(毎日 2月15日)
バンクーバーのダウンタウンに、25年以上も地元の人たちに
親しまれているギリシャ料理店がある。
サントリーニ島をイメージした内装が印象的な小さなレストランに、
カナダ・オリンピック委員会(COC)から手紙が届いたのは、04年10月。
「費用を負担するので、店の名前とロゴのデザインを変えてほしい」という内容。
店の名は「オリンピア」。
ネオンサインなどに利用されているロゴは、確かに五輪旗や聖火をイメージ。
ある意味、五輪発祥の地・ギリシャの料理を出す店らしいデザイン。
オーナーのムーシ・アルバンドさんは、COCの要求を拒んだ。
88年に「オリンピア」で働き始め、92年にオーナーとなったアルバンドさんは
「五輪を利用してもうけようとしたわけじゃない。
店を買った時には、既にロゴは使われていた。
私は20年以上やってきたことを維持したいだけ」
反響は大きかった。
アルバンドさんを支持する6500通以上の署名が集まり、
海外からも激励のメールが寄せられた。
アルバンドさんのホームページには、
「犬でさえ、フェアでないことを知っている」とある。
常連客の飼い犬2匹も、足形を押して「署名」に協力してくれた。
モーリス・カーディナルさんは、カナダを代表する女性歌手、
アン・マレーのマネジャーとしてショービジネス界に長く身を置き、
現在は「五輪と地域ビジネス」という視点から、
バンクーバーをベースにユニークな評論活動を続けている。
五輪に関する著書もあるカーディナルさんは、「オリンピア」のケースを、
「スポンサー企業にだけ利益を分配する国際オリンピック委員会(IOC)の
手法に、風穴を開ける珍しい例だ」と位置付け。
世界的な不況は、イーストマン・コダック社などスポンサーの離脱という形で、
IOCに影響を与え始めている。
カーディナルさんは、「スポンサーを続けた価値をコダックにただしたら、
言葉を濁した。(IOCの)信用が落ちると、経済的価値も下落するということ」と、
IOCが作り上げたビジネスモデルが揺らぎ始めていると指摘。
COCからアルバンドさんへの連絡は、06年を最後に途絶えている。
商標に関する大会組織委員会(VANOC)の最新ガイドラインには、
「07年3月2日の前から使用されている名称などは、それを尊重する」と明記。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/15/20090215ddm035050053000c.html
0 件のコメント:
コメントを投稿