(毎日 2月17日)
「プロスポーツの私たちにとって、別の話だと理解している」。
Jリーグ横浜F・マリノスの運営会社の資本金(3000万円)のうち、
約93%を出資する日産自動車が、野球部や陸上部、卓球部の休部を
含む業務改善策を発表。
横浜マの斎藤正治社長は、即座にクラブへの影響を否定したが、
その表情は厳しかった。
Jリーグ発足時からの強豪で、固定ファンも多い横浜マ。
07年度の営業収入は、Jのクラブで2番目に多い約49億円。
入場料収入は約8億4000万円で、26億円超が広告料収入。
大部分を、日産自からの広告料が占める。
05年度から3年間の各クラブの経営状況を見ても、
横浜マの05~07年度の営業収入は3年連続で上から2番目だが、
広告料収入は25億円超で推移し、3年連続の1位。
Jのクラブの中では高収入ながら、親会社の影響を受けやすい経営。
「世界不況」の影響は、選手補強の面で昨年末に表面化。
スコットランド・プレミアリーグ、セルティックのMF中村俊輔の1月獲得断念。
日産自から億単位の移籍金について支援の約束を取り付け、
3月のシーズン開幕に間に合う1月中に獲得する方針が、
円高や販売不振などが日産自の経営を直撃して事態が急変。
横浜マの斎藤社長は、移籍金捻出が困難になったとして、1月獲得断念。
主力選手のうちDF中沢、FW坂田の流出は阻止できたが、
MF田中隼は名古屋へ、FW大島は戦力外通告を受け、新潟へ移った。
今季、チームは目立った補強をしない緊縮体制をとった。
中村俊について、斎藤社長が「彼がいるのといないのとでは、
チーム力が大きく変わる」と、契約切れで移籍金が生じなくなる
セルティックのシーズン終了後の6月にも獲得に動くことを明言。
そのさなかでの日産自の赤字転落。
今後の支援がさらに厳しくなるのは明らかで、中村俊の獲得について
斎藤社長は、「与えられた予算のなかで、やりくりして事業を進めるだけ」
契約切れで他クラブとの競争になる可能性もあり、
2億円前後とも言われる高額年俸の用意など、クリアすべき課題も多い。
年俸相場が急騰した欧州リーグなどと、Jリーグの経営規模の格差は
大きく開いてきている。
リーグ創成期には数多かった「国際的スター選手」は減り、
各チームとも「身の丈」に合った運営を模索。
横浜マの苦悩は、そんな現状を象徴する出来事の一つ。
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◇Jリーグ各クラブの経営状況
Jリーグでは05年度からJ1、J2各クラブの年度別「経営成績」と
「財政状態」を開示、ホームページなどで公開。
最新の07年度開示資料によると、各チームの営業収入は
浦和の約80億円がトップ。横浜マが約49億円、鹿島・約40億円、
名古屋・約36億円、J1のチームの平均は約33億円。
各チームとも、営業収入とほぼ同額の営業費用を計上、
営業利益の平均は約1100万円。
各チームとも、入場料収入を広告料収入が上回っているが、
浦和は入場料収入が約30億円でJ1のチームで唯一、
広告料収入(約24億円)を上回っている。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/17/20090217ddm035050018000c.html
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