2010年5月22日土曜日

20-30歳代の自殺率、過去最悪を更新

(2010年5月13日 読売新聞)

警察庁は、昨年1年間の全国の自殺者3万2845人の
動機や年齢別などの調査結果を公表。

各年代別の人口10万人当たりに占める自殺者の割合(自殺率)は、
20歳代が24・1人、30歳代も26・2人と、
前年に続き過去最悪を更新。

動機別では、「失業」や「生活苦」が大幅に増加、
50歳代以降の「孤独感」も目立った。

景気低迷や人間関係の希薄化が進み、若年層から高齢者までの
幅広い世代で、先行き不安が広がっている実態を示した格好。

昨年の自殺者は、前年を596人上回り、
1978年に統計を取り始め、5番目に多く、12年連続で3万人超。
遺書などから動機を特定できたのは、2万4434人。

52項目(複数選択可)に分けられた動機のうち、
健康問題が1万5867人と最多、「うつ病」は6949人、全項目中トップ。
2番目に多かった経済・生活問題を動機とした8377人の分析では、
「失業」が前年より65・3%増の1071人。
「就職失敗」354人(前年比39・9%増)、「生活苦」1731人(34・3%増)
も含め、全体の約4割、雇用や家計の深刻さもうかがえる。

年代別では、50歳代が最多の6491人(2・0%増)と
全体の19・8%、60歳代5958人(3・9%増)、
40歳代5261人(5・9%増)、30歳代の4794人は
99年より997人増え、20歳代の3470人(0・9%増)とともに、
自殺率で過去最悪を更新。

50歳代以降の動機は、「孤独感」が前年より20・2%多い440人。
20-30歳代の若年層では、「家族からのしつけ・叱責」63人(70・3%増)、
「仕事疲れ」311人(19・2%増)が前年より大幅に増加。

職業別では、無職者1万8722人が全体の57%。
「年金・雇用保険等生活者」は前年より14・8%増の6028人、
失業者2341人。
自殺者のうち、小中高校生は計306人と前年並み、「いじめ」は7人。

今年は、4月までの自殺者が前年を1017人下回る1万309人、
依然、年間3万人超のペース。
警察庁幹部も、「景気が落ち込めば、増加に転じる恐れもある」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/13/120170/

関節炎防止に小分子 マイクロRNA、軟骨維持

(2010年5月13日 共同通信社)

老化や免疫異常により、関節の軟骨が破壊され、
痛みや運動障害の症状が出る関節炎を防ぐのに
重要な役割を果たす小さな分子を見つけた
と、
国立成育医療研究センターの浅原弘嗣
システム発生・再生医学研究部長
らが、
12日付米科学誌電子版(ジーンズ・アンド・デベロップメント)に発表。

マウスの実験で、この分子を増やすと関節炎になりにくいことを
確かめた。浅原部長は、
「関節炎やリウマチの新しい治療法につながる可能性がある」

浅原部長らは、人間やマウスの軟骨細胞に、
マイクロRNAという分子「miR140」が多く含まれることに注目。
遺伝子操作で、この分子をほとんど持たないマウスを作り、
人為的に関節炎を発症させると、通常のマウスに比べ、
軟骨が大きく損傷。
この分子を増やすよう遺伝子操作したマウスでは、
軟骨の状態が良好。

関節炎は、軟骨を構成するタンパク質が「ADAMTS5」という
酵素によって分解されるのが主な原因だが、
miR140は、この酵素の働きを抑えていた。

この分子をほとんど持たないマウスは、手足や尾が短くなり、
動物が誕生する「発生期」の骨格形成に
重要な役割を果たすことも判明。

RNAは通常、DNAの情報を写し取りタンパク質の合成を担う。
マイクロRNAからタンパク質は合成されず、従来は 「がらくた」と
考えられていたが、別の働きをすることが分かってきている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/13/120193/

70年断食のヨガ聖人 インド国防省が謎調査

(2010年5月12日 共同通信社)

インドで70年以上、食べ物も水もとらずに生き続けている
とされる、ヨガ聖人の身体のメカニズムを解明しようと、
同国国防省が調査に乗り出した。
インド紙ヒンズーなどが11日までに報じた。

聖人は、プララド・ジャニさん(82)。
ジャニさんの断食を、「いんちき」とする報道もあるが、
国防省は謎が解明できれば、飲食なしに
兵士が生き延びる方法などに応用できると期待。

ジャニさんは、西部グジャラート州の病院に4月下旬から
国防省の調査のため、15日間入院。
約30人の特別医師団が、24時間態勢で観察、
ジャニさんはこの間、一滴の水も飲まず、トイレにも行かなかった。
さまざまな検査をしたが、身体の異常も見つからなかった。

医師団は、「日光をエネルギー源にしているのでは」と
仮説を披露、検査結果に驚くばかりで、
神秘の解明にはまだ時間がかかる。

ジャニさんは8歳の時、目の前に現れたヒンズー教の女神に
舌を触られて以来、食欲を失い、食物をとらないでも
生きていられるようになった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/12/120108/

オープン型MRI 一般的な筒型ではなく側面が開いた装置

(2010年5月12日 毎日新聞社)

MRI(磁気共鳴画像化装置)は、強力な磁石と電波を利用し、
体内の水や脂肪の分布の様子を画像化、
病気やけがの部位を調べる装置。

脳梗塞や動脈瘤、がん、椎間板ヘルニアなど、
体のどの部位でも、異常があるところの位置を
正確に知ることができる。
国内の稼働台数は、約6000台。
脳ドックで、MRIを経験する人も多い。

日本医科大付属病院放射線科の土橋俊男技師長によると、
急性期の脳梗塞の場合、CT(コンピューター断層撮影装置)より
発見しやすい。

装置は、直径60~70cmの横向きの筒の中に横たわる
「トンネル型」と、側面が開いているハンバーガー状の
「オープン型」に大別。

国内の装置の7割がトンネル型、筒の中で20~45分程度
じっとしていなければならないことから、
閉ざされた空間や狭いところが苦手で
検査を受けられない人も少なくない。

オープン型は、デザインが開放的で、閉所が苦手な人や
体格の大きい人でも検査を受けやすい。
子どもが受診する場合、家族や検査担当者が手を握ったり、
そばに寄り添うことも可能。

オープン型を開発、製造販売している日立メディコMRI戦略本部に、
一般の人からも毎月20件程度の問い合わせ。

東京日立病院の調査によると、同病院で一般外来を受診し、
オープン型MRI検査を受けた約4700人のうち、
閉所恐怖症だと申告した人は77人。
4人に3人は、過去に検査中断の経験があったが、
オープン型では、72人が最後まで検査を受けることができた。

同病院診療放射線科の出島毅科長は、
「体を固定されたり、検査室で一人になって、
『何かあったとき、外に出られない』と思い込み、
オープン型でも不安を募らせる人も。
事前に不安な点を十分に話し合うこと、検査中に定期的に残り時間を
知らせることなどで、かなり楽になる」

MRI検査時の心配ごとの一つに、体内や身につけている
金属の問題がある。

トンネル型もオープン型も、強い磁石と電波を使っているので、
心臓ペースメーカー、人工内耳、除細動器など、
医療器具を装着している人は検査できない。
検査室には、電子機器やアクセサリーなども持ち込めない。

日本医科大病院の土橋さんによると、
タトゥー(入れ墨)や、まゆなどのアートメーク、化粧品で
色素に金属が含まれている場合、まれに発熱する。
歯の金属の詰め物やかぶせ物があっても、
ほとんど問題なく検査できるが、磁石で義歯を固定している場合、
検査後磁力が弱まる可能性があり、はずす必要。
女性の場合、下着の金具などが影響することも。

閉所が苦手でなくても、検査時は何かと不安を感じるもの。
土橋さんは、「装置の中に入ったら、目を閉じて力を抜いて」と助言。
装置の中の暗さが苦手であれば、
入る前にアイマスクをつけるのも効果的。
事前に装置を見学したり、装置の中に寝ることができる医療施設も。
「不安なまま検査を受けることのないよう、
心配ごとがあれば何でも相談して」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/12/120091/

2010年5月21日金曜日

スポーツバンク創設へ 奥州市で指導者を登録し派遣

(岩手日報 5月4日)

奥州市は、スポーツ指導者を地域に派遣する人材バンク
「市スポーツリーダーバンク」創設。

県内の市では初めて。
地域の人材を生かした市民の健康づくりに加え、
合併市の住民交流を進める効果も期待。

バンクは、市教委が事務局として競技指導者を募り、
人材を登録、紹介する制度。

地域や職場などの求めに応じ、指導レベルに合わせた
リーダー(指導者)を体育行事や講習会、
レクリエーション活動などに派遣。
謝金は、2時間3千円程度が目安、無償奉仕も認める。

リーダーは、20歳以上の市民や市内在勤者で、
初心者指導できる技能があれば登録できる。
3月までにグラウンドゴルフ18人、水泳6人、健康体操3人、
卓球2人など17種目計43人が申請。
現在も募集中、2年間で200人を集める目標。

県教委によると、スポーツ指導専門の人材バンクは、
県内では県のほか岩泉町、雫石町、野田村が設けている。

地域や企業、団体などの催しにスポーツを取り入れる例が
増えてきたが、指導者不足が悩み。
合併前旧5市町村ごとに盛んな種目があったが、
合併後も、指導者や選手が地域別に固定化する傾向。

市教委は、区を超えて運動を楽しむことで、
競技の普及強化に加え、住民交流も促されるとしてバンク創設を企画。

市教委は、2016年の岩手国体など大会運営を支える
市民参加の「スポーツボランティア制度」創設も検討、
バンクと併せて、スポーツのまちづくりを進める。

市教委の菊地健也生涯スポーツ係長は、
「長期的には、少子高齢化で選手や指導者不足に悩む
学校やスポーツ少年団への継続的派遣なども探れるのでは。
スポーツの楽しさを伝えるきっかけになればいい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100504_9

エビさんの食べるスポーツ:捨てるべきもの=海老久美子

(毎日 4月26日)

いきなりゴミの話で失礼します。
大学で調理実習の授業をしていて、驚いたことが。
生ゴミに触れない学生がいる。
授業の終わりにゴミを捨てるように指示すると、
プラスチック容器は捨てるのに、生ゴミの方は触ろうとしない。
そういう学生は、たいてい料理をしたことがないか、
料理には自信がないという。
なぜだろうと考えてみた。

自分で料理をする学生は、食材がゴミになる過程を知っている。
じゃがいもの皮、大根の葉の根元、きのこの石突き……。
どれもが食べ物の一部だとわかっているし、
料理の途中で自分で触っている。
それが生ゴミになったところで、触ることには抵抗はない。

料理をしない学生は、ゴミになる過程を知らないから、
ゴミは単なる「汚物」にしか思えない。
だから、触りたくないのだろう。

食べ物から出るゴミが、汚物にしか見えないとしたら、
それは悲しいこと。
自分が食べているものを軽視していると思う。

さらに心配なのは、生ゴミを嫌がるあまり、
ゴミが出るから料理をしたくない、と思ってしまうこと。
本末転倒というか何というか。

合宿所で暮らすアスリートの多くは、自分の部屋だけではなく、
玄関やトイレなどの共用スペースの掃除もする。
つまり、自分の行いに始末をつけるということ。
食べ物を食べて生きていくのだから、食べたものから出るゴミを
始末することは当然のことなのだ。

学生の仕草を見て、調理実習は、食べ物を作ることを教えるのは
もちろんだが、ゴミの意味も感じられるようにしないといけない。
きちんと食べれば、出る生ゴミの量は減る。

生ゴミには触りたくないけど、おいしいものは食べたい、
なんていう甘い考えこそ、捨てさせなければならない。

【海老久美子・立命館大学スポーツ健康科学部教授】

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2010/04/26/20100426dde035050066000c.html

広島の「黒い雨」の研究を続ける広島大教授の星正治さん

(2010年5月12日 共同通信社)

「多くの証言を科学的な形で裏付けるのは、
広島の研究者としての使命と思いながら続けた」

原爆の「黒い雨」に由来するとみられる放射性物質を、
広島市郊外の土壌から検出、当時の被ばく線量が、
最大で爆心地から約2・1km、
直接被爆したレベルに匹敵すると推定。
投下から64年が過ぎても、不明な部分が多い、
黒い雨の実態解明につながる貴重な成果。

宮崎市に生まれ、大阪大で原子核物理を専攻。
1980年、広島大原爆放射線医科学研究所に助手として
採用されたのを機に、放射線被ばくを研究テーマに。
広島市内や旧ソ連の核実験場周辺の村で収集した
れんがや樹木を分析、爆発後、急速に弱まった放射能が残した
かすかな痕跡から、当初の放射線量を復元する試みを続けてきた。

「遺留品から犯人をたどる事件捜査」に例える地道な作業は、
冷戦下の核実験で、世界中に拡散した放射性降下物の影響に
阻まれ難航。
終戦直後に建てられた住宅の床下の土から、
黒い雨の"物的証拠"をようやく探し当て、
30年越しの悲願をようやく達成。
「研究の蓄積と、幸運に助けられた」と控えめに喜ぶ。

医療や発電など、放射線と生活とのかかわりが増す一方の現代社会。
すべての人が、基礎知識を持つべきだというのが持論。
「被爆国の国民だからこそ、『正しく』怖がってほしい」

62歳。
定年まで1年を切ったが、退官後は放射線を使った
新たながん治療の研究を計画中。
趣味の海釣りに打ち込む時間は、当分なさそう。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/12/120113/

認知症サポーター、人口比全国1位…熊本

(2010年5月12日 読売新聞)

認知症患者やその家族を支える県内の「認知症サポーター」が、
5万9385人、人口比率で全国1位。

蒲島知事が掲げた「任期中(2012年3月まで)に5万人」という
目標を大幅に前倒しして達成。
知事は、「新たに10万人を目標とし、養成の輪を広げ、
認知症への県民の理解を深めていきたい」

サポーター養成事業は、認知症になっても安心して暮らせる
社会づくりを目的に、厚生労働省が2005年度から展開、
県内では06年度から取り組みが始まった。

知事自身も、08年8月にサポーターになったことを機に、
受講者が急増。
県も、認知症対策・地域ケア推進課を設置、
市町村とともに積極的に支援。

サポーター数の人口比が全国23位と低迷していた県は、
09年12月までに2位、10年3月には人口100人あたり3・28人
(全国平均1・23人)とトップに。

市町村別では、山都町の11・58人がトップ、
山鹿市(10・23人)、御船町(8・62人)と続く。

県内の65歳以上の高齢者は、46万3291人(09年10月現在)。
約5万人が認知症患者、今後5年間で更に1万人増えると見込む。
県は、「認知症の問題は、地域全体で考えることが重要。
認知症になっても、暮らしやすい地域づくりのため、
サポーター受講を呼びかけていきたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/12/120085/

2010年5月20日木曜日

本県ファン着々増加 岩手大シニアカレッジ8月開講

(岩手日報 5月11日)

交流型・滞在型生涯学習事業「岩手大シニアカレッジ」
(同大主催)は、8月31日~9月6日までの1週間、
盛岡市の同大などで開かれる。

「遠野物語」発刊100周年の今年は、
遠野市に1泊してのフィールドワークを行う。
「卒業生」は、同窓会を組織し、交流するなど
カレッジは多くの岩手ファンを増やしている。

今年のプログラムは、遠野がメーンテーマ。
宮沢賢治や石川啄木、国連教育科学文化機関(ユネスコ)
無形文化遺産に登録された早池峰神楽のほか、
農業や食、環境など幅広く岩手について知識を深める。
岩手大の学生が参加する交流パーティーもある。

シニアカレッジは、同大とJTBが2007年度にスタート。
これまで3回開催、県内外の延べ165人が参加。
JTBは事業から撤退したが、岩手大は生涯学習の場を
提供し続けたいと、単独で開催。
50歳以上だった参加対象年齢も、制限をなくした。

カレッジ参加者は、08年、「岩手大シニアカレッジ同窓会」設立。
会員82人が、年1回の研修旅行などで交流を深めている。

会長の佐藤定美さん(62)は、「平泉や遠野など、
岩手に住んでいても知らなかったことを勉強できる。
いろいろな分野で活躍してきた、全国の仲間と交流できるのも魅力」

同大地域連携推進センターの早川浩之地域連携担当専門員は、
「岩手について、深く知ってほしい。
岩手ファンを増やしたい」と参加を呼び掛ける。

受講料は、7万円(遠野分の1泊1食込み)。
宿泊費、オプショナルツアー参加費などは含まない。
同センター内シニアカレッジ事務局(019・621・6492)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100511_5

オーストラリアで官民連携の海外水ビジネス

(サイエンスポータル 2010年5月12日)

漏水率の低さなど、世界に誇る水道技術の世界進出を目指す
東京都は、日本の企業連合などが買収したオーストラリアの
水道事業会社と、コンサルティング契約を結ぶ。

オーストラリアの水道事業会社は、
ユナイテッド・ユーティリティー・オーストラリア(UUA)社
官民出資の産業革新機構と、三菱商事、日揮、
マニラ・ウォーター社が、関連会社を含むUUA社の株を
100%買収することで合意。

株取得額は、1億7,600万オーストラリアドル(約150億円)。
4,900万オーストラリアドル(約41億円)の債務も引き継ぐ。
UUA社は、オーストラリアで上下水道、海水淡水化、
工業排水処理、再生水など14の事業を行い、約300万人に給水。

産業革新機構など4社は、オーストラリアに新会社を設立、
UUA社の14事業を引き継ぎ、官民連携第1号となる
海外水ビジネスを展開、新会社が世界の水市場における
日本の民間企業・公的機関の技術・ノウハウを結集した
プラットフォームとなることも目指す。

東京都は、産業革新機構などからの要請に応じ、
コンサルティング契約を通じて、水道局が持つ技術力を
最大限に発揮していく。

都は、水ビジネスの世界展開を目指し、実施方針
「東京水道サービスを活用した国際貢献の新たな取り組み」
3月に策定済み。

海外の既存事業を引き継ぐ場合と、新規に事業を立ち上げる場合、
都が単独で受注、企業グループと共同で受注、
企業グループと共同買収といったさまざまなケースを想定、
プロジェクト形成のイメージやビジネスモデルについての
検討を始めている。

http://scienceportal.jp/news/daily/1005/1005121.html

理系白書’10:「才能教育」の受け皿増える 意欲を高める機会提供

(毎日 4月27日)

才能を持った児童・生徒を見いだして開花させる「才能教育」。
理科や数学に特異な能力を持った子供は少なくないが、
日本の教育制度では、才能を十分に伸ばす環境は、
音楽やスポーツほどには整っていない。
こうした現状を打開しようと、理数系の才能教育の受け皿が増えている。

◆「一流」に触れる

「君たちは、知識は持っている。
でも、それをつなぐ知恵はない。
たくさん経験し議論することで、知恵を身に着け、
新しいことに挑戦してほしい

市立横浜サイエンスフロンティア高校(佐藤春夫校長)のラウンジ、
入学したばかりの1年生20人に、
常任スーパーアドバイザーの和田昭允・東大名誉教授(80)。

同高は毎週1回、和田さんと生徒がお菓子をつまみながら、
科学の話題を約1時間、自由に議論する場を設けている。
和田さんは、生命現象を物理学的に解明する生物物理学分野で
世界的に有名、生徒にとっては、一流の科学者と
身近に接する貴重な機会。

この日は、光の性質を変えられる偏光板を使うと、
物の色が変わって見えることを実験。
話題は、偏光板の仕組みから、科学者の倫理に広がった。

同高は、09年開校。
「若いうちに、本物に触れ驚きと感動を持ってもらおう」、
天体望遠鏡や電子顕微鏡、DNA解読装置、無菌実験室など
大学並みの設備を備える。

栗原峰夫副校長が、「科学技術の分野に、どんどん人材を送り出したい」、
「未来の科学者」を育てる教育が売り。

初年度の募集では、第1志望の生徒が受験する「前期」の定員71人に
370人が志願、競争率は5倍を超えた。

理数科目の授業が多いのに加え、1年では研究の基礎的な手法や
発表の技術を学び、2年では専門的なテーマで個人研究に取り組む。
「動物細胞の培養技術の習得とカーボンナノチューブの影響」、
「化学反応とエネルギー」といった具合。

英語の授業も、「海外で自分の研究内容を英語で発表し、
質問に答えられる力をつける」(英語を教える植草透公教諭)。
最終的には科学論文を書いたり、科学に関する長文を
読みこなす能力を鍛える。

「科学技術顧問」を引き受けた科学者や企業が、
講演会や研究室訪問、実験指導などを通して生徒の意欲に応え、
同高の理数教育を支援。
宮崎健校長代理は、「自分も科学技術の道に進みたい、
という意欲を高める機会になっている」

才能教育は、米国では定着。
先進的なジョージア州では、小学~高校生の約9%が「才能児」と認定、
個性に合った教育プログラムに州が財政的な支援。
日本では、必要性が指摘されながら、
長い間、手がつけられてこなかった。

科学技術振興機構は、理数系才能教育の充実を求める報告書を作った。
「日本の学校は、標準的な教育課程をベースとし、
高い才能を持った生徒の意欲に応えられない」
最先端の科学技術や研究者と触れ合う機会を提供、
各地に才能を伸ばす科学技術教育中心の学校を整備するよう求めている。

科学の才能を世界で競い合う物理、数学、化学などの「科学五輪」は、
才能教育の一つの受け皿。
私立栄光学園高校(鎌倉市)3年の遠藤健一さん(17)は、
東京で7月に開かれる「第42回国際化学オリンピック」の
日本代表4人に選ばれた。
2度目の出場、昨年のイギリス大会では、
成績上位者10%に贈られる金メダルを獲得。

小学生のころ、原子を組み合わせてさまざまな物質を作る
パソコンゲームに夢中。
5年生の時、両親に買ってもらった大人向けの化学書を読み、
のめりこんだ。

クラスの副担任で、遠藤さんに化学を教える高田暁教諭は、
「学校として、特別なことはしていない」
同高が奨励する科学五輪への出場が、遠藤さんの才能を開花。

大会での出題は、日本の高校の学習指導要領を超え、
戦うには大学レベルの知識や技能が必要。
遠藤さんは、「なぜそうなるのか、という原理が分かって面白い」
日本化学会が指定した大学教授による
マンツーマンの実験指導も刺激。

将来の夢は化学者だが、遠藤さんは「飛び級」などを利用して
急いで学ぶことには消極的。
「化学五輪で力は伸ばせるし、友達と遊んだり、
今しかできないことを大切にしたい」

高田教諭も、「化学を勉強するのではなく、楽しんでいる。
めったに出ない才能だ」と評価、遠藤さんを支える。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/04/27/20100427ddm016040057000c.html

13年までに国民ID制度 政府の新IT戦略

(2010年5月12日 共同通信社)

政府は、新たなIT戦略を決定し、政府が検討している
税と社会保障の共通番号制度導入に向け、
2013年までに「国民ID制度」をつくると明記。

地方自治体とのデータのやりとりも実現し、
電子行政の「共通基盤」としたい考え。

すべての国民が、自宅で遠隔医療サービスを受けられたり、
いつでも住民票などを入手できるといった、
20年までに実現する具体的な目標も提示。

インフラ整備などで予想される巨額の支出をひねり出す
財政的な余裕は乏しく、実現までの道のりは険しそう。

IT戦略では、過疎地での医療サービスの低下を防ぐため、
ブロードバンド(高速大容量)回線を活用し、
医師が高齢者を診療できる環境を整備。

高齢者の安否確認ができるシステムも普及させ、
"孤独死"の防止も重点施策とした。

IT技術による行政サービスの底上げも示した。
住民票などの証明書は、コンビニや郵便局などに設置した
端末を通じて発行することを、早期に実現。

13年までに半数以上の国民が、端末で証明書を
入手できるようにする考え。
IT戦略は、11日開かれた政府のIT戦略本部で決定。
6月にまとめる成長戦略に盛り込む。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/12/120080/

2010年5月19日水曜日

うつ治療を見直す(3)考えの偏り 改める療法

(2010年5月5日 読売新聞)

3年前、東京都の文具店で派遣社員として働いていた女性(32)は、
リストラで社員が減り、商品の発注から万引き対応まで、
数人分の仕事を1人でこなした。

大きなストレスがのしかかり、やがて頭痛や吐き気など
体の不調が起こった。
仕事中、突然涙が止まらなくなったりもした。

銀座泰明クリニックで、軽いうつ病と診断。
抗うつ薬を飲みながら、一時休んだ仕事を再開。
しかし、周囲の状況は変わらなかった。

仕事中、気力がなえて立っていられず、店の隅で何度も座り込んだ。
客と話すのもつらくなり、ついに仕事を辞めた。
働けない自分を責め、うつ症状は悪化、家に引きこもった。

同クリニック院長の茅野分さんから、考え方の偏りを治す
「認知行動療法」を勧められた。
軽度から中等度のうつ病で、薬物治療と同等の効果があり、
かつ再発しにくい。

薬と併用すると、より治療効果が高いという研究も。
根拠もないのに思い込む、短絡的に結論づける、
すぐに自分を責める--などの傾向がある人は、特に効果が期待。

女性はまず、家で過ごす時や外出した時など、
日々の行動、その時の気分、頭に浮かんだ考えを
ノートに詳しく書き留めた。
月2回の認知行動療法で、心理士にノートを見せ、話をする。

マイナス思考になっていると、心理士が
「別の見方、考え方はできませんか」と問い、一緒に考えていく。

女性は、仕事を辞めてからも毎朝8時に起きていたが、
「遅すぎて恥ずかしい」と感じていた。
「社会人は、6時に起きて働くべき。できない私はダメ人間」
「毎朝決まった時間に起きているのだから、むしろ褒められてもいい」

心理士の助言に、女性はハッとした。
「私は悪くないんだ。思い込みだったんだ」

治療を続けて次第に気力が戻り、1年もすると、
抗うつ薬がいらなくなった。
「うつ病は、自分の考え方のクセを知り、向き合うことで治ると実感。
薬でごまかしていたら、回復できなかったかもしれない」

認知行動療法は先月から、医師が行う場合、
健康保険が使えるようになった。
専門知識のある医師は少なく、治療を受けられる施設は限られる。

慶応大保健管理センター教授の大野裕さんは、
「心理士や看護師らも、取得できる認知行動療法の公的資格を作り、
薬以外の治療の選択肢を早急に広げる必要がある」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/6/119839/

被災50年で関連行事 チリ地震津波で大船渡市

(岩手日報 5月9日)

1960年、チリ地震津波で国内最大の犠牲者を出した
大船渡市は、被災から50年の節目となる24日に、
津波犠牲者追悼式を行う。
防災訓練や地域安全学会での防災シンポジウムなども開催。

同市は、2月にチリ大地震による津波襲来を受けたばかりだが、
近い将来には宮城県沖地震の発生も想定、
備えを再確認する機会となりそう。

追悼式は、24日午前10時から南町公民館東側広場で開催。
正午から、防災行政無線で黙とうを呼び掛け、犠牲者を追悼。
23日午前6~8時、宮城県沖地震発生を想定した防災訓練を実施。
震度6弱、10mの大津波襲来を想定し、8千人規模の訓練を予定。

同訓練は毎年行っているが、今年は大船渡署、釜石海上保安部、
消防団による行方不明者捜索訓練も実施。
初動体制確立から情報収集、救援物資調達、
自主防災組織などの体制を確認。

17~24日、同市盛町のカメリアホールと同市三陸町の三陸公民館、
29日~6月7日、リアスホールで50年前の被災写真展を開催。
市立図書館では、22日~6月7日に津波関連図書展を開く。
29日、リアスホールで海上自衛隊大湊音楽隊の演奏会を開くほか、
6月5日、防災シンポジウムも予定。
6月4、5日、同ホールで開かれる地域安全学会春季大会の
一環として行われ、専門家や地元の代表が意見を交わす予定。

チリ地震津波は1960年5月24日、日本の沿岸部に襲来。
大船渡市の死者・行方不明者は、国内最多の53人に上った。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100509_5

スポーツ政策を考える:高橋明・大阪市障害者スポーツセンタースポーツ振興部次長

(毎日 5月1日)

障害がある人は今、日本に約724万人。
高齢化社会に伴い、年々増えていて18人に1人が障害者。

大阪市長居障害者スポーツセンターは、1974年5月、
日本で初めて障害のある人を対象にしたスポーツセンターとして開設。
障害者手帳を提示するだけで、自由にスポーツが楽しめるように
なっていて、利用者は年間延べ35万人(2009年度)。

日本は、学校を卒業した後もスポーツを続ける環境が乏しい。
障害のあるなしにかかわらず、思い立った時に、
すぐスポーツができる施設が身近にないことが一因、大きな課題。
障害のある人がいつ、1人で来ても、指導者や仲間がいて、
用具も貸してくれるという、長居のような施設はモデルケースに。

一般のスポーツは文部科学省、障害者のスポーツは
リハビリテーションの延長として始まり厚生労働省と管轄が分かれ、
壁になっているのも事実。
障害者が、生活の中で楽しむスポーツを振興していくため、
国の施策として、身近な地域で「いつでも、どこでも、誰でも、
いつまでも」スポーツを楽しめる環境作りが必要。

障害者のスポーツは、障害があっても活用できる能力を生かして
プレーできるように考案されたスポーツ、
その場その場に適した形にしたスポーツということから、
adapt(適応させる)という言葉を使い、アダプテッドスポーツ

誰でもスポーツをする権利があり、ちょっとした工夫で、
高齢者も子どもも同じスポーツを楽しめる。
それが、みんなのスポーツにつながっていく。
子どもから高齢者まで、障害者も含めた同じスポーツとしての
施策が求められ、統括組織としてスポーツ庁が必要。

障害者のスポーツは、まず見ることが大切だと言い続けている。
2003年から、大阪市で車いすバスケットボールの
国際親善大会が開催、毎年1万人を超える子どもたちが見に来る。
たくさんの作文が寄せられ、「すごい迫力」、「かっこいい」、
「障害者へのイメージが変わった」など、さまざまな感想。
子どもたちは、障害のある人にも可能性があることを知り、
理解を深めている。

若い人たちは3K、きつい、汚い、危険ということで、
スポーツを敬遠しがちだが、障害者のスポーツを通じて
感動、感謝、共育の3Kに変えていきたい。

障害者のスポーツを見て感動する、スポーツができる
自分の体に感謝する、障害のある人もない人も共に生き、育つ。
それが、障害者のスポーツの理念だ。
==============
◇たかはし・あきら

1951年生まれ。NPO法人アダプテッドスポーツ・サポートセンター理事長。
著書に「障害者とスポーツ」(岩波新書)など。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2010/05/01/20100501dde035070033000c.html

2010年5月18日火曜日

うつ治療を見直す(2)自殺の陰に過剰な投薬

(2010年5月4日 読売新聞)

「その瞬間は記憶がなく、気づいたら病院でした」
東海地方の女性(24)は、自宅2階のベランダから飛び降り、
全治3か月の打撲傷を負った。

気分の落ち込みが続き、精神科を受診したのは、19歳の時。
抑うつ状態と診断、抗不安薬と睡眠薬を飲んだが、改善しない。
抗うつ薬が追加され、他の薬の数も増えていった。

生理が止まり、乳汁が出た。
衝動的になり、自宅で物を投げるなど暴れた。
幻聴や被害妄想も表れた。
パーソナリティー障害、不安障害、統合失調症……。
病名が次々と増え、入退院を繰り返した。

「死にたい」が口癖に、ベランダから飛び降りた頃は、
1日20種類前後の薬を飲んでいた。

抗うつ薬の使用説明書には、「24歳以下の患者で、
自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告がある」

女性は、「医師から説明を受けたことはない」と振り返る。
女性は、医療機関を替え、薬を減らして回復。
ごく少量の抗不安薬と漢方薬の服用で、元気に暮らす。

主治医の牛久東洋医学クリニック(茨城県牛久市)院長、
内海聡さんは、「最初の抑うつ状態は、家庭内の不和が原因。
そこに全く手をつけず、過剰な投薬で、
様々な精神症状を生み出した医師の責任は重い

自殺者は、昨年も3万人を超えた。
亡くなる1年以内に、精神科を訪れた自殺者は、
調査対象の半数に上る。
早めに精神科を受診し、適切な治療で、死を思いとどまる人も
少なくないが、必ず救われるとは言えないのが現状。

治療の不適切さも。
全国自死遺族連絡会が、会員約1000人に行った調査では、
最も衝動性が高い「自宅からの飛び降り」で死亡した72人は、
全員が精神科に通院中、1日15-20錠前後の薬を処方。

同会の田中幸子さん(61)も5年前、薬の怖さを実感。
警察官の長男が過労の果てに自殺し、
「眠ったら息子に悪い」と、葬儀後も自分を責めて不眠に。
精神科を受診し、睡眠薬を処方。

「寝ない!」と抵抗する心身を、睡眠薬でねじ伏せようとした。
すると、眠くなる前に感情が高ぶり、記憶が途切れた。
後から聞くと、大きなソファを放り投げてしまっていた。

内海さんによると、睡眠薬で酒酔いに似た状態になり、
感情が抑え切れず、爆発してしまう人も。
「不眠の原因を探り、癒やす治療をしなければ、
睡眠薬ですら、思わぬ行動の引き金になる」と警告。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/6/119838/

北上リリーズ、全国へ 15日から障害者野球大会

(岩手日報 5月12日)

北上市などの身体障害者でつくる野球チーム
「北上リリーズ」(後藤健監督)は、神戸市で開かれる
第18回選抜全国大会(日本身体障害者野球連盟主催)に、
北海道・東北地区代表として出場。

目標は、全国大会でのチーム最高成績となる決勝進出。
元高校球児の新戦力を迎え、チーム一丸となり勝利を目指す。

選抜全国大会は、スカイマークスタジアムなどで行われ、
全国の16チームがトーナメント戦で優勝を争う。
北上リリーズは、名古屋ビクトリー(愛知県)と対戦。

若手中心の11人が出場し、同行するマネジャーら3人と
心一つに大会に挑む。
昨秋の全日本選手権大会3位決定戦で敗れた悔しさを、
今大会にぶつける。

今年からチームに加入したのは、会社員菊地研也さん(22)。
花巻南高3年時、全国高校野球選手権岩手大会でベスト16入り、
引退後のバイク事故で、利き手である右腕の自由を失った。

「野球が好き」という思いは、今も変わらない。
左腕1本でバットを振り、守備では捕球したボールを素早く
味方選手にグラブトスする。
大会を前に、「わくわくしている。ヒットを打ち、チームに貢献したい」

チームの全国大会の最高成績は3位。
白藤友一主将(42)は、「決勝進出」を目標に掲げ、
「声を出し合ってチームを盛り上げ、勢いに乗っていきたい」

後藤監督(63)は、「何より初戦が重要。
神戸で、キラリと光る野球をしてきたい」と誓う。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100512_10

インサイド:学ぶ・考える・やってみる 小平奈緒のスケート哲学/5止

(毎日 5月1日)

バンクーバー五輪後、小平奈緒はいったん帰国後、
すぐにワールドカップ(W杯)に出場するため出国。
長野に戻ってきたのは、3月16日。
それから3日間、茅野市の実家に戻るのを少し遅らせ、
早起きして長野市の屋内リンク・エムウェーブに通った。
「まだ営業していたので。だれもいなくて、貸し切りでした」

五輪の疲労からか、W杯では滑りが崩れていた。
崩れたままでシーズンを終えるのは不本意。
修正してオフを迎えたかった。

五輪後のシーズンをゆっくり休養する選手も多いが、小平は逆。
帰国後のあいさつ回りやイベント参加が一段落した後、
4月15日からトレーニングを再開する予定、
1日には「がまんできなくて、始めちゃいました」と笑う。

小平の練習好きは、昔から。
中学、高校時代に教えた新谷純夫さんは、
「練習に耐える体力は、男子並み。
体調が悪くても、練習を人より多くこなせ、滑りがおかしくなったほど」、
信州大時代から継続して指導する結城匡啓監督も、
「大学1年夏の菅平合宿で、(練習のし過ぎで)呼吸困難で倒れた。
こっちでセーブしないといけない、と気がついた」

五輪後、あこがれの先輩の言葉も、やる気に拍車をかけた。
3月末、男子500mのメダリスト、長島圭一郎(日本電産サンキョー)、
加藤条治(同)とともに、長野五輪で金メダルを取った
清水宏保と食事をする機会。
清水は、「長野の翌シーズン、休もうなんて思わなかった。
五輪では最強を求め、五輪後の3年は最速を求めないと」

最強と最速を追求する環境は整っている。
大学を卒業した昨年、はじめてスケートに専念。
松本市にある相沢病院のサポートを受けられた。
就職にあたって、小平が唯一希望したのは、
信州大の結城監督の指導を受け続けられること。

不況のためか、なかなか見つからなかった。
4月に入っても決まらず、小平もあきらめかけたころ、
日本スケート連盟が提携するスポーツドクターで、
相沢病院のスポーツ障害予防治療センターに勤務する
村上成道医師が、相沢孝夫院長に引き合わせてくれた。
相沢病院は、小平が08年に左足を痛めた時、リハビリで世話に。

相沢院長は、「地元で頑張っている選手を応援するのが、
地域の病院の役目」と快諾、昨年4月16日付で採用が決まった。
病院に勤務しなくてもいい、という好条件で、
小平は「スケート一本の生活はとても楽しい。
長野という地域に、ずっと支えられている」と感謝。

結城監督は、「内発的動機付けのレベルがとてつもなく高いこと」が
小平の最大の長所。
心理学で、報酬や名誉といった外からの刺激によって
モチベーションを上げるのが、外発的動機付け。
目の前にリンゴがぶら下がっている状態。
リンゴがなくても走りたい、と思う心の動きが、内発的動機付け。

うまくなりたい、速くなりたい、強くなりたい。
心の中からわき上がる思いが、小平をトレーニングに向かわせる。
その先に、14年ソチ五輪が待っている。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2010/05/01/20100501ddm035050147000c.html

2010年5月17日月曜日

うつ治療(1)「薬物偏重」と精神科診療所の7割

(2010年5月4日 読売新聞)

国内の患者数が100万人を超えたうつ病の治療について、
読売新聞が、全国の精神科診療所にアンケート調査し、
7割が「日本のうつ病治療は、薬物に偏っている」との認識。

多すぎる薬の服用による副作用や、薬だけでは治りにくい
患者の増加など、近年指摘されている課題。

調査は、日本精神神経科診療所協会加盟の1477施設に行い、
119施設から回答。

日本のうつ病治療の多くは、薬物治療中心、
調査では、薬物偏重の傾向があると「強く思う」19%、
「ややそう思う」54%、7割が懸念を示した。

最近増えたとされる軽症患者に行う最初の治療は、
「薬物治療だとは思わない」41%。
優先すべき治療として、患者の話を聞いて問題解決を図る
精神療法や、仕事を減らしたりする「環境調整」も多い。

英国の診療指針では、軽症者の最初の治療は、
カウンセリングなどを勧めている。

抗うつ薬を何種類も服用すると、無気力やイライラなどの
副作用が強くなる恐れがあり、処方は1種類が基本。
「患者の過半数に、複数の抗うつ薬を処方」との回答が14%。

大野裕・慶応大保健管理センター教授(精神科医)は、
「悲観的になりがちな患者の考え方や行動を変える
認知行動療法など、治療の選択肢を増やすことが重要」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/6/119837/

ビクトリアに盛岡市民100人訪問へ 姉妹都市25周年

(岩手日報 5月12日)

カナダ・ビクトリア市との姉妹都市締結25周年を記念した
盛岡の市民訪問団約100人が、22~27日まで同市を訪れる。

ハンギングバスケットで彩る同市のまちづくりを
参考にしている盛岡市。
訪問団は、現地の商工会議所と新たな観光振興や
市街地活性化について意見交換、
「ビクトリアデー」のパレードに参加、さんさ踊りを披露。
盛岡市出身の新渡戸稲造(1862~1933年)が
縁で結ばれた両市の友好を深める。

両市は、新渡戸が国際会議後に立ち寄ったビクトリア市で
亡くなったことが縁で、1985年に姉妹都市協定を締結。

盛岡側は6回訪問。
ビクトリア側は7回来県、市長がチャグチャグ馬コに
参加するなど、交流が続いている。

今回の訪問は、姉妹都市締結25周年記念事業実行委
(田口良一委員長)が企画。
谷藤裕明市長、阿部正樹盛岡商工会議所観光委員会委員長
(IBC岩手放送社長)、盛岡さんさ踊り実行委のメンバー、
一般市民らが参加。

現地では、新渡戸が亡くなった病院の見学や記念植樹、
商工会議所との意見交換などを予定。
英国風の街並みが広がり、年間約400万人が訪れる同市は、
市街地の州立博物館や州議会議事堂を中心に、
観光客の回遊性を高める取り組み、
今後の観光振興の参考に。

盛岡商工会議所の津軽石芳昭地域活性化支援チームリーダーは、
「盛岡の観光事情を説明し、意見を聞きたい。
両市は共通点があり、参考になることが多いと思う」

24日はビクトリアデー、英国のビクトリア女王(1819~1901年)の
誕生日を祝うカナダの祝日。
国内外の100団体以上が参加、華やかなパレードが行われる。
訪問団も、さんさ踊りを披露し、両市の友好をアピール。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100512_13

インサイド:学ぶ・考える・やってみる 小平奈緒のスケート哲学/4

(毎日 4月30日)

「本当に私で大丈夫なんですか?」
最初は冗談だ、と小平奈緒は思った。
バンクーバー五輪を1年半後に控えた、
2008年夏の日本代表カルガリー合宿。
日本スケート連盟の鈴木恵一強化部長や、
羽田雅樹コーチ(ダイチ監督)から、
「小平、パシュートはどうだ」と声をかけられた時。

女子団体追い抜き(チームパシュート)は、2チームがコースの
対角線上から同時にスタート、3人が交互に先頭を代わりながら6周、
最後尾の選手が先にゴールした方が勝つ、チーム対抗戦。
連盟では、バンクーバー五輪のメダル有望種目と位置づけ、
カギを握る選手をさがしていた。

日本が勝つには、スピードしかない、と思っていた」と鈴木さん。
長距離選手の層が厚いカナダやドイツなどは、長距離専門選手を
3人集め、後半にラップを上げていけるが、層の薄い日本は難しい。
そこで、スピードで前半をリードし、逃げ切る戦略。

鈴木さんらが目をつけたのが、小平。
500mの日本記録保持者ながら、持久力もけっこうある。
カルガリー合宿で、小平が長距離選手と一緒の練習に
ついて行くのを見て、鈴木さんは「いける」と予感。
09年シーズン最初の全日本距離別選手権の1500mに
小平が勝ったことで、ダイチの田畑真紀、穂積雅子を加えた3人で
チームを組むことが、ほぼ確定。

穂積、田畑と先頭を交代し、3周目に小平が先頭に立った時、
加速して、リードを広げる。
大柄な小平は、後ろの2人の風よけになり、
疲労も軽減できるメリットもあった。
迎えたバンクーバー五輪本番、1回戦の韓国、準決勝のポーランドとの
レースでは、先行逃げ切りパターンがはまり勝利。
決勝のドイツ戦でも、ラスト半周までリード。
最後は100分の2秒差で逆転されたが、みごとに銀メダルを獲得。

五輪前に周囲が一番心配したのは、1回戦を勝ち上がると、
準決勝、決勝と1時間半を置いて2レースをしなければならないこと。
小平のスタミナが持つか。
「ワールドカップでは、500mで最大限に力を出した50分後に1500m、
なんてこと、何度もあった。それに比べたら、すごく楽でした」。
言葉通り、滑り切った。

メダル獲得のキーマンだった小平、自身が考えるポイントは違う。
「メダルは田畑さんのおかげ、といっていい」
小平と同い年の穂積は、スタミナが持ち味で、
歩幅が小さいピッチ走法。
小平は、スケートを大きく動かすタイプ。
3人が縦に並ぶ時、先頭の選手のリズムで滑るが、
小平は「穂積の後ろを滑って足を合わせると、ピッチが速すぎて疲れる」
そこを調整したのが、2人より12歳年長の田畑。
2人の間に入り、わずかずつテンポをずらし、つなぎ目になった。
小平は、「田畑さんのうまいところ」と、目立たないけれど、
大きな貢献をした先輩に脱帽。

決勝での惜敗は悔しかったが、
「おかげで、パシュートの面白さも難しさも知った」と満足。
高速リンクか低速リンクか、相手のメンバー構成次第で
レースプランを変えてもいい、と奥深さを感じた。
「個人種目より、心理戦の要素が強い。
そういう戦略を、考えるのが好きなんです」
団体追い抜きは、小平の引き出しをまた一つ増やした。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2010/04/30/20100430ddm035050103000c.html

2010年5月16日日曜日

盛岡広域圏が東北リード 組み込みソフト技術者育成

(岩手日報 5月13日)

盛岡広域地域産業活性化協議会(会長・谷藤裕明盛岡市長)は、
本年度、東北地方の12団体と協力し、組み込みソフトの
高度設計・開発技術者約160人を養成。

2007~09年度に組み込みソフト技術者の養成事業を行い、
延べ3477人を育成した実績を生かし、
東北のITスペシャリスト養成をリードする。

育成には、本県で開催するETロボコン東北大会を活用。
組み込みソフト開発における拠点性を高め、
一層の企業誘致につなげる考え。

養成事業は、同協議会が中心、東北各地の同様の協議会など
12団体と協力して実施。
企業で、プログラム開発に携わる技術者や学生らが参加し、
本県で08年度から開催しているETロボコン東北大会を、
「教材」として活用。

自律走行するロボットを制御するソフトウエアを競う
同大会への出場を通じて、高度なソフト設計のノウハウを学び、
東北の組み込みソフト開発をリードする人材を育成。

ETロボコン実行委員長を務める県立大地域連携本部の
曽我正和特任教授は、「ETロボコンのロボット制御を通じて、
非常に高い組み込みソフトのスキルが身に付く」

同協議会は07~09年度、企業誘致の拡大などを目指し、
組み込みソフト技術者の育成事業を実施。

岩手大、県立大、岩手ソフトウエアセンター、
盛岡情報ビジネス専門学校、県立産業技術短期大学校、
いわて産業振興センターなどが参加、延べ3477人を育成。

同協議会は、豊富な人材をアピールし、3年間でIT関連企業
10社を誘致。約180人の雇用を創出。

本年度は、同様の育成事業を継続する一方、
3年間の実績を生かし、東北各県のリーダーとなる
一層高度な技術者の育成を図る。
予算は、約2400万円で国が全額補助。

盛岡広域圏は、大規模な工業用地が少ない一方、
研究、教育機関が集中。
ソフトウエア系のIT事業所も150社以上立地し、
東北では仙台市に次ぐIT拠点。

県は、同広域圏の人材育成能力を生かして組み込みソフト産業を
振興し、県南の自動車産業と並ぶものづくり拠点に育てる方針。

盛岡広域振興局の成田賢悦産業振興課長は、
「3年間積み重ねた組み込みソフト技術者育成の実績を生かし、
盛岡広域圏が次世代の東北のIT産業を担う
スペシャリスト育成をリードしたい」

組み込みソフトとは 自動車や携帯電話、家電製品など
幅広い製品に組み込まれているソフトウエア。
パソコンで動作する汎用ソフトよりも、リアルタイムな制御が
求められることなどから、製作時の制限が厳しく、
全国的に技術者が不足。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100513_16

インタビュー・環境戦略を語る:ファミリーマート・上田準二社長

(毎日 5月3日)

国内外に、コンビニエンスストア計1万5887店舗を
展開するファミリーマート。
店舗の改装や省エネ機器の導入によるCO2排出量削減、
食品廃棄物のリサイクルにも、積極的に取り組んでいる。
同社の環境戦略を、上田準二社長に聞いた。

--コンビニチェーンとして、環境負荷の低減に
どのように取り組んでいるか?

コンビニは、いまや各地域の生活者に密着した社会インフラ、
環境問題に取り組むのは当然の責務。
当社は91年、業界で最も早く環境問題を担当する社内組織を設け、
店舗や商品、物流など、各面から取り組んできた。
99年、環境に関する国際標準規格の「ISO14001」を取得。

--店舗での具体的な取り組みは?

◆冷凍・冷蔵ケースからの排熱を、冬季の暖房に利用する
システムは約4700店舗、外光の明るさに応じ、店内照明を
自動調光するシステムは、約2600店舗に導入済み。
屋根に太陽光発電のパネルを設置、看板の光源を蛍光灯から
LED(発光ダイオード)に切り替えるなどの実験的な取り組み。

年間電気使用量を、従来比で約10%削減できる木造店舗の
導入も進め、これらの最新技術を集めた環境配慮型店舗を
今年1月、東京都練馬区にオープン。
約2000台の配送車両も、排ガス削減効果の高い圧縮天然ガス車や
ハイブリッド車に切り替えている。

--商品面で環境への配慮は?

◆食品廃棄物を回収し、肥料や飼料としてリサイクル。
余った弁当などから作った液体飼料で、豚を飼育、
その肉を使った弁当を開発。
この循環システムには、東京都内246店舗が参加。
人気商品のフライドチキンなどを揚げた後の廃油も、
薬用ハンドソープに再利用、店舗で使っている。
素材や製造、使用時の環境負荷が低いプライベートブランドの
「We Love Green」商品は、他の商品と差別化でき、
売り上げアップにもつながっている。

--課題は?

◆太陽光パネルやLED照明などを使うエコ店舗は、
出店コストがまだ高い。
環境対策は待ったなし。
民間だけでは限界があり、国の支援も必要。
環境分野を手がける企業に対する国の助成なども、
今後検討していただきたい。

--海外出店を加速、今後の展開は?

◆ファミリーマート全店舗のうち、半数以上が海外、
大半がアジア地域に。
アジアでは、鉄筋や蛍光灯を用いたスタンダードな店舗を作り、
コストに見合ったエコ店舗の出店の仕組みが
日本で確立できれば、今後は海外でも積極的に展開したい。
==============
◇うえだ・じゅんじ

山形大卒。70年伊藤忠商事入社。
同社畜産部長などを経て、00年ファミリーマートに顧問として転じ、
02年3月から現職。秋田県出身。63歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/05/03/20100503ddm008020016000c.html

「大塚モデル」都が運用開始

(2010年5月11日 読売新聞)

東京都は、都立大塚病院(豊島区)と地域の小規模な
医療機関が連携して、妊産婦への医療を行う仕組みを
「大塚モデル」と名付け、運用を始めた。

慢性的な産科医不足の一方、万が一のリスクに備えて、
妊婦側は大規模病院に集中しがち。
「(入院前の)妊婦検診は地元の診療所、出産は大塚病院」
役割分担を図ることで、大塚病院側は、合併症などの
「ハイリスク出産」への対応に、より力を注ぐことができる。

大塚モデルでは、大塚病院周辺の豊島、文京両区の
産婦人科診療所など、24か所を「協力医」として登録。
妊婦は、最寄りの協力医の元で検診を受け、
分娩を扱っていない場合、妊娠間近の34週以降、
大塚病院での診療、出産を受けられ、
ハイリスク出産の恐れが出てきた場合には、
速やかに大塚病院で受け入れる。

大塚病院は、母体や新生児の集中医療体制を備えた地域の大病院。
近年、妊婦が大規模な病院を選ぶ傾向が強まり、
こうした住み分けで、大塚病院側は外来診療などの負担を減らし、
よりリスクの高い診療にマンパワーを振り向けることが可能。
妊婦にとっても、家から近くて、待ち時間も短い医療機関で
定期的な検診が受けられるなどのメリット。

こうしたシステムは、「セミオープンシステム」と呼ばれ、
愛育病院(港区)などが取り入れている。
都の担当者は、「大塚モデルでは、妊産婦が安心して
地元で受診してもらうことができる」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/5/11/120036/