2010年9月9日木曜日

医療観光 先進県・岡山を売り込もう おいでよアジアの旅人 県もツアー支援

(2010年8月27日 毎日新聞社)

「医療観光」--。
まだ聞き慣れない言葉が、岡山県で広がりつつある。
中国の富裕層、中間層をターゲットに、人間ドックやがん検診と
観光を組み合わせて、旅行者を呼び込もうとする動き。
病院とタッグを組んだ旅行会社も参入。
県も、海外から観光客を呼び込むきっかけに、
と医療観光ツアーの支援を始めた。

◇人間ドック、がん検診と合わせ

旅行会社「シモデンツーリスト」は今年、
PET(陽電子放射断層撮影装置)検診などと京阪神観光を合わせた
ツアーを、中国で本格販売を始めた。
岡山空港と中国・大連を結ぶ便を利用して5日間の日程で、
健康診断を受け、京都、大阪などの観光地も回るというツアー。

タッグを組んだのは、がん専用の治療施設を持つ
岡村一心堂病院。
ツアーでは、「スーパードックコース」としてPET検診の他、
MRA(磁気共鳴血管撮影)などを1日半かけて受診。
値段は、4万9800元(約65万円)。

この他にも、検査項目を減らしたオプションも要望に応じて検討。
同社は、「きめ細かい対応、高い医療水準でツアーを販売したい」

医療現場は、どう受け止めているのか?
同病院では、機器の説明を英語や中国語で作ったり、
ホームページでも複数の言語で病院の説明するなど、
受け入れ準備を進めている。
「現状では、まだ利益が出るという段階ではない。
むしろ位置づけとして、国際親善だ」、と同病院の岡村一博理事長。

「日中には、戦争の歴史もある。
歴史についてはかなり考えている。
だから、国際親善なんだ。
毎月百人単位で来るというなら、利益も出る。
『医療観光』で、病院経営に大きな影響はまだ出ない。
すべてはこれからだ」

アジアからの観光客誘致に力を入れる県も、
「医療観光ツアー商品化モデル事業」に乗り出した。
県観光課は、「中国人の旅行先は、東京・秋葉原などが中心。
地方に引き寄せるために、医療先進県・岡山を売り込みたい」

県は、人間ドックを実施している県内の医療機関に、
中国人観光客の受け入れを打診、
川崎医科大学付属病院など5病院が可能。

5月、病院と旅行会社の打ち合わせ会を開催、
4社からプランの提案を受け、4社とも選定。
計160万円を支出し、報告書などを作成。

医療観光では、タイやシンガポールなどが先行。
客層が主に富裕層に限られ、窓口販売ではツアー参加者が
集まりにくいことから、同課は、「中国での人脈利用など、
ツアー参加者を集める手法も審査した」

◇薬学英語や豪の医療制度学ぶ--就実大生15人が海外研修

「グローバル化に対応できる薬剤師を輩出する」--。
就実大薬学部は今月、オーストラリア、クイーンズランド大学で
2週間の「薬学海外研修」を実施。

学部生15人が参加。
今回が初めての試みで、実用的な薬学英語の習得、
国外の医療制度を学ぶことが狙い。
学生たちは、「2週間はあっという間、積極的に交流して頑張りたい」

押谷善一郎学長は、「遠慮しないで、分からないものは分からないと言おう。
健康にも気をつけて、しっかり勉強してきてほしい」
須藤鎮世教授は、「これからの時代、薬剤師も薬の効用、
注意を英語で説明できないといけない。
薬学英語に特化しているので、しっかり勉強してほしい」と狙いを説明。

豪州では、薬学関連の講義や病院、薬局の見学も組まれている。
海外研修を基礎に、「薬学教育の日豪比較」、「豪州の結核治療」など
テーマに据えた卒業論文を考えている学生たちも。

学生たちは、既に国内の病院か薬局で研修をし、
須藤教授は、「自分たちの国内研修の経験を元にしてほしい。
医療制度や位置づけは、国によって全然違う。
豪州の制度や薬剤師の役割を考えてほしい

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/8/27/124621/

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