2010年9月6日月曜日

実感する理科(6)社会人講師が出前実験

(読売 8月26日)

「みんなが育てた植物は何でしょうか?」
給食のおばさんのような格好をした講師が、
教壇から子どもたちに質問。

沖縄県八重瀬町立新城小学校で行われた5年生の理科の授業
「ナゾの種の正体を探そう!」
講師は、地元の食品製造販売、みどり食品の渡慶次睦子さん(55)。

ナゾの種とは、子どもたちが5日前、宿題として渡され、
自宅に持ち帰って育てた種。
小さく細長い緑色の双葉が出て、長さ約15cmになっている。
「もやしじゃない?」、「ちょっと違うよ」という小さな声に、
「味見してもいいよ」と渡慶次さん。
1人が芽をかじり、「少し苦い……」と顔をしかめた。

渡慶次さんは、正解は、もやしだと明かした後、
今度は「なぜ売っているのと違うのか考えて」と問いかける。
子どもたちは、製品のもやしは真っ暗な工場で水だけで育てること、
日に当たると緑色になり苦くなること、などを渡慶次さんの説明で知り、
植物の発芽・成長と水や気温の関係を実感として学んだ。

この日の出前授業は、2008年、経済産業省が
将来の研究者や技術者の卵を増やそうと始めたもの。
社会人講師を活用し、授業は理科実験がメーンとなっている。
今年度は、10地域での実施を計画し、運営の委託費として、
5800万円の予算を計上。

昨年度実施した372校で、児童に行ったアンケートでは
「授業が面白かった」96・9%、
「理科で学ぶ内容が生活に役立つことが分かった」93・2%、
生活の中の理科への理解が深まっている。

大阪市立小路小学校で行われた出前授業では、
スポーツ用品大手のデサントの社員が、人や動物の研究から
新素材が生まれることを紹介。
五輪用競泳水着の素材として、カワセミの羽根をヒントに開発した
はっ水性の布を使った実験を披露。
水玉が布の上をコロコロ転がる様子に、児童から
「不思議で面白い」と歓声が上がった。

橋渡し役の大阪商工会議所の広田雅美さん(49)は、
「単なる社会貢献でなく、社内研修やシニア人材の活用に
使えるので、企業の注目度も高い」

経産省は、出前授業を新たに考える企業の参考にしてもらおうと、
これまでの授業例などをサイトに公表。
同省の委託費は、事業仕分けの影響で今年度限りで終了するが、
大阪や沖縄のほか、各地で継続を模索する動きが見られている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100826-OYT8T00188.htm

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