2010年9月8日水曜日

実感する理科(8)「エネルギー」どう教える

(読売 8月28日)

テレビ、洗濯機、エアコン、冷蔵庫、掃除機……
家電製品の名前が書かれたカードが黒板にずらり。
「電気製品には熱や光、音を出すほか、運動するものも。
分類してください」

茨城県大洗町立磯浜小学校で行われた、
6年の理科「電気の利用」の授業。
「テレビは音と光」、「洗濯機は運動」など次々に答えが出るが、
「エアコンは熱?運動?」と迷う児童も。

山本恵理子教諭(42)は、電気が色々な形で
生活に役立っていることを説明した後、
原子力や風力、太陽光など発電方法まで発展。

授業で使ったのは、原子力を中心にしたエネルギー副読本と
ワークシート。

新学習指導要領では、小学校6年の「電気の利用」、
中学3年の「放射線の性質と利用」が盛り込まれたため、
文部科学省と経済産業省が、
原子力を科学的に正しく理解してもらおうと作成。

副読本は約50ページ、放射線の基礎知識やウランが
核分裂を起こして熱を出す、原子力発電の仕組みがイラストで紹介、
今春全国の小中学校に各校1冊ずつ配布。
ワークシートは現在製作中、副読本などを使った授業例も、
今年度中にサイトで公開。

この日の授業は、ワークシートを検証するために行われた。
山本教諭は、「イラストが多く、児童が理解しやすい」と
まずまずといった様子。

千葉県総合教育センターで行われた環境・エネルギー研修会。
講師に東京電力の社員を迎え、教員を指導する立場にある
同センターの所員約60人が、発電や放射線について学んだ。

手回し発電機を使った実験では、豆電球を1分間点灯させるのにも、
ハンドルを回し続けなければならない。
力を抜くと、豆電球は暗くなる。
「火力から原子力まで、発電所も手回し発電機と同じ原理。
ただ規模が大きく、常に電気を作り続けている」との説明に、
電力安定供給の大変さを実感。

同社の研修会は、もともと原発の理解促進などを目的に、
昨年度は計90回行った。
今年度は、新学習指導要領に合わせ、手回し発電機を使った
実験を取り入れ、7月末までに35回実施。

「社会に近い、実際の話を聞きたくて企画。
電気や放射線について、教科書以上によく分かった」と
同センターの大山光晴部長(52)。

身近な電気や放射線について、実感を伴って教えるには
どうすればよいのか、現場で模索が続いている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100901-OYT8T00227.htm

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