2011年7月16日土曜日

大船渡市内の仮設店舗 9カ所に計2万平方㍍申請 完成までの遅さに焦りも

(東海新報 7月15日)

中小企業基盤整備機構(中小機構)が、民間事業所に無償貸与する
仮設店舗・仮設工場の候補地として、大船渡市は
市内の9カ所計2万平方㍍を申請。

中小機構による現地調査はすでに8カ所で終え、
「適地」判断が得られたのは6カ所。
申請事業所の半数で土地のめどがついたが、
完成までに3カ月程度要するため、関係者からは
整備のスピードアップを求める声が出ている。

無償貸与制度は、中小機構による東日本大震災支援策の一環。
市町村の所有地か、市町村が提供できる場所に、
建築面積約650平方㍍の工場タイプや、建築面積350平方㍍で
2階建て構造の店舗・事務所タイプなどを建設できる。

数カ月から1年程度の使用を想定、
一定期間経過後は市町村に管理を委託する方針。
市内では、大船渡商工会議所が被災事業所から希望を取りまとめ、
用地や店舗集積を調整。
こうした動きをもとに、市が中小機構に対して申請を行った。

市商工観光部によると、申請を希望した事業所数は224カ所。
市では、6月から7月にかけ、86%にあたる192カ所分の申請を終えた。

候補地は、三陸町綾里の黒土田地域、同越喜来の杉下地域、
末崎町の小細浦地域、大船渡町の茶屋前、中港、地ノ森、野々田(2カ所)、
永沢各地域の計9カ所。
合計面積は約2万平方㍍、ほとんどが東日本大震災で
浸水被害を受けた被災地。

三陸町や末崎町、大船渡町北部の候補地は、被災前に事業を行っていた
土地の近辺で再開してもらおうと、市側で選定。
大船渡町南部では、仮設利用を望む事業所側で土地確保が進められた。

中小機構による現地調査は、大船渡町の野々田地域1カ所を除く
8カ所で終了、6カ所で「適地」と判断。
三陸町越喜来の杉下地域は上水道整備を、大船渡町の中港地域は
建造物の基礎部分まで撤去した更地とするよう条件が出た。

事業所側で土地確保に動いた地域は、業種別の「集積」が見られる。
茶屋前地域は、震災前に近隣で商店街を形成していた
事業所関係者がまとまるほか、野々田地域は飲食店関係者が集中。

完成すれば、「仮設商店街」、「仮設飲食店街」が生まれることに。
大船渡魚市場に近い永沢地域は、水産関係事業所が多い。

「適地」判断を得た土地での再開を希望する事業所は、
申請希望数の半数となる112事業所。
営業再開への光が見えた一方、課題も抱える。

着工から営業開始までに、要する期間は3カ月程度。
今月中に着工しても10月ごろとなり、秋漁の取り引きを見込む。
水産関係者から、「活気が増すサンマ漁に営業を合わせたいと
思っているのに、これではピークが過ぎてしまう」

3月11日に発生した震災から半年以上にわたり、
事業所側では収入につながる営業拠点を確保できない形に。
市でも、視察に訪れる国会議員らに対して早期対応を求めているが、
現状では不透明な情勢が続く。

申請を終えていない約30事業所分も、土地のめどが付いた段階で行う。
「条件付き」の土地申請分については、
新たな用地を選定するかも含め、対応を協議。

市商工観光部では、「農地や農振地域、住居指定地などでも
期間限定的に設置が認められれば、候補地も増える。
土地利用の弾力的な運用対応も、国に求めていきたい」

http://www.tohkaishimpo.com/

タイと日本の病院が提携 人的交流も視野に 「アジアビジネス」

(2011年7月8日 共同通信社)

質の高い医療を低料金で提供し、観光を兼ねた海外からの患者を
呼び込み、「医療観光」を推進するタイ。

中東や米国などの富裕層をターゲットにする病院が多い中、
日本人誘致を目指す「バンコク病院」が、複数の日本の病院と提携し、
相互の患者紹介や診療記録などの情報を共有する取り組みに乗り出した。
「タイの病院では初の試み」(関係者)。

在タイ日本大使館によると、タイに居住する日本人は、
日系企業の駐在員や長期滞在者など4万7千人(昨年10月現在)。

バンコク病院は、同国の主要な私立病院の一つで、
日本人専門クリニックを備え、日本語が話せる医師や通訳らが常駐。
タイだけでなく、周辺国からも1日100人以上の日本人が外来診療に訪れる。

提携先は、山形県新庄市の新庄徳洲会病院や
鹿児島県曽於市の昭南病院など、全国の12医療法人の病院。

バンコク病院の日本人マーケット部の田中耕太郎マネジャーは、
「将来的には100、200の病院とネットワークを構築し、
医師や看護師らの交流も進め、相互の医療技術やサービスの
向上にもつなげたい」

これまで、日本の医療機関との提携がなく、
帰国後も引き続き治療を受ける場合、
「患者は、自分で治療経過などを説明しなければならなかった」

提携先の病院と患者の受け入れや診療の引き継ぎを直接進めることで、
患者側の負担軽減を目指す。

医療を海外に売り込む動きは、日本でも活発化しているが、
国策として医療観光を推進してきたタイやシンガポールなどに比べ、
大幅に出遅れているのが現状。

日本の医療機関にとって、バンコク病院との提携は、
患者を「顧客」ととらえる同病院のホテル並みの設備や通訳サービスなどの
ビジネススタイルを取り込むチャンスともなりそう。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/8/139100/

自分を攻撃、抑える物質 リウマチ治療に応用も

(2011年7月7日 共同通信社)

免疫機能が、自分の細胞を異物と認識して攻撃するのを抑える
働きがある物質をマウス実験で発見したと、筑波大や東北大、
大阪大などの研究チームが6日、発表。

この働きを強める薬を開発できれば、関節リウマチなどの
自己免疫疾患や、アレルギー疾患の治療に役立つ可能性。
筑波大の渋谷彰教授は、「本来の免疫機能には、
外敵をやっつけるプラスの働きもある。
創薬にあたっては、正常な免疫機能をじゃましない工夫が必要だ」

体内に入った異物を食べるマクロファージと呼ばれる免疫細胞を、
MAIR2という物質が活性化するのに着目。
リンパ球の表面で、これにDAP12という別の物質がくっついて働くことで、
自分の細胞への免疫反応を引き起こす「自己抗体」が、
必要以上につくられるのを抑えることを確かめた。

生まれつき二つの物質をつくれないマウスでは、
自己抗体が通常のマウスより多くつくられていた。
チームは、これらの物質の異常が原因で起きる病気の解明にも役立つ。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/7/139046/

2011年7月15日金曜日

糖尿病に関与のタンパク質 東大が特定、新薬に期待

(2011年7月5日 共同通信社)

肥満による糖尿病や動脈硬化の発症に、深く関わっているとみられる
タンパク質を、東京大の宮崎徹教授(疾患生命科学)らのチームが
マウスで特定、4日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表。

宮崎教授は、「人でも、このタンパク質の働きを抑えれば、
生活習慣病になりにくくなるだろう」、
生活習慣病を予防する新たな薬剤開発につながる可能性。

特定されたタンパク質は、免疫細胞の一種が分泌する「AIM」。
遺伝子操作で、体内でAIMを作れなくしたマウスと、
通常のマウスに約3カ月間、高カロリーの餌を与えて太らせ比較。
通常のマウスは、糖尿病などと同様の症状を起こしたが、
AIMを作れなくしたマウスはほとんど発症しなかった。

人でも肥満が進むと、免疫細胞の働きで全身の臓器や器官に
慢性的な炎症が起こり、生活習慣病発症のきっかけとなる。
チームは、AIMが免疫細胞を活性化させるとみている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/5/138971/

過疎食い止めた包括ケア 「脱ハコモノ」の発想を 「日本を創る―復興への道」老いの未来

(2011年7月5日 共同通信社)

病院や介護施設にも甚大な被害を与え、多くの患者や高齢者が
行き場を失った東日本大震災。
政府の復興構想会議は提言の中で、お年寄りが住み慣れた自宅で
暮らしながら、医療や介護サービスを受けられる
「地域包括ケア」の導入を打ち出した。
復興に合わせて白紙からシステムを構築し、少子高齢化時代の
モデル地域にする狙い。

医療過疎という現実に直面してきた被災地は、
地域のコミュニティーを取り戻し、復興につなげることができるのか?

▽近づく限界

「職員は、もうぎりぎりの状態。このままでは続けられない」

気仙沼市の特別養護老人ホーム「恵風荘」の佐藤久子施設長。
震災から3カ月以上が過ぎ、介護現場は限界が近づいている。
特養ホームには、被災施設から収容したお年寄りがあふれ、
体調を崩したり、ストレスで要介護度が上がったりした高齢者も少なくない。

恵風荘は震災後、30人の高齢者を受け入れ、入所者は120人超に。
過密状態の中、肺炎などで17人が亡くなった。
関係者は、「自宅のある高齢者は、在宅医療や介護のシステムが
整備されていれば、自宅に帰すことができ、犠牲者を出すこともなかった」

医療費の膨張、施設不足という現状を打開するシステムとして、
地域包括ケアへの期待が高まっている。
ヘルパーらが、30分以内に駆けつけられる「圏域」を設定し、
医療や介護、福祉、生活支援サービスを切れ目なく提供するという考え方。

▽戻った表情

尾道市の笹山良法さん(84)の自宅に6月20日、看護師と保健師が訪れた。
「お母さんこんにちは、変わりないですか」。
2人は、ベッドで寝たきりのイツキさん(81)に語りかけた。

6年前に脳出血で倒れて以来、イツキさんは入退院を繰り返した。
夫の良法さんは、「家に帰って、表情が戻ってきた」と喜ぶ。
7カ月前、良法さんが在宅介護への切り替えを決断した背景には、
24時間訪問看護サービスがあり、リハビリ部門も充実している
公立みつぎ総合病院の存在が。

尾道市中心部から北に約20kmにある同病院は1956年、
わずか20床ほどでスタート。
「寝たきりゼロ作戦」など、在宅医療・介護に積極的に取り組み、
患者は増加。
現在は200床を超え、特別養護老人ホームや介護老人保健施設なども
併設する地域の一大拠点となった。
山口昇病院事業管理者は、「地域包括ケアで高齢者が町にとどまり、
過疎化を食い止めることができた。
地域の活性化にもつながった」

▽脱ハコモノ

「介護している息子さんは、職に就いてるの?
職がないなら、ハローワークにつなぐ。それが包括ケアだよ」。
東京のベッドタウン・和光市の南地域包括支援センター。
会議室に集まったケアマネジャーや看護師、介護福祉士ら約40人を前に、
市職員(厚生労働省出向中)の東内京一さん。

人口約8万人の同市に、特養ホームは1カ所(定員60人)しかない。
市内に4カ所ある地域包括支援センターが事実上の司令塔となり、
自治体主導で包括ケアの導入に成功。

釜石医師会の小泉嘉明会長は、岩手県沿岸部で被災者の医療に
当たってきたが、「被災地では、介護問題に焦点が移ってきた」、
地域包括ケアの導入が今後の課題に。

医療と介護の連携の難しさなど課題も多いが、東内さんは、
「問題意識を持つ自治体職員や医師がいれば可能。
ハコモノ(施設)から脱し、人中心に考えることが大切だ

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/5/138972/

2011年7月14日木曜日

復興方針図案を公表 地区別に土地利用、移転先描く

(東海新報 7月8日)

大船渡市災害復興計画策定委員会は、
各地区の現状や被害状況をふまえた今後の議論のたたき台として、
「土地利用計画案」を提示。

高台移転の候補地を示しているが、全壊・流失被害地の多くが、
居宅区域として利用可能に。

海岸に近い道路をかさ上げすることで、津波被害を最小限に抑える
「二線堤化」の考えが盛り込まれている。

策定委員会は5月に発足し、委員は学識経験者や
産業団体関係者ら28人で構成。
この日は、委員のほか戸田公明市長、各部課長ら約50人が出席。

戸田市長は、「地区懇談会では、さまざまな意見が寄せられたが、
どれも『すぐやってほしい』との声ばかり。
復興には、スピード感を持っていきたい

委員長を務める塩崎賢明神戸大学院教授は、
「3回目の委員会を迎え、実際の事業着手につながる復興計画に
だいぶ近づいてきた」

議事では事務局から、各地区別の復興方針図案が示された。
湾口防波堤や防潮堤の復旧を前提に、新たな土地利用区域の
大まかな概要をまとめたもの。
市では、今後の復興施策における基本的な「たたき台」としての活用を期待。

方針図案は、盛・大船渡地区①、大船渡地区②(永沢以南)、末崎地区①(細浦)、
同②(大田団地など)、赤崎地区①(太平洋セメント~永浜貯木場)、
同②(蛸ノ浦)、綾里地区①(綾里漁港周辺)、同②(砂子浜・小石浜)、
越喜来地区①(浦浜など)、同②(崎浜)、吉浜地区―に分類。

各地区とも、津波危険区域や居住区域、高台に移る際の移転候補地、
産業区域などを色分け。

これまで市では、「再び津波が来ても、人が亡くならない、
住居が流されないまちづくり」を掲げてきたが、
JR大船渡駅周辺や末崎町の大田団地、三陸町越喜来の浦浜など、
全壊・流失住居が多かった地域も、「居住区域」。

こうした地域では、海岸沿いの防潮堤とは別に、
道路のかさ上げ検討を明記。
主要地方道大船渡綾里三陸線、県道丸森権現堂線、
末崎町の門之浜海岸沿いを通る市道高清水鶴巻線、
県道崎浜港線を候補。

盛り土などによって道路を高くすることで、岸壁を越えて流入した津波を
防御する「二線堤」の機能を持たせる。
津波襲来後も、道路アクセスが維持されるといった効果も期待。

大船渡町南部に広がるJR大船渡線より海側の地域や、
末崎町の泊里地域などは「危険区域」に。
市街地よりも高台の山林などに、移転候補地を示したほか、
山側への避難路確保の必要性にもふれている。

案段階ではあるが、戸田市長がこれまで必要性を訴えてきた
「高台移転」は、限定的な対応。

戸田市長は、「当初は『二線堤』をはじめ、道路のかさ上げ対応は
考えていなかった。
最近の国の動きなどをふまえ、議論のたたき台として提示した」

道路をどの高さまで上げるかや、危険区域の判断基準が
明確化されておらず、委員からはより具体的な説明を盛り込むよう
意見が寄せられた。

市では、今回提示した土地利用計画案を生かした、
ワークショップ開催などを経て、7月末以降に策定する復興計画内で、
より具体的な地区別復興図をまとめることに。

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新潟・熱中症対策 節電でも無理しないで 高齢者宅訪問で予防

(2011年6月29日 毎日新聞社)

暑い夏が近づいてきた。
新潟地方気象台によると、昨夏ほどの酷暑となる可能性は低いが、
平年以上の暑さになる確率は40%。
暑くなると懸念されるのが、熱中症。
今月26日までに全国で3709人、県内で50人が救急搬送。
今年は節電対策で、エアコンの使用抑制が呼びかけられているが、
保健師らは熱中症のリスクが高い高齢者宅を回るなど、
「体に無理をしてまで節電せず、しっかり対策をとってほしい」

◆地域で守る

昨夏、全国で1718人が熱中症で命を落とした。
県内では50人が死亡、1355人が救急搬送。
危険性が最も高いのが、高齢者。
死亡者の79%を、高齢者が占める。

「節電って言っても、暑いとできないこともある」。
新潟市西区役所の保健師、石川玲子さん(54)は、健康教育で
地域を回る中で、お年寄りのこんな声を聞いた。
石川さんは、「熱中症になるくらいなら、エアコンをつけて」。

高齢者は若者に比べ、体内の水分量が少ないうえ、暑さへの感覚、
調整機能が低く、室内にいても熱中症になる危険性が。

同区役所は昨年8月、熱中症予防のための高齢者宅の訪問活動を始め、
今年もすでに取り組んでいる。
同区に住む65歳以上の高齢者は、約3万6000人。
保健師14人ですべてを回ることはできないため、特にリスクの高い、
80歳以上の1人暮らし、夫婦2人暮らしを対象。
エアコンと扇風機の適切な使用方法を教えたり、こまめな水分補給など
予防法が書かれたチラシを配っている。
石川さんは、「お年寄りには、なかなか情報が入らない。
地域のみんなで守ることが大事」

◆こまめに休憩

働く人の中でリスクが高いのは、炎天下での作業が多い建設業と、
空気のこもりやすい工場内などに勤務する製造業。
昨夏は全国で、建設業で17人、製造業で9人の死者が出た。
県内では、職場での熱中症発生は33件、うち建設業が10件、製造業が7件。

今年は節電で、エアコンでの暑さ対策が困難になることを踏まえ、
新潟労働局は、業界団体に予防対策の実施を要請。
労働者の定期的な水分・塩分補給を徹底させることや、
気温が高くなる午後2~4時を中心に、こまめな休憩をとらせるなどの
対策を求めている。
……………………………………………………………………………
◇熱中症を防ぐために気を付けたいこと(県のホームページより抜粋)

▽ブラインドやすだれを垂らし、扇風機やエアコンを使うなど暑さを避ける。

▽のどが渇く前、暑いところに出る前、こまめに水分を補給。

▽汗をかいたとき、スポーツドリンクや食塩水を飲み、水分と一緒に塩分も補給。

▽高齢者は、温度に対する感覚が弱く、のどが渇いていなくても水分を補給し、
部屋の温度をこまめに測る。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/29/138719/

2011年7月13日水曜日

がれき、両市で170万㌧ 県の処理計画雇用とリサイクル図る

(東海新報 7月8日)

東日本大震災で発生した膨大な災害廃棄物を、
有効かつ迅速に処理するため、
県は災害廃棄物処理実行計画を策定。

計画では、大船渡、陸前高田の両市の一般家屋や事業場などから
発生したがれきの量は、170万3309㌧にのぼると推計。

腐敗や危険物など、生活環境に支障のある廃棄物は今月末までに、
その他も本年度内に撤去し、3年をめどに処理を完了する方針。

計画は先月下旬に策定し、「雇用」、「リサイクル」、「広域処理も活用」の
三つを基本方針に掲げる。

今月末までに、腐敗性や火災の危険性のある災害廃棄物を撤去し、
年度内に全ての移動を完了。
処理は、平成26年3月末まで3年をめどに行う。

計画は、一般家屋や中小企業から発生した災害廃棄物が対象。
大企業や道路など、公共施設は別の処理計画になる。

県が推計したがれきの量は、陸前高田市が一番多く95万5920㌧。
大船渡市は74万7389㌧。
両市合わせて170万3309㌧、内訳は住宅が約65万8000㌧、
事業場が25万9000㌧、泥などの堆積物69万3000㌧、
家財道具などの水害廃棄物9万3000㌧。

災害廃棄物の処理責任は市町村にあるが、行政機能が被災した
陸前高田市など7市町村は、県に処理事務を委託。

県内全体では583万㌧以上で、うち可燃物は100万㌧で
木くずの割合が多い。
不燃物は300万㌧、残りは堆積物など。

この処理を進めるにあたり、沿岸の雇用の確保を重点に置き、
県内の既存施設や業者を活用して、分別や破砕などの前処理を行う。

可燃物の処理は、太平洋セメント㈱大船渡工場を中核として、
三菱マテリアル㈱岩手工場、いわて第2クリーンセンターなどの民間と
市町村の一般廃棄物処理施設を利用。

セメント工場での大量処理には、除塩施設の設置が必要とし、
塩分濃度が高く焼却できない場合は、仮設焼却炉を併設する。

がれき撤去は、スピードを優先したため、1次仮置場に混合状態にあるが、
柱材・倒木、可燃物、がれき類、金属、危険物・有害物、家電、混合物の
7種類に分別を検討し、再利用率を高めリサイクルを推進。
それによって、焼却や最終処分量を減らす。
泥などの堆積物は、埋立や焼成対象物とする。

最終処分の方法は、県内の埋立処分場が不足し、既存施設だけでは
処理が間に合わないことから、県外施設に一部を委託し、
広域処理も念頭に進める。
処理費用の財源は、環境省の補助金を活用する。

県環境生活部資源循環推進課の佐々木秀幸主任主査は、
地元の雇用も図ることを、重点において進めたい」、
がれきの試験焼却が太平洋セメントで始まっているほか、
腐敗水産物の処理が大船渡、陸前高田で行われている。

県は、8月末までに地域ごとに処理施設などを明らかにした
詳細な計画をつくることに。

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環境・健康が勝負どころ 製造業にサービス価値を 小林喜光・三菱ケミカルホールディングス社長

(2011年6月29日 共同通信社)

日本経済を支える柱である製造業の将来が、危ぶまれている。
円高、高い法人税率...といった逆風に、電力不足が加わり、
生産拠点の海外移転、いわゆる「空洞化」の加速が懸念。

日本では、数少ない理学博士号を持つ経営トップとして、
国内最大の総合化学会社の最前線から「モノづくり」の再生策を説く。

「日本が今後、何をもって生きていくのか、何で食っていくのかという問題は、
バーチャル(仮想的)な危機としては意識されていたが、
東日本大震災と福島第1原発事故によって、リアル(現実的)な危機となった。

将来にわたって、原発をエネルギー源として頼ることができず、
代替するグリーンエネルギーを早く開発しなければならないという問題。
製造業は、三重四重のハンディを抱え、一部は空洞化せざるを得なくなる」

空洞化が、そのまま製造業の衰退につながらないのか心配。

「石油化学は、資源のない日本ではタンカーで高い原油を運んでくる。
競争相手の中東では、極めて安い天然ガスで、ポリエチレンをつくっている。
明らかに競争にならないから、日本の化学会社は、
海外に出て行かざるを得ない。
三十数億人のアジアの人々の洋服や自動車に、われわれが培った
石油化学の技術が有効に使われるはず。

ただ、それだけではない。
二面作戦のもう一方として、世界シェアが一番とか、
非常に特異な技術を持っている分野、環境・健康という方向性を
明確にすれば、21世紀的な商品体系をつくることができる

日本の製造業が、勝負していける「強み」は、どこにあるのだろうか?

「技術力だと思う。
ノーベル賞をもらうような科学というより、テクノロジーのレベルが強い。
改良とか、小さいモノをものすごく器用につくるとか。
日本人には、まだまだその力がある。
大事なことは、その技術が目指す目標を、健康や環境といった
方向に変えていくことだ。
原発に頼れない時代になると、植物由来の材料や、太陽光などの利用に
つなげていけるかが、勝負どころになってくる」

製造業が生き残っていくには「モノづくり」に、
サービスという付加価値を付けることも重要というのが持論。

「自動車会社だと、自動車をつくるだけではなく、ロボットを含めて
モノを動かす総合的なサービスを事業化する。
ビール会社も、ビールだけじゃなく、人間が心地よいと思う食品文化をつくる。
化粧品会社だって、モノに付随したサービス業。
三菱ケミカルが手掛けている医療品も、薬だけつくっていればいいという
時代は終わった。
一人一人の患者さんの診断を受け、予防医学でなるべく
病気にしないようにしたい」

産業の柱を、製造業から思い切ってサービス産業に
転換してしまった方がいいという主張も。

「サービス業だけだと、ちょっときつい。
海外に打って出る、強さを持った産業がないと駄目。
介護とか医療産業は、あくまで内向き。
国内だけで金のやりとりをして、最後に気付いたら
何もなくなっちゃったという、『花見酒経済』に陥ってしまうだろう」

「じっくりと技術を育て、仕掛けをつくって磨いていくことに優れている
日本人の特徴は、製造業に向いていることも忘れてはならない」

21世紀は、化学の時代だ。
化学が日本産業をどう変えていくのか?

「ノーベル化学賞をとれるような日本人が、あと何人もいる。
日本人は、ナノテクノロジーなどでは、アジアの中では非常に優れている。
悩ましいのは、若者が理科系に行きたがらないこと。
鉄や化学は、CO2ばかり出しているという誤ったイメージがある。
出来上がったモノを享受する産業にだけ集まってしまうのは、どこか違う。
人間は物を食べ、排せつし、飛行機や自動車に乗っている。
そういう全体系をしっかり可視化して、教育しなくてはいけない。
製造業はどうあるべきかを、国民全体がもっと共有していかないと」

「新炭素社会」との言葉をつくり、炭素技術の将来性を熱っぽく語る。

「炭素の細工を、僕は『錬炭素術』と呼んでいる。
究極の錬炭素術は、植物がCO2と水と太陽光から炭化水素、
糖をつくるような光合成。
光合成のまねをするか、もっと原理的に炭素と炭素をくっつけるか、
これがあと40年か50年たったら、必ず現実になるだろう。
それは、何で実現できるかといったら化学だ。
僕が『新炭素』というのはそこにある」

※小林 喜光氏(こばやし・よしみつ)

東大理学系大学院修了後、イスラエルのヘブライ大に留学。
イタリアのピサ大留学を経て、三菱化成工業に入社。
企業統合で誕生した三菱ケミカルホールディングスで、07年に社長就任。
今年4月、経済同友会の副代表幹事を務める。山梨県出身。64歳。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/29/138696/

2011年7月12日火曜日

「独りじゃない」周囲の支えで前向きに 支える 在宅療養への道/1

(2011年6月28日 毎日新聞社)

「おはよう。今日は天気だよ」
高浜町和田の自宅で、筋肉を動かす神経が働かなくなる難病
「筋委縮性側索硬化症」(ALS)との闘病生活を送る一瀬長義さん(71)に、
妻篤子さん(67)が明るく声をかける。

一瀬さんは、唯一動かせる唇の筋肉で、呼びかけに応える。
昨年に次女が嫁いだが、篤子さんは、
「お父さんがいてくれるから、独りじゃない」と、
夫婦そろっていられることをありがたく思っている。

06年、一瀬さんを異変が襲った。
腹に力が入らない。
医師も驚く進度で病状は悪化し、5カ月後には永平寺町の福井大病院に入院。
同12月には歩けなくなった。

ベッドの上で、体勢を変えることもできなくなる。
肺の機能が衰え、呼吸にも支障が生じ、変えてほしい体勢を
口にするのが精いっぱいに。
つらさを訴えることもできない行き詰まった精神状態から、
夜中でも体勢を変えるよう、付き添いの篤子さんに求め続けた。
生来の明るさで夫を励ましていた篤子さんも、この時ばかりは体調を崩し、
院内の救急診療にかかった。

症状が進行しきってできる治療がほとんどなくなり、
07年5月に退院せざるを得なくなった。
一瀬さんは家族の負担を心配し、別の病院での入院を希望。
専門医が少なく、ベッド数も限られているため、転院先のめどは立たない。
篤子さんが、県難病支援センター(福井市)に相談すると、
ALS患者の多くが自宅療養をしていることが分かり、
6月から家へ連れて帰ろうと決めた。

一瀬さんは、面倒見が良く、勤めた工場の退職後、
区長など地区の役職を一手に引き受けた。
篤子さんは、「誰彼かまわず世話をするのが大好きだった人。
それが人の手を煩わせることになって、どれほど悔しかったことだろう」、
涙声で当時を振り返る。

望んだ在宅療養ではない。
しかし、わが家であった。
天気のよい日、篤子さんや主治医の井階友貴医師(30)らが、
車いすで外に連れ出すと、たくさんの知人が声をかけてくれる。

一瀬さんは、明るさを取り戻していった。
筋肉の動きを伝えて文字にする特殊機器を通じ、
「この心地よさは 隣人の心と血の動きと風の清かさよ」と詩をしたためた。
「運命の定めに従い、感謝して生きていこうと思います」と前向きな気持ちも。

篤子さんも当初は不安だった。
初めての介護、見通せない将来……。
たんの吸引やおむつの交換など、日々の介護に慣れるうちに意識が変わった。

「お父さんが生きていてくれることが、幸せだと思えるようになった。
体力が続く限り、家で診たい」
在宅医療を選択して本当によかったと、今は思っている。

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国は、自宅を「第3の医療現場」として、在宅医療を進める方針だが、
なかなか広がらない。
患者一人一人で望ましい治療のあり方は異なるが、
在宅医療のよい面が知られていないことも普及の壁になっている。
県内の在宅医療の好例や、地域ぐるみの前向きな取り組みを紹介。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/28/138632/

アルツハイマー病 理研、新原因のたんぱく質を特定

(2011年7月4日 毎日新聞社)

アルツハイマー病の原因物質と考えられているたんぱく質
「アミロイドベータ(Aβ)」のうち、これまであまり注目されていなかった
「Aβ43」が、アルツハイマー病の大きな原因となっていることを、
理化学研究所などのチームが突き止め、
ネイチャーニューロサイエンス(電子版)に4日発表。
新たな治療戦略や診断法の開発に役立つ可能性がある。

従来、Aβ42と呼ばれるタイプが、アルツハイマー病の主原因と考えられていた。
亡くなった患者の脳を調べたところ、Aβ43の量がAβ42の半分近くあり、
アルツハイマー病の特徴であるアミロイド斑(老人斑)の部位に集中的に存在。

マウスの神経細胞に、各種のAβを加えて経過を見たところ、
Aβ43を加えた細胞の生存率は大幅に低く、毒性が強いことも分かった。

Aβ43は、他のタイプよりアミノ酸の数が多い。
これまでの臨床実験は、Aβ42に注目したもので、目立った成功例はなかった。
チームの西道隆臣・同研究所チームリーダーは、
42だけでなく、43の産生を抑えるなど新たな治療戦略が必要。
43は、加齢によって顕著に増えることも確認、早期診断に役立ちそうだ」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/4/138923/

2011年7月11日月曜日

東北大学加齢医学研究所が新事業 研究所内にフィットネスクラブを設置

(日経ヘルス 6月15日)

東北大学加齢医学研究所は、
研究所内に民間のフィットネスクラブなどを誘致して、
認知機能への効果を評価する産学協同の研究事業を始める。

第一弾として6月14日に、フィットネスチェーンのカーブスジャパンが、
同研究所内に店舗をオープン。
国立大学の学内に、共同研究のための民間施設が設置されるのは国内初。

高齢化が進む我が国において、高齢者の健康維持は国家的な課題。
中でも重視されるのが、認知症の予防。
同研究所は、認知機能を中心とする加齢研究および対策の拠点として、
09年にスマートエイジング国際共同研究センターを開設
(センター長:川島隆太・東北大学教授)。
このセンターが、今回の共同研究を進める。

川島教授によると、認知機能の維持には「認知的刺激」、「運動」、「栄養」、
「社会との関わり」という四つの要素が重要。

「運動」を実践する場として、同センター内に「カーブス」店舗を開設。
通常の店舗と同様の営業を行いながら、店舗の会員と、
同センターが独自に募集するボランティア参加者(無料)を対象にして、
認知機能に対する運動の効果を評価する臨床研究を行う。

「カーブス」は、米国生まれのフィットネスチェーン。
トレーニングマシンを使った筋力アップメニューと、
その場ウオーキングなどの有酸素運動メニューを30秒ごとに
交互に繰り返す「サーキットトレーニング」プログラムが特徴。

運動負荷があまり強くないため、通常のフィットネスクラブでは
負担を感じる高齢者層に人気。
国内店舗数は、約1000カ所。
会員は女性限定のため、男性への効果は、同センターが募集する
ボランティア参加者を対象にした研究でカバー。

「認知的刺激」の要素としては、学習塾をフランチャイズ展開する
日本公文教育研究会が、9月にくもん学習療法センターを
同センター内にオープンする予定。
ここでも共同研究が行われる。
「栄養」面のパートナーも検討中。

「参加者がセンターに通うことで、『社会との関わり』も維持できる」
と川島教授。
民間企業と共同で地域住民向けのサービスを提供しながら、
研究を推進するスタイルは、予防医学分野の臨床研究のあり方として、
注目を集めそう。

http://nhpro.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20110615/111217/

唾液でも前立腺がん把握 再発・転移でPSA高値

(2011年7月4日 共同通信社)

前立腺がんの腫瘍マーカーで、血液検査に使われるPSA
(前立腺特異抗原)は、患者の唾液にも含まれ、がん手術後の再発や
転移を調べるのにも有効だとの研究結果を、
神奈川歯科大の槻木恵一教授(唾液腺健康医学)らのグループが
2日までにまとめた。

PSAは、がん以外の前立腺の病気でも数値が上がる。
唾液は、血液に比べ採取が簡単なのが利点で、槻木教授は、
「大規模な研究を進め、がん手術後の検査だけでなく、
がんを含めた前立腺疾患の検診にも使えるようにしたい」

PSAは、普通に前立腺から分泌される物質だが、
がんなどの患者では、血中の濃度が高くなる。
グループは、唾液が血液から作られ、血液成分を反映していることに着目。
唾液を分泌する唾液腺では、PSAが作られないことも確認し、
前立腺がんの手術をした患者31人の血液と唾液中のPSAとの関係を調べた。

その結果、術後に再発や転移が見つかった11人は、
PSAの血中濃度が1ml中2・5ng以上と高かった上、
血中濃度が上がるにつれ、唾液中の濃度も上がっていた。
経過が良かった20人は、血中濃度が低く、PSAは唾液にも
ほとんど含まれていなかった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/4/138892/

2011年7月10日日曜日

おいしさを数式で表す

(日経ヘルス 6月6日)

口に入れた瞬間に感じる「おいしい」という直感的な判断が、
15の簡単な質問表に基づき、計算して導いた数値とよく一致した、
と京都大学大学院農学研究科の伏木亨教授。

第65回日本栄養・食糧学会大会の教育講演での発表。
人は、食べたものがおいしいかどうかを、口に入れてすぐに判断。
「おいしさの判断を左右する要因はせいぜい、3~4個」

伏木教授は、できるだけ簡素化を図り、
以下の4つの項目でおいしさを決定できる。

「(1)=生理的なおいしさ」

体が要求するため、おいしく感じる。
のどが渇いたとき、飲むビールがおいしかったり、
疲れたときに甘いものがおいしかったり、という例。
30分の激しい運動をしたところ、いつもよりも甘いものを欲する。

「(2)=文化によるおいしさ」

子供の頃からの食習慣に合う料理はおいしく、合わない料理はおいしくない。
関東の人は甘い卵焼きが好きだが、関西の人はだしの利いた
塩味の卵焼きが好きで、甘い卵焼きを好まない、というのが一例。
「特に匂いが決め手になることが多く、発酵によるうまさは
文化に関わらず共通で感じられるが、匂いで好き嫌いが分かれる」

「(3)=情報によるおいしさ」

「この味をおいしいと考える」と学習すること。
「赤ワインのおいしさは渋みのバランス」、
「この味は、美食家のあの人がおいしいといっていた」などの情報をもとに、
人はおいしい味の判断基準を身につけていく。

「(4)=報酬によるおいしさ」

食べることで快楽を感じ、やみつきになる成分が含まれているもの。
「脂肪、砂糖、うまみのあるだしには、繰り返し食べたいという
執着を生み出す力がある」

(1)~(4)のうち、(1)は食べる側の条件であり、食べ物そのもののおいしさを
決定するものではないため除き、(2)、(3)、(4)の3つの要素を組み合わせて、
おいしさを表す数式を導いた。

被験者に食品を試食させ、直感的においしいかどうかを、
VAS法※で評価してもらい、上記のおいしさを決める要素について問う
15の質問表(やみつきになりそうな味か、食べなれた味か)への答えを
それぞれ点数化。
この両方を合わせて、下記のような重回帰式を得た。

Y(おいしさ)=1.74×((4)報酬によるおいしさ)+1.48×
((3)情報によるおいしさ)+0.38×((2)文化によるおいしさ)+8.77

重回帰式の係数は、個人もしくは母集団によって異なるが、
市販の12種類の食品(カレー、親子丼、たこ焼き、グラタンなど)を
用いて算出した重回帰式は、他の食品の評価にも有効で、
質問表の点数を数式にあてはめて算出した評価値と、
VAS法による直感的な総合評価値は、高い相関。

「質問表はまだ見直す余地はあり、質問項目はもっと減らせる」

※VAS(Visual Analogue Scale)法

痛みなどの主観的な評価を客観的な数値に置き換える方法。
痛みの場合、左端は「痛みなし」、右端は「考えられる最大の痛み」とした
100mmの直線を引き、自分が現在感じている痛みが直線上のどこに
位置するかを書き込む。
今回は、左端が「おいしくない」、右端が「おいしい」として使用。

http://nhpro.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20110606/111116/

海洋生物に迫る大量絶滅の危険性 科学者らが報告書

(CNN 6月22日)

世界の海洋生物が、大量絶滅の危機に直面していることが、
各国の科学者らによる暫定報告書で明らか。

報告書は、海洋研究国際計画(IPSO)の呼び掛けで今年4月、
英オックスフォード大学での会議に参加した18団体、27人の
専門家チームが、国際自然保護連合(IUCN)と共同でまとめ、国連へ提出。

会議では、海洋の汚染や酸性化、水温上昇、魚の乱獲、
酸素濃度低下の影響を総合的に検討し、地球史上で過去5回あったとされる
大量絶滅期と同様の条件がそろっているとの結論。
今後、一世代のうちにサンゴ礁が消滅するなど、
海洋の生態圏全体が失われる恐れがある。

生態系の破壊が、予想以上の速さで進行していると警告。
一部の魚は、行き過ぎた商業漁業によって、
以前の1割以下まで減ったとも指摘。

IPSOの研究責任者を務めるオックスフォード大の
アレックス・ロジャーズ教授は、大気中に放出されて海洋に吸収される
CO2量はかつてない勢いで増加し、CO2サイクルの乱れは
過去の大量絶滅でもみられたと強調。

http://www.cnn.co.jp/fringe/30003149.html

最大クラスの津波も対象にした防災対策提言

(サイエンスポータル 2011年6月27日)

中央防災会議の「東北地方太平洋沖地震を教訓とした
地震・津波対策に関する専門調査会」は、津波対策について
従来の考え方を根本的に改める必要がある、とする中間報告。

中間報告は、従来の防災対策を、
「海岸保全施設などに過度に依存していた」

理由として、過去発生したことが指摘されていても、
地震動や津波を再現できなかった地震は、
地震発生の確度が低いとみなし、想定の対象外にしていた。

今後の対策は、「考えうる可能性を考慮し、被害が大きくなる
可能性についても十分に視野に入れ、想定地震・津波を検討する必要」

具体的には、これまで対象にしていた「頻度の高い津波」に加えて、
東北地方太平洋沖地震のような想定対象外にしていた
「最大クラス」も、併せた2段階の津波対策を提言。

「最大クラス」の津波が襲来しても、「行政機能、病院などの
最低限必要十分な社会経済機能を維持することが必要。
このため、住民の避難を軸に、土地利用、避難施設、
防災施設などを組み合わせて、ソフト・ハードの取り得る手段を尽くした
総合的な津波対策の確立が必要だ」

できるだけ被害が拡大しないよう、特に住民や行政の防災教育、
防災訓練などを通じて、防災意識の向上に努める重要性を強調。

「頻度の高い津波」対策では、海岸保全施設の設計対象よりも
高い津波が来襲しても、施設の効果が粘り強く発揮できるような
技術開発の必要を指摘。

今後、検討する必要があることとして、「避難対策が確実に実施できるよう、
津波避難ビルの指定、避難路の整備」、
「すばやい避難行動をとることができるよう、リスクコミュニケーションの構築」、
「地震・津波災害に関する国民の理解を向上させる
総合的な教育プログラムの開発」などを挙げた。

「数千年オーダーでの大規模津波の発生を確認するためには、
津波堆積物調査や海岸段丘などの地質調査、生物化石の調査など、
地震学だけでなく地質学、考古学、歴史学も含めた
統合的研究の充実が重要」、

「今回の巨大津波の発生原因と考えられる海溝付近の状態を
正確に把握するために、陸上だけでなく、海底において
直接地殻変動を観測し、プレートの固着状態を調査するなど、
地震学に基づく想定地震・津波の精度向上の研究推進を
一層努める必要がある」など、
調査研究面でも大きな課題があることを指摘。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1106/1106271.html