2011年7月14日木曜日

復興方針図案を公表 地区別に土地利用、移転先描く

(東海新報 7月8日)

大船渡市災害復興計画策定委員会は、
各地区の現状や被害状況をふまえた今後の議論のたたき台として、
「土地利用計画案」を提示。

高台移転の候補地を示しているが、全壊・流失被害地の多くが、
居宅区域として利用可能に。

海岸に近い道路をかさ上げすることで、津波被害を最小限に抑える
「二線堤化」の考えが盛り込まれている。

策定委員会は5月に発足し、委員は学識経験者や
産業団体関係者ら28人で構成。
この日は、委員のほか戸田公明市長、各部課長ら約50人が出席。

戸田市長は、「地区懇談会では、さまざまな意見が寄せられたが、
どれも『すぐやってほしい』との声ばかり。
復興には、スピード感を持っていきたい

委員長を務める塩崎賢明神戸大学院教授は、
「3回目の委員会を迎え、実際の事業着手につながる復興計画に
だいぶ近づいてきた」

議事では事務局から、各地区別の復興方針図案が示された。
湾口防波堤や防潮堤の復旧を前提に、新たな土地利用区域の
大まかな概要をまとめたもの。
市では、今後の復興施策における基本的な「たたき台」としての活用を期待。

方針図案は、盛・大船渡地区①、大船渡地区②(永沢以南)、末崎地区①(細浦)、
同②(大田団地など)、赤崎地区①(太平洋セメント~永浜貯木場)、
同②(蛸ノ浦)、綾里地区①(綾里漁港周辺)、同②(砂子浜・小石浜)、
越喜来地区①(浦浜など)、同②(崎浜)、吉浜地区―に分類。

各地区とも、津波危険区域や居住区域、高台に移る際の移転候補地、
産業区域などを色分け。

これまで市では、「再び津波が来ても、人が亡くならない、
住居が流されないまちづくり」を掲げてきたが、
JR大船渡駅周辺や末崎町の大田団地、三陸町越喜来の浦浜など、
全壊・流失住居が多かった地域も、「居住区域」。

こうした地域では、海岸沿いの防潮堤とは別に、
道路のかさ上げ検討を明記。
主要地方道大船渡綾里三陸線、県道丸森権現堂線、
末崎町の門之浜海岸沿いを通る市道高清水鶴巻線、
県道崎浜港線を候補。

盛り土などによって道路を高くすることで、岸壁を越えて流入した津波を
防御する「二線堤」の機能を持たせる。
津波襲来後も、道路アクセスが維持されるといった効果も期待。

大船渡町南部に広がるJR大船渡線より海側の地域や、
末崎町の泊里地域などは「危険区域」に。
市街地よりも高台の山林などに、移転候補地を示したほか、
山側への避難路確保の必要性にもふれている。

案段階ではあるが、戸田市長がこれまで必要性を訴えてきた
「高台移転」は、限定的な対応。

戸田市長は、「当初は『二線堤』をはじめ、道路のかさ上げ対応は
考えていなかった。
最近の国の動きなどをふまえ、議論のたたき台として提示した」

道路をどの高さまで上げるかや、危険区域の判断基準が
明確化されておらず、委員からはより具体的な説明を盛り込むよう
意見が寄せられた。

市では、今回提示した土地利用計画案を生かした、
ワークショップ開催などを経て、7月末以降に策定する復興計画内で、
より具体的な地区別復興図をまとめることに。

http://www.tohkaishimpo.com/

0 件のコメント: