会」の森田敏雄代表は、
「反対の人も含めて意見を出し合い、地域で運営していければ良い」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/26/124533/

実感する理科(6)社会人講師が出前実験

(読売 8月26日)

「みんなが育てた植物は何でしょうか?」
給食のおばさんのような格好をした講師が、
教壇から子どもたちに質問。

沖縄県八重瀬町立新城小学校で行われた5年生の理科の授業
「ナゾの種の正体を探そう!」
講師は、地元の食品製造販売、みどり食品の渡慶次睦子さん(55)。

ナゾの種とは、子どもたちが5日前、宿題として渡され、
自宅に持ち帰って育てた種。
小さく細長い緑色の双葉が出て、長さ約15cmになっている。
「もやしじゃない?」、「ちょっと違うよ」という小さな声に、
「味見してもいいよ」と渡慶次さん。
1人が芽をかじり、「少し苦い……」と顔をしかめた。

渡慶次さんは、正解は、もやしだと明かした後、
今度は「なぜ売っているのと違うのか考えて」と問いかける。
子どもたちは、製品のもやしは真っ暗な工場で水だけで育てること、
日に当たると緑色になり苦くなること、などを渡慶次さんの説明で知り、
植物の発芽・成長と水や気温の関係を実感として学んだ。

この日の出前授業は、2008年、経済産業省が
将来の研究者や技術者の卵を増やそうと始めたもの。
社会人講師を活用し、授業は理科実験がメーンとなっている。
今年度は、10地域での実施を計画し、運営の委託費として、
5800万円の予算を計上。

昨年度実施した372校で、児童に行ったアンケートでは
「授業が面白かった」96・9%、
「理科で学ぶ内容が生活に役立つことが分かった」93・2%、
生活の中の理科への理解が深まっている。

大阪市立小路小学校で行われた出前授業では、
スポーツ用品大手のデサントの社員が、人や動物の研究から
新素材が生まれることを紹介。
五輪用競泳水着の素材として、カワセミの羽根をヒントに開発した
はっ水性の布を使った実験を披露。
水玉が布の上をコロコロ転がる様子に、児童から
「不思議で面白い」と歓声が上がった。

橋渡し役の大阪商工会議所の広田雅美さん(49)は、
「単なる社会貢献でなく、社内研修やシニア人材の活用に
使えるので、企業の注目度も高い」

経産省は、出前授業を新たに考える企業の参考にしてもらおうと、
これまでの授業例などをサイトに公表。
同省の委託費は、事業仕分けの影響で今年度限りで終了するが、
大阪や沖縄のほか、各地で継続を模索する動きが見られている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100826-OYT8T00188.htm

インタビュー・環境戦略を語る:住友化学・廣瀬博社長

(毎日 8月23日)

世界的な総合化学メーカーとして、国内外で幅広い活動を
展開する住友化学。
電気自動車の電池や省エネテレビの素材、断熱材など、
生活に不可欠な最先端の素材を手がけつつ、
環境改善にも大きく貢献することが期待。
廣瀬博社長に、環境戦略を聞いた。

--環境に対する基本理念は?

◆住友化学の生い立ちは、愛媛県新居浜の別子銅山の
公害処理業務に、端を発している。
銅の精錬の際、亜硫酸ガスが発生するが、これを化学的に処理し、
硫安や過リン酸石灰など肥料を製造したのが始まり。

肥料を製造して煙害を解決し、農作物の増産にも寄与するという、
一石二鳥の解決策を見いだした。
環境保全は、住友化学のDNA。
原点でもあり、会社を経営するうえでの基本。

--環境関連で力を入れている分野は?

◆リチウムイオン2次電池や燃料電池、太陽電池、
省燃費タイヤの材料など、多くの事業部門がある。
もはや、ひとつの技術だけで何かをつくり出すのは難しい。
さまざまな要素、技術を組み合わせて新しいものをつくる。
「ハイブリッドケミストリー(混合型化学技術)」と言っているが、
各事業部門の知恵や技術を組み合わせ、
良いものをつくっていこう、というスタンスが基本。

--有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)にも力を入れている。

◆われわれが手がけているのは、高分子有機EL。
これは、電気を光に替える技術で、この技術を使った
薄膜の太陽電池も開発中。
太陽電池に使うフィルムも、石油化学部門から出てきている。

高分子有機ELは、省エネだけでなく、3Dでの残像もなくなるなど
画質も優れ、視野角も広い。
照明もテレビも、フィルム化が進めば、生活空間は大きく変わる。
われわれは、生活空間革命を目指している。

--化学の力がさらに重要に。

◆「cLCA(カーボンライフサイクルアナリシス)」といって、
製造から廃棄までの各ステージで、環境への負荷が
どれだけ軽減されているかを評価する手法がある。
断熱材は製造するのに、1のエネルギーを使っても、
廃棄までに4の省エネ効果をもたらす。
分析も行いながら、研究テーマに優先順位をつけて取り組んでいる。

化学は、なくてはならない事業。
高純度のアルミでテレビや半導体がつくられ、
石油化学ではミクロン単位でフィルムも製造。
それぞれの技術が融合し、製品化に結びついている。

--取引先の企業も環境意識は高まっているか?

◆温室効果ガスだけではなく、化学品もより環境に優しいものを
求めたり、製造過程でCO2削減に貢献できるようなものを
使いたいという機運が強まっている。
グリーンなサプライチェーンへの協力を進めていきたい。
==============
◇ひろせ・ひろし

神戸大経営学部卒。67年住友化学工業(現住友化学)入社。
総務部長を経て、01年に取締役。09年4月から現職。
岡山県出身。66歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/08/23/20100823ddm008020020000c.html

梅干しダイエット、7割が体重減少 大粒2個を50日間食べ 和歌山・田辺

(2010年8月25日 毎日新聞社)

大粒の梅干し2個を、50日間食べたモニターのうち、
7割の体重が減ったと、田辺市の紀州田辺うめ振興協議会
(会長、真砂充敏・同市長)が発表。

伸び悩む梅干しの消費拡大につなげようと、
モニター調査を協議会が企画。
紀南農協、田辺海上保安部、田辺税務署など、地元機関の職員と
女性向け雑誌に応募した男女計125人が参加、
アンケートには20~70代の105人(男41人、女64人)が回答。

体重は73人が「減」、「増」は15人。
40代の女性は、減量7kgと回答。
腹囲も「減」が64人、「増」15人、「変化なし」21人。
体脂肪率は45人が「減」、「増」は5人、「変化なし」7人、
48人は「測定なし」。
体調変化では疲労回復35人、体調改善29人、体重減25人が上位。

実践後の感想として、継続して食べたい=47人、
和食中心を好むようになった=16人、
便秘解消=13人などの肯定的な声の半面、
1日2個は難しい=5人、梅干しだけでダイエットは困難=1人、
もう少し安ければうれしい=1人--など。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/25/124503/

2010年9月5日日曜日

専門家動員し健康維持 救出まで極限の4カ月 チリの落盤事故

(2010年8月26日 共同通信社)

南米チリ北部コピアポ近郊の鉱山で起きた落盤事故は、
地下に閉じ込められた労働者33人全員の生存が17日ぶりに確認、
世界を驚かせた。

救出には4カ月程度かかるとされ、精神的、肉体的な健康状態を
どのように維持していくかが重要な課題。
チリ政府は、専門家らを動員し細心のケアに取り組む。

▽地下へ飛ぶハト

「彼らは、(9月18日の独立)200周年には地上に戻れないだろうが、
クリスマスと新年にはわれわれと一緒にいることになる」
ピニェラ大統領は、救出までの時間を耐え忍ぶよう、家族らに訴えた。

大型ドリル機材を使って、救出用トンネルを掘る作業は、
今週末から始まる見通し。
最終的には直径約70cmのトンネルを掘り、
かごを降ろして一人ずつ引き上げる計画。

救出までの間、直径10cm余りの3本のトンネルで食料を供給し、
通信、通気を確保する。
食料や水、メッセージなどが詰まった長さ約1・6mのカプセルは、
「ハト」と呼ばれ、1時間かけてこのトンネルを通って地下に届く。

▽8本目のトンネル

事故が起きたのは、5日。
チリ人32人とボリビア人1人が閉じ込められた。
労働者たちは当初、通気孔から出る道を探ったが、
はしごがなく断念。
はしごの設置は、過去に同鉱山で事故が起きた際、
義務付けられたが、守られていなかった。

地上からは、地下避難所に向けて、ドリルによる掘削作業が続いた。
この作業は、鉱山の経営会社の地図が正確でなく、
7回にわたって失敗。
8本目のトンネルが避難所付近に届いたのは、22日だった。

この間、地下では、事故のあった時間帯の現場監督が、
限られた食料を配給制にするなど、労働者をまとめた。

掘削機で地下水を掘り出し、地下に取り残されたトラックの
バッテリーを使ってヘッドランプを充電。
ドリルが届いたとき、労働者らの体重は8~9kg減っていた。

▽極限を生きる

地下避難所は、約40平方メートルで小さなアパート程度。
労働者は、これにつながる約2kmのトンネル内を動き回れる。

地上では、医師や心理学の専門家が、4カ月の間、
極限状況に置かれる労働者の健康をどのように維持するか検討。
労働者らに大きな健康問題は確認されていないが、
1人は糖尿病の持病がある。

士気をくじかないため、労働者たちには、救出までに4カ月もの
時間がかかることは知らされていない。
家族らが書く手紙は、労働者の精神状態を乱すことがないよう、
専門家が事前に内容を確かめる。

チリ政府は、トランプやドミノなど、時間つぶし対策も講じる予定。
地下の状況が宇宙船や潜水艦内と似ているとして、
NASAやチリ海軍に、心身の健康管理について協力を求めている。

1972年、アンデス山中で起きた航空機墜落事故で、
生存者が死者の肉を食べて70日余り生き延びた
「アンデスの奇跡」を経験したウルグアイ人医師は、
ラジオのインタビューで、「人間は、困難な時を生きなければならないとき、
並外れた力を出せる」とエールを送った。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/26/124551/

実感する理科(5)実験・観察 CGで補う

(読売 8月25日)

「電流が矢印の向きに流れるので、コイルの周りには
渦を巻くように磁界ができる。
これが、右ねじの法則」

美濃市立美濃北中学校の理科の授業で、冨村竜也教諭(45)は、
親指を立てた右手を見せながら、まとめの説明を始めた。
電子黒板にコイルの電流の向きや磁界がアニメで映し出されると、
生徒たちはやっと合点がいった様子で、ノートに写し始めた。

コイルに電流を流すと、周辺に現れる磁界の様子を砂鉄で調べる授業。
「右ねじの法則」を教科書で知っていても、実験するのは意外と難しい。
砂鉄の模様がきれいに出ず、磁界を読み解くのにひと苦労。
「こちらがプラス極で、右ねじの法則だから……」と右手をかざし、
生徒同士で話し合う姿が、各班で見られた。

混乱した頭を整理したのが、デジタル教材を使った最後のまとめ。
「コンピューターグラフィックス(CG)のアニメにすることで、
磁界という目に見えないものが簡単に理解できた」と冨村教諭。

冨村教諭によると、宇宙や地球なども、CGだとイメージしやすい。
CGに限らず映像は、生徒の関心を引くことにも使えるうえ、
早送りもでき、授業のポイントを強調できる。

デジタル教材を使った同中の授業は、市が昨年度、岐阜大学と行った
「実験・観察融合型デジタル教材活用共同研究」の一環として始まった。
300万円をかけ、パソコンやプロジェクター、簡易スクリーンを
全小中学8校に配備。
授業事例を集めた冊子を作り、各校に配布し授業に生かしている。

同中が使っていたデジタル教材は、科学技術振興機構のサイト
「理科ねっとわーく」で、無料公開されているもの。
同サイトの素材数は、一般公開版で約120本に上り、
昨年度の閲覧数は約210万件(前年度比約50万件増)。
文部科学省国立教育政策研究所の学習情報検索サイト(NICER)は、
小学校から高校、生涯学習まで30万件の素材が登録。

これらのデジタル教材を、2004年から授業で使っている取手市は、
定期的に研修会を開き、教師同士で教材の情報交換できる。
実際に授業で活用した例も多く、近く学習情報検索サイトで
約500件を紹介する予定。

同研究所の榎本聡・主任研究官(37)は、
「授業はデジタル教材だけでなく、実験や観察などの実体験と
組み合わせることで、理解が深まる」

実験や観察での発見や感動を効果的に伝えるため、
先端技術が生かされている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100825-OYT8T00184.htm

廃食油 豆腐と交換 燃料に活用、大豆需要増も…福島・鮫川

(読売 8月23日)

家庭で出た廃食油を、特産品の豆腐と交換――。
大豆栽培が盛んな福島県鮫川村が7月から、
そんな取り組みを始めた。

廃食油は、村の公用車の燃料に使って有効活用。
村産大豆の需要拡大や、食べた村民の健康増進にも
つながるとして、村は「一石三鳥」と期待。

人口約4200人の村は今年3月、廃油を精製、
軽油の代替燃料となるバイオディーゼル燃料(BDF)を
つくる機械を購入。

村内の小中学校2校の給食調理で出た廃油を、給食配送用の
トラックの燃料にリサイクル。

今週から、村役場がBDFを使用できる公用車を導入するため、
一般家庭などからも廃食油を集めようと考えた。

村で生産された大豆は、村営の農産物加工販売所
「手・まめ・館」が買い取り、村産大豆100%の「達者の豆腐」
(1丁150円)に加工。
1日平均150丁ほど生産、「大豆の風味が生きて、おいしい」と好評。

村では、村産豆腐との交換なら廃食油が集まると考え、
村民を対象に、廃食油2・5L、豆腐1丁とを交換。

販売所に廃食油を持ち込むと、0・5Lごとに特製カードに
スタンプが押され、5個たまると豆腐1丁と交換される仕組み。
7月1日から始め、今月15日までに60Lの油が集まり、
豆腐24丁と交換。
村内で食堂を経営する女性(44)は、店で使った天ぷら油で
豆腐3丁を受け取った。

「廃油の処分はとても面倒。
引き取ってくれるうえに、豆腐をもらえてありがたい」

村では、今年度中に1200丁の交換ができるよう、
18万円を予算計上。
村民を巻き込んだ廃食油リサイクルに、
農林課の石井洋平・主任主事は、「反響は予想以上。
廃食油を捨てないという意識が高まり、子どもたちの環境学習に

http://www.yomiuri.co.jp/eco/wagamachi/20100823-OYT8T00498.htm

看護師国家試験 専門用語見直し、病名英語併記も

(2010年8月25日 毎日新聞社)

経済連携協定(EPA)に基づき、インドネシアとフィリピンの
看護師候補者が受験する看護師国家試験について、
漢字や難解な専門用語の見直しを進めていた
厚生労働省の有識者検討チーム
(座長、中山洋子・福島県立医科大看護学部教授)は、
検討のとりまとめ結果を公表。

来年2月の次回試験の問題から適用。
専門用語以外の一般的な用語について、
「平易な用語に置き換えても、現場に混乱はない」と、
言い換えたり、難しい漢字にふりがなを振るなどして、
受験者の負担を軽減する。

例えば、「症状を呈する」という表現は、「症状がある」に言い換える。
専門用語のうち、病名については、
カルテに英語で記載することが多いため、
「白内障」(cataract)のように英語を併記。

国際的に認定されている略語も、
「日常生活動作」(ADL)のように英語を併記。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/25/124499/