(毎日 2月14日)
米国の金融危機に起因する世界的な不況のもと、
初めて開催されるオリンピック。
バンクーバー五輪は、そんな側面も持っている。
大会組織委員会(VANOC)は、大会運営費を16億3000万カナダドル
(約1200億円)から17億6000万カナダドル(約1300億円)に増額する
最終予算案を発表。
ジョン・ファーロング最高経営責任者(CEO)は、世界的不況に関して、
「大きな影響はない。施設建設や競技そのものに関して、
できる限りのことを続けている」という立場。
既設施設の有効利用や、ウィスラーで表彰式会場の建設を取りやめるなど、
経費抑制のための計画変更を行ったことなどが背景。
五輪開催に批判的な地元ブリティッシュ・コロンビア大学の
クリストファー・ショウ教授は、「五輪では一般的に、運営費が当初予定より
徐々に増えていく。バンクーバー五輪も当初、運営費は6億ドルとしていたはず」
今後も運営コストが増加するのではと警戒。
「五輪と経済」の絡みでは、選手村建設費の不足という問題も浮上。
市中心部に選手・役員5000人以上が宿泊する施設を建設し、
五輪後は住居やオフィスが入る複合施設に転用するという、
バンクーバー市主導の再開発プロジェクト。
建設費は、当初の約7億5000万カナダドル(約550億円)から
約8億7500万カナダドル(約640億円)に膨らんだ。
カナダには、76年モントリオール夏季五輪が残した苦い教訓。
大会は膨大な赤字を生み、長年にわたって公費で穴埋めすることを強いられた。
その結果が、84年ロサンゼルス大会で定着した、
五輪の商業主義路線への転換だった。
身の丈を超えた負担が、本来は教育や社会保障に充てられるべき
公費の削減につながることはないか。
「子どものころは五輪が楽しみだったけど、もはや参加する気にはなれない」
ショウ教授は、懸念をぬぐい去れないままでいる。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/02/14/20090214ddm035050034000c.html
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