2009年2月22日日曜日

大きな町の小さな五輪:バンクーバー冬季大会まで1年/3 運営費増に警戒感

(毎日 2月14日)

米国の金融危機に起因する世界的な不況のもと、
初めて開催されるオリンピック。
バンクーバー五輪は、そんな側面も持っている。

大会組織委員会(VANOC)は、大会運営費を16億3000万カナダドル
(約1200億円)から17億6000万カナダドル(約1300億円)に増額する
最終予算案を発表。
ジョン・ファーロング最高経営責任者(CEO)は、世界的不況に関して、
「大きな影響はない。施設建設や競技そのものに関して、
できる限りのことを続けている」という立場。
既設施設の有効利用や、ウィスラーで表彰式会場の建設を取りやめるなど、
経費抑制のための計画変更を行ったことなどが背景。

五輪開催に批判的な地元ブリティッシュ・コロンビア大学の
クリストファー・ショウ教授は、「五輪では一般的に、運営費が当初予定より
徐々に増えていく。バンクーバー五輪も当初、運営費は6億ドルとしていたはず」
今後も運営コストが増加するのではと警戒。

「五輪と経済」の絡みでは、選手村建設費の不足という問題も浮上。
市中心部に選手・役員5000人以上が宿泊する施設を建設し、
五輪後は住居やオフィスが入る複合施設に転用するという、
バンクーバー市主導の再開発プロジェクト。
建設費は、当初の約7億5000万カナダドル(約550億円)から
約8億7500万カナダドル(約640億円)に膨らんだ。

カナダには、76年モントリオール夏季五輪が残した苦い教訓。
大会は膨大な赤字を生み、長年にわたって公費で穴埋めすることを強いられた。
その結果が、84年ロサンゼルス大会で定着した、
五輪の商業主義路線への転換だった。

身の丈を超えた負担が、本来は教育や社会保障に充てられるべき
公費の削減につながることはないか。
「子どものころは五輪が楽しみだったけど、もはや参加する気にはなれない」
ショウ教授は、懸念をぬぐい去れないままでいる。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/14/20090214ddm035050034000c.html

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