(毎日 2月16日)
東京ガスは、09~13年度の5年間を対象にした中期経営計画を発表。
計画では、「環境を基軸とした価値創造」を3本柱の一つに据え、
CO2排出量の削減効果が期待される燃料電池の普及や、
太陽光など再生可能エネルギーの利用促進を盛り込んだ。
--地球温暖化防止のため化石燃料の使用抑制が必要。
◆天然ガスに含まれる炭素は比較的少なく、燃やした際のCO2排出量は
石炭を100とすれば、石油は80、天然ガスは60程度。
燃料を石油から天然ガスに置き換えるだけで、25%もの削減効果。
今後、10~20年で日本のCO2排出量を15~20%程度減らすなら、
天然ガスの利用促進が一番簡単な解決法。
--環境対応はどう強化していきますか。
◆中期経営計画では、再生可能エネルギーを事業の中に
取り込む方向性を示した。
東京ガスは、家庭用の給湯機器などを販売し、工場やビルには
ガスを活用した冷暖房設備を納めてきた。
今後は、「総合エネルギー事業」を目指し、太陽光発電を組み合わせた
省エネ設備を家庭、企業に提案。
--09年度から家庭で発電する燃料電池「エネファーム」の販売を開始。
◆燃料電池は、水と天然ガスから水素を取り出し、酸素と化学反応させて発電。
発電所では、発電の際に発生する熱の大半を空気中や海に捨てるが、
燃料電池の場合、熱は給湯・暖房用に有効活用。
火力発電所の電力を使った場合と比べ、エネルギー効率は約2倍、
CO2排出量も削減。
燃料電池では、発電に伴って新たに水が発生し、
その水は燃料電池内で再利用。
エネファームは、水という再生可能な資源を使ったシステム。
--販売目標は?
◆13年度に、累計で4万2000台を目指す。
実売価格は、工事費を含め1台300万円程度。
国から補助金(上限140万円)が出て、光熱費の節約効果も年6万円程度、
値段はまだまだ高い。
環境に関心が高い層に買ってもらい、量産効果などで価格を低下させたい。
--今後、家庭での発電が増えそうです。
◆従来、電力やガス事業者は遠隔地で大規模に発電やガスの製造を行い、
一方的に各地へ流してきた。
自分たちで作ったエネルギーを、自分たちで利用する「地産地消」が効率的。
今後、需要地がそれぞれ再生可能エネルギーを有効活用し、
それでも足りない部分をガス事業者が補完する役割を担うことが必要。
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◇まえだ・ただあき
東京大大学院修了(計数工学専攻)、70年に東京ガス入社。
商品技術開発部長などを経て00年に取締役、06年に副社長へ昇格。
現在は環境部などを担当。東京都出身。63歳。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/02/16/20090216ddm008020037000c.html
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