2011年7月16日土曜日

大船渡市内の仮設店舗 9カ所に計2万平方㍍申請 完成までの遅さに焦りも

(東海新報 7月15日)

中小企業基盤整備機構(中小機構)が、民間事業所に無償貸与する
仮設店舗・仮設工場の候補地として、大船渡市は
市内の9カ所計2万平方㍍を申請。

中小機構による現地調査はすでに8カ所で終え、
「適地」判断が得られたのは6カ所。
申請事業所の半数で土地のめどがついたが、
完成までに3カ月程度要するため、関係者からは
整備のスピードアップを求める声が出ている。

無償貸与制度は、中小機構による東日本大震災支援策の一環。
市町村の所有地か、市町村が提供できる場所に、
建築面積約650平方㍍の工場タイプや、建築面積350平方㍍で
2階建て構造の店舗・事務所タイプなどを建設できる。

数カ月から1年程度の使用を想定、
一定期間経過後は市町村に管理を委託する方針。
市内では、大船渡商工会議所が被災事業所から希望を取りまとめ、
用地や店舗集積を調整。
こうした動きをもとに、市が中小機構に対して申請を行った。

市商工観光部によると、申請を希望した事業所数は224カ所。
市では、6月から7月にかけ、86%にあたる192カ所分の申請を終えた。

候補地は、三陸町綾里の黒土田地域、同越喜来の杉下地域、
末崎町の小細浦地域、大船渡町の茶屋前、中港、地ノ森、野々田(2カ所)、
永沢各地域の計9カ所。
合計面積は約2万平方㍍、ほとんどが東日本大震災で
浸水被害を受けた被災地。

三陸町や末崎町、大船渡町北部の候補地は、被災前に事業を行っていた
土地の近辺で再開してもらおうと、市側で選定。
大船渡町南部では、仮設利用を望む事業所側で土地確保が進められた。

中小機構による現地調査は、大船渡町の野々田地域1カ所を除く
8カ所で終了、6カ所で「適地」と判断。
三陸町越喜来の杉下地域は上水道整備を、大船渡町の中港地域は
建造物の基礎部分まで撤去した更地とするよう条件が出た。

事業所側で土地確保に動いた地域は、業種別の「集積」が見られる。
茶屋前地域は、震災前に近隣で商店街を形成していた
事業所関係者がまとまるほか、野々田地域は飲食店関係者が集中。

完成すれば、「仮設商店街」、「仮設飲食店街」が生まれることに。
大船渡魚市場に近い永沢地域は、水産関係事業所が多い。

「適地」判断を得た土地での再開を希望する事業所は、
申請希望数の半数となる112事業所。
営業再開への光が見えた一方、課題も抱える。

着工から営業開始までに、要する期間は3カ月程度。
今月中に着工しても10月ごろとなり、秋漁の取り引きを見込む。
水産関係者から、「活気が増すサンマ漁に営業を合わせたいと
思っているのに、これではピークが過ぎてしまう」

3月11日に発生した震災から半年以上にわたり、
事業所側では収入につながる営業拠点を確保できない形に。
市でも、視察に訪れる国会議員らに対して早期対応を求めているが、
現状では不透明な情勢が続く。

申請を終えていない約30事業所分も、土地のめどが付いた段階で行う。
「条件付き」の土地申請分については、
新たな用地を選定するかも含め、対応を協議。

市商工観光部では、「農地や農振地域、住居指定地などでも
期間限定的に設置が認められれば、候補地も増える。
土地利用の弾力的な運用対応も、国に求めていきたい」

http://www.tohkaishimpo.com/

0 件のコメント: