2009年2月28日土曜日

超薄型電池を開発 馬場岩手大教授と日本電気硝子

(岩手日報 2月24日)

岩手大工学部の馬場守教授(63)と、液晶ディスプレーなど
特殊ガラスメーカーの日本電気硝子(大津市、井筒雄三社長)は、
毛髪の約3分の1の厚さの超薄型ガラスを使い、
小型化した充電型の「薄膜電池」の共同開発に成功。

実用化、量産化も可能な優れたタイプで、
小型化が進む携帯電話、各種電子機器のバッテリーとして製品化が期待。

馬場教授や同社によると、開発した電池は、厚さ30マイクロメートルの
ガラス基板の上に、金属のリチウムなどを使って
約1マイクロメートルの薄い膜で覆い電極を付けた。

特許を取得するなど、この分野は馬場教授が第一人者。
絶縁性や耐熱性に富み、特殊技術で凹凸をなくした
超薄型ガラスを日本電気硝子が提供。

試作品は、縦横約5センチで、指で挟むと湾曲するなどガラス基板と
思えないほど薄く、重さも紙と同じくらい。
電池容量は、携帯電話のバッテリーの約2000分の1、
重ねるなどすれば総容量を大幅に増やせる。
実験で1万回の充電と再利用ができた。

馬場教授と日本電気硝子の担当者は2008年、
横浜市内の展示会で出会い、超薄型電池の開発に取り組んだ。
馬場教授は、10年以上前に薄膜電池の技術を確立、
性能がよく軽量化した基板を求めてきた。

馬場教授は、「材料のコストは安く、量産化ができ、市販品として普及も可能。
身近になった携帯電話の小型化や、バッテリーで動くカード型機器の
開発などにも道を開く」

日本電気硝子は、パソコンや液晶テレビに使うガラス製品が主力の
東証一部上場企業。
総務部の松田隆幸広報担当課長は、
「ともに開発した電池をぜひ製品化、産業化したい」

超薄型電池は国際展示会に出品、馬場教授も加わり
デジタル時計のバッテリーに使うなどして公開。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090224_7

「認」「関」「肯」「称」 部下のやる気を引き出すキーワード

(日経 2月18日)

部下を鼓舞してやる気を引き出すことは、いつの時代でも上司の重要な課題。
「オレの背中を見ろ」という旧来型のスタイルはもう通用しない。
組織の活性化策を企業に授けているトーマツイノベーション社長の
白潟敏朗さんは、「認関肯称」をキーワード。
このキーワードは、認知、関心、肯定、称賛の頭文字をとったもの。
それぞれにどのような意味が込められているのだろうか?

◆「認知」…話しかける習慣、「関心」…調子を聞く一手

まず、認知と関心。これは、部下の名前を呼ぶことでできる。
「○○さん、おはよう」、「○○君、最近どう?」
簡単ではあるが、普段できている人は少ない。
「部下は、自分が認知され関心を持たれていることを知って安心する」

◆「肯定」…まず「なるほど」

肯定とは、否定をしないこと。
違うなどと言って話を遮らないことが重要。
「なるほど」、「おっしゃるとおり」といった相づちは部下をリラックスさせる。
どう見ても部下が言っていることが間違っていたら、
「なるほど。その心は?」と問うのがよい。
部下が自分の考えを整理し、自ら誤りに気づくのを待つ。

◆「称賛」…第三者の言葉で

最も難しいのが、最後の称賛だ。
日本人は、面と向かって相手を褒めることに慣れていない。
ましてや上司部下の関係だとなおさらだ。
「いいねー」、「やるじゃん」、「さすが!」といったワンフレーズなら照れくさくないし、
次第に口癖となって会話の潤滑油となる。
「部長が君を褒めてたよ」とか、「みんな○○君を頼ってるよ」など、
第三者の言葉として伝えると効果が倍増。

会話以外に、称賛の言葉を「流通」させるのも効果がある。
「普段目につかないような所まで掃除してくれて、いつも感心しています」、
「外国人の案内で困っているとき、英語で案内を作ってくれて本当に助かりました」

自動車学校や整備工場などを展開するユタカコーポレーション(豊橋市)は、
「やるじゃん」カード制度を採り入れている。
名刺大のカードに感謝の気持ちを書き、投票箱を通じて本人に伝える仕組み。
同社管理部課長補佐の磯村英也さんは、「全社で400通ほど流通している」
同社の従業員数は255人だから、1人が月に2枚近く書いている計算。
磯村さんも、折に触れて部下をねぎらう文章を書いている。

システム開発のキャパ(東京)は、メールを使って部下を積極的に褒める
「おほメール」運動を始めている。
「いやー、○○さんがいないとプロジェクトがうまく進まないよ」、
「君のおかげで、トラブルもうまく解決できた」などと褒める活動。
「効果はかなりある」とソリューション&プロダクトサービス部長の古株健さん。
部下に仕事を手伝ってもらうよう頼んだとき、
これまでは「忙しいんですが」と後ろ向きの反応が多かったが、
最近は積極的に引き受ける部下が増えている。

◆「褒めるミスマッチ」注意 良好な関係が大切

部下をむやみに褒めても、やる気を引き出せるわけではない。
ポイントを外したり、良好な人間関係を築けていなかったりすれば、
逆効果になるというから難しい。

西日本旅客鉄道(JR西日本)の安全研究所が、
「効果的な褒め方・しかり方に関する研究」というリポートをまとめた。
京阪神地区で勤務する運転士と、運転士の上司である係長の
合計530人に聞き取りした結果。

リポートが着目した第1点は、「褒めのミスマッチ」。
運転士が褒めてもらいたいと思っている点を、
係長が必ずしも褒めているわけではなかった。
このミスマッチが大きいほど、上司の部下への評価は低くなり、
部下のやる気も失われる傾向がみられる。
組織全体の業績にも悪影響を及ぼす。

第2のポイントは、部下と上司が良好な関係にあるかどうか。
リポートは、ある実験結果を紹介。
面識のない人同士で、上司と部下のロールプレイングをしてもらったところ、
部下が評価してほしい点を、上司役の人が褒めたとしても、
部下のやる気は上がらなかった。
上司と部下が互いに気まずく思っている場合、
褒めの効果はあまり期待できそうにないことを示している。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090218.html

新たながん抑制遺伝子

(2009年2月23日 読売新聞)

がんを抑える新たな遺伝子を、国立がんセンター研究所の
大木理恵子研究員らが発見。
がんの新しい治療法や診断法の開発につながると期待。
米科学誌セルに掲載。

肺がんなど多くのがんの細胞では、がん遺伝子「Akt」が活性化し、
異常な細胞増殖を起こす。
研究チームは、代表的ながん抑制遺伝子「p53」が機能する仕組みを
調べる過程で、これまでどのような働きがあるかわからなかった
遺伝子「PHLDA3」に注目。
この遺伝子から作られるたんぱく質は、Aktたんぱく質の活性化を抑える
働きがあることを明らかにした。

肺がん細胞の多くは、PHLDA3遺伝子が欠損しており、その結果、
Aktが活性化し、がん化に結びつくこともわかった。
大木研究員は、「PHLDA3たんぱく質と同様の働きをする薬剤を開発すれば、
新しいがん治療薬となる可能性がある」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/23/92324/

逆風の中で:第3部・サッカー界は今/1 営業収入、大半が広告料

(毎日 2月17日)

「プロスポーツの私たちにとって、別の話だと理解している」。
Jリーグ横浜F・マリノスの運営会社の資本金(3000万円)のうち、
約93%を出資する日産自動車が、野球部や陸上部、卓球部の休部を
含む業務改善策を発表。
横浜マの斎藤正治社長は、即座にクラブへの影響を否定したが、
その表情は厳しかった。

Jリーグ発足時からの強豪で、固定ファンも多い横浜マ。
07年度の営業収入は、Jのクラブで2番目に多い約49億円。
入場料収入は約8億4000万円で、26億円超が広告料収入。
大部分を、日産自からの広告料が占める。

05年度から3年間の各クラブの経営状況を見ても、
横浜マの05~07年度の営業収入は3年連続で上から2番目だが、
広告料収入は25億円超で推移し、3年連続の1位。
Jのクラブの中では高収入ながら、親会社の影響を受けやすい経営。

「世界不況」の影響は、選手補強の面で昨年末に表面化。
スコットランド・プレミアリーグ、セルティックのMF中村俊輔の1月獲得断念。
日産自から億単位の移籍金について支援の約束を取り付け、
3月のシーズン開幕に間に合う1月中に獲得する方針が、
円高や販売不振などが日産自の経営を直撃して事態が急変。
横浜マの斎藤社長は、移籍金捻出が困難になったとして、1月獲得断念。

主力選手のうちDF中沢、FW坂田の流出は阻止できたが、
MF田中隼は名古屋へ、FW大島は戦力外通告を受け、新潟へ移った。
今季、チームは目立った補強をしない緊縮体制をとった。
中村俊について、斎藤社長が「彼がいるのといないのとでは、
チーム力が大きく変わる」と、契約切れで移籍金が生じなくなる
セルティックのシーズン終了後の6月にも獲得に動くことを明言。

そのさなかでの日産自の赤字転落。
今後の支援がさらに厳しくなるのは明らかで、中村俊の獲得について
斎藤社長は、「与えられた予算のなかで、やりくりして事業を進めるだけ」
契約切れで他クラブとの競争になる可能性もあり、
2億円前後とも言われる高額年俸の用意など、クリアすべき課題も多い。

年俸相場が急騰した欧州リーグなどと、Jリーグの経営規模の格差は
大きく開いてきている。
リーグ創成期には数多かった「国際的スター選手」は減り、
各チームとも「身の丈」に合った運営を模索。
横浜マの苦悩は、そんな現状を象徴する出来事の一つ。
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◇Jリーグ各クラブの経営状況

Jリーグでは05年度からJ1、J2各クラブの年度別「経営成績」と
「財政状態」を開示、ホームページなどで公開。
最新の07年度開示資料によると、各チームの営業収入は
浦和の約80億円がトップ。横浜マが約49億円、鹿島・約40億円、
名古屋・約36億円、J1のチームの平均は約33億円。
各チームとも、営業収入とほぼ同額の営業費用を計上、
営業利益の平均は約1100万円。
各チームとも、入場料収入を広告料収入が上回っているが、
浦和は入場料収入が約30億円でJ1のチームで唯一、
広告料収入(約24億円)を上回っている。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/17/20090217ddm035050018000c.html

2009年2月27日金曜日

インタビュー・環境戦略を語る:東京ガス・前田忠昭副社長

(毎日 2月16日)

東京ガスは、09~13年度の5年間を対象にした中期経営計画を発表。
計画では、「環境を基軸とした価値創造」を3本柱の一つに据え、
CO2排出量の削減効果が期待される燃料電池の普及や、
太陽光など再生可能エネルギーの利用促進を盛り込んだ。

--地球温暖化防止のため化石燃料の使用抑制が必要。

◆天然ガスに含まれる炭素は比較的少なく、燃やした際のCO2排出量は
石炭を100とすれば、石油は80、天然ガスは60程度。
燃料を石油から天然ガスに置き換えるだけで、25%もの削減効果。
今後、10~20年で日本のCO2排出量を15~20%程度減らすなら、
天然ガスの利用促進が一番簡単な解決法。

--環境対応はどう強化していきますか。

◆中期経営計画では、再生可能エネルギーを事業の中に
取り込む方向性を示した。
東京ガスは、家庭用の給湯機器などを販売し、工場やビルには
ガスを活用した冷暖房設備を納めてきた。
今後は、「総合エネルギー事業」を目指し、太陽光発電を組み合わせた
省エネ設備を家庭、企業に提案。

--09年度から家庭で発電する燃料電池「エネファーム」の販売を開始。

◆燃料電池は、水と天然ガスから水素を取り出し、酸素と化学反応させて発電。
発電所では、発電の際に発生する熱の大半を空気中や海に捨てるが、
燃料電池の場合、熱は給湯・暖房用に有効活用。
火力発電所の電力を使った場合と比べ、エネルギー効率は約2倍、
CO2排出量も削減。
燃料電池では、発電に伴って新たに水が発生し、
その水は燃料電池内で再利用。
エネファームは、水という再生可能な資源を使ったシステム。

--販売目標は?

◆13年度に、累計で4万2000台を目指す。
実売価格は、工事費を含め1台300万円程度。
国から補助金(上限140万円)が出て、光熱費の節約効果も年6万円程度、
値段はまだまだ高い。
環境に関心が高い層に買ってもらい、量産効果などで価格を低下させたい。

--今後、家庭での発電が増えそうです。

◆従来、電力やガス事業者は遠隔地で大規模に発電やガスの製造を行い、
一方的に各地へ流してきた。
自分たちで作ったエネルギーを、自分たちで利用する「地産地消」が効率的。
今後、需要地がそれぞれ再生可能エネルギーを有効活用し、
それでも足りない部分をガス事業者が補完する役割を担うことが必要。
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◇まえだ・ただあき

東京大大学院修了(計数工学専攻)、70年に東京ガス入社。
商品技術開発部長などを経て00年に取締役、06年に副社長へ昇格。
現在は環境部などを担当。東京都出身。63歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/02/16/20090216ddm008020037000c.html

iPS細胞が切り拓く今後の医学研究 慶応義塾先端科学技術シンポジウム

(毎日 2月17日)

人工多能性幹細胞(iPS細胞)の臨床応用を展望するシンポジウム
「iPS細胞が切り拓く今後の医学研究」が慶応大学で開かれた。
山中伸弥・京都大iPS細胞研究センター長や岡野栄之・慶応大医学部教授、
iPS細胞研究の4拠点を代表する研究者らが、研究の最前線などを発表。
安西祐一郎塾長のあいさつの後、司会の青野由利・毎日新聞論説委員が
iPS細胞研究の全体像を紹介。

文部科学省ライフサイエンス課の菱山豊課長が、
iPS細胞研究に関する政策を説明。
国は、「iPS細胞研究等の加速に向けた総合戦略」を策定、研究を支援。
文科省の09年度予算案では、iPS研究に関連する予算が45億円。
「iPS細胞研究が重要だと考え、集中して予算を確保。
iPSへの期待は大きく、皆さんのご支援を賜りたい」

山中センター長は、iPS細胞の可能性と課題について分かりやすく解説、
「Myc」(ミック)と呼ばれる遺伝子を題材。
Mycは、皮膚細胞などからiPS細胞を作る際に導入された4遺伝子の一つ。
がん遺伝子としても知られる。
「Mycは、腫瘍形成という点では悪者だが、
完全な初期化を促進するという善の部分もある。
初期化が不完全だと未分化の細胞が残り、特殊な腫瘍ができる。
単純に、化合物に置き換えるのがいいのかどうかは疑問。
ミック君の運命はどうなるのか?
iPS細胞研究は奥が深い」と、ユーモアを交えながら問題提起。

坪田一男・慶応大教授は、「99年、角膜の幹細胞移植例を発表、
世界に先駆けた体細胞の移植として注目。
幹細胞による再生医療はすでに実現している。
マウスで、iPS細胞から角膜の細胞を作ることができた。
近い将来、ヒト細胞でもできる。
iPSの出現によって、涙腺の再生医療の道筋も見え、
患者さんを治せる希望が生まれた」

中内啓光・東京大教授らのグループも世界に先駆けて、
止血作用を持つ血小板をマウスとヒトの胚性幹細胞(ES細胞)から作った。
同じ培養系で、iPS細胞でも血小板を作ることに成功。
中内教授は、「出血系疾患の患者さん由来のiPS細胞を遺伝子修復し、
正常な血小板を作って自己輸血することが、理論的には可能な段階に」

高橋政代・理化学研究所網膜再生医療研究チームリーダーは、
サルのES細胞から作った網膜色素上皮移植成功などの実績を踏まえ、
iPS由来の色素上皮細胞や視細胞の作成に取り組み、
「再生医療は、必ず主流になる治療法であり、
企業の協力があれば、臨床応用がより早く進む」

福田恵一・慶応大教授は、心筋細胞のシートを作って、
心筋梗塞部分を修復できることを動物実験で明らかに。
心筋細胞は移植後に大きくなり、周辺から血管が入り込んで
血液が供給されることも確かめた。
「ES細胞で臨床試験をして、安全性が担保された時点で、
iPS細胞の臨床試験に取り組みたい」

体細胞の中でも、iPS細胞にしやすい細胞とそうではない細胞とがある。
松崎有未・慶応大特別研究准教授は、「脂肪や骨などに分化する
間葉系幹細胞だと、高品質のiPS細胞ができる」

岡野栄之・慶応大教授は、iPS細胞を使った中枢神経系再生の
世界最先端の成果を詳しく発表、「ゴールが近づいてきた」

羽鳥賢一・慶応大知的資産センター所長は、iPS細胞をめぐる特許が
出願された経過を時系列的に説明、
大学の特許収入は、米国では年間2000億円超、日本は13億円しかない。
米国には仮出願制度があるが、日本にはないなど、
日米の特許制度には違いがある。
米国の制度をよく理解して対応する必要がある」

iPS細胞研究には、製薬会社などの企業の関心も高い。
中西淳・武田薬品工業開拓研究所主席研究員は、
「iPS細胞を使うと、創薬スクリーニングや薬効評価、安全性評価に
活用できる可能性は非常に高い」
「ヒトの組織細胞の機能をきちんと反映しているか、
分化して成熟細胞になるまでの期間を、どれだけ短縮できるかが課題」

日本せきずい基金の大濱眞理事長が車椅子で演台に。
大濱理事長は、幹細胞移植を受ける海外のツアーに
70カ国1200人が参加したという現状を紹介、
「患者は先行きが見えないことに焦燥感を抱いている。
iPS細胞樹立は希望の光。
患者団体にも分かりやすい形で、研究の環境整備を進めてほしい。
市場原理に任せていては、研究は進まない。
政府の援助による臨床応用が不可欠だ」

◆基調講演
◇「遺伝性」の治療も可能に-岡野栄之(慶応大医学部教授)


私たちは幹細胞の技術を使って、中枢神経系の再生に取り組んできた。
中枢神経系の再生研究の中で、最も歴史が古いのはパーキンソン病の研究。
ドーパミン・ニューロン(神経細胞)が脱落する病気で、
根本治療はニューロンの再生。

劇的な治療効果を示した例もあり、世界で200例ほど行われたが、
量的な制約や倫理的問題が。そこで、幹細胞研究に移った。
1月23日、FDA(米食品医薬品局)は、米ジェロン社によるヒトES細胞を使った
脊髄損傷治療の臨床試験を承認。
損傷から7~14日の亜急性期で、炎症が治まった時期に移植。
この時期の移植がベストであることは、私たちが動物実験で明らか。
受精卵由来のES細胞には、倫理的な問題や拒絶反応の問題が。
体細胞の初期化が次のステップに。

私たちは、脊髄損傷に対する再生医療のスーパー医療特区の申請、採択。
日本発の医薬品を使って、損傷後まもない急性期の治療、
亜急性期の細胞移植治療の臨床研究をしたい。

iPS細胞については、ES細胞ですでに確立していた方法で、
神経系細胞を誘導することができた。
安全性を考え、腫瘍化するかどうかが大事。
iPS細胞から誘導した神経前駆細胞の集団の中に、
未分化の細胞が0・01%混入していると腫瘍が形成される。

腫瘍形成しないことを確認した神経前駆細胞を、
損傷後9日目に後肢マヒのマウスに移植。
有意な運動機能の回復が見られた。
ヒトiPS細胞に由来する神経前駆細胞を、免疫不全マウスに50万個移植。
運動機能は有意に回復し、前肢と後肢の協調運動も。
iPS細胞由来の神経前駆細胞移植の治療効果を、
世界に先駆けて示すことができた。

今後、疾患に特有の神経細胞を作って、病気の原因を明らかにしたい。
将来は、遺伝性疾患の細胞治療も可能になる。

◆特別講演
◇課題克服へ貢献責務--山中伸弥(京都大iPS細胞研究センター長)


iPS細胞をつくるのに必要なのは、数ミリの皮膚細胞。
これを培養し、3つ、あるいは4つの遺伝子を導入すると、1カ月でiPS細胞に。
ヒトES細胞にそっくりな細胞で、半永久的に増やすことができる。
増やした後で分化誘導法を適用すると、例えば拍動する心筋細胞や、
ドーパミンを作る神経細胞ができる。

iPS細胞で何ができるのか?
患者さんからいただいた皮膚細胞でiPS細胞を作り、
それを元に神経や内臓の細胞を作る。
心臓に疾患のある患者さんの心臓の細胞を使って研究する、
薬の開発をするということができる。

運動ニューロン病を例に。運動神経の異常により、筋力低下をきたす病気。
代表例は脊髄性筋萎縮症(SMA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、
いずれも有効な治療法はない。
原因の一つは、よい病態モデルがない。
iPS細胞の技術を使えば、患者さんと同じ遺伝子を持った
運動ニューロンを作り、原因解明の研究ができる。
ようやくスタートラインに立てる。薬の毒性、副作用の評価にも使える。

細胞移植治療、再生医療への応用も期待。
患者さんご自身の細胞を使うので、倫理的な問題は少なく、
拒絶反応の心配もない。

課題もたくさん。
分化誘導法は、肝臓や膵臓の細胞については十分ではない。
いかに病態を再現するかも課題。
再生医療のハードルはさらに高い。初期化誘導に伴う安全性の問題が。
一番心配していることは、腫瘍の形成。移植法の開発も必要。
臨床試験をできるレベルには達していない。

iPS細胞は世界に広がっている。
3000人以上の研究者が入手し、研究論文も増えている。
日本もきちんと貢献することが私たちの責務。

◆安西祐一郎・慶応義塾長あいさつ

世界のフロンティアで活躍されている先生方の講演で、とても楽しみ。
文部科学省の再生医療実現化プロジェクト・ヒトiPS細胞等研究拠点の
整備事業では、慶応大が京都大、東京大、理化学研究所とともに選定、
協力して研究を進めている。

スーパー特区プロジェクトもあり、岡野栄之教授を代表研究者として、
中枢神経系の再生医療のための先端医療開発プロジェクトが採択。
治療法の確立されていない脊髄損傷、脳梗塞、筋萎縮性側索硬化症など
中枢疾患系の疾患に対する研究。
中枢神経系の再生医療の実現を目指し、臨床応用への研究を加速。
iPS細胞の研究は、世界的な競争の真っただ中に。
日本のiPS細胞研究が、今後の医学研究を切り拓いてほしいと念願。
==============
◇iPS細胞
神経や筋肉、内臓の細胞など、あらゆる細胞に分化しうる能力を持つ
万能細胞の一種。
山中伸弥・京都大教授らが、06年世界で初めてマウスのiPS細胞を作成、
07年にはヒト細胞でも成功。
従来、万能細胞として期待されてきた胚性幹細胞(ES細胞)は
受精卵を壊して作るため、倫理的な問題を抱えていた。
iPS細胞は、患者本人の細胞から作り、倫理的問題は少ない。
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◇講演者一覧
■「文部科学省におけるiPS細胞研究への取り組み」
 菱山豊・文部科学省研究振興局ライフサイエンス課長

■「iPS細胞を用いた角膜、涙腺の再生プロジェクト」
 坪田一男・慶応大医学部教授

■「iPS細胞からの血液系細胞の誘導」
 中内啓光・東京大医科学研究所教授

■「網膜変性疾患とiPS細胞」
 高橋政代・理化学研究所網膜再生医療研究チームリーダー

■「iPS細胞がもたらす循環器疾患診療へのインパクト」
 福田恵一・慶応大医学部教授

■「高純度体性幹細胞を用いたiPS細胞誘導の高効率化と高品質化」
 松崎有未・慶応大医学部特別研究准教授

■「先端医療分野の知財戦略」
 羽鳥賢一・慶応大知的資産センター所長

■「iPS細胞と次世代創薬」
 中西淳・武田薬品工業開拓研究所主席研究員

■「患者の望むiPS細胞治療:その道筋」
 大濱眞・NPO法人日本せきずい基金理事長

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/02/17/20090217ddm010040127000c.html

2009年2月26日木曜日

住田町21年度予算案 一般会計は42億円

(東海新報 2月24日)

住田町は、21年度の各種会計当初予算案を発表。
行政運営の柱となる一般会計は、42億5900万円で、現年度当初比13・4%増。
新規事業として盛り込んだ町運動公園改修事業(4億1100万円)が
増額の主な要因で、父子家庭への児童扶養手当支給開始や
医療費助成の対象を中学生まで拡大するなど、子育て支援対策の拡充を図る。
特別会計を含めた総額は、61億3900万円(現年度当初比6・8%増)、
これら予算案は町議会三月定例会に提案。

同町の21年度各種予算規模は、一般会計42億5900万円、
特別会計18億8000万円で、総額は61億3900万円(現年度当初比6・8%増)。
予算編成にあたっては、総合計画前期基本計画に掲げた
四大プロジェクト(交流ステップアップ、定住システム構築、暮らし豊かさ実感、
心豊かさ満喫)の達成に向け、緊急度や重要度による取捨選択を行い、
効果的に展開することに重点。

一般会計は、現年度当初に比べて5億300万円(13・4%)増。
歳入は、地方交付税18億8800万円(現年度当初比0・3%増)、
町税4億3100万円(同2・9%減)、町債6億8200万円(同83・9%増)、
繰入金2億9800万円(同38・4%増)、県支出金2億9300万円(同42・7%増)など。
依存財源が、31億9000万円(同14・7%増)、全体の7割余り。

歳出を目的別にみると、民生費7億6400万円(同1・0%増)、
公債費6億2800万円(同2・4%減)、総務費6億900万円(同32・1%増)、
教育費7億7200万円(同72・8%増)、土木費3億7900万円(同8・4%減)、
農林業費4億4100万円(同23・3%増)など。

性質別内訳では、投資的経費となる普通建設事業費が
運動公園改修事業に伴い、78・0%増の9億8900万円。
義務的経費では、人件費を0・3%減の8億9100万円に抑えた。

新規事業の主なものでは、野球場拡幅を柱とする運動公園改修事業に
4億1100万円、子育て支援医療費助成事業に525万円、
父子家庭児童扶養手当給付事業に206万円、
町有林基幹作業道開設事業に6440万円、有住小スクールバス整備1380万円、
社会体育館改修事業(耐震補強など)に913万円、
栗木鉄山跡石垣等記録保存事業に206万円などを措置。

子育て支援医療費助成は、就学前児童を対象とした現在の助成を
中学生まで拡大し無料化。
父子家庭児童扶養手当給付は、従来母子家庭のみだった児童扶養手当を
父子家庭にも充てるもので、県内でも先駆的なケース。

町独自の安全・安心野菜認証制度をスタート。
雇用対策として、林業担い手対策事業による新規就業者への補助枠を拡大、
国からの緊急雇用創出事業臨時交付金により、
県が創設する基金を活用した取り組みも計画。
10月から、一般旅券(パスポート)発給事業も始める。

特別会計のうち、簡易水道事業特別会計では、
民営川口簡易水道を統合して再編を行うことから、
予算額は現年度当初費15・7%増の1億9300万円。
介護保険特別会計(保険事業勘定)は、第四期計画の見直しから
4・1%増の6億2600万円。

新年度予算案について、多田欣一町長は、「堅実型の予算編成となった。
引き続き自立した自治体経営を持続していくため、
効率的でコスト意識をもった行政運営を推進し、町行政改革大綱や
中期財政計画に掲げた目標を確実に達成していきたい」

http://www.tohkaishimpo.com/

クローズアップ2009:企業スポーツ、第2の苦境 日産、ホンダなど次々休廃部

(毎日 2月13日)

世界的な経済危機が、国内のスポーツ界に大きな打撃を与えている。
90年代のバブル崩壊で企業スポーツは、次々と活動中止に。
「第2波」が追い打ちをかける形となり、日産自動車が
野球部、卓球部、陸上部の休部を決め、リストラが相次ぐ。
トップレベルの選手を支えてきた企業スポーツは、逆境にさらされながらも、
新たな展開を模索する動きも出ている。

日産のリストラ策では、09年3月期決算の営業損益が約1800億円の赤字に
陥るとして、従業員2万人の削減が打ち出された。

90年代の経営危機の際、日産は2チームある野球部を存続。
横須賀市に本拠地を置いた野球部の遠征費、用具費など運営費は、
年間約3億円。35人いた部員、スタッフは、
シーズン中になると業務を免除されて野球に専念。
99年度末、グループ全体で3兆円近い負債を抱え、
野球部は休部やむなしの状況だったが、ゴーン社長は
「社員の帰属意識の向上に貢献する」として存続を決断。

部員数や、シーズン中の業務免除こそ10年前と変わっていないものの、
年間運営費は大幅に削減された。
ただし、約1800億円の営業赤字に対し、
野球部休部による削減効果は大きい金額ではない。

東芝の野球部監督や関連会社の社長を務めた経歴を持つ
日本野球連盟の鈴木義信副会長は、「経営者は株主を含め、
対外的姿勢を見せなければならない。野球に理解があったゴーン社長が
心変わりしたのはそのためでは」
削減される社員の感情に配慮したとの見方も。

企業スポーツの調査を続けているスポーツデザイン研究所によると、
91~08年までに休廃部となった運動部は計324。
90年代後半から増え、98年に49、99年には58の部が活動を中止。
これをピークに減り始め、沈静化したかに見えたが、
昨秋から再び休廃部の波が襲ってきた。

昨年12月、プリンスホテルがアイスホッケーの西武プリンスラビッツを廃部、
ホンダも男子ハンドボール部の日本リーグからの撤退。
スポーツに積極的に取り組んできた日産の決定は、
こうした流れを「加速させるのでは」と危惧するスポーツ関係者は多い。

◇リスク回避へ複数企業から支援--社会との融和に活路

社員の福利厚生という目的で始まった企業スポーツだが、
社員の士気高揚や広告宣伝価値が求められた時代を経て、
さまざまな模索も始まっている。

新日鉄は、90年代バブル崩壊の教訓からスポーツ活動を
「所有から支援へ」という発想に。
バレーボール、ラグビー、野球の運動部を「広域チーム」とし、
複数の企業の支援を受ける仕組みを作った。
03年、新日鉄君津野球部を引き継いだ「かずさマジック」の鈴木秀範監督は、
「一つの企業に負担をかけないという考えでチームが発足」
特定の企業の経営問題で休部になるリスクは減った。

◇スポンサー獲得、目指す一流選手

オリンピックを目指すトップ選手の環境も変わった。
スポンサー契約を結んだり、契約社員になるケースが増えている。

98年長野冬季五輪の金メダリスト、スキー・ジャンプの船木和喜選手は、
自ら「フィット」という会社を設立。
船木選手は、「廃部でジャンプを続けられない人が続出しては、
日本ジャンプ界に将来はない」と会社のホームページで呼び掛け、
他の選手を受け入れながらスポンサー獲得やイベント活動をこなす。

休部が決まった日産自動車の卓球部にかつて所属し、
日本初のプロ卓球選手として活躍した松下浩二さんは、
「トップ選手の環境は良くなった」
その上で、「下の層の選手の受け皿が減っている。
上ばかりでは土台が広がらず、競技全体としてはマイナス」と課題。

新しい動きとして、スポーツを通じた社会貢献を打ち出す企業が増えてきた。
コニカミノルタは、06年「ランニングプロジェクト」をスタート、
陸上部で培ったランニングノウハウを、イベントを通じて一般の人に広めている。
池原実・広報グループ課長は、「スポーツも企業の財産であり、
それを社会に生かすのは十分可能だ」

サントリーのラグビー部が、小学生向けのラグビー教室を開いたり、
女子バスケットのジャパンエナジーが引退した元日本代表を中心に、
「バスケットボールクリニック」として全国を巡回する例。

リーグ戦を開催している団体競技が加盟する日本トップリーグ連携機構の
市原則之専務理事は、「企業の運動部は今後、社会に出て
存在価値を示さなければならない」

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/13/20090213ddm003050142000c.html

挑戦のとき/4 名古屋大教授・山口茂弘さん

(毎日 2月15日)

◇分子創出の魅力説く--山口茂弘さん(39)

「ちょっと下村先生風に」。
紫外線ランプを試験管にかざすと、液体が鮮やかな緑やオレンジの蛍光を発した。
昨年、ノーベル化学賞を受けた下村脩氏は、光るクラゲから蛍光物質を抽出、
この液体は山口さんらが化学合成した有機化合物。
プラスチックなどの有機化合物は、一般的には絶縁体。
分子の並び方によっては、電気を通すことがある。

有機半導体は、現在のシリコン半導体より軽く、柔らかい利点があり、
薄くて折り曲げられるディスプレーなど、未来のエレクトロニクスを支える素材に。

山口さんは、炭素や窒素、酸素を主体とした従来の有機化合物に、
あまり注目されていなかったケイ素やホウ素、硫黄などを巧みに組み込んだ。
これまで実現できなかった機能を持つ、新しい化合物を次々と生み出す。

「今ある素材に、とって代われる決定版でなければ意味がない。
構造を見ただけで、『山口のだ』と分かるような、
名刺代わりになる分子を創り出したい

子どものころは、国語などが好きだったが、高校時代に理科が好きになり、
「何となく研究者を志した」と振り返る。
決定的だったのは、京都大の入学パンフレットで合成化学科の欄に
書かれていた、「パイオニアを育てる」の文字。
「この一言だけで進学先を決めた」という。

「他人と違う分子を作ってナンボ」という雰囲気だったという大学院時代、
「シロール化合物」という分子の骨格に、ケイ素を組み込む反応法を考案。
この方法で合成したシロール化合物は、非常に高い効率で電子を運び、
携帯電話の画面の発光体などに実用化。

世の中になかった分子を、自分で設計して創り出せるのが化学の魅力。
技術の壁を打ち破るような分子は、見るからに美しい」と山口さん。
その美しさを表現しようと、論文などに掲載する化学構造式の書き方にも
工夫を凝らすほどの入れ込みよう。

35歳の若さで教授に抜擢、今でも学生実験の指導を受け持ち、
専攻の決まっていない1年生を相手に、新しい化合物を創り出す
化学の魅力を熱く説く。
理学部の中でも、化学科はトップクラスの人気を誇る。
「いつも学生と一緒にフラスコを振って、『なんで?』と悩み、
新しいものができたら喜び合っていたい」
==============
◇やまぐち・しげひろ

三重県生まれ。91年、京都大工学部合成化学科卒。
93年同大学院を中退、京都大化学研究所助手。
米マサチューセッツ工科大客員研究員を経て、05年から現職。
08年、文部科学省の「ナイスステップな研究者」に選ばれる。

http://mainichi.jp/select/science/rikei/news/20090215ddm016040037000c.html

国際協力と政策への関心強める米科学界

(サイエンスポータル 2009年2月19日)

米科学振興協会(AAAS)の年次総会は、
米国内の科学技術関係者が集まるだけでなく、国際交流の場、
科学を政策に活かす道を探る場としての性格を強めているようだ。

AAAS国際部からの招きで参加した
有本建男・科学技術振興機構社会技術研究開発センター長から
送られてきた報告から伺える。

科学誌「サイエンス」の発行元でもあるAAASの年次総会は、
シカゴで行われた。参加者は1万人。
基礎科学から教育、科学技術政策にわたる数多くのセッションが
設けられているのは、昔と変わらないようだが、
科学の国際協力に関するセッションが人気を集めていた。

有本氏が新しい科学技術政策のありかたを報告したのは、
「科学技術政策と変化する世界経済」というセッション。

パネリストは、欧州連合(EU)研究総局長と全米科学アカデミー国際局長、
AAAS国際部長兼科学外交センター長という顔ぶれ。
科学外交センターは、AAASに設置されたばかりの組織で、
国際部長を兼ねる科学外交センター長は国務省出身者。
この人物によって、セッション「科学技術政策と変化する世界経済」が企画、
その他、国際協力関係のセッションも増えた。

「東アジアの科学政策と新たなグローバル実態」は、
日本の科学技術政策研究所が幹事、中国と韓国が参加したセッション。
「外交のための科学:北朝鮮との科学協力構築」というセッションは、
AAASとシラキューズ大学、ニューヨーク・コリア協会、NGOの4者が協力して
北朝鮮との非軍事の科学・教育協力を企画、
ピーター・アグレ次期AAAS会長(2003年のノーベル化学賞受賞者)の主導。

「科学の国際化:未来を見る」、「外交の新しいツール:環境変化、保護、対立」、
英王立協会長とハンガリー・アカデミー会長による
国際科学協力に関するレクチャーなどが設けられた。

マカーシー新AAAS会長の就任演説は、地球温暖化問題に
多くの時間を割くとともに、オバマ政権への大きな期待を示す。
今年は、リンカーン大統領の生誕200年に当たる。
ダーウィンの生誕200年、「種の起源」出版150周年にも当たり、
総会テーマ「われわれの惑星とその生命 -起源と将来」が設定。

マカーシー会長は、オバマ大統領がリンカーン大統領と同様な
国家の非常事態に直面、リンカーン大統領が特許の取得や農業技術を振興、
科学アカデミーの創立、大学のために用地を無償で払い下げる制度を確立、
科学を尊重したことをたたえた。

いま、科学に対する政治的なリーダーシップが必要であること、
オバマ大統領が科学界から有能な人材を新政権の要職に登用したこと、
科学の情報と知識を大統領が活用してくれることに、大きな期待を表明。

大統領への科学的助言、議会への科学的助言、新政権の科学技術政策、
科学と政策決定との連結といった、科学と政策を結びつけるテーマのセッションも、
それぞれ多くの参加者を集め、オバマ新政権への期待の大きさ。

科学者の社会的貢献について、ゴア元副大統領も招待講演の中で触れ、
「科学と社会との間には距離がある。公共サービス部分(新政権内)に行った
科学者たちとの間に距離はできるが、彼らとのコミュニケーションを維持してほしい」
と科学者たちに要請。

来年2月、サンディエゴで開かれる次のAAAS年次総会のテーマは
「Bridging Science and Society(科学と社会を架橋する)」
ことしは、「科学は社会のために役立たなければならない」というブダペスト宣言が、
世界科学会議で採択されて10年目。
「社会のための科学」を追求し、政策の中に科学の力を活かそうとする。
そんな動きが、今後、米国で活発化するのではないか。

http://www.scienceportal.jp/news/review/0902/0902191.html

2009年2月25日水曜日

陸前高田市新年度の一般会計予算案発表

(東海新報 2月21日)

陸前高田市は、平成21年度の当初予算案を発表。
一般会計の総額は、103億4000万円で、
現年度当初比1億7600万円(1・7%)増。

新規事業の主なものは、三月末で廃止される
大船渡公共職業安定所陸前高田出張所に代わる職業相談所を設置、
農林水産業の振興に向けた各種施策を展開。
プレミアム商品券発行に助成、定額給付金の支給を見込んだ事業を盛り込み、
教育関係では第一中学校体育館の改築に向けた調査費を計上。
特別会計も含む予算案は、市議会三月定例会に提案。

新年度予算案の編成にあたり、中里長門市長は
「限られた財源が、最大限有効に活用されるよう事務事業を取捨選択し、
市総合計画後期基本計画の中間点検結果で明らかになった課題に、
積極的に取り組んでいけるよう心掛けた」

「今後も当面、単独市を継続するため、中長期的財政見通しのもと、
一層の歳入確保や事業量の適正配分、消費的経費の節減に努め、
収支均衡のとれた財政構造の確立と財政の健全化を最優先に進めていく」

市政運営の柱となる一般会計予算の総額は、103憶4000万円。
歳入は、地方交付税が現年度当初比1・5%増の47億2000万円、
市税は、団塊の世代退職や経済の低迷で2・0%減の17億8636万3000円、
国庫支出金9億848万3000円、市債7億7880万円。

歳出は、民生費が現年度当初比0・1%減の27億8287万9000円、
公債費が同0・7%減の18億5134万円、土木費11億9847万6000円、
総務費11億1508万9000円、教育費10億428万2000円、
農林水産業費8億6416万8000円、衛生費6億8328万2000円など。

性質別では、人件費が現年度当初比4・0%減の23億5233万円、
扶助費と公債費を合わせた義務的経費が1・6%減の55億2930万6000円。
普通建設事業費と災害復旧事業費を合わせた投資的経費は6・0%増の
14億556万8000円。

21年度末の市債残高見込みは、146億9550万9000円。
市民一人あたり59万8000円、ここ数年毎年減少。
特別会計を含む全会計の市債残高見込みは231億6796万8000円、
市民一人あたり94万2000円。

財政調整基金は、20年度末の残高見込みが約3億3900万円、
21年度に6000万円を取り崩し、同年度末には2億8000万円の見込み。
市債管理基金は、20年度末の残高見込みが3億6880万3000円、
21年度末3億5742万8000円。

経常収支比率は、20年度の88・2%に対し、21年度は87・8%と
0・4ポイント改善される見通し。
実質公債費比率は、20年度の18・4%に対し、21年度は19・0%見込み。

主な新規事業は、振興作物推進事業費450万円、
森林資源維持管理事業費500万円、
強い水産業づくり交付金事業費2217万4000円、
地域商品券利用推進支援事業費500万円、
地域職業相談室設置事業費447万円、地場産品販路開拓支援事業費200万円、
高等学校教育振興奨励事業費300万円、第一中学校施設整備事業費750万円など。

特別会計を含めた総額では、171億7910万8000円、
現年度当初比2億6211万4000円(1・5%)増。

http://www.tohkaishimpo.com/

インタビュー:逆風の企業スポーツ 大崎電気工業会長・渡辺佳英さん

(毎日 2月16日)

世界的な不況の中で、企業スポーツはどうあるべきか。
企業のスポーツとのかかわり方などを研究している
財団法人「大崎企業スポーツ事業研究助成財団」副理事長の
渡辺佳英・大崎電気工業会長(60)にインタビュー。

-大崎電気のハンドボール部は来年で50年。企業スポーツの意義とは?

◆費用対効果という位置づけでは、ここまで続かなかった。
チームは、父・和美(故人)が作った。
その後の日本のハンドボールの発展、普及に寄与した自負があり、
簡単にはやめられない。
大崎電気と言っても、何を作っているかは分からないけど、
宮崎大輔選手の活躍もあって、ハンドボールは知られている。
知名度アップには貢献した。

-今後の企業スポーツのあり方は?

企業が所有する形と、クラブを支えていく形の2本柱に。
ハンドボールの女子日本リーグは、6チーム中三つがクラブ。
広島メイプルレッズは、前はスーパー「イズミ」のチームだったが、
地元のいくつかの企業で支える形に。
この方式ならば、企業の負担も軽い。
1社で支えることだけを考えることはない。

-企業スポーツ財団の役割は。

◆企業スポーツに関する財団は、日本ではここしかない。
今、進めなければいけないのは、国の税制を変えてもらうこと。
文化・芸能分野に関しては免税措置があるのに、スポーツにはない。
企業がクラブを支援しても、広告宣伝費になってしまう。
文化事業と同じようにやってもらわなければいけない。
財団が、企業のオピニオンリーダーになっていきたい。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/16/20090216dde035050034000c.html

スポーツ21世紀:新しい波/292 武道の必修化/10止

(毎日 2月7日)

「ボクは武士道フリークや!」(小学館)は痛快な一冊。
交換留学生として日本に来たニュージーランドの高校生が、
剣道を始めたのを契機に武道にとりつかれ、
カンタベリー大学を卒業後、京大大学院に留学して
「実践系武道学者」に成長していくまでの物語を、
ユーモアたっぷり、関西弁でつづっている。

著者は武道社会学、武道人類学を提唱するアレキサンダー・ベネットさん(39)、
日本人の妻と京都府宇治市内で暮らしている。

近年の海外での武道熱の高まりに反して、日本人の武道離れを感じている。
課題の一つとして、日本の伝統文化としての武道に対する評価の低さ。
「武道をやっている人と、やっていない人の意識のギャップが大きい。
『武道は特別で、他のスポーツとは違う』と言いながら、
なぜ違うのか武道家は説明できていない」とベネットさん。

研究論文も、スポーツ科学的なアプローチがほとんどで、
武道の社会的、文化的価値の探求が十分でないのも一因。

複数の大学で講師を務める傍ら、ベネットさんは防具を使わない
剣道の指導法を推奨。
基本技を習得するために、用意するのは木刀だけ。
当たれば痛いので、安全性に配慮してルールは寸止め。
打つ方も打たれる方も、最初は怖くて仕方がない。
そこに緊張感が生まれ、打つ方は相手を傷つけないように気を配り、
打たれる方は相手を信じて身を任す。
それが礼だということを、学生は自然に気付いていく。

武道について、ベネットさんは「残心こそが命」。
技が決まっても、相手から目線を切ってガッツポーズをしない。
武道のルーツは真剣勝負であり、生きるか死ぬかの世界。
技が決まっても決まらなくても(審判が一本と認めても認めなくても)、
次の攻撃や相手の反撃に備える。

ベネットさんは書いている。
「残心とは、平たく言えば『決して油断しない』ということ」。
日常生活にも、あてはまる教訓だ。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

微生物の力で希少金属の利用効率向上

(サイエンスポータル 2009年2月20日)

資源量が少ない希少金属である白金の利用効率を、
微生物の力で高める方法が、日本原子力研究開発機構と
名古屋大学の研究チームによって見つけ出された。

日本原子力研究開発機構・先端基礎研究センターの鈴木義規・博士研究員、
大貫敏彦・研究主席らと名古屋大学エコトピア科学研究所の榎田洋一教授との
共同研究グループは、超ウラン元素と結合する性質を持つ鉄還元菌に着目。

この鉄還元菌を、白金酸溶液とパラジウム酸溶液に添加したところ、
菌の細胞表面にナノスケールの白金族粒子が生成することが確認。
表面にナノ粒子が生成された鉄還元菌細胞をケイ藻土に張り付け、
触媒としての効果を調べ、
白金粒子単体より約6倍高い効率を持つことが確かめられた。

白金は、燃料電池のほか自動車エンジンの窒素酸化物除去に
使われる触媒などに欠かせない材料。
生産量は限られていることから、代替材料探索とともに利用効率を高め、
資源枯渇時期をできるだけ先延ばしにする方法が求められている。

ナノ粒子は、表面積を増やすことで触媒効果が高まる効果が期待でき、
希少金属対策として安価なナノ粒子化技術の開発に各国が力を入れている。
微生物を利用する方法はこれまで例がなく、
研究チームは、実用化に大きな期待をかけている。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0902/0902201.html

2009年2月24日火曜日

「危機克服に総力結集」 知事が所信表明

(岩手日報 2月19日)

県議会2月定例会。
達増知事は、「経済危機に総力を結集して取り組む1年。
いわて希望創造プランを着実に実行し、逆風に立ち向かう体勢を
強化する1年にしていく」と所信表明。

2度の震災からの復旧・復興に加え、雇用の危機など厳しい状況が続く中、
県民が力を合わせて危機に立ち向かう重要性を主張。
希望に満ちた岩手実現にまい進する。

達増知事は、グローバル化した社会に対応するために
「県民一人一人が直面する危機を自分の問題としてとらえ、
解決に向けて行動することが重要」

直面する課題として、雇用の確保を挙げ、
「暮らしと雇用を守る諸施策を切れ目なく推進することで、
雇用危機に的確に対応する」
さまざまな危機を希望に転換させるため、
「いわて希望創造プランに掲げた新地域主義と岩手ソフトパワーの
基本戦略のもと、政策の6本の柱を着実に推進する」

社会資本、交通ネットワーク、情報通信基盤整備に着実に取り組むほか、
グローバル化に対応した岩手の未来とその実現に向け、
「新しい長期計画」を策定する方針を表明。
国庫補助事業をめぐる県の不正経理問題で失った
県民の信頼回復を目指し、職員一丸となって努力する決意も示す。

本会議の冒頭、会期を3月25日までの35日間と決めた後、
総額6588億3700万円の2009年度一般会計当初予算案など
45議案を提案する。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090219_14

カゼ予防の秘訣は7時間以上の睡眠寝不足は免疫力を下げる原因

(日経ヘルス 1月30日)

7時間以上の睡眠をとることが、カゼにかからない秘訣であることがわかった。
寝不足では、ウイルスに抵抗する免疫機能が低下。

21~55歳の男女153 人に、2週間にわたって睡眠時間など
毎日の睡眠状況をたずねた。
カゼの原因の一つであるライノウイルスを含んだ液を鼻腔に投与。
その後、5日間、鼻水、のどの痛み、せきなどのカゼ症状の有無を尋ねた。

その結果、睡眠時間が7時間未満の人では、8時間以上の人に比べて
2.94倍もカゼにかかりやすく、7~8時間の人に比べても1.63倍と高い。
「朝起きたとき、休めたと感じたか」という質問もしたが、
休息感とカゼのかかりやすさとは関係がなかった。

(Arch. Intern. Med.;169,62-67,2009)

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20090130/103091/

クローズアップ2009:16年招致活動 東京五輪、三つの壁

(毎日 2月14日)

2016年の夏季五輪招致を目指す東京の「立候補ファイル」が
国際オリンピック委員会(IOC)に提出。

開催都市は10月に決まるが、東京には三つのハードル。
国会の招致決議の見送り、盛り上がらないムード、
オバマ米大統領の地元シカゴがひときわ存在感を放つ。
64年以来、約半世紀ぶりの開催を狙う東京の招致レースの行方を探った。

東京都の石原慎太郎知事は、「国民の7割が支持してるのに、
民主党が反対なんですか。はっきりしてもらいたいねえ」
表情は険しく、昨年6月のIOCの1次選考でトップ評価で通過した余裕はない。

東京都議会の民主は、都議選を控えた今年、都議団の田中良幹事長らが
党本部に国会決議に慎重な態度を求めた。
猪瀬直樹副知事が、民主党の鳩山由紀夫幹事長に決議を求めたが、
「都の情熱をまるで感じない」

五輪の開催費が巨額となり、最近の招致レースでは
政府の財政保証が大きなポイント。
12年五輪は、英国のブレア首相(当時)がIOC総会でロビー活動を展開、
政府の支援をアピール。

日本では、五輪やサッカーのワールドカップ(W杯)で
政府が財政保証した例はない。
東京五輪招致委員会は、政府が財政保証することを明確にした
国会の招致決議を実現して立候補ファイルに盛り込もうとしたが、
民主党が決議に応じなかった。
政府は、決議なしで麻生太郎首相のサイン入り財政保証書を発行。

ファイルには、資金不足に陥った場合の補てんについて、
「日本国政府及び東京都知事が、別添の通り、保証している」と記載。
保証内容などを記しているとみられる別添文書は、公表されなかった。
招致委の河野一郎事務総長は、
「当事者間の合意がない限り、公表できないと聞いている」

国会決議なしの財政保証には、法的な問題も指摘。
憲法85条には、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、
国会の議決に基くことを必要とする」
日本オリンピック委員会の幹部は、
「(決議なしの財政保証は)フライングではないか。新たな問題の火種に」

東京都の谷川健次副知事は、「国民、都民の熱意をひしひしと感じる」と強調。
先月、招致委が行ったインターネット調査では、
支持率が全国で70・2%(都内68・6%)と前回を上回った。

昨年6月公表のIOCの独自調査では、都民の支持率は59%。
当時、開催候補の4都市で最低。

危機感を募らせた招致委は、競泳の北島康介選手を
「五輪招致応援党首」として、イベントを積極的に仕掛けた。
招致活動費は、06年9月から今年10月まで都と招致委で計150億円。
国内世論の盛り上がりは、IOC委員に分かりやすい指標となるため、
さまざまな世論喚起を計画。

都内62の区市町村には、上限1000万円を助成、
3月末までに共同で126の招致活動を予定。
スポーツ選手のトークイベントや五輪の落語などで、
09年度も今年度と同額の6億2000万円を予定。
大盤振る舞いの招致活動に、都議会の後藤雄一議員は
「一種のばらまき。都民から招致機運が盛り上がっているかは疑問だ」

オバマ米大統領の就任は、シカゴの「追い風」に。
大統領選直後の昨年11月、オバマ氏は欧州オリンピック委員会総会に
ビデオメッセージを送り、「五輪は、人類を結びつけることが可能と
思い起こさせる祝祭だ。私は地元シカゴをずっと支援してきた」

最近の五輪開催地決定では、国家のトップがIOC総会に出席するのが通例。
IOCは、開催地が決まる今年10月まで、14年ロシア・ソチ冬季五輪と
16年夏季五輪の米国向けテレビ放映権の交渉開始を遅らせている。

米NBCが持つ10年冬と12年夏の五輪放映権料は、
計約22億ドル(約1980億円)。
IOCにとって、「ドル箱」の米放送局の意向が委員の投票を左右するとの見方。

夏季五輪の開催地を地域別で見た場合も、08年がアジア(北京)、
12年が欧州(ロンドン)で、米国は96年アトランタ以降開催がない。
米国は世界同時不況の「震源地」でもあり、財政を不安視する声も根強い。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/14/20090214ddm003050054000c.html

大きな町の小さな五輪:バンクーバー冬季大会まで1年/5止 目標高く、強化推進

(毎日 2月16日)

76年モントリオールと88年カルガリー。
自国で開催された2度の五輪で金メダルのないカナダが、
高い目標を掲げてバンクーバー五輪に臨む。
金メダル獲得数でトップになること。

「私にとって五輪とは、参加することに意義があるものだった」
カナダの伝説的スキーチーム「クレージー・カナック」の主力メンバーの一人、
70年代後半から80年代前半にかけて活躍した元五輪代表、
スティーブ・ポドボルスキーさん(51)。

W杯の滑降で8勝。
80年レークプラシッド五輪では滑降で銅メダルを獲得し、
北米の男子スキー選手として初めて五輪の表彰台。
「五輪で金メダルを取るためには、才能とともに、
経済的な支援が必要なことは明らかだ。
しかし私の現役時代、金銭的な援助を受けるには非常に高い壁があった」

「オウン・ザ・ポディウム」(表彰台を手に)というプロジェクトが動き出したのは、
03年夏バンクーバー五輪開催が決まった直後。
「金メダル獲得トップ」を達成するため、1億1000万カナダドル(約80億円)を
確保するとともに、ジュニア世代の強化、コーチの育成、スポーツ科学の研究--
といった強化策を推進する役割を担う。

同プロジェクトのロジャー・ジャクソン最高経営責任者(CEO)は、
「カナダ・オリンピック委員会や各競技団体などが、
初めて横断的に組織化されたプロジェクト」
これまでは「確固たる財源がなかったため、カナダ人にとっては、
五輪に出ること自体が大きな挑戦だった」、ポドボルスキーさんの言葉を裏付けた。

プロジェクトは、夏季競技をも統合する形で、
バンクーバー五輪終了後も継続される見通し。
全国4カ所に拠点を設け、選手を支えるシステムを維持する構想。

五輪をきっかけに生まれたプロジェクトは、他にもある。
ボランティアをコーディネートするオンラインのシステムが誕生、
現在は約1500団体が利用。
このシステムを五輪後、スポーツ以外の分野で活用しようという
動きも出始めている。

五輪によってまかれた種を、大きく育てていこうという数々の試み。
たとえ「金メダル数トップ」という目標は達成できなかったとしても、
バンクーバー五輪は、カナダの次世代のために「何か」を残すだろう。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/16/20090216ddm035050057000c.html

2009年2月23日月曜日

加工野菜を気仙産で 試験出荷へ情報交換

(東海新報 2月19日)

大船渡市に本社のあるカット野菜加工の㈱ハローワークとJAが、
気仙産加工用野菜の試験的な出荷に向けた検討を始めた。

気仙地方の温暖な気候を生かし、ハローワーク側では
キャベツやレタスをはじめ、多様な野菜栽培に期待を寄せ、
新たな産地化や遊休農地の解消などに向け、今後の展開が注目。

JA関係者は、工場内を見学。
キャベツやタマネギ、レタス、ジャガイモなど、さまざまな食材が
細かく切り分けられて袋詰めされる工程の説明を受け、
工場内での野菜管理、加工に理解を深めた。

ハローワークの錦山功専務が、「加工用の取引は年々量が増えている。
温暖化で春の到来も早まっている中、気仙で加工用野菜を作ってもらえないか
お願いしたい。まずは一つでもいいから、考えていただきたい」
同社側から、試験化に向けた流れや栽培方法などが提案。

同社は、全国各地から集めた野菜を加工し、東北一円の食品会社などに販売。
鮮度、品質両面を考慮し、県内各地の農家と契約を増やしているが、
県内でも温暖な気仙の気候に着目し、新たな契約栽培を目指す。

県内陸産は、6月中旬以降の出荷が主流となっているキャベツを、
気仙で5月中旬~6月上旬の収穫ができないか打診。
レタスやキュウリ、根菜類、菜の花など、加工用として需要がある
食材の出荷実現も提案。
JAおおふなと側では、「現時点では、まだこれから」と、
検討に着手する姿勢を示した。

農家側が、継続的に栽培できるような補償や価格を求めた一方、
シイタケやホウレンソウなど現状でも取引可能な食材名も挙がっていた。
加工用野菜は、スーパーなどへの出荷と同様に高品質を求めるが、
店頭販売で重要視される外見や手ごろな大きさ以上に、
重量が取引の大きな基準となる。
スーパー向けには出しにくい野菜も受け入れることができ、
農家側の出荷における〝棲み分け〟も可能。

ハローワークでは、コンテナ輸送が主流で、段ボール詰めや包装といった
コストが削減できる利点。
継続的な契約栽培を目指し、軌道に乗れば野菜の産地化や遊休農地解消
といった可能性も広がる。
錦山専務は、「スーパー向け、加工向けなど多様な出荷となれば、
農家側も安定的な経営に。温暖化の影響で、岩手で今までできなかった
種類の野菜栽培が可能。気仙に強い思い入れがあり、
年内にも実現できるよう前向きに考えてもらいたい」

http://www.tohkaishimpo.com/

無花粉スギ2万本大量生産 14年までに、花粉症に朗報

(2009年2月17日 共同通信社)

富山県は、人工交配で良質な無花粉スギを種子から大量生産する
技術を確立、2014年までに苗約2万本を出荷できると発表。

県森林研究所は、「全国に普及すれば、将来的に花粉症の減少が期待できる」
これまで、14年までに100本程度とされていた。

研究所によると、1992年に県内で発見した無花粉スギと、
「精英樹」と呼ばれる良質なスギを人工交配。
選別を繰り返し、「優良無花粉スギ」を作り出した。

このままでは花粉がないため受粉できず、種が得られない。
全国の精英樹の中から、無花粉スギができる遺伝子を持つものを選び、
その花粉と優良無花粉スギを交配、
約5割の確率で無花粉スギの種ができるようになった。

富山県は新潟、石川両県と共同で別に無花粉スギを開発。
無花粉スギでは、挿し木による増殖方法が中心で苗木の成育に時間がかかり、
14年までに出荷できるのは100本程度。

スギが木材として使える大きさに成長するには約30年かかり、
全国で年間約1700万本が植林されている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/2/17/91936/

逆風の中で:第2部・企業とスポーツ/8 澤野雅彦・北海学園大教授

(毎日 2月14日)

物を作ったら、作っただけ売れる時代は終わり、
今重視されているのは合理化。
生産現場では人が不要となり、チームワークも要求されない。
チームワークより、責任労働の比重が大きくなり、現場は縮小されていく。
会社のシンボルであり、社員の帰属意識や一体感を高めてきた
企業スポーツが発展していく可能性は小さい。

買収される心配がない企業は別として、今の経済情勢下では
スポーツ支援を株主が許さなくなっている。
このときとばかりに、自ら支援を打ち切るケースも。
1月のサッカー・アジア杯最終予選の日本-バーレーン戦に
スポンサーがつかず、テレビで生中継されなかった。
海外では考えられないこと。
本気で支援しようという日本企業がいなかった、と思わざるを得ない。

トヨタのような大企業は、数多くの競技団体にとって貴重な存在だが、
そんな大企業の支援も今後は不透明。
もし支援が打ち切られたら、現在の「企業とスポーツ」の関係は崩れてしまう。
その前に、何か別の方法を考える必要がある。

これまで、企業支援はメジャースポーツに偏りがち。
国民がスポーツを楽しむという観点では、
従来の企業スポーツの使命は終わったと言える。
スポーツをしている人が、どうやったら長く続けられるか。
五輪の優勝を目指すだけなら税金を使い、国がやればいい。
だが、トップ選手を作るだけでは何にもならない。

英国で5年ほど暮らしたことがある。
子供たちに人気があるのはサッカーだった。
競技レベルも高かったが、冬季スポーツや他の競技は人気はなく、偏りがあった。
日本では、中学・高校のクラブ活動でいろいろな競技に親しむ。
その後も、スポーツを続けることができる環境づくりが必要。
多くの人がスポーツを楽しめ、子供たちが後に続く。
そうでなければ発展はしない。

今後、企業はスポーツとどう関係すべきなのか?
北海道旭川市に、「キシイ」という建設設備会社がある。
大きな企業ではないが、支援するバスケットボールチームは
実業団連盟に所属し、国体で準優勝。
選手は、k有能なセールスマンとして働く。
社員として大きな戦力であれば、小さな企業でも雇うことは可能。
遠征費など負担は、年間数千万円程度で済む。
地方の小さな企業の選手が、五輪や国際大会に出場するのは簡単ではない。
そんな支援がなければ、限られた一部の選手以外が
国際大会に出場できなくなる日は、すぐそこまで来ている。
==============
◇さわの・まさひこ
経営学。日本の人事管理や企業とスポーツ、企業の社会貢献などを研究。
著者に「企業スポーツの栄光と挫折」「現代日本企業の人事戦略」など。
和歌山大経済学部卒。京都大で経営学の博士学位取得。57歳。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/14/20090214ddm035050027000c.html

大きな町の小さな五輪:バンクーバー冬季大会まで1年/4 利益独占に「風穴」

(毎日 2月15日)

バンクーバーのダウンタウンに、25年以上も地元の人たちに
親しまれているギリシャ料理店がある。

サントリーニ島をイメージした内装が印象的な小さなレストランに、
カナダ・オリンピック委員会(COC)から手紙が届いたのは、04年10月。
「費用を負担するので、店の名前とロゴのデザインを変えてほしい」という内容。
店の名は「オリンピア」。
ネオンサインなどに利用されているロゴは、確かに五輪旗や聖火をイメージ。
ある意味、五輪発祥の地・ギリシャの料理を出す店らしいデザイン。
オーナーのムーシ・アルバンドさんは、COCの要求を拒んだ。

88年に「オリンピア」で働き始め、92年にオーナーとなったアルバンドさんは
「五輪を利用してもうけようとしたわけじゃない。
店を買った時には、既にロゴは使われていた。
私は20年以上やってきたことを維持したいだけ」

反響は大きかった。
アルバンドさんを支持する6500通以上の署名が集まり、
海外からも激励のメールが寄せられた。
アルバンドさんのホームページには、
「犬でさえ、フェアでないことを知っている」とある。
常連客の飼い犬2匹も、足形を押して「署名」に協力してくれた。

モーリス・カーディナルさんは、カナダを代表する女性歌手、
アン・マレーのマネジャーとしてショービジネス界に長く身を置き、
現在は「五輪と地域ビジネス」という視点から、
バンクーバーをベースにユニークな評論活動を続けている。

五輪に関する著書もあるカーディナルさんは、「オリンピア」のケースを、
「スポンサー企業にだけ利益を分配する国際オリンピック委員会(IOC)の
手法に、風穴を開ける珍しい例だ」と位置付け。

世界的な不況は、イーストマン・コダック社などスポンサーの離脱という形で、
IOCに影響を与え始めている。
カーディナルさんは、「スポンサーを続けた価値をコダックにただしたら、
言葉を濁した。(IOCの)信用が落ちると、経済的価値も下落するということ」と、
IOCが作り上げたビジネスモデルが揺らぎ始めていると指摘。

COCからアルバンドさんへの連絡は、06年を最後に途絶えている。
商標に関する大会組織委員会(VANOC)の最新ガイドラインには、
「07年3月2日の前から使用されている名称などは、それを尊重する」と明記。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/15/20090215ddm035050053000c.html

2009年2月22日日曜日

逆風の中で:第2部・企業とスポーツ/7 村林裕・FC東京社長

(毎日 2月13日)

Jリーグは、93年の発足当時からサッカー以外のスポーツを含めた
総合クラブを理念に入れてきた。
FC東京も、03年からバレーボールが加わった。

サッカーで黒字が出ていれば問題はないが、
本業がきゅうきゅうとしている時に、赤字しか見込めない他競技を
受け入れることは経営としてありえない。
廃部する西武のアイスホッケーについて、
FC東京の本拠地(調布)が東伏見と近いということもあり、
一緒にやったらという声もあったが、正式に検討したことはない。

FC東京の営業は、徹底して現場主義。
一人一人を回って、理解と協力をしてもらう方法。
この不況でスポンサー集めは、確実に厳しくなっており、
二言目には「このご時世だから」。
東京だからといって、大きな網でドカンとやろうとしても、相手にしてくれない。
だったら一人一人を回るしかない。
効率はよくないが、ほかに方法はない。
観客にしても、町内会を回るなどの地道な努力を重ねている。
ファンからも(大々的に)PRをやった方がいいと言われるが、お金がかかる。

Jリーグは今後、1部、2部を合わせて40チームまで増やす構想で、
そうなると大半の都道府県にチームができる。
これまでの企業スポーツ一辺倒から、日本でも地域のスポーツクラブとして
認識され、普及したことの証明になる。
しかし、ドイツなど欧州と比べると、残念ながら歴史の違いがある。
地域のスポーツクラブが大きく成長してブンデスリーガになったところと、
いきなり「(Jリーグを)作りましょう」といった日本とでは違う。

Jリーグができたからこそ、地域密着という言葉が出てきた。
ここまでのところ間違っていないと思うし、
日本のスポーツ界、社会を変えた自負もある。
今あるクラブが完全に企業から離れ、地域を受け皿としてやれているかと
問われれば、できていないことは明白。
クラブの収入は、広告と入場料とリーグからの配分金などから成り立っているが、
30億円の入場料を稼ぐ浦和を除けば、
健全なバランスが実現できているクラブはない。

支えてくれる人たちは、長い付き合いの中で、
FC東京に対する思い入れを持ってもらっている。
「今は厳しいけど、一緒にやろうね」と言ってくれる。
我々は勝利だけでなく、何か別の形で誇れるものを持ちたい。
チーム設立から10年が過ぎ、次のビジネスモデルを考えなければならない時。
==============
◇むらばやし・ゆたか
慶大卒。76年、東京ガス入社。97年、Jクラブ創設準備委員会の発足に伴い、
責任者。98年のFC東京創設とともに出向。
常務、専務を経て08年2月から現職。
慶大大学院政策・メディア研究科教授も務める。55歳。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/13/20090213ddm035050011000c.html

大きな町の小さな五輪:バンクーバー冬季大会まで1年/3 運営費増に警戒感

(毎日 2月14日)

米国の金融危機に起因する世界的な不況のもと、
初めて開催されるオリンピック。
バンクーバー五輪は、そんな側面も持っている。

大会組織委員会(VANOC)は、大会運営費を16億3000万カナダドル
(約1200億円)から17億6000万カナダドル(約1300億円)に増額する
最終予算案を発表。
ジョン・ファーロング最高経営責任者(CEO)は、世界的不況に関して、
「大きな影響はない。施設建設や競技そのものに関して、
できる限りのことを続けている」という立場。
既設施設の有効利用や、ウィスラーで表彰式会場の建設を取りやめるなど、
経費抑制のための計画変更を行ったことなどが背景。

五輪開催に批判的な地元ブリティッシュ・コロンビア大学の
クリストファー・ショウ教授は、「五輪では一般的に、運営費が当初予定より
徐々に増えていく。バンクーバー五輪も当初、運営費は6億ドルとしていたはず」
今後も運営コストが増加するのではと警戒。

「五輪と経済」の絡みでは、選手村建設費の不足という問題も浮上。
市中心部に選手・役員5000人以上が宿泊する施設を建設し、
五輪後は住居やオフィスが入る複合施設に転用するという、
バンクーバー市主導の再開発プロジェクト。
建設費は、当初の約7億5000万カナダドル(約550億円)から
約8億7500万カナダドル(約640億円)に膨らんだ。

カナダには、76年モントリオール夏季五輪が残した苦い教訓。
大会は膨大な赤字を生み、長年にわたって公費で穴埋めすることを強いられた。
その結果が、84年ロサンゼルス大会で定着した、
五輪の商業主義路線への転換だった。

身の丈を超えた負担が、本来は教育や社会保障に充てられるべき
公費の削減につながることはないか。
「子どものころは五輪が楽しみだったけど、もはや参加する気にはなれない」
ショウ教授は、懸念をぬぐい去れないままでいる。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/14/20090214ddm035050034000c.html

「動かぬ研究者」こそ最大の危機

(日経 2月18日)

安井 至・前国際連合大学副学長、東京大学名誉教授

7870億ドルにおよぶ米国の景気対策が上下両院を通過し、
いよいよ動き出すことに。

第1の項目が、奇妙な組み合わせで、"Infrastructure and Science"。
科学関連予算の金額と行く先は、10億ドルがNASA(宇宙開発)、
30億ドルがNSF(基礎科学と工学)、
20億ドルがDOE(エネルギー関係、高エネルギー物理、核物理)、
8.3億ドルがNOAA(気象科学)。

しかし、それ以外にも。
ヘルスケアという項目に、100億ドルが健康研究とNIH(国立衛生研究所)の
施設拡充に用いられる。
エネルギーという項目にも、研究という項目がいくつか入っている。
中でも気になるのが、25億ドル程度で、
エネルギー効率と再生可能エネルギーの研究という項目。
化石燃料についても研究という言葉が入っている。
合計すると、200億ドル余、日本円にすれば1.8兆円。

これだけの予算によって、何が行われるか。
重要なポイントは、この研究費で、米国の科学者の動きがどう変わるか。
今回の投資によって、これまで他の分野で著名だった研究者が、
一気に環境エネルギー分野に飛び込むのではないか。

日本の科学技術予算の基本方針は、競争的資金の拡大と、
運営費交付金のような非競争資金の削減。
理由は、投資効果が明瞭に分かるような、直接的な成果が出る研究を推進。

その結果、自分の専門を動かさない傾向が強かった日本の研究者が、
ますます自分の領域に閉じこもり、その中だけで論文を書いていく傾向。
理由は、論文の生産性が高く有利であり、かつ楽だから。

科学研究費が主な研究費の資源である以上、
ある研究コミュニティーの中で有名になり、学会賞などを得ることが、
予算獲得面から見れば最善の方策。
他の研究領域に移動することが、なんら有利な状況を生み出さなかった。

今回の米国の景気対策をもう少々細かく見ると、
エネルギー関係では、さらに重要なことがある。
20億ドルが、先進自動車用バッテリー生産の支援に使用され、
11億ドルが、スマート電力供給網に使用されること。

基礎研究を支援するだけでなく、生産に係る応用研究や開発まで、
まとめて支援しようとしている。

日本の省エネ技術などは、世界をリードし、
米国の2歩先を歩んでいるものと考えられてきた。
米国に追いつかれ、一気に追い越される可能性が強くなった。

日本で何か対策がとれるのか?
現在の日本の研究者のマインドでは、新分野に研究費があっても動くことはない。
研究のニーズがいくらあっても、その領域の研究は進展しない。
新人がいたとしても、管理者である教授が自分の分野に縛り付けるから、
新しい分野で挑戦をする新人が育つこともない。

現時点での日本の最大の危機、それは誰も足を動かさないこと。
対温暖化政策を見ても、すべて同じ状況である。
未来を担うべき研究者が動かない状況は、ますます悪化しつつある。
大学への研究費配分に関しても、一度、根底から見直すことが必要。
社会のニーズに応えるのが、大学の一つの重要な使命。

http://allatanys.jp/B001/UGC020001820090217COK00233.html

「沿岸南部クリーンセンター」5月から本格着工へ

(東海新報 2月17日)

気仙三市町と釜石市、大槌町の廃棄物処理を担う
岩手沿岸南部広域環境組合議会定例会が開かれ、
新年度の一般会計予算などが可決。

予算では、釜石市内に整備し、22年度内の完成を目指す
「岩手沿岸南部クリーンセンター」の工事費として36億円、
施設本体の本格着工開始時期が5月予定。

管理者の野田武則釜石市長は、クリーンセンター整備における関連道路や
周辺環境整備工事が昨年12月から始まった。
施設本体の建築確認申請は今月予定、認可が下りるのは5月との見通し。
野田市長は、「5月内に起工式を行い、本格的な建設工事に着手したい」

一般職の旅費に関する条例一部改正や20年度補正予算、
県市町村組合事務組合規約の一部変更などを承認。
21年度の組合会計予算も可決。

新年度予算は、歳入歳出ともに37億6355万8000円、
前年度よりも25億4476万円上回る大幅増。
施設建設費歳出における工事請負費は、施設工事費全体の約4割、36億円。
財源は、組合債が約23億1000万円、国庫支出金は約9億7000万円。
市町分担、負担金は約4億8000万円。

負担割合は、各市町からの処理量などによって算出。
大船渡市は約1億2700万円、陸前高田市は8100万円、
住田町は約2300万円。

クリーンセンターの建設場所は、釜石市平田地内で現在稼働している
「岩手オートリサイクルセンター」付近の約2万1000平方メートル。
シャフト式ガス化溶融炉のごみ処理施設など整備し、
一日処理能力は147トンを見込み。

設計から建設、運営管理までを民間事業体に一括して委ね、昨年5月に入札。
参加は、新日鉄エンジニアリング(株)と日鉄環境プラントサービス(株)による
グループ一社のみ。
入札価格は、194億2500万円。建設工事費は約97億円。

一般ごみをまとめて処理することで、ダイオキシン類の発生抑制、
環境への影響低減などが期待、
大事業であるため、今後の各市町における財政負担や
ごみ排出量削減への取り組みも注目。

出席議員から、「構成市町では、ごみ削減に積極的に取り組み始めている。
組合としても本格的に進めるべきでは」
事務局側では、各市町の取り組みをお互い情報共有できる体制づくりを
さらに進めながら、住民の意識高揚を図る意向を示した。

http://www.tohkaishimpo.com/