2009年11月7日土曜日

糖尿病診断に新基準 血糖値に加えて…ヘモグロビンA1cも

(2009年11月2日 毎日新聞社)

日本糖尿病学会(門脇孝理事長)は、
糖尿病の新しい診断基準案を発表。
従来の診断で使ってきた血糖値に、過去1-2カ月の
平均的な血糖の状態を示す血液検査値
「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」を加える。
現在の診断基準が作られた99年以来の大幅改定。

血糖値は、食事や運動の影響を受けやすく、
検査直前の生活習慣で大きく変動するため、
HbA1cの導入によって、より確実な診断を目指す。
新基準案では、血液検査の血糖値かHbA1cが基準値を
超えた場合、糖尿病を疑う。

血糖値の基準値は現在と変えず、HbA1cは6・1%以上。
別の日にもう一度血液検査を受け、再び基準値を超えた場合、
正式に糖尿病と診断する。
正確を期すため、2度の血液検査ともHbA1cだけで
診断することは認めず、1度は血糖値を確認することを求める。

1度目の検査で基準値を超えた際、のどの渇き、体重減少など
糖尿病に典型的な症状がある場合、
糖尿病による網膜症がある場合は、その場で糖尿病と診断。

今後、同学会会員から新基準案への意見を募集し、
10年2月ごろにも新診断基準を発表、
実際の診断への適用を始める予定。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/11/2/110358/

日中韓「鉄鋼三国志」の予兆

(日経 2009-10-28)

回復傾向が続いたアジアの鉄鋼市況に、陰りが見え始めた。
震源地は中国。

市況回復をけん引してきた同国では、供給過剰を受け、
韓国や東南アジアへの安値輸出が目立ってきた。
中国の変調をみた韓国の需要家も、様子見姿勢を強め、
日本の輸出にも影響が広がりそう。

需要の回復力が弱いなか、中韓の鉄鋼増産が進めば、
日韓中の取引関係は大きく変わる。
「昨日の客は明日の敵……」
アジア市況の変調は、日韓中が生き残りを争う
「鉄鋼三国志」の予兆にみえる。

電炉最大手の東京製鉄は、8月に再開したH形鋼の
韓国向け輸出を9月から凍結。
1トン650ドル前後だった輸出価格が、500ドル台に下落。
「1ドル=90円前後では、採算に合わない」(大堀直人常務)。
同社は、今年度下期の鋼材輸出をゼロと想定。
新日本製鉄など、高炉もH形鋼の輸出価格を、
600ドル台後半から600ドル台前半に下方修正。

自動車や家電に使う薄鋼板の母材となる熱延コイル。
新日本製鉄などの高炉は、韓国向けの7~9月積みで
500ドル強だった輸出価格を、10~12月積みで600ドル台に
引き上げる計画。
韓国の鋼板加工業者は抵抗、着地点は500ドル台半ばに落ち着く。

背景には、中国の安値提示がある。
中国メーカーは、10月上旬の国慶節(建国記念日)休暇を挟み、
韓国などH形鋼や熱延コイルで500ドルを下回る輸出価格を提示。
品質の格差を差し引いても、日本メーカーの提示価格との差は大きく、
韓国企業の買い意欲は急速に後退。

アジアの鉄鋼市況は、中国→韓国→日本という循環で
回復基調が続いた。
政府の景気刺激策をテコに、中国で自動車や建設の内需が拡大。
韓国から中国への薄鋼板輸出が伸び、日本から韓国向けに
母材となる熱延コイルの輸出が伸びる、といった流れ。
中国の輸出低迷をよそに、日本と韓国は輸出増の恩恵。

中国では、8~9月から需要の伸びを上回る増産で、
供給過剰と相場下落が鮮明、現地企業が輸出意欲を強めた。
熱延コイルの現地価格は、国慶節休暇が終わってからも
下落基調が続いている。
中央政府は、投資抑制策を打ち出したものの、
中小メーカーの生産意欲は旺盛で、効果は未知数。

JFEスチールの役員は、「来年は、今年以上に大変な年に。
特に厚鋼板は心配」
中国だけでなく、韓国では電炉最大手の現代製鉄が、
来年に大型高炉を立ち上げる。
ポスコや東国製鋼も、厚板設備を増強。
年間800~1000万トン台で推移していた日本の韓国向け
鋼材輸出が、今後大きく減少するのは確実。

日本の鉄鋼メーカーは、輸出拡大をテコに減産緩和に
乗り出したが、輸出は各国政府の財政出動に
押し上げられた面が大きいのが現状。
景気対策の効果が息切れした時、余剰生産分をどうするのか?
日中韓メーカーの勢力争いが激しくなる可能性がある。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/shikyou/shi091027.html

動物と生きる(4)駆除で知る外来種被害

(読売 10月31日)

外来生物駆除などを通じ、野生動物の現状を学ぶ
活動が始まっている。

「エサが食べられてる。
足跡があるけど、これはモグラみたいだな。
ワナの場所を替えた方がいいかもしれないね」

神奈川県葉山町の山中で行われた
「在来生態系保全ネットワーク」の野外実習。
アライグマの捕獲ワナのかけ方を学生らに指導していたのは、
同ネット設立メンバーで
三浦半島自然誌研究会代表の金田正人さん(38)。

同ネットは、アライグマによる被害の拡大に危機感を抱いた
首都圏の学生や社会人らにより、2003年に設立。
三浦半島などを中心に、アライグマの駆除や
台湾リス対策の研究を行っている。

北米原産のアライグマは、1970年代に人気アニメの
影響などでペットとして次々輸入。
逃げ出したり、捨てられたりして、多くが野生化して繁殖。
今や農作物を荒らし、従来の生態系に影響を及ぼすとして、
外来生物法や鳥獣保護法の規制対象。

同県・三浦半島でも、99年ごろから激増。
金田さんは、04年から県の計画に基づいて駆除を始めた。
年間数十頭を捕獲、薬物で安楽死させ、
研究材料として大学などに送っている。
学生らは年数回、駆除の現場に立ち会い、ワナも仕掛ける。
この日は、日本大学、帝京科学大学などから学生7人が参加。

最初は誰もが戸惑い、悩み、さんざん議論する。
現場に足を運ぶことで、スイカ、トウモロコシをはじめとした
農作物被害や、トウキョウサンショウウオ、ヤマアカガエルなどが
激減している状況を見て、現実に向き合う必要を自覚。

日本獣医生命科学大学3年の武良千里南さん(20)は、
「できることなら殺したくない。
『かわいそう』と何もしないでいると、生き物を生かす環境が
どんどんおかしくなってくる。
アライグマが被害を与えている現場を、理屈でなく肌で知りたかった」

同ネット代表の同大博士課程3年加藤卓也さん(27)も、
「外来生物の影響は脅威だが、アライグマは人間の都合で輸入、
野生化した。安易に駆除すればいい、と片づけず、
責任を持ってつきあっていきたい」

大学でも、専門知識を普及させる動きが本格化。
日獣医大では、07年、野生動物教育研究機構を設立、
3年間、「野生動物問題解決人」というプログラムを実施中。
クマ、イノシシといった野生鳥獣の駆除などに携わる
自治体職員を集め、「被害を出すサルの群れの動きを知る」など
専門家の知識や技術を学び直してもらう。

機構長の羽山伸一・准教授(49)は、
「獣医師や実際に接する現場の担当者でも、
野生動物の詳しい知識や扱い方の技術を持つ人は少ない。
生態を実践的に学ぶ機会をもっと増やさなければ」

野生動物を知る学びは、まだまだこれからだ。

◆外来生物法

2005年6月施行。
生態系や農林水産業に悪影響を及ぼす外来種を、
国が特定外来生物に指定、輸入や運搬、遺棄、飼育などを
原則禁止する。罰金は最高1億円。
アライグマ、オオクチバス、ジャワマングース、カミツキガメなど指定。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091031-OYT8T00284.htm

ママの抱っこの揺れ再現 九大などベビーベッド開発

(2009年10月29日 共同通信社)

九州大大学院芸術工学研究院と福岡市の電子機器製造
「アイクォーク」(立石憲治社長)、岡山市のベビーベッド製造
「ヤマサキ」(山崎吉典社長)は、"ママの抱っこの揺れ"を再現した
ベビーベッド「スイマ スマート」を共同開発。
11月下旬から本格的に販売、レンタルを始める。

「スイマ スマート」は、ベッドに寝ている赤ちゃんが泣き始めると、
泣き声をセンサーが感知、ベッドが自動的に揺れて眠りに誘う。

同研究院の藤智亮助教の調査で、赤ちゃんが眠りやすい
揺れのリズムが、母親の心拍数とほぼ一致することが判明。
ベッドは、泣き始めでは小刻みに揺れるが、
泣きやむと母親の心拍数に近い1分間に67回、
抱っこされているように左右5センチずつ10分間揺れ、
その後ゆっくり減速して止まる。

藤助教は、「調査でリズムの一致に気付いた時、命の神秘に感動した」、
立石社長は、「家事や育児に奮闘するお母さんの助けに、と願い」

販売価格は19万8千円(税込み)、
レンタル料は月8667円から(同)。
問い合わせはアイクォーク、092(626)0202。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/10/29/110138/

2009年11月6日金曜日

「25%削減」は産業ビッグバン?

(日経 2009-10-27)

鳩山由紀夫首相が、新政策として打ち出した
温暖化ガス排出量の「25%削減」目標。

「具体策の積み重ねがない」、
「企業が疲弊して大不況になる」、と経済界の批判は予想通りだが、
7割以上の国民が賛成。
「国益を損ねる」との大合唱ばかりが目立った経済界も、
決して一枚岩ではない。
「25%削減」が、日本企業の新たな“ビッグバン(大爆発)”に
結びつく気配を嗅ぎ取っている経営者は少なくない。

「泣き虫エド」と聞いてピンと来る人は、かなりの米国通。
元民主党上院議員、カーター政権では国務長官も務めた
エドマンド・マスキー氏(1914~96年)。

有力な大統領候補だったが、1972年民主党予備選の最中、
ニューハンプシャーの新聞に妻の飲酒癖を暴露、
新聞社前に乗りつけて反論、不覚にも途中で涙をにじませた。
「軍を統率する大統領に、泣き虫はふさわしくない」と批判され、
予備選から脱落。
マスキー追い落としのネガティブキャンペーンは、
共和党の現職大統領ニクソンの陰謀との説も。

マスキー氏は、実は日本の自動車産業にとって、
「隠れた育ての親」でもある。

1970年、成立した米大気浄化法修正法を強力に推進。
通称「マスキー法」とは、深刻化していた米西海岸の
大気汚染対策として発議、75年型新車は自動車の排ガス中の
COとHCを、70年型車比で10分の1以下に、
76年型新車から、NOxを71年型車比で10分の1以下に削減を
目指し、基準に合格しない車の販売を禁止する厳しい法律。

米ビッグスリーは、「自動車産業が消滅する」と強硬に反対、
政治力を駆使して、マスキー法実施延期を画策。
排ガス規制は、1980年代半ばまで効力を持たなかった。

米国に倣って、日本版マスキー法(1978年度燃費規制)が発動、
日本車メーカーは正面から課題に取り組み、
低公害・低燃費車を武器に、海外でも飛躍的にシェアを伸ばした。

今年4月以降、連邦破産法11条(チャプター・イレブン)を申請した
クライスラーやゼネラル・モーターズ(GM)の破綻の遠因を
探っていけば、「マスキー法の蹂躙」に行き着く。

日本車メーカーは、マスキー法克服に情熱を注いだ。
代表例は、本田技研工業(ホンダ)。

CO、HC削減とNOx削減は、一度に実現しようとすると相反する。
エンジン内部の燃焼効率を上げれば、CO、HCは減らせる。
単に燃焼効率を上げただけでは、NOx排出量を増やしてしまう。

ポイントは、「空燃比」と呼ばれるエンジン燃焼室内での
空気と燃料の重量混合比。
空燃比を調整し、濃度を薄くして燃焼させれば、
NOx排出量を削減できる。

これが、CVCC(複合渦流調速燃焼方式)エンジン開発に。
73年、CVCC搭載「シビック」は国内で四輪自動車メーカーとして、
確固たる地位をもたらし、海外でもHONDAブランドを強烈に印象。
東洋工業(現マツダ)が開発したロータリーエンジンも、
低公害技術として注目、燃費の悪さがネックとなり、
73年のオイルショック以降はハンディを抱えることに。

ホンダのCVCCとマツダのロータリーは、
「マスキー法の厳しい基準に最初に合致したエンジン」と認められ、
「日本車=クリーンな車」というイメージを世界に発信。
1980年代以降の日本車の躍進は、ここから始まった。

72年、米議会がマスキー法適用延期を議決したころ、
ホンダの創業者、本田宗一郎氏は、
「マスキー法の1年適用延期が議論されたときも、
延期が決まったときも、延期申請しないという
われわれの考えは変わらなかった。
排ガス問題に関して、企業としての社会的責任から
どうしても解決しなければならない、と思った」

CVCC開発の現場で指揮を執っていた杉浦英男氏
(1982~85年ホンダ会長)は、「人のやっていないことをやっている」
という技術者としての自負とともに、「世のため、人のためというと、
ちょっとオーバーだが、公害を少なくするという使命感があった」
モチベーションの高さが、世界に先駆ける技術革新の背景に。

マスキー法の夢よもう1度——。
鳩山政権の「25%削減」に、こんな思いを託すのは
牽強付会にすぎないが、可能性は大いにある。

三菱自動車が7月に発売した電気自動車「i—MiEV(アイ・ミーブ)」
高性能リチウムイオン電池を搭載した世界初の量産型電気自動車。
09年度の販売計画(法人向け限定)台数1400台は全量受注、
個人向けを始める10年度も、募集開始から1カ月で900台と、
年間計画5000台の2割近く。

自動車以外に目を向けても、「25%削減」で弾みがつきそうな
日本製品は目白押し。
エレクトロニクス分野では、LED(発光ダイオード)照明。
白熱電球に比べ、消費電力は8分の1、耐久性は40倍に相当する
4万時間(1日5時間半の使用で約19年)。
価格差が100倍近く普及が進まず、シャープやパナソニックの新規参入、
東芝ライテックの大幅値下げなどで、価格差が40倍程度に縮小。
パナソニックは、「2012年に(LED電球シェアを)照明全体の25%」

部品では、家電や自動車の電力消費量を減らせる
パワー半導体への注目度が高まっている。
9月末、東芝やルネサステクノロジがパワー半導体の
大幅な増産計画を明らかにし、富士電機ホールディングスは
ハイブリッド車などへの需要回復を見込んで、パワー半導体の
2工場(長野県大町市、富山県滑川市)の閉鎖を撤回。
10月、エコカー向けのリチウムイオン電池の材料分野に、
東ソーや昭和電工などが相次ぎ参入。

今年1~8月の住宅着工戸数は、
前年同期比29%減の52万2613戸。
43年ぶりの100万戸割れが確実視される住宅市場でも、
メーカー各社「唯一の希望」は、太陽光発電システム装備の商品。
積水ハウスは、9月半ばに太陽光パネルを屋根に設置して
発電した電気を、入居世帯に振り分ける新商品を発表、
同社施工のアパートの3割に太陽光発電システムを装備。

アパート以外の戸建てでも、太陽光発電システムの需要が急伸、
積水ハウス、大和ハウス工業やミサワホーム、パナホームなど、
「太陽光住宅」の値下げキャンペーンを展開。

「25%削減」のミソは、途上国や新興国の温暖化対策を支援、
日本の省エネ技術や資金を提供する「鳩山イニシアチブ」。

エコカーをはじめ、エレクトロニクス製品や部品のほか、
住宅やオフィスビルの省エネでも、日本企業には蓄積してきた
技術ノウハウがある。

「25%削減」に対する反対勢力の最右翼、鉄鋼業界でさえ、
新日本製鉄が、CO2排出量を従来比2割抑制できる
大分製鉄所の新型コークス炉を稼働、
最先端の温暖化対策技術を持っている。

海外に売り込める技術があるなら、
政治家が率先して支援してもいい。
航空機やプラント関連などでは、欧米で当然のように行われている。
米西海岸で計画されている高速鉄道の新規敷設プロジェクトに対し、
政財界が一体となって、日本の新幹線を売り込むことを
検討してみてもいい。

そこまで踏み込む覚悟があれば、鳩山政権に欠けている
日本経済の成長戦略は、自ら語らずとも認識される。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon091026.html

NFL選手の認知症リスク、米議会で論議 元選手も証言

(CNN 10月29日)

アメリカンフットボールの選手は、試合中に頭を強く打つ
ことにより認知症などを発症するリスクが高まるのか、
米議会の委員会で、米プロフットボールリーグ(NFL)の
元選手や医療関係者が出席して公聴会が開かれた。

この問題は、NFL選手の待遇などを定めた
包括的労働協約の期限切れが2010年に迫り、
更新に向けた交渉が行われる中で浮上。
脳に損傷を負った元選手に対する球団側の対応には、
これまで不満の声が。

公聴会では、NFLコミッショナーのロジャー・グッデル氏、
ピッツバーグ・スティーラーズの元ランニングバック、
メリル・ホッジ氏らが証言。
ホッジ氏は、1994年に何度か脳震盪を起こし、
文字を読むことができなくなり、うつ病にかかり、
自分の家族も分からなくなったことがあると打ち明けた。

グッデル氏は、自分の任期中、年金の増額や認知症を発症した
元選手の治療費支給といった措置を講じてきたと説明。
バッカニアーズの元オーナー、ゲイ・カルバーハウス氏は、
「選手たちは、控え選手に交替させられてしまうことを恐れ、
チームドクターに脳震盪のことを打ち明けたりはしない」と告発、
試合に中立的な立場の神経科医に立ち会ってもらい、
両チームの選手を診察してもらうことを対策として提案。

NFL選手の脳震盪と後遺症との関係について、
ノースカロライナ大学の2003年の調査によると、
何度も脳震盪を起こした選手はそうでない人に比べ、
重いうつ病にかかる率が3倍になることが判明。
2005年、脳震盪を起こした選手は認知障害になる確率が
5倍に高まり、引退した選手がアルツハイマー病にかかる確率は
一般の人に比べて40%も高い。

ミシガン大学の調査では、50歳を超す元NFL選手の6%が
認知症と診断。
これは、米国人平均の5倍。

NFL側は、調査方法に問題があると主張、
現在独自の調査を進めているところだと説明。
過去に、NFLの委託で調査を実施したミシガン大学の研究者は、
調査の結果、元選手の96%は認知障害も認知症も
発症していないことが分かったと証言。

http://www.cnn.co.jp/sports/CNN200910290031.html

動物と生きる(3)傷ついた鳥 野生に戻す

(読売 10月29日)

人間社会で傷ついた野生動物の回復を手伝い、
自然に帰すのも学びの一場面。

まっすぐ歩けず、くるくる回るドバト。
右目がつぶれたトラツグミ。
羽を骨折し、狩りができないフクロウ。

「この鳥たちは、もう野生には戻れないから、
死ぬまでここで暮らします。
交通事故にあったり、ビニールひもがからまって指が腐ったり。
人間が負わせたけがだから、人間の手で治してあげようね」

川崎市中原区の野生動物ボランティアセンター。
NPO法人野生動物救護獣医師協会(WRV)副会長の
皆川康雄さん(42)(獣医師)が、職場体験学習で訪れた
市立平間中学校2年の女子生徒5人に語りかけた。

同センターは、交通事故やビルの窓ガラスへの衝突などで
傷ついた野生鳥獣が、動物病院などで治療後、
野生に復帰するまでリハビリテーションを行う施設。
生徒らは、回復途中にあるツバメやカルガモなどのオリ掃除、
エサやりなどを手伝った。

ほぼ毎日世話に訪れているWRV神奈川支部の
野生動物リハビリテーター(リハビリ技術を学んだボランティア)
らも同席、「『驚かせてごめんね』、『協力ありがとう』と
心の中で声をかけながら世話すると、鳥にも通じるよ」など助言、
一緒に作業した。

同センターでは、年間約30回の職場体験授業や
夏休みの1日体験などで、傷病鳥獣救護の大切さを
子どもたちに伝えている。
「巣立ち直後、地面にいるヒナは、近くで親鳥が見守っており、
けがをしていなければ拾ってはいけない。
『かわいそう』と、拾ってしまう人が多い。
正しい知識を学んでほしい」

体験を終えた西條真奈美さん(14)は、「鳥たちのけがは、
人間が原因と知って驚いた。けがしないようゴミを拾うなど、
自分にもできることをやりたい」

東京農工大学農学部の学生サークル野生動物研究会は、
2008年、「リハビリケージ・プロジェクト(RCP)」を開始。
学内外の学生約25人が、都鳥獣保護員の手伝いとして、
野生復帰前の野鳥の世話。
交代で1日1回エサをやり、放鳥に向けた飛しょう訓練も、
ひもを付けて外で行う。

メジロ、キジバトなど32種390羽を受け入れ、ほとんど放鳥。
現在、ケージにいるのは、夏にやってきた
猛きん類のチョウゲンボウ2羽。

代表の綿貫宏史朗さん(23)(獣医学科4年)は、
「大学で学ぶ対象は、主に犬、猫などの愛玩動物や家畜。
野生動物に接する貴重な勉強の機会にもなっている」

人と動物の関係の本質が、野生動物から見えてくる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091029-OYT8T00309.htm

定年退職後の仕事は健康維持につながる

(2009年10月28日 WebMD)

定年退職後も仕事を続ける人は、
完全に仕事をやめてしまう人よりも疾患と機能的制限が少ない。

パートタイム、自営業の仕事を「bridge employment」と定義、
これが一般に定年後の健康維持に良い効果をもつ。
『Journal of Occupational Health Psychology』10月号に掲載。

現役時の業務に関連する仕事を、定年退職後に見つけた人は、
仕事を完全にやめて引退した人より、良好な精神的健康状態。
金銭的問題を抱える定年退職者は、
定年後に現役時とは異なる分野の仕事に就く可能性が高い。

メリーランド大学のYujie Zhanらは、
米国立老化研究所(NIA)をスポンサーとする
全米Health and Retirement Studyのデータを分析。
試験開始時、51~61歳の参加者12,189名のデータを使用。

参加者は、1992年から2年に1度、健康状態、経済状況、雇用歴、
仕事、定年退職後の生活に関する面接調査。
定年退職前の身体的・精神的健康状態、年齢、性別、学歴、
金銭上の総資産を考慮の上、検討。

結果、「bridge employment」で働き続ける定年退職者は、
働くのをやめた人に比べ、重大疾患と機能的制限が少なかった。
精神的健康状態の改善が認められたのは、
現役時の職業に関連する仕事に就いていた人のみ。

「現役時と異なる分野で働く人は、それを希望したわけではなく、
そのように働かざるを得ない状況に」
メリーランド大学のMo Yangは、
「こういった状況下では、定年退職者が『bridge employment』の
恩恵を享受するのは困難」

適切なタイプの「bridge employment」を選択することが、
定年退職者をうまく、良好な身体的・精神的健康状態で
完全引退生活へと移行させるのに役立つ。

ベビーブーム世代の大量退職による労働力不足を懸念する
雇用主は、定年退職者が利用できる雇用選択肢を検討してもよい。
「bridge employment」は、定年退職者を重大疾患や
日常生活機能の低下から守るのに役立つ可能性がある、と結論。
働くことに伴う身体・精神活動の増加が、このような効果を生む。

完全な引退は、多くの定年退職者にとって、
社会的接触、日常活動の大幅な減少に。
重大疾患、加齢に伴う日常生活機能の低下に対し、
抵抗力が弱まっている可能性がある」

J Occup Health Psychol. 2009 Oct;14(4):374-89.
Bridge employment and retirees' health: a longitudinal investigation.
Zhan Y, Wang M, Liu S, Shultz KS.

http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/10/28/110031/

2009年11月5日木曜日

Z会の加藤社長「地方に新たな教育スタイルを」

(日経 10月29日)

衆院選での民主党大勝の流れを作った、静岡県知事選。
川勝平太氏が、マニフェストの大きな柱の1つに、
教育改革を掲げて当選。

改革の担い手として、通信添削大手、Z会(静岡県長泉町)の
加藤文夫社長が、8月に県教育委員に就任。
東大や京大など、難関大合格で全国に名を馳せる
企業のトップが感じた、教育の課題と改善点を聞いた。

——教育委員への就任の打診はいつか?

「7月、知事選の結果が出て数日後、高校の先輩から。
県教育委員会には、県内地域からまんべんなく委員を
出したいので、県東部からも人材を欲しいということ」

——地元である静岡県内からの難関大への進学状況は?

「受験産業に携わっている人間として言えば、
静岡県は、東大合格者の数が少ない。
人口比率で、隣県の神奈川などに比べてかなり少ない。
もっと志望者が増えてもおかしくない。
競争してまで難関大学に行こう、という意識が弱いことに原因

——地方ならではの課題といえるのか?

「そうではない。
福岡や広島は東大志向が強い。
富山や石川も同様で、必ずしも地方が弱いわけではない。
東大という切り口だけでいえば、
私立の一貫校が強い地域は合格者が多い。
逆に、公立高校が強いと東大合格率は低くなる傾向

——なぜ、私立が強い地域の合格率が高いのか?

「学校が良いからという問題ではなく、
地域の中核となる高校があり、優秀な学生が集まって、
互いに競い合うから伸びる。
静岡の場合、のんびりした気質はもちろんあるが、
様々な高校に優秀な生徒が分散し、競い合う機会が失われている」

「受験産業に身を置いて感じるのが、教育方法よりも、
『ライバルに負けたくない』という環境を作った方が、学生は伸びる。
高校に、1~2人しか東大合格者がいなければ、
学生たちは『彼らは特別』と考えてしまう。
合格者が10人ほどいれば、学年で20~30番くらいの生徒も、
その気になるかもしれない」

——競い合う場を作る必要があるということか?

「友人やライバルが勉強している姿を見て、
勉強しなければとの競争心も芽生える。
難関大の受験を考える優秀な学生が集まる場があれば、
中核となる高校の代わりを担うこともできる」

「東大合格者を増やすことが、教育委員の仕事ではない。
受験産業の人間のアイデアを生かせば、
関東圏や中京圏に埋没しない教育スタイルを提案できるのでは

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091028.html

糖尿病防ぐホルモンの働き解明

(サイエンスポータル 2009年10月28日)

体内の脂肪細胞から出るホルモン「レプチン」が、
脳に働き血糖値を下げる仕組みを、
生理学研究所の研究者たちが突き止めた。
レプチンに似た物質を投与して、脳の神経回路をうまく刺激する
糖尿病の新しい治療法に結び付けることも期待。

箕越靖彦・生理学研究所教授、
戸田知得・総合研究大学院大学院生は、
体内で脂肪をためる役割を持つ脂肪細胞から出るホルモン
「レプチン」に注目、マウスを使ってこのホルモンの働きを調べた。

その結果、レプチンは脳の視床下部にある満腹中枢に作用、
摂食調節神経などの神経回路を活性化させ、
ホルモン「インスリン」の働きを助け、
筋肉などでの糖の取り込みを促進。

糖尿病は、膵臓から出る「インスリン」の作用が弱まり、
血糖値が高くなることで起きる。
レプチンが、ある種の糖尿病に治療効果があり、
これまでなぜ血糖値を下げるのかは分からなかった。

http://scienceportal.jp/news/daily/0910/0910281.html

サービス・イノベーション実践27企業・団体表彰

(サイエンスポータル 2009年10月27日)

サービス産業のイノベーション、生産性向上に
先進的に取り組む事例を表彰する活動を進めている
「サービス産業生産性協議会」は、
経営破綻した多くのホテル、リゾートを再生させた
「星野リゾート」など、27の企業や団体を新たに
「ハイ・サービス日本300選」に選定。

星野リゾート以外の表彰企業・団体には、
同業他社や異業種のベンチマークなどを行い、
学習塾としてよりよいサービスを提供している「開倫塾」、
バイオテクノロジー研究を支援する
「北海道システム・サイエンス株式会社」、
エコ農産物の普及などに取り組んでいる農事組合法人
「和郷園」などが含まれている。

「サービス産業生産性協議会」は、
2007年から「ハイ・サービス日本300選」活動を行っている。
「科学的・工学的アプローチ」、「サービスプロセスの改善」、
「サービスの高付加価値化」、「人材育成」、「国際展開」、
「地域貢献」といった観点から取り組みの先進性を評価、
これまで165の企業・団体を表彰。

今回は、特に教育・学習に関するサービス業を重点的に選出。

http://scienceportal.jp/news/daily/0910/0910271.html

動物と生きる(2)学校飼育 獣医師と連携

(読売 10月28日)

学校動物飼育で、地域の獣医師らと連携した試み。

関東地方の小学校で、飼育していたオスのチャボ
「イエロー」が死んでいた。
「冷たくなっちゃったね」、「すごい、足が長い」、「ツメが立派だね」、
「じゃあね、バイバイ」、「わーっ」、「羽がもう、ぐったりしている」、
「さっきは目が開いていたのに」

午後のホームルーム後、夏休み明けで真っ黒に日焼けした
児童らがずらっと並び、順番にダンボールに入った
イエローの体に触って、口々にお別れを告げる。
エサやりや飼育舎掃除の世話をしていた4年生たち。

そばで説明するのは、動物病院を開業する獣医師。
「ふだんは、体温が43度あった。冷たいでしょう。
これが死んだってこと」、
「血が止まると、こんなふうに黒っぽくなるの」と、説明。
死体の感触に驚きの声を上げながら、男子児童(10)は、
「やっぱりかわいそうだね」とつぶやいた。

この小学校では、飼育活動を総合学習に位置付け、
児童が週交代で、チャボとウコッケイ、ウサギの世話。
全児童が飼育を経験し、休日や夏休みは保護者も参加して
世話当番をする。

フンやゴミをほうきで集め、おしっこでぬれた新聞紙を
「くさいなあ」と言いつつ、つまみあげる。
男子児童(9)は、「動物に触れるのがいい」
担当の教諭(25)は、「動物の観察力もついているし、
朝夕に様子を見に来る子も多い」と、飼育のプラス面を説明。

獣医師は、「一時的なふれあいでなく、
責任を持って動物の命にかかわる継続飼育を通し、
他人の痛みを知る子どもが育つ

ウサギ、ニワトリなどの小動物飼育は、約9割の小学校で行われ、
学校任せで児童がほとんど世話をしないケースも。

全国学校飼育動物研究会では、地域の獣医師や保護者を交えた
飼育支援ネットワークの拡大を推進中。
獣医師が定期的に訪問、動物の健康をチェックし、
児童の質問に答えることで、正しい知識と飼い方を伝える。

同研究会顧問の無藤隆さん(62)は、
「小さい時から生の命に実際に触り、においをかぎ、
五感で好き嫌いを体感すると、他人を許容する幅も広がる。
家庭での動物飼育がなかなかできない現在、
獣医師の適切な助言と指導で進める学校動物飼育は、
子どもの成長に有益」

地球生物会議(ALIVE)の野上ふさ子代表(60)は、
「ウサギなどがストレスを感じ、虐待になっている例も。
少なくとも責任者を明確化するなど、土台を整えて行うべき」

学校飼育が逆効果にならないよう、
体制を作りきちんと進める必要がある。

◆全国学校飼育動物研究会

学校教師や教育委員会関係者、獣医師らにより2004年設立。
369人と44団体が参加。
幼稚園や小学校などでの動物飼育や動物介在教育について
研究や実践を行い、情報交換をしている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091102-OYT8T00839.htm

2009年11月4日水曜日

森トラストの森社長「“エコビル”建設、コストが課題」

(日経 10月24日)

民主党新政権の打ち出す政策が、不動産業界に波紋。
鳩山首相が発言した、「温暖化ガス25%削減」の中期目標に対し、
業界団体は実現困難との見方を示し、
国土交通省関連の補正予算凍結にも戸惑いの声。
森トラストの森章社長に、新政権の印象や政権交代に伴う
戦略見直しについて聞いた。

——不動産分野で温暖化ガスの25%削減は可能か?

1990年比で25%削減は、現在からみると30%以上。
相当な技術革新がなければ、不動産分野で同じ比率を
削減することは難しい。
中長期的に取り組まなければいけないテーマだが、
環境税などを導入すると、消費者の負担が増える」

「土地が狭い日本では、風力発電などの新エネルギーを
使いたくても設置する場所が少ない。
米国や中国と同じ数値目標を設定しても、達成するのは大変」

——オフィスビルで、エネルギー効率を向上させる余地はあるか?

「すでに断熱材などは十分普及。
発光ダイオード(LED)照明、光触媒を吹き付けた外壁、
人を感知するセンサーなどを採用した『エコビル』を建設したいが、
現時点では費用が高い。
LED照明など、普及すれば価格も安くなると期待。
工事の時期を予定よりも遅らせた方が、エコビル対応にしやすいかも」

——政府は、民間都市開発推進機構の補正予算を使った
不動産開発支援も凍結する方針。

「我が社も、仙台市の再開発案件で、低利融資を利用する
可能性があった。
借りられなくなっても、計画を見直すことは考えてない。
多くの不動産会社が融資を申し込んでいたが、
一定以上の格付けがないと審査を通らない。
凍結されても、事業基盤が揺らぐ会社が出るようなことはない

——影響は小さいとの見方なのか?

不動産業界は、先行投資が必要で借金体質。
政府の支援を当てにしていては、この業界は成り立たない。
民間都市開発推進機構の融資について、
借りられればラッキーという程度」

——民主党を中心とした新政権をどう評価する?

「年金問題など、自民党にはできない改革に期待。
各論を詰めず、『マニフェストに書いてあるから』と主張する
姿勢は評価できない。
建設計画を凍結した八ツ場ダム(群馬県)にしてもそう。
円高を容認したり、海外資本を排除したりする
方向にならないか懸念」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091023.html

サマータイム導入で地球を救え

(日経 2009-11-02)

政権が代わり、様々な分野で新しい提案や試みが展開。
変化は、時に不安につながることもあるが、
やはりここは期待したい。

新しくて古いテーマの1つに、「サマータイム」がある。
私がこのテーマに巡り会って、20年。
日の暮れるのが日に日に早くなることに、冬の訪れを実感。
欧米のサマータイム導入国でも冬時間に入って、
明るい時間帯が急速に短く、町並みまで暗くなっていく感じ。

欧米諸国でのサマータイム導入は、省エネルギーが主目的。
サマータイムが広がったのは、2度の石油危機の後。
わが国でも、サマータイム導入が検討されたが、
いまだに導入に至っていない。
サマータイムが省エネルギーにつながるのは、
明るい時間帯での活動時間が長くなることで、
照明用のエネルギー消費が純減する。

欧米でのヒアリングの経験では、サマータイムへの切り替え時、
導入目的である省エネルギーへの関心を高める情報発信もあり、
人々のライフスタイルを省エネ型に変化させるきっかけに。

地球温暖化ガス削減に向け、新たな中期目標の検討に
入っている今、人々のライフスタイルと温暖化ガス削減との
関係を結びつけて考えてもらうことは大変重要。
一般の人々にとっての中期目標は、日常感覚の外にある。

目標値が、どのレベルに設定されるにせよ、一部の部門や
産業界での努力だけで、達成される水準にはなりそうもない。
国民総動員態勢が求められている。

サマータイム導入の直接的な効果は、
明るい時間帯が1時間長くなることによる照明需要の省エネ効果、
午前中気温が低いことによるオフィスでの冷房需要の低下など、
省エネルギー効果は全国で原油換算91万kL、
CO2換算で151万トンの温室効果ガス削減効果。

これだけのCO2を、新エネルギーの主役である
太陽電池でまかなおうとすると、約370万キロワット、
約100万世帯の住宅に普及したのと同等の水準、
効果はきわめて大きい。

サマータイム制度の導入に伴うコストについての質問も多い。
電力メータや信号機と言って、ハードウェアの改修コストと、
官民での時間を制御するソフトウエアの改修コストを
合わせて約1000億円程度がかかると推計。

太陽電池の大規模導入には、安く見積もっても2兆円
(太陽電池の導入コスト、54万円/キロワット)がかかり、
サマータイムのコスト効果は1ケタ高い。

サマータイム制度の導入に当たり、様々な調整と検討が必要。
今から始めても、再来年の春以降の導入が最短。
新しい政権での新しい試みに期待。

http://www.blogger.com/post-create.g?blogID=4989583565510097401

都市ガスを利用の高効率燃料電池システム開発

(サイエンスポータル 2009年10月26日)

都市ガスを原料とするエネルギー効率の高い
燃料電池システムを、東京工業大学統合研究院の
研究チームが東京ガスの協力で開発。
実証機が、既に同大学大岡山キャンパス内に設置。

燃料電池は、電気分解反応の逆を利用。
水素などを燃料に電力をつくるが、都市ガス(主成分はメタン)は
そのまま燃料電池の原料にはならない。

荒木和路・統合研究院特任教授らが開発したシステムは、
燃料電池で電気を生み出す際に発生する排熱を、
再利用する複合システムになっているのが特徴。

固体酸化物形燃料電池で、電気を作り出す際の温度が
900℃であるのを利用し、この熱で都市ガスから水素を分離。
水素を、再び燃料電池の原料として利用。

こちらの燃料電池は、より低温(約80℃)で稼動する
固体高分子形燃料電池が用いられている。
都市ガスから水素を分離した際、COも出てくるが、
水素の一部と共に高温で運転される
固体酸化物形燃料電池の原料として利用。

2種類の燃料電池を組み合わせる結果、
システム全体としてエネルギー利用効率を上げ、
温暖化の原因となるCO2排出量も削減できる。

実証機は、水素貯蔵槽も持ち、このシステムを利用すると、
将来、水素を燃料電池自動車など供給する拠点にも成りうる。

http://scienceportal.jp/news/daily/0910/0910261.html

動物と生きる(1)殺処分の現状 命の重さ伝え

(読売 10月27日)

犬や猫が捨てられ、やむなく殺される現実から、
命の大切さが学ばれていく。

「毎週金曜、あのスイッチを押したら、もういないの。
ペットを捨てるとか、命は要らないなんて考えないで。
取り返しがつかないんだよ」

秋田県由利本荘市立亀田小学校で開かれた「命の教室」。
高学年児童約40人を前に、同県動物管理センター(秋田市)の
職員で獣医師の上田かおりさん(39)が語りかけた。
スイッチとは、センターに持ち込まれた犬を、
炭酸ガスで安楽死(窒息死)させる機械の作動ボタンのこと。

1995年から14年連続、自殺率が全国ワースト1の秋田県。
県内の学校を回る同センターの命の教室は、
2006年10月、自殺防止対策の一環として始まった。
加沢敏明・同センター所長(56)は、
「殺処分せざるをえない実態と職員の思いを知らせ、
命を大切にする心を学んでもらいたい」と狙いを説明。

同センターでは昨年度、犬541頭と猫1378頭が、
炭酸ガスや薬物で処分。
教室では、処分の状況や新しい飼い主に引き取られる経過を
映像で紹介。
人間やウサギ、犬の心音を聴き比べ、ボランティアが連れてきた
飼い犬たちとふれあった。
参加した5年生の山崎佑弥君(11)は、
「家で犬を飼っているけれど、絶対捨てない」

「(犬の心音を聴いて)命ってこういう音なのか」(小2女子)、
「5年の時、いじめられて死のうと思ったけど、今日話を聞いて、
あの時死ななくてよかったと思う」(小6男子)、
「小学校の時にいじめをしていたけど後悔した」(中1女子)
などの感想が寄せられている。

「犬や猫は、きちんと飼えば15~16年は生きる。
私たちは、その命を救おうと挑戦しているの」

NPO法人アニマルレフュージ関西(ARK、大阪府能勢町)の
エリザベス・オリバー理事長が、ボランティア学習に訪れていた
大阪インターナショナルスクール(同箕面市)の
6年生児童19人に、自らの思いを語った。

ARKは、捨てられる犬や猫のシェルターとして、
英国人のオリバーさんが1990年に設立。
3000頭以上に、新しい飼い主を見つけてきた。
生活苦や高齢化で、犬猫を手放そうとする飼い主が
順番待ちの状態で、兵庫県内に新施設を作る予定。

同スクールの児童らは、犬の散歩や猫の遊び相手などを体験。
山下由意君(11)は、「お金もないのに、動物たちを助けようという
人たちがこんな施設を作るなんてすごい」

オリバーさんは、「子どもはすぐペットに興味を失いがち。
しつけができていないことも捨て犬の要因に。
最後まで責任を持って

◆年間約30万頭 映画でも啓発

ペットフード協会の推計によると、国内では約2700万頭の
犬や猫が飼われている。
約34万頭が、動物愛護センターなどに引き取られ、
約30万頭が殺処分。

動物保護管理法施行時の1974年度、約125万頭が引き取られ、
98%が殺処分と比べ、大幅に改善したが、依然として多い。
2006年施行の改正動物愛護管理法では、
ペットの遺棄や虐待に対する罰金が、
30万円以下から50万円以下に引き上げられた。

各地の愛護センターや愛護団体の動きも活発で、
新しい飼い主を探す譲渡会や犬のしつけ教室などが頻繁に開催。
秋田県のような出前授業も各地で行われ、
和歌山県や岐阜県では同じ学校に年に何度も訪れている。
犬猫殺処分の実態を伝えるドキュメンタリー映画
「犬と猫と人間と」(飯田基晴監督)も、全国で順次公開中。

「かわいがったり、食べたり、殺したり。
人間社会に動物を巻き込んだ時点で、人間と動物の関係は矛盾。
それを知った上で、できるだけいい関係を作ろうとしているのが、
現代の私たちだ」と、石田おさむ・ヒトと動物の関係学会会長(63)。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091027-OYT8T00258.htm

2009年11月3日火曜日

三洋電機DI事業部の西山副事業部長「監視カメラで世界トップ視野」

(日経 10月19日)

新宿の歌舞伎町など、全国各地の繁華街に
セキュリティーカメラの設置が進み、高い防犯効果に注目。
三洋電機は、白黒カメラの時代から同分野で約40年の実績。
デジタルシステムカンパニーDI事業部の西山隆男・副事業部長に、
カメラ市場の動向と三洋の戦略を聞いた。

——セキュリティーカメラ市場の見通しは?

パソコンに接続し、録画・監視するネットワークカメラの
需要が急速に伸びそう。
パソコンのハードディスクに手軽に保存できたり、
ネットワーク経由で遠隔地の監視ができたりと、
従来タイプのカメラに比べ便利な点が多い」

「三洋の試算では、セキュリティーカメラ全体の市場規模は、
2009年の1840万台から、11年2340万台に伸びる見通し。
ネットワークカメラは、180万台から310万台に、
金額ベースでも760億円から1330億円へと大きく成長しそう」

——監視精度の向上には、画像の高画質化が不可欠?

「人の顔やナンバープレートなどの識別レベルを引き上げるため、
ネットワークカメラの高精細化が進む見通し。
09年、ネットワークカメラに占めるハイビジョン画質対応製品の
比率が約18%、11年には25%を占めるようになる」

——三洋のセキュリティーカメラ事業への取り組みは?

「白黒カメラでの参入から40年以上が経過し、歴史は長い。
1989年、VHSビデオを使った防犯カメラを発売、
米国のカジノ向けなどで大成功。
現在、海外市場で主に市街監視や金融機関向け、
国内で流通系に強みを持っている。
海外販売比率が、4分の3を占めている」

——三洋の優位性は?

デジタルビデオカメラ『ザクティ』開発で培った技術面の資産。
11月24日から順次発売するネットワークカメラの
新製品6機種には、ザクティと同様のハイビジョン画像処理
エンジンが内蔵、動きのなめらかな映像をフルハイビジョン画質で
快適に監視することができる」

ザクティの技術は、本体のコンパクト化にも生きている。
デジタルカメラは、本体を小型化するため、
極めて高いレベルの実装技術や軽量化設計を要求、
今回はこれを新しいネットワークカメラにも活用。
カメラ本体は、当社の従来品に比べ約40%小型化」

——今後の目標は?

「(現在世界シェア数%の)ハイビジョンネットワークカメラ市場で、
30%以上の世界シェアを目指す。
将来は、世界トップの座も狙いたい」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091016_2.html

実用化に適した有機薄膜太陽電池製法開発

(サイエンスポータル 2009年10月23日)

これまでより安い製法で、エネルギー変換効率が高い
有機薄膜太陽電池をつくることに、
東京大学大学院理学系研究科の研究グループが成功。

中村栄一教授、松尾豊教授らが開発した有機薄膜太陽電池は、
電子供与体として熱変換型の低分子材料
「テトラベンゾポルフィリン」、電子受容体として新たに開発した
フラーレン誘導体から成る。
テトラベンゾポルフィリンの柱状結晶が、
生け花の剣山のように林立する理想的な3層構造。
高分子塗布型有機薄膜太陽電池と異なり、
高純度の製品を得やすい低分子塗布型という製法を用いている。

テトラベンゾポルフィリンを用いて、同様の構造を持つ
有機薄膜太陽電池をつくったという前例はあるが、
費用が高くつく共蒸着という方法。

今回の方法でつくられた有機薄膜太陽電池は、
エネルギー変換効率も5.2%と高く、大量生産しやすいことから、
実用化により適した製法。

この研究は、科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業
総括実施型研究(ERATO)「中村活性炭素クラスタープロジェクト」
(研究総括・中村 栄一教授)。

http://scienceportal.jp/news/daily/0910/0910231.html

黒田氏にクーベルタン賞 五輪の医科学分野でIOC

(2009年10月28日 共同通信社)

日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の黒田善雄会長(84)が、
反ドーピング活動などに尽力してきた実績を評価、
IOCからクーベルタン賞を受賞。
11月6日、東京都内で表彰式が行われる。

JADA関係者によると、同賞は近代五輪の父クーベルタン男爵の
精神に基づき、教育や学術的な研究で貢献した功労者を
たたえる勲章、1997年に創設。

IOC総会で受賞者が決定、IOC医事委員や
アジア・オリンピック評議会医事委員長も務めた黒田氏は、
五輪運動の医科学分野における貢献が高く評価。
過去には、サマランチ前IOC会長らも受賞。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/10/28/110010/

2009年11月2日月曜日

日本の大学が一流と呼ばれるには?

(日経 2009-10-30)

英教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が、
恒例の「世界大学ランキング」(2009年版)を発表。
04年から続き、以前ほど話題にのぼらなくなったが、
国内大学の「国際性」に関する評価の低さが目立つ。
ランキングの上位進出には、組織的な経営によって
国際化を目指す必要がある。

タイムズのランキング1位は、昨年と同様、米ハーバード大学。
2位に英ケンブリッジ大学、3位に米エール大学。
日本勢をみると、最上位が東京大学の22位。
昨年は19位、英エディンバラ大学やスイスの連邦工科大学に
追い抜かれ、順位を3つ落とした。

東大のほかでは、京都大学(25位)や大阪大学(43位)、
東京工業大学(55位)など主要大学が名を連ね、
100位以内に6大学が入った。
06年版ランキングでは、100位以内に3大学しか入らず、
東大に続く大学が健闘している結果。

このランキング作成では、研究と教育の力、就職、国際性をもとに
6項目を指標、論文の被引用件数など公開されているデータを
極力使い、公正さを保とうとしている。
世界各地で、関係者を対象に説明会を開き、
学術データ販売に力を入れる大手のエルゼビアが活動を支援。

日本の上位大学をみると、研究に関する評価は高いが、
国際性で大きく見劣りする。
ランキングに入っている他のアジアの大学と比較しても明確。
24位の香港大学、30位のシンガポール国立大学などは、
東大や京大をはるかに上回る国際性を発揮し、
他の項目の低い評価を補っている。

国際性では、外国人教員比率と外国人学生比率が調査対象。
日本の大学が、この項目で評価を伸ばすなら、
世界から優れた教官を雇い入れ、留学生を増やせば、
順位を上げられる。

大きな問題は、研究以外の場面で、日本社会がどれだけ
外国人を受け入れる態勢を整えているか。
北陸先端科学技術大学院大学の下田達也教授は、
「日本は、研究者を家族連れで受け入れる仕組みが整っていない」

北陸先端大は、教官と学生の約20%が外国人と高い比率。
子女の教育をまかなえる学校がない問題や、
外国人を受け入れる住居が少ない課題が常に付きまとう。
大学は、研究者の日常生活にまで踏み込んだ支援はせず、
受け入れた教官の家族がボランティアで生活を
手助けすることが多い。
セイコーエプソン出身の下田教授の場合もそうで、
「会社の時は組織的に対応できたが、大学は違った」と痛感。

新しい知を生み出す大学は、国籍を問わず
世界の頭脳と交わっていかないと、魅力的な存在でなくなる。
研究で世界に認められる大学になろうとするなら、
組織的に国際化を推進できるようにし、
周辺地域をも巻き込んで活動できる存在になってほしい。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/techno/tec091029.html

長寿命の人工ひざ関節製品化へ

(サイエンスポータル 2009年10月21日)

人工ひざ関節の部材原料に、ビタミンEを加えることで、
耐久性を大幅に高めることに、ナカシマメディカル社が成功、

既に医療機器としての製造販売承認も厚生労働省から得て、
来年早々に製品化される見通し。

人工ひざ関節は、富田直秀・京都大学大学院工学研究科教授の
研究成果を基に、科学技術振興機構がナカシマメディカルに
約1億4,000万円の開発費を出し、製品化を図っていた。
人工ひざ関節は、可動部材が滑り動くことを繰り返すうちに摩耗し、
摩耗が進むと層状剥離と呼ばれる損壊に至る問題。

新しく製品化される人工ひざ関節は、
材料の超高分子量ポリエチレン粉末に、抗酸化剤である
ビタミンEを混ぜて成型するのが特徴。
超高分子量ポリエチレンだけからなる従来製品に比べ、
摩耗量を3分の2に抑えることが疲労摩耗試験で確認。

高齢社会の到来で、変形性関節症や関節リューマチ患者は
増え続け、人工ひざ関節を組み込む手術を受ける症例数は
年間15万件。
人工関節部材の損壊による置換手術の件数も増加。

臨床治験で安全性の確認も済んでおり、長寿命型の
人工ひざ関節により、手術適応の低年齢化や重症患者の
QOL向上にも貢献できる。

http://scienceportal.jp/news/daily/0910/0910211.html

口からエキスでも有効 花粉症対策、実用化に期待

(2009年10月27日 共同通信社)

東京都は、食パンに含ませた花粉エキスを、
口の粘膜から吸収する舌下減感作療法を、
花粉症患者142人に実施した結果、約7割で症状が消えたり、
軽減したりし、重い副作用は1例もなかった。

減感作療法は、アレルゲンと呼ばれる原因物質を
徐々に体内に取り込み、症状の緩和を期待する治療法。

花粉症で実用化されているのは、
花粉エキスを薄めて皮下注射する方法。

都は、「今回のような患者の規模で、
舌下減感作療法の有効性と安全性が確認されたのは初めて。
患者の負担が少ない治療法として、早期の実用化を期待したい」

都福祉保健局によると、都内在住か在勤の20歳以上の
花粉症患者から協力者を募り、皮下注射用の花粉エキスを
食パンに含ませ、舌の下に2分間置いて吐き出させる方法。

投与は、2006年7月から2年間。
当初は毎日投与し、残り1年前後は2週間に1回のペース。
患者の約7割が、症状が消失したか軽減し、
副作用も鼻や目のかゆみなど軽い症状にとどまった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/10/27/109927/

2009年11月1日日曜日

下水汚泥から都市ガスつくり一般に供給

(サイエンスポータル 2009年10月22日)

下水汚泥処理場で発酵を利用してつくった「バイオガス」を、
熱量調整など処理をし、都市ガス導管に注入、

一般に供給する日本で初めての試みが、神戸市で始まる。
新たなバイオガス利用法とし、運営方法や経済性を検証。

神戸市は、既に国土交通省新世代下水道支援事業として、
神戸市東灘処理場の下水道汚泥からメタンを主成分とする
バイオガスをつくり出す消化ガス精製装置を設置。
バイオガスは、昨年4月から運転開始した、
こうべバイオガスステーションで年間1万台を超す市バスや、
宅配車に燃料として供給。

新しく始まる試みは、経産省「バイオマス等未活用エネルギー
実証試験費補助金」を受けて実施、
神鋼環境ソリューション社が、バイオガスから微量成分を除去、
熱量調整などを行う高度精製設備を建設、運営。
精製後のガスは、大阪ガスが買い取り、
同社の都市ガス導管に取り込んで一般に供給。
今年度中に事業を開始し、期間は10年を予定。

都市ガス導管を通じて供給されるガス量は、
年間約80万立法メートル、約2,000戸の家庭の年間消費量に相当、
年1,200トンのCO2削減効果。

http://scienceportal.jp/news/daily/0910/0910221.html

小学生と外国語(7)地域の人材 英語講師に

(読売 10月24日)

地域の人材を活用して、授業を進めている学校を訪ねた。

さいたま市浦和区の市立常盤北小学校で、
5年生が英語の授業を受けていた。
「みんなは何をしたい?」
けん玉やめんこ、お手玉などのカードを見せて、
英語で質問したのは、さいたま市の小学校英語活動
ボランティア講師(JAT)、水口智子さん(40)。
子どもたちは、やりたい遊びを同級生に英語で聞いて回り、
仲間を集めていた。

水口さんは教員ではなく、小学校の近くに住む主婦。
大学で英語を学び、予備校で英語を教えたことはあるが、
小学校の教壇に立ったことはなかった。
2007年、奈良市からさいたま市に引っ越し、
市の広報紙を見てJATに応募。
子どもが小学校に入学する年で、学校に行っている間だけでも
働ければというのが動機。

同市が、JATを導入したのは05年度。
市の広報紙で募集、現在は海外在住経験者や航空会社の
元客室乗務員、元英語教師など、市内に約160人が登録。
有償ボランティアとして小学校に派遣、
担任とチームティーチングを行っている。

水口さんに不安もあった。
予備校で英語講師として教えたのは文法中心だったが、
さいたま市は、「覚えるのではなく、身につける」(市教委)
というコミュニケーション重視の授業を目指していた。
JATの役割は、外国語指導助手(ALT)に代わるもので、
授業中はすべて英語で話すのが基本。
「チームティーチングがどんなものか、イメージがわかなかった」
のも不安を抱く理由。

授業が終わった後、担任との打ち合わせの時間を確保し、
たいていのことは理解できた。
担任に、子どもが授業を理解しているか反応を見てもらっていたが、
今は自分でも子どもの様子を確認しながら授業を進める。
市教委も、夏休みなどの時期を利用しJATを集めた研修を行ったり、
担当者が頻繁に授業を見に行ったりして様子を確認。

金沢市では、市内の模範的なベテラン教師や英語講師の授業を
録画して、サーバーに登録。
専用回線でつないだ小学校の職員室のパソコンで見られる。
教材の使い方や授業の進め方を見て、
子どもの興味や関心をどうやって引き出すかの参考に。

広島市でも、英語の授業に地域の人を採用して、
チームティーチングを実施。
特徴は普段の授業以外に、帯時間と呼ぶ
週3回15分間ずつの時間を設けていること。

市が取り上げた、6年生までに覚えておくべき500単語に、
イラストと文字を印刷した「絵カード」で教えていく。
授業では、500単語を中心にした文章や発音を覚えるため、
子どもが授業を理解しやすい。

様々な人材や工夫が英語の授業を支えている。

◆JAT(Japanese Assistant Teacher)

英語に堪能で、子どもに英語を教えた経験のある人を中心に採用。
授業時間に応じて時給を支払っている。
さいたま市以外では、英語や小学校の教員免許を持つ人などを
Japanese Teacher of English(JTE)として
採用する自治体も。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091024-OYT8T00278.htm

佐藤元美・藤沢町民病院院長に聞く 岩手・無床化半年 地域医療の行方/5止

(2009年10月24日 毎日新聞社)

無床化は、地域医療の在り方をどうするか、
難しい問題を住民、医師、介護関係者らに投げかけた。
半年経た今、答えは見えず、住民は救急時に
搬送先が見つかるのか不安を抱え、負担を増やしつつ、
医師や福祉関係者が懸命に働く。
処方せんはあるのだろうか?
地域医療を守り、医師育成に取り組んできた
藤沢町民病院の佐藤元美院長兼事業管理者(54)に話を聞いた。

--無床化からの半年間をどのように見ているか?

一律で無床化したのだから、影響が出るのは当然。
地域診療センターなど普通の病気を診る病院が減り、
中核病院への患者の集中が増す。
大病院と個人病院の二極分化を加速。

--背景には、病院ごとの役割分担が理解されていない現状も。

誰でも参加できて、自由に話せる場で訴えないと、
住民には伝わらない。
(県の医療圏別懇談会など)代表者だけを集め、
アリバイづくりのように会議を開いても、時間の無駄。

無床化の際、医療局側の顔が見えなかった。
2~3年ごとに交代し、知事部局に戻る局長では難しい。
医師が最低でも4~5年、局長を務め、
「責任を持って自分がやる」と説明すれば、住民も理解してくれる。

--どうすれば病院の二極分化は防ぐことができるのか?

盛岡にある医療局からのリモートコントロールではうまくいかない。
(地域の病院運営は)利用者に近いところで考えなければならない。
県は、市町村や地元医師会と共同で病院を運営しつつ、
ノウハウを移す。
県は離れて、医師・看護師の確保や県全体の医療を
考える形にしていけば良かった。

--地域に必要な医療をそれぞれ設計するのは難しい。

市町村だからこそ、設計図を作ることができる。
種市(洋野町)や国保まごころ(奥州市)の両病院に、解決のヒント。
地域に必要な魅力ある医療を生み出そうと考えれば、
そういった人材を自分たちで育てようとする。

--どういった人材が必要か?

(幅広い診療科を診る)総合医が必要。
今後、町全体の医療の防波堤となることができる
総合医が求められるのは、誰の目にも明らか。
専門医育成に集中し過ぎた反省から、
(総合医育成の)流れは出てくる。
そうした流れに乗る体制を早く作らなければならない。
…………………………………………………………
◇さとう・もとみ

55年3月一関市千厩町出身、79年、自治医科大を卒業後、
同年から県立宮古、久慈両病院内科に勤務。
92年、藤沢町福祉医療センター所長に就任。
93年、藤沢町民病院を創設。
診療科にかかわらず、広く地域医療に携わる「総合医」の
育成に取り組み、同病院は常勤6人、非常勤3人、研修医1人
(10月21日現在)を確保。
病床稼働率84・2%(07年度)を維持、経営も安定。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/10/26/109834/

県内に期待と危機感 来年度から公立高授業料無償化

(岩手日報 10月20日)

鳩山政権は2010年度から、公立高校の授業料を実質無償化。
全国約330万人が対象、必要な財源は約4500億円(見込)。
県内の保護者や教師らは、「授業料無料」を歓迎。
一方、授業料以外にもさまざまな負担があり、
「低所得者世帯への助成は必要」、さらなる助成を求める声も。

政権は、公立高の授業料を無償化、
私立は一部助成する方針で、私立高関係者からは
「公立偏重の施策」と危機感ものぞく。

連立する民主、社民、国民新党の3党は、
衆院選の共通政策で、「高校教育は実質無償化する」ことで合意。
新年度予算に盛り込まれ、都道府県などを通じて
授業料を国費で負担する「間接方式」で実施される見込み。

本県の本年度の高校在学者数は、約4万人
(公立約3万3千人、私立約7千人)。
公立高の授業料(全日制・月額)は9900円。
単純試算で、約39億2千万円の国費負担。

川端達夫文科相は、私立高にも年間1人当たり12万円
(世帯年収500万円以下は24万円)を給付、
私立への助成を1人当たり12万円として試算すると、
公立と私立を合わせた国費負担は約47億6千万円。

県高校PTA連合会長の工藤重信さん(52)は、
「親の所得にかかわらず、教育を受ける権利のため必要な制度で、
無償化は評価できる。
高校生活には、クラブ活動や修学旅行もある。
こうした支出にも公的補助をしてもらいたい」とさらなる教育投資を。

県高教組の小西寛書記長は、「授業料がなくなることは、
教育の機会均等の面からも大歓迎。
授業料以外にもさまざまな負担があり、経済的に困っている
家庭のためには、奨学金制度の維持充実が必要」

一方、公立と私学の格差を指摘する声も。
県内私学の授業料は、月額1万4千~1万9千円。
公立は無料となるが、私立は一部を除き、4千~9千円の負担。

県私学協会長の三浦五郎江南義塾盛岡高校長は、
「国や県からの高校への補助金額は現在、公立3に対し、私立は1。
この格差是正を以前から訴えている。
公立無料となると、公立志向が強い本県では私学への影響は大きく、
ますます経営は苦しくなる」と危惧。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091020_14