2010年9月5日日曜日

実感する理科(5)実験・観察 CGで補う

(読売 8月25日)

「電流が矢印の向きに流れるので、コイルの周りには
渦を巻くように磁界ができる。
これが、右ねじの法則」

美濃市立美濃北中学校の理科の授業で、冨村竜也教諭(45)は、
親指を立てた右手を見せながら、まとめの説明を始めた。
電子黒板にコイルの電流の向きや磁界がアニメで映し出されると、
生徒たちはやっと合点がいった様子で、ノートに写し始めた。

コイルに電流を流すと、周辺に現れる磁界の様子を砂鉄で調べる授業。
「右ねじの法則」を教科書で知っていても、実験するのは意外と難しい。
砂鉄の模様がきれいに出ず、磁界を読み解くのにひと苦労。
「こちらがプラス極で、右ねじの法則だから……」と右手をかざし、
生徒同士で話し合う姿が、各班で見られた。

混乱した頭を整理したのが、デジタル教材を使った最後のまとめ。
「コンピューターグラフィックス(CG)のアニメにすることで、
磁界という目に見えないものが簡単に理解できた」と冨村教諭。

冨村教諭によると、宇宙や地球なども、CGだとイメージしやすい。
CGに限らず映像は、生徒の関心を引くことにも使えるうえ、
早送りもでき、授業のポイントを強調できる。

デジタル教材を使った同中の授業は、市が昨年度、岐阜大学と行った
「実験・観察融合型デジタル教材活用共同研究」の一環として始まった。
300万円をかけ、パソコンやプロジェクター、簡易スクリーンを
全小中学8校に配備。
授業事例を集めた冊子を作り、各校に配布し授業に生かしている。

同中が使っていたデジタル教材は、科学技術振興機構のサイト
「理科ねっとわーく」で、無料公開されているもの。
同サイトの素材数は、一般公開版で約120本に上り、
昨年度の閲覧数は約210万件(前年度比約50万件増)。
文部科学省国立教育政策研究所の学習情報検索サイト(NICER)は、
小学校から高校、生涯学習まで30万件の素材が登録。

これらのデジタル教材を、2004年から授業で使っている取手市は、
定期的に研修会を開き、教師同士で教材の情報交換できる。
実際に授業で活用した例も多く、近く学習情報検索サイトで
約500件を紹介する予定。

同研究所の榎本聡・主任研究官(37)は、
「授業はデジタル教材だけでなく、実験や観察などの実体験と
組み合わせることで、理解が深まる」

実験や観察での発見や感動を効果的に伝えるため、
先端技術が生かされている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100825-OYT8T00184.htm

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