2010年9月9日木曜日

実感する理科(9)達人先生 先進事例学ぶ

(読売 9月1日)

フランスの核廃棄物に関する展示館、
デンマークの風力発電用の風車、
フィンランドの学習プログラムを紹介したサイエンスセンター……。

スクリーンに映し出された写真は、エネルギーや環境教育、
先進的な理科教育に関連する施設。
京都市で開かれた、全国中学校理科教育研究会。
集まった理科教師約800人を前に、
「理科の達人先生」の海外視察報告が行われた。

写真を見せながら約20分講演したのは、達人先生の一人で、
東京都練馬区立豊玉中学校の高畠勇二校長(57)。
「エネルギー問題は、国のあり方と深く結びついている。
日本は人口、気候、経済活動を踏まえて、
エネルギーを考える必要がある」と静かに訴えた。
講演後、会場の一角に張られた視察の様子をまとめた
ポスターの前で、来場者らに説明。

海外視察は、新学習指導要領に盛り込まれたエネルギーや
理科教育の先進事例を学ぶことが目的で、
7月下旬の1週間で3か国を回った。
視察前、日本の各国大使館で詳しい説明を受けるなど
予習して乗り込んだが、視察は予想以上の収穫。

訪問地の一つ、デンマークのロラン島では、風力発電施設を見学。
風車の近くに燃料電池施設があり、太陽電池も併設。
高畠校長は、「地域で使う電力消費量に見合った規模が印象的。
火力発電の燃料にわらを使うところもあり、
国に合ったエネルギーとは何か、考えさせられた」

振り返って、日本はどうだろうと考えてみると、
「自分自身、日本らしさがよく分からなかった」と苦笑い。
エネルギー問題は、社会の色々な問題と複雑に絡んでいるが、
「事実をきちんと伝える。
それを適切に判断できる能力を育てることが必要。
学校教育、特に理科でできることを実践していきたい」

今後、5人の達人先生は、機会あるごとに視察報告を行うほか、
中学3年間で、何をどのように教えるのか、
エネルギー学習プランを提案する。
学習プランを使った研究授業も重ね、現場で使えるようにしたい。
海外事例を参考に、日本らしいエネルギー教育を探る
動きが始まっている。

◆理科の達人先生

理科教育に優れた業績を上げた中学校教師を表彰するもの。
NPO法人ネットジャーナリスト協会が、今年初めて実施。
海外視察は表彰の副賞。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100901-OYT8T00199.htm

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